JP4107754B2 - 半導体放射線検出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線やγ線等の放射線のエネルギースペクトル或いは放射線強度の2次元情報を得るための半導体放射線検出器に関し、特に電荷収集能を低下させずに高い検出感度を得ることができる半導体放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体放射線検出器は、X線やγ線等の放射線と半導体結晶の相互作用によりイオン化を介して結晶内に電荷が生成することを利用したもので、このような性質を持つ半導体結晶の両面に電極を設け、これら電極間にバイアス電圧を印加することにより、生成した電荷を収集し、これを一方の電極(電荷収集電極)から信号として取り出す。
【0003】
この場合、入射する放射線のエネルギーを結晶の体積中で吸収するに必要な厚さは、放射線のエネルギーに比例して大きくなる。たとえば、CdZnTe結晶で入射するγ線の80%を検出するに必要な厚さは、エネルギー80keVに対して1.0mmであるが、140keVでは6.0mmになる。従って比較的に高いエネルギーのγ線を検出するためには、厚さの厚い結晶を用いることが必要になる。
【0004】
しかし、結晶の種類によっては結晶の厚さが増すにつれエネルギー分解能が低下する。例えば、CdTeやCdZnTe結晶では、電荷キャリヤーが陰極と電荷収集電極との間の結晶体積中をドリフトする過程で、その一部が結晶に固有の欠陥に捕獲される現象に特性を持っている。この電荷キャリヤー捕獲現象は、それにより電荷の収集効率が低下させるとともに、電子よりも正孔に対して強く現れるため、結晶内で電荷キャリヤーが生成する場所によって信号量の減少の度合いが異なることになる。
【0005】
このような特性をもつ検出器で放射線のエネルギースペクトルを測定した場合、図5(a)に示すようにエネルギーピークpが低エネルギー側に尾を引く現象(以下、テイリングという)を引き起こし、これがピークの幅を広げてエネルギー分解能を低下させる。同図(b)は、CdZnTeとGeの140keVのγ線に対するエネルギー分解能と結晶厚さの関係を示したものであるが、Geについての曲線Bは、厚さの増加によってほとんどその特性を低下させていないのに対し、CdZnTeについての曲線Aは厚さを増すにつれてエネルギー分解能を低下させている。
【0006】
Ge結晶に比較して低コストのCdTe、CdZnTe等を用いた半導体放射線検出器を放射線のエネルギースペクトル解析やガンマカメラなどの画像検出器に広く応用するためには、厚い結晶すなわち大きい容積の結晶におけるエネルギー分解能の向上が重要な課題になる。
【0007】
尚、結晶内で生成する電荷の収集効率を改善するために、電荷収集電極と同一面に、電荷収集電極よりも電圧が低く陰極よりも電圧が高く設定された第3の電極(参照電極)を設けた半導体検出器が提案されている(米国特許5,677,539号)。この半導体検出器では、放射線によって結晶内に生成した電荷(電子)を電荷収集電極の近傍に近づくまで電荷収集電極と参照電極で引き寄せ、電荷が電荷収集電極に誘導される距離を短くしている。これにより、捕獲による電荷収集効率の低下の影響を改善して、スペクトルのテイリングが抑制され、エネルギー分解能を高めている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような参照電極を設ける半導体検出器では、結晶の一つの面に電荷収集電極と参照電極とを形成し、これら一対の電極で面にほぼ平行な電場を形成しているため多数の検出器単位を配列する集積化に限界があり、電荷収集電極は参照電極に比べてかなり面積の小さい電極が要求される。このため放射線の強度分布を2次元の放射線像として検出する半導体検出器に応用する場合、十分な電荷収集効率を上げるに至っていない。また2次元検出器の画質を決定的にするエネルギー分解能の観点からもまだ性能向上の課題を残している。
【0009】
そこで本発明は、比較的簡単な検出器の構造で効果的なエネルギー分解能の向上を実現する半導体検出器を提供することを目的とする。また本発明は、結晶の厚さを増して実質的に大きい結晶容積を持たせて検出感度とエネルギー分解能を高めた半導体放射線検出器を提供することを目的とする。さらに本発明は、高画質の放射線像を検出することが可能な2次元検出器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の半導体放射線検出器は、放射線の照射により電荷を生成する半導体結晶と、結晶の第1の面に設けられた陰極と、前記結晶の第2の面に設けられた電荷収集電極と、これら電極間にバイアス電圧を印加する手段とを備えた半導体放射線検出器単位(単に検出器単位という)を複数積層し、各陰極および電荷収集電極をそれぞれ電気的に並列接続したものである。
【0011】
このような本発明の半導体放射線検出器は、複数nの検出器単位を積層することにより実質的に容積を積層枚数分増加させることができ、検出感度を高めることができる。また各検出器単位が電気的に並列接続されており、各単位毎にその結晶内で生成した電荷を収集するので、厚さの増加に伴うエネルギー分解能の低下を回避することができる。即ち、CdTeやCdZnTe結晶等では、結晶の厚さが厚くなるにつれエネルギー分解能は低下するが、本発明の半導体放射線検出器においては、エネルギー分解能の低下は検出器単位の結晶1つ分の漏洩電流による低下を積層数n加算したものに止まり、これは積層された厚さと同じ厚さの結晶を用いた場合のエネルギー分解能の低下よりも十分に小さい。これにより検出感度およびエネルギー分解能の高い放射線検出器を実現できる。
【0012】
本発明において各検出器単位の第1の面および第2の面は平行であり、これらの面を重ねる方向に積層される。これにより積層による厚さ増加の効果が得られる。またいずれか一方の面が放射線入射面となることが好ましい。これにより2次元の放射線像検出が可能となる。
【0013】
また本発明の半導体放射線検出器は各検出器単位を陰極どうし或いは電荷収集電極どうしが相対するように積層することが好ましい。これにより各陰極および電荷収集電極の並列接続が容易になる。さらに電極間の電気的接続を確実且つ容易にするために、電極間に接続手段を設けることが好ましい。
【0014】
本発明の半導体放射線検出器は、各検出器単位が単一の出力信号を発生する単独の検出器であってもよく、2次元検出器であってもよい。
【0015】
即ち、本発明の2次元半導体放射線検出器は、放射線の照射により電荷を生成する半導体結晶と、結晶の第1の面に設けられた陰極と、前記結晶の第2の面に設けられた電荷収集電極と、これら電極間にバイアス電圧を印加する手段とを備えた半導体放射線検出器単位(単に検出器単位という)を複数積層し、各陰極および電荷収集電極をそれぞれ電気的に並列接続したものであって、半導体放射線検出器単位は、前記陰極および前記電荷収集電極の少なくとも一方が複数の電極を備え、放射線強度の2次元情報を検出するものである。
【0016】
このような2次元半導体放射線検出器の一つの態様として、各検出器単位において、電荷収集電極は行列配列した複数の電荷収集電極からなる。また2次元半導体放射線検出器の別の態様によれば、各検出器単位において、陰極は行配列をする複数の長方形の電極からなり、電荷収集電極は列配列をする複数の長方形の電極からなる。この半導体放射線検出器は、行列で決定される位置ごとに出力信号を発生する。
【0017】
このような2次元検出器においても、陰極どうし或いは電荷収集電極どうしが相対するように積層することが好ましい。またこれら電極どうしを電気的に接続する接続手段を備えていることが好ましい。電極どうしを接続する手段としては、例えば結線しようとする電極を向かい合わせて、この電極間にスペーサ電極を介在させ、導電性と接着性を併せ持つ導電エポキシ材などで接着する等の細密電子部品の製造分野では一般的な技術を採用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半導体放射線検出器を図面に示す実施例を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の半導体放射線検出器1000の第1の実施例を示す図で、この半導体放射線検出器1000は、2つの検出器単位1000-1と1000-2とを接続手段であるスペーサ電極105を介して積層した構造を有している。検出器単位1000-1と1000-2は同様の構成を有し、それぞれ板状の半導体結晶100の第1の面に陰極103が形成され、この第1の面と平行な第2の面に電荷収集電極104が形成されており、各電荷収集電極104が向い合う(相対する)ように積層される。尚、図中3桁或いは4桁の符号の後に付されている「-1」、「-2」はそれぞれ同等の要素が複数ある場合にそれらを区別するための符号である(以下、同様)。
【0020】
スペーサ電極105は、銅等の導電材で構成され、出力信号を取り出すためのリード107が設けられている。これら2つの検出器単位1000-1と1000-2とスペーサ電極105とは、スペーサ電極105の両面或いは互いに向い合う2つの電荷収集電極104に予め塗布された導電エポキシ材等の導電材106によって機械的かつ電気的に接合される。スペーサ電極105のリード107は信号線108によって図示しない検出回路に接続されている。
【0021】
一方、2つの検出器単位1000-1と1000-2の陰極103は、図1(b)に示すようにリード線109によって電気的に接続され、これにより2つの検出器単位は電気的に並列に接続される。またこれら陰極103と電荷収集電極104すなわちスペーサ電極105との間にはバイアス電源110によりバイアスVgが印加されている。
【0022】
このような構成において、放射線200によって2つの結晶100-1と100-2の体積内に電荷が生成されると、個々の検出器単位において電子と正孔はそれぞれ電荷収集電極および陰極に移動し、両検出器単位の合計としての信号が信号線108から放射線信号として引き出される。
【0023】
放射線200の入射方向は、図示するように電極が形成された面を横断する方向である場合に限定されず、電極が形成された面と平行な方向であってもよいが、横断する方向とすることにより検出器単位を厚さ方向に積層した効果を得ることができる。このことを図2により説明する。
【0024】
図2は放射線200により結晶100-1と100-2に生成する電子e-と正孔h+から成る電荷の移動の状態を示したものであり、放射線200-1、200-2が検出器単位1000-1の陰極103-1から入射した場合を示している。まず比較的エネルギーの低い放射線200-1が入射した場合には、放射線のエネルギーの殆どが上層の結晶100-1体積中のイオン化により変換され、それによって結晶100-1の体積に生成した電荷のうち正孔h+は陰極103-1に向かって移動し、電子e-は電荷収集電極104-1に向かって移動して最終的にそれぞれが陰極103-1と電荷収集電極104-1に到着して、信号線108から放射線信号として引き出される。このように比較的エネルギーの低い放射線200-1は結晶100-1のみで検出することができる。例えば、80keVのγ線では厚さ1mmのCdZn結晶で検出器の目的を満たす。
【0025】
一方、比較的エネルギーの高い放射線200-2の場合には、その一部のエネルギーは結晶100-1体積内のイオン化により変換され、結晶100-1の体積中で生成した電子e-は電荷収集電極104-2に収集されるが、一部のエネルギーは変換されない。即ち、比較的エネルギーの高い放射線200-2を結晶100-1のみで検出することはできない。しかし変換されなかった残りの放射線エネルギーは、入射方向の延長線上に設けた第2の結晶100-2の体積中でイオン化を介して電荷に変換される。この結晶100-2の体積中で生成した電子e-は電荷収集電極104-2に収集され、第1の結晶100-1に設けられた電荷収集電極104-1に収集された電子e-と纏められ、放射線200-2の信号として信号線108から引き出される。例えば、140keVのγ線に対してその80%を検出するに必要な結晶厚さは6mm程度であるので、3mmの結晶からなる検出器単位を2枚積層することにより、140keVのγ線の検出能を80%まで高めることができる。
【0026】
一方、半導体放射線検出器1000のエネルギー分解能についてみると、2つの検出器単位1000-1、1000-2が並列の関係にあるので、理論的には各検出器単位のエネルギー分解能と等しくなる。現実の検出器では、検出器単位の結晶自体に起因する漏洩電流により、エネルギー分解能が低下するので、積層した場合、この漏洩電流によるエネルギー分解能低下が積層数加算される。しかし一般的に漏洩電流によるエネルギー分解能低下は、結晶の電極面に相当する断面積が10mm2程度までの範囲では約0.5%(0.6keV)以下であり、本発明によるエネルギー分解能の改善効果に比較して十分に小さい。
【0027】
図2(b)は、図5(b)と同じCdZnTeeの140keVのγ線に対するエネルギー分解能と結晶厚さの関係を示したものであり、結晶単位の厚さが2mmの場合、そのエネルギー分解能は4.7%である(220-1)。この結晶の厚さが2倍(4mm)になるとエネルギー分解能は6.4%となるが、2mmの結晶を積層した本発明の構成では漏洩電流によるエネルギー分解能低下分を考慮してもエネルギー分解能は5.2%であり、1.2%の改善効果が得られたことになる。同様に結晶の厚さが5mmである検出器を例にすると(220-2)、そのエネルギー分解能は7.2%であり結晶の厚さを10mmにした場合には9.7%に低下するが、検出器を2枚積層した場合には7.7%となり、2.0%の改善効果が得られることになる。
【0028】
このように複数の検出器単位を並列接続となるように積層することにより、エネルギー分解能の低下を最小にして、エネルギー検出効率を積層数倍向上させることができる。
【0029】
尚、放射線の入射方向が積層を横断する方向であることを前提にすると、結晶100を除く陰極103、電荷収集電極104、導電材106およびスペーサ電極105の各層の厚さは放射線の不要な吸収と散乱によるエネルギー分解能の低下を最小限にするために各層の目的を果たすに必要な最小値、例えば100μm程度が望ましい。
【0030】
図示する実施例では、検出器単位を2つ積層する場合を示したが、積層数nは2以上であっても同様の効果を得ることができる。この場合、漏洩電流によるエネルギー分解能を引き下げる効果はn倍になるので、積層数nの値は2〜4の範囲が実用的である。
【0031】
この第1の実施例は放射線のエネルギースペクトル解析を目的にする半導体放射線検出器(単独検出器)として好適である。またこの実施例の半導体放射線検出器を2次元配列型検出器の1単位としてこれをマトリックス状に配列し2次元配列型検出器を構成することも可能である。
【0032】
図3は本発明の第2の実施例による半導体放射線検出器を示す図である。この半導体放射線検出器3000は、2つの検出器単位3000-1、3000-2をスペーサ電極3003を挟んで積層した構造は図1の実施例と同様であるが、ここでは各検出器単位はマトリックス構造を有する2次元検出器であり、放射線像などの放射線強度の2次元情報の検出に用いられる。
【0033】
このマトリックス構造の検出器単位は、マトリックス全体を纏める大きさを持つ平板状の結晶100の一面ほぼ全面に陰極303が形成され、この面の裏面に複数の電荷収集電極304がマトリクス状に形成されており、マトリックスを構成する個々の要素は図1に示す1つの検出器単位(1000-1、1000-2)と同様の構成を有している。図では省略されているが陰極と各電荷収集電極との間には図1(b)と同様にバイアス電圧が印加される。この2次元検出器では、各電荷収集電極304が陰極303に投影した幾何学的容積がそれぞれに独立した検出領域となり、本検出器で撮像する放射線像の1画素に相当する。従って検出器全体3000では、これらを積層方向に重ねた容積が検出単位となる。
【0034】
各検出器単位3000-1、3000-2は、各々の電荷収集電極304を有する面を互いに内側に向けて配置されている。
【0035】
スペーサ電極3003は、各電荷収集電極304に接する面(表裏面)にそれぞれマトリックス構造の電荷収集電極304に対応した配列の電極310-1、310-2が形成され且つ対応する配列位置にある電極どうしが電気的に接続された構造を有する。このようなスペーサ電極3003は、例えば内部にリードパターンを設けた薄板状或いは薄膜状の絶縁材305の両面に電荷収集電極304と同じ電極配列のスペーサ電極310-1と310-2を設けるとともに、対応する位置のスペーサ電極どうしをスルーホール311で電気的に導通することにより形成する。スペーサ電極3003と各検出器単位3000-1、3000-2は、図1の実施例と同様に、電荷収集電極304またはスペーサ電極310-1及び310-2に予め塗布された導電材320を挟んで密着される。内部のリードパターンは、個々のスペーサ電極310-1、310-2を対応する電極リード312に電気的に接続する。これにより電荷収集電極304の各々要素からの出力信号を各電極リード311から取り出すことができる。
【0036】
このような構成の半導体放射線検出器は、2つの検出器単位3000-1および3000-2の各電荷収集電極304が電気的には並列結合され、且つ放射線の検出に対してはカスケードに繋がっているので、比較的に高いエネルギーのX線またはγ線に対して検出感度を高めることができ、しかも高いエネルギー分解能を有する2次元配列検出器を得ることができる。
【0037】
図4は本発明の第3の実施例による半導体放射線検出器4000を示す図である。図4に示す実施例において、各検出器単位の構成は図3の検出器単位3000-1、3000-2と同様の2次元配列検出器であり、半導体結晶100の一方の面に陰極303が形成され、その反対側の面にマトリクス状に配列した電荷収集電極304が形成されている。この実施例では、放射線像のきめの細かさを決める画素数を増す目的で、結晶100-1及び100-2の単位面積当たりの電荷収集電極304の数が図3の半導体放射線検出器3000より増加しているが、個々の要素の基本的な構成は図3及び図1(b)の検出器と同様であり、図3の検出器単位と対応する要素は図3と同じ符号で示している。
【0038】
この実施例の半導体放射線検出器4000は、これら検出器単位の陰極303どうしが向合うように積層され、電荷収集電極304は各々外側に向けて配置されている。陰極303は連続した1つの層のみからなるので、図3の実施例で用いたようなスペーサ電極は不要であり、単に陰極303どうしを導電材で接着することにより積層する。
【0039】
一方、これら2つの検出器単位を電気的に並列接続する接続手段として、マトリクス状の電荷収集電極304と同じ電極配列を持つ電極シート405が用いられる。この電極シート405は、例えば同図(b)に示すように柔軟性をもつポリイミド樹脂シートなどの絶縁シート406の一面に電荷収集電極304と同じ電極配列を持つスペース電極310を2組形成したもので、この電極シート405は、そのスペース電極310の組がそれぞれ外側に向けて配置され電荷収集電極304に接続されるように、配置される。このとき同じ位置関係にある表裏の電荷収集電極304が電気的に接続されるように、各組の対応するスペース電極310どうしが電気的に接続されている。このスペース電極どうしの接続は例えば銅などの導電材で構成されるスルーホール311とストリップ312ではかることができる。
【0040】
この電極シート405のスペース電極310と対応する電荷収集電極304とを接着性と導電性を併せもつ導電材を介して電気的に接続することにより、一体構造に接合し、半導体放射線検出器4000を形成することができる。
【0041】
この実施例の半導体放射線検出器4000も、エネルギー検出感度及びエネルギー分解能の点で図3に示す検出器3000と同様の効果が得られ、更にこの検出器4000は側面に信号引き出し電極或いはリード等の飛び出し部分を持たないために、複数を側面方向に密接して並べることができ、これにより大面積の2次元配列検出器を得ることができる。或いは図3に示す積層構造と図4に積層構造を組合せて多層構造の半導体放射線検出器を構成することも可能である。
【0042】
以上、本発明の半導体検出器の基本的な単位とマトリクス状に配列した実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されず種々の変更が可能である。例えば2次元配列における検出器回路構成を簡略化するために、電荷収集電極を行或いは列状に配列し、陰極をこれと直交する列或いは行状の配列とすることもできる。このような実施例を図6に示す。
【0043】
図6に示す半導体放射線検出器6000もまた2つの検出器単位6000-1、6000-2を積層した構造を有しており、各検出器単位6000-1、6000-2はそれぞれ半導体結晶100の両面に陰極603と電荷収集電極604を形成した構造を有する2次元配列型の放射線検出器である。陰極603と電荷収集電極604はともに長方形の複数の電極に区分され、これら複数の電極は行または列に配列している。陰極603と電荷収集電極604との配列方向は直交しており、一つの検出器単位についてみると、一つの長方形の電荷収集電極604-1を陰極603-1に投影した幾何学的容積と、一つの電荷収集電極604-1を陰極603-1に投影した幾何学的容積との重なる部分の容積が検出器単位となり、この検出器単位で撮像する放射線像の1画素に相当する。従って検出器全体6000では、これらを重ねた容積が検出単位となる。
【0044】
この実施例では、各検出器単位6000-1、6000-2は、陰極603-1、603-2が形成された面が向合い、且つ同じ位置関係にある陰極どうしが重なるように積層される。各検出器単位6000-1、6000-2の電荷収集電極304は互いに平行であって且つ各々外側に向けて配置されている。各検出器単位の陰極どうしは、単に導電材で機械的且つ電気的接続を得るようにしてもよいが、図示する実施例では、両面にスペース電極310が形成された電極シート6003を用いて対向する陰極603-1と603-2を電気的に且つ機戒的に接合している。この電極シート6003は、例えば絶縁シート606の表裏両面に陰極の行(列)配列と同じ配列の複数のスペース電極310を形成すると共にこれら表裏の対応するスペース電極310をスペース電極端部310-1により電気的に接続することにより構成され、図示しない接着性と導電性を合わせ持つ導電材を介して2つの検出器単位6000-1、6000-2と一体構造に接合される。
【0045】
一方、各検出器単位6000-1、6000-2の電荷収集電極604-1、604-2は、同図(b)に示すような電極シート6004によって電気的に接続される。この電極シート6004は、図4に示した半導体放射線検出器400の電極シート405と同じ機能を有し、絶縁シート406と、電荷収集電極604と同じ配列を持つスペース電極311と、ストリップ312とからなる。ストリップ312は、各スペース電極311と対応する配列位置にある各検出器単位の電荷収集電極604とを繋ぐ導電性のものである。
【0046】
この構造の半導体放射線検出器6000の等価回路を図7に示す。図示するように2つの検出器単位の各陰極603-1、603-2はそれぞれスペース電極310によって接続されるとともに列信号702を引出す回路に接続されている。一方、各電荷収集電極604-1、604-2はそれぞれスペース電極311及びストリップ312によって接続されるとともに行信号701を引出す回路に接続されている。また各電荷収集電極604-1、604-2には抵抗Ra712を介してバイアス電源714よりバイアス電圧+Vbが印加される。また各陰極に対しては抵抗Rd713を介した接地によりバイアスが印加される。
【0047】
この半導体放射線検出器7000では、放射線の入射位置が、k行目の電荷収集電極とj番目の陰極が交差するところであった場合に、k番目の行信号701とj番目の列信号702の信号値が最大となることにより、放射線の入射位置がわかる。このような行信号と列信号との信号計算から2次元の位置情報を得ることができる。
【0048】
この実施例の半導体放射線検出器7000においても、2つの検出器単位が電気的には並列結合され、且つ放射線の検出に対してはカスケードに繋ぐことができるので、図3、図4に示す検出器と同様の効果が得られる。しかも検出器信号の読み出し回路数の少ない半導体放射線検出器を実現できる。
【0049】
尚、図6に示す実施例では陰極どうしを接合した場合を示したが、電荷収集電極どうしを接合する場合でも同様に構成することができ、同様の効果を得ることができる。また上述した全ての実施例において、積層する検出器単位の結晶の厚さが等しい場合を示したが、必ずしも検出器単位の厚さは等しい必要はなく、異なる厚さの結晶を用いた検出器単位を積層してもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的厚さの薄い結晶を用いた半導体放射線検出器を単位として積層するとともに各検出器単位を電気的に並列接続することにより、厚さの薄い結晶におけるエネルギー分解能の高さをほぼ保持しながら、厚さ増加による効果、即ち放射線の検出感度を高めることができる。これにより比較的高いエネルギーの放射線を感度よく検出できる。また結晶厚さの薄い範囲で優れたエネルギー分解能を発揮するCdTeやCdZnTe結晶等を用いて、エネルギー分解能と放射線の検出感度を双方を改善した検出器を実現することができる。
【0051】
本発明の半導体放射線検出器は、結晶の電極どうしが向い合うように積層するとともに放射線の入射方向が結晶の電極形成面と直交するように配置したことにより、特にX線やγ線等の放射線強度分布を2次元で検出する半導体検出器の配列において、エネルギー分解能と放射線の検出感度を向上させ、結果として解像度の高い良質な画像を得ることができる。
【0052】
また本発明の半導体放射線検出器は、従来の比較的に簡単な半導体加工技術と電子回路を有する機器製造分野で一般的な回路印刷基板の製造技術と組立技術の範囲で優れた半導体放射線検出器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体放射線検出器の1実施例を示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図2】 本発明の半導体放射線検出器の作用を説明する図で、(a)は検出器の結晶体積における放射線によるイオン化とその電荷の移動を説明する図、(b)は結晶の厚さとエネルギー分解能の関係および積層時のエネルギー分解能の改善効果を説明するグラフである。
【図3】 本発明の2次元配列型の半導体放射線検出器の1実施例を示す図。
【図4】 本発明の2次元配列型の半導体放射線検出器の他の実施例を示す図。
【図5】 半導体放射線検出器による放射線のエネルギー分解能を説明する図で、(a)はエネルギースペクトルの例を示す図、(b)は検出器の結晶厚さとエネルギー分解能の関係の例を示すグラフである。
【図6】 本発明の2次元配列型の半導体放射線検出器の他の実施例を示す図。
【図7】 図6の半導体放射線検出器の等価回路を示す図。
【符号の説明】
100…結晶
103、303、603…陰極
104、304、604…電荷収集電極
105、310、3003…スペーサ電極(接続手段)
106、306…導電材
107…電極リード
110、714…バイアス電源
200…放射線
405、6003、6004…電極シート(接続手段)
1000、3000、4000、6000、7000…半導体放射線検出器

Claims (5)

  1. 放射線の照射により電荷を生成する半導体結晶と、前記結晶の第1の面に設けられた陰極と、前記結晶の第2の面に設けられた電荷収集電極と、これら陰極及び電荷収集電極の間にバイアス電圧を印加する手段とを備えた半導体放射線検出器単位を複数積層した半導体放射線検出器であって、前記検出器単位は、前記陰極および前記電荷収集電極の少なくとも一方が複数の電極からなり、
    1つの検出器単位の前記複数の電極の各々を他の検出器単位の前記複数の電極の各々と電気的に接続する接続手段を備え、
    前記接続手段は、前記複数の電極と同配列のスペーサ電極が少なくとも2組形成されたシート状部材からなり、各組の対応する配列位置のスペーサ電極どうしが電気的に接続されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  2. 請求項1記載の半導体放射線検出器であって、
    前記複数の電極は、配列方向が2方向であるマトリックス状に配列されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  3. 請求項1記載の半導体放射線検出器であって、
    前記接続手段は、前記シート状部材の両面にそれぞれ前記スペーサ電極の組が形成され、各組の対応する配列位置のスペーサ電極はスルーホールによって電気的に接続されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  4. 請求項1記載の半導体放射線検出器であって、
    前記接続手段は、前記シート状部材の同一面に前記スペーサ電極の組が複数形成され、各組の対応する配列位置のスペーサ電極はストリップによって電気的に接続されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  5. 放射線の照射により電荷を生成する半導体結晶と、前記結晶の第1の面に設けられた陰極と、前記結晶の第2の面に設けられた電荷収集電極と、これら陰極及び電荷収集電極の間にバイアス電圧を印加する手段とを備えた半導体放射線検出器単位を複数積層した半導体放射線検出器であって、前記検出器単位は、前記陰極及び前記電荷収集電極の一方が複数の電極をマトリックス状に配列してなり、
    1つの検出器単位の前記複数の電極の各々を他の検出器単位の前記複数の電極の各々と電気的に接続する接続手段を備え、
    前記接続手段は、前記複数の電極と同配列のスペーサ電極が少なくとも2組形成されたシート状部材からなり、各組の対応する配列位置のスペーサ電極どうしが電気的に接続されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
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