JP4101247B2 - 電子ビーム描画方法、リソグラフィマスクの製造方法及び電子ビーム描画装置 - Google Patents

電子ビーム描画方法、リソグラフィマスクの製造方法及び電子ビーム描画装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置や液晶表示装置等の製造工程、もしくは、それら工程において用いられるリソグラフィマスクを製造する工程で使用される電子ビーム描画方法及び電子ビーム描画装置に関し、電子ビームにより描画されるパターンの寸法制御に関するものである。
従来、例えば、フォトマスクの製造工程においては、フォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対して所定のパターンを電子ビームによって描画する電子ビーム描画方法が用いられている。
この電子ビーム描画方法においては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、描画されるパターンの寸法制御について、近接効果及びフォギー(Foggy)効果によって生ずる寸法誤差の補償が課題となっている。
近接効果は、レジスト膜を透過して基板表面で反射(散乱)された電子ビーム(後方散乱電子)によりレジストが感光することによって寸法誤差が生ずる現象であり、例えば、50kVの電子ビームを用いた場合における影響範囲は、約15μmである。
フォギー効果は、レジスト膜の表面や基板表面からの散乱電子が、描画装置のカラムやチェンバによって反射され、再びレジスト膜に到達してレジストを感光させる現象であり、描画装置の構造にもよるが、約30mmの範囲に亘って影響が生ずるものである。
これら2つの現象は、近接効果がレジスト膜を透過した電子ビームの後方散乱によるかぶり、フォギー効果がレジスト膜の表面における反射電子のカラム等による散乱によるかぶりと、原因及び散乱半径に極端な違いがあるものの、両者ともにかぶり現象である。なお、両者においてかぶりを生じさせている電子ビームの総エネルギーは、ほぼ等しいものである。
しかしながら、フォギー効果は、近接効果理論が確立されてから久しい段階で発見されたという歴史的ないきさつから、近接効果とは別の現象として扱われ、描画パターンの寸法誤差の補正も、各効果ごとに個別に行われてきた。
従来、近接効果による描画パターンの寸法誤差の補正は、以下のようにして行われている。
50kVの電子ビームを用いる一般的な描画装置において用いられている近接効果補正(PEC)は、図5に示すように、後方散乱の影響を、ドーズ(Dose:露光量)を調整することで補償し、寸法誤差を補正するものである。そして、近年の描画装置においては、露光量の算出を、再計算手法を用いて行っている。この再計算手法においては、初回計算として、前世代の描画装置における補正方法と同一の手法を用い、2回目以降の再計算において異なる計算式を用いている。最新の描画装置は、これらの計算を露光しながら行うようになっている。そのため、計算機で処理しやすいように、計算の簡略化の手法が種々採用されている。
ところが、このような再計算手法における初回計算においては、「パターン密度は計算対象とその周囲では一定である」との特殊な仮定を含んでいる。近接効果補正のための計算式が四則演算のみで記述できる非常に簡単なものでありながら、初回計算にこのような特殊な仮定を含み、論理の飛躍があるため、良好な補正が行えないこととなっている。
〔初回計算〕
このような再計算手法における初回計算、すなわち、前世代の描画装置における補正方法は、以下のようにして行われる。
まず、後方散乱がどの程度のものであるかを見積もる。例えば、図5における中央の描画パターンE0に対する後方散乱の見積もりは、後方散乱の影響領域を所定の大きさ(0.5μm角(四方)乃至1.0μm角(四方))のセルに区切って行う。すなわち、セル毎に、セルに占める描画パターンの面積を求める。各セルの中央にセルに占める描画パターンが存在するとして、それぞれのセルから描画パターンE0が描画されるセルまでの後方散乱の影響の度合いを重みずけして積算し、後方散乱の蓄積エネルギー比率Ebpを求める。描画パターンE0が描画されるセルを含め、全てのセルが描画された場合は、Ebpは1となる。この段階では、近接効果補正の結果はまだ計算されていないので、全ての描画は同一のドーズで描画されたと仮定している。このような初回計算におけるEbpをEbp0とする。
ここで、電子ビーム描画におけるエネルギープロファイルを図7に示す。ここでは、露光量が前方散乱のエネルギーとなるように単位系を組んでいる。また、前方散乱のエネルギープロファイルについては、計算を簡略化するために台形とし、後方散乱については、完全にフラットなオフセットとして表現している。前方散乱を表す台形の傾斜部分の幅X0は、ビームプロファイル、前方散乱及びレジストの性能を反映した解像度を表現するパラメータである。この台形の傾斜部分と現像しきい値Ethとの交点が描画されるパターンのエッジの位置となる。
次に、どのような描画パターンに対して寸法を合わせ込むかであるが、ここでは、後方散乱が存在しない場合の孤立パターンに対して、寸法を合わせ込む方式について説明する。このときの描画パターンのエッジの位置をXa、このときの露光量を基準ドーズDaとする。
そして、後方散乱が存在することにより、描画パターンのエッジは、Xbにずれる(補正前の状態)。ここで、露光量を基準ドーズDaから補正ドーズDs0に変更すれば、描画パターンのエッジの位置はXaに補正される(補正後の状態)。
ここで、前方散乱で吸収されるエネルギーと後方散乱で吸収されるエネルギーの比率をηeとすると、前述のモデルから、初回計算における補正露光量Ds0は、以下の〔式1〕で表現される。
Ds0=Da/{1+(Da/Eth)ηe・Ebp} ・・・・・・(式1)
ただし、実際の描画装置においては、電子ビームの径と描画パターンの寸法とを一致させるとの建前より、以下の〔式2〕が成立すると仮定している。
Da/Eth=2 ・・・・・・(式2)
すると、Ds0は、以下の〔式3〕で表現される。
Ds0=Da/(1+2ηep・Ebp) ・・・・・・(式3)
ところが、〔式2〕が実際のプロセスで成立しているとは限らないので、〔式3〕中のηepは、単なる装置制御パラメータということになる。
ここまでの補正では、前述したように、「パターン密度は計算対象とその周囲では一定である」との仮定を含んでいる。補正前において、後方散乱は〔Da・η・Ebp〕であるが、補正後においては、〔Ds・η・Ebp〕に変化している。これは、図5における各描画パターンE1,E2,E3が全て同じドーズDsで描画されたことを前提としている。
このような補正方法によっては、パターン密度が計算対象とその周囲で一定である広域のL/Sパターンについては正しい補正が行われるが、パターン密度が計算対象とその周囲で一定でない場合には、正しい補正が行われないことになる。このような補正方法は、計算機資源が不十分であった時代において、最小限の計算により、ほどほどに正解に近い結果を得ようとする妥協の産物であったといえる。
〔再計算〕
再計算においても、後方散乱の蓄積エネルギー比率Ebpを計算する。まず、再計算1回目について説明する。再計算においては、計算対象とその周囲の全てが同一の露光量により描画されるという仮定は用いない。再計算1回目で用いる後方散乱の蓄積エネルギー比率Ebp(Ebp1)は、初回計算結果の露光量を用いて計算する。
再計算では、図8に示すように、計算対象の周囲の露光量が計算対象の露光量とは一致しないとするので、後方散乱のオフセットは固定し、計算対象の露光量のみを調整して補正を行う。
このようなモデルから導かれる補正式は、以下の〔式4〕である。
Ds1=Da{1−(Da/Eth)ηe・Ebp1} ・・・・・・(式4)
ただし、初回計算と同様の理由により、実際の描画装置では、以下の〔式5〕を用いている。
Ds1=Da(1−2ηep・Ebp1) ・・・・・・(式5)
当然ながら、再計算により露光量が変化すると、実際の後方散乱も影響を受ける。この影響については、再計算を複数回行うことにより、正しい値に収束させていく。すなわち、再計算法は、一種のフィードバック回路と言える。
再計算2回目以降は、前回の再計算による値を初期値として、後方散乱の蓄積エネルギー比率Ebpを求め、同様の手法を繰り返してゆく。
初回計算と再計算とで、計算式が異なるのは、再計算では、後方散乱の大きさを変更しないので、Dsが極端に小さくなる過補正の状態になることがあるからである。
この再計算において、初期値があまりにかけ離れた値であると、収束が遅くなる。例えば、初回計算の結果を初期値として再計算を2回行った程度の精度を、全て再計算式で行って得るには、10回以上の再計算が必要であった。すなわち、前述の初回計算は、必ずしも正しくない仮定の下での計算であったが、再計算(2回目計算以降)における初期値としての精度は充分にあると言える。
〔フォギー効果の補正〕
フォギー効果によるかぶりの補正としては、基本的には、計算メッシュを1mm程度まで拡張して、前述した初回計算を行っている。
そして、実際の露光量は、基準ドーズ、すなわち、近接効果もフォギー効果もない場合において所望の寸法の描画パターンが形成されるドーズに対し、以下の〔式6〕のように記述されている。
〔実際の露光量〕
=〔基準ドーズ〕×〔近接効果補正の変調量〕×〔フォギー効果補正の変調量〕
・・・・・・(式6)
なお、フォトマスク等のリソグラフィマスクの製造においては、まず、透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクに遮光膜パターンを形成するために塗布されたレジス卜層に対し、前述したように、パターン描画を施す。次いで、レジス卜層を現像してレジストパターンを形成し、このレジス卜パターンをマスクとして遮光膜をエッチングし、残存したレジストパターンを剥離することによって、フォトマスクの製造が行われる。
特開2003−332203公報 特開2003−107665公報
ところで、上述のような電子ビーム描画方法においては、以下のような問題があった。
すなわち、従来の電子ビーム描画方法においては、近接効果補正の結果はフォギー効果に影響し、また、フォギー効果補正の結果が近接効果補正に影響するにもかかわらず、このような影響が全く考慮されていないのである。
また、従来の電子ビーム描画方法においては、エッチングや現像の面内均一性に起因する誤差を補正することができず、さらに、エッチングによるローカルなローディング効果を補正することができない。
さらに、例えば、特許文献2の請求項13に記載されているように、「線幅補正を露光量のみで行う方法」においては、近接効果補正量が面内で変動することとなり、パターン寸法の粗密依存性が変動することとなる。
特に、半導体装置の高集積化等に伴ない、パターンが微細化、かつ、複雑化する傾向にあるリソグラフィマスクにおいては、高い寸法精度のマスクパターンが要求されている。
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、近接効果とフォギー効果との両者を考慮した高精度の描画パターンの寸法補正が可能であり、また、描画パターンの粗密等による寸法特性の変動を防止し、さらに、レジスト段階での面内均一性を向上させることができる電子ビーム描画方法及び電子ビーム描画装置を提供しようとするものである。
また、本発明は、前記電子ビーム描画方法及び電子ビーム描画装置を用いてリソグラフィマスクを製造することにより、寸法精度の高いマスクパターンを有するリソグラフィマスクの製造方法を提供しようとするものである。
上述の課題を解決するため、本発明に係る本発明に係る電子ビーム描画方法は、以下の構成のいずれか一を備えるものである。
〔構成1〕
透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクに遮光膜パターンを形成するための電子ビーム描画方法であって、該遮光膜上に塗布されたレジスト層に対してパターンの寸法補正を含む電子ビーム描画を行った後、該レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることによって、該遮光膜パターンを形成するための電子ビーム描画方法において、補正の対象となる描画パターン領域を、フォギー効果補正用のメッシュと、該フォギー効果補正用メッシュより細かい近接効果補正用のメッシュで分割し、各メッシュに対して、描画パターンの面積占有率を求め、各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める初回計算を行い、前回の計算によって求められた露光量に基づいてフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める再計算を行い、再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返すことにより、近接効果及びフォギー効果による描画パターンの寸法誤差を補正する補正露光量を求め、補正露光量を用いてパターンを描画する工程を有し、初回計算及び再計算において、各メッシュ毎に現像しきい値及びエッチング変換差の面内分布から算出したレジスト寸法補正値を指定することにより、描画パターンの粗密依存特性を面内で一定に保ちつつ、現像の面内均一性を補正し、エッチング後の面内均一性を向上させることを特徴とするものである。
〔構成2〕
構成1を有する電子ビーム描画方法において、補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、再計算(k回目)は、以下の第2式によって行うことを特徴とするものである。
第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
第2式:Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))}
ただし、第1式及び第2式においては、以下の(a)、(b)を適用する。
(a):Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
(b):Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
また、第1式及び第2式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
(c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
〔構成3〕
構成1を有する電子ビーム描画方法において、補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、1回目の再計算は、以下の第3式及び第4式によって行い、再計算2回目以降は、以下の第5式によって行うことを特徴とするものである。
第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
第3式:
Ds1 m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebp1 m,n+ηf・Fbp1 k,l))}
DsF1 m,n=Ds1−C(Ds0−Ds1)
(ここで、Cは、0以上1未満のフィードバック係数)
第4式:
Ebp1 m,n=ΣΣDs0 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
Fbp1 k,l=ΣΣE0 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
第5式:
Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・EbpFk m,n+ηf・FbpFk k,l))}
DsFk m,n=DsFk-1−C(DsFk-1−Dsk)
EbpFk m,n=ΣΣDsFk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
FbpFk k,l=ΣΣEFk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
(EbpFk m,n、FbpFk k,lはフィードバック方式用蓄積エネルギー密度)
ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
また、第3式、第4式及び第5式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
(c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
〔構成4〕
構成1乃至構成3のいずれか一を有する電子ビーム描画方法において、初回計算においては、各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーから、フォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを縮小して用い、再計算においては、前回の計算で求められた露光量に基づいたフォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを固定して計算することを特徴とするものである。
〔構成5〕
構成1乃至構成3のいずれか一を有する電子ビーム描画方法において、初回計算により求められる露光量は、近接効果もフォギー効果もない場合において所望の寸法の描画パターンが形成される基準ドーズに、近接効果補正の変調量を乗じ、さらに、フォギー補正の変調量を乗じたものであることを特徴とするものである。
また、本発明に係る本発明に係るリソグラフィマスクの製造方法は、以下の構成を備えるものである。
〔構成6〕
基板上にマスクパターンが形成されたリソグラフィマスクを製造するリソグラフィマスクの製造方法であって、構成1乃至構成5のいずれか一を有する電子ビーム描画方法を用いて、マスクパターンを形成するためのレジスト層にパターン描画を施す工程を有することを特徴とするものである。
そして、本発明に係る本発明に係る電子ビーム描画装置は、以下の構成のいずれか一を備えるものである。
〔構成7〕
透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクに遮光膜パターンを形成する電子ビーム描画装置であって、該遮光膜上に塗布されたレジスト層に対してパターンの寸法補正を含む電子ビーム描画を行った後、該レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることによって、該遮光膜パターンを形成するための電子ビーム描画装置において、補正の対象となる描画パターン領域を、フォギー効果補正用のメッシュと、該フォギー効果補正用メッシュより細かい近接効果補正用のメッシュで分割し、各メッシュに対して、描画パターンの面積占有率を求め、各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める初回計算を行い、前回の計算によって求められた露光量に基づいてフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める再計算を行い、再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返すことにより、近接効果及びフォギー効果による描画パターンの寸法誤差を補正する補正露光量を求め、補正露光情報を記憶する補正情報記憶部と、描画パターン情報を記憶するパターン情報記憶部と、描画パターン情報のうちの補正の対象となる描画領域のパターン情報と、補正露光情報とを用い、近接効果及びフォギー効果による描画パターンの寸法誤差を補正したパターンを電子線描画する描画機本体とを有し、初回計算及び再計算において、各メッシュ毎に現像しきい値及びエッチング変換差の面内分布から算出したレジスト寸法補正値を指定することにより、描画パターンの粗密依存特性を面内で一定に保ちつつ、現像の面内均一性を補正し、エッチング後の面内均一性を向上させることを特徴とするものである。
〔構成8〕
構成7を有する電子ビーム描画装置において、補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、再計算(k回目)は、以下の第2式によって行うことを特徴とするものである。
第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
第2式:Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))}
ただし、第1式及び第2式においては、以下の(a)、(b)を適用する。
(a):Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
(b):Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
また、第1式及び第2式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
(c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
〔構成9〕
構成7を有する電子ビーム描画装置において、補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、1回目の再計算は、以下の第3式及び第4式によって行い、再計算2回目以降は、以下の第5式によって行うことを特徴とするものである。
第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
第3式:
Ds1 m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebp1 m,n+ηf・Fbp1 k,l))}
DsF1 m,n=Ds1−C(Ds0−Ds1)
(ここで、Cは、0以上1未満のフィードバック係数)
第4式:
Ebp1 m,n=ΣΣDs0 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
Fbp1 k,l=ΣΣE0 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
第5式:
Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・EbpFk m,n+ηf・FbpFk k,l))}
DsFk m,n=DsFk-1−C(DsFk-1−Dsk)
EbpFk m,n=ΣΣDsFk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
FbpFk k,l=ΣΣEFk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
(EbpFk m,n、FbpFk k,lはフィードバック方式用蓄積エネルギー密度)
ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
また、第3式、第4式及び第5式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
(c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
〔構成10〕
構成7乃至構成9のいずれか一を有する電子ビーム描画装置において、初回計算においては、各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーから、フォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを縮小して用い、再計算においては、前回の計算で求められた露光量に基づいたフォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを固定して計算することを特徴とするものである。
〔構成11〕
構成7乃至構成9のいずれか一を有する電子ビーム描画装置において、初回計算により求められる露光量は、近接効果もフォギー効果もない場合において所望の寸法の描画パターンが形成される基準ドーズに、近接効果補正の変調量を乗じ、さらに、フォギー補正の変調量を乗じたものであることを特徴とするものである。
本発明に係る電子ビーム描画方法においては、近接効果とフォギー効果との両者を考慮した高精度の描画パターンの寸法補正が可能である。
また、本発明においては、感度の面内補正のみでは変動してしまうパターンの粗密等による寸法特性を変動させないようにすることができ、レジスト段階での面内均一性を向上させることができる。さらに、本発明においては、エッチング段階での面内均一性を向上させることもできる。
すなわち、本発明は、近接効果とフォギー効果との両者を考慮した高精度の描画パターンの寸法補正が可能であり、また、描画パターンの粗密等による寸法特性の変動を防止し、さらに、レジスト段階での面内均一性を向上させることができる電子ビーム描画方法及び電子ビーム描画装置を提供することができるものである。
また、本発明は、前記電子ビーム描画方法及び電子ビーム描画装置を用いてリソグラフィマスクを製造することにより、寸法精度の高いマスクパターンを有するリソグラフィマスクの製造方法を提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本発明に係る電子ビーム描画方法は、半導体装置や液晶表示装置等の製造工程において、基板上に形成されたレジスト膜に対して所定のパターンを電子ビームによって描画する方法であり、近接効果及びフォギー(Foggy)効果によって生ずる寸法誤差を補償して、描画されるパターンの寸法制御を行うものである。
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明に係る電子ビーム描画方法の第1の実施の形態として、近接効果補正(PEC)とフォギー効果補正とを統合した描画パターンの寸法補正の基本部分について説明する。これは、近接効果及びフォギー効果の両者を考慮した多重計算手法に関するものである。
なお、以下の実施の形態においては、描画装置としては、50kVの電子ビームにより描画を行う装置を用いているものとして説明している。
補正対象となる描画パターンを、フォギー効果補正用の粗いメッシュ(以下、フォギーメッシュという。本実施の形態では、1mm角(四方)である。)と近接効果補正用の細かいメッシュ(以下、近接効果補正メッシュという。本実施の形態では、0.5μm角(四方)である。)で分割する。なお、フォギーメッシュは近接効果補正メッシュに比べて粗くすることにより、計算を高速化することができるため、実用上好ましいが、フォギーメッシュを近接効果補正メッシュと同じ大きさとすることもできる。
それぞれのメッシュの大きさは、それぞれの影響範囲(フォギー効果で約30mm、近接効果で約15μm)に対して、十分に小さいと考えられる大きさとする。
まず、初回計算手法について説明する。
各フォギーメッシュ及び近接効果補正メッシュに対して、描画されるパターンが占める面積の割合SdFk,l,SdPm,nを求める。
すなわち、SdFk,lは、フォギーメッシュk,lにおける描画面積密度であり、SdPm,nは、近接効果補正メッシュm,nにおける描画面積密度である。
そして、フォギー及び後方散乱について、計算対象メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーFbp0 k,l,Ebp0 m,nを、以下の〔式7〕により計算する。
Fbp0 k,l=ΣΣ(DaSdFk+i,l+j・Fidi,j)/ΣΣDa・Fidi,j
Ebp0 m,n=ΣΣ(DaSdPm+i,n+j・Eidi,j)/ΣΣDa・Eidi,j
・・・・・・(式7)
ここで、計算範囲(I,jの範囲)は、フォギーや近接効果の影響範囲が十分に含まれるように設定する。
また、Daは、補正無しの露光量(基準ドーズ)であり、Fbp0 k,lは、初回計算用のフォギー効果による蓄積エネルギー密度であり、Ebp0 m,nは、初回計算用の近接効果による蓄積エネルギー密度であり、Fidi,jは、入射電子が周辺区画(i,j)に与えるフォギー電子エネルギー強度の分布であり、Eidi,jは、入射電子が周辺区画(i,j)に与える近接効果電子エネルギー強度の分布である。
なお、基準ドーズDaとは、フォギーと近接効果補正を無視できる状況下で所望の寸法に仕上がる露光量を意味している。
全面塗りつぶしの場合において、計算範囲が効果範囲に比べて大きければ、蓄積エネルギーFbp0 k,l,Ebp0 m,nは、それぞれ1となる。
求められた蓄積エネルギーFbp0k,l,Ebp0m,nより、近接効果補正メッシュm,nにおける初回計算による露光量Dsm,nを、以下の第1式〔式8〕により求める。なお、近接効果補正メッシュm,nは、フォギーメッシュk,lの内部に含まれるとする。
Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
・・・・・・(式8)
ここで、Ds0 m,nは、補正露光量であり、Daは、〔式7〕と同じく基準ドーズであり、Ethは、現像しきい値である。また、ηeは、後方散乱計数(前方散乱と後方散乱のエネルギー比)であり、ηfは、前方散乱とフォギー効果とのエネルギー比である。
図1は、第1の実施の形態の初回計算の概念図である。
この図1に示すように、第1の実施の形態では、後方散乱成分とフォギー成分とを合計したオフセット成分を考える。
補正後は、前方散乱成分(立ち上がりのある部分)、後方散乱成分、そして、フォギー成分も一定の比率で縮小させた状態で、後方散乱もフォギー成分も無視できるパターンと寸法が一致できるようにする。この縮小補正は、計算を高速化するのに有効であるため、実用上行うことが好ましいが、行わなくてもよい。
そして、再計算(k回目)は、以下の第2式〔式9〕によって行う。
Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))}
Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
・・・・・・(式9)
ただし、Fpbk k,lについては、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、次にこれを計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度Ek-1を用いる必要がある。
この再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返す。
図2は、第1の実施の形態の再計算の概念図である。
この図2に示すように、第1の実施の形態においては、後方散乱成分とフォギー成分とを合計したオフセット成分を考えている。
初回計算では、前方散乱成分(立ち上がりのある部分)、後方散乱成分及びフォギー成分を一定の比率で縮小させた状態で、後方散乱もフォギー成分も無視できるパターンと寸法が一致できるようにした。
再計算では、後方散乱成分とフォギー成分とを合計したオフセット成分を固定したまま、前方散乱成分の強度(Ds)を調整することにより、後方散乱もフォギー成分も無視できるパターンと寸法が一致できるようにした。
〔第1の実施の形態の効果〕
本実施の形態においては、フォギー効果と近接効果との両者を考慮した高精度の補正が可能である。そして、後述する第2の実施の形態に比較すると、計算に必要となる記憶素子の記憶容量が小さくて済み、計算機資源を節約することができる。
〔第2の実施の形態〕
この第2の実施の形態において、初回計算までについては、前述した第1の実施の形態と同様である。
そして、再計算1回目については、以下の第3式〔式10〕及び第4式〔式11〕を用いて行う。
なお、第1の実施の形態における計算方式を単純再計算方式と称し、第2の実施の形態の計算方式をフィードバック再計算方式と称する。
Ds1 m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebp1 m,n+ηf・Fbp1 k,l))}
DsF1 m,n=Ds1−C(Ds0−Ds1)
・・・・・・(式10)
ここで、Cは、フィードバック係数であり、通常は0.7である。
Ebp1 m,n=ΣΣDs0 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
Fbp1 k,l=ΣΣE0 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
・・・・・・(式11)
ここで、Fpb1 k,lについては、初回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、次に、これを計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度E0 k,lを用いる必要がある。
再計算2回目以降は、以下の第5式〔式12〕に示すように、フィードバック方式用蓄積エネルギー密度EbpFk m,n及びFbpFk k,lの算出に、前回のフィードバック再計算方式の結果を用いる。
Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・EbpFk m,n+ηf・FbpFk k,l))}
DsFk m,n=DsFk-1−C(DsFk-1−Dsk)
EbpFk m,n=ΣΣDsFk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
FbpFk k,l=ΣΣEFk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
・・・・・・(式12)
この再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返す。なお、この方式では、前回の露光量を記憶しておく必要がある。
図3は、第2の実施の形態の再計算の概念図である。
この図3に示すように、この第2の実施の形態において、後方散乱成分とフォギー成分とを合計したオフセット成分を固定するのは、第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態では、再計算において、前方散乱成分の強度として、後方散乱もフォギー成分も無視できるパターンと寸法が一致できる値Ds1を用いた。しかし、この第2の実施の形態においては、このDsとDs1との差をとり、この差(変動量)に、0以上1未満の一定の値を乗じて、もとのDsに加算したDs1´を結果として用いる。
すなわち、この実施の形態においては、計算の仮定として、オフセット成分を固定しているが、実際には、露光量が変動すれば、オフセット成分も変動することになる。したがって、Ds1が過補正の状態になるのに対し、この実施の形態におけるDs1´は、過補正の状態を回避することができる。これは、フィードバック回路の収束性を高めるためのフィードバック係数のアナロジーと言える。
〔第2の実施の形態の効果〕
本実施の形態においては、フォギー効果と近接効果との両者を考慮した高精度の補正が可能であり、前述した第1の実施の形態に比較して、解の収束性に優れている。同程度の精度を得るために、第1の実施の形態の1/3程度の再計算回数で済むこととなる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、前述した第1の実施の形態、または、第2の実施の形態の使用を前提として、現像均一性の補正を組み込む方法である。描画装置としては、50kVの電子ビームにより描画を行う装置を用いているものとして説明する。
まず、補正対象となる描画パターンを、フォギーメッシュ(本実施の形態では1mm角(四方))と近接効果補正メッシュ(本実施の形態では0.5μm角(四方))によって分割する。
現像の面内分布(不均一性)は、面内の感度、または、現像しきい値が変動することに起因する。そこで、面内で孤立パターンが所望の寸法に仕上がる基準露光量の分布を求め、これを、フォギーメッシュ毎に割り当てる。現像均一性は、mmオーダーの領域で記述できる現象だからである。
以下、フォギーメッシュ毎に基準露光量を割り当てた場合の計算方法について説明する。
なお、この例では、第1の実施の形態の方法を用いることとする。
まず、初回計算手法について説明する。
各フォギーメッシュ及び近接効果補正メッシュに対して、描画される面積の割合SdF k,l,SdP m,nを求める。すなわち、SdF k,lは、フォギーメッシュk,lの描画面積密度であり、SdP m,nは、近接効果補正メッシュm,n毎の描画面積密度である。
フォギー成分及び後方散乱について、以下の〔式13〕により、計算対象メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算する。
ここでは、フォギーメッシュの中に近接効果補正メッシュが存在している場合である。
Fbp0 k,l=ΣΣ(Dak+i,l+j・SdF k+i,l+j・Fidi,j)/ΣΣDak,l・Fidi,j
Ebp0 m,n=ΣΣ(Dak,l・SdP m+i,n+j・Eidi,j)/ΣΣDak,l・Eidi,j
・・・・・・(式13)
ここで、Fbp0 k,lは、初回計算用フォギー効果による蓄積エネルギー密度であり、Ebp0 m,nは、初回計算用近接効果による蓄積エネルギー密度であり、Dak,lは、フォギーメッシュk,lの基準露光量である。また、Fidi,jは、入射電子が周辺区画(i,j)に与えるフォギー電子エネルギー強度の分布であり、Eidi,jは、入射電子が周辺区画(i,j)に与える近接効果電子エネルギー強度の分布である。
フォギーメッシュk,lでの現像しきい値をEth k,lとすると、Dak,lは、以下の〔式14〕で表される。
Dak,l=Da・Eth k,l/Eth
・・・・・・(式14)
ここで、Daは、補正無しの露光量の平均値(基準ドーズ)であり、Ethは、基準ドーズDaにより所望の寸法のパターンが得られる現像しきい値である。
なお、計算範囲(I,jの範囲)は、フォギー効果や近接効果の影響範囲が十分に含まれるように設定する。全面塗りつぶしの場合において、計算範囲が効果範囲に比べて大きければ、Ebp0 m,nは、1となる。
求められたFbp0 k,lとEbp0 m,nより、近接効果補正メッシュm,nにおける初回計算による露光量Dsm,nは、以下の〔式15〕により求められる。なお、近接効果補正メッシュm,nは、フォギーメッシュk,lの内部に含まれるとする。
Ds0 m,n=Dak,l/{1+(Dak,l/Eth k,l)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
・・・・・・(式15)
ここで、Ds0 m,nは、近接効果補正メッシュm,nにおける補正露光量であり、Dak,lは、フォギーメッシュk,lにおける基準ドーズであり、Eth k,lは、フォギーメッシュk,lでの現像しきい値である。また、ηeは、後方散乱計数(前方散乱と後方散乱とのエネルギー比)であり、ηfは、前方散乱とフォギー効果とのエネルギー比である。
そして、再計算(k回目)は、以下の〔式16〕によって行う。
Dsk m,n=Dak,l{1−(Dak,l/Eth k,l)(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))}
Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDak,l・Eidi,j
Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
・・・・・・(式16)
ただし、Fpbk k,lについては、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、次に、これを計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度Ek-1を用いる必要がある。
この再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返す。
なお、この実施の形態では、各フォギーメッシュ毎に異なる描画パラメータが入力可能な描画装置を用いる必要がある。パラメータの入力例としては、「Da,ηe,ηf,Eth k,l」(組み合わせ1)のマップ、もしくは、「Dak,lのマップ,ηep k,lのマップ,ηfp k,lのマップ」(組み合わせ2)が考えられる。
〔第3の実施の形態の効果〕
本実施の形態においては、フォギー効果と近接効果との両者を考慮した高精度の補正が可能であり、さらに、感度の面内補正のみでは変動してしまうパターンの粗密等による寸法特性を変動させないようにすることができる。したがって、レジスト段階での面内均一性を向上させることができる。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態は、各フォギーメッシュ毎に露光パラメータを入力できる描画装置の使用を前提として、前述の第3の実施の形態において、エッチング均一性の補正を組み込む方法である。
エッチングの面内分布(不均一性)は、レジストの面内分布が無視できる状態、すなわち、前述の第3の実施の形態を実施した状態では、エッチング変換差の面内分布と言える。
したがって、均一なエッチング分布を得るには、レジスト寸法にエッチング変換差を相殺する面内分布を持たせる必要がある。
まず、補正対象となる描画パターンを、フォギーメッシュ(本実施の形態では1mm角(四方))で分割する。
そして、エッチング変換差の面内分布から、各フォギーメッシュにおけるレジストパターンの補正量を算出する。例えば、あるフォギーメッシュにおいて、平均値より5nm太く仕上がるとすれば、レジストの寸法目標値は、平均より5nm細く仕上げる。
このような方法により、レジスト寸法補正値ΔLのマップを決定する。
すなわち、各フォギーメッシュに対し、基準ドーズと装置入力値を、以下の〔式17〕に示すように定める。
Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
ηep k,l=ηe{X0/(X0−ΔL)}
ηfp k,l=ηf{X0/(X0−ΔL)}
・・・・・・(式17)
ここで、Dak,lは、各フォギーメッシュk,lにおける基準ドーズであり、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能込みのビームだれを示し、ηep k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける後方散乱パラメータ(装置入力値)であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfp k,lは、各フォギーメッシュk,lにおけるフォギーパラメータ(装置入力値)であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
なお、この例では、第1の実施の形態の方法を用いることとする。
まず、初回計算手法について説明する。
各フォギーメッシュ及び近接効果補正メッシュに対して、描画される面積の割合SdF k,l,SdP m,nを求める。SdF k,lは、フォギーメッシュk,lにおける描画面積密度であり、SdP m,nは、近接効果補正メッシュm,n毎の描画面積密度である。
フォギー成分及び後方散乱について、以下の〔式18〕に示すように、計算対象メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算する。
ここでは、フォギーメッシュの中に近接効果補正メッシュが存在している場合である。
Fbp0 k,l=ΣΣ(Dak+i,l+j・SdF k+i,l+j・Fidi,j)/ΣΣDak,l・Fidi,j
Ebp0 m,n=ΣΣ(Dak,l・SdP m+i,n+j・Eidi,j)/ΣΣDak,l・Eidi,j
・・・・・・(式18)
ここで、Dak,lは、フォギーメッシュk,lにおける基準ドーズであり、Fbp0 k,lは、初回計算用のフォギー効果による蓄積エネルギー密度であり、Ebp0 m,nは、初回計算用の近接効果による蓄積エネルギー密度であり、Fidi,jは、入射電子が周辺区画(i,j)に与えるフォギー電子エネルギー強度の分布であり、Eidi,jは、入射電子が周辺区画(i,j)に与える近接効果電子エネルギー強度の分布である。
計算範囲(I,jの範囲)は、フォギー効果や近接効果の影響範囲が十分に含まれるように設定する。全面塗りつぶしの場合で、計算範囲が効果範囲に比べて大きければ、Ebp0 m,nは、1となる。
求められたフォギー効果による蓄積エネルギー密度Fbp0 k,l及び近接効果による蓄積エネルギー密度Ebp0 m,nより、近接効果補正メッシュm,nにおける初回計算による露光量Dsm,nを以下の〔式19〕により求める。なお、近接効果補正メッシュm,nはフォギーメッシュk,lの内部に含まれるとする。
Ds0 m,n=Dak,l/〔1+{X0/(X0−ΔL)}(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)〕
・・・・・・(式19)
ここで、Ds0 m,nは、補正露光量であり、ηeは、後方散乱計数(前方散乱と後方散乱とのエネルギー比)であり、ηfは、前方散乱とフォギー効果とのエネルギー比である。
そして、再計算(k回目)は、以下の〔式20〕によって行う。
Dsk m,n=Dak,l〔1−{X0/(X0−ΔL)}(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))〕
Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDak,l・Eidi,j
Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
・・・・・・(式20)
ただし、Fpbk k,lについては、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、次に、これを計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度Ek-1を用いる必要がある。
この再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返す。
なお、この実施の形態では、各フォギーメッシュ毎に異なる描画パラメータが入力可能な描画装置を用いている。パラメータの入力例としては、「Da,ηe,ηf,Eth k,l」(組み合わせ1)のマップ、もしくは、「Dak,lのマップ,ηep k,lのマップ,ηfp k,lのマップ」(組み合わせ2)が考えられる。
〔第4の実施の形態の効果〕
本実施の形態においては、フォギー効果と近接効果との両者を考慮した高精度の補正が可能であり、さらに、感度の面内補正のみでは変動してしまうパターンの粗密等による寸法特性を変動させないようにすることができる。したがって、レジスト段階での面内均一性を向上させることができる。
また、露光量を制御しているので、後述する第5の実施の形態に比較して、描画やデータのグリッドに依存しない高精度での補正が可能である。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態は、各フォギーメッシュ毎に露光パラメータを入力できる描画装置の使用を前提として、前述の第3の実施の形態において、エッチング均一性の補正を組み込む方法である。
エッチングの面内分布(不均一性)は、レジストの面内分布が無視できる状態、すなわち、前述の第3の実施の形態を実施した状態では、エッチング変換差の面内分布と言える。
したがって、均一なエッチング分布を得るには、レジスト寸法にエッチング変換差を相殺する面内分布を持たせる必要がある。
まず、補正対象となる描画パターンを、フォギーメッシュ(本実施の形態では1mm角(四方))で分割する。
そして、エッチング変換差の面内分布から、各フォギーメッシュにおけるレジストパターンの補正量を算出する。例えば、あるフォギーメッシュにおいて、平均値より5nm太く仕上がるとすれば、レジストの寸法目標値は、平均より5nm細く仕上げる。
このような方法により、レジスト寸法補正値ΔLのマップを決定する。
図4は、描画パターンの元データとサイジングマップとの対応関係を示す概念図である。
図4中の(a)に示す元データ(設計データ)の分布に対応して、図4中の(b)に示すように、ΔLの値に対応して、フォギーメッシュ毎に、レイヤ(Layer)を変えたマップデータを作成する。
そして、元データとマップデータにおける特定レイヤとの論理和(AND)をとり、特定レイヤにおいて指定されているΔLにより、サイジング処理を行う。
この処理を順次繰り返すことにより、サイジング処理が異なるデータを作成していく。
このサイジング処理が終了したら、データを合成し、描画データを作成する。
このように作成された描画データを用いて、前述の第3の実施の形態における描画装置を用いて、描画を行う。
〔第5の実施の形態の効果〕
本実施の形態においては、フォギー効果と近接効果の両者を考慮した高精度の補正が可能であり、さらに、感度の面内補正のみでは変動してしまうパターンの粗密等による寸法特性を変動させないようにすることができる。そして、エッチング段階での面内均一性を向上させることができる。
この実施の形態においては、前述の第4の実施の形態に比較して、描画装置で行う計算量が少なくて済む。また、描画装置は、第3の実施の形態において使用する描画装置に相当する装置であり、簡易である。
〔第6の実施の形態〕
前述の第1の実施の形態及び第2の実施の形態における初回計算式については、初期値であるので、精度をあまり高くせずとも、その後の計算回数が多ければ収束する。
したがって、この初期値は、従来より用いられている以下の〔式21〕のような露光量計算によって求めることも可能である。
〔実際の露光量〕
=〔基準ドーズ〕×〔近接効果補正の変調量〕×〔フォギー効果補正の変調量〕
・・・・・・(式21)
〔第7の実施の形態〕
本実施の形態は、前述の第1乃至第6の実施の形態に係る電子ビーム描画方法を、半導体製造用のフォトマスクの製造方法に適用したものである。
本実施の形態においては、まず、透明基板(152.4mm角(四方))上に遮光膜を有するフォトマスクブランクに遮光膜パターンを形成するために塗布されたレジス卜層に対し、第1の実施の形態における電子ビーム描画方法を用いて、面内に粗密差を有する微細パターンの描画を施す。
次いで、レジス卜層を現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングし、残存レたレジストパターンを剥離することによって、フォトマスクの製造が行われる。
その結果、第1の実施の形態の電子ビーム描画方法によって得られる効果により、極めて寸法精度の高い遮光膜パターンを有するフォトマスクを製造することができる。
また、第2乃至6の実施の形態における電子ビーム描画方法を用いた場合も同様に、それぞれの実施の形態の電子ビーム描画方法によって得られる効果により、極めて寸法精度の高い遮光膜パターンを有するフォトマスクを製造することができる。
なお、本実施の形態においては、遮光膜パターンをマスクパターンとして有するフォトマスクの製造方法について述べているが、他のリソグラフィマスクの製造に適用してもよい。例えば、他のフォトマスクとして、位相シフト層をマスクパターンとして備える位相シフトマスクや、光露光用であるフォトマスクに限らず、X線露光のためのマスクや、電子線露光のためのマスクの製造にも用いることができ、また、透過型、反射型等、マスクの方式も問わず適用することができる。
〔第8の実施の形態〕
本実施の形態は、前述の第1乃至第6の実施の形態に係る電子ビーム描画方法を実施するための電子ビーム描画装置である。なお、図6は、本実施の形態の電子ビーム描画装置の模式図である。
本実施の形態の装置においては、図6のように、被露光体に対する描画パターンデータが記憶されているパターン情報記憶部1と、前述の第1乃至第6の実施の形態において求めた補正露光量を算出するためのコンピュータ2と、その算出されたデータを記憶するストレージ3を有する補正情報記憶部4と、パターン情報記憶部1から出力される補正対象の描画領域に含まれるパターン情報(パターン形状及びパターン位置)と補正情報記憶部4のストレージ3から出力される予め算出されたそのパターンに対する補正情報とにより補正露光量を制御する描画コントローラ5と、電子線6を放出する露光ヘッド7と、被露光体8を載置するステージ9と、露光機本体10とにより、主に構成されている。
本実施の形態による電子ビーム露光装置によれば、第1乃至第6の実施の形態の電子ビーム露光方法によって得られる効果により、極めて寸法精度の高いパターンを描画することができる。
本発明に係る電子ビーム描画方法の第1の実施の形態の初回計算の概念図である。 本発明に係る電子ビーム描画方法の第1の実施の形態の再計算の概念図である。 本発明に係る電子ビーム描画方法の第2の実施の形態の再計算の概念図である。 本発明に係る電子ビーム描画方法の第5の実施の形態における描画パターンの元データとサイジングマップとの対応関係を示す概念図である。 レジスト上に描画されるパターンを示す平面図である。 本発明に係る第8の実施の形態の電子ビーム描画装置の模式図である。 従来の電子ビーム描画方法における初回計算の概念図である。 従来の電子ビーム描画方法における再計算の概念図である。
符号の説明
1 パターン情報記憶部
2 コンピュータ
3 ストレージ
4 補正情報記憶部
5 描画コントローラ
6 電子線
7 露光ヘッド
8 被露光体
9 ステージ
10 露光機本体

Claims (11)

  1. 透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクに遮光膜パターンを形成するための電子ビーム描画方法であって、
    該遮光膜上に塗布されたレジスト層に対して前記パターンの寸法補正を含む電子ビーム描画を行った後、該レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることによって、該遮光膜パターンを形成するための電子ビーム描画方法において、前記補正の対象となる描画パターン領域を、フォギー効果補正用のメッシュと、該フォギー効果補正用メッシュより細かい近接効果補正用のメッシュで分割し、
    前記各メッシュに対して、描画パターンの面積占有率を求め、前記各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める初回計算を行い、
    前回の計算によって求められた露光量に基づいてフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める再計算を行い、
    前記再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返すことにより、近接効果及びフォギー効果による描画パターンの寸法誤差を補正する補正露光量を求め、
    前記補正露光量を用いてパターンを描画する工程を有し、
    前記初回計算及び前記再計算において、前記各メッシュ毎に現像しきい値及びエッチング変換差の面内分布から算出したレジスト寸法補正値を指定することにより、描画パターンの粗密依存特性を面内で一定に保ちつつ、現像の面内均一性を補正し、エッチング後の面内均一性を向上させる
    ことを特徴とする電子ビーム描画方法。
  2. 前記補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、
    再計算(k回目)は、以下の第2式によって行う
    ことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画方法。
    第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
    第2式:Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))}
    ただし、前記第1式及び第2式においては、以下の(a)、(b)を適用する。
    (a):Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
    (b):Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
    ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
    また、前記第1式及び第2式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
    (c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
    ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
  3. 前記補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、
    1回目の再計算は、以下の第3式及び第4式によって行い、
    再計算2回目以降は、以下の第5式によって行う
    ことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画方法。
    第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
    第3式:
    Ds1 m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebp1 m,n+ηf・Fbp1 k,l))}
    DsF1 m,n=Ds1−C(Ds0−Ds1)
    (ここで、Cは、0以上1未満のフィードバック係数)
    第4式:
    Ebp1 m,n=ΣΣDs0 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
    Fbp1 k,l=ΣΣE0 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
    第5式:
    Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・EbpFk m,n+ηf・FbpFk k,l))}
    DsFk m,n=DsFk-1−C(DsFk-1−Dsk)
    EbpFk m,n=ΣΣDsFk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
    FbpFk k,l=ΣΣEFk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
    (EbpFk m,n、FbpFk k,lはフィードバック方式用蓄積エネルギー密度)
    ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
    また、前記第3式、第4式及び第5式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
    (c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
    ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
  4. 前記初回計算においては、前記各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーから、フォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを縮小して用い、前記再計算においては、前回の計算で求められた露光量に基づいたフォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを固定して計算することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電子ビーム描画方法。
  5. 前記初回計算により求められる露光量は、近接効果もフォギー効果もない場合において所望の寸法の描画パターンが形成される基準ドーズに、近接効果補正の変調量を乗じ、さらに、フォギー補正の変調量を乗じたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の電子ビーム描画方法。
  6. 基板上にマスクパターンが形成されたリソグラフィマスクを製造するリソグラフィマスクの製造方法であって、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の電子ビーム描画方法を用いて、マスクパターンを形成するためのレジスト層にパターン描画を施す工程を有することを特徴とするリソグラフィマスクの製造方法。
  7. 透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクに遮光膜パターンを形成する電子ビーム描画装置であって、
    該遮光膜上に塗布されたレジスト層に対して前記パターンの寸法補正を含む電子ビーム描画を行った後、該レジスト層を現像してレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることによって、該遮光膜パターンを形成するための電子ビーム描画装置において、前記補正の対象となる描画パターン領域を、フォギー効果補正用のメッシュと、該フォギー効果補正用メッシュより細かい近接効果補正用のメッシュで分割し、
    前記各メッシュに対して、描画パターンの面積占有率を求め、前記各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める初回計算を行い、
    前回の計算によって求められた露光量に基づいてフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーを計算し、求められた蓄積エネルギーに基づき、フォギー効果及び近接効果の影響が無視できるパターンに対して寸法が一致するような近接効果補正用のメッシュにおける露光量を求める再計算を行い、
    前記再計算を、所望の寸法精度に達するまで繰り返すことにより、近接効果及びフォギー効果による描画パターンの寸法誤差を補正する補正露光量を求め、前記補正露光情報を記憶する補正情報記憶部と、
    描画パターン情報を記憶するパターン情報記憶部と、
    前記描画パターン情報のうちの前記補正の対象となる描画領域のパターン情報と、前記補正露光情報とを用い、近接効果及びフォギー効果による描画パターンの寸法誤差を補正したパターンを電子線描画する描画機本体と
    を有し、
    前記初回計算及び前記再計算において、前記各メッシュ毎に現像しきい値及びエッチング変換差の面内分布から算出したレジスト寸法補正値を指定することにより、描画パターンの粗密依存特性を面内で一定に保ちつつ、現像の面内均一性を補正し、エッチング後の面内均一性を向上させる
    ことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  8. 前記補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、
    再計算(k回目)は、以下の第2式によって行う
    ことを特徴とする請求項7記載の電子ビーム描画装置。
    第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
    第2式:Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebpk m,n+ηf・Fbpk k,l))}
    ただし、前記第1式及び第2式においては、以下の(a)、(b)を適用する。
    (a):Ebpk m,n=ΣΣDsk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
    (b):Fbpk k,l=ΣΣEk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
    ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
    また、前記第1式及び第2式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
    (c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
    ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
  9. 前記補正露光量を求める際、初回計算による補正露光量Ds0 m,nを以下の第1式により求め、
    1回目の再計算は、以下の第3式及び第4式によって行い、
    再計算2回目以降は、以下の第5式によって行う
    ことを特徴とする請求項7記載の電子ビーム描画装置。
    第1式:Ds0 m,n=Da/{1+(Da/Eth)(ηe・Ebp0 m,n+ηf・Fbp0 k,l)}
    第3式:
    Ds1 m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・Ebp1 m,n+ηf・Fbp1 k,l))}
    DsF1 m,n=Ds1−C(Ds0−Ds1)
    (ここで、Cは、0以上1未満のフィードバック係数)
    第4式:
    Ebp1 m,n=ΣΣDs0 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
    Fbp1 k,l=ΣΣE0 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
    第5式:
    Dsk m,n=Da{1−(Da/Eth)(ηe・EbpFk m,n+ηf・FbpFk k,l))}
    DsFk m,n=DsFk-1−C(DsFk-1−Dsk)
    EbpFk m,n=ΣΣDsFk-1 n+i,m+j・Sdn+i,m+j・Eidi,j/ΣΣDa・Eidi,j
    FbpFk k,l=ΣΣEFk-1 n+i,m+j・Fidi,j/ΣΣDa・Fidi,j
    (EbpFk m,n、FbpFk k,lはフィードバック方式用蓄積エネルギー密度)
    ここで、Ek-1は、前回計算の露光量より計算メッシュ内の総露光量を算出し、該計算メッシュの面積で割った結果である計算メッシュ内の平均露光密度であり、Sdは、該メッシュに対して描画されるパターンが占める面積の割合である。
    また、前記第3式、第4式及び第5式において、フォギーメッシュk,lに対する、基準ドーズDaとしては、以下の(c)により求めたDak,lを適用する。
    (c):Dak,l=2・Eth k,l{X0/(X0−ΔL)}
    ここで、Eth k,lは、各フォギーメッシュk,lにおける現像しきい値であり、X0は、レジスト性能を織り込んだ、ビーム周縁部の露光量減少量であり、ηeは、前方散乱に対する後方散乱の割合であり、ηfは、前方散乱に対するフォギーの割合である。
  10. 前記初回計算においては、前記各メッシュに対する補正を全く行わない状態で露光した場合のフォギー効果及び近接効果による蓄積エネルギーから、フォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを縮小して用い、前記再計算においては、前回の計算で求められた露光量に基づいたフォギー効果及び近接効果の影響による蓄積エネルギーを固定して計算することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一に記載の電子ビーム描画装置。
  11. 前記初回計算により求められる露光量は、近接効果もフォギー効果もない場合において所望の寸法の描画パターンが形成される基準ドーズに、近接効果補正の変調量を乗じ、さらに、フォギー補正の変調量を乗じたものであることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか一に記載の電子ビーム描画装置。
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