JP2820321B2 - バインダー繊維およびこの繊維を用いた不織布 - Google Patents

バインダー繊維およびこの繊維を用いた不織布

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JP2820321B2 JP51586294A JP51586294A JP2820321B2 JP 2820321 B2 JP2820321 B2 JP 2820321B2 JP 51586294 A JP51586294 A JP 51586294A JP 51586294 A JP51586294 A JP 51586294A JP 2820321 B2 JP2820321 B2 JP 2820321B2
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伸洋 松永
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【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、バインダー繊維およびこの繊維を用いた不
織布に関する。このようなバインダー繊維を用いた不織
布は、風合が柔らかで、長期間あるいは高温雰囲気下で
使用したときもへたりにくく、接着強力が低下しないた
め、特にクッション材として好適である。
公知の不織布として、フィルター、芯地、肩パット、
ソファーや椅子の背もたれやクッション等の家具用詰め
物、ベッドや自動車シートのクッション材として、主体
となる繊維をバインダー繊維で点接合した不織布が使用
されている。
従来、主として用いられているバインダー繊維は、ポ
リエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリ
エステルをバインダー成分とするものである。このポリ
エステルは剛性の高いものであり、また非晶性のポリマ
ーで明確な結晶融点を示さず、ガラス転移点(約65〜70
℃)以上となれば軟化の始まるものである。このような
公知の、主体となる繊維とバインダー繊維を併用して熱
融着加工した不織布は、風合の柔らかさに欠け、当りが
硬い。また、繰り返し圧縮や屈曲を受けると、接着点が
破壊されてへたったり、高温雰囲気下で使用した場合に
接着強力が低下して変形するという欠点がある。
また、ソファーや椅子の背もたれやクッション等の家
具用詰め物、ベッドや自動車シートのクッション材とし
て、主としてポリウレタンフォームを使用することが公
知である。しかしながら、ポリウレタンフォームは、燃
焼時に含窒素系の毒性ガスが発生すること、あるいは製
造時に使用するフロンガスが大気上層のオゾン層を破壊
すること等、安全性や環境保護の立場から問題点が指摘
されている。
そこで、ポリウレタンフォームに代わる材料としてポ
リエステル繊維を主体とした不織布を使用することが考
えられる。この点に関する公知の技術として、ポリエス
テル繊維のウエブをニードリング加工したものや、バイ
ンダー繊維を併用して融着加工したもの(例えば、日本
国特許公開第57−35047号)や、あるいはバインダー成
分として、上述の不織布の場合と同様にポリエステルエ
ラストマーを用いたもの(例えば、日本国特許公開第4
−240219号)等がある。
ところが、このような公知のポリエステル不織布のう
ち、ポリエステル繊維のウエブをニードリング加工した
ものは、繊維の一部が脱落や飛散しやすい。この欠点を
防止しようとしてバインダー繊維を併用して熱融着加工
したものも、風合の柔らかさに欠け、当りが硬い。ま
た、両者ともに繰り返し圧縮や高温雰囲気下での圧縮に
対してへたりやすく、使用の際の時間の経過によりクッ
ション性が低下するという欠点がある。
さらに、公知のバインダー繊維の欠点を解消する目的
で、バインダー成分として上述のポリエステルエラスト
マーを用いたものが開発されているが、日本国特許公開
第4−240219号に開示されているポリエステルエラスト
マーは、ポリ(アルキレンオキシド)グリゴール成分を
共重合したものであり、比較的熱分解しやすく、熱融着
加工しにくい。
発明の開示 本発明は、このような公知のバインダー繊維を用いた
不織布の風合の柔らかさ不足や高温雰囲気下でのへたり
やすさ等を解消しうる新規なバインダー繊維と、このバ
インダー繊維を用いることで、柔らかな風合と高温雰囲
気で使用したときのへたりにくさを有し熱融着加工性も
良好な不織布とを提供することを目的とする。
本発明者は、このような新規なバインダー繊維および
不織布を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到
達した。
すなわち、本発明は、融点が100℃以上のε−カプロ
ラクトン共重合ポリエステル系繊維からなることを特徴
とするバインダー繊維を要旨とする。
また本発明は、主体となる繊維がバインダー繊維によ
って点接合されており、前記バインダー繊維が、融点が
100℃以上のε−カプロラクトン共重合ポリエステル系
バインダー繊維であることを特徴とする不織布を要旨と
する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のバインダー繊維は、上述のように、融点が10
0℃以上のε−カプロラクトン共重合ポリエステル系繊
維からなる。このようなポリエステルとしては、エチレ
ンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタ
レート単位にε−カプロラクトン単位を共重合したもの
が適当である。あるいは、これにさらに、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバ
シン酸、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール
等を共重合したものであってもよい。これらの付加的な
共重合成分の割合は、ポリエステルの構成成分の単位モ
ル数に対し20モル%以下であることが望ましい。またポ
リエステル中のε−カプロラクトン単位は、他の構成単
位とランダム共重合したものであってもブロック共重合
したものであっても差し支えない。
本発明のポリエステル系バインダー繊維の融点は、上
述のように100℃以上、好ましくは130℃以上である。融
点が100℃未満であると、このバインダー繊維を用いた
不織布が、高温雰囲気下、例えば炎天下にさらされる椅
子や自動車シートに使用されると、へたりやすくなり、
好ましくない。融点の上限は、主体となる繊維の融点や
分解点より20℃以上低くするのが好ましい。
このポリエステル系バインダー繊維は、その表面の少
なくとも一部分が当該共重合対からなっていればよい。
たとえばポリエステルバインダー成分のみからなる単成
分繊維であったり、このポリエステルバインダー成分が
単繊維の表面の全部または一部を形成しているところ
の、芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、割繊型等の
複合繊維等であればよい。
これらのうち、芯鞘型で、芯がポリエチレンテレフタ
レート、鞘がポリエステルバインダー成分である複合繊
維で、風合の柔らかさの観点や、接着強力の高さ、すな
わち不織布とした時の形態保持性、ならびに不織布およ
び圧縮時の不織布のコシの強さの観点より好ましい。
本発明のポリエステル系バインダー繊維の繊度は、特
に限定するものではないが、2デニール以上かつ100デ
ニール以下が適当である。なお、不織布以外の本発明の
バインダー繊維の用途として、木材チップと短くカット
したバインダー繊維を混合して加熱成型し、自動車用ド
アトリム、ダッシュボード用成型材として用いることも
できる。この場合、高温雰囲気下でも成型体が変形しに
くく、良好である。
次に本発明の不織布について説明する。
まず、主体となる繊維は、ポリエステル繊維、ナイロ
ン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維などの合成
繊維や、レーヨン繊維などの半合成繊維や、ウール、木
綿、麻、木材パルプなどの天然繊維が適当である。
なかでもポリエステル繊維としては、たとえばエチレ
ンテレフタレート単位やブチレンテレフタレート単位、
あるいはエチレンナフタレート、特にエチレン−2,6−
ナフタレート単位を主たる構成成分とするものが好まし
いが、その物性、経済性の面からとりわけ、ポリエチレ
ンテレフタレート繊維が好ましい。なお、その特性を損
なわない範囲で、イソフタル酸、5−スルホイソフタル
酸、ジエチレングリコール等の他の成分が共重合された
ポリエステルであっても差し支えない。
合成繊維、半合成繊維の場合は、その断面形態は丸断
面であっても異型断面であってもよいし、中空であって
も中実であってもよい。
この主体となる繊維の繊度は、特に限定されるもので
なく、用途に応じた要求特性にもとづいて決めればよ
い。一般には2〜200デニールのものが用いられる。
本発明の不織布を構成するためのもう一つの構成要素
であるポリエステル系バインダー繊維は、融点が100℃
以上のε−カプロラクトン共重合ポリエステルをバイン
ダー成分として持つ。
このε−カプロラクトン単位の共重合割合を3モル%
以上かつ40モル%未満とすれば、実質的にエラストマー
弾性を有さないポリエステルを構成することができる。
ε−カプロラクトン単位が3モル%に満たない場合は、
得られるポリエステルが硬くなって結果的に不織布の風
合が硬くなる。またε−カプロラクトン単位が40モル%
以上の場合は、得られるポリエステルがエラストマー弾
性を有するようになる。このポリエステル系バインダー
繊維の使用割合は、不織布全体の10〜70%でよいが、用
途による要求特性により変えることができる。
本発明の不織布を製造するためには、前記の主体とな
る繊維とポリエステル系バインダー繊維とを、用途ある
いはその要求特性により決定した割合にて混綿し、梳綿
機等でウエブを形成した後、熱処理装置を通してポリエ
ステル系バインダー成分を溶融させ、主体となる繊維を
点接合させればよい。この場合、熱処理の熱にニードリ
ング加工を行なってもよい。
熱処理装置としては、加熱フラットローラー、加熱エ
ンボスローラー、熱風循環ドライヤー、熱風貫流ドライ
ヤー、サクションドラムドライヤー、ヤンキードラムド
ライヤー等が用いられる。処理の際には、ポリエステル
系バインダー成分の融点に応じて処理温度と処理時間と
を選定すればよい。
本発明の不織布は、50g/m2以下程度の比較的低目付の
ウエブを加熱フラットローラーで熱圧着した紙状のもの
から、厚さ5mm〜150mm、密度0.010g/cm3以上程度のいわ
ゆる固綿と呼ばれるものまでを包含するものである。厚
さの上限は、特に限定されないが、製造設備、製造コス
ト、使いやすさの点から、150mm程度迄が好ましい。ま
た、固綿として使用する場合に、その密度は、0.010g/c
m3以上とするのが好ましい。密度が0.010g/cm3に満たな
い場合は、繰り返し圧縮によりへたることがある。密度
の上限は、用途によるクッション性の要求程度により異
なるので、特定しないが、製造設備、製造コスト等の面
より、0.2g/cm3以下とするのが好ましい。
本発明の不織布の厚さと密度を規制するためには、熱
処理によるウエブの面積収縮を考慮して熱処理前のウエ
ブの目付を適切に選定するとともに、熱処理装置に厚さ
規制ロールを組み込んだり、所定の厚さのスペーサーを
はさんだ板や金網どうしの間にウエブをはさんで熱処理
したりすれればよい。
本発明の不織布は、主体となる繊維が、比較的ソフト
で熱分解しにくく熱溶着加工しやすいポリエステル系バ
インダーによって点接合されているため、風合が軟らか
く、繰り返し圧縮しても点接合した部分の接着強力が高
いためこの接合部分が剥離しにくい。従って不織布の形
態が良好に保持され、へたりにくい。また、バインダー
成分が融点が100℃以上のε−カプロラクトン共重合ポ
リエステル系繊維からなるので、使用に際し、例えば70
−80℃位の高温雰囲気下での圧縮に対しても変形しにく
くへたりにくい。そのため、例えば、芯地や肩パットと
して用いた時に高温で洗濯した後も形崩れしにくい。さ
らに、高温流体を濾過するフィルターの用途にも適して
いる。また、クッションの詰め綿として用いたとき、当
りが柔らかで、衝撃を吸収するため、座り心地がよい。
また、使用の際の時間経過や高温雰囲気下でもへたりが
少なく、一定以上の厚さを有するようにすれば、床づき
感がなく、家具用詰め綿、ベッドや自動車シート用のク
ッション材、敷布団として好適である。この高温雰囲気
下でのへたりや変形の少なさを利用し、自動車の床敷吸
振・防音材、成型天井の基材、トランクルーム内装用成
型材にも用いることができる。このほか、レーヨンやパ
ルプに対する接着強力の高さと風合のソフトさを生か
し、衛生材料、フロッピーディスクライナーとしても好
適である。さらに熱融着加工性が良好である。
本発明の不織布を構成するためのポリエステル系バイ
ンダー繊維は、ε−カプロラクトン単位の共重合割合を
40モル%以上かつ80モル%以下とすることで、エラスト
マー弾性を付与することができ、得られる不織布をクッ
ション材として使用する場合に好適となる。ε−カプロ
ラクトン単位の共重合割合が40モル%未満の場合は、得
られるポリエステルがエラストマー弾性を有しなくな
る。また、80モル%を超えると、融点が低くなりすぎ、
高温雰囲気でへたりやすくなるため、好ましくない。
そして、この場合には、主体となる繊維として、ポリ
エステル繊維を使用するのが好適である。
このポリエステルエラストマーのエラストマー特性
は、仮にそれ自体を延伸糸とした時の伸度が70〜1000%
で、かつ、50%伸長時の弾性回復率(元の長さにまで回
復する場合100%、全く戻らない場合0%)が80%以
上、あるいは200%伸長時の弾性回復率が70%以上であ
ることが好ましい。
このようなエラストマー弾性を有するバインダー繊維
を用いて不織布を形成する際には、この不織布は、その
クッション性を保持するうえで、厚さを5mm以上とする
のが特に好ましい。得られた不織布は、コシのあるポリ
エステル繊維が、伸縮性に富んだ熱分解しにくく熱溶着
加工しやすいポリエステルエラストマーによって点接合
されているため、風合が軟らかく、繰り返し圧縮しても
点接合した部分が伸縮するため接合部分が剥離しにく
い。従って不織布の形態が良好に保持され、へたりにく
い。
実施例の説明 以下、実施例によって本発明を詳しく説明するが、本
発明はこれらによって限定されるものではない。
下記の実施例に記述した諸物性の評価方法は、次のと
おりである。
(1)相対粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合物を溶媒と
し、試料濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。
(2)融点 パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を
使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
(3)繰り返し圧縮時の耐へたり性 不織布の厚さを測定した後、試験片(10cm×10cm)を
平行平面板にはさみ、毎分60回で15kgの荷重をかけて合
計5万回の繰り返し圧縮試験を行ない、その後の厚さを
測定した。次式の嵩高性保持率C(%)を算出し、へた
りにくさの尺度とした。Cの値が大きいほどへたりにく
いものである。
(4)高温雰囲気下の耐へたり性 不織布の厚さを測定した後、試験片(10cm×10cm)を
平行平面板にはさみ、当初の厚さの50%に圧縮固定して
温度70℃の恒温槽中に入れ、6時間放置した後取り出
し、平行平面板よりはずして常温中で30分間放置し、そ
の厚さを測定した。次式で高温雰囲気下の嵩高性保持率
Cp(%)を算出し、耐へたり性の尺度とした。
(5)風 合 10人の試験者による官能試験により、次の3段階で評
価した。
1:柔らかい 2:普 通 3:硬 い 実施例1 まず、本発明にもとづく不織布の実施例について説明
する。
エチレンテレフタレート単位/ブチレンテレフタレー
ト単位(モル比1/1)に対しε−カプロラクトン(ε−C
L)を20モル%配合して得たバインダー成分としての共
重合ポリエステルチップ(相対粘度1.34、融点144℃)
と、相対粘度1.38のポリエチレンテレフタレート(PE
T)のチップとを減圧乾燥した。その後、通常の複合溶
融紡糸装置を使用してこれらチップを溶融し、共重合ポ
リエステルを鞘部に配するとともに、PETを芯部に配
し、複合比(重量比)を1:1とし、紡糸温度を280℃、総
吐出量を313g/分として複合溶融紡糸した。紡出された
芯鞘構造の糸条を冷却し、その後引取速度1000m/分で引
き取って、未延伸繊維糸条を得た。得られた糸条を集束
し、10万デニールのトウにして、延伸倍率2.9、延伸温
度60℃で延伸した。次いで、これを120℃のヒートドラ
ムで熱処理し、押し込み式クリンパを使用して捲縮を付
与し、その後長さ51mmに切断して、単糸繊度4デニール
の芯鞘型複合ポリエステル系バインダー繊維を得た。
得られたバインダー繊維と、中空断面のPET繊維(強
度4.0g/d、伸度58%、繊度6デニール、切断長51mm、中
空率すなわち繊維断面における中空部分の割合27%)と
を、20:80の重量割合で混綿し、梳綿機に通し、そして
クロスラッパーで積層して、目付600g/m2のウエブとし
た。このウエブをバーブ付ニードルを有するニードルロ
ッカールームに通して、針密度240本/cm2にてニードリ
ングを行なった。さらにのウエブを20mmの厚さのスペー
サーを挟んだ金網どうしの間に入れ、厚さを規制しつ
つ、170℃の熱風循環ドライヤー中で5分間熱処理を行
なって、厚さ20mmの不織布を得た。この不織布は、バイ
ンダー成分が熱分解した様子はなく、白色で柔らかい風
合のものとなった。
実施例2 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、ポリブチレンテレフタ
レートに対しε−CLを20モル%配合して得た共重合ポリ
エステルチップ(相対粘度1.34、融点182℃)を用い
た。そして、ウエブの熱処理時の温度を170℃に代えて2
00℃とする以外は、実施例1と同様にして不織布を得
た。
実施例3 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、ポリエチレンテレフタ
レートに対しε−CLを28モル%配合して得た共重合ポリ
エステルチップ(相対粘度1.40、融点195℃)を用い
た。そして、ヒートドラム熱処理の温度を120℃に代え
て150℃とするとともにウエブの熱処理温度を170℃に代
えて210℃とする以外は、実施例1と同様にして不織布
を得た。熱処理温度が高温であったにもかかわらず、バ
インダー成分が熱分解した様子は認められなかった。
実施例4 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、ε−CLを38モル%配合
して得た共重合ポリエステルチップ(相対粘度1.36、融
点113℃)を用いた。そして、ヒートドラム熱処理の温
度を120℃に代えて85℃とするとともにウエブの熱処理
温度を170℃に代えて140℃とする以外は、実施例1と同
様にして不織布を得た。
実施例5 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、ε−CLを3モル%配合
して得た共重合ポリエステルチップ(相対粘度1.44、融
点171℃)を用いた。そして、ヒートドラム熱処理の温
度を120℃に代えて130℃とするとともにウエブの熱処理
温度を170℃に代えて190℃とする以外は、実施例1と同
様にして不織布を得た。
実施例6 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、ε−CLを1モル%配合
して得た共重合ポリエステルチップ(相対粘度1.45、融
点177℃)を用いた。そして、ヒートドラム熱処理の温
度を120℃に代えて135℃とするとともにウエブの熱処理
温度を170℃に代えて195℃とする以外は、実施例1と同
様にして不織布を得た。
比較例1 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、エチレンテレフタレー
ト単位/ブチレンテレフタレート単位(酸成分のモル比
6/4)を28モル%と、ε−CLを72モル%とを配合して得
たポリエステルチップ(相対粘度1.97、融点95℃)を用
いた。そして、延伸を行ない、その後、120℃のヒート
ドラムで熱処理することに代えて80℃のヒートドラムで
熱処理する条件を適用した。その結果、延伸ローラーへ
の巻き付きや繊維同志の密着がかなり認められたが、少
量のサンプルを得た。これをバインダー繊維として用
い、ウエブの熱処理温度を170℃に代えて120℃とした以
外は、実施例1と同様にして、不織布を得た。
比較例2 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、エチレンテレフタレー
ト単位/エチレンイソフタレート単位(酸成分のモル比
6/4)よりなるポリエステルチップ(相対粘度1.94、DSC
による融点は認められず、目視による軟化点110℃)を
用いた。そして、ヒートドラム熱処理は行わず、またウ
エブの熱処理温度を170℃に代えて150℃とする以外は、
実施例1と同様にして不織布を得た。
実施例1〜6および比較例1〜2の不織布の厚さ、密
度、風合、および耐へたり性の評価結果を表1に示す。
表1より明らかなごとく、実施例1〜4のいずれの不
織布も、風合、耐へたり性共に良好であった。実施例
5、6の不織布は、風合いは普通であったが耐へたり性
は良好であった。しかし、比較例1の不織布は、接着成
分としてのポリエステルの融点が低いため、高温での耐
へたり性が劣るものであった。また比較例2の不織布
も、高温での耐へたり性が劣るものであった。
比較例3 実施例1において用いたバインダー成分としての共重
合ポリエステルチップに代えて、ポリブチレンテレフタ
レート/分子量1500のポリテトラメチレングリコール
(重量比4/6)よりなるポリエステルチップ(相対粘度
1.37、融点181℃)を用いた。そして、ヒートドラム熱
処理の温度を120℃に代えて130℃とするとともにウエブ
の熱処理温度を170℃に代えて195℃とする以外は、実施
例1と同様にした。しかしながらバインダー成分の熱分
解が激しく、茶色に変色してボロボロの状態となり、不
織布とすることができなかった。
実施例7、8、9、10 得られる不織布の密度を変化させる目的で、実施例1
において熱処理の際に厚さを規制するスペーサーの厚み
を20mmとしたことに代えて、この厚みを8mm、35mm、69m
mとした(それぞれ実施例7、8、9)。また、実施例
1において熱処理前のウエブの目付を600g/m2としたこ
とに代えてこれを120g/m2とし、熱処理の際に厚さを規
制するスペーサーの厚みを20mmとしたことに代えて4mm
とした(実施例10)。これ以外は実施例1と同様にして
不織布を得た。
これら実施例7、8、9、10の不織布の厚さ、密度、
風合、および耐へたり性の評価結果を表2に示す。
表2より明らかなごとく、実施例7、8は、満足でき
る風合と耐へたり性をもつものであった。不織布の密度
が低い実施例9の不織布は、若干へたりやすいものであ
ったが満足できる風合をもつものであった。厚さが4mm
である実施例10の不織布は、クッション材に適用したと
きに若干に床づき感があったが、満足できる耐へたり性
をもつものであった。
実施例11 主体となる繊維としてナイロン6繊維(繊度1.5デニ
ール、切断長51mm)を用いるとともに、バインダー繊維
として実施例1で得られた繊維を用い、これらバインダ
ー繊維とナイロン6繊維とを20:80の重量割合で混綿し
た。これを梳綿機に通し、その後に目付45g/m2のウエブ
とし、150℃の加熱エンボスローラーに通して、エンボ
ス不織布を得た。これを衣料用芯地として用いると、風
合がソフトで、長期にわたって使用しても形崩れせず、
良好な性能が得られた。
実施例12 ハードセグメントとしてのエチレンテレフタレート単
位を40モル%と、ソフトセグメントとしてのε−CLを60
モル%とを配合して、バインダー成分としての共重合ポ
リエステルチップ(相対粘度1.84、融点184℃)を得
た。そして、このバインダー成分のポリエステルチップ
と、相対粘度1.38のPETのチップとを減圧乾燥した。そ
の後、通常の複合溶融紡糸装置を使用してこれらチップ
を溶融し、前記共重合ポリエステルを鞘部に配するとと
もに、PETを芯部に配し、複合比を重量比で1:1とし、紡
糸温度を280℃、総吐出量を313g/分として、複合溶融紡
糸した。紡出された芯鞘構造の糸条を冷却し、その後引
取速度1000m/分で引き取って、未延伸繊維糸条を得た。
得られた糸条を集束し、10万デニールのトウにして、延
伸倍率2.8、延伸温度60℃で延伸し、140℃のヒートドラ
ムで熱処理してから、押し込み式クリンパを使用して捲
縮を付与した。その後、長さ51mmに切断して、単糸繊維
4デニールの芯鞘型複合ポリエステル系バインダー繊維
を得た。
得られたバインダー繊維と中空断面のPET繊維(強度
4.0g/d、伸度58%、繊度6デニール、切断長51mm、中空
率27%)とを20:80の重量割合で混綿し、梳綿機に通し
た。その後、クロスラッパーで積層して目付600g/m2
ウエブとし、バーブ付ニードルを有するニードルロッカ
ールームに通して、針密度240本/cm2にてニードリング
を行なった。さらにこのウエブを20mmの厚さのスペーサ
ーを挟んだ一対の金網の間に入れ、その厚さを規制しつ
つ、200℃の熱風循環ドライヤー中で5分間熱処理を行
なって、厚さ20mmの不織布を得た。この不織布は、ポリ
エステルバインダー成分が熱分解した様子はなく、白色
で柔らかい風合のものとなった。
実施例13 実施例12において用いた共重合ポリエステルチップに
代えて、ハードセグメントとしてのブチレンテレフタレ
ート単位(PBT単位)を38モル%と、ソフトセグメント
としてのε−CLを62モル%とを配合して得た共重合ポリ
エステルチップ(相対粘度1.97、融点160℃)を用い
た。そして、ウエブの熱処理時の温度を200℃に代えて1
80℃とした。これ以外は実施例12と同様にして、不織布
を得た。
実施例14 実施例13において用いた共重合ポリエステルチップに
代えて、ハードセグメントとしてのPBT単位を29モル%
と、ソフトセグメントとしてのε−CLを71モル%とを配
合して得た共重合ポリエステルチップ(相対粘度2.07、
融点137℃)を用いた。また、ヒートドラム熱処理の温
度を140℃に代えて110℃とするとともに、ウエブの熱処
理温度を180℃に代えて150℃とした。これ以外は実施例
13と同様にして、不織布を得た。
実施例15 実施例13において用いたポリエステルエラストマーチ
ップに代えて、ハードセグメントとしてのPBT単位を47
モル%と、ソフトセグメントとしてのε−CLを53モル%
とを配合して得た共重合ポリエステルチップ(相対粘度
2.09、融点180℃)を用いた。また、ウエブの熱処理温
度を180℃に代えて200℃とした。これ以外は実施例13と
同様にして、不織布を得た。
実施例16 実施例12において用いた共重合ポリエステルチップに
代えて、ハードセグメントとしてのPBT単位を56モル%
と、ソフトセグメントとしてのε−CLを44モル%とを配
合して得た共重合ポリエステルチップ(相対粘度1.85、
融点204℃)を用いた。また、ウエブの熱処理温度を200
℃に代えて220℃とした。これ以外は実施例12と同様に
して、不織布を得た。熱処理温度が高温であったにもか
かわらず、ポリエステルバインダー成分が熱分解した様
子は認められなかった。
比較例4 実施例13において用いた共重合ポリエステルチップに
代えて、ハードセグメントとしてのPET/PBT(モル比6/
4)ポリエステルを28モル%と、ソフトセグメントとし
てのε−CLを72モル%とを配合して得られた共重合ポリ
エステルチップ(相対粘度1.97、融点95℃)を用いた。
また、延伸後に140℃のヒートドラムで熱処理すること
に代えて80℃のヒートドラムで熱処理するとともに、ウ
エブの熱処理温度を180℃に代えて120℃とした。これ以
外は実施例13と同様にして、不織布を得た。
実施例12〜16および比較例4の不織布の厚さ、密度、
風合、および耐へたり性の評価結果を表3に示す。
表3より明らかなごとく、実施例12〜16のいずれの不
織布も、風合、耐へたり性共に良好であった。しかし、
比較例4の不織布は、接着成分としてのポリエステルエ
ラストマーの融点が低いため、高温での耐へたり性が劣
るものであった。
実施例17、18、19、20 得られる不織布の密度を変化させる目的で、実施例12
において熱処理の際に厚さを規制するスペーサーの厚み
を20mmとしたことに代えて、その厚みを8mm、35mm、69m
mとした(それぞれ実施例17、18、19)。また、実施例1
2において熱処理前のウエブの目付を600g/m2としたこと
に代えてこれを120g/m2とし、熱処理の際に厚さを規制
するスペーサーの厚みを20mmとしたことに代えて4mmと
した(実施例20)。これ以外は実施例12と同様にして、
不織布を得た。
これら実施例17、18、19、20の不織布の長さ、密度、
風合、および耐へたり性の評価結果を表4に示す。
表4より明らかなごとく、実施例17、18は、満足でき
る風合と耐へたり性をもつものであった。不織布の密度
が低い実施例19の不織布は、若干へたりやすいものであ
ったが満足できる風合をもつものであった。厚さが4mm
である実施例20の不織布は、クッション材に適用したと
きに若干の床づき感があったが、満足できる耐へたり性
をもつものであった。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】融点が100℃以上のε−カプロラクトン共
    重合ポリエステル系繊維からなることを特徴とするバイ
    ンダー繊維。
  2. 【請求項2】繊維の表面の少なくとも一部分が当該共重
    合体からなることを特徴とする請求項1記載のバインダ
    ー繊維。
  3. 【請求項3】主体となる繊維がバインダー繊維によって
    点接合されており、前記バインダー繊維が、融点が100
    ℃以上のε−カプロラクトン共重合ポリエステル系バイ
    ンダー繊維であることを特徴とする不織布。
  4. 【請求項4】バインダー繊維の表面の少なくとも一部分
    が当該共重合体からなることを特徴とする請求項3記載
    の不織布。
  5. 【請求項5】主体となる繊維が、ポリエステル繊維、ナ
    イロン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レー
    ヨン繊維、ウール、木綿、麻、木材パルプのいずれかで
    あることを特徴とする請求項3または4記載の不織布。
  6. 【請求項6】密度が0.010g/cm3以上であることを特徴と
    する請求項3から5までのいずれか1項記載の不織布。
  7. 【請求項7】厚さが5mm以上であることを特徴とする請
    求項3から6までのいずれか1項記載の不織布。
  8. 【請求項8】バインダー繊維が、ε−カプロラクトンを
    3モル%以上かつ40モル%未満共重合したポリエステル
    系バインダー繊維であることを特徴とする請求項3から
    7までのいずれか1項記載の不織布。
  9. 【請求項9】バインダー繊維が、ε−カプロラクトンを
    40モル%以上かつ80モル%以下共重合したポリエステル
    系バインダー繊維であることを特徴とする請求項3から
    7までのいずれか1項記載の不織布。
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