JP4110598B2 - 積層式熱交換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱冷却プレート,クーラーボックス,保温箱及び配管内の気体と液体を加熱したり冷却するために用いられる熱交換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の熱交換装置は、図8に示す様に、管によって形成される凝縮流路部1と、キャピラリーチューブを用いた絞り流路部2と、管によって形成される蒸発流路部3と、圧縮機4を用いた圧縮流路部5とを順に環状に接続して構成される密閉回路に冷媒を充填して用いられていた。
【0003】
そして、凝縮流路部1を形成している部分は上板6と下板7が接合され、また蒸発流路部3を形成している部分は上板8と下板9が接合されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記する従来の熱交換装置では、凝縮流路部1と絞り流路部2と蒸発流路部3と圧縮機4の部品を個々に製造した上で接続しなければならず、溶接接合等の技術を必要とするもので製造工程が複雑であった。
【0005】
また、積層式熱交換装置を冷却または加熱プレートとして構成する場合には、凝縮流路部1と蒸発流路部3の管に夫々上板6と下板7及び上板8と下板9などの板状部品を接触させて構成しなければならず、その上別に圧縮機4等の部品類を固定するための別部品が必要になるという問題を有していた。
【0006】
また、積層式熱交換装置でクーラーボックス等の箱状空間部を冷却する場合には、凝縮流路部1および蒸発流路部3に上板6,8、下板7,9などの板状部品が必要になるとともに、箱の内と外を接続する配管の強度を補強するために別の補強部材が必要になり構成が複雑になるという問題を有していた。
【0007】
さらに、能力の異なる装置を製作する場合には、凝縮流路部1および蒸発流路部3の大きさを変更するなど新たに個々の部品を初めから設計し直さなければならず、新しい装置を製作するために多くの時間と費用を必要としていた。
【0008】
以上のように従来の構成では多くの問題点があった。そこで本発明はこれらの従来の問題点を解消することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層式熱交換装置は、上記課題を解決するために、上板と、一枚の平板を打ち抜いて形成され、凝縮流路部、絞り流路部、蒸発流路部、および圧縮手段が内蔵される圧縮流路部が順に接続される様に設けられた複数の流路板と、前記隣接する流路板を隔離する隔壁板と、複数の前記流路板を前記上板とで挟む様に接合保持した下板とを具備し、前記上板、複数の流路板、前記各流路板間の隔壁板、下板の積層により密閉され並列流路となる、前記凝縮流路部、絞り流路部、蒸発流路部、および圧縮流路部で形成される密閉回路に冷媒を充填するとともに、各流路板にわたり前記圧縮流路部となる空間部を同じ位置に構成したものである。
【0010】
従って、上記発明によれば、流路板と上板と下板、および隔壁板により冷媒回路を構成することができるので、簡単な構成で小型の熱交換装置を実現出来るとともに、部品同士の接合工程も大幅に省略できるため大量生産に適した構成を実現できる。
【0011】
加えて、大能力の装置の場合は流路板と隔壁板の積み上げ枚数を多くし、小能力の装置の場合は流路板と隔壁板の積み上げ枚数を少なくすることにより同一形状の部材で簡易に多くの異なる能力の装置を製作する事が出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の積層式熱交換装置は、上板と、一枚の平板を打ち抜いて形成され、凝縮流路部、絞り流路部、蒸発流路部、および圧縮手段が内蔵される圧縮流路部が順に接続される様に設けられた複数の流路板と、前記隣接する流路板を隔離する隔壁板と、複数の前記流路板を前記上板とで挟む様に接合保持した下板とを具備し、前記上板、複数の流路板、前記各流路板間の隔壁板、下板の積層により密閉され並列流路となる、前記凝縮流路部、絞り流路部、蒸発流路部、および圧縮流路部で形成される密閉回路に冷媒を充填するとともに、各流路板にわたり前記圧縮流路部となる空間部を同じ位置に構成したものである。
【0013】
これにより、生産性の向上が図れるとともに、異なる能力の熱交換装置を合理的に製作する事が出来るものである。
【0014】
【参考実施例】
以下本発明の実施例の前に、その参考実施例について説明する。
【0015】
(参考実施例1)
図1,図2において、10は凝縮流路部であり、絞り流路部11と、蒸発流路部12と、圧縮流路部13とが順に環状に接続される様に1枚の平板に流路が打ち抜かれて流路板14が形成されている。
【0016】
この流路板14を挟む様に上板15と、下板16で接合保持して密閉回路が形成され内部にフロンまたはアンモニア等の冷媒が充填されている。
【0017】
また、圧縮流路部13の内部には圧縮手段である回転板が設けられてその回転板の回転軸がモータ17に接続されている。
【0018】
次に動作,作用を説明すると、内部に充填された冷媒は、凝縮流路部10で冷却され高圧の液になり、絞り流路部11に流入し圧力を低下させて蒸発流路部12内で蒸発し冷媒の気化熱が発生して蒸発流路部12表面で冷却効果を得る事ができる。
【0019】
ガス化した冷媒は、圧縮流路部13に設けられた回転板がモータ17によって回転させられることにより、圧縮され圧力が高くなった状態で再び凝縮流路部10に送られ冷却液化し、密閉回路内を循環する事となる。
【0020】
従って、凝縮流路部10の表面で加熱作用が得られ、蒸発流路部12の表面で冷却作用がえられる積層熱交換装置が実現できる。
【0021】
また、図3において、蒸発流路部12が水平面で凝縮流路部10が垂直面を形成する用に流路板14と上板15と下板16がL字状に折り曲げられている。
【0022】
この例で、モータ17による回転板の回転状態では前記の様に冷媒が密閉流路内を循環するので、垂直面を形成する凝縮流路部10の外表面は空気の自然対流によって放熱され、一方では、水平面を形成する蒸発流路部12では冷媒の気化熱による冷却効果が得られる。この時、被冷却体18を蒸発流路部12の上に置くと、被冷却体18が冷却されることになるので、冷却プレートとして用いることができる。
【0023】
なお、この装置を90度回転させて、凝縮流路部10を水平面として設置して、凝縮流路部10の上に被加熱体を置く事により加熱プレートとして用いることができる。この時、加熱に供する熱は蒸発流路部12を介して空気より得ることが出来、ヒートポンプによる高効率の加熱プレートを実現することができる。
【0024】
図4の例は、蒸発流路部12と凝縮流路部10の面がともに垂直面を得られる様に流路板14と上板15と下板16がU字状に折り曲げられているとともに、蒸発流路部12は断熱箱19の内部に設置されている。
【0025】
ここで、モータ17による回転板の回転状態で、冷媒は密閉流路内を循環するので、垂直面を形成する凝縮流路部10の外表面は空気の自然対流で冷却され凝縮熱を空気に放熱するとともに、垂直面を形成する蒸発流路部12の外表面においても自然対流で空気より気化熱として熱を奪うため、断熱箱19内の温度が低下する。
【0026】
従って、断熱箱19をクーラーボックスとして用いる事ができる。なお、凝縮流路部10を断熱箱19の中に設置する事により、断熱箱19を保温箱または加熱箱として用いることができるとともに、ヒートポンプによる高効率の運転が可能となる。
【0027】
図5において、蒸発流路部12が管状に成形され配管20に接触保持されている。
【0028】
この例では、モータ17による回転板の回転状態で、冷媒は密閉流路内を循環するので、外表面は空気の自然対流で冷却され凝縮熱を空気に放熱するとともに、環状に成形された蒸発流路部12は伝導熱として配管20を通して配管20内を流れる流体を冷却する。
【0029】
なお、凝縮流路部10を管状に成形することにより、凝縮流路部10を用いて配管内の流体を加熱する加熱装置として運転することも可能である。
【0030】
さらに、蒸発流路部12と凝縮流路部10の両方を管状に成形することにより、2本の配管内の流体の熱交換を行う装置としても実現可能である。
【0031】
図6の例では、凝縮流路部10と蒸発流路部12とにおいて流路と流路との間の板の一部が切り起こされて伝熱フィン21が設けられている。
【0032】
この例では、モータ17による回転板の回転状態で、冷媒は密閉流路内を循環するので、凝縮流路部10と蒸発流路部12の外表面ではそれぞれ自然対流による空気との熱交換が行われるが、自然対流による熱交換は熱伝達率が小さいので、熱交換面積を多く必要とする。
【0033】
上記構成においては流路と流路との間の板の一部を切り起こして伝熱フィン21を設けているため、伝熱面積の拡大が図れ小型高性能の熱交換装置を実現する事ができる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
以上の参考実施例をふまえ以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
【0035】
なお、図1と動作用を行う構成については便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例のものを援用する。
【0036】
図7において、1枚の平板に凝縮流路部10と、絞り流路部11と、蒸発流路部12と、圧縮流路部13とが順に環状に接続される様に流路が打ち抜かれて流路板14が形成されている。
【0037】
この流路板14と流路板14の間に隔壁板22を挟んで複数枚積み上げるとともに、最上部と最下部に上板15と、下板16を接合保持して平行流路を有する密閉回路が形成され、内部にフロンまたはアンモニア等の冷媒が充填されている。
【0038】
圧縮流路部13は、それぞれ流路板14の凝縮流路部10と蒸発流路部12との間の流路に全体を貫く様に空間状に設けられており、モータ17に駆動される回転板が内設されている。
【0039】
次に動作,作用を説明すると、モータ17による回転板の回転状態で、冷媒は並列流路を循環する。凝縮流路部10では、上板15と、下板16の表面で放熱するとともに、側面及び空間部側面で放熱する。
【0040】
さらに蒸発流路部12においても同様に上板15と、下板16の表面で放熱するとともに、側面および空間部側面で吸熱するため、装置の必要能力に応じて、積層枚数を設定することにより容易に異なった能力装置の製作に対応できる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、少なくとも流路板と上板と下板、および隔壁板で冷媒の流路を構成することが出来るので、個々の要素部品を溶接等の手段で接続する必要もなく、製造が容易で信頼性が高く、小型で高性能な装置を実現することができるという効果を有する。また、能力の異なる装置に対して、同一形状の流路板および隔壁板で積層枚数を調整する事で対応が可能という有利な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考実施例における積層熱交換装置の要部分解斜視図
【図2】 同積層熱交換装置の要部組立斜視図
【図3】 同積層熱交換装置の変形例を示す要部断面構造説明図
【図4】 同積層熱交換装置の他の変形例を示す要部断面構造説明図
【図5】 同積層熱交換装置のさらに他の変形例を示す要部断面構造説明図
【図6】 同積層熱交換装置のさらに他の変形例を示す要部断面構造説明図
【図7】 本発明の実施例を示す積層熱交換装置の要部斜視説明図
【図8】 従来例の積層熱交換装置の要部説明図
【符号の説明】
1,10 凝縮流路部
2,11 絞り流路部
3,12 蒸発流路部
5,13 圧縮流路部
8,15 上板
9,16 下板
14 流路板
17 モーター
22 隔壁板

Claims (1)

  1. 上板と、一枚の平板を打ち抜いて形成され、凝縮流路部、絞り流路部、蒸発流路部、および圧縮手段が内蔵される圧縮流路部が順に接続される様に設けられた複数の流路板と、前記隣接する流路板を隔離する隔壁板と、複数の前記流路板を前記上板とで挟む様に接合保持した下板とを具備し、前記上板、複数の流路板、前記各流路板間の隔壁板、下板の積層により密閉され並列流路となる、前記凝縮流路部、絞り流路部、蒸発流路部、および圧縮流路部で形成される密閉回路に冷媒を充填するとともに、各流路板にわたり前記圧縮流路部となる空間部を同じ位置に構成した積層式熱交換装置。
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