JP4102084B2 - シンチレータパネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用、工業用のX線撮影等に用いられるシンチレータパネルとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療、工業用のX線撮影では、X線感光フィルムが用いられてきたが、利便性や撮影結果の保存性の面から放射線検出器を用いた放射線イメージングシステムが普及してきている。このような放射線イメージングシステムにおいては、放射線検出器により2次元の放射線による画素データを電気信号として取得し、この信号を処理装置により処理してモニタ上に表示している。
【0003】
代表的な放射線検出器としては、アルミニウム、ガラス、溶融石英等の基板上にシンチレータを形成してシンチレータパネルを形成し、これと撮像素子とを貼り合わせた構造を有する放射線検出器が存在する。この種の放射線検出器においては、基板側から入射する放射線をシンチレータで光に変換して撮像素子で検出している(特公平7−21560号公報参照)。
【0004】
さらに、シンチレータパネルの光出力を増大させるために、図7に示されるように、シンチレータ13の光出力面と反対の面(ここでは、基板10側)に金属反射膜11を設け、この金属反射膜11がシンチレータ13と接触することでシンチレータ13成分による変質を防止するために、金属反射膜11を保護膜12で覆った構造のシンチレータパネル1xがある(特許第3126715号)。そして、シンチレータ13の防湿のため防湿膜14でシンチレータ13が被覆されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種のシンチレータパネルを大画面化した場合でも出力画像の明るさを確保するためには、基板による放射線吸収を抑制する必要があり、基板を薄型に維持する必要がある。しかし、基板を薄く維持したまま大画面化しようとすると、機械的強度の向上が困難であり、シンチレータパネルを保持、固定する場合にパネルへの負担が大きくなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、機械的強度を増して大画面化を容易にしたシンチレータパネル、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係るシンチレータパネルは、(1)放射線透過性の基板と、(2)この基板の一方の表面上に形成された金属反射膜と、(3)この金属反射膜を覆う第1の保護有機膜と、(4)この第1の保護有機膜の前記金属反射膜被覆部上に蒸着によって多数の針状結晶として形成されたアルカリハライド系シンチレータと、(5)このシンチレータ側壁から少なくとも基板の側壁部分までを覆う枠状の第2の保護有機膜と、(6)シンチレータと第2の保護有機膜の表面をともに覆う防湿有機膜と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
あるいは、本発明に係るシンチレータパネルは、(1)〜(4)と(7)シンチレータから少なくとも基板の側壁までを覆う防湿有機膜と、(8)シンチレータ側壁から少なくとも基板の側壁部分までを防湿有機膜の上から覆う枠状の第2の保護有機膜と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
前者のシンチレータパネルは、以下の本発明に係るシンチレータパネルの製造方法により製造することができる。この製造方法は、(a)放射線透過性の基板の一方の表面上に金属反射膜を形成する工程と、(b)金属反射膜上に第1の保護有機膜を形成する工程と、(c)第1の保護有機膜の金属反射膜被覆部上にアルカリハライド系シンチレータ成分を蒸着することで多数の針状結晶として成長させてシンチレータを形成する工程と、(d)シンチレータの側壁から少なくとも基板の側壁までを覆う第2の保護有機膜を枠状に形成する工程と、(e)シンチレータと第2の保護有機膜表面をともに覆う防湿有機膜を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
後者のシンチレータパネルは、以下の本発明に係る別のシンチレータパネルの製造方法により製造することができる。この製造方法は、(a)〜(c)の後、(f)シンチレータから少なくとも基板の側壁までを覆う防湿有機膜を形成する工程と、(g)シンチレータ側壁から少なくとも基板の側壁部分までを防湿有機膜の上から覆う第2の保護有機膜を枠状に形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、シンチレータパネル(基板およびシンチレータ)の側壁部分を第2の保護有機膜で被覆することで、シンチレータパネルの機械的強度を向上させることができる。こうして強化された第2の保護有機膜による被覆部分を利用することで、強度の弱いシンチレータ部分に触れることなく、シンチレータパネルを保持、固定することができるので、シンチレータの損傷や、放射線入射面、光出力面への汚れの付着を防止し、シンチレータパネルへの機械的負担を抑制することができる。また、シンチレータ形成部分の基板を厚くすることなく、第2の保護有機膜による被覆部分を厚くすることでその機械的強度をさらに高めることができるため、機械的強度を向上させつつ、基板の薄型化と大画面化を両立させることができる。
【0012】
この第2の保護有機膜は、基板のシンチレータ形成面と反対の面まで達していることが好ましい。シンチレータ形成面と反対の面まで保護有機膜で覆うことで、基板の周縁部を含めて補強することができる。
【0013】
基板のシンチレータ形成領域の外側で、かつ、第2の保護有機膜で被覆されている部分に複数の貫通孔が形成されていてもよい。この貫通孔を利用してシンチレータパネルの保持、固定を容易に行うことができる。
【0014】
また、第2の保護有機膜は、少なくともシンチレータが発する光に対して不透明であってもよい。シンチレータが発する光に対して不透明とすることで、シンチレータパネル側面からの外乱光の入射を抑制し、高いS/N比を得ることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。なお、各図面は説明の理解を容易にするため、誇張ないし省略している部分がありその寸法比は必ずしも実際のそれとは一致しない。
【0016】
図1(a)は、本発明に係るシンチレータパネルの第1の実施形態を示す断面構成図である。このシンチレータパネル1は、放射線透過性の基板10(ガラス、アモルファスカーボンその他の炭素を主成分とする材料からなる)の一方の表面上に、金属反射膜11が形成されている。この金属反射膜11はAl、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh中の材料からなる。この金属反射膜11上から基板10を包み込むような形で第1の保護有機膜12が形成されている。この第1の保護有機膜12は、例えば、ポリパラキシリレンからなる。金属反射膜11と第1の保護有機膜12の積層された部分の表面上には、基板10を透過して入射した放射線を可視光へと変換するシンチレータ13が形成されている。このシンチレータ13には、例えば、TlドープのCsIが用いられている。CsIは多数の針状結晶が林立した構造を有している。このシンチレータ13の頂面の周縁部から基板10の裏面の縁まで覆う形で額縁状の第2の保護有機膜15が形成されている。この保護有機膜15は、例えば、ポリイミドからなる。この第2の保護有機膜は、シンチレータ13の側壁に密着するとともに、第1の保護有機膜10上に密着して、この第1の保護有機膜11の上からシンチレータ13の周囲の基板10の表面およびその側壁を覆っている。シンチレータパネル1は、ポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14で全体を実質的に覆われている。
【0017】
次に、このシンチレータパネル1の製造工程について図1、図2を参照して説明する。まず、矩形又は円形の基板10(厚さ1mm)を用意し(図2(a)参照)、表面に真空蒸着法により金属反射膜11を150nmの厚さで形成する(図2(b)参照)。
【0018】
次に、金属反射膜11上にCVD法によりポリパラキシリレンからなる保護有機膜12を形成する。すなわち、金属反射膜11が蒸着された基板10をCVD装置に入れ、防湿有機膜12を10μmの厚さで基板10の表面全体に成膜する。これにより金属反射膜11を覆うととともに、基板10の基板反射膜11の周囲から側壁、さらには裏面までの全体を実質的に覆うポリパラキシリレン製の保護有機膜12が形成される(図2(c)参照)。この有機膜の製造方法についてはWO99/66351号国際公開公報に詳述されている。
【0019】
次に、金属反射膜11上の保護有機膜12表面の所定の領域にTlをドープしたCsIの針状結晶を多数、蒸着法によって成長(堆積)させてシンチレータ13を250μmの厚さで形成する(図2(d))。
【0020】
続いて、シンチレータ13の頂面の周縁部からその露出している壁面とその周囲に露出している第1の保護有機膜12上の基板12の裏面の周縁部に至る部分にポリイミド製のテープを巻き付けて張り付けることで、第2の保護有機膜15を形成する。このテープとしては、ポリイミド樹脂をシート状に成形したテープを用いればよく、デュポン社製のカプトンテープのように接着剤が塗布されているタイプのものであってもよい。
【0021】
シンチレータ13を形成しているCsIは、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止するためにポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14(厚さ10μm)でシンチレータ13を覆い、図1(a)に示されるシンチレータパネル1を完成させる。この防湿有機膜14は、保護有機膜12と同じ製法で形成することが可能である。
【0022】
このシンチレータパネル1は、図1に示されるように放射線入射側と反対の側にシンチレータ13を向けて配置され、シンチレータ13側に撮像素子、テレビカメラ等を配置して使用される。もちろん、図示していない光学系を利用してシンチレータ13の出力画像を撮像素子、テレビカメラ等に導いてもよい。
【0023】
放射線は矢印A方向からシンチレータパネル1に入射し、耐湿保護膜14、第1の保護有機膜12、基板10、金属反射膜11、第1の保護有機膜12の順で透過して、シンチレータ13に到達し、ここでシンチレータ13に吸収されて、可視光が発せられる。発せられた可視光のうち基板10側へ向かった光は透明な保護有機膜12を通過した後に金属反射膜11で反射されて、シンチレータ13側へと戻される。この結果、シンチレータ13から発せられた光の大部分が耐湿保護膜14を通過して矢印B方向へ射出される。図示していない撮像素子、テレビカメラでこの光画像を撮像することにより、放射線画像に相当する画像信号を得ることができる。
【0024】
本実施形態のシンチレータパネル1の側壁は、第2の保護有機膜15によって補強されているので、この部分の機械的強度を向上させることができる。この側壁部分は、放射線およびシンチレータ13によって変換された可視光の光路上には位置しないので、シンチレータ13の放射線特性、光学特性に影響を与えることなく、必要な強度が得られるよう厚みを増すことが可能である。反対に、基板10部分は薄型で維持したまま大面積とすることができるので、大画面化と高解像度、S/N比とを両立させることができる。
【0025】
なお、シンチレータ13を活性化させるために、シンチレータ13形成後にシンチレータ13を加熱するアニール処理を行う場合がある。本発明に係るシンチレータパネル1においては、そのアニール処理は、第2の保護有機膜15の形成工程(図2(e)参照)の前あるいは後に行うことが可能である。
【0026】
第2の保護有機膜15の形成前にアニール処理を行う場合、アニール処理時の熱によって第1の保護有機膜12の露出部分にピンホール等の損傷が発生している可能性があるが、この損傷部分を塞ぐことで、製造後の使用時等に金属反射膜11へとシンチレータ成分や水分が浸透するのを予防する効果がある。
【0027】
第2の保護有機膜15の形成後にアニール処理を行う場合、第2の保護有機膜がアニール処理時に第1の保護有機膜11へと過剰な熱が付与されるのを抑制する耐熱保護膜として機能し、第1の保護有機膜11の損傷を抑制することができる。この場合には、第2の保護有機膜15は、第1の保護有機膜に比較して耐熱性が要求されるが、ポリイミド樹脂は耐熱性が良好であり、好適である。
【0028】
また、前述したように、第2の保護有機膜15は、シンチレータ13の出力光の光路上には位置しない。そこで、第2の保護有機膜15としては、シンチレータ13が発する光に対して不透明(透過率が好ましくは、50%以下、より好ましくは10%以下)であることが好ましい。このように第2の保護有機膜15を不透明にすると、外乱光が第2の保護有機膜15を通過してシンチレータ13に入射し、屈折、反射により、ノイズとして出力画像内への侵入することを抑制できる。この結果、S/N比の良好な出力画像が得られる。
【0029】
第2の保護有機膜15は必ずしも基板10の裏面の周縁部からシンチレータ13の頂面の周縁部までを覆っている必要はなく、図1(b)に示されるように、基板10とシンチレータ13の側壁およびその間の第1の保護有機膜12上を覆っていれば十分である。このようにすると、光出力面をより大きくすることが可能となる。
【0030】
図3は、本発明に係るシンチレータパネルの第2の実施形態を示す断面図である。このシンチレータパネル1aでは、保護有機膜12aとしてポリイミドからなる膜を用いており、基板10の裏面までは形成されていない点が第1の実施形態と相違する。
【0031】
このポリイミドからなる保護有機膜12aは、図2(b)に示される金属反射膜11の製造工程の後で、金属反射膜11上から基板10の側壁にかけて、ポリイミド樹脂を一定の厚さ(10μm)で塗布し、硬化させることで製造することができる。
【0032】
このように第1の保護有機膜12aを耐熱性のあるポリイミド樹脂で形成すると、第1の実施形態におけるポリパラキシリレンからなる第1の保護有機膜12のように基板10全体を包み込むように形成することは難しいが、シンチレータ13を活性化させるアニール処理工程において、保護有機膜12aの損傷が抑制される。
【0033】
図4は、本発明に係るシンチレータパネルの第3の実施形態を示す断面図である。この実施形態のシンチレータパネル1bは、第2の保護有機膜15が耐湿保護膜14の外側に形成されている点が、第2の実施形態のシンチレータパネル1と異なる。すなわち、このシンチレータパネル1bでは、耐湿保護膜14は、シンチレータ13の頂面から側壁と、その周囲の第1の保護有機膜12表面および基板10の側壁から裏面までの全体を実質的に覆うように形成されている。そして、額縁状の第2の保護有機膜15は、シンチレータパネル1bの側壁、つまり、シンチレータ13の側壁から基板10の側壁までを耐湿保護膜14の上から覆う構造となっている。
【0034】
ここで、第2の保護有機膜15は、少なくとも基板10およびシンチレータ13の側壁の縁まで達していればよいが、基板10の裏面あるいはシンチレータ13の頂面まで達していてもよい。
【0035】
次に、このシンチレータパネル1bの製造方法を図4、図5を参照して説明する。金属反射膜11を製造するまで(図5(a)、(b))は、図2(a)、(b)に示されるシンチレータパネル1の製造工程と同一である。この後で、金属反射膜11上およびその周囲の基板10表面上にポリイミド樹脂を塗布して硬化させることにより、金属反射膜11を覆う平面状の第1の保護有機膜12を形成する(図5(c)参照)。
【0036】
次に、図2(d)の工程と同様に、金属反射膜11上の第1の保護有機膜12の表面の所定の領域にTlをドープしたCsIの針状結晶を多数、蒸着法によって成長(堆積)させてシンチレータ13を形成する(図5(d)参照)。その後ポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14でシンチレータ13を覆う(図5(e)参照)。この後で、防湿有機膜14の上から基板10とシンチレータ13の側壁およびその中間部分全体にポリイミド樹脂を塗布して硬化させることにより、枠状の第2の保護有機膜15を形成して図4に示されるシンチレータパネル1bを完成させる。第1の実施形態と同様に、樹脂を塗布するのではなく、テープ状、フィルム状に成形した樹脂を張り付けることで第2の保護有機膜15を形成してもよい。
【0037】
本実施形態では、耐湿保護膜14も含めて保護有機膜15で覆っているため、側壁部分でシンチレータパネル1bを保持した場合に、耐湿保護膜14を傷つけるおそれがなく、耐湿保護膜14の損傷によるはがれを抑制することができる。
【0038】
続いて、本発明に係るシンチレータパネルの保持、固定の一例について説明する。図6〜図9は、本発明に係るシンチレータパネルの第4の実施形態を示す図であり、図6がこのシンチレータパネル1cをシンチレータ13側から見た正面図であり、図7が基板10側から見た背面図であり、図8、図9は、それぞれ図6、7中のXIII−XIII線、IX−IX線の断面図である。
【0039】
このシンチレータパネル1cは、基本的な構造は図4に示される第3の実施形態のシンチレータパネル1bと同じであり、第2の保護有機膜15cの基板の表面、および裏面部分の幅を比較的広くとっている点が相違する。
【0040】
シンチレータパネル1cにおいては、金属反射膜11、第1の保護有機膜12、シンチレータ13の積層構造は基板10の中央部分に形成され、シンチレータ13の周囲に余裕がもたせてある。基板10の4隅(この周囲の余裕領域内)には、基板10を貫通する貫通孔16が設けられている。これらの貫通孔16は、シンチレータ13の形成前にあらかじめ基板10に設けられたものである。
【0041】
この貫通孔16にボルト、ねじ等を差し込んで固定することで、シンチレータパネル1cを固定することができ、固定の際に、第2の保護有機膜15cが下の基板10や耐湿保護膜14を保護しているので、これらの損傷を抑制できる。耐湿保護膜14がむき出しのままであると、ねじ等を差し込んだり、締めつけたりした場合に耐湿保護膜14が損傷して、そこから内部への水分の侵入を許すことになるが、第2の保護有機膜15cにより耐湿保護膜14が保護されていることにより、ねじ等を差し込んだり、締めつけたりした場合にも耐湿保護膜が損傷しがたくなっている。図8では、シンチレータ13が突出している状態で描かれているが、保護機能を強化するため、第2の保護有機膜15cをシンチレータ13より厚く形成してもよい。
【0042】
第2の保護有機膜15cは、シンチレータパネル1cの裏面全体を覆うように形成してもよいが、より明るい出力画像を得るためには、放射線画像の入力部分には、第2の保護有機膜15cを形成しないことが好ましい。
【0043】
もちろん、第1、第2の実施形態のシンチレータパネル1、1aにおいても同様に貫通孔を有する構成をとることが可能である。
【0044】
以上の説明では、耐湿保護膜として、ポリパラキシリレン膜を用いたが、このほかにポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等のキシリレン系の有機膜を用いることが可能である。これらのキシリレン系有機膜によれば、シンチレータの林立している針状結晶の隙間に入り込んだ耐湿有機膜を形成することができ、また、均一で薄い膜を形成することができるので、シンチレータパネルの出力解像度を劣化させることがなく、明るい出力画像を得ることができる。
【0045】
また、第1の保護有機膜としては、耐湿保護膜の場合と同様に、キシリレン系の有機膜やその他の有機樹脂を用いることができる。この種の有機膜を用いると、金属反射膜上に容易かつ確実に均一な膜を形成することができる。
【0046】
また、シンチレータしては、CsI(Tl)に代えてCsI(Na)、NaI(Tl)、LiI(Eu)、KI(Tl)等のアルカリハライド系のシンチレータが放射線の光変換効率が高く、好適である。一方で、この種のアルカリハライド系のシンチレータ成分は金属反射膜を腐食させる可能性があるため、金属反射膜上に保護膜を配置する必要がある。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シンチレータパネルの側壁部分を枠状に覆う第2の保護有機膜によって強化しているので、シンチレータパネルの側壁部分の機械的強度が増し、保持、固定の際の基板への機械的な負担が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシンチレータパネルの第1の実施形態を示す断面構成図である。
【図2】図1のシンチレータパネルの製造工程を示す図である
【図3】本発明に係るシンチレータパネルの第2の実施形態を示す断面構成図である。
【図4】本発明に係るシンチレータパネルの第3の実施形態を示す断面構成図である。
【図5】図4のシンチレータパネルの製造工程を説明する図である。
【図6】本発明に係るシンチレータパネルの第3の実施形態を示す正面図である。
【図7】図6のシンチレータパネルの背面図である。
【図8】図6のXIII−XIII線断面図である。
【図9】図6のIX−IX線断面図である。
【図10】従来のシンチレータパネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…シンチレータパネル、2…蒸着ホルダー、3…カバープレート、10…基板、11…金属反射膜、12…第1の保護有機膜、13…シンチレータ、14…防湿膜、15…第2の保護有機膜、16…貫通孔。
Claims (7)
- 放射線透過性の基板と、
前記基板の一方の表面上に形成された金属反射膜と、
前記金属反射膜を覆う第1の保護有機膜と、
前記第1の保護有機膜の前記金属反射膜被覆部上に蒸着によって多数の針状結晶として形成されたアルカリハライド系シンチレータと、
前記シンチレータ側壁から少なくとも前記基板の側壁部分までを覆う枠状の第2の保護有機膜と、
前記シンチレータと前記第2の保護有機膜の表面をともに覆う防湿有機膜と、
を備えているシンチレータパネル。 - 放射線透過性の基板と、
前記基板の一方の表面上に形成された金属反射膜と、
前記金属反射膜を覆う第1の保護有機膜と、
前記第1の保護有機膜の前記金属反射膜被覆部上に蒸着によって多数の針状結晶として形成されたアルカリハライド系シンチレータと、
前記シンチレータから少なくとも前記基板の側壁までを覆う防湿有機膜と、
前記シンチレータ側壁から少なくとも前記基板の側壁部分までを前記防湿有機膜の上から覆う枠状の第2の保護有機膜と、
を備えているシンチレータパネル。 - 前記第2の保護有機膜は、前記基板のシンチレータ形成面と反対の面まで達している請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
- 前記基板のシンチレータ形成領域の外側で、かつ、前記第2の保護有機膜で被覆されている部分に複数の貫通孔が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のシンチレータパネル。
- 前記第2の保護有機膜は、少なくとも前記シンチレータが発する光に対して不透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシンチレータパネル。
- 放射線透過性の基板の一方の表面上に金属反射膜を形成する工程と、
前記金属反射膜上に第1の保護有機膜を形成する工程と、
前記第1の保護有機膜の前記金属反射膜被覆部上にアルカリハライド系シンチレータ成分を蒸着することで多数の針状結晶として成長させてシンチレータを形成する工程と、
前記シンチレータの側壁から少なくとも前記基板の側壁までを覆う第2の保護有機膜を枠状に形成する工程と、
前記シンチレータと前記第2の保護有機膜表面をともに覆う防湿有機膜を形成する工程と、
を備えるシンチレータパネルの製造方法。 - 放射線透過性の基板の一方の表面上に金属反射膜を形成する工程と、
前記金属反射膜上に第1の保護有機膜を形成する工程と、
前記第1の保護有機膜の前記金属反射膜被覆部上にアルカリハライド系シンチレータ成分を蒸着することで多数の針状結晶として成長させてシンチレータを形成する工程と、
前記シンチレータから少なくとも前記基板の側壁までを覆う防湿有機膜を形成する工程と、
前記シンチレータ側壁から少なくとも前記基板の側壁部分までを前記防湿有機膜の上から覆う第2の保護有機膜を枠状に形成する工程と、
を備えるシンチレータパネルの製造方法。
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