JP4107692B2 - 伸線加工性に優れためっき鋼線材およびその製造方法 - Google Patents

伸線加工性に優れためっき鋼線材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸線加工性に優れためっき鋼線材およびその製造方法に関し、特にはゴム製品補強用スチールコード等に好適に用いられる、例えば黄銅めっき鋼線材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
めっき鋼線は、下地鋼線材の強度、延性、靭性、経済性等を活用しつつめっきにより耐食性、反応性等を付加したものであり、広い分野で使用されている。近年の利用技術の高度化及び経済性の要求に伴い、高品質のめっき鋼線を低コストで製造することが望まれている。
【0003】
例えばタイヤの補強材として、黄銅めっきを施した高炭素鋼線を撚り合わせたスチールコードが使用されているが、省エネルギー、省資源の観点からタイヤの軽量化が望まれており、高強度めっき鋼線の経済的製造に対する要請が高まってきている。
【0004】
ところで、めっき鋼線の製造工程は、下地鋼線材の表面に所定のめっきを施しためっき鋼線材に縮径加工を施し、所望の線径のめっき鋼線を得るのが一般的であり、縮径加工方法として穴ダイス伸線が広く用いられている。
【0005】
このめっき鋼線材の穴ダイス伸線においては、表面にめっきが付いていることに起因する特有の問題が生じ易く、例えば次のような現象が問題として挙げられる。
(1)穴ダイス通過時にめっきの一部が剥離してめっきに欠陥を生じる。
(2)剥離しためっきが穴ダイスに詰まる。
(3)めっき表面に生じた酸化物のためダイスの摩耗が促進される。
【0006】
これらの現象は、乾式伸線よりも湿式伸線において生じ易く、また未加工のめっき金属線材が加工される1パス目の穴ダイスおよびその下流の数パスのダイスにおいて特に顕著に生じ易い。これらの現象は最終品質に悪影響を及ぼすのみならず、次パス目以降を含めた穴ダイスでの伸線加工性を阻害し、引き抜き所要動力の増加、ダイス寿命低下、断線等の問題を生じることがある。
【0007】
また、上記の悪影響を助長する要因として、高強度なめっき金属線を得るための総伸線加工率の増加や、熱拡散により拡散合金めっき層を形成させるための加熱等が挙げられ、これらは、例えば、スチールコード用の黄銅めっき鋼線の強度増加を阻害する一因でもある。
【0008】
このようなめっき鋼線材の伸線加工特有の問題の解決を図るべく、例えば、特開平8−155532号公報には、少なくとも1パス目のダイスに適用する水溶性潤滑液の極圧剤および油性剤の濃度を高めて伸線加工する方法が開示されている。しかし、この方法の実施に当たっては異なった組成の潤滑液を2種類使用することが必要であり、潤滑液の特性の維持管理が煩雑となるという問題がある。
【0009】
また、特開平8−209387号公報には、鋼素地の上に電気めっきを施した銅と亜鉛を熱拡散により合金化するブラス拡散めっきにおいて、熱拡散前のめっき粒子の大きさと熱拡散後の空隙の大きさを規定し、空隙に伸線時の潤滑剤を貯留させることを特徴とするブラスめっき鋼線の製造方法が開示されている。しかし、この方法では、空隙の大きさを所定の範囲に収めるために熱拡散の条件が制限され、熱拡散の程度により調節できるめっき特性の範囲が制限されるという欠点がある。例えば、ゴム製品補強用の黄銅めっき鋼線の製造においては、めっきの熱拡散程度によるゴム接着特性の調節範囲が制限されるため、対応可能なゴム組成範囲が狭くなるという問題がある。
【0010】
さらに、特開昭61−117287号公報には、鉄基材に拡散合金めっきを施す際に、未拡散のめっき層に圧縮加工を加えて実質的に穴のないものとした後に熱拡散によりめっきを合金化し、冷間加工により所望の線径のめっき金属線を得る方法が開示されている。しかし、この方法において穴ダイス伸線等の冷間加工に供されるめっき金属線材は熱拡散したままのものであり、めっき表面の酸化物が伸線加工性を阻害する場合がある。めっき表面の酸化物の悪影響を抑制する方法として、穴ダイス伸線の前に酸等により洗浄して酸化物を除去する方法や、熱拡散を非酸化性雰囲気で行い酸化物の生成を抑制する方法等もあるが、これらの方法は環境あるいは設備コストの点で問題がある。
【0011】
さらにまた、ローラー加工と穴ダイス加工を組み合わせた高強力鋼線の製造方法として、例えば特公平8−9734号公報には、成分を規定した高炭素鋼線材を減面率50%以上の伸線加工の途中で、または伸線加工の最終段階において、35%以下の冷間圧延またはローラーダイス引抜き加工を施す高強力鋼線の製造方法が開示されている。しかし、この方法はめっき鋼線材の穴ダイス伸線における第1パス目近傍に生じる前記問題に解決策を与えるものではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解消し、伸線加工性に優れためっき鋼線材と、その製造方法として、潤滑液特性等の維持管理が容易でかつめっき特性に基づく適用の範囲が広く、しかも低コストの設備で実施可能な方法とを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は穴ダイス伸線による伸線加工に供されるめっき鋼線材であって、下地鋼線材と、その表面に形成されためっき層とからなるめっき鋼線材において、
下地鋼線材の減面率3%以下で圧縮加工され、この圧縮加工の際に、同時に、めっき層の表面酸化物量が該圧縮加工前の60%以下となっていることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、下地鋼線材が高炭素鋼であり、めっき層が黄銅めっきであるめっき鋼線材である。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、下地鋼線材の金属組織がパーライトであり、表面からの深さが10μm以上の部分に実質的に加工歪みが無いめっき鋼線材である。
【0017】
請求項4の発明は、穴ダイス伸線による伸線加工に供されるめっき鋼線材を製造するにあたり、
鋼線材を所定の線径に縮径加工して下地鋼線材となす工程と、
該下地鋼線材の表面にめっき層を形成する工程と、
めっき層が形成された下地鋼線材を、該下地鋼線材の減面率3%以下にて圧縮加工を施し、この圧縮加工の際に、同時に、めっき層の表面酸化物量を該圧縮加工前の60%以下となることを特徴とする、伸線加工性に優れためっき鋼線材の製造方法である。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、鋼線材の縮径加工を乾式伸線にて行うめっき鋼線材の製造方法である。
【0019】
請求項6の発明は、請求項4または5の発明において、鋼線材を所定の線径に縮径加工した後に熱処理により歪みを除去して下地鋼線材となすめっき鋼線材の製造方法である。
【0020】
請求項7の発明は、請求項4、5または6の発明において、鋼線材として高炭素鋼線材を用いるめっき鋼線材の製造方法である。
【0021】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、鋼線材として高炭素鋼線材を用い、熱処理においてパーライト組織を形成せしめる記載のめっき鋼線材の製造方法である。
【0022】
請求項9の発明は、請求項7または8の発明において、めっき層の形成において、銅と亜鉛を順次析出させて熱拡散により黄銅めっき層となすめっき鋼線材の製造方法である。
【0023】
請求項10の発明は、請求項4〜9のうちいずれかの発明において、めっき層の圧縮加工を、対向した溝付きローラー対間を少なくとも1回通過させることにより行うめっき鋼線材の製造方法である。
【0024】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、めっき層の圧縮加工を潤滑剤を用いずに行うめっき鋼線材の製造方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づき具体的に説明する。
従来のめっき鋼線材の表面には、析出しためっき粒子の形態を反映し、図3および4に示すように微小な凹凸5が全面にわたって存在する。このために伸線加工時にダイスとの接触が不均一となり、第1パス目近傍においてめっきの一部脱落が生じやすい。特に、図4に示すようにめっき表面4に大きな凹凸を有する場合には、その凸部4aとダイスとの接触圧力が高くなるために潤滑膜が薄くなり易く、めっきの脱落がさらに生じやすい。
【0026】
これに対して本発明のめっき鋼線材においては、図1に示すようにダイスと接触する表面が平滑に圧縮加工され、めっき粒子に基づく凹凸が実質的に存在しないため、ダイスとの接触が均一となり、かつ下地鋼線材1とめっき層2との密着性も良好であるために、めっきの脱落が生じ難くなっている。
【0027】
本発明のめっき鋼線材における、めっき粒子に基づく凹凸が実質的に存在しない表面は、必ずしも図1に示すように全面に存在する必要はない。すなわち、図2に示すようにめっき層2の表面4に下地鋼線材1に基づく凹凸を有する場合は、少なくともダイスとの接触圧力が高くなる凸部4aのめっきの表面が実質的に平滑に圧縮加工されていればよい。この場合、めっき脱落がし難いことに加え、凹部4bがあることで潤滑剤の引き込み性も良好となり、さらに優れた伸線加工性を得ることができる。
【0028】
本発明のめっき鋼線の下地鋼線材1としては、例えば、軟鋼線、ステンレス鋼線、高炭素鋼線等を使用することができ、まためっき層2の材質としては、例えば、銅、亜鉛、ニッケル等の金属あるいは合金を適用することができるが、下地鋼線剤1を高炭素鋼線材とし、めっき層2を黄銅めっきとすれば、高強度でめっきの欠陥が少なく、ゴムとの接着性に優れたスチールコード等の補強材を効率良く経済的に製造することができる。
【0029】
次に、本発明の伸線加工性に優れためっき鋼線材の製造方法について説明する。
まず、本発明においては鋼線材を所定の線径に縮径加工して下地鋼線材1となすが、この縮径加工の方法としては、圧延、湿式伸線、乾式伸線等を適用することができる。
【0030】
次に本発明においては、下地鋼線材1の表面に略均一にめっき層2を形成するが、めっき層2の形成方法としては、電気めっき、溶融めっき、拡散めっき等のめっき法を適用することができる。また、めっき層2の形成は縮径加工したままの下地鋼線材1に直接行ってもよいが、熱処理により縮径加工に起因する歪みを除去してから行えばより良好な伸線加工性を付与することができる。
【0031】
さらに本発明においては、めっき層2に、下地鋼線材1の減面率にして3%以下、好ましくは1%以下の軽微な圧縮加工を施す。この圧縮加工の際に、工具と接するめっき層表面が平滑化され、同時に表面酸化物の減少がもたらされる。かかる圧縮加工においては、加工量を軽微にして下地鋼線材1の変形量を極力少なくすることが肝要である。この理由は、圧縮加工量が過大であると下地鋼線材1の変形に伴う温度上昇のために新たに酸化物が形成され、表面酸化物の減少効果が損なわれるためである。また、縮径加工に起因する下地鋼線材の歪みが熱処理により除去されている場合、圧縮加工量が過大であると、下地鋼線材表面に過剰な加工歪みが導入され、熱処理による歪み除去の効果が損なわれてしまうことになる。めっき圧縮加工によって歪が導入される深さは10μm以下に抑制されていることが望ましく、そのためにも下地鋼線材の減面率は3%以下とする必要がある。
【0032】
めっき層2の圧縮加工の手段としては圧延、ショットピーニング等も適用できるが、対向した溝付きローラー対間を通過させることにより簡便にめっき層2の圧縮加工を行うことができる。一般に大きな減面率を設定した溝付きローラーによる線材加工は、断面形状の精度を確保するために多数のローラー対を直列に並べて行われているが、本発明におけるめっき層2の圧縮加工においては減面率が小さく線材の断面形状に対する影響は微小であるため、複数組でもよいが一組の溝付きローラー対でも十分であり、また潤滑剤を用いなくとも実施することができる。
【0033】
また、加工に要する動力も小さいため、めっきラインの巻き取り部の前あるいはめっき鋼線材伸線機の巻出し部の後にローラー対を設置すれば、別段の動力装置を追加することなくめっき層2の圧縮加工を実施することができる。
【0034】
かかる圧縮加工により、図1に示すようにめっき層2の全面を平滑化してもよいが、めっき層2の表面4に下地鋼線材1に基づく凸部4aと凹部4bのうち凸部4aのめっき表面のみを平滑に圧縮加工し、凹部4bによる潤滑剤の引き込み性を向上させることにより、さらに優れた伸線加工性を有するめっき鋼線材を得ることもできる。なお、この場合でも、凸部4aと凹部4bの形成のために別段の工程の追加を要するものではない。
【0035】
すなわち、めっきを施す前の下地金属線材1の表面には、圧延、伸線加工あるいは熱処理等のそれまでの製造履歴に起因し金属組織の状態を反映した凹凸3が通常存在する。この凹凸3に沿って略均一にめっき層2を形成することにより、めっき層2の表面4には下地鋼線材1の表面凹凸3を反映した凹凸が形成され、図4に示すような表面状態となる。かかるめっき鋼線材に軽微な圧縮加工を施すことにより、図2に示すようにめっき層2に凸部4aと凹部4bを存在させつつ、凸部4aのめっき表面を平滑に圧縮加工することができる。
【0036】
この場合、圧縮加工に先立つめっき形成においてめっき層が厚過ぎると、めっき厚さの均一性が損なわれて表面凸部4aと凹部4bの高低差が過小となってしまい、図3に示すような表面状態となってしまうが、下地鋼線材1の製造における縮径加工を乾式伸線にて行うと、ダイスと鋼線材間の潤滑膜を厚くできるために高低差の大きい表面凹凸3を形成させることができ、より厚いめっき層を形成しても凸部4aと凹部4bを存在させつつ、凸部4aのめっきの表面のみを平滑に圧縮加工することができる。
【0037】
本発明のめっき鋼線材の製造方法においては、下地鋼線材1の材質を高炭素鋼とし、熱処理をパーライトを形成するパテンティング処理とし、さらにめっき層2の形成を銅めっき層と亜鉛めっき層を順次形成して熱拡散することにより黄銅めっき層とすることで、ゴム製品補強用スチールコード等の製造に好適な、伸線加工性に優れためっき鋼線材を、低コストの設備で容易に製造することができる。また、この製造に際し、熱拡散条件が制限されることがないため、広い範囲のゴム組成に対応して、好適な接着性となるめっきの熱拡散程度となるように熱拡散条件を調節することができる。さらに、熱拡散時の加熱によって生じた酸化物を減少させることができるために、ダイス摩耗に対する悪影響も緩和され、総伸線加工率の増加による高強度な黄銅めっき鋼線の製造が容易となる。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
ゴム製品補強用スチールコードの製造等に用いられる黄銅めっきの製造例に基づき以下に説明する。
【0039】
直径約3.2mmで0.82重量%の炭素を含む高炭素鋼線材を、直径約1.52mmまで乾式伸線した後、パテンティング処理によりパーライト組織となし、下地鋼線材を得た。次いで、この下地鋼線材に黄銅めっき処理を施してめっき層を形成し、下記の表1に示す黄銅めっき鋼線材を得た。尚、黄銅めっき処理はパテンティング処理と連続して行い、銅および亜鉛を順次電気めっきした後に通電加熱により銅と亜鉛を拡散させて黄銅めっき層とした。
【0040】
【表1】
Figure 0004107692
【0041】
得られためっき鋼線材の表面は図4に示すような状態であり、下地鋼線材の表面には高低差および周期が数μmオーダーの凹凸3があり、めっき層は該凹凸3に沿って厚さ約1μmの略均一な厚さに形成されて凸部4aと凹部4bを有し、さらに、0.1μmオーダーの微小な凹凸5が全面に亘り存在した。
ここで、表面状況の判定は、以下で述べるめっき圧縮加工部前後のめっき鋼線材を採取し、各々のめっき表面およびめっき除去後の下地線材の表面をSEMにて比較観察することにより行った。
【0042】
この黄銅めっき鋼線材を対向した溝付きローラー対間を種々の条件で潤滑剤を使用せずに通過させて、めっき圧縮加工を施した。各々のめっき圧縮加工条件を下記の表2に示す。表2において、番号1から3は本発明による実施例であり、番号4はめっき圧縮加工を過大とした比較例である。また、番号5は従来法によるものである。
【0043】
【表2】
Figure 0004107692
【0044】
各々のめっき鋼線材の表面をSEMにて比較観察したところ、実施例1〜3のめっき鋼線材の表面は図2に示すような状態であり、めっき層2の表面4には凸部4aと凹部4bがあり、かつ凸部4aのめっきはローラーによって平滑化されていた。また、下記の表3に示すように表面酸化物量は従来例対比約60%以下に減少した。
【0045】
【表3】
Figure 0004107692
【0046】
さらに、めっき鋼線材の伸線加工性を評価するために、各々のめっき鋼線材を穴ダイスにて1パス引き抜き、引き抜き力を従来例を100として指数にて評価した。数値が小さい程引き抜き力が小さいことを示す。なお減面率は約6%とした。得られた測定結果を下記の表4に示す。
【0047】
【表4】
Figure 0004107692
【0048】
表4から明らかなように、実施例1〜3のめっき鋼線材の引き抜き力は、従来例対比大幅に減少した。これに対し、比較例のめっき鋼線材の引き抜き力は、従来例対比減少しなかった。また、従来例によるめっき鋼線材を引き抜いた穴ダイスの内面には、めっき脱落に起因する黄銅の付着が認められた。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のめっき鋼線材は穴ダイス伸線加工時の良好な潤滑性とめっき脱落し難い特質をもつために、第1パス目近傍で顕著に生じ易いめっき鋼線材伸線特有の問題をすべて解決することができる。これによって次パス以降の伸線加工性も改善されるため、穴ダイス伸線の総減面率を高くすることができ、より高強度のめっき鋼線材の製造が容易となる。
【0050】
また、本発明の伸線加工性に優れためっき鋼線材の製造方法は、低コストの設備で、生産性を阻害することなく実施でき、高品質のめっき鋼線を経済的に製造することができる。
【0051】
さらに、本発明をスチールコード等のゴム補強材に用いられる黄銅めっき高炭素鋼線の製造に適用すれば、ゴム組成に対応する接着特性の調整幅を狭めることなく、高強度の補強材を経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のめっき鋼線材の一例の表面近傍の状況の説明図である。
【図2】本発明のめっき鋼線材の別な例の表面近傍の状況の説明図である。
【図3】従来のめっき鋼線材の一例の表面近傍の状況の説明図である。
【図4】従来のめっき鋼線材の別な例の表面近傍の状況の説明図である。
【符号の説明】
1 下地鋼線材
2 めっき層
3 下地鋼線材の表面凹凸
4 めっき層の表面
4a めっき層表面の凸部
4b めっき層表面の凹部
5 めっき層の微小凹凸

Claims (11)

  1. 穴ダイス伸線による伸線加工に供されるめっき鋼線材であって、下地鋼線材と、その表面に形成されためっき層とからなるめっき鋼線材において、
    下地鋼線材の減面率3%以下で圧縮加工され、この圧縮加工の際に、同時に、めっき層の表面酸化物量が該圧縮加工前の60%以下となっていることを特徴とする、伸線加工性に優れためっき鋼線材。
  2. 下地鋼線材が高炭素鋼であり、めっき層が黄銅めっきである請求項1記載のめっき鋼線材。
  3. 下地鋼線材の金属組織がパーライトであり、表面からの深さが10μm以上の部分に実質的に加工歪みが無い請求項2記載のめっき鋼線材。
  4. 穴ダイス伸線による伸線加工に供されるめっき鋼線材を製造するにあたり、
    鋼線材を所定の線径に縮径加工して下地鋼線材となす工程と、
    該下地鋼線材の表面にめっき層を形成する工程と、
    めっき層が形成された下地鋼線材を、該下地鋼線材の減面率3%以下にて圧縮加工を施し、この圧縮加工の際に、同時に、めっき層の表面酸化物量を該圧縮加工前の60%以下となることを特徴とする、伸線加工性に優れためっき鋼線材の製造方法。
  5. 鋼線材の縮径加工を乾式伸線にて行う請求項4記載のめっき鋼線材の製造方法。
  6. 鋼線材を所定の線径に縮径加工した後に熱処理により歪みを除去して下地鋼線材となす請求項4または5記載のめっき鋼線材の製造方法。
  7. 鋼線材として高炭素鋼線材を用いる請求項4、5または6記載のめっき鋼線材の製造方法。
  8. 鋼線材として高炭素鋼線材を用い、熱処理においてパーライト組織を形成せしめる請求項7記載のめっき鋼線材の製造方法。
  9. めっき層の形成において、銅と亜鉛を順次析出させて熱拡散により黄銅めっき層となす請求項7または8記載のめっき鋼線材の製造方法。
  10. めっき層の圧縮加工を、対向した溝付きローラー対間を少なくとも1回通過させることにより行う請求項4〜9のうちいずれか一項記載のめっき鋼線材の製造方法。
  11. めっき層の圧縮加工を潤滑剤を用いずに行う請求項10記載のめっき鋼線材の製造方法。
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