JP4108440B2 - 自動二輪車のロック部材収納構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の盗難防止用ロック部材収納構造の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の盗難防止用ロック部材には各種のものが実用化されているが、なかでも、U字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔を備えたロック棒とからなるロック部材の需要が、増加しつつある。このロック部材は、走行に先立って、ロック棒からU字部材を分離することで車輪などから取外し、車体の後部に収納するようにした、ロック部材収納構造が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3274462号公報(第2−3頁、図5−7)
【特許文献2】
特開平8−80882号公報(第3−4頁、図1、図4)
【0004】
特許文献1によれば、従来の自動二輪車のロック部材収納構造は、開閉式のシートを開けた後に、ロック棒にU字部材を組付けた状態のロック部材を、リヤカウルの上部とキャリヤの下部との間の隙間に後方から挿入し、再びシートを閉じることで、シートの下面に設けられた係止突片にてロック部材を抜け止めするというものである。ロック部材を取り出すには、シートを開けた後にロック部材を後方へ引き抜けばよい。
【0005】
特許文献2によれば、従来の自動二輪車のロック部材収納構造は、マッドガードとその上のシートとの間の収納部に、分離した状態のロック棒並びにU字部材を収納するというものである。シートを開けることでロック棒並びにU字部材を取り出すことができる。
収納部に対し、U字部材を平面視で傾けて収納することで、収納部のスペースを大きくすることなくU字部材を収納できる。このため、シートを前後方向に延す必要はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示される従来の技術は、ロック部材を使用する度に、キーにより開錠してロック棒からU字部材を分離する必要があり、操作が面倒である。
【0007】
一方、特許文献2に示される従来の技術は、比較的狭い収納スペースに脚が長いU字部材を収納するようにしたので、U字部材を出し入れするための大きい開口を収納部に設けることには限界がある。このため、U字部材を容易に出し入れできるようにするには改良の余地がある。これに対して、収納部に大きい開口を設けるようにすると、自動二輪車の設計の自由度が制限されてしまう。
【0008】
そこで本発明の目的は、車体の後部にロック部材を容易に出し入れ可能に収納することができるとともに、車体の後部に収納されたロック部材をより迅速に且つより簡便に使用することができる技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車輪に嵌めるU字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔及び開錠のためのキー孔を備えたロック棒とからなるロック部材を、車体の後部に収納するようにした自動二輪車において、車体のテールランプとライセンスプレートとの間に、前記ロック棒から分離した前記U字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えたことを特徴とする。
【0010】
車体のテールランプとライセンスプレートとの間に、ロック棒から分離したU字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えたので、車体のテールランプとライセンスプレートとの間の、比較的広いスペースに収納空洞部に対してU字部材を容易に出し入れすることができる。テールランプとライセンスプレートとの間にロック部材を容易に出し入れ可能に収納することができる。しかも、収納空洞部から引き抜いたU字部材を、そのまま車輪に嵌めてロック棒に組付け、施錠することができる。このため、車体の後部のテールランプとライセンスプレートとの間に収納されたロック部材を、より迅速に且つより簡便に使用して、ロック作業をすることができる。
【0011】
請求項2は、車輪に嵌めるU字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔及び開錠のためのキー孔を備えたロック棒とからなるロック部材を、車体の後部に収納するようにした自動二輪車において、車体の後部に、前記ロック棒から分離した前記U字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備え、収納空洞部の奥に、挿入された前記U字部材の脚に施錠する脚用錠を備え、脚用錠は、ロック棒を収納した収納部のリッドに施錠するリッド用錠の開錠動作に連動して開錠動作が可能な構成であることを特徴とする自動二輪車のロック部材収納構造。
請求項2では、車体の後部に、ロック棒から分離したU字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えたので、車体の後部にロック部材を容易に出し入れ可能に収納することができる。しかも、収納空洞部から引き抜いたU字部材を、そのまま車輪に嵌めてロック棒に組付け、施錠することができること、このため、車体の後部に収納されたロック部材を、より迅速に且つより簡便に使用して、ロック作業をすることができること、収納空洞部の奥までU字部材の脚を挿入したときに、脚に錠が掛かり、このため、施錠操作をすることなく、車体の後部からU字部材を抜け止めすることができること、従って、車体に対するU字部材の装着作業が容易であること、リッド用錠の開錠操作をするだけで、脚用錠をも開錠させることができ、このため、脚用錠を開錠させる専用の機構を設ける必要がないので、ロック部材収納構造を簡単な構成にでき、しかも、脚用錠を独立して開錠操作する必要がないので、車体の後部に収納されたロック部材を、より一層迅速に且つより一層簡便に使用して、ロック作業をすることができる。
【0012】
請求項3は、請求項1または請求項2において、前記収納空洞部は、前記U字部材を前記脚側から挿入可能な孔であることを特徴とする。
請求項3では、収納空洞部にU字部材を脚側から挿入できるので、収納空洞部からU字部材を引き抜くときに握っている手を持ち替えることなく、引き抜いたU字部材を、そのまま車輪に嵌めてロック棒に組付け、施錠することができる。このため、ロック作業がより一層容易になる。
【0013】
請求項4は、請求項1、請求項2または請求項3の何れか1項において、前記収納空洞部は、平面視で前記U字部材に類似した孔であることを特徴とする。
請求項4では、平面視でU字部材に類似した収納空洞部にU字部材を挿入するようにしたので、収納空洞部にU字部材をがたつき無く収納することができる。
【0014】
請求項5は、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4の何れか1項において、前記収納空洞部は、車幅中央部CLの窪み部を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項5では、リヤフェンダの後端部に窪み部を有するので、収納空洞部にU字部材を出し入れするときに、基部を手で掴みやすくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0017】
図1は本発明に係る自動二輪車の左側面図である。この自動二輪車10は、ダイヤモンド型車体フレーム11と、車体フレーム11のヘッドパイプ12に取付けたフロントフォーク13と、フロントフォーク13に取付けた前輪14並びにフロントフェンダ15と、フロントフォーク13に連結したハンドル16と、車体フレーム11の上部に取付けた燃料タンク17と、車体フレーム11から後方へ延したシートレール18と、シートレール18に取付けた前部シート21並びに後部シート22と、車体フレーム11の下部に取付けたエンジン23と、エンジン23の排気口に排気管24を介して接続した消音器25と、車体フレーム11の後部にリヤクッションユニット26で懸架したスイングアーム27と、スイングアーム27に取付けた後輪28と、車体フレーム11の前部を覆うフロントカウル31と、シートレール18の周りを覆うリヤカウル32と、後輪28の後上方に配置してシートレール18の後部に取付けたリヤフェンダ33と、を主要な構成部材とする。
【0018】
前部シート21には運転者が座ることができ、後部シート22には同乗者が座ることができる。図中、41はウインドスクリーン、42はラジエータ、43はエアクリーナ、44はスロットルボディ、45は伝動チェーン、46はメインスタンド、47はクラブレールである。
【0019】
図2は本発明に係る自動二輪車の後部側面図であり、左側方から見た後部シート22、リヤカウル32及びリヤフェンダ33周りを断面して表したものである。
この図は、シートレール18の上方に上開放の収納部51並びに後部シート22をこの順に配置し、この後部シート22の前部をヒンジ52を介してシートレール18に上下スイング可能に取付けるとともに、後部シート22の後部をシートロック機構60を介してシートレール18にロック可能に取付けたことを示す。
【0020】
収納部51の上に配置した後部シート22は、収納部51の上部開口を塞ぐリッドの役割を果たす。シートロック機構60は、リッドとしての後部シート22に施錠するリッド用錠の役割を果たし、後部シート22の下面に設けた略U字状のストライカ61とこのストライカ61を施錠するシートキャッチユニット62とからなる。
【0021】
ところで、本発明は、自動二輪車10の盗難防止のためのロック部材70を車体81の後部に収納するようにした、盗難防止用ロック部材収納構造に特徴がある。ロック部材70は、車輪に嵌めるU字部材71と、このU字部材71の一対の脚72,72を挿入する一対の挿入孔(図示せず)及び開錠のためのキー孔77を備えたロック棒76とからなる、一般的な盗難防止部材である。
【0022】
具体的には、車体81の後部に、ロック棒76から分離したU字部材71を車体81の後方から挿入して固定する収納空洞部82を備えた。収納空洞部82は、例えば樹脂製リヤフェンダ33の上部に一体に形成した前後に長い孔であり、収納部51の下に配置したものである。このような収納空洞部82は、若干後上がりに傾斜することによって、収納したU字部材71を安定して収納することができる。
【0023】
このように、ロック棒76を上部の収納部51に収納するとともに、U字部材71を収納空洞部82に収納することができる。
なお、シートレール18は、側部にシート開錠用キーシリンダ90を取付けたものである。シート開錠用キーシリンダ90は、後部シート22を開けるときにシートロック機構60を開錠操作する部材であり、図示せぬキーを挿入して回すことで開錠させることができる。
【0024】
図3は本発明に係るシート下収納部の平面断面図であり、収納部51にロック棒76を横置きにして(車幅方向に延して)、バンド53にて取外し自在に取付けたことを示す。ロック棒76は、U字部材71の一対の脚72,72を挿入する一対の挿入孔78,78を備える。
【0025】
図4は本発明に係る収納空洞部の平面断面図である。収納空洞部82は、平面視でU字部材71に類似した有底の孔であって、U字部材71を脚72,72側から挿入可能である。脚72,72は、先端部に括れた形状の係止部73,73を有する。これらの係止部73,73の径は脚72,72よりも小径である。係止部73,73は、ロック棒76(図3参照)に施錠されることになる。
本発明は、収納空洞部82の奥に、挿入されたU字部材71の脚72,72に施錠する脚用錠100を備えたことを特徴とする。脚用錠100の詳細構造については後述する。
【0026】
具体的に説明すると、収納空洞部82は、リヤフェンダ33の後端部33aから前方(この図の左側)へ若干窪んだ車幅中央部CLの窪み部83と、この窪み部83の左右両側でリヤフェンダ33の後端部33aから前方へ延びる細長い筒状の脚収納部(左側の第1脚収納部84及び右側の第2脚収納部85)と、からなる。
【0027】
第1・第2脚収納部84,85は、脚72,72を奥まで挿入したときに、U字部材71の基部74、すなわち、脚72,72の付け根の部分の丸み部分74がリヤフェンダ33の後端部33aから後方へ若干露出する程度の長さである。リヤフェンダ33の後端部33aに窪み部83を有するので、収納空洞部82にU字部材71を出し入れするときに、基部74を手で掴み易い。
【0028】
第1脚収納部84は、奥に脚用錠100を備える。第2脚収納部85は、奥に圧縮ばね86を備える。圧縮ばね86は、挿入されたU字部材71の脚72の先端を後方へ弾発する弾発部材である。
【0029】
このように、平面視でU字部材71に類似した収納空洞部82にU字部材71を挿入するようにしたので、収納空洞部82にU字部材71をがたつき無く収納することができる。
【0030】
図5は本発明に係る自動二輪車の後部斜視図であり、後部シート22、リヤカウル32、リヤフェンダ33及び収納空洞部82周りを後方から見たものである。
この図は、リヤカウル32の後部にテールランプ111を取付け、リヤカウル32の下にリヤフェンダ33を配置したことを示す。リヤフェンダ33は、後部上部にライセンスプレートランプ112(ナンバプレートランプ112)を取付け、後部下部にライセンスプレート113(ナンバプレート113)を取付け、後部左右にリヤウインカ114,114を取付けたものである。
【0031】
ライセンスプレートランプ112は、ライセンスプレート113を照らす照明灯であり、後端面にリフレクタ115を備える。
さらにこの図は、収納空洞部82をテールランプ111とライセンスプレート113との間に配置したことを示す。テールランプ111とライセンスプレート113との間の、比較的広いスペースに収納空洞部82を配置したので、収納空洞部82に対してU字部材71を容易に出し入れすることができる。
【0032】
図6は本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの構成図である。脚用錠100は、リッドとしての後部シート22(図2参照)に施錠するシートロック機構60(リッド用錠60)の開錠動作に連動して開錠動作が可能な構成である。
【0033】
詳しく説明すると、シートロック機構60のシートキャッチユニット62は、シートレールに取付けたフレーム部63と、フレーム部63に左右スイング可能に取付けた施錠爪部材64並びに掛止部材65と、施錠爪部材64と掛止部材65との間に掛けた引張ばね66と、からなる。
【0034】
施錠爪部材64は、ストライカ61を施錠するロック部材である。掛止部材65は、施錠爪部材64とストライカ61との施錠状態を維持するために施錠爪部材64を掛止する施錠保持部材である。引張ばね66は、施錠爪部材64と掛止部材65との係合関係を維持するために弾発する弾発部材である。67,68は支持軸である。
【0035】
掛止部材65とシート開錠用キーシリンダ90との間は、ワイヤケーブル92で連結している。すなわち、シート開錠用キーシリンダ90は、内蔵されたシリンダ本体と共に回転するアーム91を備え、このアーム91の先端部にワイヤケーブル92の一端を取付けたものである。
シート開錠用キーシリンダ90の開錠操作によって、ワイヤケーブル92を介して掛止部材65及び施錠爪部材64を開錠作動させることができる。
【0036】
一方、脚用錠100は、第1脚収納部84の奥に且つ第1脚収納部84に対して直交する方向に延びた筒状のフレーム部101と、フレーム部101から第1脚収納部84内に出没可能に(スライド自在に)収納したスライダ部材102と、スライダ部材102を第1脚収納部84内に向かって弾発する圧縮ばね103と、スライダ部材102が第1脚収納部84内に突出する量を制限するストッパ104と、からなる。
【0037】
スライダ部材102の先端部は、脚72,72の係止部73に掛け止める部分であり、第1脚収納部84の開口側(この図の右側)に臨む面に傾斜した傾斜面102aを有する。このため、第1脚収納部84に挿入した脚72の先端の押す力によって、スライダ部材102が第1脚収納部84内から後退することになる。
施錠爪部材64とスライダ部材102との間は、ワイヤケーブル105で連結している。施錠爪部材64が開錠方向にスイングしたときに、ワイヤケーブル105を介してスライダ部材102をアンロックさせることができる。
【0038】
次に、上記構成のシートロック機構60、脚用錠100及びシート開錠用キーシリンダ90の作用を図7〜図10に基づき説明する。
図7は本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その1)であり、シートロック機構60及び脚用錠100が開錠状態にあることを示す。この状態において、収納空洞部82の奥までU字部材71の脚72を挿入すると、脚72の先端がスライダ部材102の傾斜面102aを押す。この結果、スライダ部材102は圧縮ばね103の弾発力に抗して一旦後退する。その後、小径の係止部73がスライダ部材102の先端に臨む位置まで脚72が挿入されたときに、圧縮ばね103の弾発力によってスライダ部材102が進出して係止部73に掛け止まる。この結果、収納空洞部82の奥まで挿入された脚72は脚用錠100によって施錠される。施錠された状態を次の図8に示す。
【0039】
図8は本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その2)であり、脚72を脚用錠100によって施錠した状態を示す。
このように、収納空洞部82の奥に、挿入されたU字部材71の脚72に施錠する脚用錠100を備えたので、収納空洞部82の奥までU字部材71の脚72を挿入したときに、脚72に錠が掛かる。このため、施錠操作をすることなく、車体の後部からU字部材71を抜け止めすることができる。従って、車体に対するU字部材71の装着作業が容易である。
【0040】
次に、後部シート22(図2参照)を閉じることでストライカ61が下がり、施錠爪部材64を押す。この結果、施錠爪部材64は図時計回りにスイングして、爪部64aがストライカ61に掛かるとともに、係止先端64bが掛止部材65の係止凸部65aに引っ掛かる。この状態を次の図9に示す。
【0041】
図9は本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その3)であり、爪部64aがストライカ61に掛かることで、シートロック機構60が施錠状態になるとともに、施錠爪部材64の係止先端64bが掛止部材65の係止凸部65aに引っ掛かることで、施錠状態を維持する。
このように、シートロック機構60及び脚用錠100は互いに独立した施錠作用をなすことができる。
【0042】
この施錠状態において、シート開錠用キーシリンダ90に図示せぬキーを差し込んで回し操作、すなわち開錠操作することにより、内蔵されたシリンダ本体と共にアーム91が図時計回りにスイングしてワイヤケーブル92を引くことができる。この結果、掛止部材65が図反時計回りにスイングすることで、掛止部材65の係止凸部65aから施錠爪部材64の係止先端64bが外れる。施錠爪部材64は、引張りばね66の弾発力によって図反時計回りにスイングすることで、爪部64aがストライカ61から外れて開錠状態になる。
【0043】
しかも、施錠爪部材64がスイング作動することで、ワイヤケーブル105が引かれる。この結果、脚用錠100のスライダ部材102は、圧縮ばね103の弾発力に抗して後退することで、係止部73から外れて開錠状態になる。これらの状態を次の図10に示す。
【0044】
図10は本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その4)であり、シートロック機構60及び脚用錠100が開錠状態になったことを示す。
脚用錠100が解除状態になると同時に、上記図4に示される圧縮ばね86の弾発力によってU字部材71の脚72,72は収納空洞部82の開口側、すなわち車体後方へ押し出される。このため、シート開錠用キーシリンダ90を元の状態に戻しても、脚用錠100が再び施錠されることはない。収納空洞部82からU字部材71を引き抜くことができる。また、シートロック機構60が解除状態なので、上記図2に示される後部シート22を開けて、収納部51からロック棒76を取り出すことができる。そして、U字部材71を、そのまま車輪に嵌めてロック棒76に組付け、施錠することができる。
【0045】
上記図2を参照しつつ説明すると、脚用錠100が、ロック棒76を収納した収納部51の後部シート22に施錠するシートロック機構60(リッド用錠60)の開錠動作に連動して開錠動作が可能な構成なので、シートロック機構60の開錠操作をするだけで、脚用錠100をも開錠させることができる。このため、脚用錠100を開錠させる専用の機構を設ける必要がないので、ロック部材収納構造を簡単な構成にできる。しかも、脚用錠100を独立して開錠操作する必要がないので、車体81の後部に収納されたロック部材70を、より一層迅速に且つより一層簡便に使用して、ロック作業をすることができる。
【0046】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
車体81の後部に、ロック棒76から分離したU字部材71を後方から挿入して固定する収納空洞部82を備えたので、車体81の後部にロック部材70を容易に出し入れ可能に収納することができる。しかも、収納空洞部82から引き抜いたU字部材71を、そのまま車輪に嵌めてロック棒76に組付け、施錠することができる。このため、車体81の後部に収納されたロック部材70を、より迅速に且つより簡便に使用して、ロック作業をすることができる。
【0047】
さらには、収納空洞部82にU字部材71を脚72,72側から挿入できるので、収納空洞部82からU字部材71を引き抜くときに握っている手を持ち替えることなく、引き抜いたU字部材71を、そのまま車輪に嵌めてロック棒76に組付け、施錠することができる。このため、ロック作業がより一層容易になる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車輪に嵌めるU字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔及び開錠のためのキー孔を備えたロック棒とからなるロック部材を、車体の後部に収納するようにした自動二輪車において、車体のテールランプとライセンスプレートとの間に、ロック棒から分離した前記U字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えた。
従って、車体のテールランプとライセンスプレートとの間に、ロック棒から分離したU字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えたので、車体のテールランプとライセンスプレートとの間の、比較的広いスペースに収納空洞部に対してU字部材を容易に出し入れすることができる。テールランプとライセンスプレートとの間にロック部材を容易に出し入れ可能に収納することができる。しかも、収納空洞部から引き抜いたU字部材を、そのまま車輪に嵌めてロック棒に組付け、施錠することができる。このため、車体の後部のテールランプとライセンスプレートとの間に収納されたロック部材を、より迅速に且つより簡便に使用して、ロック作業をすることができる。
【0049】
請求項2は、車輪に嵌めるU字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔及び開錠のためのキー孔を備えたロック棒とからなるロック部材を、車体の後部に収納するようにした自動二輪車において、車体の後部に、ロック棒から分離したU字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備え、収納空洞部の奥に、挿入された前記U字部材の脚に施錠する脚用錠を備え、脚用錠は、ロック棒を収納した収納部のリッドに施錠するリッド用錠の開錠動作に連動して開錠動作が可能な構成とした。
請求項2では、車体の後部に、ロック棒から分離したU字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えたので、車体の後部にロック部材を容易に出し入れ可能に収納することができる。しかも、収納空洞部から引き抜いたU字部材を、そのまま車輪に嵌めてロック棒に組付け、施錠することができること、このため、車体の後部に収納されたロック部材を、より迅速に且つより簡便に使用して、ロック作業をすることができること、収納空洞部の奥までU字部材の脚を挿入したときに、脚に錠が掛かり、このため、施錠操作をすることなく、車体の後部からU字部材を抜け止めすることができること、従って、車体に対するU字部材の装着作業が容易であること、リッド用錠の開錠操作をするだけで、脚用錠をも開錠させることができ、このため、脚用錠を開錠させる専用の機構を設ける必要がないので、ロック部材収納構造を簡単な構成にでき、しかも、脚用錠を独立して開錠操作する必要がないので、車体の後部に収納されたロック部材を、より一層迅速に且つより一層簡便に使用して、ロック作業をすることができる。
【0050】
請求項3は、請求項1または請求項2において、収納空洞部は、U字部材を前記脚側から挿入可能な孔とした。
請求項3では、収納空洞部にU字部材を脚側から挿入できるので、収納空洞部からU字部材を引き抜くときに握っている手を持ち替えることなく、引き抜いたU字部材を、そのまま車輪に嵌めてロック棒に組付け、施錠することができる。このため、ロック作業がより一層容易になる。
【0051】
請求項4は、請求項1、請求項2または請求項3の何れか1項において、収納空洞部は、平面視でU字部材に類似した孔とした。
請求項4では、平面視でU字部材に類似した収納空洞部にU字部材を挿入するようにしたので、収納空洞部にU字部材をがたつき無く収納することができる。
【0052】
請求項5は、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4の何れか1項において、収納空洞部は、車幅中央部CLの窪み部を備えている。
【0053】
請求項5では、リヤフェンダの後端部に窪み部を有するので、収納空洞部にU字部材を出し入れするときに、基部を手で掴みやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の左側面図
【図2】本発明に係る自動二輪車の後部側面図
【図3】本発明に係るシート下収納部の平面断面図
【図4】本発明に係る収納空洞部の平面断面図
【図5】本発明に係る自動二輪車の後部斜視図
【図6】本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの構成図
【図7】本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その1)
【図8】本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その2)
【図9】本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その3)
【図10】本発明に係るシートロック機構、脚用錠及びシート開錠用キーシリンダの作用図(その4)
【符号の説明】
10…自動二輪車、14,28…車輪(前輪、後輪)、22…リッド(後部シート)、51…収納部、60…リッド用錠(シートロック機構)、70…ロック部材、71…U字部材、72…脚、76…ロック棒、77…キー孔、78…挿入孔、81…車体、82…収納空洞部、100…脚用錠、111…テールランプ、113…ライセンスプレート。
Claims (5)
- 車輪に嵌めるU字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔及び開錠のためのキー孔を備えたロック棒とからなるロック部材を、車体の後部に収納するようにした自動二輪車において、
前記車体のテールランプとライセンスプレートとの間に、前記ロック棒から分離した前記U字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備えたことを特徴とする自動二輪車のロック部材収納構造。 - 車輪に嵌めるU字部材とこのU字部材の一対の脚を挿入する一対の挿入孔及び開錠のためのキー孔を備えたロック棒とからなるロック部材を、車体の後部に収納するようにした自動二輪車において、
前記車体の後部に、前記ロック棒から分離した前記U字部材を後方から挿入して固定する収納空洞部を備え、
前記収納空洞部の奥に、挿入された前記U字部材の脚に施錠する脚用錠を備え、
前記脚用錠は、前記ロック棒を収納した収納部のリッドに施錠するリッド用錠の開錠動作に連動して開錠動作が可能な構成である、
ことを特徴とする自動二輪車のロック部材収納構造。 - 前記収納空洞部は、前記U字部材を前記脚側から挿入可能な孔であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の自動二輪車のロック部材収納構造。
- 前記収納空洞部は、平面視で前記U字部材に類似した孔であることを特徴とした請求項1、請求項2または請求項3の何れか1項に記載の自動二輪車のロック部材収納構造。
- 前記収納空洞部は、車幅中央部CLの窪み部を備えていることを特徴とした請求項1、請求項2、請求項3または請求項4の何れか1項に記載の自動二輪車のロック部材収納構造。
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