JP4106773B2 - 部材の固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂の射出成形品からなる複数部材の取付構造であって、挿入凸部を有する取付部材と前記挿入凸部を挿入する取付凹部を有する被取付部材とからなり、この挿入凸部を取付凹部に挿入して両部材を固定する部材の固定構造に関する物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に射出成形品よりなる合成樹脂製の複数の部材を固定する方法として、溶剤接着、超音波接着、螺合、圧入等が知られている。しかし、溶剤接着においては、溶剤による安全性及び、環境汚染の問題が、超音波接着においては、設備の問題、螺合においては部材にネジ部を形成するため、金型の構造が複雑で高価になることが、及び螺合部がゆるみやすいこと等が有るため、これらの方法より手軽で安価な、圧入方式が行われている。しかしながら、この圧入方式は、それぞれの部材に常に固定力に伴った強い圧入力が付与されることになり、成形品のワレや塑性変形が発生して経時的に固定力が弱くなり外れ易くなるという問題があった。この問題を解消するために、一方もしくは両方にアンダーカットとなる乗り越え部を形成して乗り越え後の固定位置に達した状態では圧入力があまりかからないようにした乗り越え嵌合による遊嵌状態の圧入式が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の遊嵌状態の圧入式も、外れにくくするためには圧入強度を高くしなくてはならず、結果的に組み立て作業性が悪く、圧入時の部材の破損が発生することがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、挿入凸部を有する取付部材と前記挿入凸部を挿入する取付凹部を有する被取付部材とからなり、この挿入凸部を取付凹部に挿入して両部材を固定する部材の固定構造において、前記挿入凸部として、前記取り付け孔の開口部よりも大径であって一部切り欠部を有する環状の鍔部を形成した第1の挿入凸部と、前記鍔部の切り欠部方向であって前記第1の挿入凸部と距離を存した位置に設けられた第2の挿入凸部とを設け、被取付部材に、前記第1、第2の挿入凸部に対応した第1、第2の取付凹部を形成し、それぞれの挿入凸部を対応する取付凹部に挿入固定することを特徴とした部材の固定構造を要旨とする。
【0005】
【作用】
第1の挿入凸部に形成した鍔部が切り欠部を有しているため、全周の鍔部を形成したものに比して固定時の圧入力は少なくて済む。そして、切り欠部方向の第2の挿入凸部にて、切り欠基部側に固定が外れることを抑制するので鍔部を全周としないことによる圧入確実性の低下を免れることができ、圧入による不具合を解消しつつ所望以上の固定力を得ることができる。
【0006】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の実施例について説明する。
筆記具のキャップに応用した一例を縦断面図である図1及び図1のI−I’線横断面矢視図である図2に示すが、このキャップは、キャップ本体1の開口端側にはボールペンなどの筆記具本体と嵌合するための複数の突起2を同周状に有し、この隣り合った突起の中間位にはキャップ嵌合時におけるキャップ内空間の内圧上昇緩和のための溝3が形成されている。キャップ本体1の頭部にはインキ色などを表示するための頭冠4が設置されており、この頭冠4は、キャップ本体1の開口端より先にまで延在するクリップ5と一体に形成されている。
【0007】
前記頭冠4は、キャップ本体1に取り付けるための第1の挿入凸部6を有し、この挿入凸部6には、一部切欠部7を有する鍔部8が設けられている。キャップ本体1には、前記第1の挿入凸部6が挿入される第1の取付凹部9が形成されている。
【0008】
前記頭冠5の鍔部8の外径は前記キャップ本体1の第1の取付凹部9の内径より大径となっており、鍔部8は径の小さい第1の凹部9を通過して大径の部分に位置するのでキャップ本体1より抜け難くなしている。また、更に抜けにくくするために、鍔部8のキャップ本体1に対する係接壁8aと第1の挿入凸部6とが形成する角度は90度に近い事が望ましい。鍔部8が切欠部7を有しない全周状の部分である場合には、かかる頭冠は、鍔部8が抜き金型上のアンダーカットとなり成形困難であり、複雑で、コスト高な全型総割金型構造を採用せざるを得ないが、第1の挿入凸部6の半周位置まで切欠部7を形成しているので鍔部7のある部分のみを割型構造とし、他部分は抜き型構造にすることができ、金型のコストダウンが図れる利点がある。
【0009】
頭冠4は、第1の挿入凸部6と距離を存した位置に第2の挿入凸部10を有していて、この第2の挿入凸部10の長さは鍔部8の長さより長くしてある。又、キャップ本体1には、前記第2の挿入凸部10に対応する位置に第2の取付凹部11が設けてある。頭冠4の軸線方向の抜けに対しては鍔部8により抑制できるが、鍔部8のクリップ側に切欠部7が形成されているためクリップ5の先端を持ち上げるとクリップ5基部を支点とした円方向の移動となり、頭冠4が外れ易くなるが、第2の挿入凸部10がストッパーとなってキャップ本体1の壁面に第2の挿入凸部が当たり大きくクリップを広げても頭冠には抜き方向の力が働かないため頭冠は抜けない。その結果より確実な頭冠の固定ができる。
【0010】
図3に他の1例を示す。上述の一例と同様に筆記具のキャップとしたものであるが、筆記具本体との嵌合用の突起2や溝3、頭部に配置した頭冠4が色表示をなす点やこの頭冠4の第1の挿入凸部6については、上述の一例と同様であり説明を省略する。
本例においては、第2の挿入凸部10をクリップ下部に形成し、これに対応して第2の取付凹部11をキャップ本体の側面に形成していると共に、第2の挿入凸部10の先端に係合突起12を形成している。この第2の取付凹部11の内径は係合突起12を含めた第2の挿入凸部10が挿入できる大きさとしてある。
【0011】
また、第2の挿入凸部10は第2の挿入凹部11に相当する位置よりも若干係合突起12の突出方向に位置しており、第2の挿入凸部10を第2の挿入凹部11に挿入するに際しては、第2の挿入凸部を変形させながら挿入させることになる。このようにすることによって、係合突起12は第2の挿入凹部11のキャップ内孔への開口縁に係合でき、クリップをひろげた時に係合突起12がキャップ内壁13に当接して第2の挿入凸部が第2の挿入凹部11から抜けるのを防止している。
更に、頭冠の、軸線方向の抜けに対しては環状鍔部7と第2の挿入凸部により防止し、クリップの広げによる抜けに対しては第2の挿入凸部10と係合突起12により防止しているためより強固な固定が得られる。
【0012】
図4〜図7に更に他の実施例について示す。
上述の例と異なり、キャップ本体1が一体にクリップ5を有する筆記具のキャップである。中心部における縦断面図である図4、頂部側から見た上面図である図5、図5のII−II’線方向断面矢視図である図6及び図6のIII−III’線方向横断面矢視図である図7に示すように、第2の挿入凸部10を、複数(2個)設けた例である。第2の挿入凸部10を複数にすることにより、一つ一つの挿入凸部はあまり太くないものとすることができ、それに対応した挿入凹部として大きな空間を必要としないので、キャップ本体1の肉圧を薄くすることができるものである。また、図7に示すように、第2の取付凹部10をキャップ本体とクリップの連結部14に孔としてではなく、連結部14の側部に形成した溝部分としたので、この連結部14にクリップ強度に必要な厚みを確保できる。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、組立しやすく、組立時の部材の破損を極力抑制でき、所望の確実な固定が得られる固定構造である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一例を示す縦断面図。
【図2】 図1のI−I’線方向横断面矢視図。
【図3】 他の一例を示す図1相当図。
【図4】 更に他の一例を示す図1相当図。
【図5】 図4の上面図。
【図6】 図5のII−II’線方向縦断面矢視図。
【図7】 図6のIII−III’線方向横断面矢視図。
【符号の説明】
1 キャップ本体
2 突起
3 溝
4 頭冠
5 クリップ
6 第1の挿入凸部
7 切欠部
8 鍔部
8a 係接壁
9 第1の取付凹部
10 第2の挿入凸部
11 第2の取付凹部
12 係合突起
13 キャップ内壁
14 連結部
Claims (2)
- 挿入凸部を有する取付部材と前記挿入凸部を挿入する取付凹部を有する被取付部材とからなり、この挿入凸部を取付凹部に挿入して両部材を固定する部材の固定構造において、前記挿入凸部として、前記取付凹部の開口部よりも大径であって一部切り欠部を有する環状の鍔部を形成した第1の挿入凸部と、前記鍔部の切り欠部方向であって前記第1の挿入凸部と距離を存した位置に設けられた第2の挿入凸部とを設け、被取付部材に、前記第1、第2の挿入凸部に対応した第1、第2の取付凹部を形成し、それぞれの挿入凸部を対応する取付凹部に挿入固定することを特徴とする部材の固定構造。
- 前記第1の挿入凸部に形成した鍔部を挿入凸部の軸心を中心として180度の範囲内に形成したことを特徴とする請求項1記載の部材の固定構造。
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JP32615098A JP4106773B2 (ja) | 1998-10-30 | 1998-10-30 | 部材の固定構造 |
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1998
- 1998-10-30 JP JP32615098A patent/JP4106773B2/ja not_active Expired - Lifetime
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