JP4695578B2 - 半導体放射線検出器および陽電子放出型断層撮像装置 - Google Patents

半導体放射線検出器および陽電子放出型断層撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体放射線検出器および陽電子放出型断層撮像装置に関するものである。
近年、放射線計測技術を応用した核医学診断装置が広く普及してきている。その代表的な装置が陽電子放出型断層撮像装置(PET撮像装置)、単光子放射断層撮像装置(SPECT撮像装置)、ガンマカメラ装置などである。これらの装置で主として使用されている放射線検出器はシンチレータと光電子増倍管とを組み合わせたものである。シンチレータは放射線が入射すると発光し、その微弱な光を光電子増倍管で増幅して放射線を検出するものである。一方、放射線の計測にはシンチレータだけではなく、半導体を用いることもできる。半導体では放射線が入射すると光電効果によりホールおよび電子といった電荷が生成し、これらが半導体に印加されている外部電圧による電界で移動する。この電荷量は放射線のエネルギーに比例するので、電荷量を正確に測定することで放射線のエネルギーを正確に知ることができる。そのため半導体は、シンチレータと光電子増倍管との組み合わせよりも正確に放射線のエネルギーを測定することができるという利点を有する。
ここで、使用される半導体素子としては、いくつかの種類があるが、核医学診断装置で使用するγ線を感度よく測定するという点で実効原子番号が大きく、また取扱いの点で室温動作可能である半導体材料を用いたものが好適であり、具体的には、テルル化カドミウム(CdTe)やテルル化亜鉛カドミウム(CdZnTe)などが挙げられる。
このような半導体素子を用いて形成される半導体放射線検出器は、前記のように放射線(γ線)のエネルギーを正確に測定できる点でシンチレータより優れてはいるが、γ線に対する感度やγ線が入射した時刻の精度という点では必ずしも優れているわけではない。感度は、物質の原子番号が大きいほど高くすることができる傾向にあるが、CdTeやCdZnTeの実効的な原子番号は50程度であるのに対し、シンチレータは、例えばBGO(Bi4Ge3O12、ビスマスゲルマネイト)やGSO(Gd2SiO5、ガドリニウムシリケイト)の実効的な原子番号は60を超えており、半導体放射線検出器より感度が高い。そこで、半導体放射線検出器では、感度を高めるためにγ線が通過する領域を極力増やす構成とすること、すなわち、半導体素子の体積を大きくすることが有効である。
ところが、CdTeやCdZnTeは、体積が大きくされると、γ線のエネルギーを正確に測定する能力がかえって低下するという特性を示す。これはCdTeやCdZnTeのキャリヤ寿命とキャリヤ移動速度とが十分に大きくなく、半導体素子の体積が大きくされると、途中でキャリヤが再結合して消滅するものが多くなるためであると考えられる。つまり、半導体素子の内部のキャリヤの発生位置によって電荷量のばらつきが大きくなり、その結果として、正確な電荷量が測定できなくなるためである。さらに、半導体素子の体積が大きくされると、キャリヤの移動時間が長くなるため、長時間にわたって電荷が移動し、γ線の入射時刻に対する時間精度の低下を招く。このことは特にPET撮像装置のように消滅γ線の同時計測を行う場合に大変不利となる。なぜならば、時間精度が低下すると消滅γ線の識別が困難になり、その飛来方向が特定できなくなるからである。
そこで、半導体素子を例えばCdTeで形成してなる半導体放射線検出器では、前記のような問題を回避するために半導体素子を比較的薄く形成し、これを積層して構成することが考えられる。このような半導体放射線検出器によれば、半導体素子が比較的薄くされているため、キャリヤの移動時間が短くて済み、また、積層構造とされているので体積も増やすことができる。このように構成された半導体放射線検出器としては、例えば、特許文献1,2に開示されたものがある。
また、半導体素子に直接接合されている導電性の薄膜からなる電極を2つの領域に分け、半導体素子の周辺領域に発生する電荷を一方のガード電極で収集し、半導体素子のその他の領域に発生する電荷を他方の計測電極で収集するようにして、放射線の検出信号以外の雑音信号を除去するようにしたものが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平8−160147号公報 特開平11−281747号公報 特開2005−77152号公報
しかしながら、半導体素子をより薄く形成して、これを積層してなる半導体放射線検出器では、半導体素子の体積あたりの感度が若干低下することが判明した。例えば、1.0mm厚の半導体素子4枚と電極板とを積層した半導体放射線検出器と、0.5mm厚の半導体素子8枚と電極板とを積層した半導体放射線検出器とを製作して、511keVに対する感度の測定試験を行ったところ、0.5mm厚の半導体素子を積層した半導体放射線検出器が、1.0mm厚の半導体素子を積層した半導体放射線検出器よりも約10%感度が低下する結果となった。
一方、0.5mm厚の半導体素子を積層した半導体放射線検出器は、放射線エネルギーの正確さを示すエネルギー分解能や、放射線の入射時刻の精度を示す時間分解能といった特性に関して、1.0mm厚の半導体放射線検出器よりも優れた特性を示した。したがって、半導体素子を薄く形成したことによって特性が悪化するわけではないことが確認できた。
そこで、前記した感度低下の原因を調べるために、試験的に半導体素子の周辺部と外部の回路とを接続するだけの極めて小型の電極板を使用して半導体放射線検出器を製作し、その感度を測定した。その結果、1.0mm厚の半導体素子を積層したものでは、511keVのγ線の感度が、通常の電極板にて試験したものよりも約10%増加した。また、0.5mm厚の半導体素子を積層したものでは、同じく感度が約18%増加した。したがって、電極板が小さければ、その分、感度が向上することがわかった。
ところで、前記したような積層構造の半導体放射線検出器では、電極板によって半導体素子が両側から保持される構造となっており、電極板に保持機能をもたせてある。したがって、前記したように、感度向上のために電極板を小さく形成したのでは、半導体素子の保持状態が不安定となってしまい、積層構造を好適に維持することができなくなる。特に、CdTeは、その物性が脆くて軟らかい性質であるため、電極板を小さく形成した構造では、半導体素子を保持することの困難性が顕著となる。
また、前記特許文献3に開示された半導体放射線検出器に対して、前記のような信号を取り出すための電極板を設ける場合にも、薄膜からなる計測電極の上に電極板が接続される。このため、引用文献3に開示された半導体放射線検出器においても、前記特許文献1,2に記載された半導体放射線検出器と同様の問題を有している。
そこで、本発明の目的は、前記した課題を解決し、半導体素子と電極板とが積層構造とされた半導体放射線検出器において、半導体素子を好適に保持することができるとともに、放射線検出の感度を向上させることができる半導体放射線検出器および陽電子放出型断層撮像装置を提供することにある。
前記した目的を達成するため、本発明では、半導体放射線検出器の積層構造を構成する少なくともひとつの電極板には、半導体素子に接する領域に切欠部が形成されている構成とした。この構成によれば、電極板に形成された切欠部を、放射線の入射による光電効果で生じた1次電子の通過空間として利用することができる。つまり、光電効果で生じた1次電子が電極板へ向けて飛び出しても、その1次電子は切欠部を通じて、隣接する半導体素子へ入射されるようになり、電極板によって吸収される確率が小さくなる。したがって、従来であれば電極板で消滅していた1次電子を隣接する半導体素子に入射させることで、隣接する半導体素子でキャリヤを生成する1次電子が増加するようになり、これを有効な信号として使用することができる。これによって放射線検出の感度が向上するようになる。また、電極板に形成された切欠部は半導体素子に接する領域に形成されているので、切欠部以外の部分によって半導体素子を好適に保持することができる。
また、切欠部が形成された電極板を、積層されて隣合う半導体素子の間にのみ配置することで、半導体放射線検出器の両端に積層された電極板からの1次電子の飛び出しを抑制することができ、隣接する他の半導体放射線検出器への1次電子の入射を防止しつつ、放射線検出の感度が向上された半導体放射線検出器が得られる。
また、電極板に磁性をもたせることで、電磁ピンセット等を用いたハンドリングを行うことができ、半導体素子と電極板とを積層するための工程や基板へ半導体放射線検出器を実装する際等の取扱いが容易となって、生産性の向上、組立コストの低減を図ることができる。
また、このような半導体放射線検出器を用いた陽電子放出型断層撮像装置においては、半導体放射線検出器の感度が向上することによって、放射性薬剤の量の低減や測定時間の短縮を図ることができる。また、測定時間の短縮によって、測定人数の増加が見込めるので、経済効果が高く、コストの低減も図ることができる。
本発明によれば、半導体素子と電極板とが積層構造とされた半導体放射線検出器において、半導体素子を好適に保持することができるとともに、放射線検出の感度を向上させることができる半導体放射線検出器および陽電子放出型断層撮像装置が得られる。
次に、本発明の半導体放射線検出器を適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の半導体放射線検出器(以下では単に、検出器という)1は、図1に示すように、4枚の半導体素子11と、半導体素子11の間および半導体素子11の両端に配置された電極板12C,12Aとを有して積層構造とされており、本実施形態の特徴的構成である切欠部13が電極板12C,12A(図2(b)参照)に形成されている。
半導体素子11は、図2(a)に示すように、平板状に形成された半導体材料(半導体結晶)11aを備え、その両側面の全面にわたって、蒸着法等により薄い膜状の電極が形成されている。ここで、半導体素子11の一方の面に形成された電極がカソード電極(以下、カソードという)Cであり、他方の面に形成された電極がアノード電極(以下、アノードという)Aである。
半導体材料11aは、放射線(γ線等)と相互作用を及ぼして電荷を生成する領域をなしており、CdTe、CdZnTe、GaAs等のいずれかの単結晶で形成されている。また、カソードC、アノードAは、Pt、Au、In等のいずれかの材料が用いられる。本実施形態では、例えば、半導体材料11aにCdTeを用い、これにPtを主成分とするカソードC、Inを主成分とするアノードAを成膜してpn接合ダイオードを形成している。したがって、電磁ピンセット等を用いたハンドリングが可能となっている。
図2(b)に示すように、電極板12C,12Aは、同一の形状であるので、以下では電極板12Cについて説明し、適宜、電極板12Aについて説明する。電極板12Cは、半導体素子11(図2(a)参照、以下同じ)に接する領域に、四角形状に切り欠かれた切欠部13が形成された薄板状の部材であり、例えば、鉄−ニッケル合金、鉄−ニッケル−コバルト合金、クロム、タンタルのうちの少なくともひとつから形成される。ここで、鉄−ニッケル合金としては、42アロイ(Fe58%、Ni42%)を用いることができ、鉄−ニッケル−コバルト合金としては、コバール(Fe54%、Ni29%、Co17%)を用いることができる。つまり、このような材料によって形成される電極板12Cは、磁性を有したものとなっている。
切欠部13は、電極板12Cをプレス成形する際に、同時に打ち抜かれることで形成される。本実施形態では、切欠部13が、電極板12Cの上下左右に所定の間隔を置いて計4つ形成されている。電極板12Cは、半導体素子11に接する部分の外形状が半導体素子11の外形に沿って線状に形成されており、内側に4つの切欠部13を備えた、全体として四角い枠状を呈したものとなっている。
また、電極板12Cの外形、具体的には少なくとも半導体素子11に接する部分の外形は、図1に示すように、半導体素子11の外形よりも大きくされている。これによって、電極板12C,12Aの上端、左右側端が半導体素子11の上端、左右側端から外側に張り出すように積層して、検出器1を構成することができる(図1参照)。このように構成された検出器1では、半導体素子11の上端、左右側端が、電極板12C,12Aの上端、左右側端よりも内側に位置するので、半導体素子11の損傷等が好適に防止される。
なお、電極板12Cの外形寸法は、半導体素子11と同じ大きさであっても差し支えない。また、電極板12Cの厚さは、10μmから100μm程度で、主に50μm程度とされることが望ましい。
また、電極板12Cには、図2(b)に示すように、半導体素子11よりも下側(図1に示した配線基板24側)に垂下される突出部12a(12b)が設けられている。この突出部12a(12b)は、検出器1を配線基板24に電気的に取り付けるための固定部として機能する。なお、固定に際しては、図示しないはんだ等を用いて行われる。
このような半導体素子11および電極板12C,12Aを備えた検出器1は、図2(c)に示すように、半導体素子11を、カソードC同士およびアノードA同士が互いに向き合うように並列に配置し、電極板12C,12Aを介して同じ種類の電極同士(アノードC同士、およびカソードA同士)を電気的に接続して構成される。すなわち、電極板12Cは、一方で隣接する半導体素子11の向かい合うカソードC間に配置され、導電性接着剤14により、それぞれのカソードCに取り付けられる。また、電極板12Aは、隣接する半導体素子11の向かい合うアノードA間に配置され、導電性接着剤14によりそれぞれのアノードAに取り付けられる。さらに、検出器1の両端部分に位置する各カソードCに電極板12Cが導電性接着剤14によって接着される。このように、検出器1は、カソードCとアノードAとが交互に配置され、電極板12C,12Aも交互に配置されて構成される。
導電性接着剤14としては、例えば、金属粉(銀)などの導電性粒子を有機高分子材料からなる絶縁性の樹脂バインダ中に分散したものが用いられる。通常、半導体素子11と電極板12C,12Aとを導電性接着剤14により接着する際には、導電性接着剤14を硬化させるために、およそ120〜150℃の高温の熱処理が行われる。
本実施形態では、電極板12C,12Aの中央部に十字状に切り残された交差部分12dが半導体素子11に対して接着されるように、図1,図2(a)(c)に示すように、半導体素子11のカソードCおよびアノードAが形成される面の中央部に導電性接着剤14がそれぞれ塗布される。
なお、導電性接着剤14の塗布位置は、半導体素子11を電極板12C,12Aで保持することのできる位置であれば交差部分12dに限られることはなく、例えば、図2(a)に示すように、電極板12Cの対角部11b,11b等としてもよい。
そして、検出器1は、図1に示すように、配線基板24上に設けられた、カソードC用の接続部材CPに、カソードC側の電極板12Cの突出部12aが接続され、また、配線基板24上に設けられたアノードA用の接続部材APに、アノードA側の電極板12Aの突出部12bが接続される。また、検出器1は、これらの突出部12a,12bによって、配線基板24上に非密着状態に、つまり、配線基板24との間に半導体素子11が所定の隙間Sを有する状態に取り付けられる。これにより、取付時に検出器1と配線基板24との間に塵埃等が挟まること等に起因する絶縁性の低下を好適に防止することができる。また、この隙間Sを通じて通気性が高まるので、検出器1の冷却が可能となって検出器1の特性が安定する。なお、検出器1の底面部に図示しない絶縁材をコーティングして、予期しない絶縁破壊が生じるのをさらに防止するように構成してもよい。
ここで、検出器1によるγ線の検出原理の概略を説明する。図3(a)に示すように、検出器1にγ線が入射して1次電子Eを生じると、γ線と半導体素子11の半導体材料11aとが相互作用を及ぼし、正孔(hole)および電子(electron)が、1次電子Eの持つエネルギーに比例した量だけ対になって生成される。ところで、検出器1を構成する半導体素子11のカソードCとアノードAの電極間には、直流の高電圧電源20からの電荷収集用の逆方向バイアス電圧(例えば、カソードCが−500Vで、アノードAがグラウンド電位に近い電位、即ち、カソードCに対してアノードAが500V高くなるような逆方向印加電圧)がかけられている。このため、正の電荷に相当する正孔は、カソードCに引き寄せられて移動し、負の電荷である電子は、アノードAに引き寄せられて移動する。これらの正孔と電子とを比較すると、移動し易さ(モビリティ)は、電子の方が相対的に大きいことから、電子が相対的に短時間にアノードAに到達することとなる。一方、正孔は、移動し易さが相対的に小さいことから、正孔の方が相対的に時間をかけてカソードCに到達する。ちなみに、電子や正孔は、アノードA,カソードCに到達する前に途中で捕獲(トラップ)されることもある。
ここで、図3(b)に示すように、γ線の入射位置が、半導体材料11aの端部であるカソードCおよびアノードAの近傍(図ではアノードAの近傍)である場合には、γ線の入射による光電効果で生じた1次電子Eが、半導体材料11a内でキャリヤを生成する前に、隣接する半導体素子11’側へ向けて飛び出すことがある。
ここで、半導体素子11と隣接する半導体素子11’との間には、電極板12Aが配置されており、この電極板12Aには切欠部13が形成されているので、1次電子Eが隣接する半導体素子11’へ向けて飛び出しても、電極板12Aの切欠部13をそのまま通過して、隣接する半導体素子11’の半導体材料11a’に入射される確率が高まる。つまり、飛び出した1次電子Eが電極板12Aによって吸収される確率が小さくなる。
仮に、図3(c)に示すように、アノードAの電極板EBが、従来のように、一面が板状とされた通常の電極板EB(切欠部13のない電極板)であるとすると、飛び出した1次電子Eは、その電極板EBに入射してキャリヤを生成せずに吸収されることとなる。つまり、1次電子Eによる電気信号が取り出されないまま1次電子Eが電極板EBに吸収されることとなる。
これに対して、本実施形態の検出器1によれば、前記のように、電極板12C,12Aに切欠部13が形成されているので、図3(b)に示すように、γ線の入射による1次電子Eが隣接する半導体素子11’へ向けて飛び出しても、これが電極板12Aの切欠部13を通じて隣接する半導体素子11’に入射し易くなり、その結果として、隣接する半導体素子11’の半導体材料11a’でキャリヤを生成する1次電子Eが増加することとなる。つまり、図3(c)に示したもののように、従来では消滅していた1次電子Eを隣接する半導体素子11’で有効な電気信号として取り出すことができる。したがって、検出器1の感度が向上するようになる。
検出器1の感度は、前記したように放射線(γ線)が入射したときに、キャリヤが生成されて流れる電流の積分値、すなわち、放射線がもつエネルギーに比例したキャリヤ電荷量を測定することによって知ることができる。
そこで、本実施形態の検出器1に、線源強度2500kBqの137Csの662keVγ線を使用して、キャリヤ電荷量を測定し、感度の測定を行った。検出器1は、線源から200mm離れた位置に設置した。その結果、662keVのピークの計数は1時間で10056回であった。
比較例として、図3(c)に示すような切欠部13の形成されていない電極板EBを使用した検出器を用意し、これを線源から200mm離れた位置に設置して同様に感度の測定を行った。なお、この比較例の検出器は、電極板EBが異なるだけであり、同一の体積を有する半導体材料11aを使用した。
その結果、比較例の検出器は、662keVのピークの計数が1時間で8995回であった。
このことから、本実施形態の検出器1と比較例の検出器とを、計数によって比較評価すると、本実施形態の検出器1は、比較例の検出器に比べて、12%の感度の向上が認められた結果となった。
ここで、図4,図5に検出器1の変形例を示す。図4(a)に示す検出器1Aは、電極板12C,12Aに円形の切欠部13’を複数設けたものであり、その他の構成に変更はない。なお、電極板12C,12Aは、構成が同一であるので、以下では電極板12Cについて説明する。図4(b)に示すように、切欠部13’は、電極板12Cの半導体素子11に接する面に、縦方向に4個、横方向に5個設けられており、全体として電極板12Cに20個設けられている。この検出器1Aでは、切欠部13’が多数設けられる一方、電極板12Cの切り残された部分の面積(半導体素子11に接する部分の面積)も、前記した検出器1(図1参照)における電極板12Cの切り残された部分の面積よりも大きくなっているので、電極板12Cの剛性が高く、半導体素子11の保持に優れている。また、電極板12Cを打ち抜いて切欠部13’を形成する際にも変形等を生じ難くなり、電極板12Cの形状維持に優れている。したがって、このような電極板12C,12Aを用いることによって、感度に優れるとともに、寸法精度の高い検出器1Aが得られるようになる。
このように構成された検出器1Aにおいて、前記と同様に、線源強度2500kBqの137Csの662keVγ線を使用し、線源から200mm離れた位置に検出器1Aを設置して、感度の測定を行った。その結果、662keVのピークの計数は1時間で9511回であり、前記比較例(図3(c)参照)に比べて感度の向上が確認された。
また、図5(a)に示す検出器1Bは、電極板12C,12Aに大きな切欠部13’’,13’’を上下に2個形成し、正面視(積層方向に視て)で電極板12C,12AがH形を呈するようにしたものである。なお、電極板12C,12Aは、構成が同一であるので、以下では電極板12Cについて説明する。電極板12Cは、図5(b)に示すように、左右の縦板部12e,12e間に横板部12fが一体的に連結されたものであり、前記した検出器1よりもさらに、半導体素子11に接触する部分の面積が小さく設定されている。縦板部12e,12eは、半導体素子11の左右両側縁部を覆う長さを有している。なお、左右の縦板部12e,12eと横板部12fとの連結部分は三角状に幅広に形成されて補強され、この幅広とされた部分およびその近傍部分が導電性接着剤14を介して半導体素子11に接着されるように構成されている。
このように構成された検出器1Bにおいて、前記と同様に、線源強度2500kBqの137Csの662keVγ線を使用し、線源から200mm離れた位置に検出器1Bを設置して、感度の測定を行った。その結果、662keVのピークの計数は1時間で10122回であり、前記比較例(図3(c)参照)および前記した検出器1に比べて感度の向上が確認された。
次に、前記した検出器1を用いて構成されるPET撮像装置30について説明する。
図6に示すように、本実施形態のPET撮像装置30は、中央部分に円柱状の計測空間31aを有する撮像装置31、被検体(被検診者)Hを支持して長手方向に移動可能なベッド32、データ処理装置(コンピュータ等)33、および表示装置34を主として備えて構成される。
撮像装置31は、図7,図8(a)(b)に示すような、ユニット基板U(プリント基板)を周方向に多数配置しており、被検体Hは、図6に示すように、ベッド32に載せられてユニット基板Uによって取り囲まれる計測空間31a内に挿入される。
図7に示すように、撮像装置31に多数配置されるユニット基板Uは、検出器1の設置された面が撮像装置31の奥行き方向(Z方向)に向くように、撮像装置31に設けられた環状の支持部材(図示せず)に設置され、計測空間31aを取り囲む。そして、ユニット基板Uは、複数の検出器1が設置された検出モジュール20Aと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)基板20Bとを備え、検出モジュール20Aが内側(計測空間31a側)に、ASIC基板20Bが外側(計測空間31aから離れる側)に位置するように配置される。本実施形態では、複数のユニット基板Uが、撮像装置31の奥行き方向(Z方向)にも配置される。
図8(a)(b)に示すように、検出モジュール20Aには、検出器1が、前記した電極板12C,12Aの突出部12a,12b(図1参照)を介して複数設置される。本実施形態では、配線基板24上に、検出モジュール20AからASIC基板20Bに向かうY方向(撮像装置31の半径方向、図7参照)に6ch、Y方向と直交するX方向(撮像装置31の周方向、図7参照)に16ch、さらに、配線基板24の厚み方向であるZ方向(撮像装置31の奥行き方向、図7参照)に2ch配置(配線基板24の両面に配置)される。これにより、検出器1は、配線基板24の片面に合計96ch、その両面では合計192chが設置されることになる。
ASIC基板20Bは、コンデンサ26、抵抗27、アナログASIC28およびデジタルASIC29を有する。各検出器1から出力されたγ線検出信号は、コネクタC1,C2(図8(b)参照)を介して検出モジュール20A側からASIC基板20B側へ供給される。
ASIC基板20Bは、デジタルASIC29が片面に1個設置され、アナログASIC28が4個ずつ両面に配置されている。ASIC基板20Bの両面には、コンデンサ26、抵抗27が検出器1の数に対応した数だけ設置されている。
また、コンデンサ26、抵抗27、アナログASIC28およびデジタルASIC29を電気的に接続する複数の接続配線(図示せず)が、ASIC基板20B内に設けられている。アナログASIC28は、検出器1から出力されたアナログ信号(γ線検出信号)を処理する、特定用途向けのLSIの一種である。アナログASIC28は、個々の検出器1ごとに信号処理回路を設けている。これらの信号処理回路は、対応する一つの検出器1から出力されたγ線検出信号(放射線検出信号)を入力してγ線の波高値を求めるようになっている。
本実施形態では、同時計測処理の検出時間の正確さが損なわれないように、検出器1、コンデンサ26、抵抗27、アナログASIC28およびデジタルASIC29を撮像装置31の半径方向に順に近接配置しており、回路の長さやγ線検出信号を伝送する配線の長さ(距離)を短くして、γ線検出信号に対するノイズの影響の軽減、γ線検出信号の減衰の低減を図っている。
以上の構成を有するPET撮像装置30の動作を説明する。放射線検査を行う前に、まず被検体Hに予め注射等の方法によりPET用の放射性薬剤(例えば18Fを含む)をその体内投与放射能が例えば370MBq程度になるように投与する。放射性薬剤は、検査目的(癌の場所を把握、または心臓の動脈瘤の検査等)に応じて選ばれる。投与された放射性薬剤は、やがて、被検体Hの患部に集まる。この状態で被検体Hをベッド32上に寝かせる。
PET検査を実行する検査者(診療放射線技師や医師)は、検査の目的に応じて必要な情報(断層像を得たい領域(撮像領域或いは関心領域)、スライス数、スライス間隔、吸収線量等)を、データ処理装置33を介して入力する。この場合、表示装置34に図示しない情報入力画面を表示させて、必要なデータを、キーボードやマウス等により入力する。その後、ベッド32を長手方向に移動させて、被検体Hの検査部位(例えば癌の患部)が所定の位置に来るまで被検体Hを計測空間31a内に挿入する。そして、PET撮像装置30を作動させる。
データ処理装置33からの指示により、各検出器1のカソードCとアノードA(図1参照)の間に直流高圧電圧が印加され、撮像装置31がPET検査を開始する。被検体Hの体内から放射性薬剤に起因して放射されたγ線は、検出器1によって検出される。すなわち、PET用の放射性薬剤から放出された陽電子の消滅時に一対のγ線が約180°の反対方向に放出され、別々の検出器1で検出される。検出器1はγ線検出信号を出力する。このγ線検出信号は、配線基板24側からコネクタC1、C2およびコンデンサ26を経て、該当するアナログASIC28内の対応する信号処理回路(図示せず)に入力される。この信号処理回路は、γ線検出信号を増幅し、検出したγ線の波高値を求める。この波高値は、デジタルASIC29内の図示しないアナログ/デジタル変換器(ADC)でデジタルの波高値情報に変換される。デジタルASIC29は、さらに、γ線を検出した検出器1の位置情報およびγ線の検出時刻情報も出力する。デジタルの波高値情報、検出器1の位置情報およびγ線の検出時刻情報は、データ処理装置33に入力される。データ処理装置33の同時計測装置(図示せず)は、検出時刻情報を用いて、1つの陽電子の消滅により発生した一対のγ線を一個として計数し、その一対のγ線を検出した2つの検出器1,1の位置をそれらの位置情報を基に特定する。また、データ処理装置33の画像情報作成装置である断層像情報作成装置(図示せず)が、同時計測で得た計数値および検出器1の位置情報を用いて、放射性薬剤の集積位置、すなわち悪性腫瘍位置での被検者の断層像情報(画像情報)を作成する。この断層像情報は表示装置34に表示される。
このようにして動作するPET撮像装置30において、前記した検出器1の感度測定時と同様に、線源強度2500kBqの137Csの662keVγ線を使用して、キャリヤ電荷量を測定し、感度の測定を行った。線源は、計測空間31aの中心に配置した。
また、比較例として、図3(c)に示すような切欠部13の形成されていない電極板EBを使用した図示しない検出器を多数用意し、これをPET撮像装置30の配線基板24上に取り付け、同様に感度の測定を行った。なお、この比較例の検出器は、電極板EBが異なるだけであり、同一の体積を有する半導体材料11aを使用した。
その結果、本実施形態の検出器1を用いたPET撮像装置30は、比較例の検出器を用いたPET撮像装置よりも感度が16%高くなった。つまり、前記した検出器1の単体で測定したときの感度の向上(12%)よりも、さらに高い感度の向上が得られた。これは、PET撮像装置30では、対消滅γ線を2ヵ所で同時測定するためであり、1つの陽電子の消滅によって発生した一対のγ線を設定された同時計測の時間窓内で検出する感度は、両側で2乗に向上することとなるためである。
このように16%の感度の向上が得られることから、PET撮像装置30においては、被検体Hの検査時間(測定時間)を感度の向上分、つまり、16%短縮することが可能となる。
以下では、本実施形態において得られる効果を説明する。
(1)検出器1の積層構造を構成する電極板12C(12A)には、半導体素子11に接する領域に切欠部13が形成されているので、電極板12C(12A)に形成された切欠部13を、γ線の入射による光電効果で生じた1次電子Eの通過空間として利用することができる。つまり、光電効果で生じた1次電子Eが電極板12C(12A)へ向けて飛び出しても、その1次電子Eは切欠部13を通じて、隣接する半導体素子11(図3(b)では半導体素子11’、以下同じ)へ入射されるようになり、電極板12C(12A)によって吸収される確率が小さくなる。したがって、従来であれば電極板12C(12A)で消滅していたであろう1次電子Eを隣接する半導体素子11に入射させることができる。これによって、隣接する半導体素子11でキャリヤを生成する1次電子Eを増加させることができ、これを有効な信号として使用することができる。したがって、γ線(放射線)検出の感度が向上するようになる。
(2)電極板12C(12A)に形成された切欠部13は、半導体素子11に接する領域に形成されているので、電極板12C(12A)の切欠部13以外の部分によって半導体素子11を好適に保持することができる。
(3)電極板12C(12A)に磁性をもたせてあるので、電磁ピンセット等を用いたハンドリングを行うことができ、半導体素子11と電極板12C(12A)とを積層するための工程や配線基板24への検出器1の実装時における取扱いが容易となって、生産性の向上、組立コストの低減を図ることができる。
特に、本実施形態のように、PET撮像装置30において使用される小型積層タイプの検出器1においては、電極板12C(12A)の面積が小さくなると、吸着による真空ピンセット等を用いて電極板12C(12A)を取り扱うことが困難となるため、電極板12C(12A)に磁性をもたせることで、電磁ピッセット等によるコントロールが可能となり効果的である。
(4)図4(a)〜(c)に示した検出器1Aにおいては、切欠部13’が多数設けられる一方、電極板12Cの切り残された部分の面積が、検出器1(図1参照)における電極板12Cの切り残された部分の面積よりも大きくなっているので、電極板12Cの剛性が高く、半導体素子11の保持性に優れている。また、切欠部13’を電極板12Cに打ち抜く際にも変形等を生じ難く、電極板12Cの形状維持に優れている。したがって、感度に優れるとともに、寸法精度の高い検出器1Aが得られる。
(5)図5(a)〜(c)に示した検出器1Bでは、半導体素子11に接する部分の面積を最小限の面積とすることができ、より一層感度を向上させることができる。また、電極板12Cの縦板部12e,12eは、半導体素子11の左右両側縁部を覆う長さを有しているので、半導体素子11の左右両側縁部の接触等による損傷等を防止することができる。
(6)検出器1を用いたPET撮像装置30においては、検出器1の感度が向上することによって、放射性薬剤の量の低減や測定時間の短縮を図ることができる。また、検査時間(測定時間)の短縮によって、検査人数(測定人数)の増加が見込めるので、経済効果が高く、コストの低減も図ることができる。
また、薄い半導体素子11を複数積層して構成される検出器1を用いているので、電子やホールの移動距離が短縮でき、エネルギー分解能や入射時刻の認識精度が向上し、また半導体素子11の体積占有率を大きく取れて検出器1の体積も増大できる等の利点を備えており、PET撮像装置30の性能を向上させることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態である半導体放射線検出器を説明する。本実施形態の検出器1Dは、図9に示すように、切欠部13が形成された電極板12C,12Aが、積層されて隣合う半導体素子11,11の間にのみ配置される構成となっており、検出器1Dの両側に配置される電極板12Bが、切欠部13の形成されていない面板状のものを用いている点が異なっている。
このような検出器1Dによれば、積層されて隣合う半導体素子11,11の間にのみ切欠部13が形成された電極板12C,12Aが配置されているので、前記したように、γ線の入射位置が、半導体材料11aの端部である、例えば、アノードAの近傍である場合(図3(b)参照)には、隣接する半導体素子11’に1次電子Eが入射し、隣接する半導体素子11’内でキャリヤが生成される。これによって、従来であれば電極板12C(12A)で消滅していた1次電子Eを隣接する半導体素子11’に入射させることで、隣接する半導体素子11’でキャリヤを生成する1次電子Eが増加するようになり、これを有効な信号として使用することができる。したがって放射線検出の感度が向上するようになる。
一方、γ線の入射位置が、電極板12Bの近傍である場合には、前記したように、1次電子Eが電極板12Bへ向けて飛び出すことがある。この場合、電極板12Bには、切欠部13が形成されていないので、飛び出した1次電子Eは、電極板12Bへ入射すると電極板12B内で吸収されて消滅することとなる。したがって、検出器1Dの両端に積層された電極板12Bから1次電子Eが飛び出すことが抑制される。
このように構成された検出器1Dにおいて、前記と同様に、線源強度2500kBqの137Csの662keVγ線を使用し、線源から200mm離れた位置に検出器1Aを設置して、感度の測定を行った。その結果、662keVのピークの計数は1時間で10089回であり、前記比較例(図3(c)参照)に比べて感度の向上が確認された。
本実施形態では、前記第1実施形態で生じる効果(1)〜(6)を得ることができるとともに、さらに以下に記す効果を生じる。
(7)本実施形態の検出器1Dは、前記したPET撮像装置30に用いた場合に特に効果的である。つまり、前記したようにPET撮像装置30では、検出器1Dを配線基板24上に多数設ける必要があるので、検出器1Dから隣接する他の検出器1Dへの1次電子Eの入射が抑制されることで、検出器1D個々の検出精度が向上するようになり、エネルギー分解能および位置分解能の精度を向上することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態である半導体放射線検出器を説明する。本実施形態の検出器1Eは、図10に示すように、積層方向に複数の半導体素子11が電気的接続によってひとつのまとまりとなって構成される、計2つの検出器集合体11A,11Bを有している点が異なっている。
検出器1Eは、半導体素子11と、切欠部13を有する電極板12A,12Aと、切欠部13を有しない電極板12Bとが交互に積層されてなり、中央に配置される電極板12Bを境にして、2つの検出器集合体11A,11Bが構成されている。本実施形態では、中央の電極板12Bが2つの検出器集合体11A,11Bの共有の電極となっている。
各検出器集合体11A,11Bは、図11に示すように、2枚の半導体素子11と、2枚の半導体素子11の間に配置される電極板12A(12A)と、2枚の半導体素子11の両側に配置される電極板12B(一方の電極板12Bは共有)とを有しており、それぞれ独立したγ線検出信号(放射線検出信号)を出力するようになっている。つまり、検出器集合体11A側の2枚の半導体素子11に入射したγ線は、検出器集合体11A側のγ線検出信号として、電極板12Aから突出部12bを介してアノードA用の接続部材AP1に出力され、また、検出器集合体11B側の2枚の半導体素子11に入射したγ線は、検出器集合体11B側のγ線検出信号として、電極板12Aから突出部12bを介してアノードA用の接続部材AP2に出力される。
ここで、各検出器集合体11A,11Bの2枚の半導体素子11の間に配置される電極板12A,12Aには、切欠部13がそれぞれ形成されているので、次のような作用効果を奏する。
すなわち、検出器集合体11Aを例にとって説明すると、前記した図3(b)に示すように、γ線の入射による光電効果で生じた1次電子Eが、半導体材料11a内でキャリヤを生成する前に、隣接する半導体素子11’側(検出器集合体11A内の隣接する半導体素子11’)へ向けて飛び出しても、切欠部13をそのまま通過して、隣接する半導体素子11’の半導体材料11a’に入射され、隣接する半導体素子11’で有効な電気信号として取り出される。したがって、検出器集合体11A内において1次電子Eによるキャリヤが生成され、これによって、検出器集合体11A内における感度が向上するようになる。
一方、検出器集合体11Aと検出器集合体11Bとの間に配置される電極板12Bには、切欠部13が形成されていないので、前記した図3(c)における作用と同様に、電極板12Bの近傍に入射したγ線により生じた1次電子Eが電極板12Bへ向けて飛び出しても、電極板12B内でこれが吸収されて消滅することとなる。したがって、検出器集合体11A,11Bの間で1次電子Eが飛び交うことが防止される。これによって、検出器集合体11A,11B個々に入射したγ線は、各検出器集合体11A,11B内でのみ1次電子Eによるキャリヤが生成されることとなる。ゆえに、実質的に各検出器集合体11A,11Bにおける検出精度が向上することとなる。このことは、PET撮像装置30において、エネルギー分解の向上、位置分解能の精度の向上に寄与する。
本実施形態では、前記第1実施形態で生じる効果(1)〜(6)を得ることができるとともに、さらに以下に記す効果を生じる。
(8)本実施形態では、切欠部13の形成された電極板12A,12Aと切欠部13の形成されていない電極板12Bとを交互に配置することによって、電極板12Bを境として2つの検出器集合体11A,11Bを構成することができ、各検出器集合体11A,11Bから別個のγ線検出信号を出力することのできる検出器1Eを構成することができる。
そしてこのような検出器1Eを用いたPET撮像装置30によれば、電極板12Aと電極板12Bとの積層を交互にするという安価な構成で、エネルギー分解能、位置分解能に優れたPET撮像装置30が得られるようになる。
なお、前記各実施形態では、半導体材料11aとしてCdTeを用いたものについて説明したが、これに限定されるものではなく、種々の物質を使用することができる。また、半導体素子11の積層個数は任意に設定することができる。
また、電極板12C,12Aに、他の部分よりも肉厚の薄くされた薄膜部を形成し、光電効果で生じた1次電子Eをこの薄膜部を通じて隣接する半導体素子11,11’へ入射させるように構成してもよい。なお、薄膜部は、切欠部13,13’とともに形成してもよく、また、切欠部13,13’に代えて形成するようにしてもよい。
本発明の第1実施形態の半導体放射線検出器を模式的に示した斜視図である。 (a)は半導体素子の模式斜視図、(b)は電極板を模式的に示した斜視図、(c)は半導体放射線検出器の分解斜視図である。 (a)〜(c)はγ線の入射によるキャリヤの生成を示す模式図である。 (a)は変形例の半導体放射線検出器を模式的に示した斜視図、(b)は電極板を模式的に示した斜視図、(c)は半導体放射線検出器の分解斜視図である。 (a)は他の変形例の半導体放射線検出器を模式的に示した斜視図、(b)は電極板を模式的に示した斜視図、(c)は半導体放射線検出器の分解斜視図である。 本発明の第1実施形態の陽電子放出型撮像装置を示す構成図である。 撮像装置におけるユニット基板の配置を示す模式図である。 (a)はユニット基板の正面図、(b)はユニット基板の側面図である。 本発明の第2実施形態の半導体放射線検出器を模式的に示す斜視図である。 本発明の第3実施形態の半導体放射線検出器を模式的に示す斜視図である。 同じく半導体放射線検出器の分解斜視図である。
符号の説明
1 半導体放射線検出器(検出器)
1A,1B,1D,1E 半導体放射線検出器(検出器)
11,11’ 半導体素子
11A,11B 検出器集合体
11a,11a’ 半導体材料
12C,12A 電極板
12B 電極板
12A 電極板
12A 電極板
12C 電極板
12C 電極板
12a 突出部
12b 突出部
13 切欠部
13’ 切欠部
13’’ 切欠部
14 導電性接着剤
20A 検出モジュール
20B ASIC基板
24 配線基板
30 PET撮像装置
A アノード電極
C カソード電極
U ユニット基板

Claims (8)

  1. 入射した放射線を電気信号に変換する半導体素子と、金属製の電極板とが導電性接着剤によって交互に複数接着されて積層構造とされた半導体放射線検出器であって、
    前記積層構造を構成する少なくともひとつの前記電極板には、前記半導体素子に接する領域に切欠部が形成されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  2. 前記切欠部が形成された前記電極板は、積層されて隣合う前記半導体素子の間にのみ配置されることを特徴とする請求項1に記載の半導体放射線検出器。
  3. 入射した放射線を電気信号に変換する半導体素子と、金属製の電極板とが導電性接着剤によって交互に複数接着されて積層構造とされ、かつ、積層方向に複数の前記半導体素子が電気的接続によりひとつのまとまりとなって構成される検出器集合体が、積層方向に複数構成されてなる半導体放射線検出器であって、
    隣合う前記検出器集合体の間に配置される前記電極板を除いたその他の前記電極板の少なくともひとつには、前記半導体素子に接する領域に切欠部が形成されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  4. 前記切欠部を有した前記電極板は、前記検出器集合体内で積層されて隣合う前記半導体素子の間にのみ配置されることを特徴とする請求項3に記載の半導体放射線検出器。
  5. 前記電極板は、磁性を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体放射線検出器。
  6. 前記切欠部が形成された前記電極板は、前記半導体素子に接する部分が枠状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体放射線検出器。
  7. 前記切欠部が形成された前記電極板は、前記半導体素子に接する部分が、前記半導体素子との積層方向から視て、田の字型またはH型に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の半導体放射線検出器。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の半導体放射線検出器を用いた陽電子放出型断層撮像装置であって、
    複数の前記半導体放射線検出器が取り付けられた配線基板を有し、被検体を支持するベッドが挿入される計測領域を取り囲み、前記計測領域の周囲に配置された複数のプリント基板と、
    複数の前記半導体放射線検出器から出力された放射線検出信号を基に得られた情報を用いて画像を生成する画像情報作成装置と、を備えた陽電子放出型断層撮像装置。
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