JP4102314B2 - 合体式塗工用ロッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は塗工用ロッドに係り、特に、複数の分節ロッドが同心に一体的に連結されて所定長さとされる合体式塗工用ロッドに関するものである。
円柱形状の外周面に軸方向に対して交差するように多数の塗工用溝が設けられ、被塗工部材の表面近傍に略平行に配設されて軸心まわりに回転させられるとともに、その被塗工部材の表面に沿って相対移動させられることにより、その被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する塗工用ロッドが知られている。
図7は、上記塗工用ロッドの使用態様の一例を説明する図で、塗工用ロッド100により合成樹脂製のフィルムやシート、或いは紙などの被塗工部材102の表面に所定の塗工剤104を塗布する場合であり、略水平に配設された送りローラ106の上方に略平行に塗工用ロッド100が配設され、長手形状の被塗工部材102が送りローラ106によって図の右方向へ走行させられるとともに、その送り速度に応じて定められた一定の回転速度で塗工用ロッド100が矢印で示すように送り方向へ回転させられることにより、被塗工部材102の上面に供給された塗工剤104を定量送りして被塗工部材102の表面に塗布し、所定厚さの塗膜108を形成する。
一方、図8は、塗工用ロッド100の具体例で、(a) は軸心と直角方向から見た正面図、(b) は軸心と平行な断面の拡大図であり、外周部には1条のねじ山114が設けられており、そのねじ山114の間の塗工用溝(ねじ溝)116内に保持される塗工剤104の量によって、前記塗膜108の厚さが定められる。また、かかる塗工用ロッド100は一般に、ステンレス鋼にて構成されている基材118の表面に表面処理を施して硬質被膜120を設け、所定の耐摩耗性が得られるようになっている。硬質被膜120としては、例えば特許文献1に記載されているように、硬質クロムメッキやダイヤモンド被膜など種々のものが提案されており、ダイモンド被膜としてダイヤモンド状カーボン(以下、DLC(Diamond Like Carbon)という)被膜も用いられる。窒化などで硬質層を設けるだけでも良い。
特開2000−354808号公報
しかしながら、上記のように硬質被膜や硬質層を設けるために表面処理を施す場合、処理炉の関係でロッド長さが制約され、例えば2mを超える長尺の塗工用ロッドに対しては、硬質被膜や硬質層を設けることができなかったり、表面処理方法が制限されたりするという問題があった。大型の処理炉を特別に用意すれば可能であるが、製造コストが高くなって現実的でない。また、6mを越えると搬送トラックも制約され、運搬コストも大幅に高くなる。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、長尺の塗工用ロッドにおいても、従来の処理炉を用いて適切な表面処理を安価に行うことができるとともに、運搬コストも低減できるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、円柱形状の外周面に軸方向に対して交差するように多数の塗工用溝が設けられるとともに表面処理が施された所定長さの塗工用ロッドであって、(a) それぞれ前記所定長さより短いとともに、その所定長さとなるようにねじ結合により軸方向に一体的に仮連結された状態で、外周面に前記塗工用溝が設けられ、その後分離されて前記表面処理が施された複数の分節ロッドを有し、(b) その複数の分節ロッドが、前記ねじ結合により前記仮連結時と同じ連結状態に連結され、前記所定長さとされて使用されることを特徴とする。
第2発明は、第1発明の合体式塗工用ロッドにおいて、(a) 前記表面処理は、DLC(ダイヤモンド状カーボン)、TiN、TiCN、TiAlN、およびCrNの何れかの硬質被膜を設ける処理で、(b) 前記分節ロッドの長さは2m以下であることを特徴とする。
第3発明は、円柱形状の外周面に軸方向に対して交差するように多数の塗工用溝が設けられるとともに表面処理が施された所定長さの塗工用ロッドの製造方法であって、(a) 前記所定長さより短い複数のロッド素材を、目的とする長さが得られるようにねじ結合により軸方向に一体的に仮連結する素材連結工程と、(b) その仮連結された前記複数のロッド素材の外周面に前記塗工用溝を加工する溝加工工程と、(c) その塗工用溝が設けられた前記複数のロッド素材を分離する分離工程と、(d) その分離された前記複数のロッド素材の外周面に表面処理を施して分節ロッドとする表面処理工程と、を有し、(e) その複数の分節ロッドが前記ねじ結合により前記仮連結された時と同じ連結状態に連結されて前記塗工用ロッドとして使用されることを特徴とする。
第4発明は、第3発明の合体式塗工用ロッドの製造方法において、前記素材連結工程で複数のロッド素材を仮連結した後、前記溝加工工程に先立って、その複数のロッド素材の連結部分を含めて外周面を円筒研磨或いは研削する外周面修正工程を有することを特徴とする。
このような合体式塗工用ロッドおよびその製造方法においては、複数の分節ロッドを連結して使用されるため、長尺の塗工用ロッドであっても分節ロッドそのものの長さは短くて済み、従来の処理炉を用いて適切な表面処理を安価に行うことが可能で、硬質被膜などにより優れた耐久性が得られるようになるとともに、分節ロッドに分離した状態で運搬できるため、トラック等による運搬コストも低減される。また、仮連結した状態で塗工用溝が設けられるとともに、その仮連結時と同じ連結状態に連結して使用されるため、複数の分節ロッドの連結部分を含めて塗工用溝が高い寸法精度で設けられ、連結部分の塗工むらが防止されて優れた塗工品質が得られる。特に、ねじ結合によって複数の分節ロッドが連結されるため、実際に塗工用ロッドとして使用する際に、塗工用溝を加工した際の仮連結時と軸心まわりの位相を容易に一致させることができるなど、同じ連結状態となるように容易に高い精度で連結することが可能で、連結部分の位相ずれによる塗工品質の低下が防止される。
第4発明では、素材連結工程で複数のロッド素材を仮連結した後、溝加工工程で塗工用溝を加工する前に、その複数のロッド素材の連結部分を含めて外周面を円筒研磨或いは研削するため、連結部分に出来る段差や芯ずれが取り除かれ、溝加工工程で設けられる塗工用溝が連結部分を含む全長に亘って高い寸法精度で形成され、塗工品質が一層向上する。
本発明の合体式塗工用ロッドは、例えば被塗工部材の表面近傍に略平行に配設されて軸心まわりに回転させられるとともに、その被塗工部材の表面に沿って相対移動させられることにより、その被塗工部材の表面に所定の塗工剤を塗布する場合に用いられ、被塗工部材としての合成樹脂製のフィルムやシート、紙などの表面に所定の塗工剤を薄く塗布する場合に好適に用いられるが、このようなフィルムやシート、紙以外の被塗工部材に塗工剤を塗布する場合に用いることも可能である。塗工剤としては、例えば所定の流動性、粘性を有する液状物質が好適に用いられるが、粉状物などを塗工剤として塗布することもできる。
多数の塗工用溝は、軸方向に多数設けられていることを意味するもので、軸方向に一定の間隔で設けられるが、1周毎に分離していても、或いは所定のねじれ角で捩じれたねじ溝であっても良い。その場合のねじ溝は、一繋がりの1条ねじでも2以上の複数条のねじ溝でも良い。このような塗工用溝は、例えば転造加工によって設けられるが、切削加工など他の加工方法を採用することもできる。塗工用溝やその間の凸部の断面形状は適宜定められる。
複数の分節ロッドの材質は、通常の塗工用ロッドと同様にSUS304等のステンレス鋼が好適に用いられるが、他の金属材料を使用することもできる。各分節ロッドには、両端部の軸心上に連結用おねじおよび連結用ねじ穴が設けられて、互いに同心に連結されるように構成されるが、連結状態において両端部に位置する一対の分節ロッドについては、それぞれ連結用おねじおよび連結用ねじ穴の何れか一方が不要であるため、最初から設けなかったり後から切断除去したりしても良い。ユーザーの要求等により、塗工装置によって回転駆動するための回転係合部を設けることもできる。
分節ロッド(ロッド素材)の長さは2m以下が望ましいが、従来の処理炉によって処理できる長さ寸法は、例えばDLC被膜の場合は2m程度まで可能であるものの、TiN、TiCN、TiAlN、CrN被膜の場合には一般に1.5m以下であるなど、表面処理の種類によってそれぞれ異なるため、その処理炉の大きさに応じて適宜定められれば良い。複数の分節ロッドの長さ寸法は一定であっても良いが、互いに相違していても差し支えない。表面処理としては、上記DLCやTiN、TiCN、TiAlN、CrNの硬質被膜を設ける処理が好適に用いられるが、他の硬質被膜や窒化等により硬質層を設けるものなど、種々の表面処理を採用できる。
窒化処理によりステンレス鋼等のロッド素材の表層部に硬質の窒化層を設けるとともに、その窒化層の上に更にDLC被膜をコーティングするようにしても良いなど種々の態様が可能である。上記窒化層の深さは10〜80μmの範囲内が適当で、窒化層の表面のビッカース硬さHVは1000〜1350の範囲内が適当で、DLC被膜の膜厚は1〜5μmの範囲内が適当で、DLC被膜の表面のビッカース硬さHVは2000〜4000の範囲内が適当である。このような表面処理を施した塗工用ロッドによれば、ロッド素材の表層部に窒化処理によって硬質の窒化層が設けられるため、浸炭などに比べて基材の変形や歪みが少ないとともに、その窒化層が設けられたロッド素材の表面に直接DLC被膜がコーティングされているため、ロッド素材と同程度の高い寸法精度が得られて塗工剤の塗布性能が安定し、塗膜厚さのばらつきに起因する塗工むらが抑制されて塗工品質が向上する。また、窒化処理が施されて硬化させられているため高い密着性が得られ、優れた耐摩耗性と相まってDLC被膜の耐久性が向上するとともに、硬質クロムメッキに比較して電解液の処理などが不要で、環境的にも有利である。また、DLC被膜は、化学的に安定しているためpHが3程度以下の強酸や、pHが11程度以上の強アルカリの塗工剤を塗布する場合にも使用できるとともに、DLC被膜は表面が滑らかで摩擦係数μが0.05〜0.1程度と小さいため、液晶関連などの粘性が高い塗工剤を使用する場合でも、目詰まりや摩耗が抑制されて優れた塗工品質や耐久性が得られる。
上記窒化処理方法としては、イオン窒化法やガス窒化法が好適に用いられるが、塩浴窒化法や粉末窒化法などの他の処理方法を採用することもできる。また、DLC被膜のコーティング法としては、プラズマCVD法が好適に用いられ、その場合は共通の反応炉を用いてガス窒化法により窒化処理を行うことができるが、イオンビーム蒸着法やCO2 レーザ誘起放電法などの他の成膜法でDLC被膜をコーティングすることもできる。
ねじ結合のための連結用おねじおよび連結用ねじ穴は、隣接する分節ロッド(ロッド素材)の端面間に隙間が生じることなく、互いに密着して連結できるように設けられる。このようにねじで連結した場合、連結部分に段差ができたり芯ずれが生じたりすることが避けられないため、仮連結状態において、塗工用溝を加工する前に外周面を研磨或いは研削して段差や芯ずれを取り除く外周面修正工程を設けることが望ましい。
複数の分節ロッドは、仮連結時と同じ連結状態に連結されて使用されるが、同じ連結状態とは、連結部分で塗工用溝が滑らかに繋がる状態で、仮連結時と同じ順序で連結され、且つ各連結部分における軸心まわりの位相がそれぞれ仮連結時と同じであることを意味する。分節ロッドの長さを変えるなどして、連結順序が容易に分かるようにすることもできる。
連結用おねじおよび連結用ねじ穴のねじの方向は、塗工用ロッドとして使用する際の回転方向に対して締り勝手となるように定めることが望ましい。また、実際に塗工用ロッドとして使用する際には、連結用おねじと連結用ねじ穴との螺合によって連結するだけでも良いが、必要に応じて接着剤などで一体的に固定することも可能である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である合体式塗工用ロッド10を説明する図で、(a) は軸心と直角な方向から見た正面図、(b) はその合体式塗工用ロッド10を構成している複数の分節ロッド12の一つを示す一部を切り欠いた正面図、(c) はその分節ロッド12の外周部に設けられた塗工用溝14を示す部分拡大図、(d) は分節ロッド12の軸心と平行な断面の外周部分の拡大図である。
分節ロッド12は、円柱形状の外周部に螺旋状の1条のねじ山16が設けられることにより、そのねじ山16の間の凹所が塗工用溝14として機能する本体18と、その本体部18の軸方向の両端部に軸心上に設けられた連結用おねじ20および連結用ねじ穴22とを一体に備えており、複数の分節ロッド12がそれ等の連結用おねじ20および連結用ねじ穴22を介して互いに同心に軸方向に一体的に連結されるようになっている。連結用ねじ穴22の深さ寸法は連結用おねじ20よりも長く、連結用おねじ20は、その全長に亘って完全に連結用ねじ穴22内に螺合され、軸方向に互いに隣接する分節ロッド12は、本体18の端面が互いに密着する状態で一体的に連結される。本体18の端面は、軸心に対して直角となるように設けられている。また、各分節ロッド12は、SUS304ステンレス鋼から成る棒状のロッド素材24を基材として構成されており、そのロッド素材24の表層部には硬質の窒化層26が設けられているとともに、その窒化層26の表面には硬質被膜としてDLC被膜28がコーティングされている。
上記複数の分節ロッド12の長さ寸法Lは略同じで、何れも約1000mmであるとともに、直径Dは約14.0mmであり、この分節ロッド12が5本連結されることによって長さが約5mの合体式塗工用ロッド10が構成されている。合体式塗工用ロッド10は、例えば前記図7において塗工用ロッド100の代わりに用いられ、被塗工部材102の表面近傍に略平行に配設されて軸心まわりに回転させられるとともに、被塗工部材102の表面に沿って相対移動させられることにより、その被塗工部材102の表面に所定の塗工剤104を所定の厚さで略均一に塗布する。ねじ山16は、先端(外周面)が軸心と平行な円筒面を成しており、ねじ山16の間の塗工用溝(ねじ溝)14は、底部が円弧状の略三角形状を成しており、その塗工用溝14内に塗工剤104が保持されて被塗工部材102の表面に塗布される。
前記連結用おねじ20および連結用ねじ穴22のねじの方向は、図7に矢印で示す回転方向へ合体式塗工用ロッド10が回転駆動される際に、締り勝手となる向きに定められているとともに、接着剤を用いて一体的に固着されるように螺合されており、複数の分節ロッド12は互いに分離不能に一体的に連結されている。また、合体式塗工用ロッド10の両端部に位置している一対の分節ロッド12は、それぞれ連結用おねじ20および連結用ねじ穴22の何れか一方が不要で、図1(a) の右端の分節ロッド12は連結用おねじ20が無く、左端の分節ロッド12は連結用ねじ穴22が無いとともに、必要に応じて塗工装置によって回転駆動するための回転係合部が設けられる。
図2は、このような合体式塗工用ロッド10の製造工程を説明する図で、ステップS1では、ステンレス鋼(SUS304)の丸棒材を切断するとともに、前記連結用おねじ20および連結用ねじ穴22を加工することにより、図3に示すロッド素材24を3本製造するとともに、連結用おねじ20が無いロッド素材24、連結用ねじ穴22が無いロッド素材24をそれぞれ1本ずつ製造する。これ等のロッド素材24の径寸法は、ロッド素材24の真円度や寸法の誤差、ステップS3の外周研磨の研磨代などを考慮して、目的とする分節ロッド12の径寸法より大きめとされ、例えば14.2mm程度であり、連結用おねじ20および連結用ねじ穴22は切削加工によって形成される。このステップS1は素材準備工程である。
ステップS2では、連結用おねじ20と連結用ねじ穴22とを螺合することにより、前記5本のロッド素材24を互いに同心に軸方向に一体的に仮連結する。仮連結とは、その後分離することを意味するだけで、連結そのものは、合体式塗工用ロッド10として使用する場合と同様に、軸方向に互いに隣接するロッド素材24の本体部分30の端面が互いに密着するように一体的に連結される。このステップS2は素材連結工程である。
ステップS3では、仮連結された5本のロッド素材24の連結部分に生じる段差や芯ずれを取り除くため、センタレス外周研磨により外周面を所定寸法だけ削り取る。これにより、ロッド素材24の外径は、目的とする分節ロッド12の直径Dより僅かに小さい寸法、例えば13.9mm程度とされる。このステップS3は外周面修正工程である。
ステップS4では、例えば図4に示す転造加工装置40を用いて、仮連結された複数のロッド素材24の外周面に転造加工が施されることにより、前記ねじ山16が転造加工され、目的とする分節ロッド12の直径D(≒14.0mm)と略同じ外径寸法になるとともに、そのねじ山16に沿って塗工用溝14が螺旋状に設けられる。転造加工装置40は、一対の転造ダイス42、44で円柱形状のロッド素材24を両側から挟圧して転造加工を行うもので、ロッド素材24は支持部材48によって支持されるようになっている。図4の(a) は、ロッド素材24の軸心方向から見た正面図で、(b) は(a) の右側面図である。転造ダイス42、44は、何れも塗工用溝14の形状に対応する断面形状の成形凸部50が、ねじ山16と略同じピッチで軸方向に離間して外周面に複数平行、すなわちリードが0の状態で設けられたもので、図4(b) に示すように成形凸部50がロッド素材24の軸心に対して直角な方向からねじ山16のリード角と同じ角度θだけ傾斜した姿勢で配設される。一対の転造ダイス42、44は、図4(b) の状態において互いに反対方向へ角度θで傾斜させられており、その状態で図4(a) に矢印で示す方向へ回転駆動されることにより、仮連結された複数のロッド素材24の外周面には傾斜角度θと同じリード角でねじ山16が転造加工されるとともに、軸心まわりに回転しつつ図4(b) の左方向へ一体的に送り出される。なお、一対の転造ダイス42、44の何れか一方は、成形凸部50が無い円筒面のものを用いるようにしても良い。このステップS4は溝加工工程である。
ステップS5では、仮連結された状態で上記ねじ山16や塗工用溝14が転造加工された5本のロッド素材24を、連結用おねじ20と連結用ねじ穴22との螺合を緩める方向に相対回転させることにより、互いに分離する。これ等のロッド素材24は、その後表面処理が施されて分節ロッド12 とされた後、再び仮連結時と同じ連結状態に連結されて使用されるため、仮連結状態における連結順序や連結時の位相を記録したり目印を付けたりしておくことが望ましい。このステップS5は分離工程である。
ステップS6では、分離されたロッド素材24にそれぞれ表面処理を行って前記窒化層26およびDLC被膜28を設け、分節ロッド12とする。窒化層26は、例えばロッド素材24を400〜600℃程度のNH3 ガス雰囲気中に数時間〜十時間程度保持するガス窒化法によって設けられ、本実施例では窒化層26の深さが10〜80μmの範囲内で例えば15〜30μm程度、表面のビッカース硬さHVが1000〜1350の範囲内で例えば1050〜1150程度となるように、処理条件が定められている。また、DLC被膜28は、例えばプラズマCVD法を用いて設けられ、本実施例ではDLC被膜28の膜厚が1〜5μmの範囲内で例えば3〜5μm程度、表面のビッカース硬さHVが2000〜4000の範囲内で例えば2100〜2200程度となるように、処理条件が定められている。プラズマCVD法を用いてDLC被膜28をコーティングする場合は、その反応炉を用いて上記窒化層26の窒化処理(ガス窒化)を行うことにより、ロッド素材24を反応炉内に保持したまま窒化処理とDLC被膜28のコーティング処理とを連続して行うことができる。図5は、このようにして得られた窒化層26およびDLC被膜28の厚さや表面硬さを調べた結果の一例で、窒化層26の深さは16μmで、表面硬さ(HV0.3)は1100、DLC被膜28の表面硬さ(HV0.025)は2160で、膜厚は4.0μmであった。このステップS6は表面処理工程で、これにより5本の分節ロッド12から成る1セットの合体式塗工用ロッド10が製造される。
ステップS7は、上記1セットの合体式塗工用ロッド10をユーザー或いは塗工場所まで運搬する運搬工程で、分節ロッド12そのものは何れもL≒1000mmであるため、普通の乗用車などを用いて簡単に運搬できる。また、ステップS8は、1セット5本の分節ロッド12を、前記ステップS2〜S4の仮連結時と同じ連結状態、すなわち連結順序や位相が同じになるように連結する組立工程で、ここでは接着剤を用いて連結用おねじ20と連結用ねじ穴22とを螺合することにより、分離不能に一体的に固定する。これにより、複数の分節ロッド12のねじ山16や塗工用溝14が、それ等を形成した仮連結時と同じように滑らかに繋げられるとともに、長さ約5mの長尺の合体式塗工用ロッド10が組み立てられる。
このように、本実施例の合体式塗工用ロッド10は、複数の分節ロッド12を連結して使用されるため、合体式塗工用ロッド10が長尺あっても分節ロッド12そのものの長さは短くて済み、従来の処理炉を用いて適切な表面処理を安価に行うことが可能で、本実施例ではDLC被膜28により優れた耐久性が得られるようになるとともに、分節ロッド12に分離した状態で運搬できるため、トラック等による運搬コストも低減される。
また、仮連結した状態で塗工用溝14が設けられるとともに、その仮連結時と同じ連結状態に連結して使用されるため、複数の分節ロッド12の連結部分を含めて塗工用溝14が高い寸法精度で設けられ、連結部分の塗工むらが防止されて優れた塗工品質が得られる。
特に、連結用おねじ20と連結用ねじ穴22とを螺合することによって複数の分節ロッド12が連結されるため、実際に合体式塗工用ロッド10を組み立てて使用する際に、塗工用溝14を加工した際の仮連結時と軸心まわりの位相を容易に一致させることができるなど、同じ連結状態となるように容易に高い精度で連結することが可能で、連結部分の位相ずれによる塗工品質の低下が防止される。
また、本実施例ではステップS2で複数のロッド素材24を仮連結した後、ステップS4で塗工用溝14を転造加工する前にステップS3を実行し、センタレス外周研磨により連結部分に出来た段差や芯ずれを取り除くようにしているため、ステップS4で設けられる塗工用溝14が連結部分を含む全長に亘って高い寸法精度で形成され、塗工品質が一層向上する。
また、本実施例ではステンレス鋼(SUS304)にて構成されているロッド素材24の表面に窒化処理により硬質の窒化層26が設けられているため、浸炭などに比べてロッド素材24の変形や歪みが少ないとともに、その窒化層26が設けられたロッド素材24の表面にDLC被膜28が直接コーティングされているため、例えば硬質クロムメッキの上にDLC被膜28を設ける場合に比較して、ロッド素材24と同程度の高い寸法精度が得られて塗工剤の塗布性能が安定し、塗膜厚さのばらつきに起因する塗工むらが抑制されて塗工品質が向上する。
また、ステンレス鋼から成るロッド素材24に窒化処理が施されて硬化させられているため高い密着性が得られ、優れた耐摩耗性と相まってDLC被膜28の耐久性が向上するとともに、硬質クロムメッキに比較して電解液の処理などが不要で、環境的にも有利である。
また、DLC被膜28は、化学的に安定しているためpHが3程度以下の強酸や、pHが11程度以上の強アルカリの塗工剤を塗布する場合にも使用できる。
また、DLC被膜28は表面が滑らかで、摩擦係数μが0.05〜0.1程度と小さいため、液晶関連などの粘性が高い塗工剤を使用する場合でも、目詰まりや摩耗が抑制されて優れた塗工品質や耐久性が得られる。
因みに、前記実施例と同じ窒化層26およびDLC被膜28を設けた本実施例品と、ステンレス鋼SUS304の生材、およびその生材に硬質クロムメッキを施したメッキ品とを用いて、pH2の強酸塗布剤、およびpH7程度の中性塗布剤を用いて耐久性試験を行ったところ、図6に示すように強酸塗布剤についてはステンレス生材に比較して3〜4倍程度の耐久性が得られ、中性塗布剤についてはクロムメッキ品に比較して10倍以上の耐久性が得られた。耐久性は、塗布剤の塗膜厚さが所定範囲内か否かによって判断した。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
本発明の一実施例である合体式塗工用ロッドを説明する図である。 図1の合体式塗工用ロッドを製造する手順を説明する工程図である。 図2のS1のロッド素材製造工程で製造されるロッド素材を示す一部を切り欠いた正面図である。 図2のS4の転造加工で好適に用いられる転造加工装置を説明する概略図で、(a) は正面図、(b) は(a) の右側面図である。 本実施例品の膜厚、表面硬さ等の諸元の一例を示す図である。 本実施例品と、ステンレス生材およびクロムメッキ品とを用いて行った耐久性試験の結果の一例を示す図である。 塗工用ロッドを用いて塗工剤を塗布する装置の一例を説明する概略図である。 従来の塗工用ロッドの一例を示す図で、(a) は軸心と直角な方向から見た正面図、(b) は軸心と平行な断面の拡大図である。
符号の説明
10:合体式塗工用ロッド 12:分節ロッド 14:塗工用溝 20:連結用おねじ 22:連結用ねじ穴 24:ロッド素材 28:DLC被膜(硬質被膜)
ステップS2:素材連結工程
ステップS3:外周面修正工程
ステップS4:溝加工工程
ステップS5:分離工程
ステップS6:表面処理工程

Claims (4)

  1. 円柱形状の外周面に軸方向に対して交差するように多数の塗工用溝が設けられるとともに表面処理が施された所定長さの塗工用ロッドであって、
    それぞれ前記所定長さより短いとともに、該所定長さとなるようにねじ結合により軸方向に一体的に仮連結された状態で、外周面に前記塗工用溝が設けられ、その後分離されて前記表面処理が施された複数の分節ロッドを有し、
    該複数の分節ロッドが、前記ねじ結合により前記仮連結時と同じ連結状態に連結され、前記所定長さとされて使用される
    ことを特徴とする合体式塗工用ロッド。
  2. 前記表面処理は、ダイヤモンド状カーボン、TiN、TiCN、TiAlN、およびCrNの何れかの硬質被膜を設ける処理で、
    前記分節ロッドの長さは2m以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の合体式塗工用ロッド。
  3. 円柱形状の外周面に軸方向に対して交差するように多数の塗工用溝が設けられるとともに表面処理が施された所定長さの塗工用ロッドの製造方法であって、
    前記所定長さより短い複数のロッド素材を、目的とする長さが得られるようにねじ結合により軸方向に一体的に仮連結する素材連結工程と、
    該仮連結された前記複数のロッド素材の外周面に前記塗工用溝を加工する溝加工工程と、
    該塗工用溝が設けられた前記複数のロッド素材を分離する分離工程と、
    該分離された前記複数のロッド素材の外周面に表面処理を施して分節ロッドとする表面処理工程と、
    を有し、該複数の分節ロッドが前記ねじ結合により前記仮連結された時と同じ連結状態に連結されて前記塗工用ロッドとして使用される
    ことを特徴とする合体式塗工用ロッドの製造方法。
  4. 前記素材連結工程で複数のロッド素材を仮連結した後、前記溝加工工程に先立って、該複数のロッド素材の連結部分を含めて外周面を円筒研磨或いは研削する外周面修正工程を有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の合体式塗工用ロッドの製造方法。
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