JP4100656B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の後輪側車軸と車体との間に介装されて路面からの振動を減衰するリヤクッションユニットとして使用されるのに適する油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の油圧緩衝器としては、例えば図4に示すものが開発されている。
【0003】
この油圧緩衝器はシリンダ1内にピストン2を介して中空なピストンロッド3が移動自在に挿入され、ピストン2はシリンダ1内にロッド側油室4と反ロッド側油室5とを区画し、二つの油室4,5はピストン2に設けた伸側バルブ6と圧側バルブ7を介して開閉され、又ピストンロッド3の先端側通路8a,8bとこの通路8a,8b内に設けたニードル弁からなる弁体8を介して連通しているものである。
【0004】
ピストンロッド3内には軸方向移動にプッシュロッド10が挿入され、このプッシュロッド10の先端は上記弁体8と結合し、プッシュロッド10の基端たる上端面は断面円錐状のアジャスタ11が当接駆動部材11bの回転操作でアジャスタ11がブッシュロッド10の軸線に直交する方向に移動することによりプッシュロッド10が下方に押圧され、弁体8が通路8aの開口面積を調整できるようになっている。プッシュロッド10はピストンロッドより熱膨張率の大きい材質で成形される。
【0005】
上記の油圧緩衝器は、運転者の必要とする減衰力を得るためニードル状の弁体8の位置をアジャスタ11で調整して通路8aの開口面積を調整しておくことにより所定の減衰力が発生できるようにしてある。この為、油圧緩衝器が作動して油温が上昇した時油室4,5の油の粘性が低下しても、油室9内の油の温度が上昇してプッシュロッド10を加熱するため、このプッシュロッド10が自動時に若干伸び弁体8による通路8aの開度を減少し、設定した通りの減衰力を発生できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の油圧緩衝器は機能上の欠陥があるわけではないが、次のような不具合の改善が望まれている。
【0007】
第1にプッシュロッド10の外周に設けた油室9にはピストンロッド3と、弁体8およびプッシュロッド10との間に形成される隙間から油を流入させることになるが、この油室9内への油のまわりが悪く、空気が完全に抜けずそのまま若干残留してしまう場合がある。この為、この油中に混入した空気が弁体8の外周隙間から油室4,5内に侵入し、減衰力の不安定化をまねくおそれがある。
【0008】
第2にプッシュロッド10はピストンロッド3内に挿入されている為、油室4,5内の作動油の油温が上昇した際、プッシュロッド10の温度が同一の割合で上昇しにくく、所望通りに弁体8による通路8aの開度を調整できず、従って、所望通りの減衰力が得られない。即ちプッシュロッド10による設定通りの温度補償効果が得られないおそれがある。
【0009】
第3にピストンロッド3は伸縮作動時にシリンダ1内に出没し、シリンダ1内の油室4の作動油に接触する部分と接触しない部分がある。この為、温度が上昇した時ピストンロッド3は全長に亘って昇温が均一に行われず、これによりピストンロッド3内のプッシュロッド10も全長に亘って昇温が均一とならず、その伸び量が一定でなく、弁体8による通路8aの開度調整がみだれ、設定通りの温度補償効果が得られないおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、プッシュロッド外周の油室における空気を良好に抜き出すことが可能であり、シリンダ内の作動油の油温が上昇した時この油温に対応した割合でプッシュロッドを加熱して伸ばすことにより設定通りの温度補償を行ない、常に所望通りの減衰力が得られるようにした油圧緩衝器を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、シリンダ内にピストンを介して中空なピストンロッドを移動自在に挿入し、ピストンはシリンダ内にロッド側油室と反ロッド側油室とを区画し、ロッド側油室と反ロッド側油室とはピストンロッドに形成した通路を介して連通し、更にピストンロッド内には先端に弁体を備えたプッシュロッドを軸方向移動自在に挿入し、プッシュロッドの基端を押圧して上記弁体で上記通路の開口面積を調整させる油圧緩衝器に於て、プッシュロッドをピストンロッドより熱膨張率の大きい材質からなるパイプで成形し、上記弁体内にパイプ内油路と連通する通孔を形成し、パイプの基端近傍にパイプ内油路をパイプとピストンロッドとの間のパイプ外油路に連通するポートを形成し、更にパイプ外油路を弁体外周の切欠通路を介して上記通路に連通させたことを特徴とするものである。
【0012】
この場合、パイプの基端にケースを設け、ケース内に外方に突出する軸方向移動自在なコントロールロッドを設け、このコントロールロッドでケース内に隔成されて油温の上昇時に収容した作動油の膨張を許容する油溜室を設けてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図にもとづいて説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態に係る自動二輪車用リヤクッションユニットとして使用される油圧緩衝器を示す。
【0015】
この油圧緩衝器は、シリンダ1内にピストン2を介して中空なピストンロッド3を移動自在に挿入し、ピストン2はシリンダ1内にロッド側油室4と反ロッド側油室5とを区画し、ロッド側油室4と反ロッド側油室5とはピストンロッド3に形成した通路8aを介して連通している。更にピストンロッド3内には先端にニードル弁からなる弁体8を備えたプッシュロッド10を軸方向移動自在に挿入し、プッシュロッド10の基端を押圧して上記弁体8で上記通路8a,8bの開口面積を調整させるようにしている。
【0016】
ピストン2には二つの油室4,5を連通する伸側ポート13と圧側ポート14とを設け、各ポート13,14の出口端にそれぞれ伸側バルブ15と圧側バルブ16とを開閉自在に設けている。
【0017】
ピストンロッド3内の通路8a,8bは縦方向と横方向にそれぞれ形成され、縦方向の通路8aのシート部に対してニードル弁からなる弁体8が上下移動自在に配置されて通路8aの開口面積を調整し、開口面積に応じた減衰力が発生するようになっている。尚、反ロッド側油室5はバルブVを介してタンクTに接続されている。
【0018】
中空なピストンロッド3内には軸方向移動自在にパイプ10aからなるプッシュロッド10が挿入され、このパイプ10aの先端に中空なパイプ体からなる上記弁体8が連結されている。
【0019】
プッシュロッド10はピストンロッド3より熱膨張率の大きい材質からなるパイプ10aで構成し、このパイプ10a内にはパイプ内油路12が形成されている。パイプ10aの外周とピストンロッド3の内周との間にはパイプ外油路17が軸方向に沿って形成されている。
【0020】
パイプ内油路12は弁体8内の通孔18と連通すると共にこの通孔18を介して通路8aに接続している。更に上記パイプ内油路12はパイプ10aの基端近傍に形成したポート19を介してパイプ外油路17に連通している。
【0021】
パイプ外油路17の下部は弁体8の外周に形成した通路、例えば切欠通路20を介して通路8bに連通している。
【0022】
プッシュロッド10の基端にはコントロールロッド21が接続され、このコントロールロッド21の基端は外部から操作可能なアジャスタ11に当接し、アジャスタ11の操作でコントロールロッド21を押圧することでプッシュロッド10が下方に押されるようになっている。
【0023】
アジャスタ11はピストンロッド3の基端肉厚部内に横方向から移動自在に螺合した円錐体状のプッシュ部材11aとこのプッシュ部材11aに異形結合した回転自在な駆動部材11bとからなり、駆動部材11bを回転することによりプッシュ部材11aが横方向に移動し、プッシュ部材11aの先端円錐面をコントロールロッド21の基端円錐面に当接させることによりコントロールロッド21が下方に押されるようになっている。アジャスタ11を回動することによりコントロールロッド21とプッシュロッド10と弁体8とが下方に押され、弁体8による通路8aの開口面積が調節されるようになっている。
【0024】
次に作動について述べる。
【0025】
伸長作動時にはロッド側油室4の作動油が伸側ポート13と伸側バルブ15を介して反ロッド側油室5に流出すると共にピストンロッド3内の通路8a,8bを介して反ロッド側油室5に流出し、この時伸側バルブと弁体8の外周隙間で発生する流動抵抗およびロッド側油室4の作動油が弁体8の外周の切欠通路20−パイプ外油路17−ポート19−パイプ内油路12−弁体8内の通孔18−通路8aを介して下部油室5に循環するときの流動抵抗の合成により減衰力が発生する。そして上記切欠通路20から通路8aに至る油の循環によりシリンダ1内の作動油とピストンロッド3内の作動油が油温が均一となるようにしている。
【0026】
同じく圧縮作動時には反ロッド側油室5の作動油が圧側ポート14と圧側バルブ16を介してロッド側油室4に流出し、又、ピストンロッド3内の通路8a,8bを介してロッド側油室4に流出し、圧側バルブ16と弁体8の外周隙間で発生する流動抵抗と、反ロッド側油室5の作動油が弁体8内の通孔18−パイプ内油路12−ポート19−パイプ外油路17−弁体8の外周切欠通路20−通路8bを介してロッド側油室4に循環するときの流動抵抗と、更にピストンロッド侵入体積分の作動油がタンクTに排出される時バルブVによる減衰抵抗と、の合成により減衰力が発生する。そして上記のパイプ内通路12から通路8bに至る油の循環でシリンダ1内の作動油とピストンロッド3内の作動油との油温が均一となるようにしている。
【0027】
そこで、弁体8の設定位置は、例えば常温時に対応して所定の減衰力が設定されるように位置決めされているが、走行中においてはシリンダ1内の油温が上昇し、作動油の粘性が低下し、減衰力が所望値より低下する。そこで、プッシュロッド10は熱膨張率の大きい材質で形成されている為に外気温により加熱されて伸び、その分弁体8による通路8aの開口面積が小さくなり、流動抵抗を上昇させることにより減衰力の低下を防止し、所望の減衰力が常に維持される。しかも伸縮作動中シリンダ内の作動油がプッシュロッド10の内側及び外側を循環し、温度上昇した作動油がプッシュロッド10を均一に効率良く昇温させ、設定した通りの温度補償効果を発揮でき、安定した減衰力を得ることができる。
【0028】
図3は、本発明の他の実施の形態に係る油圧緩衝器を示す。
【0029】
これは、パイプ10aの基端にケース22を設け、ケース22内に外方に突出する軸方向移動自在なコントロールロッド21を設け、このコントロールロッドでケース22内に隔成されて油温の上昇時に収容した作動油の膨張を許容する油溜室23,24を設けたものである。
【0030】
この場合は、油温上昇時に上記と同じくパイプ10aからなるプッシュロッド10が軸方向に伸びると共に油溜室23,24内の作動油も昇温して膨張することによりその分コントロールロッド21が上方に押し上げられ、反作用でコントロールロッド21が押された分プッシュロッド10が下方に移動し、弁体8による開口面積をより大きく調整可能とし、所望通りの減衰力が得られるように温度補償効果を発揮する。その他の構造,作用,効果は、図1,図2の実施の形態と同じである。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果がある。
【0032】
(1) 各請求項の発明によれば、パイプからなるプッシュロッドの内外の作動油が循環してロッド側油室と反ロッド側油室に排出できるようにしているから、組立時にピストンロッドを数回伸縮ストロークさせることによりプッシュロッド内外の作動油をロッド側油室と反ロッド側油室に循環させこの作動油中に混入している空気を完全に排出でき、安定した減衰力を得ることができる。
【0033】
(2) 同じく、伸縮作動時にプッシュロッドの内側と外側を作動油が循環することにより、昇温時にはシリンダとピストンロッド内の作動油が均一に昇温し、この作動油が均一にプッシュロッド全体を昇温させて伸ばすことが出来、これにより設定した温度補償効果を発揮して安定した減衰力を得ることができる。
【0034】
(3) 同じく、プッシュロッドとピストンロッドとの間のパイプ外油路を作動油が循環するようにしているから、作動油の循環中に作動油油温がピストンロッドに伝わり、ピストンロッドから放熱されることで作動油の冷却が行なえ、安定した減衰力を得ることができる。
【0035】
(4) 請求項2の発明によれば、プッシュロッドの基端側に常温の作動油を封入したので昇温時にこの作動油が膨張してプッシュロッドを伸ばすことができ、プッシュロッド自体の昇温時の伸び不足を補うことができ、所定の温度補償効果を発揮して安定した減衰力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る油圧緩衝器の縦断正面図である。
【図2】図1の一部拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る油圧緩衝器の一部拡大断面図である。
【図4】従来の油圧緩衝器の縦断正面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ピストン
3 ピストンロッド
4 ロッド側油室
5 反ロッド側油室
8 弁体
8a,8b 通路
10 プッシュロッド
10a パイプ
12 パイプ内油路
17 パイプ外油路
18 通路
19 ポート
20 切欠通路
21 コントロールロッド
22 ケース
23,24 油溜室
Claims (2)
- シリンダ内にピストンを介して中空なピストンロッドを移動自在に挿入し、ピストンはシリンダ内にロッド側油室と反ロッド側油室とを区画し、ロッド側油室と反ロッド側油室とはピストンロッドに形成した通路を介して連通し、更にピストンロッド内には先端に弁体を備えたプッシュロッドを軸方向移動自在に挿入し、プッシュロッドの基端を押圧して上記弁体で上記通路の開口面積を調整させる油圧緩衝器に於て、プッシュロッドをピストンロッドより熱膨張率の大きい材質からなるパイプで成形し、上記弁体内にパイプ内油路と連通する通孔を形成し、パイプの基端近傍にパイプ内油路をパイプとピストンロッドとの間のパイプ外油路に連通するポートを形成し、更にパイプ外油路を弁体外周の切欠通路を介して上記通路に連通させたことを特徴とする油圧緩衝器。
- パイプの基端にケースを設け、ケース内に外方に突出する軸方向移動自在なコントロールロッドを設け、このコントロールロッドでケース内に隔成されて油温の上昇時に収容した作動油の膨張を許容する油溜室を設けたことを特徴とする請求項1の油圧緩衝器。
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