JP4106243B2 - ガスセンサの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに対面する面に電極が形成された板状の固体電解質を複数積層すると共に、互いに対面する該固体電解質間にペースト状の絶縁体を塗布し、焼成によって前記固体電解質と前記絶縁体とを一体化してなるガスセンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車などの内燃機関に取り付けられ、排気ガス中に含まれている特定成分の濃度を検出する様々な形態のガスセンサが開発されている。そして、その中の1つとして、ジルコニアなどの固体電解質からなる長尺状のシート部材(以下、「グリーンシート」という。)を複数積層してなり、排気ガス中の窒素酸化物の濃度を検出する窒素酸化物センサ(以下、「NOXセンサ」という。」が知られている。
【0003】
一般的に、このNOXセンサを製造するには、まず、長尺状に形成した複数のグリーンシートの両面にそれぞれ、ペースト状のアルミナをスクリーン印刷して乾燥させる。但し、この際、グリーンシートの長手方向の一端部における片面もしくは両面には、アルミナを印刷しない箇所を矩形状に形成する。
【0004】
そして、アルミナを印刷していない箇所に、焼成すると多孔質体となる白金ペーストをスクリーン印刷して、矩形状の電極のパターン(以下、「電極パターン」という。)を形成し、酸素ポンプセルや酸素濃度検出セルを構成する。尚、この際、乾燥したアルミナの上にも、上記白金ペーストを塗布して、電極パターンから電極パターンの反対側の一端に向かう長尺状のリード部のパターン(以下、「リード部パターン」という。)を形成する。
【0005】
次に、電極パターンの周囲と、リード部パターンの上部及び周囲とに、電極パターンとリード部パターンとを周囲から絶縁すると共に、グリーンシート同士を貼り合わせるためのペースト状のアルミナを再度スクリーン印刷する。尚、各グリーンシートのリード部パターンは、アルミナを介して対面する他のグリーンシートのリード部パターンとアルミナを介して互いに重なり合うように形成されており、各電極から電気信号を取り出すための白金線を各リード部パターンの先端部にて互いに挟持するようにされている。
【0006】
そして、排気ガスを導入するためのガス室をNOXセンサ内部に形成するためのカーボンを電極パターンが形成された部位にスクリーン印刷したのち、各々のグリーンシートを重ね合わせて圧着し、これらを例えば1480℃の雰囲気に曝して焼成して一体化させる。ここで、焼成により一体化したNOXセンサは、高温(例えば、650℃)の雰囲気に曝した状態で、当該NOXセンサの電極に電圧が印加され(所謂、エージング処理)、電極の活性化が行われる。
【0007】
以上の工程によりNOXセンサは製造されている。
ところで、グリーンシートの材料であるジルコニアの熱膨張率が9.3×10-6/℃(20〜700℃)であるのに対し、アルミナの熱膨張率は7.7×10-6/℃(20〜700℃)である。このため、焼成やエージングの際に、アルミナによって、グリーンシートの膨張や収縮が妨げられてグリーンシートに応力が生じ、場合によっては、グリーンシートにクラックが発生することがあった。尚、このクラックの発生は、グリーンシートの厚みとアルミナの塗布厚とに関係することが実験的に確認されている。
【0008】
ここで、図8は、グリーンシートの厚みとアルミナの塗布厚との比を変化させてクラックの発生率の確認を行った際の結果を示すグラフである。但し、グリーンシートの厚みとアルミナの塗布厚との比をグラフの横軸、クラックの発生率をグラフの縦軸に設定する。
【0009】
図8からは、アルミナの塗布厚がグリーンシートの厚み(325μm)の1/3.6倍(90μm)となるようにアルミナの塗布厚を設定すれば、グリーンシートにクラックが発生することがないことが分かる。
このような実験結果に基づいて、グリーンシート間のアルミナの塗布厚は、グリーンシートの厚みに応じて設定されていた。具体的には、ガスセンサの製造装置における塗布厚の誤差を考慮して、グリーンシートの厚みの1/4.1(79μm)をアルミナの目標塗布厚としていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リード部パターンとリード部パターンの周囲との境界部位(以下、「リード部近傍」という。)では、リード部パターンの厚み分だけアルミナの塗布厚が他の部位よりも大きくなってしまう。このため、アルミナの塗布厚がグリーンシートの厚みの1/4.1となるようにアルミナを塗布しても、リード部近傍では、アルミナの塗布厚がグリーンシートの厚みの1/3.6を越えてしまうことがあり、焼成時やエージング時にグリーンシートにクラックが発生することがあった。
【0011】
一方、上記問題を回避するためにアルミナの塗布厚をあまり薄く設定してしまうと、アルミナを介して互いに重なり合うリード部同士が電極から白金線に至るまでの部位にて短絡してしまう。この場合、各リード部を流れる各電極からの電流が白金線に至る途中で他のリード部に流出したり、他のリード部の電流が流入するため、各セルに発生する電圧が変動してしまい、排気ガス中の窒素酸化物の濃度を正確に検出できなくなるといった問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、絶縁体の厚みのばらつきに起因して焼成時やエージング時に固体電解質にクラックが発生したり、リード部間に短絡が発生する割合を低減したガスセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、板状からなる固体電解質及び該固体電解質の片面に配置された第1電極を有する第1セルと、該第1セルと積層され、板状からなる固体電解質及び該固体電解質の前記第1セル側の片面に配置された第2電極を有する第2セルとに、前記第1電極及び前記第2電極から前記固体電解質の面に沿って延設するリード部を互いに重なり合うように配置して、前記第1セルにおける前記片面と前記第2セルにおける前記第1セル側の前記片面との間にペースト状の絶縁体を塗布し、焼成により前記第1セル及び前記第2セルと前記絶縁体とを一体化してなるガスセンサの製造方法であって、前記リード部近傍における前記絶縁体の塗布厚が前記固体電解質の厚みの1/8.1以上、且つ、1/5.4以下となるように前記絶縁体を塗布することを特徴とする。
【0014】
このようなガスセンサの製造方法によれば、絶縁体の塗布厚が最もばらつき易いリード部近傍においても、絶縁体の塗布厚が固体電解質の厚みの1/3.6よりも大きくなることがない。
又、互いに重なり合うリード部間における絶縁体の塗布厚が、リード部間の短絡を招くような厚みとなる割合が低い。
【0015】
即ち、本発明により、絶縁体の厚みのばらつきに起因して焼成時やエージング時に固体電解質にクラックが発生したり、リード部間に短絡が発生する割合を低減できる
【0016】
【0017】
【0018】
尚、請求項記載のように、前記固体電解質の主成分は、ジルコニアからなり、又、前記絶縁体の主成分は、アルミナからなっていても良い。
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
実施形態
まず、図1は、本発明に係る製造方法により製造されたNOXセンサの外観形状を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、NOXセンサ1は、ジルコニアを主成分とする長さ50mm、幅4.5mm、厚さ325μmの長尺状の3枚のグリーンシート2,3,4が順に積層されてなると共に、グリーンシート2,3の間、及び、グリーンシート3,4の間には、長さ10mm、径200μmの白金線5,6,7,8が当該NOXセンサ1の長手方向の一端から突出するように挟持されている。そして、グリーンシート2の外側の面には、外部からNOXセンサ1内部に酸素を汲み入れると共に、NOXセンサ1内部の酸素を外部に汲み出す多孔質の電極21が、白金線突出端とは反対側の一端(以下、「電極形成端」という。)付近に備えられている。
【0023】
ここで、図2は、図1におけるA−A断面図である。
図2に示すように、NOXセンサ1は、グリーンシート2の両面に多孔質の電極21,22を形成してなる第1酸素ポンプセル(以下、「第1ポンプセル」という。)20と、グリーンシート3の両面に多孔質の電極31,32を形成してなる酸素濃度検出セル(以下、「検出セル」という。)30と、グリーンシート4におけるNOXセンサ1内部側の面に電極41,42を形成してなる第2酸素ポンプセル(以下、「第2ポンプセル」という。)40とを有し、各セルの間には、アルミナを主体とする絶縁層50,60が介挿されている。
【0024】
尚、NOXセンサ1の電極形成端における第1酸素ポンプセル20と検出セル30との間には、多孔質体で構成された第1拡散抵抗体25と、第1拡散抵抗体25を介して外部から被測定ガスを導入する第1室26とが形成されている。又、第1室26の奥部には、多孔質体からなる中空状の第2拡散抵抗体35が形成されている。
【0025】
そして、検出セル30には、第2拡散抵抗体35の中空部分と合同な平面形状を有し、第1室26に導入された被測定ガスを第2拡散抵抗体35を介して取り込む拡散孔36が形成されている。
又、絶縁層60には、拡散孔36に取り込まれた被測定ガスを導入する第2室61が形成されており、第2ポンプセル40の電極41が第2室61に露出するようにされている。
【0026】
このような構造を有するNOXセンサ1は、グリーンシート2における電極21が形成されている面に長尺状のヒータ(図示せず)が積層され、このヒータにより活性温度(例えば、750℃)まで加熱された状態で被測定ガス中のNOXの濃度の検出を行う。尚、検出方法の詳細は、例えば、特開平10−221298号公報などに詳述されており、本発明の要旨とも関係がないため、その説明を省略する。
【0027】
以下、図3に示すNOXセンサ1の分解斜視図を用いてNOXセンサ1の製造方法について説明する。
まず、グリーンシート2の図中下面の白金線5を挟持する箇所(グリーンシート2の図中における手前右端)に、当該グリーンシート2の厚み方向に当該グリーンシート2を貫通するスルーホール27を形成し、スルーホール27の両端が電気的な導通を有するように、スルーホール27の内壁面に白金ペーストを塗布する。
【0028】
次に、グリーンシート2の両面に、ペースト状のアルミナ(図示せず)を10μmの塗布厚でスクリーン印刷して乾燥させる。但し、グリーンシート2における電極形成端の両面にはそれぞれ、アルミナを印刷しない箇所を矩形状に形成する。又、グリーンシート2の両面におけるスルーホール27の形成部分にもアルミナを印刷しない。
【0029】
そして、アルミナを印刷していない矩形状の箇所に、触媒機能を有する白金を材料としたペースト(以下、「電極用ペースト」という。)をスクリーン印刷して、矩形状の電極21,22のパターンを形成する。尚、この際、乾燥したアルミナの上にも、電極21,22のパターンから白金線突出端に向かって電極用ペーストを塗布して、電極21,22よりも幅が細い長尺状のリード部23,24のパターンを形成する。但し、リード部23のパターンは、電極21から白金線突出端付近に至る区間では、グリーンシート2の短手方向の中央部分に位置するように形成される。そして、白金線突出端において、リード部23のパターンは、グリーンシート2の図中における手前側に位置し、その先端部がスルーホール27を覆うように形成される。又、リード部24のパターンは、電極22から白金線突出端にかけてグリーンシート2の図中における奥側に位置するように形成される。
【0030】
このようにして、グリーンシート2に電極パターンとリード部パターンとを形成したのち、白金線5,6,7,8をリード部パターンに一体化させるための白金ペースト(以下、「白金線用ペーストという。)70をグリーンシート2の下面におけるリード部24のパターンの先端部と、スルーホール27が形成され、白金線5を挟持する部位とに10〜30μmの厚さで塗布する。
【0031】
白金線用ペースト70の塗布を終了すると、グリーンシート2の上面における電極21のパターンを除いた箇所に、ペースト状のアルミナを10〜30μmの厚さで塗布し(図示せず)、リード部23のパターンを外部から絶縁する。
以上のようにして第1ポンプセル20を作製する。
【0032】
次に、グリーンシート3の長手方向の中央付近に当該グリーンシート3の厚み方向に当該グリーンシート3を貫通する孔をあけ、拡散孔36を形成する。又、グリーンシート3の白金線突出端付近におけるグリーンシート2のリード部24と対面する部位に、当該グリーンシート3を貫通するスルーホール37を形成し、スルーホール37の両端が電気的な導通を有するように、スルーホール37の内壁面に白金ペーストを塗布する。
【0033】
そして、グリーンシート3の両面にそれぞれ、焼成すると絶縁層50,60となるペースト状のアルミナ(図示せず)を10μmの塗布厚でスクリーン印刷して乾燥させる。但し、グリーンシート3の両面における拡散孔36よりも電極形成端寄りにはそれぞれ、アルミナを印刷しない箇所を矩形状に形成する。又、グリーンシート3の両面における拡散孔36及びスルーホール37の形成部分にもそれぞれ、アルミナを印刷しない。
【0034】
アルミナを乾燥し終えると、アルミナを印刷していない箇所に、電極用ペーストをスクリーン印刷して、矩形状の電極31,32のパターンを形成する。尚、この際、乾燥したアルミナの上にも、電極31,32のパターンから白金線突出端に向かって電極用ペーストを塗布して、電極31,32よりも幅が細い長尺状のリード部33,34のパターンを形成する。但し、リード部33のパターンは、グリーンシート2のリード部24と対面すると共に、スルーホール37を覆うように形成される。又、リード部34のパターンは、電極32から白金線突出端付近に至る区間では、グリーンシート3の図中における手前側に位置するように形成され、白金線突出端では、その先端部がグリーンシート3の図中における奥側に位置するように形成される。
【0035】
以上のようにして検出セル30を作製する。
続いて、グリーンシート4の図中上面に、焼成すると絶縁層60となるペースト状のアルミナ(図示せず)を10μmの塗布厚でスクリーン印刷して乾燥させる。但し、グリーンシート4の長手方向の中央付近には、アルミナを印刷しない箇所を矩形状に2箇所、互いに隣り合うように形成する。
【0036】
そして、アルミナを印刷していない矩形状の箇所に、電極用ペーストをスクリーン印刷して、矩形状の電極41,42のパターンを形成する。尚、この際、乾燥したアルミナの上にも、電極41,42のパターンから白金線突出端に向かって電極用ペーストを塗布して、電極41,42よりも幅が細い長尺状のリード部43,44のパターンを形成する。但し、電極41は、電極42よりもグリーンシート4の長手方向の中央寄りに形成される。そして、リード部43のパターンは、電極41から白金線突出端にかけてグリーンシート4の図中における奥側に位置するように形成される。又、リード部43のパターンは、リード部44よりも短く設定され、グリーンシート4における電極41のパターンが形成された部位からグリーンシート3のスルーホール37と対面する部位まで形成されている。又、リード部44のパターンは、電極42から白金線突出端にかけてグリーンシート4の図中における手前側に位置するように形成される。
【0037】
電極パターン及びリード部パターンの形成を終了すると、白金線7を挟持するリード部44の先端部と、白金線突出端近傍におけるリード部43の延長線上に位置する部位とにそれぞれ、白金線用ペースト70を10〜30μmの厚さで塗布する。
【0038】
又、グリーンシート4の図中における下面全体に、グリーンシート4を補強するためのアルミナを10〜26μmの厚さで塗布する(図示せず)。
以上のようにして第2ポンプセル40を作製する。
このように各セルを作製したのち、グリーンシート2の下面における電極22や白金線用ペースト70を塗布した部分と、グリーンシート2の電極形成端の下面における当該グリーンシート2の短手方向の中央とを除く箇所に、再度、焼成すると絶縁層50となるペースト状のアルミナ(図示せず)をスクリーン印刷により塗布する。又、同様にして、グリーンシート3の両面、及びグリーンシート4の上面のそれぞれにおける電極及び白金線用ペースト70を塗布した部分を除いた箇所に、焼成すると絶縁層50,60となるペースト状のアルミナ(図示せず)を再度、スクリーン印刷により塗布する。
【0039】
但し、各グリーンシートにアルミナを再度塗布する際、上記工程にてグリーンシート2の下面やグリーンシート3の両面、グリーンシート4の上面に塗布したアルミナの塗布厚を表面粗さ計で測定する。ここで、アルミナの塗布厚が目標塗布厚(10μm)から大きくずれていた場合には、アルミナの塗布厚と目標塗布厚との誤差が小さくなるように、製造装置の印刷スピードや印刷圧力、印刷ギャップなどを調整する。又、グリーンシート2,3,4を積層した際に、互いに対面するリード部同士に挟まれる箇所の近傍におけるアルミナの塗布厚が、上記工程にて塗布したアルミナの塗布厚も含めグリーンシート2,3,4の厚みの1/8.1以上、且つ、1/5.4以下(ここでは、50μm)となるようにアルミナをスクリーン印刷する。尚、スクリーン印刷する際、一度に目標塗布厚分のアルミナを塗布してしまうのではなく、途中で表面粗さ計による塗布厚の測定を行いながら数回(例えば、4回)に分けて行うと良い。
【0040】
そして、グリーンシート3に第1拡散抵抗体25、第2拡散抵抗体35を形成する多孔質体(図示せず)や、第1室26、第2室61を形成するカーボン材(図示せず)などを塗布したのち、白金線5,6,7,8を挟持させながら、全てのグリーンシートを積層し、所定の圧力(4.9×105Pa)にて圧着させる。
【0041】
ここで、圧着させたグリーンシート2,3,4を1480℃の雰囲気に1時間曝して焼成させ、更に、650℃の雰囲気に曝した状態で白金線5,6間に電圧を印加して電極21,22をエージング処理することによりNOXセンサ1を得る。
【0042】
以上のようにして製造されたNOXセンサ1では、絶縁層50,60を構成するアルミナの塗布厚が最も厚くなるリード部近傍において、アルミナをグリーンシートの厚みの1/8.1以上、且つ、1/5.4以下となるように塗布しているため、リード部近傍におけるアルミナの塗布厚がグリーンシート2,3,4の厚みの1/3.6(90μm)よりも大きくなることがない。又、互いに重なり合うリード部24,33の間におけるアルミナの塗布厚が、リード部24,33間の短絡を招くような厚みとなる割合が低い。
【0043】
即ち、本実施形態の製造方法によれば、絶縁体の厚みのばらつきに起因して焼成時やエージング時に固体電解質にクラックが発生したり、リード部間に短絡が発生する割合を低減できる。
参考形態
次に参考形態について説明する。
【0044】
尚、本参考形態のNOXセンサは、実施形態のNOXセンサ1とは検出セルの上面におけるリード部のパターンの配置が異なるだけである(絶縁層50,60を構成するペースト状のアルミナの目標塗布厚は実施形態と同様。)。従って、ここでは、実施形態と同一の部分に関しては同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0045】
ここで、図4は、本参考形態のNOXセンサ10の分解斜視図である。
図4に示すように、NOXセンサ10の検出セル90において、グリーンシート9の上面に形成された矩形状の電極91から延設される長尺状のリード部93のパターンは、電極91から白金線突出端付近に至る区間では、グリーンシート9の図中における手前側に位置するように形成される。そして、白金線突出端の近傍では、リード部93のパターンは、スルーホール37を覆うと共に、グリーンシート2の下面のリード部24のパターンと対面するように、グリーンシート9の図中奥側に位置するように形成される。
【0046】
このようにリード部93のパターンを形成することにより、電極91から白金線突出端の近傍に至るまでの部位では、グリーンシート2,9を積層した際に、リード部24とリード部93とが重なり合うことがないため、アルミナの塗布厚のばらつく範囲が狭くなる。しかも、アルミナの塗布厚を薄く設定しても、電極91から白金線突出端の近傍に至るまでの部位にてリード部24とリード部93との間において短絡が生じることがない。又、たとえリード部24とリード部93とが重なり合う白金線突出端近傍にて、リード部24とリード部93とが短絡しても、白金線6に至るまでの区間が短いため、大きな電圧降下を生じることがない。
【0047】
即ち、本参考形態の製造方法によれば、絶縁体の厚みのばらつきに起因して焼成時やエージング時に固体電解質にクラックが発生したり、リード部間に短絡が発生する割合を確実に低減することができる。又、アルミナの塗布厚のばらつく範囲が狭いので、従来よりも均一な品質のNOXセンサを提供できる。
【0048】
又、上記のようにリード部93のパターンが配置されたNOXセンサ10では、製造時や使用時にリード部24とリード部93とが短絡することがないため、リード部24とリード部93との短絡に起因する電極22,91の電気信号の変動を防止できる。しかも、第1ポンプセル20と検出セル90との間においては、アルミナの塗布厚を必要最小限に抑えることができるため、NOXセンサ10をより薄く構成できる。
【0049】
以下、上記効果を実証するために発明者が行った実証実験の結果を表1,2に示す。
この実証実験では、上記実施形態の製造方法により製造されたNOXセンサ1を実施例、上記参考形態の製造方法により製造されたNOXセンサ10を参考例、従来の製造方法(絶縁層を構成するアルミナの目標塗布厚を79μmに設定)により製造されたNOXセンサを比較例としている。
【0050】
そして、実証実験は、実施例、参考例及び比較例を各々10個製造し、製造した各NOXセンサの断面を調べ、第1ポンプセルと検出セルとの間におけるリード部近傍のアルミナの塗布厚t1〜t3と、互いに対面する第1ポンプセルのリード部と検出セルのリード部との間におけるアルミナの塗布厚t4,t5を測定するものである(図5〜7参照)。
【0051】
ここで、表1は、各NOXセンサにおける第1ポンプセルと検出セルとの間におけるリード部近傍のアルミナの塗布厚t1〜t3の測定結果である。そして、表2は、互いに対面する第1ポンプセルのリード部と検出セルのリード部との間におけるアルミナの塗布厚t4,t5の測定結果である。
【0052】
【表1】
Figure 0004106243
【0053】
【表2】
Figure 0004106243
【0054】
表1に示すように、比較例では、アルミナの塗布厚t3が30%の割合でグリーンシートの厚み(325μm)の1/3.6より大きくなることがあったのに対し、実施例及び参考例では、アルミナの塗布厚t1,t2がグリーンシートの厚みの1/3.6より大きくなることがなかった。又、参考例実施例よりもアルミナの塗布厚と目標塗布厚との標準偏差が小さく、アルミナの塗布厚のばらつきが小さかった。
【0055】
そして、表2に示すように、実施例は、比較例と同じく、互いに対面するリード部の短絡を防止するのに十分なアルミナの塗布厚を確保していた。
この実証実験の結果により、本発明に係る製造方法を用いることで、絶縁体の厚みのばらつきに起因して焼成時やエージング時に固体電解質にクラックが発生したり、リード部間に短絡が発生する割合が低減することが実証された。
【0056】
尚、参考形態では、アルミナの目標塗布厚を50μmに設定していたが、上記実験結果から、参考形態の製造方法では、アルミナの目標塗布厚を72.2μm(グリーンシートの厚みの1/4.5)に設定しても、リード部近傍におけるアルミナの塗布厚が90μmを越えてしまうことがないことが分かった。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態及び参考形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態及び参考形態では、本発明をNOXセンサの製造に用いたが、板状からなる固体電解質を複数積層してなる他のガスセンサの製造に適用しても良い。
【0058】
又、上記実施形態及び参考形態では、グリーンシートがジルコニアからなっていたが、ジルコニアとイットニアとの固溶体やジルコニアとカルシアとの固溶体、ハフニアの固溶体、ペロブスカイト型酸化物固溶体、3価金属酸化物固溶体などからなっていても良い。
【0059】
又、上記参考形態では、電極91から電極91の反対側に位置するリード部93の先端部付近までがグリーンシート2におけるリード部24と互いに重なり合わないように配置されていたが、リード部93全体がリード部24と互いに重なり合わないように配置されていても良い。この場合、リード部93に接続させる白金線を1つ追加すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のNOXセンサ1の斜視図である。
【図2】NOXセンサ1の図1におけるA−A断面図である。
【図3】NOXセンサ1の分解斜視図である。
【図4】参考形態のNOXセンサ10の分解斜視図である。
【図5】実施例のNOXセンサの断面図である。
【図6】参考例のNOXセンサの断面図である。
【図7】比較例のNOXセンサの断面図である。
【図8】グリーンシートの厚みとアルミナの塗布厚との比を変化させてクラックの発生率の確認を行った際の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1,10…NOXセンサ、 2,3,4,9…グリーンシート、 5,6,7,8…白金線、 20…第1ポンプセル、 21,22,31,32,41,42,91…電極、 23,24,33,34,43,44,93…リード部、 25…第1拡散抵抗体、 26…第1室、 27,37…スルーホール、 30,90…検出セル、 35…第2拡散抵抗体、 36…拡散孔、 40…第2ポンプセル、 50,60…絶縁層、 61…第2室、 70…白金線用ペースト。

Claims (2)

  1. 板状からなる固体電解質及び該固体電解質の片面に配置された第1電極を有する第1セルと、該第1セルと積層され、板状からなる固体電解質及び該固体電解質の前記第1セル側の片面に配置された第2電極を有する第2セルとに、前記第1電極及び前記第2電極から前記固体電解質の面に沿って延設するリード部を互いに重なり合うように配置して、前記第1セルにおける前記片面と前記第2セルにおける前記第1セル側の前記片面との間にペースト状の絶縁体を塗布し、焼成により前記第1セル及び前記第2セルと前記絶縁体とを一体化してなるガスセンサの製造方法であって、
    前記リード部近傍における前記絶縁体の塗布厚が前記固体電解質の厚みの1/8.1以上、且つ、1/5.4以下となるように前記絶縁体を塗布することを特徴とするガスセンサの製造方法。
  2. 前記固体電解質の主成分はジルコニアからなり、又、前記絶縁体の主成分は、アルミナからなることを特徴とする請求項1記載のガスセンサの製造方法。
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