JP4111319B2 - 積層成形体の成形方法及び成形金型 - Google Patents

積層成形体の成形方法及び成形金型 Download PDF

Info

Publication number
JP4111319B2
JP4111319B2 JP2002357395A JP2002357395A JP4111319B2 JP 4111319 B2 JP4111319 B2 JP 4111319B2 JP 2002357395 A JP2002357395 A JP 2002357395A JP 2002357395 A JP2002357395 A JP 2002357395A JP 4111319 B2 JP4111319 B2 JP 4111319B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
molding
lower mold
resin core
set frame
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002357395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004188681A (ja
Inventor
順 千明
典之 北村
洋朗 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kasai Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Kasai Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kasai Kogyo Co Ltd filed Critical Kasai Kogyo Co Ltd
Priority to JP2002357395A priority Critical patent/JP4111319B2/ja
Publication of JP2004188681A publication Critical patent/JP2004188681A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4111319B2 publication Critical patent/JP4111319B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モールドプレス成形工法、あるいはコールドプレス成形工法により、樹脂芯材表面に表皮をプレス圧着する積層成形体の成形方法及び成形金型に係り、特に、表皮のセット位置を可変調整することで、成形性を高めた積層成形体の成形方法及び成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、ドアパネルの室内面に内装される自動車用ドアトリム1の構成を示すもので、この自動車用ドアトリム1は、所望の曲面形状に成形され、適度な保形性を有する樹脂芯材2と、この樹脂芯材2の表面に優れた表面感触及び外観性能を付与するために一体貼着される表皮3とから構成されている。
【0003】
更に、上記自動車用ドアトリム1の製造方法としては、ドアトリムが量産品であるため、モールドプレス成形工法、コールドプレス成形工法が通常使用されている。
【0004】
図10は、モールドプレス成形工法に使用する成形金型4の構成を示すもので、成形金型4は、相互に型締め、型開き可能な成形上型5と成形下型6とから構成されている。更に詳しくは、成形上型5は、上側ホルダ5aに上側型板5bが取り付けられ、更に、表皮保持枠5cが取り付けられている。一方、成形下型6は、下側ホルダ6aの上面に下側型板6bが固着され、更に、表皮セット枠6cが4隅部においてサポートピン6dにより支持され、このサポートピン6dは、エジェクタプレート6eの上昇動作により、上方に突き上げられ、サポートピン6dに支持される表皮セット枠6cは、所定位置で保持される。また、樹脂芯材2の素材の供給手段は、成形下型6に連結する図示しない射出機から溶融樹脂が成形下型6に設けられた樹脂通路であるマニホールド7a、ゲート7bを通じて下側型板6bの上面に供給される。
【0005】
従って、ドアトリム1の成形工程としては、成形下型6の表皮セット枠6c上に表皮3をセットした後、成形上型5が所定ストローク下降して、表皮セット枠6c上にセットした表皮3を成形上型5の表皮保持枠5cとの間で表皮3の周縁部を保持した状態で更に成形上型5が下降し、上側型板5bと下側型板6bとの型間クリアランスが所定値に到達したとき、樹脂通路であるマニホールド7a、ゲート7bを通じて溶融樹脂がキャビティ内に供給され、更に、成形上型5が下死点まで下降することで、樹脂芯材2が所要形状に成形されるとともに、この樹脂芯材4表面に表皮3がプレス圧着される。
【0006】
そして、成形後は、エジェクタプレート6eが上昇することで、エジェクタピン6fにより成形品が上方に突き上げられるとともに、エジェクタプレート6eにより、サポートピン6dも上方に突き上げられ、表皮セット枠6cが初期位置(基準位置)に戻る(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、コールドプレス成形工法を使用する場合は、成形下型6に樹脂通路となるマニホールド7aやゲート7bを設ける必要がなく、その代わりに、樹脂芯材2の素材として、原反シートを予め所定温度に加熱軟化させた状態で下側型板6bの型面上にセットし、その後、表皮セット枠6cに表皮3をセットする工程を採用すれば良い。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−225339号公報 (第4頁、第5頁、図4乃至図9)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のドアトリム1のように、積層成形体をモールドプレス成形工法、コールドプレス成形工法を使用して成形する場合には、表皮3を成形下型6における表皮セット枠6c上にセットして行なっているが、この表皮セット枠6cの高さ位置は、サポートピン6dの長さ寸法で決定される。
【0010】
ところで、積層成形体の成形方法においては、積層成形体の製品形状や、表皮3の伸び率等の物性により、例えば、積層成形体の製品形状として複雑な曲面形状が要求されたり、また、表皮3の伸び率が比較的低い場合には、図11に示すように、表皮3を充分に弛ませてセットする必要があることから、表皮セット枠6cの高さ位置は、下側型板6bの型面高さよりもかなり上方位置に設定する必要がある。その逆に、積層成形体の製品形状が単純形状であるか、あるいは表皮3の伸び率が大きい場合には、図12に示すように、表皮セット枠6cの高さ位置は、下側型板6bの型面高さとほぼ同程度に設定しているのが実情である。
【0011】
従って、製品形状が単純形状であるときに、表皮セット枠6cの高さ位置を図11に示す高位置に設定した場合は、製品表面にシワ等が生じ易い。逆に、製品形状が複雑な曲面形状のときに、表皮セット枠6cの高さ位置を図12に示す低位置に設定した場合は、表皮3に切れ等が生じる恐れがある。よって、積層成形体の造形状や表皮3の物性を考慮して表皮3をセットする表皮セット枠6cの高さ位置を最適位置に設定することが非常に重要な要件となっている。
【0012】
この点については、上述したように、表皮セット枠6cの高さ位置は、サポートピン6dの長さ寸法により決定されるため、表皮セット枠6cを最適位置に可変するには、4本のサポートピン6dを下側ホルダ6aから取り外し、再度4本のサポートピン6dを最適長さのサポートピン6dに取り替えて、下型ホルダ6aに取り付けるという面倒な作業が強いられることになる。
【0013】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、モールドプレス成形工法、コールドプレス成形工法を使用して、樹脂芯材の表面に表皮をプレス圧着してなる積層成形体の成形方法及び成形金型において、積層成形体の製品形状や表皮の物性を考慮して、良好な成形性を確保するために、簡単な操作で表皮のセット高さ位置を最適位置に調整でき、表皮にシワ、切れ等の成形不良が生じることがなく、良好な成形性が得られる積層成形体の成形方法及び成形金型を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、表皮のセット高さ位置は、表皮セット枠を支持するサポートピンの長さ寸法に決定されることに着目し、簡単な操作でサポートピンの長さ寸法を可変調整することで本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明をモールドプレス成形工法に適用した場合、成形下型における表皮セット枠上に表皮を載置した後、成形上型を下降操作して、成形上型における表皮保持枠と、成形下型における表皮セット枠との間で表皮の周縁部分を挟持した状態で成形上下型における上側型板と下側型板とを型締めし、両金型間のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することで、樹脂芯材を所要形状に成形するとともに、その表面に表皮を一体貼着する積層成形体の成形方法であって、前記積層成形体の形状、あるいは表皮の物性に応じて、表皮セット枠を支持するサポートピンにスペーサーを着脱操作することで成形下型における下側型板の高さ位置に対して、表皮セット枠の高さ位置を調整することにより、樹脂芯材の曲面形状に表皮を追従一体化させるようにしたことを特徴とする。
【0016】
更に、本発明をコールドプレス成形工法に適用した場合、成形下型における下側型板上に樹脂芯材の原反シートを加熱軟化処理した状態でセットした後、表皮セット枠上に表皮を載置し、その後、成形上型を下降操作して、成形上下型における表皮保持枠と表皮セット枠との間で表皮の周縁部を挟持した状態で上側型板と、下側型板の間で原反シートをプレス圧着して、樹脂芯材を所要形状に成形するとともに、この樹脂芯材の表面に表皮をプレス圧着する積層成形体の成形方法であって、前記積層成形体の形状、あるいは表皮の物性に応じて、表皮セット枠を支持するサポートピンにスペーサーを着脱操作することで成形下型における下側型板の高さ位置に対して、表皮セット枠の高さ位置を調整することにより、樹脂芯材の曲面形状に表皮を追従一体化させるようにしたことを特徴とする。
【0017】
そして、本発明方法に使用する成形金型は、所要形状に成形される樹脂芯材と、この樹脂芯材の表面にプレス圧着される表皮とから構成される積層成形体の成形金型において、前記成形金型は、相互に型開き、型締め可能な成形上型並びに成形下型から構成され、成形上型は、所定ストローク上下動可能な上側ホルダに、樹脂芯材を型締めする上側型板と、表皮を支持する表皮保持枠が取り付けられる一方、成形下型は、下側ホルダに樹脂芯材を造形する下側型板が固定され、表皮をセットする表皮セット枠がサポートピンにより支持され、このサポートピンの上端又は下端のいずれかに、ピン長さを調整できるスペーサーがネジ込み方式で着脱自在に装着されることにより、エジェクタプレートの上昇動作で表皮セット枠が基準位置に上昇するとき、表皮セット枠の基準位置における高さ位置を調整可能としたことを特徴とする。
【0018】
従って、本発明によれば、積層成形体の展開率が大きく、製品形状が複雑な場合、あるいは表皮の伸び率が小さい場合は、表皮セット枠を支持するサポートピンにスペーサーを装着することで、下側型板の型面に対して表皮セット枠を高位置に設定でき、表皮に充分な弛みシロをもたせた状態でセットできるため、成形時、表皮に切れ等の不具合が生じることがない。
【0019】
また、積層成形体の展開率が小さい場合には、スペーサーを取り外した状態で表皮セット枠を低位置に設定することで、成形時、表皮にシワ等が生じることがない。
【0020】
更に、スペーサーは、サポートピンの下端側に取り付ける場合は、下側ホルダの4隅部に設けた作業用開口を通して簡単にスペーサーの着脱が行なえるとともに、サポートピンの上端にスペーサーを着脱自在に取り付ける場合は、下側ホルダから上方に露出しているため、これも簡単に着脱操作が可能である。
【0021】
従って、サポートピンの下端、あるいは上端にスペーサーを簡単に着脱操作できるため、表皮のセット高さ位置を簡単に調整できることから、従来のように、4本のサポートピンを型から取り外し、新たなサポートピンを型に取り付けるという面倒な作業を廃止でき、作業性を大幅に向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層成形体の成形方法及び成形金型の好適な実施の形態について、ドアトリムの成形方法に適用した具体例について説明する。
【0023】
図1は本発明により製作した自動車用ドアトリムを示す正面図、図2は同自動車用ドアトリムの構成を示す断面図、図3は本発明方法に使用する成形金型の構成を示すもので、スペーサー装着タイプ(a)とスペーサーを外したタイプ(b)とを比較して示した説明図、図4乃至図6はドアトリムの成形方法の各工程を示す説明図、図7は本発明方法をコールドプレス成形工法に適用した説明図、図8はスペーサー装着部位を変更した成形金型の構成を示す説明図である。
【0024】
まず、図1,図2において、本発明方法を使用して製作した自動車用ドアトリムの構成について簡単に説明する。自動車用ドアトリム10は、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との上下二分割体から構成されている。ドアトリムアッパー20には、インサイドハンドルエスカッション11、プルハンドル12、パワーウインドウスイッチフィニッシャー13が取り付けられており、ドアトリムロア30には、ポケット用開口14が開設され、その背面側には、図示しないポケットバックカバーが装着され、ポケット用開口14のフロント側には、スピーカーグリル15が取り付けられている。
【0025】
そして、ドアトリムアッパー20とドアトリムロア30との外観上のアクセント効果をもたらすために、ドアトリムアッパー20は、図2に示すように、所望の曲面形状に成形された樹脂芯材21の表面に表皮22が一体貼着された積層構造体を使用するとともに、ドアトリムロア30は、合成樹脂単体品から構成されている。
【0026】
更に詳しくは、ドアトリムアッパー20における樹脂芯材21は、汎用の合成樹脂の射出成形体を使用しても、また、合成樹脂シートのプレス成形体を使用しても良い。樹脂芯材21の素材としては、通常好ましく使用できる合成樹脂全般が使用できる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂等から適宜選択されて良く、本実施形態では、環境面、リサイクル面を考慮して、ポリプロピレン系樹脂が使用されている。
【0027】
また、上記合成樹脂中に適宜フィラー、例えばガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維やタルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子等の充填剤を混入しても良い。
【0028】
一方、表皮22は、織布、不織布等の布地系シートや、合成樹脂シートを使用でき、本実施形態では、リサイクル面を考慮して、樹脂芯材21に使用するポリプロピレン系樹脂と相溶性を備えたTPO(サーモプラスチックオレフィン)シートが使用されている。
【0029】
そして、本発明方法を自動車用ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20に適用することで、ドアトリムアッパー20は、表皮22にシワ、あるいは切れ等の成形不良が生じることがなく、良好な外観性能が確保されている。
【0030】
次いで、ドアトリムアッパー20を成形する際に使用する成形金型40の構成について、図3を基に説明する。尚、この成形金型40は、モールドプレス成形工法を使用した具体例であり、図3(a)、(b)でそれぞれスペーサー有り無しタイプを対比して説明する。
【0031】
図示するように、上記成形金型40は、成形上型50と成形下型60とから大略構成されている。まず、成形上型50は、図示しない昇降シリンダにより所定ストローク上下動可能な上側ホルダ51の下面にドアトリムアッパー20の製品形状を有する型面を備えた上側型板52が取り付けられているとともに、この上側型板52の外周に位置するように、表皮保持枠53が上側ホルダ51の下面に取り付けられている。また、表皮保持枠53には、表皮22を保持するためのセットピン54が適宜ピッチ間隔で設けられている。一方、成形下型60は、固定側の下側ホルダ61の上面に上側型板52と対応する下側型板62が固着されており、更に、本発明部分である表皮保持機構が設けられている。
【0032】
すなわち、下側ホルダ61に表皮セット枠63が上下動可能に取り付けられている。表皮セット枠63は、その下面4隅部においてサポートピン64で支持され、このサポートピン64は、下側ホルダ61の上面所定箇所に取り付けられているウレタンゴム65にそれぞれ対応するサポートピン64が挿通され、サポートピン64の外周面とウレタンゴム65との摩擦抵抗力により、サポートピン64はその位置で保持されている。
【0033】
そして、下側ホルダ61には、成形後の成形品を脱型するために、エジェクタプレート66が内装されており、このエジェクタプレート66は、図示しないシリンダにより所定ストローク上下動作を行ない、エジェクタプレート66に連結しているエジェクタピン66aより成形品を下側型板62から上方に突き上げる。
【0034】
更に、このエジェクタプレート66は、上昇時にサポートピン64を上方に突き上げ、サポートピン64に支持されている表皮セット枠63も上昇して、表皮セット枠63が初期位置(基準位置)に戻る。また、樹脂芯材21の樹脂通路として、下側ホルダ61及び下側型板62には、マニホールド70が設けられており、このマニホールド70とゲート71を通じて樹脂芯材21の素材である溶融樹脂が下側型板62の型面上に供給される。
【0035】
ところで、本発明に係る成形金型40は、表皮22のセット位置を最適位置に簡単に可変調整できるように、表皮セット枠63を支持するサポートピン64のピン長さを可変できるスペーサー67を設けたことが特徴である。
【0036】
すなわち、図3(a)は、表皮セット枠63を支持するサポートピン64の下端にスペーサー67を取り付けてサポートピン64を長寸に設定した実施形態、図3(b)は、スペーサー67を取り外してサポートピン64を短寸に設定した実施形態がそれぞれ示されている。従って、図3(a)と図3(b)とでは、スペーサー67のスペーサー本体67aの長さ寸法(図中符号dで示す)だけ、表皮セット枠63の高さ位置においてd寸法の差異が設定されている。
【0037】
このスペーサー67は、スペーサー本体67aにネジ部67bが形成されており、サポートピン64の下端側の凹部64a内にネジ込むことで、簡単にスペーサー67をサポートピン64の下端に取り付けることができる。更に、サポートピン64にスペーサー67を簡単に取り付けることが可能なように、下側ホルダ61の壁面に作業用開口68が設けられている。
【0038】
このように、本発明方法に使用する成形金型40は、スペーサー67をサポートピン64に取り付けて、サポートピン64のピン長さを長く設定することで、下側型板62の型面に対して表皮セット枠63を高位置に設定できる。また、逆にスペーサー67を取り外してサポートピン64のピン長さを短く設定して、下側型板62の型面とほぼ同位置となる低位置に表皮セット枠63を設定できる。従って、例えば、ドアトリムアッパー20の展開率が大きく、複雑な曲面形状の場合、あるいは表皮22の伸び率が小さい場合には、図3(a)のようにスペーサー67を取り付けて、表皮セット枠63を高位置に設定しておけば、表皮22を表皮セット枠63にセットした際、充分下方に弛み込んで、成形時に切れ等が生じないようにできる。
【0039】
また、ドアトリムアッパー20の曲面形状が単純形状であるか、あるいは表皮22の伸びが大きい場合には、図3(b)に示すように、表皮セット枠63を低位置に設定しておけば、表皮22にシワ等が生じることがなく、良好な成形性が得られることになる。
【0040】
次いで、図3(a)に示すように、表皮セット枠63を高位置に設定した場合におけるドアトリムアッパー20の成形工程について、図4乃至図6に基づいて説明する。図4は、成形上型50が最上方位置に位置しており、この型開き状態のときに成形下型60における表皮セット枠63に表皮22をセットする。このとき、下側型板62の型表面に対して表皮セット枠63はかなり上方位置に位置している。
【0041】
そして、表皮22のセットが完了すれば、成形上型50が昇降シリンダの駆動により下降を始め、上側ホルダ51に取り付けられた表皮保持枠53が下降して、表皮セット枠63に対して表皮保持枠53が当接し、表皮22の周縁部を表皮セット枠63と表皮保持枠53とで挟持し、表皮22が位置ズレすることをセットピン54が突き刺さることで防止できる。
【0042】
更に、表皮22の周縁を表皮セット枠63と表皮保持枠53で挟持した状態で、成形上型50の下降が続行して行なわれ、成形上下型50,60の上側型板52と下側型板62との型間クリアランスが10〜50mmの最適位置に到達したとき、成形下型60に連結されている射出機から溶融樹脂Mが供給され、マニホールド70、ゲート71を通じて両型板52,62間のキャビティ内に溶融樹脂が供給され、更に、成形上型50が下死点まで降下することで、図5に示すように、上側型板52と下側型板62との間のキャビティに沿って樹脂芯材21が所要形状に成形されるとともに、その表面に表皮22がプレス一体化される。このとき、表皮セット枠63は、表皮保持枠53により下方に押圧され、サポートピン64は、下側ホルダ61内に埋没するように下方向に下降して、ほぼエジェクタプレート66に接触する位置まで到達している。
【0043】
そして、成形上下型50,60における上側型板52と下側型板62との間で成形が完了すれば、図6に示すように、エジェクタプレート66が図示しない駆動シリンダの駆動により上昇し、エジェクタプレート66に連結されているエジェクタピン66aが所要形状に成形されたドアトリムアッパー20を上方に突き上げる。同時にエジェクタプレート66は、サポートピン64を上方に突き上げ、これにより、サポートピン64に支持されている表皮セット枠63は、上方位置、すなわち、図4に示す初期位置(基準位置)まで上昇することになる。
【0044】
このように、本発明方法によれば、サポートピン64にスペーサー67を装着するか、あるいはスペーサー67を取り外すか、またはスペーサー67の長さを適宜選択することにより、サポートピン64のピン長さを可変調整でき、このことにより、表皮セット枠63のセット位置高さを最適位置に調整できるため、ドアトリムアッパー20の造形状や表皮22の伸び率等の物性の変更に有効に対応でき、成形時に製品表面にシワや切れ等が生じることがない等、外観性能の優れた積層成形体の成形が可能となる。
【0045】
次いで、図7は、コールドプレス成形工法に適用した成形金型40を示すもので、コールドプレス成形工法を利用する場合は、樹脂芯材21は下側型板62の型面上に原反シートSとして予め加熱軟化処理した状態でセットされ、その後、表皮22を表皮セット枠63にセットして、次いで、成形上型50を下降操作することで、樹脂芯材21を所要形状に成形し、その表面に表皮22をプレス圧着したドアトリムアッパー20を成形することができる。
【0046】
この樹脂芯材21の原反シートSとしては、例えば、ポリプロピレンに所望ならば木粉等のフィラーを混入した状態でTダイ押出し成形機によりシート状に押し出した原反シートSを使用すれば良い。この場合においても、表皮セット枠63の高さ位置はサポートピン64にスペーサー67を選択的に取り付けることで、表皮セット枠63を最適位置に調整すれば、同様の作用効果が得られる。
【0047】
次いで、図8は、本発明に使用する成形金型40の変形例を示すもので、サポートピン64に取り付けるスペーサー67の取付箇所を変更したものである。図8に示す成形金型40においては、サポートピン64の上端側にスペーサー67を介装している。すなわち、サポートピン64の上端面に凹部64aを設け、この凹部64aの内周面にネジ溝を刻設して、スペーサー67のネジ部67bを締め付けて、サポートピン64のピン長さを長寸に設定するようにしている。
【0048】
このように、サポートピン64の上端にスペーサー67を介装すれば、スペーサー67が下側ホルダ61から外部に露出するため、下側ホルダ61に作業用開口68を開設する必要がなく、スペーサー67の取り付け、取り外し作業が簡単に行なえるという利点がある。
【0049】
以上説明した実施形態は、上下二分割方式のドアトリム10におけるドアトリムアッパー20の成形に適用したものであるが、モールドプレス成形工法、コールドプレス成形工法を使用して、樹脂芯材表面に表皮をプレス圧着する構成であれば、用途は限定されない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る積層成形体の成形方法及び成形金型は、表皮をセットする表皮セット枠を支持するサポートピンにスペーサーを着脱自在に装着するという構成を採用することで、下側型板の型表面に対して表皮セット枠の高さ位置を自在に設定でき、積層成形体の形状や表皮の物性等を考慮して、適切な表皮セット位置を選択できることから、モールドプレス成形、あるいはコールドプレス成形により、樹脂芯材を所要形状に成形し、その表面に表皮をプレス圧着する際、表皮にシワが生じたり、また、切れが生じたりすることがなく、成形不良のない外観性能に優れた積層成形体を成形できるという効果を有する。
【0051】
更に、表皮セット位置を調整する際は、サポートピンに対してスペーサーをネジ込むという簡単な操作で表皮のセット位置を調整できるため、従来のように、サポートピンを型から取り外して新たなサポートピンを再度型内に挿入するという面倒な交換作業が廃止でき、簡単に対応でき、極めて実用的であるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により製作された自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】本発明方法に使用する成形金型を示すもので、(a)スペーサー装着時、(b)スペーサー取外し時の構成説明図である。
【図4】本発明方法によるドアトリムアッパーの成形方法における表皮のセット状態を示す説明図である。
【図5】本発明方法によるドアトリムアッパーの成形方法におけるモールドプレス成形工程時の状態を示す説明図である。
【図6】本発明方法によるドアトリムアッパーの成形方法における成形品の突き出し時の状態を示す説明図である。
【図7】本発明方法に使用するコールドプレス成形タイプの成形金型を示す説明図である。
【図8】本発明方法に使用する成形金型の変形例を示す説明図である。
【図9】従来のドアトリムの構成を示す断面図である。
【図10】従来のドアトリムを成形する成形金型の構成説明図である。
【図11】従来の成形金型における表皮セット枠を高位置に設定した状態を示す説明図である。
【図12】従来の成形金型における表皮セット枠を低位置に設定した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリムアッパー
21 樹脂芯材
22 表皮
30 ドアトリムロア
40 成形金型
50 成形上型
51 上側ホルダ
52 上側型板
53 表皮保持枠
54 セットピン
60 成形下型
61 下側ホルダ
62 下側型板
63 表皮セット枠
63a 位置決めガイド
64 サポートピン
64a 凹部
65 ウレタンゴム
66 エジェクタプレート
66a エジェクタピン
67 スペーサー
67a スペーサー本体
67b ネジ部
68 作業用開口
70 マニホールド
71 ゲート

Claims (3)

  1. 成形下型(60)における表皮セット枠(63)上に表皮(22)を載置した後、成形上型(50)を下降操作して、成形上型(50)における表皮保持枠(53)と、成形下型(60)における表皮セット枠(63)との間で表皮(22)の周縁部分を挟持した状態で成形上下型(50,60)における上側型板(52)と下側型板(62)とを型締めし、両金型間のキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することで、樹脂芯材(21)を所要形状に成形するとともに、その表面に表皮(22)を一体貼着する積層成形体(20)の成形方法であって、
    前記積層成形体(20)の形状、あるいは表皮(22)の物性に応じて、表皮セット枠(63)を支持するサポートピン(64)にスペーサー(67)を着脱操作することで成形下型(60)における下側型板(62)の高さ位置に対して、表皮セット枠(63)の高さ位置を調整することにより、樹脂芯材(21)の曲面形状に表皮(22)を追従一体化させるようにしたことを特徴とする積層成形体の成形方法。
  2. 成形下型(60)における下側型板(62)上に樹脂芯材(21)の原反シート(S)を加熱軟化処理した状態でセットした後、表皮セット枠(63)上に表皮(22)を載置し、その後、成形上型(50)を下降操作して、成形上下型(50,60)における表皮保持枠(53)と表皮セット枠(63)との間で表皮(22)の周縁部を挟持した状態で上側型板(52)と、下側型板(62)の間で原反シート(S)をプレス圧着して、樹脂芯材(21)を所要形状に成形するとともに、この樹脂芯材(21)の表面に表皮(22)をプレス圧着する積層成形体(20)の成形方法であって、
    前記積層成形体(20)の形状、あるいは表皮(22)の物性に応じて、表皮セット枠(63)を支持するサポートピン(64)にスペーサー(67)を着脱操作することで成形下型(60)における下側型板(62)の高さ位置に対して、表皮セット枠(63)の高さ位置を調整することにより、樹脂芯材(21)の曲面形状に表皮(22)を追従一体化させるようにしたことを特徴とする積層成形体の成形方法。
  3. 所要形状に成形される樹脂芯材(21)と、この樹脂芯材(21)の表面にプレス圧着される表皮(22)とから構成される積層成形体(20)の成形金型(40)において、
    前記成形金型(40)は、相互に型開き、型締め可能な成形上型(50)並びに成形下型(60)から構成され、成形上型(50)は、所定ストローク上下動可能な上側ホルダ(51)に、樹脂芯材(21)を型締めする上側型板(52)と、表皮(22)を支持する表皮保持枠(53)が取り付けられる一方、成形下型(60)は、下側ホルダ(61)に樹脂芯材(21)を造形する下側型板(62)が固定され、表皮(22)をセットする表皮セット枠(63)がサポートピン(64)により支持され、このサポートピン(64)の上端又は下端のいずれかに、ピン長さを調整できるスペーサー(67)がネジ込み方式で着脱自在に装着されることにより、エジェクタプレート(66)の上昇動作で表皮セット枠(63)が基準位置に上昇するとき、表皮セット枠(63)の基準位置における高さ位置を調整可能としたことを特徴とする積層成形体の成形金型。
JP2002357395A 2002-12-10 2002-12-10 積層成形体の成形方法及び成形金型 Expired - Fee Related JP4111319B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002357395A JP4111319B2 (ja) 2002-12-10 2002-12-10 積層成形体の成形方法及び成形金型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002357395A JP4111319B2 (ja) 2002-12-10 2002-12-10 積層成形体の成形方法及び成形金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004188681A JP2004188681A (ja) 2004-07-08
JP4111319B2 true JP4111319B2 (ja) 2008-07-02

Family

ID=32757408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002357395A Expired - Fee Related JP4111319B2 (ja) 2002-12-10 2002-12-10 積層成形体の成形方法及び成形金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4111319B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111347608B (zh) * 2020-03-11 2021-10-29 重庆垣戎塑胶有限公司 一种注塑加工装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004188681A (ja) 2004-07-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0333198A2 (en) Process for producing a multilayer molded article
JPS6366651B2 (ja)
EP0655304B1 (en) Method for producing a skin-integrated laminate and mold device used thereof
JP3904204B2 (ja) 自動車用内装部品及びその端末処理方法
JP4906421B2 (ja) 積層成形体の成形方法並びに成形金型
JP4111319B2 (ja) 積層成形体の成形方法及び成形金型
JP2009154428A (ja) 自動車用内装部品並びにその製造方法
JP3755864B2 (ja) 積層成形体の成形方法並びに成形装置
KR20010006962A (ko) 열가소성 물품을 몰딩하기 위한 장치
JP5450032B2 (ja) 表皮の圧着方法並びに圧着装置
JP2009269189A (ja) 部分表皮貼り樹脂成形品の成形方法並びに成形金型
JP2008173896A (ja) 自動車用内装部品並びにその製造方法
JP3731857B2 (ja) シート材料の成形方法並びに成形装置
JP2006347083A (ja) 積層成形体の成形方法及び成形金型
JP3508911B2 (ja) プレス成形における原反シートのチャッキング方法及びチャキング装置
JP3745933B2 (ja) 積層成形体の成形方法
JP2007223218A (ja) 積層成形体の成形方法並びに成形金型
KR20040100733A (ko) 차량의 내장 판넬용 금형장치 및 이를 이용한 내장 판넬의제조방법
JP4917907B2 (ja) 積層成形体の成形方法並びに成形装置
JP2001347561A (ja) 積層成形体の成形方法並びに成形装置
TWI784636B (zh) 汽車捲簾門製造方法
JP4318158B2 (ja) 積層成形体の成形方法及び成形装置
JP4623640B2 (ja) 自動車用内装部品及びその製造方法
JPH11268127A (ja) シート材の張り込み装置
JP2635455B2 (ja) 多層成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050705

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070830

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees