JP4101362B2 - グラフト共重合体を用いたメッキ製品 - Google Patents
グラフト共重合体を用いたメッキ製品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4101362B2 JP4101362B2 JP20209598A JP20209598A JP4101362B2 JP 4101362 B2 JP4101362 B2 JP 4101362B2 JP 20209598 A JP20209598 A JP 20209598A JP 20209598 A JP20209598 A JP 20209598A JP 4101362 B2 JP4101362 B2 JP 4101362B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weight
- polymer
- parts
- graft copolymer
- rubber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Chemically Coating (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム状重合体を含有するグラフト共重合体を含んでなる耐衝撃性(特に耐面衝撃特性)、成形加工性、表面外観(特に光沢度)、メッキ密着性に優れた熱可塑性樹脂組成物からなる成形品にメッキを施した製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン系樹脂では、単純にゴム状重合体とマトリクス樹脂とブレンドするだけでは両者の相溶性が悪く耐衝撃性が発現しなかったり、樹脂の外観が著しく悪化する。このため、ジエン系ゴム状重合体に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を重合したグラフト共重合体によって耐衝撃性の改良を図っている。
【0003】
このようなゴム強化スチレン系樹脂はいずれも耐衝撃性に優れ、家電製品や自動車部品、日用雑貨等に幅広く使用されている。また、ABS樹脂やハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂よりも高いレベルの耐熱性や耐衝撃性が求められる場合には、ポリカーボネート系樹脂(PC)をブレンドしたPC/ABSアロイ樹脂が使用されている。
【0004】
しかしながら、近年、電子機器、家電機器、自動車等は、商品の国際化に伴って、それらの商品価値をさらに高めることや軽量化が求められている。そのため、成型品の肉厚は薄くなる傾向にあるにも関わらず、従来品よりも耐衝撃性および成形性に優れかつ外観が良好な製品に対する要求がますます高まっている。
【0005】
ポリカーボネート系樹脂とABS系樹脂とからなるポリマーアロイにおいては、そのような要求に対し耐衝撃性を向上させるにはポリカーボネート系樹脂やゴム状重合体の含有率を上げる方法が広く行われている。しかし、樹脂組成物に用いるグラフト共重合体のゴム含有量が低く限定されている限り、その手法では要求を満足するには限界があった。
【0006】
一般にこれらの成型品は射出成形で得られることが多い。しかし、成型品の肉厚が薄くなると耐衝撃性が低下したり、製品としての意匠性やEMIシールド性から行われるメッキ性が劣る等の問題があり改良が望まれていた。
【0007】
特開平8−253651号公報、特開平8−269313号公報、特開平8−302177号公報には、樹脂の構造を特定することによって高い耐衝撃性を発現する提案がなされているが、これらはいずれも用いるグラフト共重合体のゴム含有量が低く、高い耐衝撃性と耐熱性、特に優れたメッキ特性を高次元でバランスさせることが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、これを解決するためにグラフト共重合体のゴム含有量を高くすることが考えられる。しかしながら、単純に用いるグラフト共重合体のゴム含有量を高くした場合には、樹脂組成物中でのゴムの再分散性が悪くなり、高い耐衝撃性を発現できないばかりでなく、樹脂光沢が低下したりメッキ特性が悪化してしまう問題があった。
【0009】
即ち、本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ゴム状重合体の含有率を増加させながら、なおかつ樹脂組成物中の再分散性が良好なグラフト共重合体を用いた、耐熱性および耐衝撃性(特に実用的な衝撃試験に近い面衝撃特性)に優れ同時に樹脂外観およびメッキ特性に優れた樹脂組成物からなる成形品にメッキを施した、メッキの密着性の良いメッキ製品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明で用いるグラフト共重合体は、ゴム状重合体を幹ポリマーとし、シアン化ビニル系単量体単位および芳香族ビニル系単量体単位を必須成分とする単量体の繰り返し構造を枝ポリマーとし、次の条件を満足するグラフト共重合体(A)である。
(イ)グラフト重合を行う際のゴム状重合体粒子(100重量%)の内、直径150nm未満の粒子の割合が10重量%以下。
(ロ)グラフト共重合体中における幹ポリマー対枝ポリマー割合が、幹ポリマー70〜90重量部対枝ポリマー30〜10重量部(合計100重量部)。
(ハ)ゴム状重合体から切断した枝ポリマーの重量平均分子量が30、000〜200、000。
(ニ)ゴム状重合体から切断した枝ポリマー中のシアン化ビニル系単量体単位の割合が30〜55重量%。
【0011】
また、本発明で用いる樹脂組成物は、次の成分を配合したものである。
(i)上記のグラフト共重合体(A)10〜40重量部。
(ii)シアン化ビニル系単量体単位20〜55重量%、芳香族ビニル系単量体単位45〜80重量%、およびその他のビニル系単量体単位0〜40重量%からなる共重合体(B)0〜50重量部。
(iii)ポリカーボネート樹脂(C)40〜90重量部。
【0012】
そして、本発明は、この樹脂組成物からなる成形品にメッキを施したメッキ製品に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明におけるグラフト共重合体(A)は、ゴム状重合体を幹ポリマーとし、この幹ポリマーに対し、シアン化ビニル系単量体単位および芳香族ビニル系単量体単位を必須成分とする単量体の繰り返し構造を枝ポリマーとしてグラフトしたものである。ここで、「グラフトした」とは幹ポリマーであるゴム状重合体に枝ポリマーである共重合体が化学的結合を有した状態である。
【0014】
本発明において用いられるゴム状重合体は、1、3−ブタジエン等の共役ジエン系単位を主成分としたジエン系ゴム、アクリル酸エステル単位を主成分としたアクリル系ゴム、およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合ゴムからなる群より選ばれる重合体である。これらは単独で用いても、併用して用いても、または複合化して用いてもよい。ここでいう「併用した」とは二以上のゴム状重合体が全く化学的もしくは物理的な結合を有しない状態を言い、「複合化した」とは二以上のゴム状重合体がミクロレベルで接触もしくは化学的に結合した状態を言う。いずれにしても、化学的な結合があってもなくとも良く、使用用途に応じて選択が可能である。
【0015】
ここで、ジエン系ゴムとは、ジエン系単量体単位を主成分として好ましくは乳化重合にて調製されるものであり、その例としてはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等のジエン系単量体の重合体または共重合体が挙げられる。特に、ポリブタジエンおよびSBRが好ましい。
【0016】
アクリル系ゴムとは、アルキル基またはアリール基の炭素数が1〜12、好ましくは炭素数が4〜8の、アルキルアクリレートまたはアリールアクリレートを主成分とするモノマーを用いて架橋剤を使用し、好ましくは乳化重合により、必要によりグラフト交叉剤を併用して調製することができる。アクリル系ゴムのガラス転移温度は、常温よりも低いものであって、具体的にはブチルアクリレートまたは2−エチルヘキシルアクリレートの単独もしくは共重合体を挙げることができる。アルキル基またはアリール基の炭素数が上記範囲内にあることにより、充分なゴム弾性が得られる。
【0017】
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合ゴムとは、エチレンとプロピレンと、さらにエチリデンノルボルネンやヘキサジエン等の非共役ジエン系単量体とを共重合した三元共重合体である。
【0018】
本発明では、グラフト共重合体製造する際に、粒子状のゴム状重合体が用いられ、ゴム状重合体粒子の重量平均粒子径の下限は150nm以上、より好ましくは200nm以上であり、上限は500nm未満、より好ましくは400nm未満である。
【0019】
さらに、このゴム状重合体粒子の直径150nm未満の割合が10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下である。10重量%を越える場合には、樹脂の流動性やメッキ特性が劣る場合がある。
【0020】
ゴム状重合体の分散粒子径を上記範囲にする方法は特に限定されないが、例えば、重合中に成長させて大きくする方法や、予め150nm未満の粒子を製造し、後に酸や塩または酸基を含有した重合体ラテックスを添加することによって所望の粒子径に肥大化する方法を用いることができる。
【0021】
ゴム状重合体の製造方法としては、本発明のグラフト共重合体の製造方法として乳化重合が好適であることから、乳化重合で製造することが好ましい。前述のゴム状重合体を使用するにあたっては、各々単独で用いても、また2種以上を併用してもよいことは既に述べたが、2種以上を併用するには各々単独で製造したゴム状重合体ラテックスを混合する方法や、1種以上のゴム状重合体の存在下で他のゴム状重合体を製造してもよく、特にその製造方法は限定されない。
【0022】
本発明のグラフト共重合体(A)の枝ポリマー部分は、シアン化ビニル系単量体単位および芳香族ビニル系単量体単位を必須成分とする単量体の繰り返し構造からなり、シアン化ビニル系単量体単位および芳香族ビニル系単量体単位の他に、共重合可能なその他のビニル系単量体単位を含んでいてもよい。
【0023】
ここで、シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル等が挙げられるが、ABS系樹脂の原料としてはアクリロニトリルが好ましい。
【0024】
また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレン等が挙げられるが、ABS系樹脂の原料としてはスチレンおよび/またはα−メチルスチレンが好適である。
【0025】
共重合可能なその他のビニル系単量体としては、アルキル基またはアリール基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸無水物系単量体、マレイミド系単量体等を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が使用できる。
【0026】
これら共重合可能な他のビニル系単量体は1種以上または2種以上併用して用いることができる。
【0027】
本発明のグラフト共重合体中では、ゴム状重合体から切断した枝ポリマー中のシアン化ビニル系単量体単位の割合が30〜55重量%であり、この範囲を外れると樹脂の外観が悪化し、ひいてはメッキ製品の外観が悪化したり、メッキそのものの密着特性が低下するようになる。シアン化ビニル系単量体単位、芳香族ビニル系単量体単位、およびその他の共重合可能な単量体単位の枝ポリマー中に存在する割合は、シアン化ビニル系単量体単位30〜55重量部、芳香族ビニル系単量体単位45〜70重量部、およびその他の共重合可能な単量体単位0〜40重量部の範囲が好ましい。
【0028】
枝ポリマー中のシアン化ビニル系単量体単位等の割合は、グラフト共重合体を分析するか、あるいはゴム状重合体から枝ポリマーを切断してから枝ポリマーを分析して求めることができるが、供給モノマーの全量がグラフトする場合は、ゴム重合体と共に仕込む各モノマー量の割合から求めることもできる。
【0029】
本発明において、グラフト共重合体中における幹ポリマー対枝ポリマー割合は、幹ポリマー70〜90重量部対枝ポリマー30〜10重量部(合計100重量部)であり、さらに好ましくは、幹ポリマー73〜87重量部対枝ポリマー27〜13重量部(合計100重量部)である。このグラフト共重合体中における幹ポリマー対枝ポリマー割合は、ゴム状重合体から枝ポリマーを切断して両者の重量比を求めることができるが、供給モノマーの全量がグラフトする場合は、共重合の際のゴム重合体と仕込みモノマー量の重量比から求めることもできる。
【0030】
グラフト共重合体(A)に含まれる「枝ポリマー」となる重合体は、幹ポリマーに対して化学的結合を有するためアセトン等の抽出によって通常は分離できないが、オゾンを接触させることによりゴム状重合体(幹ポリマー)とグラフトしていた重合体(枝ポリマー)の化学的結合が切れ、枝ポリマーが有機溶媒等に可溶となるので、各種分析機器を用いて枝ポリマーの分子量測定が可能である。
【0031】
本発明においては、この分離した枝ポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィーでのポリスチレン換算重量平均分子量が30、000〜200、000であり、さらに好ましくは50、000〜150、000である。この重量平均分子量が30、000未満である場合には樹脂の耐衝撃性が劣り、また200、000を越える場合には樹脂の流動性が悪化する。この分離した枝ポリマーの分子量を調節するにはいかなる方法でも構わないが、例えば以下に記載する重合開始剤や連鎖移動剤または乳化剤の種類や使用量を変更する方法や、重合温度や単量体の供給方法等の重合環境を変更する方法等の公知の方法が使用できる。
【0032】
グラフト共重合体(A)の製造方法については構造の制御性の面から好ましくは乳化重合、または乳化重合とその他重合方法との組合せが良い。また、各単量体の供給方法は一括で添加して重合する方法、連続して系内に供給して重合する方法、または分割して供給する方法やそれらを組み合わせて実施可能である。
【0033】
また重合時に用いられる重合開始剤は、無機系開始剤としては、例えば過硫酸塩、過酢酸、および過フタル酸等の過酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸塩、過酸化水素が挙げられる。有機系開始剤としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3、5、5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシブチレート、ジクミルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2、4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物が挙げられ、これら1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
これらの無機系開始剤および有機系開始剤はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの重合開始剤はデキストロースやロンガリット、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤、鉄や銅等の触媒を組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。
【0035】
本発明においては、公知の連鎖移動剤を使用しても良い。使用できる連鎖移動剤としては例えば、n−ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のスルフィド類、テルピノーレン、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、ミルセン、ジペンテン等のテルペン類、ペンタフェニルエタン等の炭化水素類、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、α−スチレンダイマー、2、5−ジヒドロフラン、1、4−シクロヘキサジエン等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて併用することができる。
【0036】
また、本発明では乳化グラフト重合に際し、乳化剤としてアニオン系界面活性剤が好ましく、例えばラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸塩、アビエチン酸等の樹脂酸塩、炭素数1〜18のアルキル機を有するアルケニルコハク酸塩、高級アルコール、硫酸エステル類、液体脂肪油硫酸エステル塩、脂肪族アミンおよび脂肪族アマイドの硫酸塩、脂肪アルコールリン酸エステル塩、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪族アミドスルホン酸塩、ホルマリン縮合物のナフタリンスルホン酸塩等が挙げられる。これらカルボン酸系乳化剤の使用量は、グラフト共重合体100重量部に対して通常0.05〜2.0重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部である。
【0037】
本発明のグラフト共重合体ラテックスの製造において、以上の他にキレート剤や減粘剤、pH調節剤等の無機塩が使用できるが、これらは特に限定されるものではない。
【0038】
グラフト共重合体(A)は、乳化重合にて調製されたラテックスから硫酸や金属塩を用いて公知の方法で回収され、粒状もしくは粉末状で得ることが出来る。この時に用いられる凝固剤には、例えば塩化カルシウムや硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の塩や、硫酸、塩酸、酢酸等の酸類が使用できる。
【0039】
このようなグラフト共重合体(A)は、次に示す樹脂組成物に好適に用いられるものである。
【0040】
即ち、本発明の樹脂組成物は、これまで説明してきた(i)グラフト共重合体(A)10〜40重量部と、(ii)シアン化ビニル系単量体単位20〜55重量%、芳香族ビニル系単量体単位45〜80重量%、およびその他のビニル系単量体単位0〜40重量%からなる共重合体(B)0〜50重量部と、(iii)ポリカーボネート樹脂(C)40〜90重量部を配合したものである。
【0041】
また、共重合体(B)におけるシアン化ビニル系単量体、芳香族系ビニル系単量体、その他の共重合可能な単量体はいずれもグラフト共重合体に使用されるものと同様なものを好適に使用できる。
【0042】
共重合体(B)の製造方法については特に制限はないが、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合またはこれらの二つ以上の組合せにより製造することが可能である。
【0043】
共重合体(B)は、シアン化ビニル系単量体単位20〜55重量%、芳香族ビニル系単量体単位45〜80重量%、およびその他のビニル系単量体単位0〜40重量%から構成され、さらに好ましくは、シアン化ビニル系単量体単位25〜50重量%、芳香族ビニル系単量体単位50〜75重量%、およびその他のビニル系単量体単位0〜30重量%から構成される。
【0044】
また、樹脂組成物中の共重合体(B)の配合割合は、さらに好ましくは、1〜50重量部である。
【0045】
また、本発明の樹脂組成物に用いるポリカーボネート系樹脂(C)は、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられる。これらポリカーボネート樹脂は公知の方法により製造されるものであり、一般にジヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることにより製造される。
【0046】
ジヒドロキシ化合物としてジヒドロキシジアリールアルカンを用いて得られるポリカーボネートが好ましく、また、任意に枝分かれしているものであっても良い。
【0047】
適当なジヒドロキシアリールアルカンはヒドロキシ基に対してオルトの位置がアルキル基、塩素原子または臭素原子で置換されていてもよい。ジヒドロキシジアリールアルカンの好ましい具体例としては、4、4’−ジヒドロキシ−2、2’−ジフェニルプロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールAおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
【0048】
また、分岐したポリカーボネートは、例えば原料として用いるジヒドロキシ化合物の一部、例えば0.2〜2モル%を、ポリヒドロキシ化合物に代えることにより製造される。ポリヒドロキシ化合物の具体例としては、1、4−ビス(4’、4、2−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼン、フロロダルシノール、4、6−ジメチル−2、4、6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2、4、6−ジメチル−2、4、6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1、3、5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1、1、1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−エタンならびに2、2−ビス[4、4’−(4、4’−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂の分子量は任意のものを使用することができる。
【0049】
本発明の樹脂組成物中のポリカーボネート系樹脂(C)の配合量は組成物100重量部に対して40〜90重量部であることが必要であり、好ましくは50〜80重量部である。配合量が40重量部未満である場合には樹脂組成物の耐衝撃性が不十分となり好ましくなく、90重量部を越える場合にも耐衝撃性が低下するため好ましくない。
【0050】
本発明によって得られる樹脂組成物は、もちろん単独でも使用することができるが、目的に応じて各種安定剤や可塑剤、滑剤、金属石鹸、帯電防止剤、難燃剤等を添加することができ、これらの混合にヘンシェルミキサーやバンバリーミキサー、押出機、加熱ロール等の装置が用いられる。
【0051】
本発明の樹脂組成物は容易に熱成形しうる熱可塑性樹脂組成物であり、本発明の樹脂組成物を用いて樹脂成形品を製造することができる。成形品を製造するにあたっては、既知の熱可塑性樹脂材料を使用する従来の成型法、例えば押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形等を用いることができ、特に射出成形や押出成形に好適である。
【0052】
尚、本発明において樹脂組成物とは、グラフト重合体(A)、共重合体(B)(但し、共重合体(B)は含まない場合がありうる。)およびポリカーボネート(C)を粉状またはペレット状のまま配合したもの、それらを溶融して混合したもの、さらに成形体も含まれるものである。
【0053】
本発明の成形された樹脂組成物は、メッキ用途に極めて適したものである。メッキ方法としては、公知の無電解メッキ方法を用いることができ、無電解メッキ方法としても特に限定はなく、一般的にABS樹脂のメッキに用いられる方法を用いることができる。
【0054】
メッキ膜の種類も特に限定されず、例えば銅、ニッケル、クロム等の任意のメッキ膜を形成することが可能である。メッキ膜の厚みも特に限定されず用途により適宜変更することができる。通常は1〜30μm程度である。
【0055】
このようにしてメッキされた成形品は、特にEMIシールドを必要とする電子機器のハウジングや、耐熱性を必要とする自動車外装等の分野に好ましく用いることができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例によって本発明はなんら制限されるものではない。また、実施例中の「部」は、特にことわりのない限り「重量部」を表すものである。
【0057】
また、以下の実施例および比較例中での、各種物性の測定は以下の方法により測定した。尚、実施例のグラフト共重合反応では、モノマーの全量がゴム重合体に対してグラフトするので、グラフト共重合体中における幹ポリマー対枝ポリマー割合は仕込みのゴム状重合体とモノマーの重量比から求めることができる。また、ゴム状重合体から切断した枝ポリマー中のシアン化ビニル系単量体単位の割合についても、仕込みモノマーの中のシアン化ビニル系単量体の割合によって求めることができる。
【0058】
(1)ゴム状重合体の粒子径および150nm未満の粒子の割合
透過型電子顕微鏡を用いて200〜300個のゴム状重合体のサイズをカウントし、重量平均粒子径を求めた。
【0059】
(2)オゾン分解
グラフト共重合体2.5gをアセトン60mlに入れ、65℃で3時間抽出操作を行い、その遠心分離(15、000rpm)で分離した不溶分を採取し、クロロホルム/塩化メチレン(1:1)溶媒200mlに分散させ、これを約−60℃に冷却した。その分散液中にオゾン発生装置(日本オゾン株式会社)で発生させたオゾンを導入した。オゾン分解が終了したら、メタノール50mlに水素化ホウ素ナトリウム5gを分散させた液中に投入し、数時間攪拌した後濃塩酸/水(1:1)水溶液50mlを加え、さらに数時間攪拌を継続した。その後、静置し下層を分取、濃縮乾固させ、得られた固化物の下記の分子量測定法に従い重量平均分子量を測定した。
【0060】
(3)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。
溶媒;テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度;2.4mg/ml
装置;島津製作所製 LC−6A
カラム;Shim-pack KF-802、KF-804、KF-805(計3本)
カラム温度;40℃
溶媒流量;0.8ml/分
検出器;示差屈折計
分析装置;クロマトパックC−R4A
(4)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠し、射出成形によって作製した試験片(厚み1/4インチ・ノッチ付き)で23℃にて測定した。
【0061】
(5)面衝撃特性
2オンス射出成型機にて、シリンダー温度270℃で幅100mm×長さ100mm×厚み3mmの板を成形し、ASTM D3764に準拠し、島津製作所(株)HTM−1型高速衝撃試験機を使用し、測定温度23℃、ストライカ速度3.3m/秒、ストライカ径1/2インチφ、支持枠3インチφの条件で測定した。
【0062】
(6)メルトフローレート
JIS K7210に従い、温度220℃、荷重10kgfの条件で測定し、10分間あたりの流出量をg数で表示した。
【0063】
(7)光沢度
2オンス射出成型機にて、幅100mm×長さ100mm×厚み3mmの板を成形し、この試片についてASTM D523に準拠して測定した。
【0064】
(8)熱変形温度
ASTM D648に準拠して測定した。
【0065】
(9)メッキ密着強度
メッキ評価用の角板(幅30mm×高さ80mm×厚み3mm)表面を脱脂した後、硫酸/重クロム酸混合溶液でエッチング(65℃、10分間)した。中和・洗浄を行った後、塩化パラジウム、塩化第一スズ、塩酸からなる水溶液にて活性化処理を行い、ニッケルの無電解メッキおよび銅の電解メッキを行った。
メッキ板に幅20mmの金属厚みよりも深い傷を入れ、引っ張り速度10mm/秒で成形板に対し垂直方向に引っ張ったときのピーリング強度(kg/cm)を測定した。
【0066】
グラフト共重合体(A、X)の製造
[グラフト共重合体(A1)の製造]
攪拌機付き10Lステンレス製オートクレーブに、脱イオン水(以下単に水と略記)120部、1、3−ブタジエン100部、オレイン酸ナトリウム2.5部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.3部、硫酸ナトリウム0.4部を仕込み、内温を55℃に昇温した。8時間攪拌を継続し、さらに段階的に温度を上昇させ、最終的に内温80℃、重合時間36時間で重量平均粒子径270nm、直径150nm未満の粒子の割合が3重量%、固形分45.3重量%であるジエン系ゴムラテックスを得た。
【0067】
このゴム状重合体ラテックス80部(固形分として)に水140部(ゴム状重合体ラテックス中の水も含む)、ブドウ糖0.3部、ピロリン酸ナトリウム0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.01部を仕込み、攪拌下で70℃に昇温した。これに、アクリロニトリル8部、スチレンモノマー12部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、クメンヒドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を180分かけて系内に供給し重合を行い、添加終了直後さらにクメンヒドロパーオキシド0.05部を添加し1時間この温度で攪拌を継続し、その後重合を終了した。得られたラテックスを、攪拌下でその2倍量の0.5重量%硫酸水溶液(35℃)中に投入し、その後85℃に昇温して10分間保持し、水洗、脱水、乾燥工程を経て、乳白色粉末状であるグラフト共重合体(A1)を得た。この(A1)のオゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量は6.5万であった。グラフト共重合体(A1)の組成をまとめて表1に示した。
【0068】
[グラフト共重合体(A2)の製造]
攪拌機付き10Lステンレス製オートクレーブに、水170部、n−ブチルアクリレート99.2部、アリルメタクリレート0.5部、1、3−ブチレンジメタクリレート0.3部、アルケニルコハク酸ジカリウム1.0部、t−ブチルハイドロパーオキシド0.1部、ロンガリット0.3部、硫酸ナトリウム0.2部を仕込み、攪拌下で内温を40℃に昇温した。さらに、硫酸第一鉄七水塩0.0005部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0015部、水5部からなる混合物を添加し、重合を開始した。重合発熱がなくなるまで重合を継続し、さらにt−ブチルハイドロパーオキシド0.05部を添加後1時間攪拌を継続して、重量平均粒子径250nm、直径150nm未満の粒子の割合が5重量%、固形分36.2%であるアクリル系ゴムラテックスを得た。
【0069】
このゴム状重合体ラテックス80部(固形分として)にロンガリット0.2部、を仕込み、攪拌下で80℃に昇温した。これに、アクリロニトリル8部、スチレンモノマー12部、n−オクチルメルカプタン0.05部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部からなる混合物を180分かけて系内に供給し重合を行い、添加終了直後さらにt−ブチルハイドロパーオキシド0.05部を添加し1時間この温度で攪拌を継続し、その後重合を終了した。その後グラフト共重合体(A1)の製造と同様な処理を行いグラフト共重合体(A2)を得た。この(A2)のオゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量は8.7万であった。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0070】
[グラフト共重合体(A3)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造の途中で製造したジエン系ゴムラテックス40部(固形分として)に、水175部(ゴム状重合体ラテックスからの水も含む)、アルケニルコハク酸ジカリウム0.3部、ロンガリット0.2部、硫酸第一鉄七水塩0.0005部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0015部を仕込み、攪拌下で内温を70℃に昇温した。これにn−ブチルアクリレート59.5部、アリルメタクリレート0.3部、1、3−ブチレンジメタクリレート0.2部、t−ブチルハイドロパーオキシド0.1部からなる混合物を120分かけて供給して重合を行い、滴下終了後さらにt−ブチルハイドロパーオキシド0.05部を添加後1時間攪拌を継続して、重量平均粒子径290nm、直径150nm未満の粒子の割合が3重量%、固形分35.9重量%である複合化されたジエン−アクリル系ゴムラテックスを得た。
【0071】
この複合化されたゴム状重合体ラテックス80部(固形分として)を用い、後はグラフト共重合体(A2)の製造と同様にしてグラフト重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が7.5万であるグラフト共重合体(A3)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0072】
[グラフト共重合体(A4)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造において、グラフト重合に用いるt−ドデシルメルカプタンを0.7部とした以外は同様にして重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が3.9万であるグラフト共重合体(A4)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0073】
[グラフト共重合体(A5)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造において、グラフト重合に用いるt−ドデシルメルカプタンを0.15部とした以外は同様にして重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が16万であるグラフト共重合体(A5)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0074】
[グラフト共重合体(A6)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造の途中で製造したゴム状重合体73部(固形分として)に水140部(ゴム状重合体ラテックス中の水も含む)、ブドウ糖0.4部、ピロリン酸ナトリウム0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.01部を仕込み、攪拌下で70℃に昇温した。これに、アクリロニトリル10.8部、スチレンモノマー16.2部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、クメンヒドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を180分かけて系内に供給し重合を行い、添加終了直後さらにクメンヒドロパーオキシド0.05部を添加し1時間この温度で攪拌を継続し、その後重合を終了した。得られたラテックスを、グラフト共重合体(A1)の製造例と同様にして処理し、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が7.1万であるグラフト共重合体(A6)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0075】
[グラフト共重合体(A7)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造の途中で製造したゴム状重合体87部(固形分として)に水140部(ゴム状重合体ラテックス中の水も含む)、ブドウ糖0.2部、ピロリン酸ナトリウム0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.01部を仕込み、攪拌下で70℃に昇温した。これに、アクリロニトリル5.2部、スチレンモノマー7.8部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、クメンヒドロパーオキサイド0.1部からなる混合物を120分かけて系内に供給し重合を行い、添加終了直後さらにクメンヒドロパーオキシド0.05部を添加し1時間この温度で攪拌を継続し、その後重合を終了した。得られたラテックスを、グラフト共重合体(A1)の製造例と同様にして処理し、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が6.9万であるグラフト共重合体(A7)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0076】
[グラフト共重合体(X1)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造において、グラフト重合に用いるt−ドデシルメルカプタンを1.2部とした以外は同様にして重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が2.4万であるグラフト共重合体(X1)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0077】
[グラフト共重合体(X2)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造において、グラフト重合に用いるt−ドデシルメルカプタンを0部とした以外は同様にして重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が23万であるグラフト共重合体(X2)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0078】
[グラフト共重合体(X3)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造の途中で製造したゴム状重合体85部に、重量平均粒子径が90nmであるポリブタジエンラテックス15部を混合し、150nm未満のゴム状重合体粒子が16重量%であるゴム状重合体ラテックスを調製した。以後、参考例1と同様にグラフト重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が6.3万であるグラフト共重合体(X3)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0079】
[グラフト共重合体(X4)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造において、グラフト重合に用いるアクリロニトリルを4.6部、スチレンモノマーを15.4部とした以外は同様にして重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が6.1万であるグラフト共重合体(X4)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0080】
[グラフト共重合体(X5)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造において、グラフト重合に用いるアクリロニトリルを12部、スチレンモノマーを8部とした以外は同様にして重合を行い、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が8.7万であるグラフト共重合体(X5)を得た。グラフト共重合体の組成をまとめて表1に示した。
【0081】
[グラフト共重合体(X6)の製造]
グラフト共重合体(A1)の製造の途中で製造したゴム状重合体55部(固形分として)に水140部(ゴム状重合体ラテックス中の水も含む)、ブドウ糖0.4部、ピロリン酸ナトリウム0.03部、硫酸第一鉄七水塩0.01部を仕込み、攪拌下で70℃に昇温した。これに、アクリロニトリル18部、スチレンモノマー27部、t−ドデシルメルカプタン0.7部、クメンヒドロパーオキサイド0.3部からなる混合物を240分かけて系内に供給し重合を行い、添加終了直後さらにクメンヒドロパーオキシド0.05部を添加し1時間この温度で攪拌を継続し、その後重合を終了した。得られたラテックスを、グラフト共重合体(A1)の製造例と同様にして処理し、オゾン分解によって得られたグラフト鎖の重量平均分子量が7.7万であるグラフト共重合体(X6)を得た。
【0082】
共重合体(B、Y)の製造
[共重合体(B1)の製造]
アクリロニトリル30部、スチレンモノマー70部とを公知の懸濁重合により、200℃でのメルトフローレートが3.8である共重合体(B1)を得た。
【0083】
[共重合体(B2)の製造]
アクリロニトリル42部、スチレンモノマー58部とを公知の溶液重合(メチルエチルケトン溶媒)により、200℃でのメルトフローレートが1.3である共重合体(B2)を得た。
【0084】
[共重合体(B3)の製造]
アクリロニトリル30部、スチレンモノマー50部、メチルメタクリレート20部とを公知の溶液重合(メチルエチルケトン溶媒)により、200℃でのメルトフローレートが3.0である共重合体(B3)を得た。
【0085】
[共重合体(B4)の製造]
アクリロニトリル25部、スチレンモノマー60部、N−フェニルマレイミド15部とを公知の溶液重合(メチルエチルケトン溶媒)により、200℃でのメルトフローレートが0.3である共重合体(B4)を得た。
【0086】
[共重合体(Y1)の製造]
アクリロニトリル15部、スチレンモノマー85部とを公知の懸濁重合により、200℃でのメルトフローレートが5.8である共重合体(Y1)を得た。
【0087】
ポリカーボネート樹脂
三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−2000F」を準備した。
【0088】
[実施例1〜11、比較例1〜10]
上記で調製したグラフト共重合体(A1〜A7、X1〜X6)、共重合体(B1〜B4、Y1)、ポリカーボネート樹脂(C)とをそれぞれ表2に示す割合で配合した重合体組成物100部をヘンシェルミキサーで混合し、次いで30mmφ二軸押出機で混練温度270℃にて押出し、吐出されたストランドをカットしてペレット化した。各ペレットについて前述の条件で各樹脂特性を評価した。それらの結果を表2に示す。
【0089】
表2から、150nm未満のゴム状重合体粒子が10重量%以上である比較例5は実施例1と比べて流動性およびメッキ特性が劣ることがわかる。また、グラフト部の分子量が低い比較例3では樹脂の耐衝撃性が大きく低下し、また逆にグラフト部の分子量が高い比較例4では流動性が低下する。さらに、グラフト部のシアン化ビニル単位の割合が所定の量を外れる場合には、樹脂の外観やメッキ特性が劣る様になる。最後にグラフト共重合体(A)中のゴム状重合体の含有量が低い場合(比較例8)には耐衝撃性や流動性、成形外観には問題ないが、メッキ特性が劣ることがわかる。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【発明の効果】
本発明で用いるグラフト共重合体は、樹脂組成物としたとき分散性がよいので、組成物中にゴムが均一に多量に分散することになる。そのためこのグラフト共重合体を用いた樹脂組成物は、耐衝撃性(特に耐面衝撃性)に優れると同時に、高い耐熱性を維持しつつ、流動性、成形外観、メッキ特性に優れており、工業的に極めて有用である。特に、無電解メッキによりEMIシールドされる電子機器のハウジングや自動車の外装部品等の分野において非常に有用である。
Claims (1)
- 次の成分を配合した樹脂組成物からなる成形品にメッキを施したメッキ製品。
(i)ゴム状重合体を幹ポリマーとし、シアン化ビニル系単量体単位および芳香族ビニル系単量体単位を必須成分とする単量体の繰り返し構造を枝ポリマーとし、以下の条件を満足するグラフト共重合体(A) 10〜40重量部:
(イ)グラフト重合を行う際のゴム状重合体粒子(100重量%)の内、直径150nm未満の粒子の割合が10重量%以下、
(ロ)グラフト共重合体中における幹ポリマー対枝ポリマー割合が、幹ポリマー70〜90重量部対枝ポリマー30〜10重量部(合計100重量部)、
(ハ)ゴム状重合体から切断した枝ポリマーの重量平均分子量が30,000〜200,000、
(ニ)ゴム状重合体から切断した枝ポリマー中のシアン化ビニル系単量体単位の割合が30〜55重量%;
(ii)シアン化ビニル系単量体単位20〜55重量%、芳香族ビニル系単量体単位45〜80重量%、およびその他のビニル系単量体単位0〜40重量%からなる共重合体(B) 0〜50重量部;
(iii)ポリカーボネート樹脂(C) 40〜90重量部。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20209598A JP4101362B2 (ja) | 1998-07-16 | 1998-07-16 | グラフト共重合体を用いたメッキ製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20209598A JP4101362B2 (ja) | 1998-07-16 | 1998-07-16 | グラフト共重合体を用いたメッキ製品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000034321A JP2000034321A (ja) | 2000-02-02 |
JP4101362B2 true JP4101362B2 (ja) | 2008-06-18 |
Family
ID=16451891
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20209598A Expired - Fee Related JP4101362B2 (ja) | 1998-07-16 | 1998-07-16 | グラフト共重合体を用いたメッキ製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4101362B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4979855B2 (ja) * | 2001-05-22 | 2012-07-18 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | ダイレクトめっき用樹脂組成物、樹脂めっき方法および樹脂めっき製品 |
CN100526354C (zh) * | 2002-02-28 | 2009-08-12 | 三菱丽阳株式会社 | 热塑性树脂组合物及工程塑料组合物 |
JP4914577B2 (ja) * | 2005-05-24 | 2012-04-11 | 日本エイアンドエル株式会社 | ダイレクトめっき用樹脂組成物およびめっき装飾製品。 |
EP1956043B1 (en) * | 2005-11-30 | 2019-02-27 | Techno-UMG Co., Ltd. | Resin composition for direct metal plating, molded article, and metal-plated molded article |
WO2017052480A2 (en) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | Ptt Global Chemical Public Company Limited | Thermoplastic composition with improved mechanical properties |
CN106519554B (zh) * | 2016-11-25 | 2019-02-12 | 佛山市南海承骏科技有限公司 | 一种abs增韧剂及其制备方法 |
-
1998
- 1998-07-16 JP JP20209598A patent/JP4101362B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000034321A (ja) | 2000-02-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2007177223A (ja) | ダイレクト鍍金用樹脂組成物、成形品及び鍍金成形品 | |
JP2552302B2 (ja) | 熱可塑性成形組成物の製造方法 | |
JP4101362B2 (ja) | グラフト共重合体を用いたメッキ製品 | |
US5352728A (en) | Process for preparation of impact resistance and high gloss thermoplastic resin | |
JP4119117B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH0791341B2 (ja) | マレイミド系共重合体およびその製造方法 | |
JP2000103935A (ja) | Abs系樹脂組成物 | |
JP2003327639A (ja) | ゴム強化樹脂ならびにその樹脂組成物 | |
JP6938753B1 (ja) | めっき用樹脂組成物 | |
JP3118409B2 (ja) | ゴム状重合体およびそれを用いたabs系樹脂 | |
JP2002540241A (ja) | 改良された低温剛性を示す、ポリカーボネートとグラフト化ゴムとを含有する熱可塑性成型用組成物 | |
KR100508145B1 (ko) | 내충격성과 내열성이 우수한 무광택 열가소성 수지 조성물 | |
JP3181691B2 (ja) | グラフト共重合体の製造法 | |
JPH1025371A (ja) | ゴム含有樹脂組成物およびそれを用いてなるスチレン系樹脂組成物 | |
JP7299399B1 (ja) | グラフト共重合体、めっき用樹脂組成物、成形品及びめっき加工品 | |
JPH1121323A (ja) | グラフト共重合体の製造方法 | |
JP4004568B2 (ja) | 樹脂組成物 | |
JP3015707B2 (ja) | グラフト共重合体の製造方法 | |
JP3181690B2 (ja) | グラフト共重合体の製造法 | |
JP3200357B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3112849B2 (ja) | スチレン系樹脂組成物 | |
JP4160646B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3941152B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 | |
JPH10273510A (ja) | グラフト重合体及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物 | |
JPS6011514A (ja) | 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050519 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061220 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070208 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20070208 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080305 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080319 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110328 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110328 Year of fee payment: 3 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110328 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120328 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130328 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130328 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140328 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |