JPWO2013073694A1 - パターンを描画する方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
ミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正するための第1最適照射量と、ショートレンジ後方散乱による近接効果を補正するための第2最適照射量を別々に求め、これらからミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱の双方による近接効果を補正するための総合的な最適照射量を計算する。ショートレンジ後方散乱による近接効果を補正するための第2最適照射量は、ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量に応じて求められる。これにより、ビームを照射して試料上に所望パターンを描画する場合に、作用範囲の異なる複数の後方散乱による近接効果が引き起こす図形パターン(回路パターン)の寸法変化を低減するのに最適なビームの照射量を求めることができるようになる。
Description
本発明は、電子ビームあるいはイオンビーム等の描画用ビームによりマスク基盤などの試料上に所望のパターンを描画する方法及び装置並びにプログラム若しくは該プログラムを収容したコンピュータ読取り可能な記憶媒体に関する。特に、極端紫外線光によってウェハを露光するための光リソグラフィ用のフォトマスク(EUVマスク)を作成する場合に、作用範囲の異なる複数の後方散乱による近接効果が引き起こすパターンの寸法変化を低減するのに最適な描画用ビーム(例えば電子ビーム)の照射量を求める技術に関する。
半導体製造プロセスにおいては、半導体デバイスへ所望の寸法及び線幅の回路パターンを形成するために、高精度の原画パターン(レチクル又はフォトマスクとも呼ぶ)が必要とされている。こうした高精度の原画パターンを生成するものとして、レジスト膜が塗布されたガラスや金属等からなる基盤(マスク基盤と呼ぶ)の試料上に電子ビーム(電子線)を照射することによってパターンを描画する電子ビームリソグラフィ装置(描画装置)が従来から知られている。
上記電子ビーム描画装置においては、マスク基盤等の試料上に電子ビームが照射されると、試料上に形成されるレジストパターンの寸法を変動させる近接効果と呼ばれる影響が現われる。これは、照射された電子がレジストや金属基盤などと衝突することにより生ずる後方散乱電子によって、試料上の意図していない箇所にもビームが照射されてしまい、結果として主に回路パターンの疎密に応じてレジストパターンの線幅などに変化を生じさせてしまうといった不都合を生ずる。
そこで、上記の近接効果を補正する有効な方法の一つとして、近接効果によるレジストパターンの線幅変化などを低減するのに最適な電子ビームの照射量(最適照射量あるいは最適ドーズ量などと呼ばれる)を、回路パターンの疎密に応じて調整する照射量補正法が知られている。具体的には、回路パターンが密の箇所では実質的な電子ビームの照射量が超過するので照射時間を減らすように制御する一方で、回路パターンが疎の箇所では実質的な電子ビームの照射量が不足するので照射時間を増すように制御する。こうすることによって、近接効果によるレジストパターンの線幅変化を低減するようになっている。
ここで、従来知られている最適ドーズ量の求め方の一例を挙げるならば、例えば以下の数1に示すような近接効果補正方程式の解を求めればよい。すなわち、マスク基盤上のある評価点の座標(x,y)における最適ドーズ量は、以下に示す数1を満たすD(x,y)として決定される。これは、後方散乱による近接効果を考慮した実質的なビーム強度分布を畳み込み演算によって求め、該求めた実質的なビーム強度分布の合計が当該評価点での蓄積エネルギーの目標値である一定の解像閾値(定数Eth)より高い箇所が解像するという所謂「Threshold Method」の考え方を用いたモデルに基づく。
上記した数1の第1項は前方散乱による近接効果が寄与する分の蓄積エネルギーを表し、第2項は後方散乱が寄与する分の蓄積エネルギーを表す。数1に示されるk0は前方散乱成分の重み係数、kmは後方散乱成分の重み係数であって、これらは「k0+km=1.0」を満たす。F0は、前方散乱成分がパターン解像に寄与する率(0〜1)である。
また、上記数1に含まれるpsfm(x−x´,y−y´)は、ビームを或る任意の一点(x´,y´)に入射した時の或る評価点の位置(x,y)でのミドルレンジ後方散乱の分布関数を示す。すなわち、psfm関数は、一点に入射した電子ビームが後方散乱(ただし、後述するミドルレンジ後方散乱のみでありショートレンジ後方散乱は含まない)によって周囲に影響を与える最終的なエネルギーの分布を示す後方散乱の分布関数(PSF関数)であり、例えば数2に示したようなガウス分布で近似される。
上記した数2に示されるβmは後方散乱の影響範囲(後方散乱径とも呼ぶ)を表す所定値であり、具体的には電子ビームの加速電圧が20keVである装置の場合に2μm、電子ビームの加速電圧が50keVである装置の場合に10μm、電子ビームの加速電圧が100keVである装置の場合に32μmである。ここで、ガウス分布で近似される後方散乱の分布関数(ガウス分布関数)の定義域(作用範囲に該当する)は後方散乱径βmの4倍程度であり、また離散的に畳み込み演算する場合に必要とされる計算領域の大きさ(メッシュサイズと呼ぶ)は後方散乱径βmの10分の1〜20分の1程度である。一例として電子ビームの加速電圧が50keVである装置の場合、後方散乱径βmは10μmであることから、ガウス分布関数の定義域は40μm程度となり、メッシュサイズは0.5〜1μm程度となる。なお、以下では、電子ビームの加速電圧が50keVである一般的な描画装置を用いる場合を例に説明する。
上記数1に示した近接効果補正方程式の解を求める方法としては、例えば下記に示す特許文献1に記載の技術などがある。特許文献1に記載の方法は、試料をチップ単位で複数の小さな範囲の計算領域(例えば2μm・2μmのメッシュ)に区切り、照射量を設定する複数の矩形(試料上に形成する回路パターンを形成する各種図形をビーム照射単位に分割したもの)それぞれについて個別に計算する代わりに、各領域内に存在するパターンの総面積が同じである代表図形を用いて各々の領域範囲ごとにまとめて最適ドーズ量を求める方法である(代表図形法などと呼ばれる)。勿論、この代表図形法の他にも自己整合法や行列法などの方法も知られている。
レジストパターンの線幅に変化を生じさせてしまう原因として、上記した近接効果の他にフォギング効果がある。フォギング効果とは、レジスト膜の表面や基盤表面からの散乱電子が描画装置のカラムやチェンバによって反射されて、再びレジスト膜に到達してレジストを感光させる現象であり、描画装置の構造にもよるが約30mmの範囲にわたって影響を及ぼすものである。
そこで、こうしたマスク基盤への電子ビームの照射により生じ得る作用範囲の異なる2つの効果、具体的には作用範囲が40μm程度の後方散乱による近接効果と作用範囲が約30mm程度のフォギング効果とをあわせて補正する方法が知られている。その方法の1つとして、数3及び数4に示される式の解をそれぞれ求め、それら各式の解の積(つまりはde(x,y)・df(x,y))を最適ドーズ量に決定する方法が特許文献2の従来技術に開示されている。
上記数3に含まれるpsfe(x,y)は後方散乱分布関数であり、上記数4に含まれるpsff(x,y)はフォギング強度分布関数である。また、数3に示されるkeは後方散乱成分の重み係数(数1のkmと同じ)であり、数4に示されるkfはフォギング成分の重み係数である。
また、特許文献2には、後方散乱による近接効果とフォギング効果を補正した最適ドーズ量を決定するための有効な方法として、数5に示される式を解く方法も開示されている。この方法は、近接効果とフォギング効果を同時に計算し、それをもとにドーズ量計算を繰り返すことで数5に示される式の解を求めるものである。
特許文献2に記載されている上記数5に示される式を解く方法について簡単に説明する。前提として、繰り返し回数(k=0)のときにすべての座標(x,y)において最適ドーズ量D0(x,y)=1とする。最初に(k=1のとき)、数6に従ってドーズ量分布を算出する。
次に、数7に示すように、前記算出したドーズ量分布を元に近接効果及びフォギング効果の各強度を算出し、該算出した近接効果強度及びフォギング効果強度に従ってドーズ量を再計算する。
上記数7の計算を複数回(例えば、k=3〜5)繰り返すことによって得られるDk+1(x,y)を最適ドーズ量に決定する。
ところで、近年の半導体集積回路(LSI)のより一層の高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路寸法及び回路線幅は年々微細化されてきているが、上記電子ビーム描画装置で作成したフォトマスクを用いてArF(アルゴンフロライド)エキシマレーザを光源とする波長193nmのArF光によってウェハを露光するArFリソグラフィ装置では形成できるパターンサイズの限界に達しつつある。そこで、最近ではより微細なパターンを形成したいというユーザの要求に応えるべく、ArF光よりも波長の短い波長13.5nmの極端紫外線(Extreme Ultra Violet)光を使ってウェハを露光するEUVリソグラフィ装置が考えられている。
このEUVリソグラフィ装置で用いる光リソグラフィ用のフォトマスク(EUVマスク)を作成する場合においても、上述したような後方散乱による近接効果が生じることから、近接効果補正を行う必要がある。ただし、EUV用のマスク基盤の構造は、基盤上にモリブデンとシリコンを交互に成膜し、その上の吸収材をパターニングしたものとなっており、従来型のArF用のマスク基盤の構造とは異なっている。そのため、EUV用のマスク基盤に対して電子ビームを照射してパターンを描画するEUVマスク描画時に生じる電子散乱は、ArF用のマスク基盤に対して電子ビームを照射してパターンを描画するArFマスク描画時に生じる電子散乱とは傾向が異なる。
下記に示す非特許文献1によれば、EUV用のマスク基盤に対して電子ビームを照射することにより生じる電子散乱は、ArF用のマスク基盤に対して電子ビームを照射することにより生じる従来同様の後方散乱成分に加え、従来同様の後方散乱成分の後方散乱径よりも作用範囲(後方散乱径)の狭い別の後方散乱成分が存在することが示されている。この明細書では、従来同様の作用範囲が40μm程度の近接効果を引き起こす後方散乱成分を「ミドルレンジ後方散乱」と呼び、この「ミドルレンジ後方散乱」の後方散乱径よりも作用範囲の狭い近接効果、非特許文献1によると作用範囲が2μm程度である近接効果を引き起こす後方散乱成分を「ショートレンジ後方散乱」と呼んで区別する。
"Short-range Electron Backward scattering from EUV masks"(Proc of SPIE Vol.7748 774823-8)
上述の数1に示される近接効果補正方程式の解を求めることによって最適ドーズ量を決定する従来の方法は、単に「ミドルレンジ後方散乱」による近接効果を補正するものでしかなく、「ミドルレンジ後方散乱」による近接効果とは作用範囲の異なる「ショートレンジ後方散乱」による近接効果を補正することに関し何らの考慮もなされていない。そのため、従来の方法を上記EUVマスク作成時に生じ得る近接効果を補正するために用いたとしても、正確性に欠け十分な補正精度が得られない、という問題がある。また、作用範囲の異なる複数の後方散乱(ミドルレンジ及びショートレンジの各後方散乱)による近接効果を考慮する場合に、その近接効果補正の計算に莫大な時間がかかるとなると、装置の稼動効率の低下を招くこととなって時間制約の点から都合が悪い。
しかし、EUV用のマスク基盤などの試料上に電子ビームを照射して所望のパターンを描画する場合に生じ得る上記した作用範囲の異なる前記各後方散乱による近接効果を考慮したうえで、最適ドーズ量に関して正確且つ十分な補正精度が得られ且つその計算を高速に行うことのできる描画方法及び描画装置並びにプログラムは未だ提案されていない。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、電子ビームあるいはイオンビーム等の描画用ビームを用いてマスク基盤などの試料上に所望のパターンを描画する場合に生じ得る作用範囲の異なる複数の後方散乱による近接効果を考慮した上で、高速の処理速度つまりは計算スピードでかつ精度よく電子ビームの最適照射量を求めることのできる方法及び装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、試料上に所与のパターンを描画するためのビームの最適照射量を決定するための方法であって、前記所与のパターンを配置した描画エリアを複数の処理領域に分割するステップと、ここで、前記所与のパターンは前記複数の処理領域に対応して複数の部分に分割され、分割されたパターンの各部分が対応するいずれかの処理領域に割り当てられ、前記各処理領域毎に、前記ビームの後方散乱のうちミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量を求めるステップと、前記各処理領域毎に、前記ビームの後方散乱のうち作用範囲が前記ミドルレンジ後方散乱に比較して狭いショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量を、前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量に従い求めるステップと、前記第1最適照射量と前記第2最適照射量とに基づいて、前記各処理領域毎に、前記ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱の双方による近接効果を補正するための総合的な最適照射量を計算するステップとを備える方法を提供する。
本発明によれば、ミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正するための最適照射量(第1最適照射量)だけでなく、前記ミドルレンジ後方散乱と同時にビーム照射によって発生し得る作用範囲の異なる後方散乱であるショートレンジ後方散乱による近接効果を補正するための最適照射量(第2最適照射量)を求め、これらから前記ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱を含む後方散乱による近接効果を補正するための総合的な最適照射量を計算する。ミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正するための第1最適照射量とショートレンジ後方散乱による近接効果を補正するための第2最適照射量とはそれぞれを別々に求めるが、前記ミドルレンジ後方散乱に比較して作用範囲の狭いショートレンジ後方散乱による近接効果を補正するための第2最適照射量は、前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量に応じて求められる。このような、ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量だけでなく、ショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量をも加えて、近接効果による回路パターンの寸法変化を低減するのに最適なビーム照射量を求めるものは従来なかった。また、ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量を考慮しつつ、ショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量を独立して求めるようにすることで、高速の処理速度つまりは計算スピードでかつ精度よくビームの最適照射量を求めることができる。これにより、描画用ビームを照射することにより試料上に所望パターンを描画する場合における、ビーム照射に伴い生じ得る作用範囲の異なる複数の後方散乱による近接効果が引き起こす描画パターンの寸法変化を低減するのに最適な描画用ビームの照射量を高速の処理速度でかつ精度よく求めることができる、という効果を奏する。
本発明は方法の発明として構成し実施することができるのみならず、装置の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る描画方法を適用した描画装置の全体構成の一実施例を示す概念図である。ここに示された描画装置は一例としてフォトマスク製造のための電子ビーム描画装置を示したものであって、10は試料室、11はターゲット(マスク基盤)、12は試料台、20は電子光学鏡筒、21は電子銃、22a〜22eは各種レンズ系、23〜26は各種偏向系、27aはブランキング板、27b,27cはビーム成形用アパーチャマスクを示している。また、31は試料台駆動回路部、32はレーザ測長系、33は偏向制御回路部、34はブランキング制御回路部、35は可変成形ビーム寸法制御回路部、36はバッファメモリ及び制御回路部、37は制御計算部、38は最適照射量計算部、41はCADシステムを示している。
図1に示した電子ビーム描画装置の動作を簡単に説明すると、装置上方に配置された電子銃21からは電子ビームが試料台12に載置されたターゲット11へ向かって照射される。該照射された電子ビームは、ブランキング用偏向器23によりオン/オフされる。本装置はこの際の電子ビーム照射時間の長短を調整することによって、ターゲット11への照射位置に応じた電子ビームの照射量を変化させることのできるようになっている。
ブランキング板27aを通過した電子ビームは、ビーム成形用偏向器24及びビーム成形用アパーチャマスク27b,27cにより矩形ビームに成形されると共に、その矩形の寸法が可変される。そして、この矩形状に成形された電子ビームは走査用偏向器25,26によりターゲット11上で偏向走査され、このビーム走査によりターゲット11上に所望の回路パターンが描画されるものとなっている。
電子ビームの最適照射量(つまりは電子ビーム照射時間の長短)は、CADシステム41で作成された電子ビーム露光用のパターンデータに基づき最適照射量計算部38によって算出される。このとき、最適照射量は回路パターンを形成する各図形に関する情報とは別個に小さな領域(メッシュ)毎に設定される。この1つの領域につきエネルギー評価点として、例えば前記小さな領域(各メッシュ)毎に各領域の中心座標(x,y)が決められる。
最適照射量計算部38は例えばCPU、ROM、RAM等を含んでなるコンピュータであって、近接効果を補正して前記電子ビームの最適照射量を算出する。この最適照射量計算部38では、例えば下記に示す数8で表せる近接効果補正方程式を解くことによって、前記メッシュ(座標(x,y))毎の最適ドーズ量を決定する。
上記数8は、数1に相当する式つまりは「Threshold Method」の考え方を用いたモデルに基づいた近接効果補正方程式である。この数8の第1項は前方散乱による近接効果が寄与する分の蓄積エネルギーを、第2項の畳み込み演算式はミドルレンジ後方散乱が寄与する分の蓄積エネルギーを、第3項の畳み込み演算式はショートレンジ後方散乱が寄与する分の蓄積エネルギーを表している。また、上記数8の第2項に含まれるpsfm(x,y)はミドルレンジ後方散乱の分布関数を、kmはミドルレンジ後方散乱成分の重み係数を表す。一方、上記数8の第3項に含まれるpsfs(x,y)はショートレンジ後方散乱の分布関数を、ksはショートレンジ後方散乱成分の重み係数を表す。
本実施形態における最適照射量計算部38は、作用範囲の異なるミドルレンジ後方散乱による近接効果及びショートレンジ後方散乱による近接効果をあわせて補正した場合の最適ドーズ量として、上記数8を満たすD(x,y)を求めることにより決定する。上記数8を満たすD(x,y)を求める方法は、メモリ容量や計算速度などを考慮に入れる必要が特になければ、特許文献1や特許文献2に開示されているような公知のどのような方法によってもよい。ただし、実用上の観点からはメモリ容量や計算速度などを考慮に入れる必要があり、この点で従来においてミドルレンジ後方散乱による近接効果及びショートレンジ後方散乱による近接効果を共に考慮して最適ドーズ量を求めることはまったく考えられていなかったのである。
すなわち、上記数8を満たすD(x,y)を求めるには、数8が「Threshold Method」の考え方を用いたモデルに基づいた近接効果補正方程式であるとしても、上述の数1に示される近接効果補正方程式と異なって数8に示した近接効果補正方程式は2つの散乱項(数8の第2項及び第3項)を有するものであるがために、つまりはショートレンジ後方散乱が寄与する分の蓄積エネルギーを表す第3項を有するが故に、特許文献1に開示されている従来方法を適用することができずに上記数8を満たすD(x,y)を求めることはできなかった。このように、最適ドーズ量を求めるために特許文献1に開示されている従来方法を採用するのは実用上の観点から難しかった。
一方、上記特許文献2に記載の方法は、電子ビーム描画において発生する後方散乱(ミドルレンジ後方散乱のみ)による近接効果とフォギング効果の両方を補正するための方法であるが、実際には上記した数5に示すような式を解くことを課題としたものである。この数5に示した式と数8に示した式とは類似していることから、上記数8を満たすD(x,y)を求める方法として特許文献2に記載の方法を採用することも考えられる。しかし、特許文献2に開示された方法は、あくまでも後方散乱による近接効果とフォギング効果を補正した最適ドーズ量を決定するために数5に示した式を解くものであり、本実施形態において新たに考慮すべきショートレンジ後方散乱による近接効果と特許文献2で考慮されているフォギング効果とは影響の及ぶ範囲つまり作用範囲が大きく異なる点に違いがある。詳しくは後述するが、作用範囲が大きく異なるが故に特許文献2に開示されているような従来知られた方法を適用して上記数8を満たすD(x,y)つまりは最適ドーズ量を求める場合には、多大な計算時間が必要となり都合が悪い。このように、最適ドーズ量を求めるために特許文献2に開示されている従来方法を採用することは実用上の観点から難しかった。
そこで、上記問題を解決するために、本実施形態においては上記数8を満たすD(x,y)を求める際に、上記数8に示した1つの近接効果補正方程式を数9及び数10に示す2つの式に分けてそれぞれを別々に計算する。すなわち、数9を解いてミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量Dm(x,y)を求める一方で、数10を解いてショートレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量Ds(x,y)を求める。それから、これらミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量Dm(x,y)とショートレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量Ds(x,y)とを乗算して、上記数8を満たすD(x,y)を求める。
なお、上記数9及び数10では便宜的に数8に含まれる畳み込み演算式を以下の数11に示す形式で表記している。また、以下に示す各式中においても畳み込み演算式をこの数11に示す表記形式で記すこととする。
上記点を勘案して、本実施形態における最適照射量計算部38は、図1に示すように、ミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量を計算するミドルレンジ後方散乱寄与分計算部(又はミドルレンジ計算部)39と、ショートレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量を計算するショートレンジ後方散乱寄与分計算部(又はショートレンジ計算部)40とを有する。そして、最適照射量計算部38は、これら各後方散乱寄与分計算部39,40から得られるミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量とショートレンジ後方散乱による近接効果を補正した最適ドーズ量とを乗算することによって、上記数8を満たす各評価点における最適ドーズ量D(x,y)を求める。
次に、上記した最適照射量計算部38における電子ビームの最適照射量(最適ドーズ量)の算出手順について説明する。図2は、図1に示した最適照射量計算部38における電子ビームの最適照射量の算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
ステップS1は、CADシステム41から取得した電子ビーム露光用の元データに基づき特定される回路パターン(所与のパターン)を配置してなる1つのチップ領域(所与のパターンの描画エリア)を、所定の大きさからなる複数の処理領域に分割する。例えば、10mm・10mmからなる1つのチップ領域を400μm・400μm単位で複数の処理領域に分割する。つまり、描画エリア上に配置された回路パターン(所与のパターン)を含んだ状態で複数の処理領域に分割される。これにより、該回路パターン(所与のパターン)は該複数の処理領域に対応して複数の部分に分割され、分割されたパターンの各部分が、対応するいずれかの処理領域に割り当てられた(含まれた)状態となる。従って、以下で述べる「処理領域」とは、該処理領域に対応するパターン部分を含む概念である。
ここで、数9や数10に示した各式に含まれる畳み込み演算式の計算は離散的に行われる。離散的に畳み込み演算を行う際には、回路パターン(所与のパターン)を形成する図形のデータを密度マップに変換することになるが、ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正を行うために必要なメッシュサイズは上述した通り1μm程度(作用範囲10μmの10分の1)である。したがって、例えば10mm・10mmのチップ領域に関して近接効果を補正する場合に必要なメッシュの数は、およそ100・106個になる。一方、ショートレンジ後方散乱による近接効果補正を行うために必要なメッシュサイズは、上記非特許文献1によれば50nm程度を必要とする。したがって、例えば10mm・10mmのチップ領域に関してショートレンジ後方散乱による近接効果を補正する場合に必要なメッシュの数は、およそ400・109個になる。
そうであるならば、ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱による各近接効果補正を計算する際の計算量は莫大になる。そして、これだけ多くのメッシュに関する情報を同時にメモリに保持することはメモリ容量の都合上困難である。しかし、本発明では、1チップ領域(描画エリア)の全域にわたって一度に近接効果補正の計算処理を行うのではなく、上述のように1チップ領域(描画エリア)を所定の大きさ(例えば400μm・400μm)の複数の処理領域に分割し、この各処理領域毎に、該処理領域内に含まれるパターン部分に従って近接効果補正の計算処理を複数メッシュで行い、各メッシュ毎の最適ドーズ量を求める。これにより、本発明では、メッシュに関する情報を保持するために必要なメモリ容量を削減してメモリあふれが生じることを防止している。
ステップS2では、前記分割した各処理領域毎に「ミドルレンジ後方散乱寄与分の最適照射量算出処理」を実行する。このステップS2(ミドルレンジ計算モジュール)による処理は、前記所与のパターンを配置した描画エリアを分割してなる複数の処理領域の各々毎に、前記ビームの後方散乱のうちミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量を求めるように構成されたミドルレンジ計算部(ミドルレンジ後方散乱寄与分計算部39)としての機能を実現する。このステップS2(ミドルレンジ計算モジュール)による処理の詳細は図3に示されている。
ステップS3では、前記分割した各処理領域毎に「ショートレンジ後方散乱寄与分の最適照射量算出処理」を実行する。これらの各算出処理については後述する(図3及び図4参照)。このステップS3(ショートレンジ計算モジュール)による処理は、前記各処理領域毎に、前記ビームの後方散乱のうち作用範囲が前記ミドルレンジ後方散乱に比較して狭いショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量を、前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量に従い求めるように構成されたショートレンジ計算部(ショートレンジ後方散乱寄与分計算部40)としての機能を実現する。このステップS3(ショートレンジ計算モジュール)による処理の詳細は図4に示されている。
ステップS4では、上記各処理によって算出された処理領域毎における各メッシュ(1つのエネルギー評価点)のミドルレンジ後方散乱寄与分の最適照射量Dm(x,y)とショートレンジ後方散乱寄与分の最適照射量Ds(x,y)とを数12に示すように乗算する。これにより、上記した数8を満たす各処理領域毎における各メッシュ(評価点)の最適ドーズ量D(x,y)、つまりは作用範囲の異なるミドルレンジ後方散乱による近接効果及びショートレンジ後方散乱による近接効果をあわせて補正した場合の最適ドーズ量が求まる。
次に、ミドルレンジ後方散乱寄与分計算部39における各処理領域毎に各メッシュのミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量を算出する手順(図2のステップS2参照)について、図3を用いて説明する。図3は、「ミドルレンジ後方散乱寄与分の最適照射量算出処理」の一実施例を示すフローチャートである。
ステップS21は、全ての処理領域について処理領域毎にミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)を求める。このミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)を求める方法は、上記した代表図形法や自己整合法あるいは行列法などの公知のどのような方法であってもよい。ミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)を求めるときのメッシュサイズは例えば1μmに設定される。ステップS22は、全ての処理領域について上記求めた最適ドーズ量Dm(x,y)に基づき数13に従って処理領域毎に各メッシュのミドルレンジ後方散乱寄与分のエネルギー強度Em(x,y)を求める。
ステップS23は、上記のようにして求めたミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)及びミドルレンジ後方散乱寄与分のエネルギー強度Em(x,y)をメッシュ毎(評価点毎)に例えばハードディスクなどの記憶装置に記憶する。ここで前記記憶装置に記憶されるミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)及びミドルレンジ後方散乱寄与分のエネルギー強度Em(x,y)は、後述するショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)を求める際に参照される。
上記ショートレンジ後方散乱寄与分計算部40における各処理領域毎に各メッシュのショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量を算出する手順(図2のステップS3参照)について、図4を用いて説明する。図4は、「ショートレンジ後方散乱寄与分の最適照射量算出処理」の一実施例を示すフローチャートである。
ステップS31は、チップ領域を分割した多数の処理領域の全てに関し、各メッシュのショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)として初期値「1.0/k0」(繰り返し回数k=0回目のときの最適ドーズ量)を初期設定する。ここで、ショートレンジ後方散乱による近接効果補正を行うために必要なメッシュサイズは、上記したように例えば50nm・50nmに設定される。ステップS32は、チップ領域を分割した例えば400μm四方の多数の処理領域のうちの1つを処理対象に決定する。ステップS33は、繰り返し回数kに「0」を初期設定する。
ステップS34は、前記決定した1つの処理領域(処理対象領域とも呼ぶ)に含まれる回路パターン部分(図形パターン部分)に関する情報、及び該処理領域(処理対象領域)の周囲の所定範囲の参照用領域(これを参照マージンという)に含まれる回路パターン部分(図形パターン部分)に関する情報に基づいて密度マップを生成(変換)し、該生成した「密度マップ」とPSF関数との畳み込み演算を数14に従って実行する。「密度マップ」は、1つの処理対象領域及びその周囲の所定範囲の参照用領域(参照マージン)からなる拡張された処理領域の全体面積に対する、当該拡張された処理領域内に存在する回路パターン部分(図形パターン部分)の面積の割合である。密度マップを用いて、数14に示すようにPSF関数との積分計算(コンボリューション)が行われることによって、前記決定した1つの処理領域における各メッシュ毎のショートレンジ後方散乱が寄与する分のエネルギー強度Es(x,y)が求められる。
ここで、参照マージンについて説明する。図5は、ショートレンジ後方散乱寄与分計算時における処理対象領域に対する参照マージン(及び後述する補正伝播マージン)を示す概念図である。上述したようにして1つのチップ範囲を多数の処理領域に分割し各処理領域毎に畳み込み演算を行う場合には、処理対象領域外にあるパターンからの影響を考慮するため、計算マージンを取る必要がどうしても生じ得る。すなわち、図5においては太線で囲んだ内側の矩形部分が処理対象領域であるが、この処理対象領域の内側にあるパターンだけに対して上記畳み込み演算を行うのは適切でない。この処理対称領域の上下左右の境界付近においては、図5において網掛け表記した領域部分(図中では便宜的に一部のみを網掛け表記しておらず、以下では参照マージンと呼ぶ)からの影響も受けるため、この参照マージンを含めた分について密度分布の畳み込み演算が必要となる。この参照マージンの幅(参照長さ)は、畳み込み演算するPSF関数の定義域程度を必要とする。既に述べたように、PSF関数の定義域は後方散乱径の4倍程度であることから、例えば後方散乱径が10μmであれば40μm程度となる。
図4の説明に戻って、ステップS35は、繰り返し回数kに「1」を加算する。ステップS36は、前記決定した処理対象領域とその参照マージンについて(つまり拡張された処理領域について)、上記したように記憶装置に記憶した中から該当する処理領域における各メッシュ毎のミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)及びミドルレンジ後方散乱寄与分のエネルギー強度Em(x,y)を読み出す。ステップS37は、前記決定した処理対象の処理領域について繰り返し回数k回目のショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)を、上記数10を変形した数15又は数16に従って求める。
k=1のとき、
k>1のとき
k=1のとき、
上記数15及び数16から理解できるように、ショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)を求める際には、ミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)及びミドルレンジ後方散乱寄与分のエネルギー強度Em(x,y)が反映されている。また、1回前に(つまりはk=k+1の処理前の上記ステップS34で)算出されたショートレンジ後方散乱寄与分のエネルギー強度Es(x,y)が反映されている。
ステップS38は、上記のようにして求めた繰り返し回数k回目のショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)をメッシュ毎(評価点毎)に記憶する。ステップS39は、繰り返し回数kが所定の回数(N回)に到達したか否かを判定する。繰り返し回数kが所定の回数(N回)に到達していないと判定した場合には(ステップS39のNO)、ステップS34の処理に戻り、ステップS34〜ステップS39の処理を繰り返す。上記所定回数は、ショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)が集束するまでの回数であってよい。
他方、繰り返し回数kが所定の回数(N回)に到達したと判定した場合には(ステップS39のYES)、全ての処理領域について上記したショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)の計算を行ったか否かを判定する(ステップS40)。全ての処理領域について上記最適ドーズ量Ds(x,y)の計算を行っていないと判定した場合には(ステップS40のNO)、ステップS32の処理に戻って他の処理領域についても同様にショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)を算出する。他方、全ての処理領域について上記最適ドーズ量Ds(x,y)の計算を行ったと判定した場合には(ステップS40のYES)、本処理を終了する。
上述したように、1つのチップ範囲を多数の処理領域に分割して各処理領域毎に畳み込み演算を行う場合には計算マージンを取らなくてはならず、そのために参照マージンを含めた分について密度分布の畳み込み演算が必要となることは既に説明した通りである。しかし、1つの処理対象領域において畳み込み演算を行う際に必要なマージンは、図5に示した網掛け部分の参照長さ40μm程度の参照マージンだけに限られない。すなわち、本処理においてk回目の最適ドーズ量を計算するためには、図5に示した参照マージンに関しても「k-1」回目の最適ドーズ量を必要とする。
ところが、図4に示す処理フローにおいては、処理対象領域に隣接する他の処理領域の計算結果(最適ドーズ量)を直接計算して得ることができない。よって、参照領域分の最適ドーズ量を得るためにはさらにもう一回り大きい領域(図5において一点鎖線で示される2回目の参照マージン)に関してもメッシュ毎に畳み込み演算を行う必要がある。さらに、また「k-1」回目の最適ドーズ量Ds(x,y)を得るためにもさらにもう一回り大きい領域(図5において一番外側に示される3回目の参照マージン)に関してもメッシュ毎に畳み込み演算を行う必要がある。
このように、図4に示した処理では以前の補正結果である「k-1」回目の最適ドーズ量Ds(x,y)が必要であるため、この参照マージンをさらに拡げた領域(補正伝播マージンと呼ぶ)を含めた領域分について畳み込み演算を行う必要がある。この補正伝播マージンは参照マージンのN倍必要ということになるが、実用的には3倍程度であってよい。つまり、ミドルレンジ後方散乱のように、後方散乱径が10μmである場合には120μm程度(参照長さ40μmの3倍)を必要とする。そこで、例えば一度に計算する処理対象領域が400μm・400μmであり、補正伝播マージンが120μmであるとすると、実際には400+120・2=640μm四方の領域に関して畳み込み演算をする必要がある。その場合に、図3に示したミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)の計算過程においては、メッシュサイズが1μmでよいことから、640μm四方の拡張された領域における畳み込み計算を行う際に必要とされるメッシュ数は約41・103(640/1・640/1)個である。この程度のメッシュ数であれば、これら各メッシュのミドルレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Dm(x,y)の計算時において計算量は莫大とならずにまたメモリ容量を多大に必要としないので特に問題ないと言える。
他方、図4に示したショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)の計算過程においては、メッシュサイズが50nmであることから、本来ならば640μm四方の領域当りのメッシュ数は約164・106(640/0.05・640/0.05)個となり、これら各メッシュのショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)の計算時において計算量が莫大となりかつ多大なメモリ容量が必要とされ問題となる。
この問題を避けるために、本願発明の方法によれば、ショートレンジ後方散乱寄与分の最適ドーズ量Ds(x,y)の計算過程において必要とされる補正伝播マージンはショートレンジ後方散乱に関するものだけでよく、またショートレンジ後方散乱に関するPFS関数の定義域は2μm程度であるとのことから(非特許文献1参照)、補正伝播マージン6μm(2μm・3倍)を含めた412μm(400+6・2)四方の拡張された領域についてメッシュ毎に畳み込み計算を行えばよい。このとき、前記領域あたりのメッシュ数は約68・106(412/0.05・412/0.05)個となり、処理すべきメッシュ数を0.41倍程度にまで減少することができるので、計算量が減るしまた多大なメモリ容量を必要としないですむ。
以上のように、本実施形態においては、ミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量だけでなく、前記ミドルレンジ後方散乱と同時に発生し得る作用範囲の異なる後方散乱であるショートレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量を別途に求め、これらから前記ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱を含む後方散乱による近接効果を補正する前記電子ビームの最適照射量を計算する。ミドルレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量とショートレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量とはそれぞれを別々に求めるが、前記ミドルレンジ後方散乱に比較して作用範囲の狭いショートレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量は、前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の最適照射量に応じて求められる。これにより、電子ビームを照射することにより試料上に特にはEUVマスク基盤に所望パターンを描画する場合における、電子ビーム照射に伴い生じ得る作用範囲の異なる複数の近接効果による回路パターンの寸法変化を低減するのに最適な電子ビームの照射量を求めることができるようになる。
具体的には、ミドルレンジ及びショートレンジの各後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量は各後方散乱別に計算され、これらの積によって近接効果による回路パターンの寸法変化を低減するのに最適な電子ビームの照射量が求められる。特に、上述したように、ショートレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量を求める際には、単に処理範囲を限定するだけでなく、チップ範囲を分割して処理範囲を限定することに伴い計算上必要となる計算範囲(上記参照マージン及び補正伝播マージン)をショートレンジ後方散乱に関するPFS関数の定義域(より具体的にはショートレンジ後方散乱の作用範囲)に応じた所定範囲の領域に限定することにより、ミドルレンジ後方散乱に比べて小さなメッシュサイズであるが故に生じ得る処理すべきメッシュ数を例えば半分以下(上記例では0.41倍)に減少することができる。これにより、計算範囲を限定する前に比べるとショートレンジ後方散乱による近接効果を補正する電子ビームの最適照射量を求める際の計算量が減る。したがって、高速の処理速度つまりは計算スピードでかつ精度よく、ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱といった作用範囲の異なる複数の後方散乱による近接効果を補正した電子ビームの最適照射量を求めることができるようになる。
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施例ではPSF関数を数2に示したガウシアン近似式で表したがこれに限らず、PSF関数を他の近似式で表してもよいことは言うまでもない。その場合に、例えば主に電子ビームの加速電圧や基盤の材質によりPSF関数(近似式)は決まる。
なお、上述した実施例では本発明に係る描画方法を可変成形ビーム方式の電子ビーム描画装置に適用した例を示したが、これ以外の方式の描画装置にも適用できる。さらに、電子ビームの代わりにイオンビームを用いたイオンビーム描画装置に適用することも可能である。また、本発明は電子ビーム描画装置の使用目的に限定するものではない。例えば、マスク基盤にレジストパターンを形成するという目的以外にも、ウェハ上に直接レジストパターンを形成する際にも利用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することが可能である。
Claims (9)
- 試料上に所与のパターンを描画するためのビームの最適照射量を決定するための方法であって、
前記所与のパターンを配置した描画エリアを複数の処理領域に分割するステップと、ここで、前記所与のパターンは前記複数の処理領域に対応して複数の部分に分割され、分割されたパターンの各部分が対応するいずれかの処理領域に割り当てられる、
前記各処理領域毎に、前記ビームの後方散乱のうちミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量を求めるステップと、
前記各処理領域毎に、前記ビームの後方散乱のうち作用範囲が前記ミドルレンジ後方散乱に比較して狭いショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量を、前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量に従い求めるステップと、
前記第1最適照射量と前記第2最適照射量とに基づいて、前記各処理領域毎に、前記ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱の双方による近接効果を補正するための総合的な最適照射量を計算するステップと
を備える方法。 - 前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の前記第1最適照射量を求める前記ステップは、各処理領域を第1の寸法でメッシュ状に分割し、各メッシュ毎に近接効果補正用の第1最適照射量算出演算を行い、
前記ショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の前記第2最適照射量を求める前記ステップは、各処理領域を前記第1の寸法よりも小さい第2の寸法でメッシュ状に分割し、各メッシュ毎に近接効果補正用の第2最適照射量算出演算を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記ショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の前記第2最適照射量を求める前記ステップは、対象となる1つの前記処理領域及び該処理領域の周囲の所定範囲の参照用領域を含む拡張された処理領域に関して、前記ショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量を求める、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 - 前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の前記第1最適照射量を求める前記ステップは、下記式
に従って、各メッシュ毎に近接効果補正用の前記第1最適照射量算出演算を行い、ミドルレンジ後方散乱寄与分の最適照射量Dmを求め、
前記ショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の前記第2最適照射量を求める前記ステップは、下記式
に従って、各メッシュ毎に近接効果補正用の前記第2最適照射量算出演算を行い、ショートレンジ後方散乱寄与分の最適照射量Dsを求める、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。 - 前記試料は、モリブデンとシリコンを交互に成膜したその上に吸収材を配置した構造の基盤であり、電子ビーム照射に従って前記吸収材がパターニングされることによって、極端紫外線光を使ってウェハ露光を行う際に用いるフォトリソグラフィ用のマスク基盤となる請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
- 試料上に所与のパターンを描画するためのビームの最適照射量を決定するための装置であって、
前記所与のパターンを配置した描画エリアを分割してなる複数の処理領域の各々毎に、前記ビームの後方散乱のうちミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量を求めるように構成されたミドルレンジ計算部と、ここで、前記所与のパターンは前記複数の処理領域に対応して複数の部分に分割され、分割されたパターンの各部分が対応するいずれかの処理領域に割り当てられる、
前記各処理領域毎に、前記ビームの後方散乱のうち作用範囲が前記ミドルレンジ後方散乱に比較して狭いショートレンジ後方散乱による近接効果補正用の第2最適照射量を、前記ミドルレンジ後方散乱による近接効果補正用の第1最適照射量に従い求めるように構成されたショートレンジ計算部と、
前記第1最適照射量と前記第2最適照射量とに基づいて、前記各処理領域毎に、前記ミドルレンジ後方散乱及びショートレンジ後方散乱の双方による近接効果を補正するための総合的な最適照射量を計算する計算部と
を備える装置。
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