JP4103040B2 - 回転位置検出装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は回転電機の回転位置を検出する装置に係り、特にその回転電機によって駆動される被駆動体の特定の回転位置をも検出するようにした回転位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、エンジンの回転軸と発電動機の回転軸とを直結して、電動機として駆動してエンジンの始動を行わせるとともに、発電機として駆動してエンジン点火用の電源として用いるようにしており、その際、回転位置の検出信号に応じてエンジンの点火制御を行わせることができるように、発電動機の回転位置およびエンジンにおけるピストンが上死点にくるときの回転位置をそれぞれ検出する各検出部が一体にユニット化された回転位置検出装置が開発されており、それを発電動機のステータコア部分に組み付けるようにしている。
【0003】
従来、この種の回転位置検出装置にあっては、図10および図11に示すように、円周上にN極とS極とが等間隔に交互に着磁された回転電機の回転位置検出用のマグネットリング1と、それと同径の円周上の一部に一方極性Nが着磁され、残りの部分が他方極性Sに着磁されるかまたは無着磁のエンジンの上死点検出用のマグネットリング2とをつき合せて接合し、その対になったマグネットリング1,2を回転電機の回転軸に取り付けて一体に回転するようにしている。そして、その一体化された各マグネットリング1,2の外周囲に空隙を介して対向するように固定側に設けられたチップ化されたホールIC3,4によってそれぞれの回転位置検出を行うようにしている。図中、Hはホール素子を示している。
【0004】
回転電機の回転位置検出用の第1のマグネットリング1に対向して設置されるホールIC3としては、図11に示すように、U,V,Wの各相の回転位置をそれぞれ検出できるように円周上等間隔に3つのホールIC3(31、32、33)が設けられている。
【0005】
図12ないし図14は、マグネットリング1が図中矢印Aで示す方向に回転したときの空隙における磁界の変化を示している。Dは、マグネットリング1に対向して設けられたホールIC3による検出位置を示している。
【0006】
図15は、第1のマグネットリング1に対向して設置されたホールIC31,32,33によるU,V,Wの各相の検出信号(a)および第2のマグネットリング2に対向して設置されたホールIC4によるエンジンの上死点の検出信号(b)をそれぞれ示している。Tは各マグネットリング1,2が1回転する周期である。
【0007】
このような構成による従来の回転位置検出装置では、ユニット化するに際して、同径のマグネットリング1とマグネットリング2とを横方向に重ね合せたうえで、その外周囲にそれぞれ対向するホールIC3,4を設置するようにしているので、ユニットの幅および径が大きくなってしまう。
【0008】
そのため、このような大形のユニットを回転電機のステータコアの側部に組み付けるのでは占積率が悪くなってしまうことになる。占積率を良くするために、図16および図17に示すように、ステータコア8の内部を切り欠いて、その切欠き部分に回転軸9に取り付けられた回転位置検出用のマグネットリング1とホールIC3とを組み込むようにするのでは、回転電機自体に生ずる電磁力が減少して、効率が低下してしまうことになる。
【0009】
そして、図16および図17に示すように、ロータ10に上死点検出用の突起11を設けるとともに、その外周囲にホールIC4を設けるのでは、図12中矢印で示すように、ホールIC3,4によるマグネットリング1,2の磁界の検出方向と回転電機のステータコア8における磁界の発生方向とが一致して、ステータコア8の発生磁界の影響を受けやすいものになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、回転電機の回転位置検出用のマグネットリングと、それと同径のエンジンの上死点検出用のマグネットリングとを重ね合せて、その重ね合せた各マグネットリングの外周囲に空隙を介して対向するようにそれぞれの回転位置検出を行うホールICを設けた構造による回転位置検出装置では、ユニットが大形となり、回転電機のステータコアの部分に組み付ける際に占積率が悪くなってしまうことである。
【0011】
また、マグネットリングの外周囲にホールICを設置するのでは、ホールICによるマグネットリングの磁界の検出方向と回転電機のステータコアにおける磁界の発生方向とが一致して、ステータコアの発生磁界の影響を受けやすく、回転位置の検出精度が悪くなってしまうという問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円周上にN極とS極とが等間隔に交互に着磁された第1のマグネットリングを回転電機の回転軸に取り付け、円周上の一部に一方極性が着磁され、残りの部分が他方極性に着磁されるかまたは無着磁の第2のマグネットリングをその第1のマグネットリングの内側または外側に同軸状に重ね合せて配設し、第1のマグネットリングの軸方向側方に空隙を介して対向するように回転電機のステータコアの側部に3つの磁気感知素子を円周上等間隔に配設して、三相交流の回転電機における各相の回転位置検出を行うようにし、第2のマグネットリングの軸方向側方に空隙を介して対向するように回転電機のステータコアの側部に磁気感知素子を別途設けて、回転電機の回転軸に取り付けられた被駆動体の特定の回転位置を検出するようにし、回転電機の三相の各回転位置検出用の3つの磁気感知素子と被駆動体の回転位置検出用の磁気感知素子とを同一の基板上に設けて、その基板をセンサーケース内に収納して、そのセンサーケースを回転電機のステータコアの側部において、第1および第2のマグネットリングとの間に取り付けることにより、ステータコアの発生磁界の影響を受けることなく回転位置検出を行うことができるようにしている。
【0013】
また、本発明は、回転電機の回転位置検出用のマグネットリングと回転電機によって駆動される被駆動体(例えばエンジン)の特定位置(例えばピストンの上死点)検出用のマグネットリングとの口径を変えて両者を同軸状に重ね合せて、その各マグネットリングの側方にそれぞれ対向する磁気感知素子を配設するようにして、特に幅方向の大きさを抑制するようにしている。
【0014】
【実施例】
本発明による回転位置検出装置にあっては、図1および図2に示すように、円周上にN極とS極とが等間隔に交互に着磁された回転電機の回転位置検出用のマグネットリング1と、それよりも径の小さな円周上の一部に一方極性N(またはS)が着磁され、残りの部分が他方極性S(またはN)に着磁されたエンジンの上死点検出用のマグネットリング2とを相対的に位置決めしたうえで同軸状に重ね合せるようにしている。そして、その重ね合せたマグネットリング1,2を、非磁性材のプレート51およびカバー52からなるディスク状のマグネットケース5内に圧入または接着により固定的に収納して、そのマグネットケース5を回転軸(図示せず)に取り付けるようにしている。
【0015】
そして、マグネットリング1の側方に空隙を介してU,V,Wの各相の回転位置をそれぞれ検出できるように円周上等間隔に3つのホールIC31、32、33を設けるとともに、マグネットリング2の側方に空隙を介してエンジンの上死点を検出できるようにホールIC4を設けている(図3参照)。その各ホールIC31,32,33および4は、同一基板6上に配設されている(図4参照)。図中、Hはホール素子を示している。そして、その基板6を非磁性材からなるセンサケース7に入れて、そのセンサケース7を回転電機のステータコア8の側部に取り付けるようにしている。
【0016】
センサケース7をステータコア8に取り付けるに際して、図5に示すように、ステータコア8側の内径を一部切り欠いて、その切欠き部分にセンサケース7を収納性良く埋め込むようにしてもよい。その場合には、ステータコア8を削る部分が極力少なくなって、回転電機の起磁力にほとんど影響を与えることがなくなる。
【0017】
図6〜図8は、マグネットリング1が図中矢印Aで示す方向に回転したときの空隙における磁界の変化状態を示している。Dは、マグネットリング1に対向して設けられたホールIC3(31,32,33)による検出位置を示している。
【0018】
図9は、マグネットリング1に対向して設置されたホールIC31,32,33によるU,V,Wの各相の検出信号(a)およびマグネットリング2に対向して設置されたホールIC4によるエンジンの上死点の検出信号(b)をそれぞれ示している。Tは各マグネットリング1,2が1回転する周期である。
【0019】
このように構成された本発明による回転位置検出装置にあっては、回転電機の回転位置検出用のマグネットリング1とエンジンの上死点検出用のマグネットリング2とを同軸状に重ね合せるようにしているので、従来の同じ口径のマグネットリングを軸方向につき合せたものに比して、その幅が小さくなる。
【0020】
また、その各マグネットリング1,2の側方にそれぞれ対向するホールIC3,4を配設して回転位置の検出を行うようにしているので、従来のマグネットリングの外周囲にホールICを設けて空隙における磁界の変化を検出するものに比して、そのマグネットリング1,2を薄くすることができるとともに、径方向の占積率が良くなる。
【0021】
そして、各マグネットリング1,2の側方にそれぞれ対向するホールIC3,4を配設して回転位置の検出を行うようにしているので、図6に示すように、ホールIC3(4)によるマグネットリング1(2)の磁界の検出方向Bと回転電機のステータコアにおける磁界の発生方向Cとが一致しなくなり、ステータコアの発生磁界の影響を受けることなく回転位置検出を精度良く行うことができるようになる。
【0022】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、円周上にN極とS極とが等間隔に交互に着磁された第1のマグネットリングを回転電機の回転軸に取り付け、円周上の一部に一方極性が着磁され、残りの部分が他方極性に着磁されるかまたは無着磁の第2のマグネットリングをその第1のマグネットリングの内側または外側に同軸状に重ね合せて配設し、第1のマグネットリングの軸方向側方に空隙を介して対向するように回転電機のステータコアの側部に3つの磁気感知素子を円周上等間隔に配設して、三相交流の回転電機における各相の回転位置検出を行うようにし、第2のマグネットリングの軸方向側方に空隙を介して対向するように回転電機のステータコアの側部に磁気感知素子を別途設けて、回転電機の回転軸に取り付けられた被駆動体の特定の回転位置を検出するようにし、回転電機の三相の各回転位置検出用の3つの磁気感知素子と被駆動体の回転位置検出用の磁気感知素子とを同一の基板上に設けて、その基板をセンサーケース内に収納して、そのセンサーケースを回転電機のステータコアの側部において、第1および第2のマグネットリングとの間に取り付けることにより、径方向の占積率を小さくするとともにマグネットリングの磁界の検出方向と回転電気のステータコアにおける磁界の発生方向とが一致しないようにして、ステータコアの発生磁界磁界の影響を受けることなく精度良く回転位置検出を行うことができるという利点を有している。
【0023】
また、本発明によれば、回転電機の回転位置検出用のマグネットリングと回転電機によって駆動される被駆動体の特定位置検出用のマグネットリングとの口径を変えて両者を同軸状に重ね合せて、その各マグネットリングの側方にそれぞれ対向する磁気感知素子を配設することにより、特に幅方向の大きさを抑制することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転位置検出装置の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】同実施例における回転位置検出装置を回転電機のステータ部分へ設置した状態の一例を示す斜視図である。
【図3】同実施例における回転電機の回転位置検出部分の構成とエンジンの上死点検出部分の構成とを模擬的に示す図である。
【図4】同実施例におけるホールIC基板の正面図である。
【図5】同実施例における回転位置検出装置を回転電機のステータ部分へ設置した状態の他の例を示す斜視図である。
【図6】同実施例における回転位置検出用のマグネットリングの回転による空隙における磁界の変化に応じた検出位置の一例を示す図である。
【図7】同実施例における回転位置検出用のマグネットリングの回転による空隙における磁界の変化に応じた検出位置の他の例を示す図である。
【図8】同実施例における回転位置検出用のマグネットリングの回転による空隙における磁界の変化に応じた検出位置のさらに他の例を示す図である。
【図9】回転位置検出用のマグネットリングに対向して設置された3つのホールICによるU,V,Wの各相の検出信号およびエンジンの上死点検出用のマグネットリングに対向して設置されたホールICによる検出信号をそれぞれ示す波形図である。
【図10】従来の回転位置検出装置における回転位置検出用のマグネットリングとエンジンの上死点検出用のマグネットリングおよび各ホールICの設置状態を示す側面図である。
【図11】従来の回転電機の回転位置検出部分の構成とエンジンの上死点検出部分の構成とを模擬的に示す図である。
【図12】従来の回転位置検出用のマグネットリングの回転による空隙における磁界の変化に応じた検出位置の一例を示す図である。
【図13】従来の回転位置検出用のマグネットリングの回転による空隙における磁界の変化に応じた検出位置の他の例を示す図である。
【図14】従来の回転位置検出用のマグネットリングの回転による空隙における磁界の変化に応じた検出位置のさらに他の例を示す図である。
【図15】従来の回転位置検出用のマグネットリングに対向して設置された3つのホールICによるU,V,Wの各相の検出信号およびエンジンの上死点検出用のマグネットリングに対向して設置されたホールICによる検出信号をそれぞれ示す波形図である。
【図16】従来の回転位置検出用のユニットを回転電機のステータおよびロータ部分へ設置した状態を示す正断面図である。
【図17】図16のX−X矢視に相当する側面図である。
【符号の説明】
1 回転電機の回転位置検出用のマグネットリング
2 エンジンの上死点検出用のマグネットリング
3 ホールIC
31 ホールIC
32 ホールIC
33 ホールIC
4 ホールIC
5 マグネトケース
6 ホールIC基板
7 センサケース
8 ステータコア
Claims (3)
- 円周上にN極とS極とが等間隔に交互に着磁され、回転電機の回転軸に取り付けられた第1のマグネットリングと、その第1のマグネットリングの内側または外側に同軸状に重ね合せて配設される円周上の一部に一方極性が着磁され、残りの部分が他方極性に着磁されるかまたは無着磁の第2のマグネットリングとを有し、その第1のマグネットリングの軸方向側方に空隙を介して対向するように回転電機のステータコアの側部に3つの磁気感知素子を円周上等間隔に配設して、三相交流の回転電機における各相の回転位置検出を行うようにし、第2のマグネットリングの軸方向側方に空隙を介して対向するように回転電機のステータコアの側部に磁気感知素子を別途設けて、回転電機の回転軸に取り付けられた被駆動体の特定の回転位置を検出するようにし、回転電機の三相の各回転位置検出用の3つの磁気感知素子と被駆動体の回転位置検出用の磁気感知素子とを同一の基板上に設けて、その基板をセンサーケース内に収納して、そのセンサーケースを回転電機のステータコアの側部において、第1および第2のマグネットリングとの間に取り付けるように構成した回転位置検出装置。
- 被駆動体がエンジンであり、そのエンジンにおけるピストンの上死点を検出するようにしたことを特徴とする請求項1の記載による回転位置検出装置。
- 第1および第2のマグネットリングをディスク状のケース内に固定的に収納して、そのケースを回転軸に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1の記載による回転位置検出装置。
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