JP4103891B2 - チューブ容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、底部シール部のシール方法は、食品用途のラミネートチューブの場合、超音波シール、ホットエアシール、高周波シールが多用されている。中でも、小ロット対応が可能な超音波シールが主流となっている。
超音波シール装置を用いる場合、ホーンと受け具が底部シール部を両側から加圧状態で挟み、超音波振動エネルギーを与えて内部加熱方式で発熱させて内層を熱融着する。ここで、超音波振動エネルギーの振動の方向は、シール面同士を擦りあわせる方向(以下、水平方向と呼ぶ)又はシール面同士を叩き付け合う方向(以下、垂直方向と呼ぶ)が用いられる。
(2)前記第2の樹脂層及び中間層を構成する樹脂の密度D[g/cm3]に対する、0.9g/cm3≦C<Dの関係。
(3)前記第2の樹脂層を構成する樹脂のメルトフローレートFに対する、E>F≧0.5の関係。
図1は、本発明の一実施形態に係るラミネートチューブ用積層フィルムの構成を示す概略断面図である。ラミネートチューブ用積層フィルム1は、図1に示すように、外層2、中間層7、内層8が順次積層されている。外層2は、ポリエチレン系樹脂層からなる。中間層7は、第1の中間層としてのナイロン(Ny)樹脂層4と、第2の中間層としてのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂層3との2層構成からなる。内層8は、第1の樹脂層としての第1のポリエチレン系樹脂層6と、第2の樹脂層としての第2のポリエチレン系樹脂層5との2層構成からなる。
なお、外層2は、超音波シール装置のシールバーが適度に食い込む柔らかさをもっている。途中の層3〜5は、超音波振動エネルギーを伝搬する役割をもっている。最内面のシール層6は、柔らかく速やかに溶け出す低温シール性をもっている。
ここで、MDPE樹脂が好ましい理由を補足的に説明する。ラミネートチューブ容器は、要求品質に応じ、ある程度の剛性を必要とする。但し、通常、150μm以上の厚いフィルムは、特別注文となり、入手コストを増大させる。また、積層構造の厚みは、チューブ成形機の金型寸法等に伴って制約される。係る厚み制約の中で、従来よりも高い剛性及び耐熱性を有し、且つ後述するように超音波振動エネルギーを良好に伝搬させてシール性を向上させる観点から、MDPE樹脂が好ましい。
中間層7の基材としては、一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム、ナイロン(Ny)樹脂フィルム、バリヤーフィルム、もしくはこれらのフィルムを積層してなるフィルム等を挙げることができる。例えば、PET/Ny積層フィルムなどが好ましく用いられる。
中間層7のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂層3は、テレフタル酸又はそのエステル誘導体を含む芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール又はそのエステル誘導体を含むジオールとから得られるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が使用される。樹脂層3の厚みは12μm程度が好ましい。
上記ラミネートチューブ用積層フィルム1の材質構成において、内層8の第1のポリエチレン系樹脂層6の融点A[℃]、密度C[g/cm3]及びメルトフローレート(MFR)Eは、下記(1)〜(3)の関係を満たしている。
ここで、融点Bをもつ「他の層」は、少なくとも内層8に形成された第2の樹脂層としてのポリエチレン系樹脂層5及び中間層7を含んでいる。
(2)最内層のシール層を除く他の層を構成する樹脂の密度D[g/cm3]に対する、0.9g/cm3≦C≦Dの関係。
(3)最内層のシール層を除く他の層を構成する樹脂のメルトフローレートFに対する、E>F≧0.5の関係。
なお、メルトフローレート(MFR)は、熱可塑性プラスチックの流れ試験方法としてJIS−K720に規定されており、各樹脂に試験条件(JIS−K720表1,2の温度と荷重)が決められている。
MFR=600×(m/t)
但し、mは切り取り試料の重量の平均値(g)。tは試料採取時間(s)。
また、上記(1)〜(3)の関係は、概略的には、最内面のシール層が他の層よりも、低い融点、低い密度、高いメルトフローレート(高い流動性)を有することを意味している。
従来のラミネートチューブ用積層フィルム14は、図5に示すように、外層2、中間層7、内層8が順次積層されている。
外層2は、ポリエチレン系樹脂層としての低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂からなる。
内層8は、シール層となる第1のポリエチレン系樹脂層としての線状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)6と、第2のポリエチレン系樹脂層として外層2と同じ低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂2とからなる2層構成である。
図9は、従来のラミネートチューブ用積層フィルム14の底部シール部25を超音波シール装置を用いてシールする工程を説明するための模式断面図である。シールする工程は、次の工程(s1)〜(s3)からなる。
(s2)挟まれた偏平形状の底部シール部25にホーン13Aから超音波振動エネルギーを与える工程。なお、超音波振動エネルギーの振動方向は、水平方向又は垂直方向のいずれでもよい。また、超音波振動エネルギーの発振時間は例えば0.3秒であり、ホールド時間は例えば0.7秒である。
この熱融着により、図10に示すように、従来構成のチューブ容器20’が製造される。
しかしながら、従来のラミネートチューブ用積層フィルム14は、融点、密度及びメルトフローレートの上記(1)〜(3)の関係を満たしていない。
従って、従来のラミネートチューブ用積層フィルム14は、シール層としてのL−LDPE樹脂層6に超音波振動エネルギーが伝搬せず、シール層が熱融着せずにシール不良となることがある。すなわち、従来のラミネートチューブ用積層フィルム14を用いた場合、前述した工程(s3)を底部シール部25の一部にしか実行できない。よって、図10に示す従来のチューブ容器20’は、底部シール部25にシール不良が生じていることがある。
図3は、上記本発明のラミネートチューブ用積層フィルム1のシール部を超音波シール装置を用いてシールする工程を説明するための模式断面図である。図3に示すシールする工程は、前述した工程(s1)〜(s3)において、図9の従来のラミネートチューブ用積層フィルム14に代えて、本実施形態のラミネートチューブ用積層フィルム1を用いている。なお、超音波振動エネルギーの振動方向、発振時間及びホールド時間は、前述同様に任意である。
しかしながら、本実施形態のラミネートチューブ用積層フィルム1は、従来とは異なり、融点、密度及びメルトフローレートの上記(1)〜(3)の関係を満たしている。
その結果、本実施形態では、シール層のL−LDPE層6が効率よく発熱して熱融着され、確実にシールされる。すなわち、本実施形態では、前述した工程(s3)を底部シール部25全体に実行できる。これにより、図4に示すように、本実施形態のチューブ容器20が製造される。このチューブ容器20は、従来とは異なり、底部シール部25が確実にシールされている。
(ii)酸素あるいは水蒸気等に対するバリア性を有する酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム。
(iii)水蒸気、水等に対するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルム。
これらの材料は、1種乃至それ以上を組み合わせて使用できる。上記バリア性を有するフィルムの厚さは、任意であるが、通常、5μm乃至300μm程度が使用でき、10μm乃至100μm位が望ましい。また、アルミニウム箔としては、5μm乃至30μm位の厚さのものが使用できる。アルミニウム又は無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ10nm乃至300nm位のものを使用できる。
係る無機酸化物としては、一酸化ケイ素と二酸化ケイ素との混合物、あるいはケイ素酸化物と酸化アルミニウムとの混合物であってもよい。このような無機酸化物の薄膜層を形成する方法としては、イオンビーム法、電子ビーム法等の真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着(CVD)法等がある。
先ず、印刷層12を設けた印刷基材層11と、バリヤー性基材10とを準備する。また、中間層7を共押出し多層フィルム製造法により作製しておく。
得られた積層フィルムの印刷基材層11面と、中間層7のポリエチレンテレフタレート樹脂層3面とを、例えば前述同様の二液反応型ポリエステル樹脂系接着剤を用いてドライラミネーション法により貼り合わせる。
得られたフィルムの中間層7のナイロン樹脂層4面に溶融ポリエチレン樹脂を共押出しラミネーション法により塗布、積層して内層8を形成させ、本発明のラミネートチューブ用積層フィルム9を製造する。
また、これにより、シール不良等の不具合を解消でき、品質及び生産性を向上させることができる。
また、超音波シールに関し、効率良く確実にシールできるラミネートチューブ用積層フィルムを設計することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて、さらに、具体的に説明する。
<実施例1>
中間層7として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/ナイロン(Ny)フィルムからなる積層フィルムを準備した。
ここで、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、厚み12μm、密度1.4g/cm3、融点260℃、のものである。
次に、この中間層7の積層フィルムに、押し出しラミネーション法により、内層8及び外層2を形成し、図1に示す構成のラミネートチューブ用積層フィルム1を作製した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム樹脂層3は、厚み12μm、密度1.4g/cm3、融点260℃、のものである。
中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂層は、厚み120μm、密度0.935g/cm3、融点126℃、MFR“2”、のものである。
線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)樹脂層6は、厚み100μm、密度0.92g/cm3、融点120℃、MFR“4”(50μm厚)、のものである。
<実施例2>
実施例2のラミネートチューブ用積層フィルム1は、別の構成例として、実施例1と同様の方法により作製された。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム層3は、実施例1と同じ厚み、密度、融点のものである。
ナイロン(Ny)フィルム層4は、厚み15μm、密度1.15g/cm3、融点220℃、のものである。
線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)樹脂層6は、厚み50μm、密度0.906g/cm3、融点105℃、MFR“6”、のものである。
<比較例1>
比較例1のラミネートチューブ用積層フィルム14は、前述した(1)〜(3)の関係を満たさない例として、実施例1と同様の方法により作製された。
外側及び内側のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム層3は、それぞれ厚み12μm、密度1.4g/cm3、融点260℃、のものである。
線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)樹脂層6は、厚み110μm、密度0.915g/cm3、融点120℃、MFR“2”、のものである。
[シール性]
シール部の断面観察により、溶着面、溶着部が均一に溶けているか目視判定した。
[耐圧強度]
内容物を充填したチューブ容器に80〜100gの荷重を1分間加えて破損等について目視観察した。
Claims (3)
- 少なくとも内層(8)、中間層(7)及び外層(2)の順の積層構造を備えたラミネートチューブ用積層フィルム(1)から超音波シールにより製造されたチューブ容器において、
前記内層は、第1の樹脂層(6)と第2の樹脂層(5)との積層構造からなり、
前記第1の樹脂層は、最内面に位置するシール層であり、
前記第1の樹脂層は50〜100μmの範囲の厚みをもつ線状(直鎖状)低密度ポリエチレン(L−LDPE)樹脂からなり、
前記第2の樹脂層は100μm以上140μm以下の厚みをもつ中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂からなり、
前記超音波シールの際に、前記中間層及び前記第2の樹脂層が超音波振動エネルギーを前記第1の樹脂層に伝え、前記第1の樹脂層が前記第2の樹脂層及び中間層よりも先に溶け出すように、前記第1の樹脂層の融点A[℃]、密度C[g/cm3]及びメルトフローレートEは、下記(1)〜(3)の関係を満たすことを特徴とするチューブ容器。
(1)前記第2の樹脂層及び中間層を構成する樹脂の融点B[℃]に対する、105℃≦A<Bの関係。
(2)前記第2の樹脂層及び中間層を構成する樹脂の密度D[g/cm3]に対する、0.9g/cm3≦C<Dの関係。
(3)前記第2の樹脂層を構成する樹脂のメルトフローレートFに対する、E>F≧0.5の関係。 - 請求項1記載のチューブ容器において、
前記外層(2)と前記中間層(7)との間にバリヤー性基材層(10)を備えたことを特徴とするチューブ容器。 - 請求項1又は請求項2に記載のチューブ容器(20)を製造するためのチューブ容器の製造方法において、
前記ラミネートチューブ用積層フィルム(1)を筒状にシールして筒状胴部(21)を形成する工程と、
前記筒状胴部の一方の開口部に肩部(22)及び口部(23)を形成する工程と、
前記筒状胴部の他方の開口部におけるシール部(25)を両外側からシールバー(13A)と受け具(13B)とにより加圧状態で挟む工程と、
前記挟まれた偏平形状のシール部(25)に前記シールバー(13A)から超音波振動エネルギーを与える工程と、
前記超音波振動エネルギーにより、前記偏平形状のシール部(25)を振動させ、前記第1の樹脂層よりも高密度の第2の樹脂層を介して当該第1の樹脂層に伝搬された超音波振動エネルギーにより、当該シール部(25)の第1の樹脂層(6)を熱融着する工程と、
を備えたことを特徴とするチューブ容器の製造方法。
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