JP4104274B2 - 復号装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等に記録されているFM信号を復調し、復調後の信号からデータを読み取る復号装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、一定線速度(CLV:Constant Linear Velocity)でデータが記録された光ディスクを、一定角速度(CAV:Constant Angular Velocity)つまり一定回転数となるようにスピンドルモータを制御して再生動作を行う復号装置が採用されるようになっている。
【0003】
CLV記録された光ディスクをCLV再生する場合、光ピックアップの光ディスク半径位置によって光ディスクの回転数を変えて線速度を一定に保つための複雑な制御回路が必要であり、さらに光ディスクの回転数が整定するまでデータが再生できないためアクセス動作の高速化が困難であり、その間にモータで消費される電力も無視できないという課題があった。
【0004】
一方、CLV記録された光ディスクをCAV再生する場合、光ディスクの回転数を一定に保持し、光ピックアップの光ディスク半径位置による線速度の変動は信号処理部で補うことにより、スピンドルモータの制御回路構成が簡略化することができ、また光ディスクの回転数を可変する必要がないためアクセス動作の高速化とモータ電力の省電力効果も得ることができるというメリットがある。
【0005】
また、光ディスクからデータを再生する場合、再生信号からデータを読み出すタイミング信号を抽出しなければならない。このタイミング信号は抽出クロックと呼ばれている。
【0006】
CLV記録された光ディスクをCLV再生する場合、線速度が一定なので光ディスクから再生される信号は狭い周波数レンジに含まれているが、CLV記録された光ディスクをCAV再生する場合は、線速度の変動により広い周波数レンジに含まれるものとなる。
【0007】
光ディスクから再生される信号の周波数が狭いCLV再生では、一般的にPLL(Phase Locked Loop)を用いてクロック抽出が行われてきた。
【0008】
PLLは入力信号と抽出クロックの位相比較を行うため、入力信号の周期が所定の設計目標値にほぼ一致していることが前提であり、通常のPLLでは信号周期は設計目標値の±10%程度の範囲に入っている必要がある。したがって、PLLを用いたクロック抽出は、CLV再生する場合に適していた。
【0009】
しかし、CLV記録された光ディスクをCAV再生する場合、光ディスクの内周と外周で線速度は一般的に2倍以上変動するため信号周期も2倍以上変動し、この信号周期の変動に対して通常のPLLは正常に動作できず、クロックを抽出することは困難であった。
【0010】
このような問題点から、光ディスクからの入力信号の周波数が広い範囲で変化したとしても、抽出クロックを生成しデータを読み出すことのできる復号装置として、特願平11−310555号にみられるように、入力信号の周期に応じたタイミングによりクロックを抽出する容易な構成の復号装置が提案されている。
【0011】
以下に、上記従来技術による入力信号の周期に応じたタイミングによりクロックを抽出する復号装置について、図11,図12,図13,図14および図15を用いて説明する。
【0012】
従来技術による復号装置は、MD(Mini Disc)のRAM(Random Access Memory)ディスクより再生されるADIP信号からアドレスデータを復調する復号装置であり、アドレスデータはバイフェーズ変調され、バイフェーズ変調されたバイフェーズ信号はさらにFM変調してADIP信号となり、RAMディスクのグルーヴにウォブリングを施して形成されている。
【0013】
図11は従来の復号装置の構成を示すブロック図であり、これはFM変調された信号の周期に応じたタイミングによりクロックを抽出するものである。
【0014】
図示するように、復号装置は、2値化手段A1、カウント手段2、および低域通過フィルタ3からなる復調手段9と、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、リセット手段12および復号手段8からなる読取手段10と、そして2値化手段B4を備えている。
【0015】
図12は図11の復調手段9の動作を説明する信号波形図であり、復号装置に入力されるADIP信号(a)、2値化手段A1の出力信号(i)、カウント手段2の出力信号(j)、低域通過フィルタ3の出力信号(c)、2値化手段B4の出力信号であるバイフェーズ信号(d)を示したものである。
【0016】
2値化手段A1は所定の閾値でADIP信号(a)を論理H,論理Lの2値の信号にコンパレートするものであり、ADIP信号(a)が所定の閾値より大きい場合は論理H、小さい場合は論理Lとして2値化した信号(i)を出力する。
【0017】
カウント手段2は2値化手段A1が出力する2値化信号(i)の立ち上がりエッジ間あるいは立ち下がりエッジ間をカウント用クロックによってカウントし、そのカウンタ値、すなわち、ADIP信号(a)の周期データを立ち上がりエッジ毎あるいは立ち下がりエッジ毎に出力する。この出力カウンタ値(j)がFM復調信号である。
【0018】
低域通過フィルタ3は、カウント手段2から出力されたカウンタ値(j)を入力し、そのカウンタ値(j)に含まれる高域の周期ノイズを低減し、平滑した信号(c)を出力する。この信号(c)が復調手段9の出力信号(c)となる。
【0019】
2値化手段B4は復調手段9の出力信号(c)を所定の閾値で論理H、論理Lにコンパレートするものであり、復調手段9の出力信号(c)が所定の閾値より大きい場合は論理H、小さい場合は論理Lとしてバイフェーズ信号(d)を出力する。
【0020】
図13は図11の読取手段10の動作を説明する信号波形図であり、平均周期検出手段5から出力されたADIP信号の平均周期値を4で割った信号(e)、パルス生成手段6が備えているカウンタのカウンタ値1(f)、カウンタ値1(f)に応じて出力されるパルス信号(k)、2値化手段B4から出力されるバイフェーズ信号(d)、パルスカウント手段7が備えているカウンタのカウンタ値2(g)およびパルスカウント手段7が出力する抽出クロック(h)の波形およびデータである。
【0021】
図14は図11の平均周期検出手段5の動作を説明する信号波形図であり、復調手段9からの出力信号(c)である入力信号51(入力波形)と平均周期検出手段の出力信号52(平均周期波形)を示したものである。
【0022】
平均周期検出手段5に入力される信号51は低域通過フィルタ3より出力されるADIP信号(a)の周期カウントのデータであり、ADIP信号に含まれる周期偏差による高周波成分とFMキャリア周波数の変動による低周波成分を主な周波数成分として有している。
【0023】
平均周期検出手段5は周期偏差による高周波成分よりも十分低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタであり、入力された信号51(c)の周期偏差による高周波成分は除去され、FMキャリア周波数の変動による低周波成分のみを有した出力信号52(e)を出力する。
【0024】
よって、平均周期検出手段5はADIP信号の平均周期値を検出していることになる。
【0025】
パルス生成手段6は平均周期検出手段5の出力するADIP信号の平均周期値を入力とし、内部にカウンタを備えており、カウンタはカウンタ用クロックによりカウントし、そのカウンタ値1(f)が平均周期検出手段5の出力する平均周期値を4で割った値(e)と等しくなるまでカウントし続ける。
【0026】
ここでカウンタ用クロックはカウント手段2で用いたカウンタ用クロックと同じ周波数のものを用いる。
【0027】
カウンタ値1(f)が平均周期値を4で割った値(e)と等しくなった場合、パルス信号(k)を出力し、カウンタ値1(f)を1にリセットして再びカウント用クロックによるカウントを繰り返す。
【0028】
また、リセット手段12は2値化手段B4から入力されるバイフェーズ信号(d)の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出した場合、パルス生成手段6にリセット信号を出力しカウンタ値1(f)を値1にリセットする。
【0029】
以上の動作によりパルス生成手段6は、ADIP信号(a)の平均周期に対して4分の1の周期を有し、その位相がバイフェーズ信号(d)のエッジでリセットされるパルス信号(k)を発生することができる。
【0030】
ここでMDを通常の線速度で再生した場合、ADIP信号のFMキャリア周波数は22.05kHz、周波数偏差は±1kHz、バイフェーズ信号(d)から抽出されるべきクロック(h)の周波数は6.3kHzである。
【0031】
つまり抽出クロック(h)の周期はFMキャリア周期の3.5倍(=22.05kHz/6.3kHz)であり、パルス信号(k)の周期はADIP信号のFMキャリア平均周期の4分の1であるから、パルス信号(k)の14周期分(=3.5×4)が抽出クロック(h)の周期に相当する。
【0032】
この関係は、再生を通常の線速度でない場合で行っても成立する。
【0033】
また、バイフェーズ信号(d)のエッジから抽出クロック(h)の1周期が1チャンネルビットのデータを示す区間であり、正確にチャンネルビットのデータを抽出クロック(h)の立ち上がりエッジで読み取ろうとする場合、チャンネルビットのデータ区間の中心近傍に抽出クロック(h)の立ち上がりエッジが発生するようにしなければならない。
【0034】
パルスカウント手段7はカウンタを備えており、リセット手段12によりバイフェーズ信号(d)の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジが検出されてリセット信号が入力されると、カウンタ値2(g)は値1にリセットされ、パルス生成手段6からパルス信号(k)が入力されるとカウンタ値2(g)は1ずつインクリメントされる。
【0035】
そして、カウンタ値2(g)が値7と等しい状態にある場合に、パルス生成手段6からパルス信号(k)が入力されたときは、カウンタ値2(g)を値1にリセットして抽出クロック(h)を論理Hに設定し、その後カウンタ値2(g)は再びパルス信号(k)によってインクリメントし、値14と等しい状態にある場合に、パルス生成手段6からパルス信号(k)が入力される毎にカウンタ値2(g)を値1にリセットして抽出クロック(h)を論理Hに設定する。
【0036】
ただし、パルスカウント手段7は抽出クロック(h)を論理Hに設定した場合、一定時間後に論理Lにリセットする。
【0037】
これにより、抽出クロック(h)はパルス信号(k)の14周期毎に論理Hとなり、その立ち上がりエッジはバイフェーズ信号(d)のエッジからパルス信号(k)の7周期(=14周期/2)の位相差を有することになる。
【0038】
復号手段8はバイフェーズ信号(d)と抽出クロック(h)を入力し、抽出クロック(h)の立ち上がりエッジを検出すると同時にバイフェーズ信号(d)のデータを取り出して、そのデータ列をバイフェーズ復調することによりアドレスデータを読み出し、アドレスデータを出力する。
【0039】
以上のように、FM復調して得られるバイフェーズ信号からPLLによってクロックを抽出するのではなく、FMキャリアの平均周期によって抽出クロックの周期を検出し、その位相をバイフェーズ信号でリセットすることにより、FM変調された信号の平均的な周期が大きく変動しても容易にクロックを抽出して、バイフェーズ信号からアドレスデータを読み出すことができる。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術による復号装置では、ADIP信号の平均周期より抽出クロックの周期を検出し、バイフェーズ信号のエッジで抽出クロックの位相をリセットするという特徴を利用したものである。
【0041】
しかしながら、光ディスク表面上のほこりや指紋といった欠陥によりADIP信号の周期が乱れると、バイフェーズ信号に偽エッジが発生し、抽出クロックの位相が乱れてしまうといった問題点を有していた。以下、これについて図15を用いて説明する。
【0042】
図15は、図11の復号装置の信号波形図であり、これは光ディスク上の欠陥によりADIP信号(a)の周期が正常時とは大きく異なる振る舞いをした場合である。復号装置に入力されるADIP信号(a)、カウント手段2の出力信号(c’)、低域通過フィルタ3の出力信号(c)、2値化手段B4からのバイフェーズ信号(d)、平均周期検出手段5から出力されたADIP信号の平均周期値を4で割った信号(e)、パルス生成手段6が備えているカウンタのカウンタ値1(f)、カウンタ値1(f)に応じて出力されるパルス信号(k)、パルスカウント手段7が備えているカウンタのカウンタ値2(g)およびパルスカウント手段7が出力する抽出クロック(h)の波形およびデータである。
【0043】
光ディスク表面上の欠陥によりADIP信号(a)の周期が急激に乱れたADIP信号(a’)のとき、カウント手段2の出力信号は図15(c’)のような振る舞いをする。この出力信号(c’)から復調手段(低域通過フィルタ3)9は図15(c)のような信号を出力してバイフェーズ信号(d)が生成される。
【0044】
このとき、バイフェーズ信号(d)のエッジAとエッジDは本来のエッジであり、エッジBとエッジCが欠陥により発生したエッジである。
【0045】
しかし、リセット手段12はバイフェーズ信号(d)に含まれる全てのエッジを検出し、パルス生成手段6のカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7のカウンタ値2(g)を値1にリセットするので、エッジAとエッジDに挟まれる期間に生成されるはずの抽出クロック(h)の論理Hの期間Xが生成されなくなってしまう。
【0046】
これにより、復号手段8によるバイフェーズ復調は正確に行われず、間違ったアドレスデータを出力してしまうことになる。
【0047】
また、この抽出クロック(h)は光ディスクの回転数の情報を含むものであるので、この抽出クロック(h)を用いてスピンドルの制御を行っている場合では一時的にスピンドルの制御が不安定になるなどの影響もある。
【0048】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、FM変調された信号をFM復調してデータを読み取る復号装置であって、前記FM変調された信号をFM復調する復調手段と、前記復調手段の出力を閾値と比較して2値化したバイフェーズ信号を出力する2値化手段と、前記FM変調された信号の欠陥を検出して欠陥検出信号を出力する欠陥検出手段と、前記2値化手段が出力する前記バイフェーズ信号のエッジを検出してエッジ検出信号を出力するリセット手段と、前記リセット手段から入力される前記エッジ検出信号をリセット信号として出力し、前記欠陥検出手段から前記欠陥検出信号が入力された場合に前記リセット信号の出力を休止するリセット休止手段と、前記復調手段の出力からFMキャリア周波数の変動による低周波成分の信号、すなわちFM変調された信号の平均周期を抽出して出力する平均周期検出手段と、前記平均周期検出手段が出力する信号の周期と前記リセット休止手段が出力する前記リセット信号に応じたパルス信号を生成するパルス生成手段と、前記パルス生成手段から入力される前記パルス信号を検出する毎にカウントアップするカウンタを有し、前記リセット休止手段から入力される前記リセット信号を検出した場合に前記カウンタを初期値に戻し、前記カウンタが所定の値に到達した場合に前記カウンタを初期値に戻して抽出クロックを出力するパルスカウント手段と、前記パルスカウント手段から入力した抽出クロックを用いて前記2値化手段が出力する前記バイフェーズ信号からデータを読み取る復号手段を具備することを特徴とするものである。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態における復号装置について、図1ないし図10を用いて説明する。
【0050】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における復号装置の構成を示すブロック図である。
【0051】
図示するように、2値化手段A1、カウント手段2、および低域通過フィルタ3からなる復調手段9と、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、リセット手段12、リセット休止手段13および復号手段8からなる読取手段10と、2値化手段B4および欠陥検出手段11を備えている。つまり、本実施の形態1では従来の復号装置(図11)に欠陥検出手段11及び読取手段10にリセット休止手段13を付加した構成である。
【0052】
図2は図1のカウント手段2と欠陥検出手段11の構成を示すブロック図(1)とその動作を示す信号波形およびデータ(2)である。
【0053】
図3は本発明の実施の形態1における復号装置の動作を説明する信号波形図であり、復号装置に入力されるADIP信号(a)、欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号(b)、カウント手段2の出力信号(c’)、復調手段(低域通過フィルタ3)9の出力信号(c)、2値化手段B4から出力されるバイフェーズ信号(d)、平均周期検出手段5から出力されたADIP信号の平均周期データを4で割った信号(e)、パルス生成手段6が備えているカウンタのカウンタ値1(f)、パルスカウント手段7が備えているカウンタのカウンタ値2(g)およびパルスカウント手段7が出力する抽出クロック(h)の信号波形およびデータである。
【0054】
2値化手段A1、低域通過フィルタ3、2値化手段B4、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、復号手段8およびリセット手段12については、従来の技術による図11で説明した復号装置と同様な動作を行うものであり、ここでの説明は省略する。
【0055】
よって、ここではカウント手段2、欠陥検出手段11およびリセット休止手段13についてその動作を詳しく説明する。
【0056】
図2において、カウント手段2は2段構成のDフリップフロップ群21,22と、アンド回路23と、そしてカウンタ24からなる構成である。まず、2値化手段A1により2値化されたADIP信号A(図1,図3のADIP信号aと同じ信号)はカウント手段2に入力される。入力されたADIP信号Aはその立ち上がりエッジを検出するために2段構成のDフリップフロップ群21,22に入力される。このDフリップフロップ群はADIP信号の周期よりも十分短い周期を有するマスタクロックCLKで動作する。
【0057】
ADIP信号Aは1段目のDフリップフロップ21の入力D端子に入力され、非反転出力端子Qの出力は2段目のDフリップフロップ22の入力D端子に入力される。1段目の非反転出力端子Qの出力と2段目の
【外1】
Figure 0004104274
【0058】
の出力とがアンド回路23に入力されて、立ち上がりエッジの検出パルス信号Bが出力される。
【0059】
カウンタ24は所定のカウンタ用クロックでカウントアップするカウンタである。また、カウンタ24は立ち上がりエッジの検出パルス信号Bが入力されると、そのときのカウンタ値を出力用レジスタC(以下、出力用レジスタCはカウンタ値を意味する)に格納して、カウンタ初期値である値1にリセットし再びカウンタ用クロックでカウンタ値1からカウントアップするという動作を繰り返す。出力用レジスタCに格納された値をカウント手段2は出力、保持する。
【0060】
欠陥検出手段11は2段構成のDフリップフロップ群111,112と、減算器113、そして比較器114からなる構成であり、カウント手段2の出力信号である立ち上がりエッジの検出パルス信号Bと出力用レジスタC(カウンタ値)を入力とする。
【0061】
入力された出力用レジスタC(カウンタ値)は1段目のDフリップフロップ111の入力D端子に入力され、非反転出力端子は2段目のDフリップフロップ112の入力D端子に入力される。また、この2つのDフリップフロップ群111,112は立ち上がりエッジの検出パルス信号Bによって動作する。
【0062】
ここで、Dフリップフロップ群に入力されるカウンタ値は複数ビットで構成されるデータであり、1段目のDフリップフロップ111の構成はそのビット数に等しいDフリップフロップが並列に配されているものであり、1段目と2段目のDフリップフロップ群内におけるDフリップフロップの順列は同じものである。そして、1段目の非反転出力端子から出力される出力用レジスタ(カウンタ値)Dと2段目の非反転出力端子から出力される出力用レジスタ(カウンタ値)Eが減算器113に入力され、入力される2つのカウンタ値の減算値の絶対値を出力する。
【0063】
減算器113の出力は比較器114に入力され、ある比較値αと比較される。図2(2)に示すように減算器113の出力(|D−E|)がある比較値αよりも大きい場合は比較器114の出力Fが論理Hとなり、減算器113の出力(|D−E|)がある比較値αよりも小さい場合は比較器の出力Fが論理Lとなる。
【0064】
以上の動作により、欠陥検出手段11はカウント手段2の出力用レジスタ(カウンタ値)Cの差分値を計算し、その結果をある比較値αと比較することにより、図3に示すADIP信号(a)が急激に乱れた場合(a’)、カウント手段2は、急激な出力用レジスタ(カウンタ値)Cの変化c’を検出することができる。すなわち、光ディスク表面上の欠陥によりADIP信号(a)の周期が急激に変動することによりカウント手段2の出力レジスタ(カウンタ値)Cが急激に変化したことを欠陥検出手段11は検出する。
【0065】
図1の欠陥検出手段11の出力する図2に示す信号Fを欠陥検出信号(後記図3のbに相当)と呼ぶことにする。
【0066】
図2の欠陥検出信号Fは図1のリセット手段12の出力信号とともにリセット休止手段13に入力される。リセット休止手段13は欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号Fが論理Lであれば、リセット信号が入力された場合、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f…図3)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g…図3)を値1にリセットする。
【0067】
しかし、リセット休止手段13は欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号Fが論理Hであれば、リセット信号が入力されてもこれをマスクするので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。
【0068】
次に図3を用いて詳細な動作を説明する。
【0069】
光ディスク表面上の欠陥によりADIP信号が図3(a)の(a’)のように乱れたとすると、カウント手段2によるADIP信号(a)の周期カウンタ値(c’)が急激に変動し、その急激な変動が欠陥検出回路11により検出され欠陥検出信号(b)が期間Aで論理Hとなる。
【0070】
復調手段9から出力される信号(c)はカウント手段2の出力を低域通過フィルタ3に通したものであり、光ディスク表面上の欠陥の影響により変動する。この復調手段9の出力信号(c)を2値化手段B4で2値化すると(d)のようなバイフェーズ信号が得られる。
【0071】
このバイフェーズ信号(d)のエッジA,エッジDは本来のエッジであるが、エッジBとエッジCは光ディスク表面上の欠陥により発生したエッジであり、本来のエッジではない。
【0072】
リセット休止手段13は、バイフェーズ信号(d)のエッジAを検出したとき欠陥検出信号(b)が論理Lであるので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットする。
【0073】
次に、光ディスクの欠陥により発生したバイフェーズ信号(d)のエッジBおよびエッジCを検出するが、リセット休止手段13は欠陥検出信号(b)が論理Hであるので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。
【0074】
以上のように、欠陥検出手段11とリセット休止手段13を備えることにより、光ディスク表面上にほこりや指紋などの欠陥が存在しても、バイフェーズ信号(d)の偽エッジによる影響を受けないので安定した抽出クロックを生成し、アドレスデータを読み出すことができる。
【0075】
また、この抽出クロックを用いてスピンドルの制御を行っている場合では、安定したスピンドルの制御ができる。
【0076】
なお、欠陥検出手段はカウント手段の出力信号の差分値からADIP信号の欠陥を検出するとしたが、他の欠陥検出方法を用いても同様な効果が得られる。
【0077】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における復号装置について、図4,図5を用いて説明する。
【0078】
図4は本発明の実施の形態2における復号装置の構成を示したブロック図である。
【0079】
図示するように、本発明の実施の形態2における復号装置は、2値化手段A1、カウント手段2および低域通過フィルタ3からなる復調手段9と、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、リセット手段12、リセット休止手段13および復号手段8からなる読取手段10と、2値化手段B4および欠陥検出手段11を備えている。本実施の形態2においては、リセット休止手段13に遅延部131を備えることを特徴とする。
【0080】
図5は本発明の実施の形態2における復号装置の動作を説明する信号波形図であり、復号装置に入力されるADIP信号(a)、欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号(b)、カウント手段2の出力信号(c’)、復調手段(低域通過フィルタ3)9の出力信号(c)、2値化手段B4から出力されるバイフェーズ信号(d)、平均周期検出手段5から出力されたADIP信号の平均周期値を4で割った信号(e)、パルス生成手段6が備えているカウンタのカウンタ値1(f)、パルスカウント手段7が備えているカウンタのカウンタ値2(g)およびパルスカウント手段7が出力する抽出クロック(h)の信号波形およびデータである。
【0081】
2値化手段A1、カウント手段2、低域通過フィルタ3、2値化手段B4、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、復号手段8、欠陥検出手段11およびリセット手段12については、本発明の実施の形態1による図1の復号装置と同様な動作を行うものであり、ここでの説明は省略する。
【0082】
よって、ここではリセット休止手段13について説明する。
【0083】
欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号(b)はリセット手段12のリセット信号とともにリセット休止手段13に入力される。
【0084】
しかし、リセット休止手段13は欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号(b)が論理Hの期間と欠陥検出信号が論理Hから論理Lに変化した直後の一定期間では、リセット信号が入力されてもこれをマスクするので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。一定期間は欠陥検出信号(b)の論理H期間を遅延部131により一定期間だけ引き延ばすことにより得られる。
【0085】
次に図5を用いて詳細な動作を説明する。
【0086】
光ディスク表面上の欠陥によりADIP信号(a)の周期が急激に乱れ(a’)、変動すると、カウント手段2によるADIP信号(a)のカウント手段2の出力信号である周期カウント値(c’)が急激に変動し、その急激な変動が欠陥検出回路11により検出され欠陥検出信号(b)が期間Aで論理Hとなる。
【0087】
復調手段9から出力される信号(c)はカウント手段2の出力(c’)を低域通過フィルタ3に通したものであり、光ディスク表面上の欠陥の影響により変動する。この復調手段9の出力信号(c)を2値化手段B4で2値化すると(d)のようなバイフェーズ信号が得られる。
【0088】
このバイフェーズ信号(d)のエッジA,エッジFは本来のエッジであるが、エッジB,エッジC,エッジD、そしてエッジEは光ディスク表面上の欠陥により発生したエッジであり、本来のエッジではない。
【0089】
リセット休止手段13は、リセット手段12によりバイフェーズ信号(d)のエッジAが検出されたとき、欠陥検出信号(b)が論理Lであるので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットする。
【0090】
次に、光ディスクの欠陥によるバイフェーズ信号(d)のエッジB,エッジCが検出されるが、検出されたエッジBとエッジCは欠陥検出信号(b)が論理Hである期間Aに含まれているので、リセット休止手段13はパルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。
【0091】
続いて、光ディスクの欠陥によるバイフェーズ信号(d)のエッジD,エッジEが検出されるが、検出されたエッジDとエッジEは欠陥検出信号(b)が論理Hから論理Lに変化した直後の一定期間である期間Bに含まれているので、リセット休止手段13はパルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。
【0092】
その後、バイフェーズ信号(d)のエッジFが検出されると、リセット休止手段13は欠陥検出信号(b)が論理Lであるので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットする。
【0093】
これにより、抽出クロック(h)の周期と位相はそれぞれADIP信号(a)の平均周期とバイフェーズ信号(d)のエッジに応じたものとなり、ADIP信号の欠陥により抽出クロック(h)の位相が乱れることはない。
【0094】
ところで、前記実施の形態1における復号装置の場合、ADIP信号の周期をカウントするカウント手段の出力値の差分値がある閾値よりも大きい場合に欠陥を検出したものと判断する。
【0095】
しかし、その後に差分値がある閾値よりも小さくなり、欠陥である期間が終了したと判断しても、ADIP信号が正規の信号になるまでの過渡的な状態が続いており、その期間にカウント手段によって検出されるADIP信号の周期データも過渡的な値であり、信頼性には欠けるものがある。
【0096】
その結果、欠陥検出信号が論理Hから論理Lに変化した直後において、バイフェーズ信号に偽のエッジが発生してしまい、パルス生成手段およびパルスカウント手段のカウンタ値がリセットされ、間違った抽出クロックが生成されてしまう可能性がある。
【0097】
これらの要因により、本発明の実施の形態1における復号装置では、復号手段において正確なアドレスを読み取れなくなる可能性があるとともに、抽出クロックの周期に大きなジッタが発生してしまい、抽出クロックを用いたスピンドル制御も正確に行えなくなる可能性がある。
【0098】
しかし、本発明の実施の形態2における復号装置の場合、欠陥検出手段がADIP信号の欠陥を検出した期間だけでなく、その直後の一定期間に発生するバイフェーズ信号のエッジをマスクすることで、ADIP信号の欠陥に強い安定した抽出クロックを生成することができる。
【0099】
以上のように、欠陥検出手段11と欠陥信号bに対する遅延部131を有するリセット休止手段13を備えることにより、光ディスク表面上にほこりや指紋などの欠陥が存在しても、欠陥検出中および検出後の一定期間はバイフェーズ信号の偽エッジによる影響を受けないので、安定した抽出クロックを生成し、アドレスデータを読み出すことができる。
【0100】
また、この抽出クロックを用いてスピンドルの制御を行なっている場合では、安定したスピンドルの制御ができる。
【0101】
なお、リセット休止手段13が生成する一定時間はマイコン等の外部から設定するとしてもよい。
【0102】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における復号装置について、図6,図7を用いて説明する。
【0103】
図6は本発明の実施の形態3における復号装置の構成を示したブロック図である。
【0104】
図示するように、本発明の実施の形態3における復号装置は、2値化手段A1、カウント手段2および低域通過フィルタ3からなる復調手段9と、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、リセット手段12、復号手段8およびリセット休止手段13からなる読取手段10と、2値化手段B4および欠陥検出手段11を備えている。本実施の形態3においては、リセット休止手段13の遅延部131には欠陥検出手段11の欠陥検出信号(b)のほか、平均周期検出手段5のADIP信号の平均周期データを4で割った信号(e)が入力される構成である。
【0105】
図7は本発明の実施の形態3の動作を説明する信号波形図であり、復号装置に入力されるADIP信号(a)、欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号(b)、カウント手段2の出力信号である周期カウンタ値(c’)、復調手段(低域通過フィルタ3)9の出力信号(c)、2値化手段B4から出力されるバイフェーズ信号(d)、平均周期検出手段5から出力されたADIP信号の平均周期データを4で割った信号(e)、パルス生成手段6が備えているカウンタのカウンタ値1(f)、パルスカウント手段7が備えているカウンタのカウンタ値2(g)およびパルスカウント手段7が出力する抽出クロック(h)の信号波形およびデータである。
【0106】
2値化手段A1、カウント手段2、低域通過フィルタ3、2値化手段B4、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、復号手段8、欠陥検出手段11およびリセット手段12については、本発明の実施の形態2における復号装置と同様な動作を行うものであり、ここでの説明は省略する。
【0107】
よって、ここではリセット休止手段13について説明する。
【0108】
リセット休止手段13には、欠陥検出手段11から欠陥検出信号(b)、リセット手段12からはリセット信号、そして平均周期検出手段5からはADIP信号の平均周期値(e)が入力される。
【0109】
リセット休止手段13はリセット手段12からリセット信号を入力された場合、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットする。
【0110】
しかし、リセット信号を入力した場合でも、欠陥検出手段11が出力する欠陥検出信号(b)が論理Hの期間と、欠陥検出信号(b)が論理Hから論理Lに変化した直後であって入力されるADIP信号の平均周期値に比例した期間では、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。平均周期値に比例した期間は、欠陥検出信号(b)が論理Hの期間を遅延部131により平均周期値に比例した期間だけ引き延ばすことにより得られる。
【0111】
次に図7を用いて詳細な動作を説明する。
【0112】
光ディスク表面上の欠陥によりADIP信号(a)の周期が急激に乱れ(a’)、変動すると、カウント手段2によるADIP信号(a)のカウント手段2の出力信号である周期カウンタ値(c’)が急激に変動し、その急激な変動が欠陥検出回路11により検出され欠陥検出信号(b)が期間Aで論理Hとなる。
【0113】
復調手段9から出力される信号(c)はカウント手段2の出力信号である周期カウンタ値(c’)を低域通過フィルタ3に通したものであり、光ディスク表面上の欠陥の影響により変動する。この復調手段9の出力信号(c)を2値化手段B4で2値化すると(d)のようなバイフェーズ信号が得られる。
【0114】
このバイフェーズ信号(d)のエッジA,エッジD,エッジGは本来のエッジであるが、エッジB,エッジC,エッジEそしてエッジFは光ディスク表面上の欠陥により発生したエッジであり、本来のエッジではない。
【0115】
リセット休止手段13は、バイフェーズ信号(d)のエッジAが検出されたとき欠陥検出信号(b)が論理Lであるので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットする。
【0116】
次に、光ディスクの欠陥によるバイフェーズ信号(d)のエッジB,エッジCが検出されるが、検出されたエッジBとエッジCは欠陥検出信号(b)が論理Hである期間Aに含まれているので、リセット休止手段13はパルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。
【0117】
続いて、本来のエッジDと光ディスクの欠陥によるエッジE,エッジFが検出されるが、検出されたエッジD,エッジE,エッジFは欠陥検出信号(b)が論理Lである期間ではあるが、欠陥検出信号(b)が論理Hから論理Lに変化した直後のADIP信号(a)の平均周期値に比例した期間Cに含まれるので、リセット休止手段13はパルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットしない。
【0118】
その後、バイフェーズ信号(d)のエッジGが検出されると、リセット休止手段13は欠陥検出信号(b)が論理Lであり、期間Cが終了しているので、パルス生成手段6の内部カウンタのカウンタ値1(f)とパルスカウント手段7の内部カウンタのカウンタ値2(g)を値1にリセットする。
【0119】
これにより、抽出クロック(h)の周期と位相はそれぞれADIP信号(a)の平均周期とバイフェーズ信号(d)のエッジに応じたものとなり、ADIP信号の欠陥により抽出クロック(h)の位相が乱れることはない。
【0120】
ところで、前記実施の形態2における復号装置の場合、ADIP信号の欠陥を検出する欠陥検出手段11が判断する期間だけでなく、その直後の一定期間に発生するバイフェーズ信号のエッジをマスクすることで、ADIP信号の欠陥に強い安定した抽出クロックを生成する。
【0121】
しかし、欠陥検出手段11がADIP信号の欠陥を検出した期間が終了したと判断してから、ADIP信号が正規の信号になるまでの過渡的な状態の期間は一定ではなく、入力されるADIP信号の平均周期に比例した期間であると考えられるため、ADIP信号の平均周期が所望の周期よりも長い場合、その過渡的な状態の期間は比較的長いものとなる。
【0122】
そのため、本発明の実施の形態2における復号装置の場合、ADIP信号の実際の過渡状態が想定している一定期間を超えてしまった場合は、その一定期間後バイフェーズ信号に偽のエッジが発生してしまい、パルス生成手段およびパルスカウント手段のカウンタ値がリセットされ、間違った抽出クロックが生成されてしまう可能性がある。
【0123】
これらの要因により、本発明の実施の形態2による復号装置では、復号手段において正確なアドレスを読み取れなくなる可能性があるとともに、抽出クロックの周期に大きなジッタが発生してしまい、抽出クロックを用いたスピンドル制御も正確に行えなくなる可能性がある。
【0124】
しかし、本発明の実施の形態3における復号装置の場合、リセット休止手段は欠陥検出手段がADIP信号の欠陥を検出した期間だけでなく、その直後のADIP信号の平均周期値に比例した期間において発生するバイフェーズ信号のエッジをマスクすることで、ADIP信号の欠陥に強い安定した抽出クロックを生成することができる。
【0125】
以上のように、欠陥検出手段11と遅延部を有するリセット休止手段13を備えることにより、光ディスク表面上にほこりや指紋などの欠陥が存在しても、欠陥検出中および検出後のADIP信号の平均周期に比例した期間はバイフェーズ信号の偽エッジによる影響を受けないので、光ディスクの回転数に依存せず安定した抽出クロックを生成し、アドレスデータを読み出すことができる。
【0126】
また、この抽出クロックを用いてスピンドルの制御を行っている場合では、安定したスピンドルの制御ができる。
【0127】
なお、リセット休止手段13は欠陥検出信号の論理H期間を遅延部により平均周期値に比例した期間だけ引き延ばすことにより生成するとしたが、論理H期間後に生成される1つめ以降の抽出クロックの立ち上がりエッジあるいは立ち下がりエッジまで引き延ばすとしても同様の効果が得られる。
【0128】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における復号装置について、図8,図9および図10を用いて説明する。
【0129】
図8は本発明の実施の形態4における復号装置の構成を示すブロック図である。
【0130】
図示するように、本発明の実施の形態4における復号装置は、2値化手段A1、カウント手段2および低域通過フィルタ3からなる復調手段9と、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、リセット手段12、復号手段8およびリセット休止手段13からなる読取手段10と、2値化手段B4および欠陥検出手段11を備えている。本実施の形態4においては、平均周期検出手段5のADIP信号の平均周期データを4で割った信号(e)が、欠陥検出手段11およびリセット休止手段13の遅延部131へ入力される構成となっている。
【0131】
図9はカウント手段2と欠陥検出手段11の構成を示すブロック図である。
【0132】
2値化手段A1、カウント手段2、低域通過フィルタ3、2値化手段B4、平均周期検出手段5、パルス生成手段6、パルスカウント手段7、復号手段8、リセット手段12およびリセット休止手段13については、本発明の実施の形態3における復号装置と同様な動作を行うものであり、ここでの説明は省略する。
【0133】
よって、ここでは欠陥検出手段11について説明する。
【0134】
図9において、本発明の実施の形態3における欠陥検出手段11と構成が異なるのは、欠陥検出手段11の比較器114に入力される値が一定の比較値ではなく、平均周期検出手段5の出力であるADIP信号の平均周期値(e)を定数倍した値であることである。
【0135】
欠陥検出手段11は、減算器の出力が平均周期値(e)の定数倍よりも大きい場合は比較器114の出力を論理Hとし、減算器113の出力が平均周期値(e)の定数倍よりも小さい場合は比較器114の出力は論理Lとする。
【0136】
以上の動作により、欠陥検出手段11はカウント手段2のカウンタ値の差分値を計算し、その結果をADIP信号の平均周期値の定数倍と比較することにより、急激なカウンタ値の変化を検出することができる。すなわち、光ディスク表面上の欠陥によりADIP信号の周期が急激に変動することによりカウント手段2の出力であるカウンタ値が急激に変化したことを欠陥検出手段11は検出する。
【0137】
図10は本発明の実施の形態4の動作を説明する信号波形図であり、図9に示す2値化手段A1の出力信号である立ち上がりエッジを検出するパルス信号Bと、パルス信号が入力されたときのカウンタが出力する値を離散的に表した図である。
【0138】
図10のようにADIP信号の平均周期値が値R1,値R2と大きく異なる状況において、光ディスク表面上の同じ欠陥によるカウント手段2の出力値と平均周期検出手段5の平均周期値(e)との差分値を比較器114で比較すると、平均周期値が大きい値R1のときの差分値は値D1であり、平均周期値(e)が値R1に比べて約半分である値R2のときの差分値は約半分の値D2である。
【0139】
これは、光ディスクの回転数が変化するとADIP信号の平均周期も同様に変化し、カウント手段2が出力する周期値と平均周期検出手段5が出力する平均周期値(e)も変化する。すなわち、光ディスク表面上の欠陥による異常な周期カウンタ値は、ADIP信号の平均周期が半分になるとその異常な周期カウンタ値も半分になり、平均周期値との差分値は見かけ上小さくなる。
【0140】
しかし、欠陥の程度は光ディスクの回転数には依存しない普遍的なものであるので、光ディスクの回転数に応じた欠陥検出のための閾値が必要となる。
【0141】
回転数に依存しない一定の比較値を用いた本発明の実施の形態3による復号装置では、設計時の所望の回転数よりも早い回転数で光ディスクを回転させた場合、欠陥検出手段の検出感度が低下してしまい、安定した抽出クロックおよび正確なアドレスデータを生成することは困難となる。
【0142】
しかし、本発明の実施の形態4における復号装置の場合、平均周期検出手段5によるADIP信号の平均周期値に応じた値を欠陥検出手段11の比較器114に入力するため、光ディスクの回転数に依存しない安定した欠陥検出信号が得られる。
【0143】
以上のように、欠陥検出手段11を備えることにより、光ディスク表面上にほこりや指紋などの欠陥が存在しても、線速度の変動に対して欠陥検出の感動を低下させることなく欠陥を検出して保護するので、安定した抽出クロックを生成し、アドレスデータを読み出すことができる。
【0144】
また、この抽出クロックを用いてスピンドルの制御を行っている場合では、安定したスピンドルの制御ができることとなる。
【0145】
【発明の効果】
以上のように本発明の復号装置によれば、FM変調された信号をFM復調する復調手段と、復調手段の出力を閾値と比較して2値化する2値化手段と、FM変調された信号の周期に応じたタイミングでFM復調後の出力からデータを読み取り、かつその読み取りタイミングを2値化手段の出力に応じてリセットする読取手段と、FM変調された信号の欠陥を検出する欠陥検出手段を備え、読取手段は、欠陥検出手段で欠陥が検出された場合に、読み取りタイミングのリセットを休止することにより、光ディスク表面上に欠陥が存在してもADIP信号の周期値より欠陥を検出し安定した抽出クロックおよびアドレスデータを生成することができる。
【0146】
また、この抽出クロックを用いてスピンドルの制御を行なっている場合では、安定したスピンドルの制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における復号装置の構成を示すブロック図
【図2】図1のカウント手段と欠陥検出手段の構成を示すブロック図(1)とその動作を示す信号波形およびデータ(2)を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における復号装置の動作を説明する信号波形図
【図4】本発明の実施の形態2における復号装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態2における復号装置の動作を説明する信号波形図
【図6】本発明の実施の形態3における復号装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態3における復号装置の動作を説明する信号波形図
【図8】本発明の実施の形態4における復号装置の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態4における欠陥検出手段の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態4における欠陥検出手段を説明する信号波形図
【図11】従来の復号装置の構成を示すブロック図
【図12】図11の復号装置の復調手段の動作を説明する信号波形図
【図13】図11の復号装置の読取手段の動作を説明する信号波形図
【図14】図11の復号装置の平均周期検出手段を説明する信号波形図
【図15】図11の復号装置の信号波形図
【符号の説明】
1 2値化手段A
2 カウント手段
3 低域通過フィルタ
4 2値化手段B
5 平均周期検出手段
6 パルス生成手段
7 パルスカウント手段
8 復号手段
9 復調手段
10 読取手段
11 欠陥検出手段
12 リセット手段
13 リセット休止手段
131 遅延部

Claims (6)

  1. FM変調された信号をFM復調してデータを読み取る復号装置であって、前記FM変調された信号をFM復調する復調手段と、前記復調手段の出力を閾値と比較して2値化したバイフェーズ信号を出力する2値化手段と、前記FM変調された信号の欠陥を検出して欠陥検出信号を出力する欠陥検出手段と、前記2値化手段が出力する前記バイフェーズ信号のエッジを検出してエッジ検出信号を出力するリセット手段と、前記リセット手段から入力される前記エッジ検出信号をリセット信号として出力し、前記欠陥検出手段から前記欠陥検出信号が入力された場合に前記リセット信号の出力を休止するリセット休止手段と、前記復調手段の出力からFMキャリア周波数の変動による低周波成分の信号、すなわちFM変調された信号の平均周期を抽出して出力する平均周期検出手段と、前記平均周期検出手段が出力する信号の周期と前記リセット休止手段が出力する前記リセット信号に応じたパルス信号を生成するパルス生成手段と、前記パルス生成手段から入力される前記パルス信号を検出する毎にカウントアップするカウンタを有し、前記リセット休止手段から入力される前記リセット信号を検出した場合に前記カウンタを初期値に戻し、前記カウンタが所定の値に到達した場合に前記カウンタを初期値に戻して抽出クロックを出力するパルスカウント手段と、前記パルスカウント手段から入力した抽出クロックを用いて前記2値化手段が出力する前記バイフェーズ信号からデータを読み取る復号手段を具備することを特徴とする復号装置。
  2. 前記リセット休止手段は、前記欠陥検出手段から前記欠陥検出信号が入力された場合に、一定の期間リセット信号の出力を休止することを特徴とする請求項1記載の復号装置。
  3. 前記リセット休止手段は、前記欠陥検出手段から前記欠陥検出信号が入力された場合に、前記平均周期検出手段から入力される前記FM変調された信号の平均周期に応じた期間前記リセット信号の出力を休止することを特徴とする請求項1記載の復号装置。
  4. 前記欠陥検出手段は、FM変調された信号の周期をある期間毎に差分し、その差分値がある閾値よりも大きい場合に欠陥を検出することを特徴とする請求項1,2または3記載の復号装置。
  5. 前記欠陥検出手段は、FM変調された信号の平均周期に応じた閾値を用いて欠陥を検出することを特徴とする請求項4記載の復号装置。
  6. FM変調された信号は、所定の変調方式で変調されたディジタルデータをFM変調した信号であることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の復号装置。
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