JP4057316B2 - シンチレータパネルおよびその製造方法 - Google Patents

シンチレータパネルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用、工業用のX線撮影等に用いられるシンチレータパネルとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療、工業用のX線撮影では、X線感光フィルムが用いられてきたが、利便性や撮影結果の保存性の面から放射線検出器を用いた放射線イメージングシステムが普及してきている。このような放射線イメージングシステムにおいては、放射線検出器により2次元の放射線による画素データを電気信号として取得し、この信号を処理装置により処理してモニタ上に表示している。
【0003】
代表的な放射線検出器としては、アルミニウム、ガラス、溶融石英等の基板上にシンチレータを形成してシンチレータパネルを形成し、これと撮像素子とを貼り合わせた構造を有する放射線検出器が存在する。この種の放射線検出器においては、基板側から入射する放射線をシンチレータで光に変換して撮像素子で検出している(特公平7−21560号公報参照)。
【0004】
さらに、シンチレータパネルの光出力を増大させるために、図10に示されるように、シンチレータ13の光出力面と反対の面(ここでは、基板10側)に金属反射膜11を設け、この金属反射膜11がシンチレータ13と接触することでシンチレータ13成分による変質を防止するために、金属反射膜11を保護膜12で覆った構造のシンチレータパネル1xがある(特許第3126715号)。そして、シンチレータ13の防湿のため防湿膜14でシンチレータ13が被覆されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、この構造で大画面のシンチレータパネル1xを作成した際に、まれに金属反射膜11の劣化が発生することから、この劣化を効果的に抑制する手法を検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、金属反射膜のシンチレータ成分による劣化をさらに効果的に抑制することが可能なシンチレータパネルおよびその製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは金属反射膜の劣化が発生したシンチレータパネルを詳細に調べた結果、以下の知見を得た。シンチレータ13を蒸着によって形成する際に、保護膜12で覆われている金属反射膜11部分上にのみシンチレータ13が形成されるようにマスク等を用いたとしても、マスクを回り込むなどしてシンチレータ成分が保護膜12で覆われていない基板10の側壁等へと付着することがある。付着したシンチレータ成分は、保護膜12と基板10との間へ浸透して内部の金属反射膜11へと達し、金属反射膜11を腐食させてしまう。
【0007】
そこで、このような蒸着時に付着しうるシンチレータ成分の金属反射膜への到達を確実に抑制するため、本発明に係るシンチレータパネルは、放射線透過性の基板と、この基板の一方の表面上に形成された金属反射膜と、この金属反射膜を覆うとともに、基板の少なくとも側壁まで覆っている保護有機膜と、金属反射膜上の保護有機膜上に蒸着によって多数の針状結晶として形成されたアルカリハライド系のシンチレータと、このシンチレータを覆う防湿有機膜と、を備えており、保護有機膜は、シンチレータ蒸着時におけるシンチレータ成分の基板および金属反射膜への付着を防止し、防湿有機膜は、保護有機膜上に付着したシンチレータ成分を含めて覆っていることを特徴とする。
【0008】
一方、本発明に係るシンチレータパネルの製造方法は、放射線透過性の基板の一方の表面上に金属反射膜を形成する工程と、この金属反射膜を含めて基板の少なくとも一方の表面からその側壁までを覆う保護有機膜を形成する工程と、保護有機膜により、金属反射膜および基板へのシンチレータ成分の付着を防止しつつ、実質的に金属反射膜上の保護有機膜表面の所定部分のみにアルカリハライド系のシンチレータ成分を蒸着することで多数の針状結晶として成長させてシンチレータを形成する工程と、シンチレータおよび所定部分外に付着したシンチレータ成分を含めて覆う防湿有機膜を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このように、金属反射膜を覆う保護有機膜が基板の金属反射膜形成面から基板側壁までを覆っていることで、保護有機膜が基板により確実に密着し、基板と保護有機膜との間にシンチレータ成分が浸透しうる隙間の形成を確実に抑制できる。そして、シンチレータパネルを大型化するとともに、有効画像面積を大型化して、金属反射膜が基板の一方の表面のほぼ全面に形成されているような場合でも保護有機膜が側壁で基板に密着することで、保護有機膜の周縁部からのはがれを確実に防止できる。有機膜を用いることで基板表面から側壁にかけて均一な膜の形成が容易である。蒸着時にマスク等を回り込むシンチレータ成分も基板の裏面(シンチレータ形成面とは反対の面)まで達することはなく、付着するとしても保護有機膜上にとどまる。そして、防湿有機膜により、シンチレータおよび保護有機膜上に付着したシンチレータ成分を被覆することで保護有機膜上に付着したシンチレータ成分が他へ移動することがない。このため、金属反射膜へのシンチレータ成分の浸透を確実に防止できる。
【0010】
この保護有機膜は、基板の他方の表面(裏面)までを実質的に覆っていることが好ましい。このようにすると、保護有機膜のはがれを防止することができるとともに、シンチレータ成分や水分の保護有機膜と基板との隙間への浸透をさらに確実に防止できる。
【0011】
また、保護有機膜は、気相成長により形成される有機膜であることが好ましい。気相成長を用いて有機膜を形成することで、金属反射膜上から基板の側壁に達する均一な膜を容易かつ安定して製造することができる。
【0012】
あるいは、保護有機膜は、金属反射膜側の第1の保護有機膜と、基板側の第2の保護有機膜からなり、第1の保護有機膜の周縁部が第2の保護有機膜と金属反射膜の周縁部かその外側で積層されていてもよい。
【0013】
このような保護有機膜は、(1)金属反射膜上を覆うとともに、基板のその周囲に露出している表面まで少なくとも覆う第1の保護有機膜を形成してから、この第1の保護有機膜の周縁部から基板の側壁までを覆う枠状の第2の保護有機膜を形成するか、(2)基板の側壁から金属反射膜の周縁部までを覆う枠状の第2の保護有機膜を形成してから、金属反射膜上を覆い、金属反射膜の周縁部で第2の保護有機膜と積層される第1の保護有機膜を形成する、ことで形成することができる。
【0014】
このように基板の表面側で金属反射膜を主に覆う第1の保護有機膜と、主に基板の側壁部を覆う第2の保護有機膜を設け、金属反射膜の周縁部またはその外側でこれらの保護有機膜を積層することで塗布等によって有機膜を形成する場合に、金属反射膜から基板側壁までの遮蔽性を確実なものとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。なお、各図面は説明の理解を容易にするため、誇張ないし省略している部分がありその寸法比は必ずしも実際のそれとは一致しない。
【0016】
図1は、本発明に係るシンチレータパネルの第1の実施形態を示す断面構成図である。このシンチレータパネル1は、放射線透過性の基板10(ガラス、アモルファスカーボンその他の炭素を主成分とする材料からなる)の一方の表面上に、金属反射膜11が形成されている。この金属反射膜11はAl、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh中の材料からなる。この金属反射膜11上から基板10を包み込むような形で保護有機膜12が形成されている。この保護有機膜12は、例えば、ポリパラキシリレンからなる。金属反射膜11と保護有機膜12の積層された部分の表面上には、基板10を透過して入射した放射線を可視光へと変換するシンチレータ13が形成されている。この、シンチレータ13には、例えば、TlドープのCsIが用いられている。CsIは多数の針状結晶が林立した構造を有している。このシンチレータ13は、基板10と共にポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14で覆われている。
【0017】
次に、このシンチレータパネル1の製造工程について図1〜図3を参照して説明する。まず、矩形又は円形の基板10(厚さ1mm)を用意し(図2(a)参照)、表面に真空蒸着法により金属反射膜11を150nmの厚さで形成する(図2(b)参照)。
【0018】
次に、金属反射膜11上にCVD法によりポリパラキシリレンからなる保護有機膜12を形成する。すなわち、金属反射膜11が蒸着された基板10をCVD装置に入れ、防湿有機膜12を10μmの厚さで基板10の表面全体に成膜する。これにより金属反射膜11を覆うととともに、基板10の基板反射膜11の周囲から側壁、さらには裏面までの全体を実質的に覆うポリパラキシリレン製の保護有機膜12が形成される(図2(c)参照)。この有機膜の製造方法についてはWO99/66351号国際公開公報に詳述されている。
【0019】
次に、金属反射膜11上の保護有機膜12表面の所定の領域にTlをドープしたCsIの針状結晶を多数、蒸着法によって成長(堆積)させてシンチレータ13を250μmの厚さで形成する(図2(d)、図3参照)。この蒸着に際しては、保護有機膜12で覆われた基板10を蒸着ホルダー2のキャビティ部20に載置し、蒸着ホルダー2に設けられた開口21により蒸着室4側にシンチレータ13を形成したい部分(上記所定の領域)のみを露出させることで、シンチレータ13を実質的に所定の領域に選択的に形成することができる。開口21を通過したシンチレータ成分、つまり、CsI成分の一部が保護有機膜12とキャビティ部20床面との隙間を通過して基板10の側壁上の保護有機膜12に付着することが考えられるが、基板10の裏面側の保護有機膜12上まで達することはほとんどない。基板10の裏面側にカバープレート3を配置して、基板10の裏面を覆うと、この裏面への付着は完全に予防できるのでカバープレート3を配置するとより好ましい。
【0020】
このシンチレータ13を形成しているCsIは、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止するためにさらにポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14(厚さ10μm)でシンチレータ13を覆い、図1に示されるシンチレータパネル1を完成させる。この防湿有機膜14は、保護有機膜12と同じ製法で形成することが可能である。
【0021】
本実施形態のシンチレータパネル1では、金属反射膜11を覆う保護有機膜12が金属反射膜11の表面のみならず、基板10の金属反射膜11の周囲からその側壁部分、さらには裏面までを覆っているため、たとえ、開口21を通過したシンチレータ成分が保護有機膜12上に付着した場合でも、このシンチレータ成分が保護有機膜12と基板10の間に浸透して金属反射膜11へと到達するのを確実に抑制することができる。このため、金属反射膜11を劣化を抑制して、その耐久性を向上させることが可能である。さらに、保護有機膜12のはがれを確実に防止できる。
【0022】
このシンチレータパネル1は、図1に示されるように放射線入射側と反対の側にシンチレータ13を向けて配置され、シンチレータ13側に撮像素子、テレビカメラ等を配置して使用される。放射線は矢印A方向からシンチレータパネル1に入射し、耐湿保護膜14、保護有機膜12、基板10、金属反射膜11、保護有機膜12の順で透過して、シンチレータ13に到達し、ここでシンチレータ13に吸収されて、可視光が発せられる。発せられた可視光のうち基板10側へ向かった光は透明な保護有機膜12を通過した後に金属反射膜11で反射されて、シンチレータ13側へと戻される。この結果、シンチレータ13から発せられた光の大部分が耐湿保護膜14を通過して矢印B方向へ射出される。図示していない撮像素子、テレビカメラでこの光画像を撮像することにより、放射線画像に相当する画像信号を得ることができる。
【0023】
この保護有機膜12は、裏面全体まで覆っている必要はなく、図4に示される第2の実施形態の保護有機膜12aのように側壁部分を覆い、裏面側の縁まで達していれば足りる。この場合、シンチレータ13の蒸着時に露出している基板10の裏面部分にシンチレータ成分が付着したとしても、保護有機膜12aが基板10の側壁に密着しているため、保護有機膜12aと基板10との間を浸透することは難しく、また、シンチレータ成分は、その後の工程で耐湿有機膜14によって覆われて封入されるため、その後は移動することはないため、金属反射膜11の劣化を抑制できる。
【0024】
図5(a)(b)は、本発明に係るシンチレータパネルの第3の実施形態とその変形例をそれぞれ示す断面図である。これらの実施形態では、保護有機膜12b、12b’としてポリイミドからなる膜を用いている点が第1、第2の実施形態と相違する。
【0025】
このポリイミドからなる保護有機膜12b、12b’は、図2(b)に示される金属反射膜11の製造工程の後で、金属反射膜11上から基板10の側壁にかけて、ポリイミド樹脂を一定の厚さ(10μm)で塗布し、硬化させることで製造することができる。
【0026】
ポリイミド樹脂により保護有機膜を形成する場合も、図5(a)に示されるように、基板10の側壁の裏面との縁まで達して保護有機膜12bを形成する必要があり、図5(b)に示されるように保護有機膜12b’を裏面にかかる形で形成することがより好ましい。
【0027】
図6は、本発明に係るシンチレータパネルの第4の実施形態を示す断面図である。この実施形態も第3の実施形態と同様に、ポリイミド製の保護有機膜12cを用いているが、保護有機膜12cが基板10の側壁を主に覆う額縁(枠)状の第2の保護有機膜121と、金属反射膜11を主に覆う略平面状の第1の保護有機膜120の二つの部分からなることが相違する。
【0028】
ここで、第2の保護有機膜121は、金属反射膜11の周縁部から基板10の側壁にかけて形成されており、図6(a)に示されるように、基板10の裏面まで達していると好ましいが、図6(b)に示されるように、基板10の裏面の縁まで達していればよい。
【0029】
次に、このシンチレータパネル1cの製造方法を図2、図6、図7を参照して説明する。金属反射膜11を製造するまでは、図2(a)、(b)に示されるシンチレータパネル1の製造工程と同一である。この後で、基板10の側壁およびその近傍の基板表面に金属反射膜11の周縁部にかかる形でポリイミド樹脂を塗布して硬化させることにより、枠状の第2の保護有機膜121を形成する(図7(a)参照)。樹脂を塗布するのではなく、テープ状、フィルム状に成形した樹脂を張り付けることで第2の保護有機膜121を形成してもよい。
【0030】
次に、金属反射膜11上およびその周囲の第2の保護有機膜121上にポリイミド樹脂を塗布して硬化させることにより、金属反射膜11を覆う平面状の第1の保護有機膜120を形成する(図7(b)参照)。その後に、図2(d)の工程と同様に、金属反射膜11上の保護有機膜12c(実際には、第1の保護有機膜120)の表面の所定の領域にTlをドープしたCsIの針状結晶を多数、蒸着法によって成長(堆積)させてシンチレータ13を形成し(図7(c)参照)、ポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14でシンチレータ13を覆うことで、図6(a)に示されるシンチレータパネル1cを完成させる。
【0031】
このように保護有機膜12cを二段階で形成することで、側壁部と金属反射膜上で形成する樹脂の性質または製法を異ならせて、それぞれが好適な性能を有するよう組み合わせることが可能となる。また、塗布等によって形成する場合には、一体化して形成するよりも形成が容易でありつ、遮蔽性を確実なものとすることができる。
【0032】
図8は、本発明に係るシンチレータパネルの第5の実施形態を示す断面図である。この実施形態は、第4の実施形態と、第1の保護有機膜122と第2の保護有機膜123の積層部の順序を異ならせたものである。すなわち、この実施形態では、第2の保護有機膜123が第1の保護有機膜122の周縁部を覆っている。
【0033】
ここで、第2の保護有機膜123は、図8(a)に示されるように、基板10の裏面の縁まで達していればよいが、図8(b)に示されるように、基板10の裏面まで達しているとより好ましい。一方、第1の保護有機膜122は、図8(c)に示されるように基板10の側壁にまで達していてもよい。また、第2の保護有機膜123は、図8(d)に示されるように金属反射膜11の周縁部まで達していてもよい。
【0034】
次に、このシンチレータパネル1dの製造方法を図2、図8、図9を参照して説明する。金属反射膜11を製造するまでは、図2(a)、(b)に示されるシンチレータパネル1の製造工程と同一である。この後で、まず、金属反射膜11上およびその周囲の基板10表面上にポリイミド樹脂を塗布して硬化させることにより、金属反射膜11を覆う平面状の第1の保護有機膜122を形成する(図9(a)参照)。
【0035】
次に、基板10の側壁およびその近傍の基板表面に第1の保護有機膜122の周縁部にかかる形でポリイミド樹脂を塗布して硬化させることにより、枠状の第2の保護有機膜123を形成する(図9(b)参照)。樹脂を塗布するのではなく、テープ状、フィルム状に成形した樹脂を張り付けることで第2の保護有機膜123を形成してもよい。
【0036】
次に、図2(d)の工程と同様に、金属反射膜11上の保護有機膜12d(実際には、第1の保護有機膜122)の表面の所定の領域にTlをドープしたCsIの針状結晶を多数、蒸着法によって成長(堆積)させてシンチレータ13を形成し(図9(c)参照)、ポリパラキシリレンからなる防湿有機膜14でシンチレータ13を覆うことで、図8(a)に示されるシンチレータパネル1dを完成させる。
【0037】
この実施形態でも、保護有機膜12dを二段階で形成することで、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0038】
以上の説明では、耐湿保護膜として、ポリパラキシリレン膜を用いたが、このほかにポリモノクロロパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレン、ポリテトラクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等のキシリレン系の有機膜を用いることが可能である。これらのキシリレン系有機膜によれば、シンチレータの林立している針状結晶の隙間に入り込んだ耐湿有機膜を形成することができ、また、均一で薄い膜を形成することができるので、シンチレータパネルの出力解像度を劣化させることがなく、明るい出力画像を得ることができる。
【0039】
また、保護有機膜としては、耐湿保護膜の場合と同様に、キシリレン系の有機膜やその他の有機樹脂を用いることができる。この種の有機膜を用いると、金属反射膜11上から基板10の側壁にかけて容易かつ確実に均一な膜を形成することができる。もちろん、複数の工程によって膜を形成してもよい。
【0040】
また、シンチレータ13としては、CsI(Tl)に代えてCsI(Na)、NaI(Tl)、LiI(Eu)、KI(Tl)等のアルカリハライド系のシンチレータが放射線の光変換効率が高く、好適である。一方で、この種のアルカリハライド系のシンチレータ成分は金属反射膜11を腐食させる可能性があるため、本発明におけるような保護膜の配置が重要となる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、金属反射膜を覆い、さらに基板の側壁を覆って少なくとも裏面の縁にまで達している保護有機膜を設けることで、シンチレータの蒸着形成時にシンチレータ成分が直接、基板の側壁や金属反射膜の周囲に付着することを防止する。この後で耐湿保護膜14でシンチレータと、シンチレータ成分が付着しうる部分を覆うことで、たとえシンチレータ成分が耐湿保護膜上や基板の裏面に付着したとしても付着成分が耐湿保護膜に封入されるため、基板と保護有機膜との間を浸透して、金属反射膜へ到達するのを確実に予防できる。これにより金属反射膜の劣化を抑制して、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシンチレータパネルの第1の実施形態を示す断面構成図である。
【図2】図1のシンチレータパネルの製造工程を示す図である
【図3】図2の製造工程のうちシンチレータの蒸着工程を詳細に説明する図である。
【図4】本発明に係るシンチレータパネルの第2の実施形態を示す断面構成図である。
【図5】本発明に係るシンチレータパネルの第3の実施形態およびその変形例を示す断面構成図である。
【図6】本発明に係るシンチレータパネルの第4の実施形態およびその変形例を示す断面構成図である。
【図7】図6(a)に示されるシンチレータパネルの製造工程を説明する図である。
【図8】本発明に係るシンチレータパネルの第5の実施形態およびその変形例を示す断面構成図である。
【図9】図8(a)に示されるシンチレータパネルの製造工程を説明する図である。
【図10】従来のシンチレータパネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…シンチレータパネル、2…蒸着ホルダー、3…カバープレート、10…基板、11…金属反射膜、12…保護膜、13…シンチレータ、14…防湿膜、121、123…第1の保護有機膜、122、124…第2の保護有機膜。

Claims (8)

  1. 放射線透過性の基板と、
    前記基板の一方の表面上に形成された金属反射膜と、
    前記金属反射膜を覆うとともに、前記基板の少なくとも側壁まで覆っている保護有機膜と、
    前記金属反射膜上の前記保護有機膜上に蒸着によって多数の針状結晶として形成されたアルカリハライド系のシンチレータと、
    前記シンチレータを覆う防湿有機膜と、を備えており、
    前記保護有機膜は、前記シンチレータ蒸着時におけるシンチレータ成分の前記基板および前記金属反射膜への付着を防止し、前記防湿有機膜は、前記保護有機膜上に付着したシンチレータ成分を含めて覆っていることを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記保護有機膜は、前記基板の他方の表面までを実質的に覆っていることを特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
  3. 前記保護有機膜は、気相成長により形成される有機膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
  4. 前記保護有機膜は、前記金属反射膜側の第1の保護有機膜と、前記基板側の第2の保護有機膜からなり、前記第1の保護有機膜の周縁部が前記第2の保護有機膜と前記金属反射膜の周縁部かその外側で積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
  5. 放射線透過性の基板の一方の表面上に金属反射膜を形成する工程と、
    前記金属反射膜を含めて前記基板の少なくとも一方の表面からその側壁までを覆う保護有機膜を形成する工程と、
    前記保護有機膜により、前記金属反射膜および前記基板へのシンチレータ成分の付着を防止しつつ、実質的に前記金属反射膜上の前記保護有機膜表面の所定部分のみにアルカリハライド系のシンチレータ成分を蒸着することで多数の針状結晶として成長させてシンチレータを形成する工程と、
    前記シンチレータおよび前記所定部分外に付着したシンチレータ成分を含めて覆う防湿有機膜を形成する工程と、
    を備えるシンチレータパネルの製造方法。
  6. 前記保護有機膜を形成する工程は、気相成長を用いて形成を行うことを特徴とする請求項5記載のシンチレータパネルの製造方法。
  7. 前記保護有機膜を形成する工程は、
    前記金属反射膜上を覆うとともに、前記基板のその周囲に露出している表面まで少なくとも覆う第1の保護有機膜を形成する工程と、
    前記第1の保護有機膜の周縁部から前記基板の側壁までを覆う枠状の第2の保護有機膜を形成する工程と、
    からなることを特徴とする請求項5記載のシンチレータパネルの製造方法。
  8. 前記保護有機膜を形成する工程は、
    前記基板の側壁から前記金属反射膜の周縁部までを覆う枠状の第2の保護有機膜を形成する工程と、
    前記金属反射膜上を覆い、前記金属反射膜の周縁部で前記第2の保護有機膜と積層される第1の保護有機膜を形成する工程と、
    からなることを特徴とする請求項5記載のシンチレータパネルの製造方法。
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