JP4102638B2 - 生分解性複合バインダー繊維を用いた繊維製品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有するとともに風合いが柔らかで伸縮性のある不織布やウレタンライクの柔らかな風合いを有し、繰り返し圧縮を行った場合であってもへたりにくいクッション材となる固綿、あるいは紡績糸として成型性や保型性を有する布帛等の繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラジャーパッド、芯地、肩パット、ソフアーや椅子の背もたれ、クッション等の家具用詰め物やベッド、自動車シートのクッション材あるいは各種吸音材や断熱材としてポリウレタンフォームが使用されている。しかしながら、ポリウレタンフォームは通気性が悪く人体の近くで使用する際に蒸れやすいことや、使用後の廃棄の際に焼却すると含窒素系の毒性ガスや酸性雨の原因物質であるN0が発生することといった問題点が指摘されている。
【0003】
近年、ポリウレタンフォームに代わる材料としてポリエステル繊維を主体とした不織布が提案されてきた。例えば、特許文献1には、ポリエステル繊維のウエブをニードリング加工した不織布あるいはバインダー繊維を併用して融着加工した不織布が提案されている。また、特許文献2には、接着点に弾性を持たせて固綿の風合いに柔らかさをもたらすために、バインダー成分として、ポリエステルエラストマーを用いてなる不織布が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−35047号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平4−240219号公報
【0006】
このようなエラストマー弾性を有するバインダー繊維を用いると、伸縮性のある不織布とすることも期待できる。しかし、ポリエステルエラストマーを鞘部に含むバインダー繊維を生産しようとすると、ポリエステルエラストマーと金属との摩擦抵抗が大きいため繊維製造工程で延伸ローラーに巻き付いたり、クリンパーに詰まったりして生産性が悪い。また短繊維不織布のウエブ製造工程でカード通過性が悪いなど、生産性良く繊維を製造することや短繊維不織布を製造することが難しい。
【0007】
このような現象を改善する目的で芯部がポリエステルエラストマーで、鞘部が融点200℃以下の低融点ポリマーである複合バインダー繊維が開示されている(特許文献3)。
【0008】
【特許文献3】
特開平07−305233号公報
【0009】
ただし、これらの既存技術は基本的には生分解性のない素材に関するものであり、近年環境保護の立場から重視され始めている自然環境中で分解する生分解性の素材ではないという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のポリエステルエラストマーをバインダー成分として含むバインダー繊維の製造しにくさあるいはその繊維を用いた加工のしにくさを解消し、加えて生分解性をも有するバインダー繊維を提供し、このバインダー繊維を構成素材に使用した貼布材基布、紙オムツのトップシートやその他部材に用いる伸縮性不織布、家具用詰め綿やベッド、自動車シート用クッション材あるいは敷布団、座布団、マット等に使用可能な、柔らかな風合とへたりにくさを有し、繰り返し使用後も反発力の変わらない新規なポリエステル固綿あるいは紡績糸、織編物なの繊維製品を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような新規なバインダー繊維を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は、芯部が生分解性ポリエステルエラストマーからなり、鞘部が芯部より高融点であって融点200℃以下のエラストマー弾性を有しない生分解性ポリエステルであるポリ乳酸からなる生分解性複合バインダー繊維と、鞘部よりも高い融点もしくは分解点を有する主体繊維とを配合して得られる繊維製品であり、主体繊維同士は前記生分解性複合バインダー繊維全体が溶融または軟化したバインダー成分によって接着していることを特徴とする生分解性複合バインダー繊維を用いた繊維製品を要旨とするものである。
また、本発明は、芯部が生分解性ポリエステルエラストマーからなり、鞘部が芯部より高融点であって融点200℃以下のエラストマー弾性を有しない生分解性ポリエステルであるポリ乳酸からなる生分解性複合バインダー繊維と、鞘部よりも高い融点もしくは分解点を有する主体繊維とを混合した後、熱処理装置を通して前記バインダー繊維全体を溶融または軟化させて、主体繊維を接着させることを特徴とする生分解性繊複合バインダー繊維を用いた繊維製品の製造方法を要旨とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明に用いるバインダー繊維において、芯部を構成する生分解性ポリエステルエラストマーとしては、エラストマー弾性を有する脂肪族ポリエステルのほか、エチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレート単位からなる芳香族エステル結合単位をハードセグメントとし、これに相当量、おおよそ30〜80重量%の炭素数4以上の直鎖脂肪族成分、例えばアジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸あるいは、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールなどのジオール等あるいはカプロラクトン化合物を共重合したもの等が挙げられる。
【0015】
本発明で用いることができる生分解性ポリエステルエラストマーの市販品としては、イーストマンケミカル社 商品名「イースターバイオ」、BASF社 商品名「エコフレックス」などが挙げられる。
【0016】
なお、本発明に用いる生分解性ポリエステルエラストマーのエラストマー特性は、仮にそれ自体を延伸糸とした時の伸度が70〜800%、50%伸長時の弾性回復率(糸の長さに対して50%伸長させた後、元の長さにまで回復する場合100%、全く戻らない場合0%)が80%以上、あるいは200%伸長時の弾性回復率が70%以上のものであることが好ましい。
【0017】
生分解性ポリエステルエラストマーの融点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。融点が80℃未満であると、高温雰囲気下、例えば炎天下にさらされる椅子や自動車シートに使用するとへたりやすくなることがある。
【0018】
本発明に用いる複合バインダー繊維の鞘部は、芯部より高融点であって融点が200℃以下のエラストマー弾性を有しない生分解性ポリエステルであるポリ乳酸である。
【0020】
リ乳酸は化学構造的に種々の融点のポリマーを作ることができる。まず、ポリ乳酸の融点の制御についてであるが、乳酸モノマーは光学活性の炭素を有しており、D体とL体の光学異性体が存在する。D体とL体とをほぼ同量ブレンドすると、ステレオコンプレックスと呼ばれる融点190〜220℃の高融点ポリマーとなる。またL体にD体を1モル%共重合させると融点170℃、D体を3モル%共重合させると融点150℃、D体を8モル%共重合させると融点130℃、D体を12モル%共重合させると融点110℃といった具合にポリ乳酸の融点のコントロールが可能である。D体が18モル%以上となると明確な結晶融点は観察されず、軟化温度90℃未満位の非晶性の強いポリマーとなる。このような非晶性の強いポリ乳酸の場合は便宜上、目視での軟化温度を融点とする。
【0021】
鞘部に配するポリマーの融点を200℃以下とする理由としては、200℃を超えると、熱接着加工温度が高くなりすぎて、適当な熱処理装置がなく、また、芯部のポリマーが変性することがあり好ましくない。
【0023】
次に、芯部と鞘部の融点との関係についてであるが、鞘部を芯部より高融点のものを採用するので、鞘部が軟化〜溶融する温度で熱融着処理を施すこの場合芯部も熱の影響を受けて繊維形状を失うので、本発明においては、複合バインダー繊維を用いて繊維製品を製造する際に鞘部のポリマーより融点や分解点の高い主体となる繊維(高融点繊維)を配合することによって、この高融点繊維同士をバインダー成分(複合バインダー繊維全体が溶融または軟化してなるもの)によって接着することになる。そうなると、ポリエステルエラストマーを含む接着点においてバインダー成分自体がソフトであることと、ある程度伸縮性を有することから、ソフトな風合いを有し、かつへたりにくく、伸縮性を有する固綿や不織布等の繊維製品とすることができる。すなわち、高融点繊維が主体繊維となり、これが、伸縮性に富んだポリエステルエラストマーによって点接着されているため、得られた固綿や不織布等の繊維製品は、風合が軟らかく、繰り返し圧縮しても点接着した部分が伸縮するため接合部分が剥離しにくくなり、繊維製品の形態が良好に保持され、へたりにくいこととなる。
【0024】
配合する高融点繊維としては、繊維製品の生分解性を考慮し、鞘部の融点よりも20℃以上程度高い融点を有する生分解性ポリエステルからなる繊維あるいはレーヨン繊維などの半合成繊維、ウール、木綿、麻などの天然繊維を用いるのが好ましい。高融点繊維を配合する際の配合比率(質量比)としては、複合バインダー繊維/高融点繊維=10〜70/90〜30とすることが好ましい。
【0025】
本発明に用いる複合バインダー繊維の断面形状は、通常の丸断面のほかに三角断面、Y型断面、十字断面、偏平断面等の異型断面であってもよい。
【0026】
複合バインダー繊維の単糸繊度は、特に限定されるものではないが、0.5〜20デシテックス程度の範囲が好ましい。0.5デシテックス未満のものでは、製造コストが高くなり、また、乾式不織布を製造するときのカード通過性やカードウエブ作成時に問題が発生しやすい。一方、単糸繊度が20デシテックスを超えると、接着強度が不足し、本発明の目的を十分達成できない場合がある。
【0027】
本発明に用いる複合バインダー繊維の形態としては、エンドレスである長繊維であっても、また繊維端を有するステープルファイバーやショートカットファイバーである短繊維であってもよい。形態については、複合バインダー繊維を用いる用途、繊維製品の形態に応じて適宜選択すればよい。
【0028】
本発明に用いる複合バインダー繊維は従来の複合紡糸技術を踏襲した方法で製造することができる。
【0029】
すなわち、汎用の複合溶融紡糸装置を用い、芯部が生分解性のポリエステルエラストマー、鞘部がエラストマー弾性を有しない生分解性のポリエステルとなるようにして複合紡糸する。紡糸に際し、安定剤、顔料、強化材などを共存させてもよい。
【0030】
紡出された繊維は、必要に応じて連続的または別工程で延伸、熱処理される。
【0031】
短繊維を得る場合は、油剤を付与し、数万〜数百万デシテックスのトウに引き揃えてクリンパーボックスなどを用いて機械的に捲縮を付与し、25〜70mm位にカットしてクリンプ綿とする。あるいは、捲縮を加えることなく3〜20mm位にカットして、湿式抄造用のバインダー繊維としてもよい。
【0032】
複合バインダー繊維高融点繊維と混合して乾式あるいは湿式でウエブを形成し、サーマルスルー不織布、熱エンボス不織布などの各種不織布や固綿としたり、紡績糸として織編物、組紐等の各種の繊維製品とすることができる。各種の繊維製品とする方法としては、従来公知の方法により製造し、熱処理を施すことにより本発明における複合バインダー繊維を用いる効果を奏することができる。
【0033】
例えば、本発明の繊維製品として、複合バインダー繊維を用いて短繊維不織布を製造する方法としては、前述の高融点繊維とバインダー繊維とを用途あるいはその要求特性により決定した割合にて混綿し、カード機等でウエブを形成した後、熱処理装置を通して複合バインダー繊維全体を溶融させ、繊維を点接着させる。この場合、熱処理の前にニードリング加工やスパンレース加工を行なってもよい。
【0034】
また、湿式不織布の製造方法としては、クリンプのないカット長3〜20mmのショートカットの複合バイダー繊維に高融点繊維を配合して、水中に分散させ、湿式抄造後、熱処理して不織布としてもよい。
【0035】
熱処理装置としては、熱風循環ドライヤー、熱風貫流ドライヤー、サクシヨンドラムドライヤー、ヤンキードラムドライヤー、加熱ロール、熱エンボスロール等が用いられ、複合バインダー繊維の融点に応じた処理温度と処理時間を適宜選定して処理を行なえばよい。
【0036】
固綿を製造する方法としては、上述した短繊維不織布を作成する際に用いたカード機等により作成したウエブを、目的の厚みとなるように複数枚積層し、熱処理を施して固綿とする。固綿を作成する場合、目的とするクッション性等を得るために、厚みと密度を規制することが重要である。固綿の厚みと密度を規制するには、熱処理によるウエブの面積収縮を考慮して熱処理前のウエブの目付を適切に選定するとともに、熱処理装置に厚さ規制ロールを組み込んだり、所定の厚さのスペーサーをはさんだ板や金網の間にウエブをはさんで熱処理すればよい。
【0037】
固綿は、そのクツシヨン性を保持するうえで、厚みを5mm以上とするのが好ましい。上限は特に限定しないが、製造設備、製造コスト、使いやすさの点から、150mm程度が好ましい。また、この固綿の密度は、0.010g/cm3以上とするのがよい。密度が0.010g/cm3に満たない場合、繰り返し圧縮によってへたりやすく場合がある。密度の上限は、用途に応じたクツシヨン性の要求程度により異なるので特定しないが、製造設備、製造コスト等の面より、0.1g/cm3以下とするのが好ましい。
【0038】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例に記述した諸物性の評価法は、次のとおりである。
(1)相対粘度
フエノールと四塩化エタンの等質量混合物を溶媒とし、試料濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。
【0039】
(2)融点
結晶融点を有するポリマーの融点はパーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。(DSC法)
また、DSC法で結晶融点を有さない非結晶のポリマーの融点はホットステージ付き顕微鏡を用い目視法で測定した。
以下、特記しない限り融点はDSC法によるものとする。
【0040】
(3)繰り返し圧縮時の耐へたり性
固綿の厚みを測定した後、試験片(10cm×10cm)を平行平面板にはさみ、毎分60回で147Nの荷重をかけて合計5万回の繰り返し圧縮試験を行なった後の厚さを測定し、下式により嵩高性保持率C(%)を算出し、へたりにくさの尺度とする。Cの値が大きいほどへたりにくいものである。
C(%)=(試験後の試験片の厚み(mm)/試験前の試験片の厚み(mm))×100
【0041】
(4)風合い
10人のパネラーによる官能試験により、次の3段階で評価した。
1:柔らかい 2:普通 3:硬い
【0042】
実施例1
芯部に用いる生分解性ポリエステルエラストマーとしてイーストマンケミカル社製 商品名「イースターバイオ」(融点108℃、固有粘度(カタログ記載)1.1)を用意した。一方、鞘部に用いるエラストマー弾性を有しない生分解性ポリエステルとしてL−乳酸を主体とするポリ乳酸(L−乳酸単位:92モル%、D−乳酸単位:8モル%、融点130℃、相対粘度1.85)を用意した。両者を通常の芯鞘複合紡糸装置を用いて紡糸温度225℃にて溶融紡糸した。この時、芯鞘の容量比は1:1とした。紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸条を得た。得られた糸条を収束し、延伸倍率3.2倍、延伸ローラー温度65℃にて延伸しクリンパーにてクリンプ付与後乾燥機にて80℃、2分間熱処理した。これを切断して、単糸繊度が2.2デシテックス、繊維長が51mmの芯鞘型生分解性複合バインダー繊維を得た。
【0043】
また、L−乳酸を主体とするポリ乳酸(L−乳酸単位:99モル%、D−乳酸単位:1モル%、融点169℃、相対粘度1.85)からなるチップを通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度225℃にて溶融紡糸した。紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸条を得た。得られた糸条を収束し、延伸倍率3.4倍、延伸ローラー温度80℃にて延伸しクリンパーにてクリンプ付与後乾燥機にて120℃、2分間熱処理した。これを切断して、単糸繊度が11デシテックス、繊維長が51mmのポリ乳酸短繊維を得た。
【0044】
得られた生分解性複合バインダー繊維とポリ乳酸短繊維とを20/80の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、クロスラッパーで積層して目付600g/m2のウエブとし、バーブ付ニードルを有するニードルロッカールームに通して、パンチ密度240本/cm2にてニードリングを行なった。さらにこのウエブを20mmの厚さのスペーサーを挟んだ金網の間に入れ、厚さを規制しつつ、140℃の熱風循環ドライヤー中で5分間熱処理を行なって、厚み20mmの固綿を得た。
得られた固綿の繰り返し圧縮時の耐へたり性は92%とへたりにくく、風合いは1と、ソフトさに優れたものであった。
【0045】
実施例2
実施例1で得られた生分解性複合バインダー繊維とポリ乳酸短繊維を20/80の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、目付30g/m2のウエブとした。
【0046】
得られたウエブを120℃に加熱したエンボスロール熱処理機(エンボスロールとフラットロールとからなり圧接面積12%)に通して熱エンボス加工を施し熱エンボス不織布を得た。
得られた不織布の風合いは1と柔らかく、伸縮性の認められるものであった。
【0047】
実施例3
実施例1で得られた生分解性複合バインダー繊維と木綿繊維を20/80の質量割合で混綿し、梳綿機に通した後、目付40g/m2のウエブとした。
得られたウエブを120℃に加熱したエンボスロール熱処理機(エンボスロールとフラットロールとからなり圧接面積12%)に通して熱エンボス加工を施し熱エンボス不織布を得た。
得られた不織布の風合いは1と柔らかく、伸縮性の認められるものであった。
【0048】
比較例1
実施例1において、生分解性ポリエステルエラストマーである「イースターバイオ」を鞘部に、ポリ乳酸を芯部に配して(芯部と鞘部に配するポリマーを逆転させて)複合溶融紡糸した。巻き取った未延伸糸は単繊維間に繊維密着があり、そのまま延伸したところ延伸ローラー巻きやクリンパー通過不良が認められ、短繊維にすることができなかった。
【0049】
比較例2
実施例1において、生分解性複合バインダー繊維に代えてユニチカファイバー社製のポリエステル系バインダー繊維「メルティR」<4080>(2.2デシテックス、51mm繊維長、軟化点110℃)を用いること以外は、実施例1と同様にして実施した。
得られた固綿の繰り返し圧縮時の耐へたり性は86%と、ややへたり度合いが大きく、風合いは2とソフトさに欠けるものであった。
【0050】
【発明の効果】
本発明に用いる複合バインダー繊維は、芯部が生分解性ポリエステルエラストマーからなり、鞘部が融点200℃以下のエラストマ−弾性を有しない生分解性ポリエステルからなるため、繊維の生産性が良好であり、また、この繊維を用いて繊維製品に加工する際の加工性も良好である。
【0051】
また、芯部、鞘部共に生分解性を有する素材を配しているため、自然環境下で分解するものであり、環境保護の立場からも良好なものである。
【0052】
また、複合バインダー繊維を用いてなる本発明の繊維製品は、風合がソフトで、伸縮性を有するものである
【0053】
さらには、繊維製品として固綿としたときには、ウレタンライクの柔らかな風合となり繰り返し圧縮に対しへたりにくい。そのため、このような固綿を、例えばクツシヨンの詰め綿として用いたとき、当りが柔らかで、衝撃を吸収するため、座り心地がよい。また、使用経時でへたりが少なく、一定以上の厚さとすれば床づき感がなく、家具用詰め綿やベツド、自動車シート用クツシヨン材、敷布団として好適である。

Claims (5)

  1. 芯部が生分解性ポリエステルエラストマーからなり、鞘部が芯部より高融点であって融点200℃以下のエラストマー弾性を有しない生分解性ポリエステルであるポリ乳酸からなる生分解性複合バインダー繊維と、鞘部よりも高い融点もしくは分解点を有する主体繊維とを配合して得られる繊維製品であり、主体繊維同士は前記生分解性複合バインダー繊維全体が溶融または軟化したバインダー成分によって接着していることを特徴とする生分解性複合バインダー繊維を用いた繊維製品。
  2. 主体繊維が鞘部の融点よりも20℃以上高い融点を有する生分解性ポリエステルからなる繊維あるいは半合成繊維、天然繊維のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の生分解性複合バインダー繊維を用いた繊維製品。
  3. 請求項1または2記載の繊維製品が、不織布、固綿、紡績糸、織編物、組紐のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の生分性複合バインダー繊維を用いた製品。
  4. 芯部が生分解性ポリエステルエラストマーからなり、鞘部が芯部より高融点であって融点200℃以下のエラストマー弾性を有しない生分解性ポリエステルであるポリ乳酸からなる生分解性複合バインダー繊維と、鞘部よりも高い融点もしくは分解点を有する主体繊維とを混合した後、熱処理装置を通して前記バインダー繊維全体を溶融または軟化させて、主体繊維を接着させることを特徴とする生分解性繊複合バインダー繊維を用いた繊維製品の製造方法。
  5. 請求項記載の繊維製品が、不織布、固綿、紡績糸、織編物、組紐のいずれかであることを特徴とする請求項4記載の生分解性複合バインダー繊維を用いた繊維製品の製造方法。
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