JP4106501B2 - 渦流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流量を計測する渦流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
被測定流体の流量に比例した周波数の流量信号の波数を計数して被測定流体の流量を求める流量計は従来から一般に知られている。
【0003】
ところで、流量計の器差Eは次式(1)により求められ、例えば渦流量計では、図8実線Rに示すように、瞬時流量が小さいときはレベルが大きく瞬時流量が大きくなるに従いレベルが小さくなる器差特性を示す(図5参照)。図8中実線Sは実線Rで示される値を平均したものであり、器差0(%)を示している。なお、この器差0(%)は、一般に器差計測後にオフセット調整され得るようになっている。
【0004】
器差E=〔{(流量計の示す値)−(真の値)}/(真の値)〕×100(%) … … (1)
ただし、真の値:標準流量計の指示量
【0005】
そして、流量計の器差については、規定範囲〔例えば±3%(計6%)〕に納める(すなわち、器差補正を行う)必要があるが、上述した従来技術では、瞬時流量を計測し、この計測値を流量計固有の器差関数に代入することにより器差補正していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術の器差補正方法では、瞬時流量の計算に時間がかかる上に器差関数の演算を行うことにより器差補正に時間遅れを招きやすかった。また、関数演算を行うことにより、その分、複雑な回路が必要とされ、装置全体のコストアップを招いてしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、器差補正を簡易に行えて低廉化を図ることができる渦流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、被測定流体の流れる管内に設けられてカルマン渦を発生させる渦発生体と、前記被測定流体の流量に比例した周波数の流量パルス信号を発生する流量パルス信号発生部と、前記流量パルス信号の入力を受けてそのパルス数を計数し該計数値に基づいて前記被測定流体の瞬時流量及び積算流量を求める流量演算部と、該流量演算部が求めた前記瞬時流量及び積算流量を出力する流量出力部と、を備えた渦流量計であって、前記流量信号発生部と前記流量演算部との間に、前記流量パルス信号発生部からの前記流量パルス信号の単位時間毎のパルス数から予め設定された所定パルス数を間引いて間引きされた流量パルス信号に相当する補正信号を得、該補正信号を前記流量パルス信号として前記流量演算部に入力するパルス数調整処理を、単位時間毎に繰り返し実行する波数調整部を設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の渦流量計において、前記補正信号は、前記単位時間内の流量パルス信号のパルスのうち、偶数番目のパルスを間引くことにより得られることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施の形態の流量計を図1ないし図4に基づいて説明する。本実施の形態では、被測定流体の流量に比例する周波数の流量信号の波数を計数して被測定流体の流量を求める流量計の一例として、超音波式渦流量計に、本発明を適用した流量計1を説明する。
【0010】
図1において、流量計1は、被測定流体の流れる管2と、管2内に設けられてカルマン渦を発生させる渦発生体3と、前記カルマン渦発生領域を間にして管2に相対向して設けられた超音波送信器4及び超音波受信器5と、超音波送信器4に駆動信号を入力して超音波を送信させる発振器6と、発振器6からの駆動信号及び超音波受信器5からの超音波受信信号を入力し被測定流体の流量に比例した周波数の流量パルス信号A(流量信号)を発生する流量パルス信号発生部(流量信号発生部)7と、流量パルス信号発生部7からの流量パルス信号Aのパルス数(波数)を計数し、該計数値に基づいて被測定流体の実流量を求める流量演算部8とから大略構成されている。
【0011】
流量演算部8は、流量パルス信号Aを入力して後述するように器差補正を行って補正信号Hを出力する器差補正部9(波数調整部)と、器差補正部9からの補正信号Hのパルス(波数)を計数して被測定流体の流量(瞬時流量及び積算流量)を求めると共に、瞬時流量及び積算流量から単位流量パルス(単位流量を1パルスとしたパルス信号)を求めてこれらを出力する演算本体部10(請求項1の流量演算部を構成する。)と、演算本体部10からの信号を受けて瞬時流量を4〜20mAのアナログ信号として出力すると共に、積算流量を表示のために出力し、さらに単位流量パルスを電圧やオープンコレクタ信号として出力する流量出力部11とから大略構成されている。
【0012】
器差補正部9には、ボタンスイッチ、ディップスイッチ、あるいはロータリスイッチ等の設定スイッチ12が接続されており、流量パルス信号Aのパルスから間引くパルスの数を示す器差補正係数n及び単位時間(単位時間窓W)を設定するようにしている。
器差補正部9及び演算本体部10は、マイコンやDSP、または電子素子の組合わせにより構成されている。
【0013】
器差補正部9は、設定スイッチ12が操作されて器差補正係数nを入力すると、後述するようにして流量パルス信号Aのパルスから器差補正係数nに相当する数のパルスを間引きし、間引きされた流量パルス信号Aを補正信号Hとして出力する。
【0014】
例えばn=1が設定されると、図2に示すように単位時間窓Wにおいて2番目に入力されたパルスIIが間引かれ、パルスIIが間引かれた流量パルス信号Aが補正信号H1 として出力される。なお、図2中、ローマ数字I ,II,III , … XV,XVI は、流量パルス信号発生部7から送られる流量パルス信号Aのパルスを入力順に対応して示すものであり、本実施の形態では、パルスI , … ,XIが一つの単位時間窓Wに入っている。
また、n=2が設定されると、単位時間窓Wにおいて2番目に入力されたパルスII及び4番目に入力されたパルスIVが間引かれ、パルスII及びパルスIVが間引かれた流量パルス信号Aが補正信号H2 として出力される。
また、n=3が設定されると、上述したのと同様にしてパルスII、パルスIV及びパルスVIが間引かれた流量パルス信号Aが補正信号H3 として出力される。上述したように本実施の形態では器差補正部9は単位時間窓Wにおいて偶数番目のパルスを間引くようにしている。
【0015】
本実施の形態では、上述した器差補正作動を次のように実施するようにしている。この器差補正作動を図3及び図4のフローチャートに基づいて、以下に説明する。
この流量計1の器差補正作動では、まず、単位時間毎に図3の単位時間タイマ処理を行い、この単位時間タイマ処理に続いて、単位時間(単位時間窓W)内において、図4の流量加算処理を、流量パルス信号Aのパルス入力毎に実行し、単位時間窓W内において流量パルス信号Aのパルスから器差補正係数n分の数のパルスを減算(間引き)するようにしている。
【0016】
この図3の単位時間タイマ処理においては、まず、器差補正カウンタに器差補正係数nがセットされる(ステップS1)。
ステップS1に続いて、流量パルス信号Aの入力数が偶数または奇数であることを示す偶数フラグに初期値である偶数をセット(偶数フラグが「1」とされる)して(ステップS2)、単位時間タイマ処理を終了し、流量パルス信号Aのパルス(例えば図2のパルスI ,II,III , … )を検出し、図4の流量加算処理に進む。
【0017】
この図4の流量加算処理では、まず、器差補正カウンタが0より大きいか否かを判定する(ステップS11 )。ステップS11 でYES と判定すると、ステップS12 に進んで偶数フラグを反転し、偶数・奇数を入れ替える。
【0018】
ステップS12 に続いて、流量パルス信号Aのパルスの入力が偶数番目であるか否か(入力パルスは偶数番目?)を偶数フラグを用いて判定する(ステップS13 )。ステップS13 でYES と判定すると、器差補正カウンタを「1」デクリメント〔(器差補正カウンタ)−1〕する(ステップS14 )。
また、ステップS11 またはステップS13 でNOと判定すると、流量パルス信号Aのパルス数が演算本体部10に伝達されて加算処理が実行される(ステップS15 )。
【0019】
そして、ステップS14 またはステップS15 が実行されると、流量パルス信号Aの一つのパルスについての図4の流量加算処理が終了し、次に入力されるパルスについて、この図4の流量加算処理が実行されることになる。
また、図示しないが単位時間窓Wにおける図4の流量加算処理が終了する(単位時間タイマによる単位時間の計測が完了する)と、次の単位時間窓Wについての器差補正作動(単位時間タイマ処理及び流量加算処理)が行われるようになっている。
【0020】
ここで、ステップS1で器差補正係数nに2がセット(n=2)された場合を例にして、器差補正作動(単位時間タイマ処理及び流量加算処理)をより具体的に説明する。
まず、ステップS1でn=2のセットが行われ、続くステップS2で偶数フラグが初期値である偶数にセットされ(偶数フラグが「1」とされる)、流量パルス信号Aのパルス(まず、パルスI )を検出し、図4の流量加算処理に進む。
ステップS11 (器差補正カウンタ>0?)ではYES と判定し、続くステップS12 で偶数フラグを反転して偶数フラグを「0」(奇数を示す)とする。次のステップS13 (入力パルスは偶数番目?)では、先にステップS12 で偶数フラグが「0」(奇数)になっていることにより、NOと判定してステップS15 に進み、パルスI の数「1」を示す情報を演算本体部10に伝達して流量加算を行い、器差補正カウンタを0にリセットしてパルスI についての流量加算処理を終了する。
【0021】
続いて、パルスIIの入力があると、ステップS11 (器差補正カウンタ>0?)の処理を行う。このステップS11 では、器差補正カウンタが2に維持されていることにより、ステップS11 ではYES と判定してステップS12 に進み、偶数フラグが反転される〔偶数フラグが「1」(偶数を示す)とされる〕。
【0022】
ステップS12 に続くステップS13 (入力パルスは偶数番目?)では、偶数フラグが「1」となっていることによりYES と判定する。そして、次のステップS14 で器差補正カウンタが「1」デクリメントして値を1(2−1=1)とすると共に、パルスIIについてはステップS15 をスキップして流量加算を行わずに、図4の処理(流量加算処理)を終了する。
【0023】
続いて、パルスIII の入力があると、ステップS11 (器差補正カウンタ>0?)の処理を行う。このステップS11 では、先のパルスIIについての図4の処理(流量加算処理)において器差補正カウンタが「1」になったが、「0」より大きいことでYES と判定してステップS12 に進み、偶数フラグが反転される〔偶数フラグが「0」(奇数を示す)とされる〕。
ステップS12 で偶数フラグが「0」(奇数)になっていることにより、ステップS12 に続くステップS13 (入力パルスは偶数番目?)ではNOと判定してステップS15 に進み、パルスIII の数「1」を示す情報を演算本体部10に伝達して流量加算を行い、パルスIII についての流量加算処理を終了する。
【0024】
続いて、パルスIVの入力があると、ステップS11 (器差補正カウンタ>0?)の処理を行う。このステップS11 では、器差補正カウンタが「1」であることにより、ステップS11 ではYES と判定してステップS12 に進み、偶数フラグが反転される〔偶数フラグが「1」(偶数を示す)とされる〕。
【0025】
ステップS12 に続くステップS13 (入力パルスは偶数番目?)では、偶数フラグが「1」となっていることによりYES と判定する。そして、次のステップS14 で器差補正カウンタを「1」デクリメントして値を0(1−1=0)とすると共に、パルスIVについてはステップS15 をスキップして流量加算を行わずに、図4の処理(流量加算処理)を終了する。
【0026】
続いて、パルスV の入力があると、ステップS11 (器差補正カウンタ>0?)の処理を行う。このステップS11 では、先のパルスIVについての図4の処理(流量加算処理)において器差補正カウンタが「0」になったことでNOと判定してステップS15 に進み、パルスV の数「1」を示す情報を演算本体部10に伝達して流量加算を行い、パルスV についての流量加算処理を終了する。
【0027】
以下、単位時間窓WにおいてパルスVI以降の入力があると、器差補正カウンタが「0」になっていることでステップS11 ではNOと判定してステップS15 に進み、各パルス入力毎にステップS15 で流量加算が行われ、これにより図2に示すように流量パルス信号AからパルスII及びパルスIVが間引きされた補正信号H2 (単位時間窓Wの範囲)が得られることになる。
【0028】
そして、一つの単位時間窓Wを対象にした器差補正作動(単位時間タイマ処理及び流量加算処理)が終了し、次の単位時間窓Wについて、上述したのと同様の処理(図3及び図4)が行われ、流量パルス信号AからパルスII及びパルスIVと共に、パルスXII 及びパルスXIV が間引きされた補正信号H2 が得られることになる。
【0029】
また、ステップS1で器差補正係数nが1にセットされると、上述したのと同様に器差補正作動(単位時間タイマ処理及び流量加算処理)が行われて、単位時間窓Wにおいて流量パルス信号AからパルスIIが間引きされた補正信号H1 が得られる。
【0030】
また、ステップS1で器差補正係数nが3にセットされると、上述したのと同様に器差補正作動(単位時間タイマ処理及び流量加算処理)が行われて、単位時間窓Wにおいて流量パルス信号AからパルスII、パルスIV及びパルスVIが間引きされた補正信号H3 が得られる。
【0031】
なお、本実施の形態では、ステップS1で器差補正係数nが5以上(例えば99)にセットされると、上述したのと同様に器差補正作動(単位時間タイマ処理及び流量加算処理)が行われて、単位時間窓Wにおいて流量パルス信号AからパルスII、パルスIV、パルスVI、パルスVIII及びパルスX (偶数番目のパルス)が間引きされた補正信号H(器差補正係数nが99の場合、補正信号H99)が得られる。
【0032】
そして、上述したように得られた間引きされた流量パルス信号A(補正信号H)に基づいて、器差補正が行われる。この場合、上述したように単位時間窓Wにおけるパルス数の多少にかかわらず単位時間窓Wにおいては同数のパルスが間引きされるので、上述したように器差補正を行うと、得られる器差曲線は直線に近いなだらかな曲線になる。このため、器差曲線の平均値(器差0%)に対して得られる器差は規定値(例えば±3%)内に容易に納めることができるようになる。
【0033】
本実施の形態において、器差補正係数nを0、2、4に設定して、器差曲線を求めたところ、図5に示すようになった。
nを0、2、4とした場合の器差の値をそれぞれ、◇、□、△で示し、また、それぞれの器差曲線を二点鎖線M0 、点線M2 、一点鎖線M4 で示す。
図5に示されるように、本実施の形態では器差補正係数nを4とすることにより、器差曲線(M4 )を平均値(器差0%)に相当する直線に極めて近付けることが可能となり、器差を規定値内に確実かつ容易に納められることを確認できた。
【0034】
ここで、流量計1では瞬時流量が小さいときには、流量計1では例えば図9(a)に示すように流量パルス信号Aにおける単位時間(便宜上、単位時間窓という。)W当りのパルス数(波数)が少なく、また、瞬時流量が大きいときには、例えば図9(b)に示すように流量パルス信号Aにおける単位時間窓Wのパルス数が多い。
【0035】
そして、上述したパルスの間引き作動は、図9(a)に示すように単位時間窓Wにおけるパルス数が少ない(すなわち、被測定流体の流量が少ない)場合も、図9(b)に示すように単位時間窓Wにおけるパルス数が多い(すなわち、被測定流体の流量が多い)場合も同様に行われ、単位時間窓Wにおけるパルス数の多少にかかわらず単位時間窓Wにおいては同数のパルスが間引きされる。
【0036】
単位時間窓Wにおけるパルス数が少ない場合は、単位時間窓Wにおけるパルス数が多い場合に比して、一つのパルスの重み〔1/(単位時間窓Wにおけるパルス数)〕が相対的に大きくなる。
このため、上述したようにパルス数の多少にかかわらず単位時間窓Wにおいて同数のパルスを間引きし、間引きされた流量パルス信号A(補正信号H)により器差補正すると、例えば図8中点線Tに示すようになり、実線Rに比して、流量が少ない場合は、流量が多い場合に比してレベルが大きく低下し(それぞれ、矢印L1 ,L2 で示す。)、実線Rに比してなだらかな曲線(実線Sに近い形状)になる。このため、点線T(器差曲線)の値を平均して平均値(器差0%)を求めた場合、器差を規定値(例えば±3%)内に容易に納めることができるようになる。
【0037】
また、器差補正を行う上で上述した従来技術に必要とされた瞬時流量の計算、器差関数の演算を行うことなく、流量パルス信号Aから所定数のパルスを間引いて補正信号H(パルスを間引いて得られた流量パルス信号A)を求め、この補正信号Hにより流量の算出を行うと共に、器差補正が行われるので、器差補正をリアルタイムで行えることになり、時間遅れを招くことがなくなる。また、関数演算を行わずに器差補正されることにより、関数演算を行わない分、構造が簡易になり装置の低廉化を図ることができる。また、上述したようにリアルタイムで器差補正を行うことにより、短い時間に流れた流体の流量を調べるバッチ処理を行う場合に、本流量計1を適用することができ、本流量計1の汎用性を向上できる。
【0038】
さらに、器差補正係数nを調整する(例えばn=4とする)ことにより、器差曲線を平均値を示す直線に極めて近い形状にすることが可能になって器差を小さい値にすることができ、計測精度の向上を図ることができる。
また、パルスの間引き処理により器差補正を行うので、管2の形状等により影響されずに器差補正を行え、その分、器差補正の精度の向上を図ることができる。
【0039】
上述のように単位時間窓Wにおいて偶数番目のパルスを間引くことにより、まとめてn個、間引く場合に比して信号がならされることになる。また、単位時間窓Wにおいて偶数番目のパルスを間引くことにより、器差補正計数nよりも流量パルス信号Aのパルス数が小さい場合に単位時間窓Wにおける全てのパルスを除去してしまって、流量があるにもかかわらず、流量0が出力されることを抑制している。
また、仮に奇数番目のパルス、特に1番目のパルスI を間引くとその段階で被測定流体が流れていないと誤判定されてしまうことが起こり得るが、このように偶数番目のパルスを間引くことにより、上記誤判定の発生を防止できるものになっている。
【0040】
なお、上述した実施の形態においては、流量パルス信号Aをリアルタイムに間引くように構成したが、これに限らず、単位時間窓W分の流量パルス信号Aを積算した後に所定数のパルスを間引いて補正信号Hを求めても良く、この場合には、器差関数演算を行うよりも器差補正を簡易に行え、低廉化を図ることができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施の形態の流量計1を図6及び図7に基づいて説明する。この第2実施の形態の流量計1は、図1の流量演算部8に比して異なる流量演算部8を有していること及び一つの設定スイッチ12に代えて単位時間設定スイッチ12A及び器差補正係数設定スイッチ12Bを備えていることが主に、前記第1実施の形態の流量計1と異なっている。
図6及び図7において、流量演算部8は、流量パルス信号発生回路7からの流量パルス信号Aをそれぞれ入力する分周回路13及びカウンタ回路14を有している。
【0042】
分周回路13は、流量パルス信号Aを分周しないで1:1信号A(便宜上、流量パルス信号Aと同一符号で示す。)としてセレクタ回路15に入力すると共に、流量パルス信号Aを2:1に分周し、分周した信号の論理を反転して2:1分周反転信号Bを得、この2:1分周反転信号Bを1:1信号Aと共にセレクタ回路15に入力する。
【0043】
カウンタ回路14は、流量パルス信号Aの入力パルス数をカウントし、パルス数信号Gを第1、第2比較回路16,17に入力する。第1比較回路16はパルス数信号Gの値(以下、パルス数という)が「1」になったとき、補正開始信号JをFF回路18(フリップフロップ回路)に入力する。
また、第2比較回路17は器差補正係数設定スイッチ12Bに接続されており、この器差補正係数設定スイッチ12Bにより設定された値nに対して「2n+1」と「パルス数」とを比較し、これらが同じ値になったときに補正終了信号KをFF回路18に入力する。
【0044】
FF回路18は、第1比較回路16からの補正開始信号Jを受信してから第2比較回路17からの補正終了信号Kを受信するまでの間、セレクト信号Cをオン(ハイレベル)して前記セレクタ回路15に送る。
【0045】
セレクタ回路15は、セレクト信号Cがオン(ハイレベル)の間は2:1分周反転信号Bを選択し、また、セレクト信号Cがオフ(ローレベル)の間は1:1信号A(流量パルス信号A)を選択してセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送る。本実施の形態ではセレクタ回路15及びFF回路18により波数調整部が構成されている。
【0046】
前記カウンタ回路14には、単位時間設定スイッチ12Aからの信号を入力するタイマ回路19が接続されており、単位時間設定スイッチ12Aによって設定された時間毎にリセット信号Uをカウンタ回路14に送り、流量パルス信号Aのパルスのカウントを停止させてその値〔パルス数信号Gの値(パルス数)〕を0にリセットさせる。
【0047】
この流量計1の器差補正作動を以下に説明する。
例えば、器差補正係数設定スイッチ12Bに値nとして「1」が設定されたとする。なお、n=1とされたことにより前記「2n+1」は「3」となるので、図7に示すように「パルス数」が「3」となったとき(パルスIII 入力時点)に補正終了信号Kが出力されてセレクト信号Cがオフ(ローレベルと)され、n=1としたときの補正(パルスの間引き作動)が終了する。
そして、図7に示すように流量パルス信号AのパルスI が入力されると、カウンタ回路14はパルス数を「1」とし、パルス数が「1」となったことにより、補正開始信号JをFF回路18に入力し、器差補正作動を行える(セレクト信号Cをオンする)ようしている。すなわち、後述するようにパルスI については流量パルス信号Aから間引かれないようにすると共に、パルスII以降のパルス(単位時間窓Wの範囲)について条件の成立(セレクト信号Cをオンでかつ2:1分周反転信号Bがオフ)によって間引くようにしている。
【0048】
前記パルスI については、補正開始信号Jが出力されておらず、かつFF回路18がセレクト信号Cをオフ(ローレベル)としていることにより、セレクタ回路15から、パルスI を含む形でセレクタ出力信号D(流量信号)として演算本体部10に送られる。
【0049】
次に、パルスIIを入力すると、この段階でセレクト信号Cはオンされていると共に、2:1分周反転信号Bはオフ(ローレベル)とされていることで、セレクタ回路15は2:1分周反転信号B(この段階ではオフ)を選択しセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に入力する。この段階では2:1分周反転信号Bはオフとされていることにより、パルスIIが間引きされた形で流量パルス信号Aがセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送られることになる。
【0050】
次に、パルスIII を入力する(パルス数3となる)と、第2比較回路17はパルス数が「2n+1=3」と同じ値になったことにより補正終了信号KをFF回路18に送り、FF回路18はセレクト信号Cをオフ(ローレベル)としてセレクタ回路15に入力する。これによりセレクタ回路15は、パルスIII 以降については1:1信号A(流量パルス信号A)を選択してセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送る。
【0051】
上述したようにして、器差補正係数設定スイッチ12Bに値nとして「1」が設定された場合には、流量パルス信号AからパルスIIが間引きされた場合と同等数のパルスがセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送られる。すなわち、パルス数の多少(流量の多少)にかかわらず単位時間窓Wにおいて流量パルス信号Aのパルスから「1」だけ間引きされたパルス数が演算本体部10に入力される。そして、演算本体部10では単位時間窓Wにおいて流量パルス信号Aのパルスから「1」だけ間引きして得られたセレクタ出力信号D(パルス数)により器差補正を行うので、器差曲線が平均値を示す直線に近いなだらかな形状となる。このため、前記第1実施の形態と同様に、器差曲線の平均(図8実線S参照)に対して得られる器差を規定値(例えば±3%)内に容易に納めることができるようになる。
【0052】
また、器差補正係数設定スイッチ12Bに値nとして「2」が設定された場合には、前記「2n+1」は「5」となるので、図7に示すように「パルス数」が「5」となったとき(パルスV 入力時点)に補正終了信号Kが出力され、パルスIIを入力した時点でオンしたセレクト信号Cがオフ(ローレベルと)され、n=2としたときの補正(パルスの間引き作動)が終了する。
【0053】
そして、セレクト信号Cがオンとなっている間においては、セレクタ回路15は2:1分周反転信号Bを選択するが、2:1分周反転信号Bにおけるセレクト信号Cがオンの間の部分(パルスII〜IV)のうちパルスII及びIVに対応した部分はオフであり、また、パルスIII に対応した部分はオンとされている。このため、パルスII及びIVについては、前記n=1の場合と同様にして間引きされる一方、パルスIII については、2:1分周反転信号Bのオンとなっている部分が残された形でセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送られる。
パルスV 以降については、パルスV 入力時点で補正終了信号Kが出力(セレクト信号Cがオフ)されることにより、セレクタ回路15は1:1信号A(流量パルス信号A)を選択してセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送る。
【0054】
上述したようにして、器差補正係数設定スイッチ12Bに値nとして「2」が設定された場合には、流量パルス信号AからパルスII及びIVが間引きされた場合と同等数のパルスがセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送られる。すなわち、パルス数の多少(流量の多少)にかかわらず単位時間窓Wにおいて流量パルス信号Aのパルスから「2」だけ間引きされたパルス数が演算本体部10に入力される。そして、演算本体部10では単位時間窓Wにおいて流量パルス信号Aのパルスから「2」だけ間引きして得られたセレクタ出力信号D(パルス数)により器差補正を行うので、器差曲線が平均値を示す直線に近いなだらかな形状となる。このため、前記第1実施の形態と同様に、器差曲線の平均(図8実線S参照)に対して得られる器差を規定値(例えば±3%)内に容易に納めることができるようになる。
【0055】
また、器差補正係数設定スイッチ12Bに値nとして「3」が設定された場合も、「1」または「2」が設定された場合と同様に、処理が行われ、パルスII〜VIに対応してセレクト信号Cがオンとなると共に、2:1分周反転信号BにおけるパルスII、IV及びVI(偶数番目のパルス)に対応した部分がオフとされ、パルスIII 及びV に対応した部分がオンとされ、パルスII、IV及びVIについては、前記n=1及びn=2の場合と同様にして間引きされる一方、パルスIII 及びV については、2:1分周反転信号Bのオンとなっている部分が残された形でセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送られる。また、パルスVII 以降については、パルスVII 入力時点で補正終了信号Kが出力(セレクト信号Cがオフ)されることにより、セレクタ回路15は1:1信号A(流量パルス信号A)を選択してセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送る。
【0056】
上述したようにして、器差補正係数設定スイッチ12Bに値nとして「3」が設定された場合には、流量パルス信号AからパルスII、IV及びVIが間引きされた場合と同等数のパルスがセレクタ出力信号Dとして演算本体部10に送られる。すなわち、パルス数の多少(流量の多少)にかかわらず単位時間窓Wにおいて流量パルス信号Aのパルスから「3」だけ間引きされたパルス数が演算本体部10に入力される。そして、演算本体部10では単位時間窓Wにおいて流量パルス信号Aのパルスから「3」だけ間引きして得られたセレクタ出力信号D(パルス数)により器差補正を行うので、器差曲線が平均値を示す直線に近い形状となる。このため、前記第1実施の形態と同様に、器差曲線の平均(図8実線S参照)に対して得られる器差を規定値(例えば±3%)内に容易に納めることができるようになる。
【0057】
この第2実施の形態も、前記第1実施の形態と同様に、器差補正をリアルタイムで行えることになり、時間遅れを招くことがなくなると共に、関数演算を行わない分、構造が簡易になり装置の低廉化を図ることができる。また、上述したようにリアルタイムで器差補正を行うことにより、短い時間に流れた流体の流量を調べるバッチ処理を行う場合に、本流量計1を適用することができる。
【0058】
さらに、器差補正係数設定スイッチ12Bの設定値nを調整することにより、器差曲線を平均値を示す直線に極めて近い形状にすることが可能になって器差を小さい値にすることができ、計測精度の向上を図ることができる。
また、パルスの間引き処理により器差補正を行うので、管2の形状等により影響されずに器差補正を行え、その分、器差補正の精度の向上を図ることができる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明は、被測定流体の流れる管内に設けられてカルマン渦を発生させる渦発生体と、前記被測定流体の流量に比例した周波数の流量パルス信号を発生する流量パルス信号発生部と、前記流量パルス信号の入力を受けてそのパルス数を計数し該計数値に基づいて前記被測定流体の瞬時流量及び積算流量を求める流量演算部と、該流量演算部が求めた前記瞬時流量及び積算流量を出力する流量出力部と、を備えた渦流量計であって、前記流量信号発生部と前記流量演算部との間に、前記流量パルス信号発生部からの前記流量パルス信号の単位時間毎のパルス数から予め設定された所定パルス数を間引いて間引きされた流量パルス信号に相当する補正信号を得、該補正信号を前記流量パルス信号として前記流量演算部に入力するパルス数調整処理を、単位時間毎に繰り返し実行する波数調整部を設けており、流量信号の波数の単位数の重みは、流量が少ない(すなわち、流量信号の波数が少ない)場合は、流量が多い(すなわち、流量信号の波数が多い)場合に比して、相対的に大きいため、器差曲線を平均値を示す直線に極めて近い形状にすることが可能となる。このため、器差曲線の平均に対して得られる器差を規定値(例えば±3%)内に容易に納めることができるようになる。
【0060】
また、器差補正を行う上で従来技術に必要とされた瞬時流量の計算、器差関数の演算を行うことなく、単位時間毎に流量信号の波数から所定数を減算するので、所定数を減算流量信号に基づいて流量の算出を行えると共に、器差補正が行われるので、器差補正をリアルタイムで行え時間遅れを招くことがない。また、従来技術に必要とされた関数演算を行わない分、構造が簡易になり装置の低廉化を図ることができる。
【0061】
さらに、上述したようにリアルタイムで器差補正を行うことにより、短い時間に流れた流体の流量を調べるバッチ処理を行う場合に、本流量計を適用することができ、汎用性の向上を図ることができる。
また、流量信号の波数からの減算処理により器差補正を行うので、流量計本体部(例えば管)の形状等により影響されずに器差補正を行え、その分、器差補正の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の流量計を模式的に示すブロック図である。
【図2】図1の器差補正部の機能を示すための信号波形図である。
【図3】図1の流量演算部の単位時間処理内容を示すフローチャートである。
【図4】図1の流量演算部の流量加算処理内容を示すフローチャートである。
【図5】図1の流量計の作用を説明するための器差特性を示す図である。
【図6】本発明の第2実施の形態の流量計を模式的に示すブロック図である。
【図7】図6の流量計の各部の信号波形図を示す図である。
【図8】流量計の器差特性を模式的に示す図である。
【図9】流量が少ないときと多いときを比較して示す流量パルス信号の図である。
【符号の説明】
1 流量計
7 流量パルス信号発生部(流量信号発生部)
9 器差補正部(波数調整部)
10 演算本体部(流量演算部)
A 流量パルス信号(流量信号)
H 補正信号(流量信号)
Claims (2)
- 被測定流体の流れる管内に設けられてカルマン渦を発生させる渦発生体と、前記被測定流体の流量に比例した周波数の流量パルス信号を発生する流量パルス信号発生部と、前記流量パルス信号の入力を受けてそのパルス数を計数し該計数値に基づいて前記被測定流体の瞬時流量及び積算流量を求める流量演算部と、該流量演算部が求めた前記瞬時流量及び積算流量を出力する流量出力部と、を備えた渦流量計であって、
前記流量信号発生部と前記流量演算部との間に、前記流量パルス信号発生部からの前記流量パルス信号の単位時間毎のパルス数から予め設定された所定パルス数を間引いて間引きされた流量パルス信号に相当する補正信号を得、該補正信号を前記流量パルス信号として前記流量演算部に入力するパルス数調整処理を、単位時間毎に繰り返し実行する波数調整部を設けたことを特徴とする渦流量計。 - 前記補正信号は、前記単位時間内の流量パルス信号のパルスのうち、偶数番目のパルスを間引くことにより得られることを特徴とする請求項1に記載の渦流量計。
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