JP4111503B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は画像形成装置に関し、特に搬送ベルトを用いて用紙を搬送する画像形成装置に関する。
【0002】
【特許文献1】
特許第2897960号公報
【特許文献2】
特開平7−53081号公報
【0003】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像形成装置(或いは画像記録装置ともいう。)として、例えばインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、インク記録ヘッドから用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、現像剤などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙などとも称される。)にインクを吐出して記録を行うものであり、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
【0004】
インクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものが知られている。
【0005】
ところで、インクジェット記録方式ではインクを用紙にインクを付着させるために、画像を形成すると、用紙はインクに含まれる水分によって伸びる現象がある。この現象をコックリングと呼んでいる。このコックリングによって用紙は波打ち、ヘッドのノズルと用紙表面の位置が場所場所で変化する。このコックリングの程度が悪くなると、最悪の場合、用紙がヘッドのノズル面と接触して、ヘッドのノズル面を汚したり、用紙自身も汚れてしまって画像品質が低下し、加えてコックリングの影響でインク滴の着弾位置がずれてしまうこともある。
【0006】
そのため、インクジェット記録装置では用紙のコックリングを吸収する凹みを設けたプラテン上で印字が行われ、用紙の押えとして周上に突起を有する拍車を設けているが、この拍車による画像のひっかき傷が生じることも問題となっている。
【0007】
また、従来のインクジェット記録装置では用紙の送りをローラによって行っており、印字領域を挟んで2組のローラ(一方は前述のよう拍車とコロの組み合わせ)が配置されている。しかし、この構成では用紙の送り精度を保証できるのは用紙がこの2組のローラに噛んでいる状態でのみである。
【0008】
ところが、近年は、画像印字領域の増大が望まれているため、印字領域を確保するために本来であれば用紙の送り精度を保証できない状態、つまり2組あるローラの内、一方のローラ対にしか用紙が噛んでいない状態で印字を行うようにしたインクジェット記録装置も存在する。しかしながら、片方のローラ対にしか用紙が噛んでいない状態では、用紙の浮きが発生した場合は、対処できなかったり、用紙搬送力が確保できないために送りの精度を保証できないので、画像品質も低下するという問題が生じる。
【0009】
インクジェット記録装置において、高画質化を追求すると、インク液滴の用紙への着弾位置精度が求められ、用紙の平面度を向上させる必要があるが、前述したように、普通紙に印字した場合には、インクに含まれる水分によって、紙の繊維が膨潤し波状に変形してしまい、ドットの着弾位置にずれが生じてしまうことになる。これまでのところ、紙にインクが付着してから3秒程度以上かかってこの紙の変形が大きく発生することが判明している。
【0010】
そこで、【特許文献1】や【特許文献2】に記載されているように、用紙の平面性を維持するために、無端状の帯電ベルトを備え、帯電ベルト表面を帯電して用紙を静電吸着させ、この状態で帯電ベルトを周回させることで用紙を搬送することにより、用紙の帯電ベルトからの浮き上がりを防止して、高い平面性を維持できるようにしたインクジェット記録装置が提案されている。
【0011】
ここで、【特許文献1】には帯電ベルトの表面に電圧印加手段を接触させ、帯電ベルト表面に交番する電荷パターンを、例えば、帯状に形成する用紙搬送装置や画像記録装置が開示されている。また、【特許文献2】には帯電ベルトに常に安定した電位を得るために、除電ブラシで帯電ベルト上の電位を除電するようにした印刷装置が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように帯電ベルト(搬送ベルト)によって用紙を搬送する場合、帯電ベルトは少なくとも2つのローラ間に架け渡される構成を採るとが、このように2軸以上のローラによってベルトを支持した場合、搬送ベルトとこの搬送ベルトを駆動する駆動ローラとの間でスリップを生じて搬送ベルトの送り精度が低下して画質の低下を招くという課題がある。
【0013】
また、搬送用紙が搬送ベルトから浮き上がることで、静電吸着力による吸着力を効率的に得ることができなくなるという課題もある。さらに、用紙を搬送ベルトに押し付けるためにコロなどを用いた場合、コロによる押さえ付けが搬送ベルトの駆動負荷となり、搬送ベルトの停止位置精度が低下して画質が低下するという課題もある。
【0014】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、用紙の安定した搬送を行うことで高画質画像を形成できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
無端状の搬送ベルト表面を帯電させて用紙を静電吸着して搬送し、前記用紙に画像形成手段により画像を形成する画像形成装置において、
前記搬送ベルトを少なくとも2つのローラ間に架け渡し、
前記画像形成手段に対向する位置で前記搬送ベルトを内側からガイドするベルトガイド手段をガイド面が前記2つのローラの接線よりも突出するように設け、
前記搬送ベルトで搬送されている用紙を、前記画像形成手段の搬送方向上流側の前記搬送ベルトと前記ローラとが対向する位置から前記画像形成手段と前記搬送ベルトとが略平行になる位置までガイドする搬送ガイド手段を有する
構成とした。
【0016】
ここで、搬送ガイド手段には搬送方向上流側のローラに対向して搬送ベルト側に加圧保持され、用紙を押圧するコロを有する構成とできる。また、搬送ガイド手段に設けたコロは加圧方向に移動が可能であり搬送ガイド手段に回動可能に保持され、このコロを支持する軸を加圧する加圧手段が設けられ、搬送ガイド手段は本体に対し固定されている構成とできる。これらの場合、搬送ガイド手段に設けたコロは少なくとも表面が弾性材で形成され、この弾性材はエラストマー、ゴム又は弾性樹脂で形成され、少なくともその弾性は、当接する搬送ベルトの弾性より柔らかい構成とできる。
【0017】
また、搬送ガイド手段が、搬送ベルトを介してベルトガイド手段に当接しない構成とできる。この場合、搬送ガイド手段の搬送方向最下流側部分には第2のコロが回動自在に設けられ、ベルトガイド手段には第2のコロに対応する位置に搬送ベルトの内側とは接触しない逃げ部が形成された構成とでき、更に、ベルトガイド手段のガイド面には用紙搬送方向と直交する方向に少なくとも2本のリブが形成され、リブの間の空間を逃げ部とする構成とできる。さらに、ベルトガイド手段のリブは少なくとも1本の幅が5mm以下である構成とできる。また、第2のコロは搬送する用紙を搬送ベルト側に押し付けることが可能である構成とできる。
【0018】
また、用紙搬送方向上流側のローラを駆動ローラとする構成とできる。この場合、駆動ローラは、直径が他のローラよりも大きい構成とできる。また、駆動ローラは搬送ベルトの内側面との摩擦係数が他のローラよりも大きい構成とできる。
【0020】
さらにまた、搬送ガイド手段は搬送ベルトに対して高さ位置を調節可能に装置本体部材に固定されていることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同装置の全体構成を説明する構成図、図2は同装置の要部平面説明図である。
【0022】
この画像形成装置であるインクジェット記録装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1と図示しないステーとでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ7(図2)によってタイミングベルトを介して図2で矢示方向に移動走査される。
【0023】
このキャリッジ3には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる画像形成手段である記録ヘッド4を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0024】
記録ヘッド4を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0025】
また、キャリッジ3には、記録ヘッド4に各色のインクを供給するための各色のサブタンク5を交換可能に搭載している。このサブタンク5にはインク供給チューブ6を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0026】
一方、給紙トレイなどの用紙積載部11に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)13及び給紙コロ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙コロ13側に付勢されている。
【0027】
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド4の下方側で搬送するための搬送部として、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド22を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ23と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための上記ガイド22と、搬送ガイド手段である搬送ガイド24及びこの搬送ガイド24に保持され搬送ベルト21側に付勢された先端加圧コロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
【0028】
ここで、搬送ベルト21は、無端又は繋ぎ合わされた(これらを「無端状」という。)ベルトであり、駆動ローラである搬送ローラ27とテンションを与えたテンションローラ28との間に掛け渡されて、搬送ローラ27を副走査モータ31(図2)で回転駆動することによって矢示A方向(ベルト搬送方向)に周回するように構成している。
【0029】
この搬送ベルト21は、図3に示すように、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面を形成する表層21aと、この表層21aと同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)21bとを有している。
【0030】
搬送ベルト21の絶縁層(表層)21aの厚みが誘電率に影響し、厚みが厚くなると誘電率が下がり帯電した際にベルトに載る電荷の量が減る。実験によれば、この表層21aの厚みは60μm以下とすることで所望の静電吸着力が得られたが、製造上ばらつく膜厚の範囲を考慮し、また、実機にてベルトに発生する傷によってもこの層厚みが0とならない範囲で、極力薄くすることで静電吸着力をより向上させることができる。
【0031】
また、搬送ベルト21の裏層(中抵抗層、アース層)21bの厚みは直接静電的な作用には影響しないが、ベルトの総厚みが厚くなると、剛性が増しベルトを実機上で張ったときにベルトの平面度を確保することが困難になり、一方所要の強度を確保する上ではあまり薄くできない。実験によると、裏層21bの厚みとしては40〜200μm程度が好ましい。
【0032】
このように二層構成として搬送ベルト21の全面裏側に抵抗制御をした層21bを設けることで、予め絶縁層である表層21aに電荷を形成した後、ベルトに吸着させる用紙が接触すると電荷を更に供給し、用紙と搬送ベルト21との間の静電的な吸着力を増加させることができる。仮に、絶縁層単層の場合、その吸着力は二層の場合に比べて半減し、また、単層の場合には用紙がベルトに接触し始める位置がベルト内側に配置されるアースローラに対向する位置でなければならないが、二層にすることにより、このような制約がなくなる。
【0033】
この場合、この表層21aとしては表面抵抗1E+10Ω/□以上のものを使用し、裏層21bとしては表面抵抗1E+08Ω/□以下のものを使用することで、所望の静電吸着力が得られた。
【0034】
帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層21aに接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。
【0035】
また、搬送ローラ27はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト21の中抵抗層21bと接触配置され、接地ライン29を介して接地している。この搬送ローラ27の軸27aにはスリット板32が固定され、スリット板32のスリットを検知するフォトセンサ33とでエンコーダ34が構成され、このエンコーダ34の出力に基づいて副走査モータ31が回転駆動制御されることで搬送ローラ27の回動量、すなわち搬送ベルト21の移動量が制御される。
【0036】
ここで、エンコーダ34を構成するスリット板32の一周のカウント数に対して、エンコーダ34のスリット板32を軸27aに設けている搬送ローラ27の外径が大きいほど、エンコーダ出力1パルスに対する用紙12の送り量を小さくすることができる。すなわち、高精度な送りが要求される場合、この制御情報である、エンコーダ34の1パルス当たりの実用紙送り量を小さくするほど有利となる。一方、ローラの外径が大きくなるほど、それを動作させる際の慣性が大きくなり、動作の開始と停止を繰り返すプリンタにとっては、高精度の位置決め動作が困難となる。
【0037】
そこで、ここでは、高精度な制御を実現可能とし、かつ、高精度な繰り返し停止位置精度を実現するために、搬送方向上流側の搬送ローラ27を駆動ローラとし、この駆動ローラである搬送ローラ27の直径を従動ローラであるテンションローラ28の直径よりも大きくしている。具体的には、テンションローラ28の径をベルト21の屈曲に耐え得る最小径(実際にはφ16mm)としている。これにより、搬送ベルト21を周回させるときの慣性負荷が小さくなり、搬送ベルト21の停止位置精度が向上する。
【0038】
そして、このように駆動ローラである搬送ローラ27の直径を従動ローラであるテンションローラ27の直径よりも大きくするとともに、駆動ローラである搬送ローラ27を基準として、搬送ローラ27表面の搬送ベルト21との摩擦係数を従動ローラであるテンションローラ27表面の摩擦係数に比べて高く(大きく)設定している。これにより、搬送ローラ27と搬送ベルト21との間でスリップを生じて画質が低下することを防止できる。
【0039】
また、駆動ローラである搬送ローラ27に対して搬送ベルト21が寄らない(ずれない)ようになり、従動ローラであるテンションローラ28は搬送ベルト21の内側と滑るので、搬送ローラ27と従動ローラであるテンションローラ28との軸平行度が完全でなくとも、搬送ベルト21の寄りが生じにくくなり、用紙搬送中に用紙12の位置が変動して画像品質が劣化することが防止される。
【0040】
また、図4に示すように、搬送ベルト21の裏側には、記録ヘッド4による印写領域(ノズル列範囲)Pに対応してベルトガイド部材35を配置している。このベルトガイド部材35は、図5に示すように、搬送ローラ27及びテンションローラ28等を保持する枠部材36,36間で保持している。
【0041】
そして、このベルトガイド部材35は、図4に示すように、上面35aが搬送ベルト21を支持する2つのローラ(搬送ローラ27とテンションローラ28)の接線37よりも記録ヘッド4側に突出している。これにより、搬送ベルト21は印写領域ではベルトガイド部材35の上面(ガイド面)35aにて押し上げられてガイドされる。
【0042】
すなわち、用紙を搬送ベルトに静電吸着した状態で搬送する場合、搬送ベルトの平面度が用紙の平面度に直結する。ベルト搬送で、ローラによって張られた弦の部分を印字面(画像形成手段による画像形成領域)とすると、ベルトのシワなどが発生しやすい。また、ベルトを駆動する際に、平面度を要求するベルトの弦部でベルトが踊ってしまう場合がある。そこで、平面度が要求される印字領域のベルト弦部を、ベルト内側よりガイド部材によって押し上げ、より高いベルトの平面度が得られるようにしている。
【0043】
さらに、このベルトガイド部材35の搬送ベルト21の裏面と接触する面側には、図5に示すように、主走査方向、すなわち搬送方向と直交する方向に複数の溝35bを形成することで複数本のリブ38を形成して、搬送ベルト21との接触面積を少なくし、搬送ベルト21がスムーズにベルトガイド部材35の表面に沿って移動できるようにしている。実験によると、このリブ38の搬送方向の幅を5mm以下とすることで、搬送ベルト21がスムーズにベルトガイド部材35の表面を移動できることが確認された。
【0044】
すなわち、搬送ベルト21には印字位置にて所望の電荷を表面に形成している。搬送ベルト21の内側の層にも少なからず電荷の影響を受けている。このような条件で、少なくとも2本のローラによって張られた搬送ベルト21の内側より、ベルトガイド部材35によって押し上げるようにベルト21を支持し、このベルトガイド部材35の表面が平坦面で構成されたり、ベルト搬送方向に平行な向きのリブによって搬送ベルト21を支持した場合、搬送ベルト21上の電荷が、搬送ベルト21が移動することによって損失し、印字領域に至る搬送ベルト21と用紙12との間に作用する静電吸着力が低減することが生じる。そこで、ベルトガイド部材35の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に延びるリブ38によってベルト21の内側を支持するように構成することで、電荷の損失を防止し、用紙との吸着力を維持することができる。
【0045】
さらに、このベルトガイド部材35の搬送方向上流側及び下流側は傾斜部35c、35dとし、搬送ベルト21が滑らかにベルトガイド部材35の表面に倣うようにしている。
【0046】
ここで、記録ヘッド4の搬送方向上流側には、搬送ベルト21上の用紙を、ベルトガイド部材35でガイドされる搬送ベルト21が記録ヘッド4と略平行になる位置までガイドするガイド部24aを有する搬送ガイド手段である搬送ガイド24をを設け、この搬送ガイド24には搬送ローラ27に対向して搬送ベルト21側に加圧保持された先端加圧コロ25を有している。
【0047】
すなわち、上述したように、ベルトガイド部材35によってローラ27、28間に張られた搬送ベルト21の内側をガイドし、このベルトガイド部材35を搬送ベルト21の平面度を向上するためにローラ27、28間の接線より突出した状態で配置すると、搬送ベルト21に吸着し搬送される用紙12は、搬送方向上流側の搬送ローラ27から、ベルト21に張り付いた状態で搬送されるが、搬送ベルト21にはベルトガイド部材35によって記録ヘッド4と平行となる部分で屈曲部が生じるので、搬送ベルト21から用紙21が剥離し、用紙21が搬送ベルト21から離れてしまうおそれがある。このときには、用紙12の先端が、記録ヘッド4と接触することがあり得る。
【0048】
そこで、搬送ベルト21の屈曲部(屈曲点)を超えて、搬送ベルト21が記録ヘッド4のノズル面と略平行な面に至るまで(ベルトガイド部材35のガイド面35aが記録ヘッド4と平行になるまで)、用紙12をガイドするための搬送ガイド24を設けて、この搬送ガイド24のガイド部24aによって、搬送される用紙12の浮きを押さえ込むようにして、用紙12が記録ヘッド4あるいはキャリッジ3と接触することを防止しつつ印写領域まで用紙12を導くようにしている。
【0049】
ここで、図6及び図7に示すように、搬送ガイド24に形成した溝状支持部51にて加圧コロ25の軸52を少なくとも0.1mm移動可能に、かつ回転自在に支持し、この加圧コロ25の軸52を図示しない装置本体の固定部材との間に設けたスプリング53によって搬送ローラ27側に加圧して、加圧コロ25を搬送ベルト21側に加圧保持している。また、搬送ガイド24は図示しない装置本体の固定部材に固定している。
【0050】
このように構成することで、剛性の高い用紙12でも安定して搬送することができる。すなわち、搬送する用紙12の剛性が高い場合、搬送ガイド24は、その腰によって持ち上げられ、搬送ベルト21の平面部で用紙12を押さえ込もうとしているガイド部24aも持ち上がり、用紙12の押さえが不完全となる場合がある。
【0051】
また、この搬送ガイド24のガイド部24aによって、より記録ヘッド4のノズル近傍まで用紙12を押さえ込むようにするためには、ガイド部24aとキャリッジ3とのクリアランスが少なくなる。
【0052】
このような条件で、用紙のコシによって搬送ガイド24のガイド部24aが持ち上げられると、キャリッジ3と干渉してしまうことがある。この干渉を防止しようと、クリアランスを確保すれば、用紙の押さえが可能な範囲が狭くなり、用紙の浮きを押さえることが不十分となってしまう場合がある。
【0053】
また、搬送ローラ27に対向する位置に配する加圧コロ25は、その加圧コロ25と搬送ベルト21の間に加圧コロ25の加圧力によって用紙12を挟持し、用紙12に対する搬送力を得る機能を有する。この加圧コロ25が搬送ガイド24に回動自由に支持されると、用紙12のコシによって搬送ガイド24が持ち上げられたときに加圧コロ25と搬送ベルト21との間に隙間が生じ、所望の搬送力を得ることができなくなる。
【0054】
そこで、ここでは、搬送ガイド24を装置本体に対し固定とすることで、コシの強い用紙を搬送する場合でも、ガイド部24aが浮くことを防止している。そして、加圧コロ25は、搬送ガイド24にコロ押し圧方向には自由に保持されながらも、その加圧力は、本体構造体との間のスプリング53(弾性部材)にて得ているので、搬送ガイド24が固定でも、紙厚に応じた加圧コロ25の上下動が可能で、しかも所望の加圧力を得、所望の搬送力を得ることができる。
【0055】
さらに、記録ヘッド4で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト22から用紙12を分離するための分離部41と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ42とを備えている。
【0056】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド22で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ23との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド24で案内されて先端加圧コロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0057】
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源30(図1)から帯電ローラ26に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト21が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12内で帯電パターンと反対の電荷に分極するので、平行接続されたコンデンサが形成されたこととなり、用紙12が搬送ベルト21に吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0058】
そこで、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ42に排紙する。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照して説明する。なお、同図は同装置の構成を説明する要部構成図であり、図1と対応する部分には同一符号を付している。
ここでは、搬送ガイド24は先端加圧コロ61を有するとともにガイド部24の先端部(搬送方向最下流側部分)に第2のコロ62を有している。
【0060】
先端加圧コロ61は、図9に示すように、高摺動性樹脂からなるベース63の表面にエラストマー64を施したもので、ベース63を支軸65に回動自在に装着している。ベース63に高摺動性樹脂を用いることで支軸65に対して容易に回動することができる。
【0061】
これにより、スプリングなどの弾性部材によって加圧された支軸65が回転しなくとも、コロ61が回動することができるので、コロ61の搬送ベルト21及び用紙12に対する追従性が妨げられることなく用紙12を押さえることができる。また、このとき搬送ベルト21に対する傷の発生も防止できる。
【0062】
すなわち、搬送ベルト21の少なくとも表層21aは上述したように樹脂で構成しているので、その表面側からコロで加圧すると、ベルト表面に、傷が入ることがある。その傷が発展すると、膜厚40μmで管理している、絶縁層(表層)21aが破壊され、その状態で高圧の帯電電圧を印加すると、絶縁層21aの破壊がリークへと発展してしまうおそれがある。
【0063】
そこで、ここでは、コロ61の表面を弾性材としてのエラストマーで形成することによって搬送ベルト21の傷の発生を抑制し、かつ、高摺動性樹脂との2色成形によって生産性を向上させている。
【0064】
なお、ここでは、弾性材としてエラストマーを用いているが、弾性材としては、ゴムやその他の弾性樹脂を用いることもできる。この場合、弾性材の弾性は、少なくとも搬送ベルトの弾性よりも柔らかくすることによって、コロが搬送ベルトに当接することで、搬送ベルトが損傷等するおそれを低減することができる。
【0065】
また、搬送ガイド24のガイド部24aは搬送する用紙12が搬送ベルト21に吸着された状態を保つように用紙12をガイドすることを目的としているが、使用する用紙の厚みは様々で、最も厚い用紙に、搬送ガイド24にガイド部24aと搬送ベルト21のクリアランスを設定すると、最も薄い用紙の際には用紙をベルト21に押さえきれなくなる。また、クリアランスを狭めに設定すると、搬送ガイド24と用紙12との間での摩擦抵抗が、搬送系の全体負荷に影響を与える。
【0066】
そこで、搬送ガイド24のガイド部24aの先端部に、用紙12を押さえることが可能な第2のコロ62を回転自在に設け、この第2のコロ62は図示しないバネなどの弾性部材によって搬送ガイド24からの反力を得て用紙12を搬送ベルト21側に押し付けるようにしている。
【0067】
このようにコロ61(あるいはコロ25)とともに、第2のコロ62を備えることによって、用紙12と搬送ガイド24との摩擦抵抗を低減することができ、用紙の搬送安定性が向上する。そして、第2のコロ62で用紙を押さえ付ける構成とすることで、効率良くベルト21に用紙12を押しつけ、印字位置に搬送用紙12が達する際に、用紙12の浮きが発生することを防止でき、静電吸着力を効率的に用紙12に作用させることができ、用紙の搬送安定性が向上する。
【0068】
また、このように第2のコロ62を備える場合、図10に示すように、第2のコロ62に対向するベルトガイド部材35の部分には凹部などの逃げ部66を形成することが好ましい。
【0069】
すなわち、第2のコロ62が、部品の寸法バラツキの影響でベルト21に対する当たりがきついときや、第2のコロ62とベルト21間に設定した隙間より厚い搬送用紙が搬送された際には、搬送ベルト21の搬送負荷が増大してしまうことになる。搬送ベルト21の負荷が増大すると、搬送ベルト21自身の改行時停止位置精度を高精度なものとすることが困難となる。また、搬送ベルト21に対しても、傷が生じてしまうおそれがある。
【0070】
そこで、上述したようにベルトガイド部材35を設ける場合には、逃げ部66の上方の空間に張った搬送ベルト21上に第2のコロ62が当接するようにすることによって、搬送ベルトに対する負荷の増大を防止し、また、搬送ベルトに対して傷などが入るのを低減することができる。
【0071】
次に、搬送ガイド24の取り付け構造について図11を参照して説明する。
搬送ガイド24には上下方向の基準となるピン71を一体的に設けている。このピン71は高さを調整できる高さ調整部材72に係合し、高さ調整部材72によって高さ位置が決められるようになっている。
【0072】
そして、搬送ガイド24と高さ調整部材72との間で装置本体構造体(装置本体部材)73を挟み込んで、搬送ガイド24を固定ねじ74で本体構造体73に締結固定する。高さ調整部材72は図示しない締結部材によって本体構造体73に高さ調整後固定される構成となっている。
【0073】
そこで、搬送ガイド24を固定するには、高さ調整部材72を、基準寸法に対して高精度に図示しない冶具によって位置決めし、本体構造体73に固定する。その後、搬送ガイド24のピン71を高さ調整部材72に案内して搬送ガイド24の高さを決める。さらに、搬送ガイド24を固定ねじ74によって本体構造体73又は高さ調整部材72にねじ締結する。
【0074】
すなわち、搬送ガイド24の第2のコロ62と搬送ベルト21とのクリアランスは、搬送ガイド24の組み付け位置によって決まるので、このクリアランスを高精度に管理するためには、搬送ガイド23を基準となる搬送ローラ27の軸に対して調整可能機構にて位置決めを行う必要がある。
【0075】
そこで、上述したように搬送ガイド24の高さ位置を調整可能として本体構造体に固定することにより、第2のコロ62と搬送ベルト21間のクリアランスを高精度にし、用紙搬送上の負荷増大を引き起こすことなく、確実に用紙の先端をベルト21に貼り付けて搬送させることができる。
【0076】
なお、上記実施形態においては、本発明をキャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
【0077】
また、本発明に係る画像形成装置は、インクジェットプリンタ以外にも、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などにも適用することができる。さらに、インク以外の液体、例えばレジスト、医療分野におけるDNA試料を吐出させる画像形成装置にも適用することができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置によれば、搬送ベルトを少なくとも2つのローラ間に架け渡し、画像形成手段に対向する位置で搬送ベルトを内側からガイドするベルトガイド手段をガイド面が2つのローラの接線よりも突出するように設け、搬送ベルトで搬送されている用紙を、画像形成手段の搬送方向上流側の搬送ベルトとローラとが対向する位置から画像形成手段と搬送ベルトとが略平行になる位置までガイドする搬送ガイド手段を有する構成としたので、用紙の安定した搬送を行うことができるようになり、画像品質が向上する。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の模式的構成図
【図2】同画像形成装置の要部平面説明図
【図3】同画像形成装置の搬送ベルトの模式的説明図
【図4】図1の要部拡大説明図
【図5】ガイド部材の斜視説明図
【図6】搬送ガイドの要部平面説明図
【図7】図6の側面説明図
【図8】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の要部模式的構成図
【図9】同画像形成装置の先端加圧コロの断面説明図
【図10】同じくガイド部材の要部拡大説明図
【図11】搬送ガイドの位置調整取り付け構造の説明図
【符号の説明】
3…キャリッジ、4…記録ヘッド、12…用紙、21…搬送ベルト、24…搬送ガイド、25…先端加圧コロ、26…帯電ローラ、27…搬送ローラ、28…テンションローラ、35…ベルトガイド部材。
Claims (13)
- 無端状の搬送ベルト表面を帯電させて用紙を静電吸着して搬送し、前記用紙に画像形成手段により画像を形成する画像形成装置において、
前記搬送ベルトを少なくとも2つのローラ間に架け渡し、
前記画像形成手段に対向する位置で前記搬送ベルトを内側からガイドするベルトガイド手段をガイド面が前記2つのローラの接線よりも突出するように設け、
前記搬送ベルトで搬送されている用紙を、前記画像形成手段の搬送方向上流側の前記搬送ベルトと前記ローラとが対向する位置から前記画像形成手段と前記搬送ベルトとが略平行になる位置までガイドする搬送ガイド手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置において、前記搬送ガイド手段には搬送方向上流側の前記ローラに対向して前記搬送ベルト側に加圧保持され、用紙を押圧するコロを有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記搬送ガイド手段に設けたコロは加圧方向に移動が可能であり搬送ガイド手段に回動可能に保持され、このコロを支持する軸を加圧する加圧手段が設けられ、前記搬送ガイド手段は本体に対し固定されていることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記搬送ガイド手段に設けたコロは少なくとも表面が弾性材で形成され、この弾性材はエラストマー、ゴム又は弾性樹脂で形成され、少なくともその弾性は、当接する前記搬送ベルトの弾性より柔らかいことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記搬送ガイド手段が、前記搬送ベルトを介して前記ベルトガイド手段に当接しないことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5に記載の画像形成装置において、前記搬送ガイド手段の搬送方向最下流側部分には第2のコロが回動自在に設けられ、前記ベルトガイド手段には前記第2のコロに対応する位置に搬送ベルトの内側とは接触しない逃げ部が形成されたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6に記載の画像形成装置において、前記ベルトガイド手段のガイド面には用紙搬送方向と直交する方向に少なくとも2本のリブが形成され、前記リブの間の空間を前記逃げ部とすることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項7に記載の画像形成装置において、前記ベルトガイド手段のリブは少なくとも1本の幅が5mm以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第2のコロは搬送する用紙を前記搬送ベルト側に押し付けることが可能であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、用紙搬送方向上流側のローラを駆動ローラとすることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項10に記載の画像形成装置において、前記駆動ローラは、直径が他のローラよりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項10又は11に記載の画像形成装置において、前記駆動ローラは前記搬送ベルトの内側面との摩擦係数が他のローラよりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記搬送ガイド手段は前記搬送ベルトに対して高さ位置を調節可能に装置本体部材に固定されていることを特徴とする画像形成装置。
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