JP4112621B2 - 摩擦部材、物品、およびトルクを伝達するための装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クラッチ板部材やブレーキパッドや変速機などに用いられるパターンつき摩擦材およびそれら構造物の製造・使用方法に関する。
摩擦材は、ブレーキライニングやブレーキパッド、自動変速機のトルクコンバータクラッチ、手動変速機のシンクロナイザーリング、より新しい自動車のいわゆる「スリッピングクラッチ」(トルクコンバータクラッチの異形)のような、自動車用の様々な用途に用いられている。
概して、摩擦材は広範な様々な特性における要求を満たすことが求められている。摩擦材の望ましい属性には、丈夫さ、強度、耐熱性、優れた摩擦特性、長寿命が含まれる。変速機用の摩擦材は、概して平らなトルク曲線を有し、標準的な使用条件下で接着剥がれがなく、そしてトルク曲線の平坦さとトルク容量を保持できなければならない。更に、変速機流体内の摩擦加減剤によってクラッチのスムーズな操作が高められるので、摩擦材はその接触面に適量の流体を保持できなければならない。これらの点およびその他の目的のために、摩擦材のためのパターンあるいは織り目付き摩擦面がこれまで提案されてきている。
そのような摩擦材用のパターンを有する面を作る一つの方法は、米国特許第5,004,089号(Hara他)に開示されているような、バッチ熱圧縮成型法によるものである。この成型法においては要するに望ましいディンプル面の逆形状が型に付けられている。この成型工程は概してかなりの時間とエネルギーを要するバッチ工程であるので、大型製造設備用としては好まれていない。米国特許第3,841,949号(Black)に、合成ゴムの上張りを有する複合摩擦板が開示されている。この上張りの中には小さなアイランドが配されており、それらのアイランドの中に焼結粉末青銅粒子のような摩擦材が埋め込まれて実際の摩擦面を形成している。好ましくは、そのような粒子あるいはランドが円形ボタン形状であり、そして耐熱合成ゴムのような外側膜の薄い基底から突出し、そして基底上にお互いに間隔を置いて配置されると言われている。この配置は、クラッチあるいはブレーキ内でのある熱量を消散させるに必要な冷却オイル量に関する要求を低減させると言われている。
研磨材は、米国特許第5,152,917号(Pieper他)に開示されているような、ある有機バインダー内での研磨粒子の三次元形状の放射線硬化散乱であると特徴付けられるところの、輪郭地形の研磨層を有するとして知られている。この特許には概して、パターンつき面の上に紫外線硬化樹脂と研磨粒子のスラリーをコーティングし、スラリーでコーティングされたパターンつき面に裏材を接触させ、樹脂を硬化させ、そして完成した研磨材をパターンつき面から取り外すことによって製造される研磨材が開示されている。しかしながら、同特許に開示されているような研磨材は、摩擦材としての用途に不十分である。即ち、同研磨材は、自動車用変速機に用いられている摩擦材に関する厳しい標準的な試験に合格するに必要な、摩擦材において一般的に用いられている原料の組合せを有していない。更に、米国特許第5,234,740号(Reeves他)に開示されているように、例えば体操用具や、工具やラケットの柄をカバーするに有用な、第一主要面――この上に突起が配列されている――および第二主要面を有する裏材を含む滑り防止被覆用材が知られている。Reeves他において形成される突起には、クラッチ板部材のような自動車の変速機の用途に適した摩擦材を提供するための要件の一つである、粒状の炭素摩擦粒子が含まれていない。
米国特許第5,083,650号(Seitz他)に、変速機における摩擦上張り部材としての使用に適した、表面がざらざらした摩擦材が開示されている。このSeitz他の摩擦材には、炭素増量剤粒子を含む、下と上に横たわる熱硬化性高分子バインダーを介して樹脂で接着された粒状炭素摩擦粒子を支持する耐熱紙が用いられている。起伏する(ざらざらした)輪郭がSeitz他の摩擦部材の表面に形成されている。高められた生地操作によって、そしてSeitz他において用いられているような逐次コーティングを必要としないで、摩擦上張り層を形成できることが望ましいであろう。
発明の要約
本発明によれば、パターンつき摩擦表面を有する摩擦材およびクラッチ板部材が提示される。また、本発明の摩擦材の製造・使用法も提示される。本発明の一実施態様は、摩擦上張り部材用の摩擦材であり、そして同摩擦材には、表面と裏面を有する裏材および裏材の表面上にパターンつき摩擦塗膜を形成しているところの、精密形状の複数の複合材が含まれている。同複合材には、バインダーの中に散乱する複数の摩擦粒子が含まれている。
複数の正確に形成された摩擦複合材が、無作為でないパターンを有する列のような三次元パターンを有する摩擦表面の全体的な地形の輪郭を定めている。このパターン化された摩擦面は概して、各摩擦複合材の形状に関連付けられる複数の尖頭、つまり隆起部分、を含んでおり、そして互いに隣接する摩擦複合材の尖頭ないし隆起部分は互いに離れている。これらの尖頭が互いに離れているので、それらの間に窪みが形成されている。これらの窪みは、流体、例えば変速機流体、を動的に保持するための手段を提供している。精密形状の摩擦複合材のそれぞれは、明確な、識別できる境界線によって定められた精密な形状を有している。隣接して形成される複合材は、互いに異なる形状も本発明の範囲内で考察されてはいるが、好ましくは同一形状である。本発明の範囲内で無作為に間隔を置くことも考察されてはいるが、複合材は等間隔に配置されることが好ましい。
好ましくは、精密形状の複数の摩擦複合材のそれぞれが、平行六面体、立方体、円錐、切頭角錐、円柱、ピラミッド、そしてそれらの混合物の群から選択される三次元形状を構成している。より好ましくは、精密形状の複数の摩擦複合材のそれぞれが、三角形の基礎を持つピラミッドを構成している。更により好ましくは、精密形状の複数の摩擦複合材のそれぞれが、四辺形の基礎を持つピラミッドを構成している。そして最も好ましくは、前記ピラミッドのそれぞれが平らな上面を含んでいる。任意に、精密形状の複合材が更に、ある種の添加物を含んでいてもよい。
もう一つの実施態様においては、摩擦材は弾性を有している。即ち、摩擦材は約107ダイン/cm2以下の、より好ましくは約106〜107ダイン/cm2の弾性率を有している。弾性率は典型的にはRheometrics Scientific,of Piscataway,NJのRheometrics Solids Analyzer Model RSA IIを用いて求められる。一つの好適な実施態様においては、摩擦材が更に、裏材の裏面上に配された結合層を含み、そしてより好ましくは同結合層がフルオロエラストマを含む。好ましくは、その弾性率が約3.5 x 106ダイン/cm2である。もう一つの好適な実施態様においては、前記の弾性率が約4.5 x 106ダイン/cm2であり、そしてパターンつき摩擦塗膜は、約26.62 kJのエネルギーレベルにおいて約0.14以上の摩擦係数を有している。
好ましくは、摩擦材には、有機物、金属物質、半金属物質、無機物、そしてそれらの混合物の群から選択される摩擦粒子が含まれている。より好ましくは、同摩擦粒子に有機物が含まれている。更により好ましくは、同有機物にコークスが含まれており、そして同コークスが、冶金用コークス、石油コークス、ヤシ殻活性炭、そしてそれらの混合物の群から選択されている。
パターンつきの摩擦塗膜は、複数の摩擦粒子と樹脂、好ましくは熱硬化性樹脂、を含む、被覆可能なバインダー前駆体スラリーから形成される。スラリー状態にある間、その中の樹脂は重合・硬化されない。この結果、スラリーが裏材の上に、あるいは成形型の窪みの中へ流動でき、あるいは被覆され得る(こうして「被覆可能な」という語が定義される)。それからバインダー前駆体スラリーは、エネルギー源のような状況にさらされて、バインダー前駆体スラリー内の樹脂が硬化あるいは重合されてバインダーに成り、その結果、バインダー前駆体スラリーが摩擦塗膜となる。
上述のごとく、熱硬化性樹脂が典型的に好ましいが、熱可塑性樹脂をバインダーとして用いることは本発明の範囲内にある。本発明の工程の間、熱可塑性樹脂は溶解した又は流動可能な状態にある。この熱可塑性樹脂を冷却すると、同樹脂は凝固してバインダーになり、摩擦複合材が形成される。好ましい熱可塑性バインダーは、付加重合樹脂、より好ましくは遊離基硬化性樹脂、から誘導される。好ましいエネルギー源とは電子線のような放射エネルギーである。特に好ましいバインダーには、アクリル酸モノマーと少なくとも一つの未結合アクリル酸塩基を持つイソシアヌル酸塩誘導体の重合反応生成物が含まれる。もう一つの好ましいバインダーは、アクリルアミド基を有する一種のアミノプラスチック樹脂から、好ましくはアクリルアミド基を有する一種のアミノプラスチック樹脂とアクリル酸塩基を有する一種のアミノプラスチック樹脂の混合物から、作製された架橋系である。もう一つの好ましいバインダーは、アクリルアミド基を有するアミノプラスチック樹脂とアクリル酸塩基を有するアミノプラスチック樹脂――少なくとも片方の樹脂が少なくとも1個のペンダントアクリル基を有する――の混合物から作製された架橋系である。好ましくは、前記の、少なくとも1個の未結合アクリル酸塩基を有する少なくとも片方の樹脂が、単官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリレート化アクリル樹脂、シリコーンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、そしてそれらの混合物の群から選択される。より好ましくは、前記の、少なくとも1個のペンダントアクリル基を有する少なくとも片方の樹脂が、ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、シリコーンアクリレート、そしてそれらの混合物のグループから選択される。摩擦材は好ましくは約107ダイン/cm2以下の弾性率を有する。
本発明の摩擦材には裏材が含まれ、同裏材は好ましくはアクリルラテックスによって結合された複数のアラミドステープルファイバーを有する不織紙である。
本発明の更なる実施態様による、伝動機構における伝動に有用な摩擦上張り部材用摩擦材には、アクリルラテックスによって結合された複数のアラミドステープルファイバーを含む不織紙――この不織紙は表面と裏面を有している――及び裏材の表面に付着したピラミッド形のパターンを付された摩擦塗膜が含まれている。このパターンつき摩擦塗膜には、複数の精密形状のピラミッド状摩擦複合材が含まれている。各摩擦複合材には、バインダーの中に分散している複数のコークス粒子が含まれている。このバインダーの中には、トリメチロールプロパントリアクリレートとトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートの重合反応生成物が含まれている。
本発明の更なる実施態様における摩擦上張り部材用摩擦材には、表面と裏面を有する裏材および裏材の表面上にパターンつきの摩擦塗膜を形成しているところの、複数の精密形状の複合材が含まれている。これらの精密形状の複合材には、バインダー内に分散している複数の摩擦粒子が含まれており、そして同摩擦材は約107ダイン/cm2以下の弾性率を有している。好ましくは、同摩擦材は約200サイクルにて約26.62 kJのエネルギーレベルにおいて約0.14以上の摩擦係数を有している。より好ましくは、同バインダーには、アクリルアミド基を有するアミノプラスチック樹脂およびアクリル酸塩基を有するアミノプラスチック樹脂を含む混合物から作製された架橋系が含まれている。これらの樹脂の少なくとも片方は、少なくとも1個の未結合アクリル酸塩基を有しており、そして単官能アクリル酸モノマー、多官能アクリル酸モノマー、ウレタンアクリル酸エステル、エポキシアクリル酸エステル、イソボルニルアクリル酸エステル、ポリエステルアクリル酸エステル、アクリレート化アクリル樹脂、シリコーンアクリル酸エステル、ポリエーテルアクリル酸エステル、そしてそれらの混合物の群から選択されている。より好ましくは、前記の少なくとも片方の樹脂が、ウレタンアクリル酸エステル、イソボルニルアクリル酸エステル、シリコーンアクリル酸エステル、そしてそれらの混合物のグループから選択されている。
本発明の摩擦材は、金属クラッチ板、シンクロナイザーリング、ブレーキパッドおよび列車軌道のような支持体に付着せしめてもよい。このように、本発明の更なる側面は、支持体、好ましくは金属の支持体、に付着させた、本発明の摩擦材の一つを含む品目である。例えば、本発明の一実施態様においては、対向するクラッチ板部材の上に配された金属係合面にトルクを伝えるために流体媒質の中で動作するためのクラッチ板部材があり、そしてこのクラッチ板部材には、金属支持板に接着剤で接着される上述の摩擦材と同じ方法で構成される摩擦上張り層が含まれる。一般的には、摩擦材を金属板に接着するために、ニトリルフェノール樹脂のような耐熱性接着剤が用いられるが、これは必要条件ではない。
本発明の更なる実施態様のトルク伝達装置には、対向する第二プレート部材の上に配された係合面にトルクを伝えるために流体媒質の中で動作するための第一プレート部材が含まれており、そして同第一プレート部材は、支持板に接着された摩擦上張り材を有している。同摩擦上張り材には、表面と裏面を有する裏材及び裏材の表面に付着するパターンつき摩擦塗膜の輪郭を定める、複数の正確に形成された摩擦複合材が含まれている。更に、これらの正確に形成された摩擦複合材には、バインダー内に分散する複数の摩擦粒子及び摩擦上張り材の界面にて第一プレート部材と係合することができる回転部材が含まれている。この装置は幾つかのトルク伝達用途において有用であり、それらの用途において、第一プレート部材と対向する第二プレート部材がクラッチを構成する、あるいは第一プレート部材と対向する第二プレート部材がブレーキ機構を構成する、あるいは第一プレート部材と対向する第二プレート部材が自動変速機用トルクコンバーターを構成する。
本発明の更なる実施態様においては、上述のようなトルク伝達装置を含む、自動車の速度を変える方法に、自動車の速度を変えるためにプレート部材と回転部材間でトルクを伝達するためにプレート部材と回転部材間で摩擦係数を高められるよう、摩擦上張り材界面にて流体中の第一プレート部材を回転部材に係合させる手段が含まれている。
本発明の摩擦材は、様々な方法で用いられるであろう。本発明の摩擦材を用いる一つの方法には、摩擦材を第一部材に取り付け、流体の中で第二部材の存在の下で第一部材を回転させ、そうすることによって第二部材を回転させることが含まれる。本発明の摩擦材の更なる利用方法は、自動車を減速あるいは停止させることであり、この方法には、摩擦材を車両の静止部材に当て、同摩擦材に接触するように車両の第二部材を回転させ、そうすることによって静止部材と第二部材間の摩擦係数を高めて、車両の減速を助けることが含まれる。本発明の摩擦材の更なる利用方法は、軌道を縦走する車両の減速を助けることであり、この方法には、摩擦材を車両および/または軌道の一部に当て、軌道に当てられた摩擦材に接触するように車両の一部材を回転させ、そうすることによって軌道と回転部材間の摩擦係数を高めて車両の減速を助けることが含まれる。
本発明の更なる利点は、以下に続く図面と記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1と図2は、本発明に従って製造された摩擦材の拡大側面図である。
図3は、図1の摩擦材の平面図である。
図4と図5は、図1と図2の摩擦材の製造法を示す概略図である。
図6は、金属製の支持体に接合された図1の摩擦材の一実施態様の拡大側面図である。
図7は、金属製の支持体に接合された図1の摩擦材のもう一つの実施態様の拡大側面図である。
好適な実施例
本発明は摩擦材およびクラッチ板部材を提供する。本発明の摩擦材が自動変速機のトルクコンバータクラッチ(即ち湿式クラッチ)やスリッピングクラッチに用いられると、同摩擦材はその摩擦面と接触面の間の界面に自動変速機流体を保持することができる。それから、ギアシフト中に、変速機流体が界面に保持されるので、シフトがより容易に、より効率的に起こる。本発明の摩擦材は、手動変速機のシンクロナイザーリングにおいても使用できる。このシンクロナイザーリング環境において、パターン化された面はシンクロナイザーリング上に典型的に存在する油膜を貫通することができる。
本発明の摩擦材は好ましくは、約150〜180 N-mの範囲の中点動的トルク、30 N-m未満のデルタ・トルク、150 N-m超の最大トルク、そして約0.4〜0.6秒の係合時間を示す。これらはすべて標準摩擦材試験によって測定されるものである(実施例の節を参照)。
図1において、摩擦材1には、表面12と裏面13を有する裏材11が含まれている。裏材には選択的に、例えば以下で論考されているアラミド高分子ステープルファイバーのような複数の補強繊維3が含まれていてもよい。裏材11の表面12に摩擦塗膜14が接着されている。摩擦塗膜14とは、本明細書の中で定義されているように、摩擦粒子を含有する被覆可能なバインダー前駆体のスラリーの、裏材に浸透しないで硬化後に裏材の上面即ち表面の上に残る部分である。摩擦塗膜14は内側面17および複数の精密形状の摩擦複合材20によって輪郭を定められた、パターン化された摩擦面18を有している。同複合材20は、図1においてはピラミッド形をしている。本明細書の中で述べられているように、摩擦複合材20にはバインダー5と複数の摩擦粒子4が含まれている。バインダー5は、複合材を表面12に付着させる手段として作用している。摩擦複合材20は、同複合材の下と間に広がっている摩擦複合材の連続的なランド層19によって表面12に接着されている。裏材11は、それが露出しないよう、摩擦複合材20とランド19によって連続的にカバーされ得る。摩擦複合材20およびランド19は、本明細書の中で述べられている生産のための道具と技術を用いて、裏材11の上にスラリーが置かれた時、同スラリーから同時に生成される。複合材20の高さHは、表面12から測定される。ランド19は概して、複合材の垂直高さHの50%以下の、好ましくは約1%から約25%の、表面12(または表面+プライマー層)上垂直厚みを有している。一般的には、ランド19は約10マイクロメータ未満の厚みを有しており、他方、複合材20の厚みは約50マイクロメータから約1020マイクロメータである。また、図1(および図2)に示されているように、バインダー5およびその中に分散している摩擦粒子4の一部は、繊維を含む裏材11,21に、その厚みのある程度まで浸透している。
本明細書の中で用いられている「精密形状の摩擦複合材」と言う表現は、摩擦粒子と硬化性バインダーの流動性混合物を硬化させることによって形成された形状を有している摩擦複合材を意味している。この硬化の間に、同混合物は一裏材の上で支えられ、そして成形型(本明細書の中で述べられている)の表面上の一つの穴を満たす。そのように精密に形成された摩擦複合材は、前記穴の形状と同じ形状を有するであろう。複数のその様な複合材によって、裏材の表面から外向きに突出する三次元形状及び無作為でないパターンの、即ち成形型のパターンと逆のパターンのランド部分が提供される。各複合材は、一つの境界によってその輪郭が定められており、そして同境界の基礎部分は概して、精密形状の同複合材が付着するところの裏材の表面との界面である。同境界の残りの部分は、同複合材がその中で硬化させられたところの成形型の表面上の穴によって定められている。
図3は、図1の摩擦材の平面図である。成形型の中に設けられている平行V形稜線の3交差セットのパターンがパターンつき摩擦面18を生み出している。同三次元複合構造物は、成形型の稜線によって与えられ、a,b,cとして識別されている交差溝の各セットによって輪郭が定められている。各摩擦複合材20の基礎は、前記3セットのそれぞれの一つの溝によって輪郭が定められている。各3面ピラミッドの基礎の3辺は典型的には、相対的に等しい長さを有している。これは、3セットの溝の間の交差角、即ちα、β、γの選定によって調節できる。一摩擦複合材の基礎の各辺と同複合材の稜線が一つの面を定めており、そして同面は本明細書の中で摩擦複合材の一つの面と呼ばれている。各隆起部の面は好ましくは、相対的に等しい面積を有している。成形型内の4交差溝の補足パターンによる基礎が正方形のピラミッドの形成も本発明の範囲内で意図されている。概して、前記形状の断面積は、裏材から遠ざかるに連れて、減少する。
図2に二番目の摩擦材2が示されている。この摩擦材2は、バインダー5の中に分散している摩擦粒子4から成るピラミッド形摩擦複合材20’が載頭形(頭部が平ら)であることを除いて、図1の摩擦材にあらゆる点で類似している。これによって、概して裏材21と平行な面26がつくられている。複合材20’は、ランド部分19を介して裏材21の表面22に接合されている基礎27を有している。切頭角錐は、本明細書の中で述べられている成形型の穴の基礎における補足的な平底によって直接的に形成することができる。あるいは、峰付きのピラミッドを形成し、それから峰を削り取る、あるいはその他の類似の機械的あるいは研磨の工程によって形成できる。
図6においては、図1の摩擦材1が金属支持体などの支持体16に直接接合されている。層15が裏材11を支持体16に接合している。好ましくは、層15はニトリルフェノール樹脂のような耐熱性接着剤である。代わるものとして、図7に示されているように、結合層15’を含めることによって、裏材11が支持体16に接合される。結合層15’を含む摩擦材は、好ましくは約107ダイン/cm2以下の、より好ましくは約106〜107ダイン/cm2の、そして最も好ましくは約3.5 x 106ダイン/cm2の弾性率を有する。好ましくは、結合層15’が弾性のある高分子物質で形成され、そして更に耐熱性及び変速機の流体のような石油化学製品に対する耐性を有する。例えば、結合層15’はフッ素重合体、好ましくはフルオロエラストマを含む合成物から形成される。何等かの特定の理論によって縛られている訳ではないが、他方では、約107ダイン/cm2以下の弾性率を有する摩擦材か、または結合層を含む摩擦材の組合せが摩擦材の柔軟性や弾性やコンプライアンスを高めるであろうと考えられている。この高められたコンプライアンスが対向する支持体に対する摩擦材の順応性を高め、それによって摩擦係数が高められるであろうとも考えられている。
摩擦塗膜
図1と図2に示されているように、各摩擦複合材20(20’)の先端は、基礎において裏材11(21)と接続されている一方で、裏材11(21)に対して一定の間隔を置いた、接続されていない遠位の端部を有している。これらの形状の外側部分におけるこの分離が互いに隣接する複合材間の谷または窪みに至っている。図1では複合材がそれらの基礎において境を接しているが、ランドが複合材間に現れるよう、複合材間に間隔を設けることも可能である。また、図1と図2において個々の摩擦複合材を形成している境界を不規則、不明確にすることも可能である。明確な、識別できる境界は、摩擦材の断面を光学あるいは走査電子顕微鏡のような顕微鏡の下で観察する時、容易に目で見ることができ、明瞭である。これらの明確な、識別できる境界が正確な形状の輪郭を形成している。これらの境界によって摩擦複合材がある程度、互いに隔離・区別されている。
いくつかの例においては、前記形状を形成している境界は平面である。平面を有する形状については、少なくとも3面(同形状の基礎面と、もしあれば、上面を含まず)が存在する。任意の形状の平面の数は、望ましい形状次第であり、例えば3から20以上に及ぶ。概して、3面から10面が、好ましくは3面から6面が設けられる。これらの平面が相交わって、望ましい形状を形成する。これらの平面が交差する角度が同形状の寸法を決める。
摩擦複合材は如何なる形状をも取り得るが、好ましくは矩形、円錐、切頭角錐、半円、円、三角、正方形、六角形、ピラミッド、八角形、ガムドロップ、円錐形、そしてその他同様な形状のような、断面あるいは三次元における幾何学形状である。好ましい形状は、基礎が三角形あるいは四辺形のピラミッドである。すべての摩擦複合材の断面積が、裏材から遠位端――それが尖っていようが、平坦であろうが、丸められていようがにかかわらず――に向かう方向に進むにつれて、減少することも好ましい。この変化する断面積が成形型からの硬化複合材の解放特性を向上させる。使用するにつれて、可変断面の面積が増加し、それによって単位面積当たりの負荷及び伴われる磨耗が減少する。概して、1平方センチメーター当たり5個以上の摩擦複合材が設けられ、そして図1や図2のような実施態様においては1平方センチメーター当たり500個以上の摩擦複合材が設けられる。概して、1平方センチメーター当たり約120〜1150個の範囲の摩擦複合材が適している。しかしながら、状況次第では、それ以上あるいはそれ以下が最適である場合もある。摩擦材の適用に関しては、摩擦複合材の高さH(例えば、図1を参照)が概して、約88〜534マイクロメーターの範囲にある。
本発明のもう一つの実施態様においては、摩擦複合材の一部が異なる大きさの隣接摩擦複合材を有する。本発明のこの態様においては、摩擦複合材の少なくとも約10%が、好ましくは少なくとも約30%が、より好ましくは少なくとも約50%が、そして最も好ましくは少なくとも約60%が異なる大きさの隣接摩擦複合材を有している。これらの大きさの違いは、摩擦複合材の形、平面状の境界の間の角度あるいは摩擦複合材の大きさとの関連によるものである。この種の成形工具の製造方法については国際特許WO 95/07797(Hoopman他)に記載されている。
摩擦塗膜のバインダー
摩擦塗膜は、その所期の用途に合わせて本発明の摩擦材の所望特性を提供するように調合される。一般に摩擦塗膜は、種々の温度および圧力において種々の用途に適した摩擦係数および一定摩擦レベルを呈し、比較的長く存続する。また、摩擦塗膜は一般に、該摩擦塗膜と接触する係合面および液体と融和性がある。自動車のトランスミッションおよびブレーキに使用する場合、摩擦塗膜は、係合時の粘着および/または滑り(例えば、震え)が最小で作動中は比較的に静かであるように調合されることが好ましい。
本発明の摩擦塗膜は、バインダーと、バインダー中に分散される複数の摩擦粒子とを含む。摩擦塗膜は、間に接着剤を使うことも可能であるが、バインダーによって裏材の前側に接着されることが好ましい。バインダーは、優れた機能を発揮する長期にわたって損なわれない摩擦材を提供するための必要特性を供する任意の材料にできる。また、バインダーは、摩擦材が受ける熱および力に耐えることが出来なくてはならない。
摩擦塗膜は、複数の摩擦粒子およびバインダー前駆体を含むバインダー前駆体スラリーから得られる。以下に詳しく説明するように、バインダー前駆体は固化可能な流動可能状態であるとともに、バインダー前駆体スラリーは裏材または製品成形工具に被覆できる。処理時、バインダー前駆体中の樹脂は固化してオリゴマーまたはポリマー材料になる。固化は、硬化(すなわち、重合および/または架橋)、または乾燥(例えば、水分追放)と硬化によって行われる。バインダー前駆体は、有機溶媒を含有する、水性組成物、または100%固形物の(すなわち、実質的に溶媒を含まない)組成物にできる。つまり、バインダーは100%固形物の調合物から形成してもよいし、あるいは、バインダーは溶媒(例えば、ケトン、THF、または水)からコーティングし、続けて乾燥および硬化させてもよい。溶媒を用いる場合、溶媒は前記の他の成分とは反応しないもので、必ずしも完全に除去されることは要求されないが、例えば熱によって除去されるものであってよい。バインダー前駆体は実質的に溶媒を含まない(即ち、約1重量%未満である)100%固形物の調合物であることが好ましい。
バインダー前駆体は、硬化オリゴマー/ポリマー材料を非可逆的に生成できるものであり、しばしば「熱硬化性」前駆体という用語と同義で使用される。「熱硬化性」前駆体という用語は、本明細書では、熱および/またはEビーム、紫外線、可視光線等といったエネルギー源を加えると同時に、または、化学触媒または湿気等が加わったときに、非可逆的に硬化する反応システムのことを指す。「反応性(reactive)」という用語は、バインダー前駆体の成分が、前述のメカニズムのいずれかを利用して重合および架橋の一方またはその両方により相互に反応し合う(または、自己反応する)ことを意味する。これらの成分は、しばしば樹脂と呼ばれる。本明細書で使用する「樹脂」という用語は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組合わせを含む多分散系を指す。
このように、バインダーを生成するのに適した材料は、反応成分すなわち多様なメカニズムによって架橋および/または重合できる材料を含むバインダー前駆体である。そのような例として、アルキル化尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、およびアルキル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂;アクリル酸などの(アクリル酸とメタクリル酸を含む)アクリル樹脂;ウレタンアルキド樹脂などのアルキド樹脂;ポリエスチル樹脂;アミノプラスト樹脂;ウレタン樹脂;レゾールならびにノボラック樹脂などのフェノールホルムアルデヒド樹脂(すなわち、フェノール樹脂);ビスフェノールAエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;イソシアネート;イソシアヌレート;シリコーン樹脂;カシューナッツシェル樹脂;およびポリイミド樹脂等があるが、これらに限定されるわけではない。そのような反応性バインダー前駆体成分は、例えば、熱エネルギー、放射線エネルギー等を利用して多様なメカニズムによって(例えば、縮合または付加重合)によって硬化できる。
特に好適なのは、放射線の形態のエネルギーを短時間作用させて硬化しうる(例えば、5分未満の適用、好ましくは5秒未満に適用ですむ)バインダー前駆体である。電子ビーム(Eビーム)の放射線は、濃く着色された塗膜に侵入できる能力、その速度ならびに適用エネルギーの有効利用、およびそのコントロールの容易さにより、特に好ましい。他の有用な放射線エネルギーの形態として、紫外線/可視光線、核放射線、赤外線、およびマイクロウェーブ放射線などがある。また、バインダー前駆体は、重合および/または架橋プロセスの開始および/または加速を助ける触媒、重合開始剤、または硬化剤を特定の硬化メカニズムに応じて含むこともできる。
他タイプの特に好ましい重合開始剤系は、熱重合開始剤、すなわち重合をイニシエートするのに熱を必要とするものである。濃く着色された塗膜に侵入できる能力、その速度ならびに適用エネルギーの有効利用、およびそのコントロールの容易さにより、熱重合開始剤も好適である。熱重合開始剤は、単独で利用することも可能であるし、熱重合開始剤に適合している発熱系で使用可能な紫外線光重合開始剤など、別の重合開始剤と組み合わせて使用することも可能である。この種の系では、紫外線を利用して反応を開始させ、その後に熱重合開始剤を作用させるのに必要な熱を与える。系に熱重合開始剤を加えることにより、材料のポストキュアーを行う必要が無くなることもある。市販されている熱重合開始剤として、いずれもDuPont,Wilmington,DEのVAZO 52およびVAZO 64 FREE RADICAL SOURCES、Akzo Nobel,Chicago ILのTRIGONOX 21-C50(第三ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート)などがある。勿論、当該用途のために選択される重合開始剤は、系の化学的性質ならびに反応に利用できる熱量によって異なる。
触媒を加えたことによる熱エネルギーおよび/または時間によって硬化することができる反応性バインダー前駆体成分は、例えば、レゾールならびにノボラック樹脂などのフェノール樹脂;ビスフェノールAエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;アルキル化尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、およびアルキル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノ樹脂などである。これらなどの反応成分を含むバインダー前駆体は、樹脂系に応じて、遊離基熱重合開始剤、酸性触媒等を含むことができる。遊離基熱重合開始剤の例として、ベンゾイルペルオキシド、アゾ化合物、ベンゾフェノン誘導体、およびキノンなどの過酸化物がある。そのような反応性シールコートの前駆体成分は、室温で硬化可能な系も知られているが、硬化するためには一般に室温(すなわち、25〜35℃)を上回る温度が必要である。
レゾールフェノール樹脂におけるホルムアルデヒド対フェノールの重量に基づく分子比は、約1:1以上であり、一般的には約1.5:1.0〜約3.0:1.0である。ノボラック樹脂におけるホルムアルデヒド対フェノールの重量に基づく分子比は、約1:1未満である。市販されているフェノール樹脂の例として、Occidental Chemical Corp,Dallas,TXのDUREZならびにVARCUM、Monsanto,St.Louis,MOのRESINOX、およびAshland Chemical Co.,Columbus,OHのAEROFENEならびにAEROTAPといった名称で知られるものが含まれる。
エポキシ樹脂はオキシランを有し、開環によって重合される。これらは骨格鎖と置換基の性質が大きく異なる可能性がある。例えば、骨格鎖はエポキシ樹脂と標準的に関連がある任意タイプのものであってよく、置換基は室温でオキシラン環と反応する活性水素原子を含まない任意の置換基であってよい。許容される置換基の代表例として、ハロゲン、エステル基、エーテル基、スルホン酸塩基、シロキサン基、ニトロ基、およびりん酸基などがある。最も一般的に利用されるエポキシ樹脂の1つは、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)を生じるジフェニロールプロパン(すなわち、ビスフェノールA)とエピクロロヒドリンの反応生成物である。そのような材料は、Shell Chemical Co.からはEPON(例えば、EPON 828、1004、および1001F)という商標名で、Dow Chemical Co.,Midland,MLからはDER(例えば、DEN 331、332、および334)という商標名で市販されている。その他の適切なエポキシ樹脂として、Dow Chemical Co.からDEN(例えば、DEN 431、および428)という商標名で市販されているフェノールホルムアルデヒドノボラックのグリシジルエーテルなどがある。
アミノ樹脂は、ホルムアルデヒドとアミンの反応生成物である。アミンは一般的には尿素またはメラミンである。アルキル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂も有名であるが、最も一般的なアミノ樹脂は、アルキル化尿素−ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は一般に、屋外における耐久性および耐薬品性が要求される場合に利用される。しかしながら、一般的には、アミノ樹脂は脆くなりやすいために、それ自体では利用されない。従って、アミノ樹脂は別の樹脂系と組み合わせることが多い。例えば、アミノ樹脂をアルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂など、アミノ樹脂と反応する機能基を含む樹脂と組み合わせることにより、両方の樹脂系の優れた特性の利益を享受できる。
一好適実施態様において、バインダー前駆体は、少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する少なくとも1種類の樹脂を含む。少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する最適な樹脂は、単官能アクリレートモノマー、多官能アクリレートモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリレート化アクリル樹脂、シリコーンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、およびそれらの混合物から成る群から選択することが好ましく、少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する少なくとも1種類の樹脂は、ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、シリコーンアクリレート、およびそれらの混合物から成る群から選択することが更に好ましい。特定の理論に束縛されることを望まないが、少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する少なくとも1種類の樹脂を含むことにより、摩擦材の可撓性、弾性、および/またはコンブライアンスが増すと考えられる。また、摩擦材料の弾性の増加により、摩擦材のなじみ性が増し、それにより同様に、対向支持面に対する摩擦材の接触表面積も増大すると考えられる。更に、この減少は、結果的に摩擦係数の明らかな増加を生じると考えられる。しかしながら、摩擦材の可撓性、弾性、および/またはコンプライアンスの増加だけが唯一の特性というわけではない。特にトランスミッションクラッチやブレーキライナといった用途に摩擦材を使用する場合、摩擦係数の増加に匹敵するであろう別の特性は、例えば、摩擦材の(例えば、トランスミッション液などの石油化学薬品に耐える)耐薬品性および摩擦材の耐久性である。少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する少なくとも1種類の樹脂を含むバインダー前駆体を含有する摩擦材の弾性率は、好ましくは約107ダイン/cm2以下、更に好ましくは約106ダイン/cm2〜約107ダイン/cm2、最も好ましくは約4.5×106ダイン/cm2である。
本明細書で使用する「アクリル酸」および「アクリル酸官能性」という用語は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであれ、アクリル酸とメタクリル酸の両方を含む。アクリル化ウレタンはヒドロキシ末端イソシアネート延長ポリエステルまたはポリエーテルのジアクリレートエステルであり、脂肪族または芳香族でありうる。市販ウレタンアクリレートの例としては、Henkel Corp.,Hoboken,NJの商標名PHOTOMER(例えば、PHOTOMER 6010)、いずれもUCB Chemical,Smyrna,GAから入手できるEBERCRYL 220(分子量1000のヘキサ官能性芳香族ウレタンアクリレート)、EBERCRYL 284(1,6−ヘキサンジオールジアクリレートで希釈された分子量1200の脂肪族ヘキサ官能性芳香族ジウレタンアクリレート)、EBERCRYL 4827(分子量1600の芳香族ジウレタンアクリレート)、EBERCRYL 4830(テトラエチレングリコールジアクリレートに希釈された分子量1200の芳香族ジウレタンアクリレート)、EBERCRYL 6602(トリメチロールプロパンエポキシトリアクリレートで希釈された分子量1300のトリ官能性芳香族ウレタンアクリレート)、およびEBERCRYL 8402(分子量1000の脂肪族ジウレタンアクリレート)、Sartomer Co.,West Chester,PAのSARTOMER(例えば、SARTOMER 9635、9645、9655、963-B80、966-A80等)、Morton International ChicagoのUNITHANE(例えば、UNITHANE 782)といった商標で知られているものを含む。少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する別の有用な樹脂として、Sartomer Co.,West Chester,PAのSARTOMER CN 966-J75(25%のイソボルニルアクリレートとブレンドした2官能性脂肪族ウレタンアクリレートのオリゴマー)、UCB Chemical,Smyrna,GAから入手できるEBERCRYL 350(シリコーンアクリレートエステルのオリゴマー)およびいずれもSartomer Co.,West Chester,PAから市販されSB57A20ならびにSB510G35という商標でそれぞれ入手できる二官能性(SR506)またはトリ官能性(SR454)モノマーの一方とブレンドした芳香族酸メタクリレート半エステル、およびSB520E35ならびにSB520M35という商標でそれぞれ入手できる単官能性(SR334)またはトリ官能性(SR454)モノマーの一方とブレンドした芳香族酸アクリレート半エステルなどがある。
摩擦粒子
本明細書で使用する「摩擦粒子」という用語は、摩擦係数を増加、減少または他に変更するために摩擦塗膜に添加される任意の材料を意味する。摩擦粒子は、(米国特許第5,500,273号明細書(Holmes他)に記載の)バインダーまたはミルドファイバーで結合される独立粒子から成る、規則的なまたは不規則な形状の独立粒子の形態であってよい。前述の不規則な形状の独立粒子の粒径は、約0.1マイクロメータ〜約1000マイクロメータ、好ましくは約1マイクロメータ〜約500マイクロメータ、更に好ましくは約50マイクロメータ〜約250マイクロメータの範囲であってよい。精密な形状を有する予備成形粒子は、使用時、粒径が約2500マイクロメータ以下であり、好ましくは不規則な形状を有する複数の独立粒子を含む。ミルドファイバーの長さは、使用時、約0.1マイクロメータ〜約1000マイクロメータ、好ましくは約50マイクロメータ〜約500マイクロメータの範囲であってよい。ファイバーのアスペクト比は、好ましくは少なくとも1:1、更に好ましくは少なくとも2:1である。
本発明において有用な摩擦粒子の適切な分類の例として、有機材料、金属材料、半金属、および有機材料中の非金属を含む。有用な有機粒子材料の例として、天然および合成グラファイト、コークス等を含む。金属材料の例として、炭素鋼、ネズミ鋳鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタン、黄銅、ニッケル、亜鉛等から成る金属粒子およびファイバーを含む。有用な半金属材料の例として、少量のスチールファイバーと組み合わせた鉄粉末を含む。有用な有機材料中非金属の例として、アルミナ、カルサインアルミナ、方解石、カルサインドカヤナイト、およびシリカなどのセラミック材料を含む。有用な規則形状粒子は、例えば、いずれもMinnesota Mining and Manufacturing Co.,St.Paul,MN(”3M”)が市販するセラミック粒子で商標名「MACROLITE」および「ZEEOSPHERES」として知られている粒子である。特定の摩擦粒子を選択する際に、摩擦塗膜が「研磨」され過ぎて係合面が摩耗または時期尚早に摩滅することがないように注意を払わなくてはならない。
好適な摩擦粒子の1つは、略不規則形状を有する冶金用コークスまたは石油コークスなどの顆粒状炭素である。このような炭素粒子は、Asbury Graphite Mills,Inc.,Asbury,NJから市販されており、好適なのはAsbury Graphite Mills,Inc.の商標「4249」および「4349」のものである。これらのカーボン粒子の粒子径分布は各例において示されている。摩擦粒子は、基本的に平均粒径約20マイクロメータ〜約50マイクロメータの範囲のカーボン粒子より成ることが好ましい。コークスは主としてカーボンブラックまたはグラファイトを含んでもよいが、そのようなカーボン粒子は主として元素状炭素より成る。「コークス」は非晶形形態の炭素であり、空気の不存在下で石炭または石油残渣から製造される。
前述のように、冶金用コークスおよび石油コークスを含む適切なコークスタイプがいくつか存在する。石炭分解コークスは一般に約6%〜約16%の灰分を含む。一方、石油コークスの粒子は、一般に、ニッケルおよびバナジウムといった硫黄重金属など炭素以外の有機材料中を重量で約5%未満含む。
「カーボンブラック」は炭化水素の熱または酸化的分解により生成される別の非晶形形態の炭素である。グラファイトは、グラファイトは天然に存在する、または、グラファイトは電気抵抗炉において石油コークスを約2,400℃に加熱することにより合成可能である。また、米国特許第3,738,901号明細書(マスシマ)に開示されているヤシ殻活性炭も使用可能ブラックカーボンの更に別の形態である。
分散されてバインダーで結合された摩擦粒子をそれ自体に含む精密形状の予備成形粒子は、米国特許第5,500,273号明細書(Holmes他)に記載の方法で作製してもよい。特に好適な実施態様として、炭素粒子/バインダーの重量比は、バインダー約1部に対して炭素粒子約1〜5部の範囲であり、好適範囲はバインダー1部に対して約1.3〜2部である。
裏材
裏材の目的の1つは、摩擦塗膜を保持および支持することである。使用する特定裏材の選択は、摩擦材の所望用途によって異なる。一般に、裏材は耐熱性を備えるとともに強くなくてはならない。使用時に生じる力および熱に摩擦材が確実に耐えられる耐熱特性および強度特性が必要とされる。用途によって、例えば本発明の摩擦材を同期装置リングに採用する場合、裏材はブロッカーリング(すなわち、同期装置)に順応できるように可撓性を備えていなければならない。ディスクブレーキ装置のブレーキパッド等といった別の用途の場合、ブレーキパッドは実質的に剛直で不順応でなくてはならないため、裏材は実質的に圧縮不可能(接着後)でなくてはならない。好適実施態様では、摩擦材製造時に不織布裏材の表面に摩擦塗膜を固定するのに必要程度までバインダー前駆体スラリーが裏材に侵入できるように、裏材は多孔性になっている。
裏材の厚さは裏材の横および縦方向にほとんど均一であることが好ましい。厚さは任意の個所において、20%を越えて、好ましくは10%を越える変動があってはならない。裏材の厚さは、約0.05mm〜約10mmの範囲にすることができ、一般的には約0.05mm〜約10mmである。大部分の用途について約0.13mmという厚さが適切である。本発明の裏材の厚さの値は、TAPPI 7411 OM試験方法で測定できる。特定の裏材に対して設定される厚さは、所望の弾性を供するに足るもの、経済的理由によりできるだけ薄いもの、および特定のクラッチ環境要件の必要に応じたものなど、複数の検討項目によって左右される。
裏材は、多孔性の織物または不織布材料、もしくはこれらの1層以上の積層体が可能である。織物裏材は、一般に織編機で作製され、例えば、斜文織(2/1綾)または朱子織(4/1綾)であってもよい。総じて裏材は製紙機械で製造した基材など、不織布裏材が好適である。
本発明の裏材ウェブを性格付ける「多孔性」は、裏材表面に塗布されるバインダー前駆体が、25℃で裏材ウェブに含浸可能であって、裏材ウェブの厚さの少なくとも一部を貫通できることを意味する。すなわち、裏材表面に塗布されるバインダー前駆体がウェブに含浸せずに裏材表面だけにとどまるということはない。裏材ウェブの全厚に浸透する(すなわち、貫く)量または被覆(すなわち、摩擦粒子のバインダースラリーを媒介とする)率のバインダー前駆体を使用できる。有効程度まで十分に裏材ウェブの厚さに浸透する量のバインダー前駆体スラリーを塗布し、裏材上に存在する摩擦材のパターン部を固着または保持し、一般的なトランスミッションならびにクラッチプレート用途における被覆摩擦層の接着不良を防止することも本発明の目的として認められる。この機能を実現するための被覆量は経験的に容易に判断できる。
裏材は、繊維材料から構成されること、すなわち繊維材料から製造されることが一般的で好ましい。繊維材料の繊維は、有機繊維(合成または天然のいずれか)、無機繊維、またはそれらを組み合わせたものであってよい。合成繊維の例として、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリウレタン,ポリエステル、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのブロックコポリマー、ポリプロピレン、アセタールポリマー、ナイロン、アラミド、ポリイミドコポリマー、及びそれらの物理的混合物から作製されるものが含まれる。天然有機繊維の例として、綿、羊毛、絹、セルロース、レーヨン、麻、カポック、亜麻、サイザル麻、黄麻、マニラ麻、及びその組み合わせなどがある。適切な無機繊維の例として、金属繊維、アルミナ繊維、約60〜70%のアルミナと約20〜30%のシリカと約1〜20%のボリアを含む「NEXTEL」という商標で3Mから市販されているものなどのセラミック材料から製造されるガラス繊維などがある。これらのファイバーを使って製造される不織布マットは、「NEXTEL 312」および「NEXTEL 440」という商標名で市販されている。炭素繊維ウェブを使用してもよい。
本発明の摩擦材に用いる裏材として特に好適な材料の1つは、均一密度の裏材を供するためにアクリルラテックスで接着されたアラミドポリマーステープルファイバーから構成される不織紙である。好ましい摩擦材裏材を供するために密度が均一で厚さが均一なアラミドステープルファイバー不織紙を得るには、細心の注意を払わなくてはならないことが分かっている。この目的に用いるアラミドステープルファイバーの長さは、好ましくは約0.5〜2 cm、更に好ましくは約1.0〜1.5 cmである。長さが2 cmを上回ると(5 cm以上など)、ファイバーが密な領域を形成しやすくなり、裏材が容認しえない密度となる。繊維の長さが約0.5 cmを下回ると(0.05 cm以下など)、適切な取扱強度の裏材を構成することが容易でなくなる。更に、摩擦塗膜の構造を十分に支持するために、裏材の重さは好ましくは約5g/m2〜約50g/m2(更に好ましくは、約10g/m2〜25g/m2)である。
アラミドステープルファイバーの製造に利用するのに適したアラミドポリマーは、KEVLAR、KEVLAR 29、KEVLAR 49およびNOMEXという商標名でIE Dupon de Nemours Company,Wilmington,DEから市販されている。本明細書で用いられる「アラミドポリマー」という用語は、当該技術分野において芳香族ポリカーボンアミドとして一般に規定されている合成ポリマー樹脂を意味する。このような「アラミドポリマー」は米国特許第3,652,510号明細書(Blamberg)および同第3,699,085号明細書(Johnson)に記載されており、例えば、少なくとも約0.7の固有粘性を有するような高分子量のポリマーであると考えられ、以下の式に示す繰り返し単位により特徴づけられる。
Figure 0004112621
式中、Ar1はp−フェニレンおよび/またはクロロ置換p−フェニレンおよび/または4,4−置換ジフェニルメタン、すなわち、式、
Figure 0004112621
で示される。
上式で定義のポリカーボンアミドの具体例はポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、クロロ−置換ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)およびこれらのコポリマーである。アラミドポリマーの芳香核上の置換基の位置の明示は、アラミドポリマーが調製される芳香族ジアミン、二酸または他の共反応物上の置換基の位置を意味する。
アラミドポリマーまたは芳香族ポリカーボンアミドは、上式に示すように、主にカーボンアミド結合(−CONH−)と芳香環核から形成されるが、このポリマーは20モル%まで、好ましくは5モル%までの異質(non-conforming)コモノマー単位を含みうる。これはポリカーボンアミド鎖中に、連鎖伸長結合がコアキシャル(coaxial)またはパラレル(parllel)であり、反対方向に向いた芳香族カーボンアミド単位のような、例えば、メタ−フェニレン単位、非芳香族基および非アミド基などを提供する。本発明の特有の効果を得るためには、ステープル形態のアラミドファイバーを用いることが重要である。ステープルファイバーの長さは、前述のように約0.5 cm〜2 cmである。
前述のように、アラミドファイバー不織紙は従来の製紙法により製造されるが、それらはInternational Paper of Tuxedo,NYからKEVLAR Mat Series「8000050」、「8000051」、「8000052」、「8000054」、「8000065」、および「8000068」という商標名で市販されている。これらの紙は、ファイバーを一体状のウェブに統合するために、約8重量パーセント〜約18重量パーセントのアクリルラテックスを含んでいる。重量のバランスはアラミドファイバーによって取られる。
裏材は、1)裏材の裏側(すなわち、被覆されていない側)をシーリングし、2)裏材の物理的特性の一部を改変し、および/または3)加工を助ける処理剤を含んでもよい。改変する物理的特性は、強度、剛性、内部接着強度、耐熱性、接着増進性、および均一性等であってよい。そのような処理剤の例として、アクリルラチス、スチレンブタジエンゴム、加硫ゴム、ナイロンポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、イソシアネート樹脂、およびそれらを組み合わせたものなどがある。好適な処理剤はアクリルラテックスである。裏材の、摩擦塗膜を表面に有しない方の面(図1の裏面13)は、接着剤による摩擦材支持体への接着度を増大するために、ワイヤブラシを利用した手作業を含む種々手段のいずれかによって機械的に粗くしてもよい。含浸スラリーがウェブの一体性を強化するとともに、後から行われるこの裏面ラフニングに耐えることを助けられるように、このラフニング処理は摩擦材製造完了後に行わなければならない。
図1の摩擦材を接着剤層15で金属支持体16に接着したものを、図6に示す。金属支持体16に接着した精密形状の摩擦複合材20から成る結合体は一般に係合面61と向かい合わせに配置され、クラッチ、トランスミッションバンド、ブレーキ装置などの動力伝達機構60を構成する。係合面は本発明による摩擦材でもよいと理解されるが、一般には金属である。接着剤層15は、任意の繊維強化材を含む単一または複数の接着剤層であってよい。接着剤層が単一層である場合、有用な接着剤として、Raybestos Inc.,Crawfordsville,INから市販されている商標名「MACTAK」で知られるものなどのニトリルフェノール接着剤などがある。別の有用な接着剤として、商標名「AF15」で3M,St.Paul,MNから市販されているニトリルフェノール樹脂フィルムもある。多層接着剤層(15)の好適例は、3Mから市販されている3M「EC-2174」を利用して製造されるニトリルフェノールフィルムなどの2つの別個のニトリルフェノールフィルムによってフェノール飽和アラミド繊維紙層を挟持した、交互構造体である。そのような複合構造接着剤層(15)中のアラミドファイバー紙が選択され、米国特許第5,083,650号明細書(Seitz他)の実施例1に記載の説明、被覆調合物、および方法によってフェノール樹脂と炭素との混合物が含浸される。但し、第1ならびに第2の樹脂塗膜は、米国特許第5,083,650号明細書の実施例1とは異なり、第1ならびに第2の塗膜塗布の間で含浸紙外面に顆粒状炭素粒子を積層されることなく順次にアラミド紙に塗布される。コークスを充填したフェノール含浸紙を用いることにより、スチールプレートに接着した層を圧縮できるので、使用時に摩擦有効面が平行で係合摩擦要素と完全接触でき、更に、必要に応じて接着摩擦面の厚さを紙で出してクラッチのクリヤランス要件に適合させるのを助けることができる。前述の接着剤層(15)に使用される任意のフェノール含浸紙に代わり、十分な強度および耐熱性を有する他の種々な圧縮可能材料も使用可能であると考えられる。
裏材は、裏材の化学的および物理的特性を変える添加剤を含んでもよい。添加剤の量は、被覆される摩擦裏材の所望特性に対応するように選択される。そのような添加剤の例として、強靭化剤、形状安定剤、充填剤、染料、顔料、湿潤剤、界面活性剤、カップリング剤、帯電防止剤、オイル、難燃化剤、紫外線安定剤、内部潤滑剤、酸化防止剤、および加工助剤などがある。
添加剤
摩擦塗膜は、更に、例えば,非摩擦充填剤ならびに繊維、顔料、染料、および帯電防止剤など、任意の添加剤を含むことができる。被覆可能なバインダー前駆体スラリーは、潤滑剤、湿潤剤、チキソトロピー材料、界面活性剤、カップリング剤、帯電防止剤、可塑剤、および沈殿防止剤を含んでもよい。これら添加剤の中には、結果的に得られる摩擦材の摩擦特性を変えるものもある。
有用な充填剤は、約0.1マイクロメータ〜約100マイクロメータ、好ましくは約1マイクロメータ〜約50マイクロメータの範囲の粒径を有する粒子の形態であることが好ましい。有用な非機能充填剤の例としては、硬化したカシューナッツ樹脂、硬化したフェノール粒子、ゴム粒子(ニトリルゴム粒子など)、金属カーボネート(炭酸カルシウム、白亜、方解石、泥灰土、トラバーチン、大理石、および石灰石など)、カルシウム炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムなど)、シリカ(石英ガラスビーズ、ガラス気泡、ガラス繊維、微粉など)、ケイ酸塩(タルク、クレー(モンモリロナイト)など)、長石、雲母、カルシウムケイ酸塩、カルシウムメタケイ酸塩、アルミノけい酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、アルミニウム硫酸ナトリウム、硫化アルミニウムなど)、石膏、バーミキュライト、木粉、酸化アルミニウム三水和物、金属酸化物(酸化カルシウム(石灰)酸化アルミニウム、二酸化チタンなど)、および金属亜硫酸塩(亜硫酸カルシウムなど)が含まれる。
カップリング剤は、バインダー中の硬化樹脂と充填剤粒子および/または摩擦粒子との間を結合架橋することができる。カップリング剤は、被覆を容易にするとともに製品成形工具からの摩擦材の剥離を向上するレオロジーを供するようである。有用なカップリング剤の例として、シラン、チタン酸塩、およびジルコアルミネートなどがある。特に適切なカップリング剤の例は、Union Carbideから商標名「A-174」で市販されているシランカップリング剤である。バインダー前駆体スラリーは、重量で約0.01%〜約3%のカップリング剤を含むことが好ましい。
有用な沈殿防止剤の例は、DeGussa Corp.,Rochelle Park,NJから商品名「OX-50」で市販されている、表面積150平方メートル/グラム未満の非晶形シリカ粒子である。摩擦塗膜中の充填剤として非晶形シリカ粒子を使用することは、摩擦のコントロールの向上に寄与するので好ましい。一般に非晶形シリカは、摩擦塗膜スラリーの総重量100部あたり、重量で約20部以下の量で含まれる。
本発明の摩擦材を製造する方法
図1と図2の本発明の摩擦材を製造する方法の1つは、成形によるもので、いわゆる一括工程である。本明細書に記載されているように、バインダー前駆体スラリーを裏材に被覆する。次に裏材を、所望の摩擦表面パターンの反転形状を有する型に入れる。型を閉じ、バインダー前駆体のスラリーの樹脂が硬化すなわち硬くなるのに十分な条件にバインダー前駆体のスラリーを供する。この方法は、本発明の摩擦材を製造する方法の1つであるが非常に面倒である。
更に経済的な方法は、連続工程において製品成形工具を使用することである。図1と図2に記載の本発明の摩擦材を製造するこれら好適方法の最初の段階は、所望の樹脂と所望の摩擦粒子と所望の任意添加剤とを(数多くある適切な混合法のうちのいずれかによって)一緒に組み合わせてバインダー前駆体スラリーを作製することである。混合法の例として、低せん断混合および高せん断混合などがあり、高せん断混合の方が好ましい。スラリーの粘度を減らすために、混合段階と組み合わせて超音波エネルギーならびに熱エネルギー(約30℃〜約70℃に加熱する)が利用される。一般に、摩擦粒子は徐々にバインダー前駆体に添加される。バインダー前駆体スラリーの気泡量は、混合段階でバインダー前駆体のスラリーに陰圧をかけることによって最小限にできる。バインダー前駆体スラリーは、該スラリーを裏材または製品成形工具の上に塗布または被覆できるとともに摩擦粒子がバインダー前駆体のスラリーに沈殿しないレオロジーを有することが重要である。
本発明の一実施態様において、スラリーは裏材の少なくとも前面に被覆される。この被覆は、ロールコーティング、クラビアコーティング、ナイフコーティング、スプレイコーティング、転写コーティング、真空ダイコーティング、ダイコーティング等といった従来技術によって実施できる。スラリーが裏材に塗布された後、本明細書に記載の製品成形工具などの手段を利用してスラリーにパターンを与える。本明細書に説明されているように、裏材の後側にプラスチックフィルムを仮付着してもよく、また、スキージーロール等の手段を使ってスラリーの少なくとも一部を裏材に押し込んでもよい。あるいは、最初に成形工具のキャビティにスラリーを被覆し、スラリー硬化時に成形工具の被覆面を裏材前面に押し付けることも可能である。
エネルギー源
裏材にバインダー前駆体のスラリーを被覆した後、バインダー前駆体スラリーの樹脂の重合をイニシエートするために、該裏材をエネルギー源に露呈する。適切にして好適なエネルギー源の例として、熱エネルギーおよび放射線エネルギーなどがある。エネルギーの量は、樹脂の化学的性質、被覆後のスラリーの寸法、摩擦粒子の量と種類、および任意の添加剤の量と種類など、複数の要因によって変化する。熱エネルギーの場合、温度は約30℃〜約150℃であり、一般的には約40℃〜約120℃である。放置時間は約5分から24時間以上までの範囲にすることができ、低温であるほど長時間が適している。
本発明で利用するのに適した放射線エネルギー源は、電子ビーム、紫外線、または可視光線などである。電離放射線としても知られる電子ビーム放射線は、エネルギーレベル約0.1 Mrad〜約10 Mrad、好ましくはエネルギーレベル約1 Mrad〜約10 Mrad、および加速電圧レベル約75 KeV〜約5 meV、好ましくは加速電圧レベル約250 KeV〜約300 KeVにて利用できる。紫外線とは、約200ナノメータ〜約400ナノメータの範囲内、好ましくは約250ナノメータ〜約400ナノメータの範囲内の波長を有する、微粒子を含まない放射線のことを言う。300〜600ワット/インチの紫外線を利用することが好ましい。可視光線とは、約400ナノメータ〜約800ナノメータの範囲内、好ましくは約400ナノメータ〜約550ナノメータの範囲内の波長を有する、微粒子を含まない放射線のことを言う。放射線エネルギーを利用する場合、一部の摩擦粒子および/または任意の添加剤が放射線エネルギーを吸収して、バインダー前駆体スラリーの樹脂の重合を阻害することがある。重合阻害が観察された場合は、粒子によるそのような放射線吸収を補償しうる必要限度まで、より高い放射線量のエネルギーを利用できる。また、電離エネルギーの浸透を強化するためにEビーム加速電圧を上げてもよい。あるいは、摩擦粒子により吸収されない他の種類の放射線エネルギーを用いることも可能である。
この重合プロセス終了の後、バインダー前駆体スラリーの樹脂はバインダーに転換され、スラリーは摩擦塗膜となる。結果として得られた摩擦材は一般的にそのまま所望の形に変えることができる。
製品成形工具
図1〜2に示す摩擦材の作製方法の少なくとも一段階において、精密に成形された複数個のキャビティを有する製品成形工具が必要とされる。これらのキャビティは、基本的に摩擦複合材とは逆の形状を成し、摩擦複合材を成形するためのものである。キャビティの寸法は、要求される摩擦複合材の形状及び寸法に応じ選択される。摩擦複合材は、すべて同一の形状を成すものであるか、またはすべて不規則な形状を成すものとされる。キャビティの形状または寸法について適切な加工が施されない場合、その結果生産された製品成形工具は、要求される摩擦複合材の寸法をもたらさないことになる。
図1および2の摩擦材の製造に有用な製品成形工具において、キャビティは、隣接するキャビティとの間に間隔を置いた斑点状のパターンを有しているものであるか、または互いに突出したものとされる。これらのうち、空洞が互いに突出しているものの方が好ましい。さらに、摩擦複合材の表面積が裏材より小さくなるようにキャビティの形状が選択される。
製品成形工具は、ベルト、シート、連続シートまたはウェブ、輪転グラビアロールなどのコーティングロール、コーティングロールに取り付けられたスリーブまたはダイなどで構成され得る。製品成形工具の材質は、(例えばニッケルなどの)金属、合金またはプラスチック製とされ得る。金属製の製品成形工具の場合、彫刻、ホブ切り、電気鋳造、エッチング、ダイヤモンド旋削、ローレット切りその他の一般的な方法で製造され得る。金属製製品成形工具としては、ダイヤモンド旋削で製造されたものが好ましいとされている。
金属製のマスター器具から、熱可塑性プラスチックの器具を複製することができる。マスター器具は、製品成形工具に要求されるパターンと逆のパターンを有することになる。マスター器具は、金属製製品成形工具と同様の方法で製造することができる。マスター器具は、銅などの金属製であることが望ましく、その場合ダイヤモンド旋削がなされ得る。ニッケル製の器具は、ダイヤモンド旋削がなされた銅製マスター器具の複製となり得る。シート状の熱可塑性プラスチックを加熱し、任意に金属製器具を置くと、両者を押したときに金属製のマスター器具のパターンが型押しされる。また、熱可塑性プラスチックは金属製器具で押出し加工または鋳込みによる加工がなされ、その後加圧される。熱可塑性プラスチックが冷却、硬化し、製品成形工具の出来上がりとなる。推奨される熱可塑性プラスチックの製品成形工具の例として、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびこれらの合成物がある。熱可塑性プラスチックの製品成形工具を用いる場合、加熱しすぎると器具が変形することがあるため、細心の注意が必要である。
また、摩擦材または摩擦複合材を製造用器具から容易に取りはずすことができるよう、製品成形工具に剥離剤を加えることもできる。金属用の剥離剤の例として、硬質カーバイド、窒化物、ホウ化物がある。熱可塑性プラスチック用の剥離剤としては、シリコーンやフルオロケミカルなど、重合体に融合し得る物質とされる。
本発明の図1および2における、本発明の摩擦材の製造方法の一つを図4に示す。裏材41は巻き戻し装置42を出発し、同時に製品成形工具46は巻き戻し装置45を出発する。製品成形工具46は、コーティング装置44によりスラリーが塗布される。スラリーの粘度を下げるため、コーティングの前にスラリーを加熱するか、または超音波エネルギーを用いることが可能である。コーティング装置として、ナイフコーター、カーテンコーターまたはダイコーターなどの一般的なコーティング装置が設置される。推奨コーティング方式としては、バキューム・フルイド・ベアリング・ダイがよい。製品成形工具にコーティングがなされた後、あらゆる方法で裏材とスラリーを含んだ器具が接触し、その結果裏材の表面が湿潤する。図4では、スラリーは接触ニップロール47を介し、裏材と接触する。また、接触ニップロール47は、サポート・ドラム43に最終的な構成物を送り出す。この段階において、製品成形工具のキャビティにスラリーを注入し、裏材に不織布が使用されている場合には、スラリーが裏材に浸透していることを確認するため、任意で裏材の裏面に(サポート・ドラム43と裏材41の間に)プラスチック・フィルムまたは剥離紙を重ねる場合もある。スラリーは裏材の表面に湿潤するが、このときスラリーの一部が少なくとも裏材の特定の厚さまで浸透し、一方浸透していない部分は、裏材の表面と製品成形工具のキャビティ面の間に存在するコーティングとして表面に残るようにする。この剥離層は、新たな組織を与える摩擦塗膜のバインダー前駆体を硬化させる前に剥がれ落ちるようにするか、または、硬化後でも、摩擦材を使用する前に剥がれ落ちるようにすることができる。接着剤とクラッチプレートその他の部材との間に良好なボンディング界面を形成するため、任意により裏材の裏面を機械的に毛羽立ちまたは粗面加工がなされる。
次に、バインダー前駆体スラリーの樹脂を少なくとも部分的に硬化させるため、紫外線や電子ビームなどの化学的放射線といったエネルギー48がバインダー前駆体スラリーに放射される。この場合「部分硬化」とは、スラリーが逆さにした試験管からこぼれることのないような状態にまで樹脂が重合することを意味する。樹脂と器具との界面で樹脂を部分的に硬化させることは、器具を取り外す上で重要なことである。部分硬化は、概して熟練技術の一つとして、線量と放射の調整によりなされるものである。
より完全かつ実質的にしっかりと硬化させるためには、バインダー前駆体スラリーの樹脂に幾度も放射エネルギーを通すか、または線量と放射の調整をはかるか、またはその両方を行う。器具および摩擦材は、両面に放射線を当て完全な放射線照射を確認するため、数回通過する間に少なくとも一回は反転させることが望ましい。また、放射線照射の仕上げとして、摩擦材は器具を取り外した後、放射エネルギーによって直接衝撃を与えられ、形成された摩擦面に少なくとももう一回、放射線源を通過させるとよい。
摩擦材に対する効果的な放射線硬化の概要の一つとして、以下のステップを述べる。(1)スラリーを含んだ工具、不織布裏材およびプラスチック・フィルムについて、300 KeVの電子ビーム源を通過させる。このとき工具の裏面が電子ビーム源に最も接近するようにし、線量はおよそ1 Mradとする。(2)スラリーを含んだ工具、裏材、プラスチック・フィルムを反転させ、これらのスタックを再び電子ビーム源に通す。但し今度はプラスチック・フィルムが電子ビーム源に最も接近するようにし、線量はおよそ2 Mradとする。(3)工具を取り外し、裏材の表面に摩擦複合材が成形され、少なくとも部分硬化した層を得る。(4)こうしてできた摩擦材をもう一度電子ビーム源に通す。このとき摩擦複合材が電子ビーム源に最も接近し、電子ビーム源に面するようにし、線量はおよそ6 Mradとする。(5)裏材の裏面からプラスチック・フィルムを取り除き、成形加工された摩擦材を得る。
いずれの場合も、摩擦材から取り外された後、製品成形工具は再度使用することができるよう、マンドレル49に巻き取られる。さらに、放射線硬化の後、摩擦材120はマンドレル121に巻き取られる。バインダー前駆体スラリーの樹脂がまだ完全に硬化しない場合、周囲の熱または熱エネルギーなど、他のエネルギー源にさらし、十分に硬化させることができる。
放射エネルギーは、製品成形工具が相当量を吸収しない限り、製品成形工具を通じ伝達される。さらに、放射エネルギー源は、製品成形工具の機能を大幅に低下させることはない。
摩擦複合材に炭素粒子が含まれている場合、バインダー前駆体スラリーの樹脂は熱エネルギーまたは電子ビームで硬化させるのが望ましく、両者のうちでは電子ビームのほうが好ましい。
また、バインダー前駆体スラリーは製品成形工具のキャビティでなく、裏材に塗布することも可能である。必要に応じ、手作業またはローラーでスラリーをキャビティの中に圧入するためにプラスチック・フィルムが用いられる場合もある。その後、スラリーが製品成形工具のキャビティの中に入っていくよう、スラリーを塗布した裏材と製品成形工具を接触させる。摩擦材の製造に至る残りのステップについては前述の通りである。
他の製造方法を図5に示す。裏材51は巻き戻し装置52を出発し、バインダー前駆体スラリー54は、コーティング装置53により、製品成形工具55のキャビティ内にコーティングされる。バインダー前駆体スラリーは、ロールコーター、ナイフコーター、カーテンコーターまたはダイコーターなどのあらゆる方法により、製品成形工具に塗布される。スラリーの粘度を下げるため、バインダー前駆体スラリーを加熱するか、または超音波エネルギーを用いることが可能である。その後、スラリーを含む裏材および製品成形工具がニップロール56に接触し、スラリーが裏材の表面に湿潤する。このときスラリーの一部は少なくとも裏材の特定の厚さまで浸透するが、一方浸透していない部分は、裏材の表面と製品成形工具のキャビティ面の間に存在するコーティングとして表面に残るようにするのが望ましい。次に、エネルギー源57にさらし、バインダー前駆体スラリーの樹脂を少なくとも部分的に硬化させる。この方法において、放射エネルギーは裏当てを通じて伝達される。少なくともこの部分硬化の後に、スラリーは摩擦塗膜59に転換され、裏材に接着または固着した、正確な複数個の形状を有する摩擦複合材が得られる。前述の図4に関連する記述の通り、この具体例における摩擦材も同様に、層状のスタックを放射エネルギー源の下に複数回通過させるものとし、通過の度に向きを逆にして、それぞれの面に放射エネルギーの衝撃が与えられるようにするのが好ましい。放射線硬化の完了後、出来上がった摩擦材はニップロール58により製品成形工具から取り外され、巻き返し装置60に巻き上げられる。この方法におけるエネルギー源として、熱エネルギーまたは放射エネルギーを用いることができるが、両者のうちでは放射エネルギーの方が望ましい。
後者の方法に代わるものとして、バインダー前駆体スラリーを工具のキャビティでなく、まず裏材の表面部分に塗布することもできる。スラリーを含んだ裏材は、その後製品成形工具に接触し、その結果スラリーは製品成形工具のキャビティ内に湿潤する。摩擦材の製造におけるその後のステップについては前述と同様である。
図4および5に示されるような装置を使用した数々の方法のいずれにおいても、繊維性の裏材を使用する場合には、裏材の繊維の間にバインダー前駆体スラリーを浸透させていくのが望ましい。バインダー前駆体スラリーが裏材を完全に通過し流出し、コンベアロールおよび装置を汚損してしまうことを防ぐため、プラスチック・フィルムを一時的に繊維裏材の裏面に加工することも可能である。その後、このプラスチック・フィルムは裏材から除去される。この除去作業は、空隙を発生させることなく裏面のフィルムが除去できるよう、繊維裏材に含浸した樹脂が部分的に硬化した後に行うことが効果的である。これにより、裏材裏面の組織を保護することができる。フィルムの使用により、繊維裏材の裏面はむしろ滑らかな質感を有するようになり、完成した摩擦材は概して、その後金属のクラッチプレート部材のような支持体に取り付けられるため、摩擦材の裏面は通常、機械的に毛羽立ちまたは粗面加工を行うのが望ましい。この作業は、研究所規模の施設において、手動のワイヤブラシやシリンダブラシ、研摩不織布、研摩布紙その他の器具を使い行うことができる。
実施例
以下の非限定的実施例は、本発明にさらなる説明を加えるものである。本実施例における割合、百分率、比率等のすべては、特に記載のない限り重量によるものである。本実施例の全般にわたり、以下の記号を用いるものとする。
TMPTA トリメチロル・プロパン・トリアクリレート。Sartomer,Exton,PAより商用名“SARTOMER 351”として購入可。
TATHEIC トリス(ヒドロキシル・エチル)イソシアヌル酸エステルのトリアクリレート。Sartomer,Exton,PAより商用名“SARTOMER 368”として購入可。
GUAM グリコルル・アクリルアミド。米国特許第5,055,113号(Larson他)、作製5の教示に従い製造。但し大規模に生産されていない。
AMP アクリルアミドメチレーテド・フェノール。米国特許第4,903,440号(Larson他)、作製4の教示に従い製造。但し大規模に生産されていない。
DAP フタル酸ジアクリレート・エステル。米国特許第08/334817号(Thurber他)の教示に従い製造。
NPGDA ネオペンチル・グリコール・ディアクリレート。Sartomerより商用名“247 MONOMER”として購入可。
PH2 2-ベンジル-2-N、N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン。Ciba Geigy Corp.より商用名“IRGACURE 369”として購入可。
PH3 アルファ−ジメトキシ-アルファ-フェニルアセトフェノン。Ciba Geigy Corp.より商用名“IRGACURE 651”として購入可。
FP1 石油コークス摩擦粒子。200目のふるいにおける最高捕捉率5%。Asbury Mills of New Jerseyより商用名“4249”として購入可。
FP2 石油コークス摩擦粒子。200目のふるいを45%〜60%通過。Asbury Mills of New Jerseyより商用名“4349”として購入可。
NPR ニトリル・フェノール樹脂。3M,St.Paul,MNより商用“AF15”として購入可。
ASF 非結晶シリカ充填剤。DeGussa,Dublin,OHより商用名“OX-50”として購入可。
SCA シラン系カップリング剤、3-メタクリロキシ-プロピルトリメトキシシラン。Union Carbideより商用名“A-174”として購入可。
SFL ケイ砂粉末。U.S.Silica,Berkeley Springs,WVより商用名“Sil-O-Sil”として購入可。
URO 二官能性脂肪族ウレタン・アクリレート・オリゴマー、イソボリニル・アクリレート25%混合。Sartomer,Exton,PAより商用名“CN966175”として購入可。
NRP ニトリルゴム粒子。100目。Midwest Elastomers,Inc.,Wapakoneta,OHより販売。
EBC シリーコン・エステル・アクリレート・オリゴマー。UCB Chemical,Smyrna,GAより商用名“Ebecryl 350”として購入可。
V52 2,2-アゾビス。DuPont,Wilmington,DEより商用名“Vazo 52”として購入可。
FLE フルオロエラストマー・ポリマー。Dyneon,LLC,St.,Paul,MNより商用名“FC-2144”として購入可。
FP3 サーマルブラックカーボン。Huber,AKron,OHより商用名“Huber N990”として購入可。
CAH 水酸化カルシウム
MGO 酸化マグネシウム
CWX カルナウバ蝋
実施例1〜3および比較実施例A
実施例1〜3および比較実施例Aは、精密形状の複数個の摩擦複合材を含む、本発明の摩擦材における一つの具体例を示すものである。
摩擦材1の作製方法
必要とされる前駆体樹脂を混合してバインダー前駆体スラリーを作製し、これに必要とされる摩擦粒子を徐々に加え、均質のスラリーを生成した。出来上がったバインダー前駆体スラリーを製品成形工具に塗布した。製品成形工具はポリプロピレン製で、ニッケルベースの金属製製品成形工具から複製されたものであった。製品成形工具のパターンについて述べると、本書の実施例に記載の製造過程に従って形成された摩擦複合材はそれぞれ、高さ356マイクロメートル、最上部が平らになったピラミッド状で、その露出した4つの切子面が正方形の底面から平坦な最上部まで鋭角にそり立っている。平坦な最上部はそれぞれ幅316マイクロメートルで、切子面の底面と接している部分の幅は442マイクロメートルであった。摩擦複合材は、それぞれ底面において152マイクロメートルの間隔が置かれていた。
バインダー前駆体スラリーを含んだこの製品成形工具を不織布裏材と接触させ、スラリーを製品成形工具の中に注入すべくローラーでプレスした。不織布裏材は、アラミド繊維をベースとしたもので、平均重量13.6 g/m2、平均厚さ132.1マイクロメートルであり、International Paper,Tuxedo,NYの一部門、Veratecより商用名“KEVLAR 29”シートとして販売されており、Veratecにおける分類は“8000054”となっている。次に、コーティングされた摩擦材の中間体および製品成形工具のスタックは、300 KeVの電子ビーム源を異なる放射線量で複数回通過させることにより、放射線硬化がなされた。放射のプロセスについては以下に詳述する。概して摩擦材は、摩擦材および製品成形工具のスタックの両側から連続的にビーム照射され、器具から取り外された。その後、摩擦材はさらにもう一度、同じ電子ビームの下を通過させた。不織布裏材のスラリーの塗膜重量(乾燥および工具除去後のもの)はおよそ540 g/m2であった。
試験方法1
摩擦材は自動車技術者協会(SAE)のクラッチプレート・ヘッド装置用No.2摩擦試験機(Greening Associates,Inc,,Detroit,MIより入手可)にて、General Motors Corporation試験番号第GM-6297M、付表C(1993)に基づき試験が行われた。この摩擦材および変速機流体の標準試験では、100時間に及ぶ連続試験が実施され、時間に対応したトルク(回転力)が記録された。中間トルク(連結開始からロックアップまでの間において時間上の中間を中心とする48時点での平均値)、最大トルク(出力500 rpmからロックアップまでの間に見られた最大のトルク値)、デルタ・トルク(最大トルクから中間トルクを差し引いた数値)および連結時間が測定された。本試験において使用された変速機流体は、General Motors Corporation販売の商用名“DEXTRON III”として知られる製品であった。
実施例1および2の摩擦材は、実施例1および2の摩擦材一般製造手順に従い製造されたもので、バインダー前駆体スラリーはそれぞれ、123.8部のTATHEIC、123.8部のTMPTA、2.5部のPH2、93.6部のFP1、200部のFP2、28.7部のASFおよび2.5部のSCAを混合することにより均質なスラリーに生成されたものであった。得られたバインダー前駆体スラリーは60℃に加熱され、63.5 cm水銀までガス抜きされた。スラリーはブルノーズ・ナイフコータにより製品成形工具に塗布され、プラスチック製の工具上に51マイクロメートルの格差を形成するよう調整された。装置が通過し新たにスラリーが塗布される度に、この51マイクロメートルの格差を形成するへら付け作業が5回繰り返された。このような手順を踏むことは、工具のキャビティに塗布されたスラリーに入り込む気泡を減少させるためである。その後、254マイクロメートルの格差を有する工具のキャビティに入ったスラリーの露出表面に、新たにスラリーが追加された。このスラリー樹脂の追加は、その後スラリーが塗布された工具と接触するときに、裏材がスラリー樹脂に十分にしみ込むことを目的としたものである。
実施例1および2において、図4に示されるしくみの通り、裏材はビーム照射の直前に、ニップロールを介しスラリーを含む工具と接触した。裏材とスラリーを含んだ工具との接触がなされる段階で、薄いプラスチック・フィルムを裏材が工具と面しているのと反対の面に貼付した。このプロセスにより、作業の良好な反復がもたらされ、空隙率がかなり削減された。得られた中間物サンプルは、その後300 KeV、1 Mradの電子ビームを(工具側から)工具を通じ摩擦材のスラリーに照射された。
その後、中間物サンプルを反転し、再度電子ビームの照射を受けた。但し今回はプラスチック・フィルムを最も電子ビーム源に近づけ、ビームの線量はおよそ2 Mradとした。その後、器具およびプラスチック・フィルムを取り除き、基面の表面に成形された少なくとも半ば硬化した摩擦複合材の層を得た。この摩擦複合材はその後さらに電子ビーム源を通過させた。このとき摩擦材の部分を最も電子ビームに近づけ、放射線量はおよそ6 Mradとした。
実施例3における摩擦材は、摩擦材一般作製方法に従い作製された。バインダー前駆体スラリーはそれぞれ、98.5部のGUAM、24.5部のAMP、74.0部のDAP、49.25部のNPGDA、3.75部のPH3、93.6部のFP1、200.0部のFP2、28.7部のASF、2.5部のSCAを混合することにより、均質なスラリーに生成されたものであった。得られたバインダー前駆体スラリーは80℃に加熱され、63.5 cm水銀までガス抜きされた。スラリーはナイフコータにより製品成形工具に塗布され、プラスチック工具上に51マイクロメートルの格差を形成するよう調整された。装置が通過し新たにスラリーが塗布される度に、この51マイクロメートルの格差を形成するへら付け作業が5〜10回繰り返された。このような手順を踏むことは、工具のキャビティに塗布されたスラリーに入り込む気泡を減少させるためである。その後、254マイクロメートルの格差を有する工具のキャビティに入ったスラリーの露出した表面に、新たにスラリーが追加された。このスラリー樹脂の追加は、その後スラリーが塗布された工具と接触するときに、裏材がスラリー樹脂に十分しみ込むことを目的としたものである。
実施例3において、図4に示されるしくみと同様に、裏材はビーム照射の直前に、ニップロールを介しスラリーを含んだ工具と接触した。裏材とスラリーを含んだ工具が接触する間、薄い剥離紙を、裏材が工具と面しているのと反対の面に貼付した。剥離紙の使用により、樹脂スラリーがニップローラーおよび電子ビームの表面にこぼれ出ることが防止され、空隙率がかなり削減された。得られた中間物サンプルは、毎分25フィートの速さで電子ビームを通したウェブに固定され、それぞれ近い方から、剥離紙、スラリー飽和裏材、樹脂スラリー、プラスチック製工具の順に電子ビームが照射された。最初の通過時において、275 KeV、線量5 Mradの電子ビームが照射された。2回目の通過時においても5 Mradのビームが照射されたが、今回はそれぞれ近い方から、プラスチック工具、樹脂スラリー、スラリー飽和裏材、剥離紙の順に電子ビームが照射されるよう、サンプルがウェブ上に設置された。3回目の通過時に剥離紙が取り外され、裏材を通じ線量3 Mradのビームが照射された。その後工具が取り外され、基面の表面に成形された少なくとも半ば硬化した摩擦複合材の層を得た。確実な硬化を得るため、実施例3のサンプルは177℃のオーブンの中で3時間加熱された。
実施例1〜3における各摩擦材が作製された後、これらの一部をそれぞれ鋼板の両面に接着した。この鋼板はNPRを使用した製品で、General Motors Corporationより部品番号8643741として購入可能である。本件の試験用摩擦材を接着する下準備として、鋼板の表面に砂吹き機を使い、先に鋼板上に取り付けられた摩擦材を取り除き、その後鋼板の両面に3M,St.Paul,MNより販売されている3M EC-2174ニトリル・フェノール・リキッド・プライマーを下塗りした。下塗り後の鋼板を25℃にて1時間乾燥させ、その後150℃にてもう1時間部分的に硬化させた。加工された鋼板サンプルは、その後NPRを硬化させるため、6,360 kgの力をかけ、177℃にて1時間加熱した。
摩擦材は、以下のような構成の複合接着層にて、下塗り後の鋼板に接着された。接着層については、2つのニトリル・フェノール・フィルムを張り合わせた構造になっており、つまり、3M,St.Paul,MNより販売されている3M EC-2174により生成されたニトリル・フェノール・フィルムを、介在層として多量の炭素を含むフェノール飽和紙の表面に接合したものであった。米国特許第5,083,650号(Seitz他)における実施例1に記載される説明、塗膜配合および工程に関して、フェノール樹脂と炭素との混合物の選別および飽和にアラミド繊維紙が使用された。但し、米国特許第5,083,650号の実施例1とは異なり、最初と2回目のコーティング作業の間に、飽和した繊維紙の外部表面に炭素粒子を一切沈積させることなく、アラミド紙に連続して第1、第2のコーティング作業が行われた。接着フィルムおよびフェノール飽和接着フィルムの複合品は、実施例1〜3の摩擦材を補う大きさのリング状に切断された。摩擦材/合成接着層/プライマー(下地)/鋼板/プライマー/合成接着層/摩擦材のスタックは、「リネン」用にセットされたアイロンの熱により軽く接合された。その後、スタックは177℃に加熱された水圧プレスで1時間加圧された。
比較実施例Aの摩擦材は、General Motors Corporationより販売される部品番号8643741の製品に接着されている標準摩擦紙として入手可能なフェノール飽和摩擦紙を含むものであった。
実施例1〜3および比較実施例Aにおける摩擦材は、上述の試験手順に従い試験がなされ、その結果を表1で確認することができる。表1に示される試験結果は、1時間および100時間の試験におけるテストポイントで測定されたものである。各種試験終了後の実施例1〜3における鋼板を調べてみると、摩擦材には壊滅的故障はないことが判明し(すなわち鋼板から剥離することなく)、概して摩擦材は小規模の摩耗があっても、その微地形を保持していた。従って、本発明における摩擦材は使用性を為し得る製品であり、従来の摩擦材の代用として有用なものであることが証明された。
Figure 0004112621
実施例4〜10および比較実施例B
実施例4〜10に本発明の他の実施態様を示す。
摩擦材2の一般的作製方法
真空スロット・ダイを使い、スラリーが製品成形工具にコーティングされた。工具が型当たり面の下を通過すると、真空スロットが工具のキャビティを真空状態にし、スラリー・スロットから真空状態のキャビティに前段スラリーが注がれる。ダイは真空スロットとスラリー・スロットの間に8ミルのオフセットが付いた装置になっており、真空スロットの方が工具により近い位置にあり、スラリー・スロットは不織布裏材を湿潤させるのに必要な10ミルのフィルムを供給することができる。真空スロットは工具より2〜3ミル上方に取り付けられた。コートフィルムの厚さはウェブの速度とスラリー・ポンプの速度の組み合わせにより調節された。27水銀柱インチで稼動する真空ポンプにより真空状態が供給された。
このバインダー前駆体スラリーを塗布した製品成形工具を配置し、(摩擦材1の一般作製方法の説明にある通り)不織布裏材および剥離ライナーと接触させた。剥離ライナー、不織布裏材、およびスラリーを含む工具のスタックに関して、2台のローラー間を通過させ、余分なスラリーが不織布裏材に付着するようにした。コーティングされた摩擦材および工具の中間物スタックを硬化させるため、300 KeVの電子ビームを異なる線量の下、複数回照射するか、または紫外線(UV)を複数回照射した。以下に後者の方法を詳述する。概して摩擦材は、剥離ライナーおよび摩擦材のスタックの両側から連続的にビーム照射され、工具から取り外された。その後、摩擦材はさらにもう一度、同じ電子ビームの下を通過し、UVを使用した場合はオーブンの中で加熱された。
試験方法2
摩擦材は自動車技術者協会(SAE)のクラッチプレート・ヘッド装置用No.2摩擦試験機(Greening Associates,Inc.,Detroit,MIより入手可)にて、提案されたSAE低速ステップ・レベル試験方法およびSAE J1646で定義される条件に基づき試験が行われた。この湿性摩擦材の標準試験では、ダイナモメーター内のスチール製のリアクション・ディスク間に検査用の摩擦ディスクを設置したクラッチ・パックが形成された。摩擦ディスクは回転シャフトに取り付けられ、スチールのリアクション・ディスクがトルク・センサーと共に固定、設置された。これらすべてを含むクラッチ・パックが、試験時にトランスミッション・オイルと共に供給された。
ロックアップ・サイクルは、それぞれ摩擦ディスク、付属シャフト、慣性質量について、回転数が3,600 rpmに上がった時点から開始とされた。
ピストンからクラッチ・パックに圧力が加えられ、摩擦ディスクがリアクション・ディスクに接触した。ロックアップ・サイクルの完了は、シャフトが回転を停止したときとした。ロックアップ時間は、摩擦ディスクが回転を停止するために要した時間であり、ピストンが与える圧力が30 kPaの限界値に至ったときから測定された。油温、ロックアップ時間、初期回転数(RPM)は、加圧およびトルク変化の際に定期的に記録された。ロックアップ時の係数を計算するため、必要圧力および測定されたトルク値が用いられた。各エネルギーレベルは、200ロックアップ・サイクルに要するものとした。初期エネルギーレベルは15.13 kJに弓設定され、その後摩擦材に故障が発生するか、または第11回目のエネルギーレベル44.40 kJで終了するまで、ステップごとに2.89 kJずつ増加された。エネルギー量の各段階は、ダイナモメーターの回転シャフトにおける慣性質量の増加によって達成された。本試験において使用された変速機流体はゼネラル・モーターズ社より商用名“DEXTRON III”として知られる製品であった。
注目すべき数値としては、初期の摩擦係数、ロックアップ・サイクルの中間点および最終点、摩擦材に故障が生じたときのエネルギーレベルであった。ダイナモメーターにより0.5秒のロックアップを維持できないような加圧を加えた際に、摩擦材の故障が生じた。
摩擦材の評価を行うにあたり、摩擦係数が高ければ高いほど望ましいものとされるが、最終点での摩擦係数は、中間点での摩擦係数より少ないかまたは同様となるべきである。これにより、検査された摩擦材を含むクラッチにおけるクラッチ・シフティングの特徴である、相対的な滑らかさの指標が得られる。
実施例4〜10のバインダー前駆体スラリーは、表2に示される以下の配合にもとづき準備された。比較実施例Bは、Ford Motor Company,Dearborn,MIより商用名E8DZ-7B164-Aとして販売されている従来的なクラッチリングであった。
Figure 0004112621
実施例4および5
実施例4と5のための摩擦材は、2475.0部のTATHEICと2475.0部のTMPTAと50.0部のPH2と1873.6部のFP1と4000.0部のFP2と574.8部のASFと46.0部のSCAを混合して均質なスラリーとすることにより作製されたバインダー前駆体スラリーを用いて作られた。スラリーは次に60℃まで加熱され、摩擦材2作製の一般手順の記載にしたがい被覆された。得られた塗膜は300 Kevと6 Mradの線量で操作される電子線に(剥離ライナー面を上にして)当てられた。塗膜は成形工具の面を上にして裏返され、300 Kevで2 Mradの線量の放射線に当てられた。セット材料が成形工具からはずされ、後には裏材の表面に形成された摩擦複合材の少なくとも部分的に硬化された層が残った。摩擦材はさらに300 Kevにおいて7 Mradの線量の放射を受け、最終的な硬化が行われた。
Ford Motor Companyより部品番号E8DZ-7B164-Aとして販売されている鋼製ディスクが、摩擦材を接着するために作製された。市販ディスク上の紙は浸せき洗浄により除去された。ディスクは水洗いされ、自然乾燥された。両面は3M,St.Paul,MNから販売されている3M EC-2174ニトリルフェノール性液体下塗り剤によって下塗りされた。下塗りされた板は25℃の温度で一時間乾燥され、その後204℃の温度で一時間にわたり部分的に硬化された。
摩擦材は、次の構造を有する複合接着剤層を介し、下塗りされたディスクに接着された。接着剤層用として、二つの別個のニトリルフェノール樹脂フィルム、すなわちMacTacを用いて作ったニトリルフェノール樹脂フィルムを、介在層としての炭素入りフェノール樹脂飽和アラミド紙の対向面に接着することによる構造が提供された。第一と第二の樹脂塗膜は、米国特許第5,083,650の実施例1とは異なり、第一と第二の塗布の間に飽和紙の表面層に炭素粒子を付着させることなく、連続的にアラミド紙に塗布されるという条件で、アラミド繊維紙は、米国特許第5,083,650(Seitz他)の実施例1に記載される説明、塗料配合および工程にしたがい、選定と、フェノール樹脂および炭素の混合物との飽和により形成される。接着フィルム/フェノール飽和接着フィルム複合材のリングは、実施例4と5の摩擦材の相補型サイズリングのごとく取り除かれた。この摩擦材/複合接着剤層/鋼板/複合接着剤層/摩擦材の積層体は、「リンネル用」にセットされたアイロンにより加熱され、軽く貼り合わされた。積層体は、次に、加熱された油圧機の中で5000ポンドの圧力と204℃の温度において2分間加圧された。
実施例6と7
実施例6と7の摩擦材は比較実施例4と5のそれと同一につくられた。しかしながら、比較実施例4と5において用いられた複合接着剤層はフルオロエラストマ層と置き換えられた。この場合、フルオロエラストマ層は、100部のFLE、30.0部のFP3、6.0部のCAH、3.0部のMGOおよび0.5部のCWXより構成され、ほぼ厚さ18ミル(0.46mm)のシートに配合・圧延されていた。
実施例6と7のための摩擦ディスク層は、まず配合されたフルオロエラストマの層を鋼製ディスクの両面に配し、摩擦面層をフルオロエラストマ層の上に配することにより形成された。積層を形成する前に、無塗装の鋼製ディスクはLord Corp.,Erie,PAより販売されるイソプロピルアルコールとChemlok 5150の混合物により下塗りされた。積層を形成した後、各層は加熱したアイロンで互いに接着された。圧縮前の全径パスが計測され、圧縮ギャップを摩擦材の約7ミルの圧縮に制限するための間隙調整板が選定された。間隙調整板とディスクは成形機の中に置かれ、フルオロエラストマを硬化するために400°Fの温度で加熱され、5000ポンドの圧力で2分間加圧された、余剰フルオロエラストマが内径および外径から除去され、作製が完了した。
実施例8
実施例8のための摩擦材は、紫外線で硬化された異なるバインダー前駆体配合物を用いて作製された。紫外線バインダー前駆体スラリーは、1104.9部のTATHEICと1104.9部のTMPTAと22.2部のPH2と931.5部のFP2と1314.0部のSF1と22.5部のSCAと67.5部のEBCとを混合して均質のスラリーとすることにより作製された。スラリーは、摩擦材2作製のための一般手順に記載された真空スロットダイ工程により塗布された。被覆物は、20 ft/minのウェブ速度で連続して二つの600 W/in.のDバルブの下に通された。暗鉱物が硬化浸透を制限するので、ライトの下に二度通すことが必要であった。第一のパスがポリプロピレン成形工具を通して全体を照射し、部分的に硬化した。第二のパス上では、ライトは裏材を照射し、部分的にそれを硬化した。部分的に硬化された摩擦材は成形工具からはずされ176°Fの温度下で6時間の間オーブンの中に置かれ、硬化が完了した。
クラッチリングは、実施例6と7に記載の方法によりフルオロエラストマを用いて鋼板に接合された。
実施例9
実施例9の摩擦材は、摩擦材2作製のための一般手順に記載の真空スロットダイ工程により被覆され、実施例8に記載の方法により紫外線で硬化された。しかしながら、異なるバインダー前駆体スラリーが用いられた。紫外線バインダー前駆体スラリーは、567.0部のTATHEICと850.5部のTMPTAと765.0部のUROと45.0部のPH2と936.0部のFP2と1314.0部のSFLと22.5部のSCAと21.8部のV52を混合して均質なスラリーとすることにより作製された。URO添加剤は、硬化された生成物に可撓性と柔軟性を加え、フルオロエラストマ下層の必要性を排除する。V52は紫外線ランプからの熱エネルギーと光架橋からの発熱量を活用することにより、実施例8で用いられる後オーブン硬化を排除し、硬化を増強する。
実施例9の摩擦材は、直接的に鋼製の摩擦ディスクに接合された。摩擦ディスクの両面は、3M,St Paul,MNより販売されている3M EC-2174ニトリルフェノール性液体プラマーで下塗りされた。下塗りされたプレートは、25℃の温度で一時間乾燥させられ、それから204℃の温度で一時間部分的に硬化された。摩擦材は2層のニトリルフェノール樹脂フィルム、すなわちMacTacを用いて作られたニトリルフェノール樹脂フィルムを各鋼製ディスクと摩擦材フィルムの間で接着することにより形成された接着剤層を介して下塗り済ディスクに接合された。圧縮前の全径が計測され、圧縮ギャップを摩擦材の3ミルの圧縮に制限する間隙調整板が選定された。間隙調整板とディスクは204℃に加熱された成形機の中に置かれ、5000ポンドの圧力で2分間加圧され、作製が完了した。
実施例10
実施例10の摩擦材は、摩擦材2作製の一般手順に記載の真空スロットダイ工程により被覆され、実施例8に記載の紫外線により硬化された。しかしながら、異なるバインダー前駆体スラリーが用いられた。紫外線バインダー前駆体スラリーは982.0部のTATHEICと982.0部のTMPTAと40.0部のPH2と800.0部のFP2と780.0部のSFLと400.0部のNRPと16.0部のSCAと60部のEBCと9.8部のV52を混合して均質のスラリーとすることにより作製された。NRP添加剤は硬化生成物に可撓性と柔軟性を付加して、フルオロエラストマ下層の必要性を排除し、V52は実施例8で用いられた後オーブン硬化の必要性を排除した。
実施例10の摩擦材は実施例9の接合工程を用いて直接的に鋼製摩擦ディスクに接合された。
上述の実施例における各摩擦材は試験方法2に記載の方法により評価された。以下の表は引張試験機の結果を要約している。摩擦係数の初期値(μI)、中点値(μm)および終点(μe)は計測されたトルクと、SAE J1646にしたがって加えられた圧力から算出された。比較実施例Bと実施例4、5および6の摩擦材から得られた結果は、表3aに示され、実施例7、8、9および10の摩擦材から得られた結果は表3bに示されている。エネルギーレベル(単位:kJ)は左の欄に記され、「Aη」が上述の11のエネルギー準位を示している。最大耐久性(初期(μI)、中間点(μm)および終点(μe)摩擦係数)は、各摩擦材ごとに、材料破損か試験終了の前に到達した最も高いエネルギーレベルにおいて示されている。
Figure 0004112621
Figure 0004112621
表3aと3bに示されるとおり、比較実施例Bは調整部分として用いられる商用紙材料を含んでいた。試験の全行程を通じて、終点(μe)摩擦係数は中間点(μm)摩擦係数よりも低く、試験の間を通じて良好な推移特性を示していることが判明した。
実施例4と5は低可撓性を有する摩擦材の効果を示した。実施例4と5において、弾性率は約1.35 x 108ダイン/cm2である。表3aに示されるように、これらの実施例の摩擦材は実施例6〜10と比較して短い耐久時間を示した。
実施例6〜8はフルオロエラストマを含む組成物からつくられた結合層を含んだ。実施例6と8は比較実施例Bと同様の摩擦係数を示さなかったが、それらは試験終了まで破損しなかったので、確かに良好な耐久性を示していた。実施例7は良好な摩擦係数と耐久性を示した。さらに、実施例6〜8は、終点(μe)摩擦係数と中間点(μm)摩擦係数を比べることにより、すべて好ましい推移特性を示した。
実施例9は改善された摩擦係数を示した。バインダーはいっそうの弾性あるいは柔軟性を有していたと考えられている。なぜならば、それは、ウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレート、シリコーンアクリレート、およびそれらの混合物の群より選択された少なくとも1個のペンダントアクリレート基を有する少なくとも1種類の樹脂を含んだ混合物からつくられていたからである。実施例9の摩擦材が実施例6〜8の摩擦材の耐久性を上回らなかった一方で、それは確かに比較実施例Bの摩擦材の耐久性を凌いでいた。終点(μe)摩擦係数と中間点(μm)摩擦係数の比較は、良好な推移特性を示した。
実施例10もまた試験の中間点までの改善された摩擦係数を示した。ニトリルゴム粒子を含む混合物からつくられたので、材料はいっそうの弾性と柔軟性を有していたと考えられている。その耐久性は、比較実施例Bの耐久性を上回ってはいたが、テストの後半での推移特性では劣っていた。
すべての特許、特許申請および公告の完全な開示内容が、個々に組み込まれているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれている。本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更が当業者には明らかとなるであろう。また、本発明は不当に本明細書に記された実施例にのみ限定されるものではないと理解されるべきである。

Claims (7)

  1. 裏材に固定した硬化層を有する摩擦部材であって、該硬化層は、複数の精密に整形された摩擦複合材を有する摩擦表面を有し、該摩擦複合材は、バインダー前駆体中に分散させた摩擦粒子を含む組成物から形成されており、トルクを伝達するための装置に使用される、摩擦部材。
  2. 前記摩擦表面が、平方センチメートル当たり120〜1150個の精密に整形された摩擦複合材を有する請求項1記載の摩擦部材。
  3. 前記装置がクラッチ、ブレーキ、シンクロナイザーリング、又はトランスミッションである請求項1記載の摩擦部材。
  4. 主要外側表面を有する部品を含むトルクを伝達するための装置;および
    バインダー前駆体中に分散させた摩擦粒子を有する組成物から形成された硬化層、および該部品の主要外側表面と該硬化層との間にはさまれた裏材を有する摩擦部材;
    を有する物品であって
    該硬化層は複数の精密に整形された摩擦複合材を含む摩擦表面を有し、該摩擦複合材が該組成物から形成されている、物品。
  5. 前記摩擦表面が、平方センチメートル当たり120〜1150個の精密に整形された摩擦複合材を有する請求項4記載の物品
  6. 前記装置がクラッチ、ブレーキ、シンクロナイザーリング、又はトランスミッションである請求項4記載の物品
  7. 主要外側表面を有する第一板部材;
    バインダー前駆体中に分散させた摩擦粒子を含む組成物から形成され、裏材に固定した硬化層を有する摩擦部材であり裏材は第一板部材の主要外側表面と硬化層との間に挟まれており、硬化層は複数の精密に整形された摩擦複合材を有する摩擦表面を有し、該摩擦複合材が該組成物から形成されている、摩擦部材;
    該第一板部材と係合可能であり、これを回転させる回転部材;および
    第一板部材に隣接して位置させた第二板部材であり、第一板部材が該第二板部材の表面とかみ合ってトルクを伝達できる、第二板部材
    を有するトルクを伝達するための装置。
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