JP4105372B2 - パネル取り付け金具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の外壁材となる押出成形セメント板やALC(Autoclaved Lightweight Concrete)パネル等を建物の躯体側に設けられたC型チャンネル材からなる下地鋼材に留め付けるための、所謂パネル取り付け金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3乃至図6に示すように建物の躯体に押出成形セメント板やALC等のパネル21を取り付ける場合、クリップ金具22AやZクリップ22Bと称されているパネル取り付け金具22を用いて、建物躯体側に設けられているC型チャンネル材23AやL型アングル材23B等の下地鋼材23を抑えることにより、パネル21を下地鋼材23に対して留め付けるようにしている。
パネル取り付け金具22には、接地面部24の中央部にルーズホール25が設けられ、この取り付け金具22はパネル21の中空部内に配置された内挿ナット26に取り付け用のボルト27を介して定着されるようになっている。
【0003】
一般にパネル21を下地鋼材23に留め付ける際、図3、4に示すように下地鋼材23がC型チャンネル材23Aである場合には、一端部に上方へ立ち上がった釣状つめ部28を有するクリップ金具22Aと称される取り付け金具22が用いられ、また、下地鋼材23がL型アングル材23Bである場合には、図5に示すようにフラットな留め付け面29を有するZクリップ22Bと称される取り付け金具22が用いられている。
【0004】
これらの取り付け金具22をパネル21にボルト27を介して定着するためのボルト穴は、通常上記したようにルーズホール25となっており、このルーズホール25によって地震時等に発生するパネル21と建物躯体側の下地鋼材23間の層間変位に追従できるよう構成されている。
このため、ルーズホール25の範囲内での層間変位に対しては、パネル21が破壊したり、脱落したりする可能性は殆どない。
【0005】
図6の(A)、(B)、(C)は、それぞれ地震時の振動等によって発生した層間変位の状態を示したもので、(A)は通常の状態を示し、(B)及び(C)は、それぞれ下地鋼材23が矢印方向に移動し、下地鋼材23の間隔が狭くなる方向に変位した場合におけるパネル21と下地鋼材23間の層間変位の状態を示したものである。
なお、層間変位では、パネル21の取り付け下地である下地鋼材23が左右にずれるため、図示のようにパネルの取り付け下地はパネル21の取り付け幅に対して狭くなる方向に移動(層間変位)することになる。
【0006】
ここで、取り付け金具22としてZクリップ22Bを用いてパネル21をL型アングル材23Bに取り付ける場合、地震時の振動や経年変化により取り付け金具22に緩みが生じたとき、Zクリップ22Bが金具取り付け用ボルト27を中心に回転して留め付け面29がL型アングル材23Bから外れる可能性があるため、留め付け後に必ずZクリップ22BとL型アングル材23Bを溶接するようにしている。
従って、層間変位に対する許容範囲はルーズホール25の範囲によって決まることになる。
【0007】
一方、クリップ金具22Aを用いてパネル21をC型チャンネル材23Aに取り付けた場合、クリップ金具22Aの釣状つめ部28の係止部分がC型チャンネル材23Aのフランジ部分に係止しているため、地震時の振動や経年変化によりクリップ金具22Aに緩みが生じても、クリップ金具22Aが回転することはなく、クリップ金具22Aの釣状つめ部28がC型チャンネル材23Aから外れる心配がないため、Zクリップ22Bのように溶接はしていない。
【0008】
しかしながら、クリップ金具22Aの場合、釣状つめ部28の係止部分が傾斜面によって形成されているため、地震時の層間変位でパネル21が大幅に変位すると、図4に示すようにC型チャンネル材23Aが釣状つめ部28の傾斜面に沿って矢印方向(逆方向の場合もある)に移動し、クリップ金具22Aが図示のようにパネル21から浮き上がる可能性があった。
仮にこのような場合でも、パネル21や取り付け金具22が脱落することはないが、層間変位に対して不安定さが残ることになるため、より高い安全性が求められている状況にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解消することを目的としてなされたものであり、その第一の課題は、外壁材等のパネルを取り付け金具を介して建物躯体側の下地鋼材に留め付ける場合において、地震時等における層間変位に対して一層安全性を高めることができるパネル取り付け金具を提供することにある。
本発明のもう一つの課題は、上記のような取り付け金具をコストアップを伴うことなく安価に提供できると共に、層間変位時の移動規制を安定化でき、しかも十分な強度を確保できるパネル取り付け金具を供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明に係るパネル取り付け金具は、接地面部にルーズホールを有すると共に、同接地面部の一端にパネルを下地鋼材に留め付ける上方に立ち上がった釣状つめ部を備えたパネル取り付け金具であって、前記釣状つめ部の立ち上がり境界部に前記接地面部から水平方向に延出する突出部を設けたことを特徴とするもので、接地面部から水平方向に延出された突出部を下地鋼材に接触させておくことにより、層間変位が大きくパネルがルーズホールの範囲を越えて移動しようとしても、突出部がそれを規制し下地鋼材が釣状つめ部の傾斜面に沿って移動するのを制限できるため、層間変位による移動をルーズホールの範囲内に抑えて取り付け金具の浮き上がりを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係るパネル取り付け金具は、上記したパネル取り付け金具において、前記突出部を前記釣状つめ部の立ち上がり境界部分を打ち抜いて形成したことを特徴とするもので、突出部を釣状つめ部の立ち上がり境界部分を打ち抜いて形成しているため、金具を大幅に構造変更することなく抜き型の変更のみにより簡易に製作することができる。
【0012】
また、本発明に係るパネル取り付け金具は、上記したパネル取り付け金具において、前記突出部を前記ルーズホールの長さ方向の延長線上であって前記接地面部の幅方向の中央部に設けたことを特徴とするもので、突出部をルーズホールの長さ方向の延長線上で接地面部の幅方向の中央部に設け、ルーズホールの延長線上で突出部を下地鋼材に接触させるようにしているため、接触による移動規制を安定化することができる。
【0013】
更に、本発明に係るパネル取り付け金具は、上記したパネル取り付け金具において、ルーズホールの長さ方向に沿ってその両側にリブを形成したことを特徴とするもので、釣状つめ部の立ち上がり境界部分を打ち抜いて突出部を形成しても、その両側に沿ってリブを形成しているため、金具としての必要強度を十分に確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るパネル取り付け金具を示す平面図(A)とその右側面図(B)及び下方側面図(C)並びにS部拡大図(D)、図2は同取り付け金具によるパネル留め付け状態を示す側面図である。
【0015】
図1、2中において、1は押し出し成形セメント板やALC(Autoclaved Lightweight Concrete)等のパネル10を、建物躯体側のC型チャンネル材からなる下地鋼材11に留め付けるための、パネル取り付け金具である。
このパネル取り付け金具1には、接地面部2の中央部にボルト孔であるルーズホール3が設けられると共に、一端部には下地鋼材11への釣状つめ部4が、他端部にはダックテール5がそれぞれ折り曲げ形成されている。
【0016】
パネル取り付け金具1は、図2に示すように中央部に設けられたボルト孔であるルーズホール3にボルト12を通し、パネル10の中空部に配置されている内挿ナット13に対してボルト12を締めつけることにより、定着されるようになっている。
なお、パネル取り付け金具1の接地面部2には、ルーズホール3に沿ってその両側に補強用リブ6が設けられている。
【0017】
また、パネル取り付け金具1の釣状つめ部4は、下地鋼材3であるC型チャンネル材のフランジ部分に係止できるように接地面部2の一端部から斜め上方へ立ち上げて設けられており、傾斜面によって∧状に形成されている。
一方、パネル取り付け金具1の接地面部2の他端部に折り曲げ形成されているダックテール5は、図1(D)に示すように折り曲げ端部にいったん所定寸法だけ接地面部2の下面側へ落とし込んだ落とし込み部7を設け、その落とし込み部7に連続して端部を所定角度θで上面側へ跳ね上げた跳ね上げ部8を設けることにより形成されている。
【0018】
また、パネル取り付け金具1の釣状つめ部4の立ち上がり境界部には、接地面部2から水平方向に延出する突出部9が設けられている。この突出部9は、釣状つめ部4の立ち上がり境界部分を打ち抜いて水平方向に延出させることにより形成され、また、ルーズホール3の長さ方向の延長線上であって、かつ接地面部2の幅方向の中央部に形成されている。なお、上記した補強用リブ6は、この突出部9の両側まで延長され、釣状つめ部4の立ち上がり境界部分にかかるように設けられている。
【0019】
しかして、上記の実施形態において、パネル取り付け金具1は、図2に示すように取り付け用ボルト12をパネル10内に配置された内挿ナット13にねじ込むことによって定着され、パネル10をC型チャンネル材からなる建物躯体側の下地鋼材11に対して留め付けする。
そして、この留め付け状態において、パネル取り付け金具1はその釣状つめ部4が下地鋼材11のフランジ部に係止され、突出部9が下地鋼材11のフランジ部の下方に接触されるように定着される。
【0020】
このため、地震時の振動等によりパネル10と下地鋼材11側との間で層間変位が発生しても、その移動範囲はパネル取り付け金具1のルーズホール3の長さ範囲に確実に制限されることになる。
すなわち、パネル取り付け金具1の突出部9が下地鋼材11のフランジ部の下方に接触していることから、下地鋼材11がパネル取り付け金具1の釣状つめ部4の傾斜面に沿って図2の矢印方向に更に移動しようとしても、突出部9との接触によってその移動が規制される。
【0021】
従って、層間変位によるパネル10と下地鋼材11との間の移動は、確実にルーズホール3の範囲内に制限され、下地鋼材11が釣状つめ部4の傾斜面に沿って移動することによりパネル取り付け金具1が浮き上がるのを防止することができるため、層間変位に対しての安全性を一層高めることができる。
また、突出部9を釣状つめ部の立ち上がり境界部分を打ち抜き形成し、層間変位に対して安全性を向上できる取り付け金具1を抜き型の変更のみで容易に製作できるようにしているため、従来の金具に対してコストアップすることなく、安価に製作することができる。
【0022】
更に、突出部9をルーズホール3の長さ方向の延長線上で接地面部2の幅方向の中央部に設け、ルーズホール3の延長線上で突出部9を下地鋼材11に接触させるようにしているため、突出部9と下地鋼材11との接触による下地鋼材11の移動規制を安定化することができると共に、釣状つめ部4の立ち上がり境界部分を打ち抜いて突出部9を形成しても、その両側まで延長して補強用のリブ6を形成しているため、取り付け金具1としての必要強度を十分に確保することができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、パネル取り付け金具1の他端部にダックテール5を折り曲げ形成しているため、このダックテール5の作用により層間変位時におけるパネル10の動きをスムーズ化することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明に係るパネル取り付け金具によると、接地面部から水平方向に延出された突出部によって下地鋼材の移動を規制し、層間変位時に下地鋼材が釣状つめ部の傾斜面に沿って移動することによる取り付け金具の浮き上がりを防止することができるため、層間変位に対しての安全性を一層高めることができる。
【0025】
また、上記の取り付け金具を抜き型の変更のみで製作できるため、コストアップを伴うことなく安価に提供することができる。
しかも、突出部を中央部に形成しているため、移動規制を安定化することができると共に、突出部の両側にリブを形成しているため、取り付け金具としての必要強度を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパネル取り付け金具を示す平面図(A)とその右側面図(B)及び下方側面図(C)並びにS部拡大図(D)である。
【図2】本発明のパネル取り付け金具によるパネル留め付け状態を示す側面図である。
【図3】従来のクリップ金具によるパネル留め付け状態を示す側面図である。
【図4】クリップ金具によるパネル留め付け時の層間変位状態を示す側面図である。
【図5】従来のZクリップによるパネル留め付け状態を示す側面図である。
【図6】パネルと下地鋼材間の層間変位状態を説明する正面図である。
【符号の説明】
1…パネル取り付け金具、2…接地面部、3…ルーズホール、4…釣状つめ部、6…リブ、9突出部、10…パネル、11…下地鋼材

Claims (4)

  1. 接地面部にルーズホールを有すると共に、同接地面部の一端にパネルを下地鋼材に留め付ける上方に立ち上がった釣状つめ部を備えたパネル取り付け金具であって、
    前記釣状つめ部の立ち上がり境界部に前記接地面部から水平方向に延出する突出部を設けた
    ことを特徴とするパネル取り付け金具。
  2. 前記突出部を前記釣状つめ部の立ち上がり境界部分を打ち抜いて形成した
    ことを特徴とする請求項1に記載のパネル取り付け金具。
  3. 前記突出部を前記ルーズホールの長さ方向の延長線上であって前記接地面部の幅方向の中央部に設けた
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル取り付け金具。
  4. ルーズホールの長さ方向に沿ってその両側にリブを形成した
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル取り付け金具。
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