JP4100342B2 - 船艇のウオータージェット推進装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、船艇のウオータージェット推進装置に関し、特に、比較的大きな高速艇に適した船艇のウオータージェット推進装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船艇のウオータージェット推進装置は、船底に開口する吸込口から引込んだ水をインペラで加圧して旋回流に変え、この旋回流をディフューザで直線流に整流して得たウォータージェットを船尾の噴射部から噴射して船艇を推進するターボ形ポンプとして構成される。
【0003】
表1にターボ形ポンプのインペラの基本的な形式及び典型的な特徴を示す。
【0004】
【表1】
Figure 0004100342
表1に示されるように、ターボ形ポンプのインペラは、揚液の流出方向により3つの基本形式にわかれる。つまり、流出方向が回転軸に略直交する、即ち半径方向に向いている遠心式と、流出方向が回転軸に斜行する斜流式と、流出方向が回転軸と略平行な軸流式とに分類される。軸流式では軸方向へ流れる液体が主にインペラの羽根から軸方向への揚力を受けて揚程を得、斜流式では半径方向への運動成分を持つ液体がそれに対応した遠心力と羽根からの揚力とを受けて揚程を得、遠心式では半径方向へ流れる液体が主に遠心力を受けて揚程を得る。従って、一般に、遠心式は揚程が高くて吐出量が少なく、逆に、軸流式は揚程が低くて吐出量が大きい。斜流式はそれらの中間に位置する。
【0005】
この点、揚液の流出方向は、液体流路の径方向での変化に対応し、この流路の径方向変化は、流路のメリジアン写像、つまりメリジアン流路(以下、しばしば「M流路」と呼ぶ。)を観察することにより容易に理解できる。
【0006】
メリジアン写像とは、回転体の子午面(つまり、回転軸を含むある平面)上への回転写像のことで、ターボ形ポンプの場合には、1つ以上の流路のシュラウドをなすケーシングとインペラとの実際にはそれぞれ湾曲変化しつつ周方向へ延びる内面輪郭を、インペラの軸を含む平面上に回転投影して、湾曲変化を顕現化したメリジアン輪郭(以下しばしば「M輪郭」と呼ぶ。)として表される。
【0007】
このM輪郭は比速度と呼ばれる無次元パラメータによりほぼ特定できる。比速度とは単位揚程(1m)の揚液を単位流量(1m/min)吐出するのに必要なターボ形ポンプの回転数(rpm)に相当し、いま、設計回転数N(rpm)での吐出量をQ(m/min)、全揚程をH(m)とすると、比速度Nsは次式で表される。
【0008】
Ns=N・Q1/2/H3/4
図12に従来のターボ形ポンプの比速度NsとM輪郭MC1〜MC7との関係を例示する。図12から分かるように、Hが大きくQが小さい遠心式(MC1、MC2)はNsが約100〜約150と小さく、逆にHが小さくQが大きい軸流式(MC7)はNsが約1200〜約2000と大きい。斜流式(MC3〜MC6)は揚液の流出方向が半径方向へ近付く(MC3←MC4)に連れてNsが約550から約350まで減少し、逆に流出方向が軸方向へ近付く(MC5→MC6)に連れてNsが約600から約1100まで増大する。遠心式インペラのM輪郭MC1,MC2は吐出側が径方向に延びるM流路mp1,mp2を画成し、斜流式インペラのM輪郭MC3〜MC6は吐出側が回転軸に斜行するM流路mp3〜mp6を画成し、軸流式インペラのM輪郭MC7は吐出側が回転軸に略平行なM流路mp7を画成する。
【0009】
特開平11-70894号公報に、筒状のインペラケーシングを有する軸流式インペラを用いた船艇のウオータージェット推進装置が開示されている。このウオータージェット推進装置は、比較的低圧のウォータージェットを大量に噴射でき、大形の低速艇の推進に適する。
【0010】
特開2000−118494号公報に、鼓状のインペラケーシングを有する斜流式インペラを用いた船艇のウオータージェット推進装置が開示されている。このウオータージェット推進装置は、軸流式インペラを用いる場合に較べ、高圧のウォータージェットを噴射できるが流量面で劣り、小型及び中型の中速艇の推進に適する。
【0011】
実開平1−104898号公報に、前置きブースタと斜流式インペラとを併用した船艇のウオータージェット推進装置が開示されている。このウオータージェット推進装置は、ブースタによる寄与分だけ昇圧されたウォータージェットを噴射でき、小型及び中型の中速艇並びに小型の高速艇に適する。
【0012】
特開平8−253196号公報に、遠心式インペラを用いた船外形のウオータージェット推進装置が開示されている。このウオータージェット推進装置は、斜流式インペラを用いる場合に較べ、更に高圧のウォータージェットを噴射できるが流量面で更に劣り、小型の高速艇に適する。
【0013】
図13に従来の船艇のウォータージェット推進装置に用いられた斜流式インペラIMP―0をメリジアン写像で示す。このインペラIMP−0は直円錐台状の回転ハブ115に複数枚の回転羽根116を巻き着けた構成を有する。ハブ115の外周115aは、上流側(即ち、小径側)の端縁115bから下流側(即ち、大径側)の端縁115cの近傍部115dまで、ハブ115の回転軸芯CLに対し約15°〜30°の角度を維持して延展し、上記近傍部115dで、約0°〜22°に角度変化する。各羽根116は、メリジアン写像において、その内周縁部116aがハブ外周115aに沿って延び、外周縁116bが回転軸芯CLに対し約0°〜22°の角度を維持して延びる。この羽根形状により、斜流式インペラの揚程及び流量が或る程度改善されるが、比較的大きな高速艇に適用するには十分でない。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みなされたもので、比較的大きな高速艇にも適用可能な船艇のウオータージェット推進装置を提供することをその目的とする。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記目的を達成すべく、本発明は、
ハブに回転羽根を巻き着けたインペラを含む単段のターボポンプとして構成される船艇のウオータージェット推進装置において、前記回転羽根は、インデューサ連接形の軸流羽根部と、この軸流羽根部と無衝突につながる斜流羽根部と、この斜流羽根部と無衝突につながる遠心羽根部とを有し、前記ハブは、曲率が連続して変化するその外周面に、緩傾斜領域と急傾斜領域とを備え、前記回転羽根軸流羽根部及び斜流羽根部が前記ハブの外周面の緩傾斜領域に巻き着けられ、前記回転羽根の遠心羽根部が前記ハブの外周面の急傾斜領域に巻き着けられておりまた前記回転羽根は、そのメリジアン写像において、前記ハブの外周に対応する内側の辺の上流端と、前記ポンプケーシングの内周に沿う外側の辺の上流端とを、前記内側の辺の上流端よりも上流側のみで連結する上流側の辺を有していて、前記軸流羽根部に、前記上流側の辺を一辺とする略三角形状のインデューサ部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記ハブの外周面の緩傾斜領域は急傾斜領域の上流側に位置させる。
【0017】
好ましくは、前記回転羽根のメリジアン写像における外側の辺は、その下流端から上流端へ向かうに連れて、前記内側の辺からの距離が漸増する。
【0018】
好ましくは、緩傾斜の吸込流路を備える。
【0019】
好ましくは、前記回転羽根の総枚数は4〜6枚である。
【0020】
好ましくは、前記回転羽根の下流に配置された総枚数が7〜9枚の固定羽根を備える。
【0021】
好ましくは、前記回転羽根のメリジアン写像における外側の辺は、前記上流端で、前記ハブの回転軸心に対し0°〜15°の傾斜角を有する
【0022】
好ましくは、前記回転羽根のメリジアン写像における外側の辺は、その下流端で、前記ハブの回転軸心に対し15°〜30°の傾斜角を有する
【0023】
好ましくは、前記ハブの外周は、その上流端で、前記ハブの回転軸心に対し10°〜25°の傾斜角を有する
【0024】
好ましくは、前記ハブの外周は、その下流端で、前記ハブの回転軸心に対し20°〜45°の傾斜角を有する
【0025】
【実施例】
以下、添付図を参照して、本発明の好適な実施例を説明する。先ず、本発明の第1の実施例を図1〜図7に基づき説明し、この第1実施例の第1及び第2の変更例をそれぞれ図8及び図9に基づき説明した後に、本発明の第2の実施例を図10及び図11に基づき説明する。同じ要素は同じ参照番号で表し、説明の重複を避ける。
【0026】
(第1実施例)
図1に、第1実施例に係るウオータージェット推進装置PR1が艤装された高速仕様船艇1として比較的大きなクルーザを示し、図2〜図5に、ウオータージェット推進装置PR1の要部を順次拡大して示す。
【0027】
ウオータージェット推進装置PR1は、図1に示すように、上記船艇1の船底2の後部3に開口する吸込口5から吸込んだ水WをウォータージェットWJに変え、このウォータージェットWJを船尾6のトランザム後方へ吐出するターボポンプ部P1と、このポンプ部P1を駆動すべく機関室4に設けられた駆動部D1としてのエンジンと、吐出されたウォータージェットWJの噴射方向を制御して船艇1を操舵する操舵部S1(制御系及び操舵系は不図示)とで構成される。
【0028】
ポンプ部P1は、図2に示すように、吸込口5から水Wを吸込む吸水部P1aと、吸水WからウォータージェットWJを生成するウォータージェット生成部P1bと、生成されたウォータージェットWJを吐出するウォータージェット吐出部P1cとを有する。
【0029】
吸水部P1aは、吸込ケーシング8を備え、これにより、吸込口5に連通した吸込流路Aを画成する。この吸込流路Aは、緩傾斜且つ滑かで曲がりが少なく、船艇1の滑走時に流水を取込み、吸水Wに押込圧を与える。なお、吸込口5には除塵用スクリーン7が張設される。
【0030】
ウォータージェット生成部P1bは、図3に示すように、吸水Wを旋回させて加圧することにより高揚程の旋回流を生成する旋回部P1b1と、その旋回流を直線流に整流してウォータージェットWJを得るディフューザとしての整流部P1b2とで構成される。
【0031】
旋回部P1b1は、図4及び図5に示すように、吸込ケーシング8の後端に水平に連結されたポンプケーシング9と、このポンプケーシング9の鉢形状拡径部9aに内蔵されたインペラIMP―1と、このインペラIMP−1を駆動する主軸11とを有する。
【0032】
インペラIMP−1は、主軸11の後部11aにキー固定された洋梨状のハブ15と、このハブ15の外周に一体に形成された総数I枚(この場合I=5)の螺旋状回転羽根16(i=1〜I)(総称的には単に16で表す。)とからなり、シュラウドとしてのポンプケーシング9と協同して総数I個の回転流路CA(i=1〜I)(総称的には単にCAで表す。)を画成する。
【0033】
主軸11は、図2に示すように、吸込ケーシング8の外壁に設けられた軸受12で軸支水封され、そこから突出する前部11bが軸継手13を介して前記駆動部D1の駆動軸14に連結される。
【0034】
整流部P1b2は、図4に示すように、ポンプケーシング8の後端に連結された吐出ケーシング17の前部17aと、この吐出ケーシング前部17aと一体に形成された総数J枚(J=7〜9)の固定案内羽根18(j=1〜J)(総称的には単に18で表す。)と、これらの固定案内羽根18の内周部を連結すると共に前記主軸11の後端部11cを軸支する羽根ボス19とを有する。案内羽根18は、ポンプケーシング9及び羽根ボス19と協同して総数J個の固定流路CB(j=1〜J)(総称的には単にCBで表す。)を画成する。これらの固定流路CBは、合流路CCを介して前記回転流路CAと連通する。
【0035】
ウォータージェット吐出部P1cは、図3に示すように、吐出ケーシング17の後部17bと、これ17bに締結された漏斗状の吐出ノズル20とにより構成され、前記固定流路CBに連通する吐出流路Bを画成する。
【0036】
操舵部S1は、図3に示すように、吐出ノズル20の吐出端部20aへ上下のピン21aにより左右回動可能に枢支されたデフレクタ21と、このデフレクタ21を左右へ操舵するロッド(不図示)と、デフレクタ21の左右に突設されたピン22aへ上下回動可能に枢支されたリバーサ22と、このリバーサ22の上下回転位置を、デフレクタ21の斜め前方への噴出口21bを塞ぐ船艇前進用通常位置と、後方への噴出口21cを塞ぐ船艇後進用反転位置との間で切換える制御ロッド(不図示)とを含む。
【0037】
次ぎに、図5〜図7を参照して、インペラIMP−1の羽根形状を説明する。図5、図6、及び図7は、それぞれ、インペラIMP−1の斜視図、正面図、及びメリジアン写像である。
【0038】
前記インペラIMP−1は、図5及び図6に示すように、5枚の螺旋状回転羽根16(i=1〜5)をロート状のハブ15へ軸対称に巻着固定した構造を有する。各回転羽根16は、不等辺な四辺形をポンプケーシング9(図4)とハブ15とに沿って図7に示すように湾曲させた形状のメリジアン写像を有する。つまり、各羽根16は、そのメリジアン写像において、ポンプケーシング9の内周に沿って湾曲する外側の辺16dと、ハブ15の外周15cに沿って湾曲する内側の辺16eと、これら内外の辺16d,16eの上流端16du,16eu間を結ぶ辺16fと、内外辺16d,16eの下流端16dd,16ed間を結ぶ辺16fとで画成される不等辺湾曲四辺形状を有する。
【0039】
上記内辺16eは、ハブ15の上流端15aから下流端15bにかけて末広がりに拡径する外周面15cの中の、回転軸芯ARに対する傾斜が比較的緩やかな上流側領域15c1の途中の点(より詳細には、上流側端縁15cuから外周15c沿いに所定距離dだけ後退した位置)を始点s(即ち、上記上流端16eu)とし、傾斜が比較的急な下流側領域15c2の後端(つまり、ハブ15の下流側端縁15cd)を終点e(即ち、上記下流端16ed)とする。なお、ハブ外周15cは、上記上流側領域15c1及び下流側領域15c2を含め、その全領域で無衝突(つまり、曲率連続)に形成される。この点、ハブ外周15cは、回転軸芯ARに対し、上流端15cuにおいて10°〜25°の傾斜角を有し、下流端15cdにおいて20°〜45°の傾斜角を有する。
【0040】
前記外辺16dは、その下流端16ddから上流端16duへ向かうに連れて、内辺16eからの距離Dが漸増する。このため、回転軸芯ARに対する傾斜角が、下流端16ddでは15°〜30°と広く設定されるが、上流端16duで0°〜15°と狭くなり、しかも下流側の辺16f及び上流側の辺16gがハブ外周15cから多少斜め前方に突出することから、図4に示すように上流端16duが上流側へ突出し、ポンプケーシング9の直管状前部9bの後端9c近傍に臨む。また各回転羽根16は、その下流側の辺16fが、図6に示すように、前記内辺16eの上流端16eu(ハブ外周15c上の始点s)からハブ15の順回転f方向へ弧状に延出する正面視形状を持つ。
【0041】
即ち、各回転羽根16は、ハブ外周15c上の始点sの下流側近傍(即ち、図7に示す緩傾斜領域15c1の上流端寄りの部分)から正面視(図6)鷹の爪状、つまりスクリュー状、に延出し、その先端16duが側面視(図4)でポンプケーシング9の直管状前部9bの後端9c近傍に臨むインデューサ連接型軸流羽根部16a(以下、単に「インデューサ羽根部」と呼ぶ。)と、ハブ外周15cの緩傾斜領域15c1の残りの部分から起立して上記インデューサ羽根部16aと無衝突につながる斜流羽根部16bと、ハブ外周15cの急傾斜領域15c2(図7)から起立して上記斜流羽根部16bと無衝突につながる遠心羽根部16cとにより構成される。
【0042】
なお、上記インデューサ羽根部16aは、始点sより上流側に位置し従ってハブ15から離間するインデューサ部(前記上流側の辺16fにより画成される三角曲面部分)と、始点sの下流側近傍から起立してインデューサ部と無衝突につながる軸流羽根部との組合せとみることもできる。
【0043】
また、ハブ外周15cの緩傾斜領域15c1と急傾斜領域15c2とは曲率が連続的に変化するので、設計上、その間の境界の位置を特定する必要はないが、図7に示すハブ15の軸部とそこから末広がりに拡径された傘部との分岐点からハブ軸部の後端面までの間に境界があるとみなすことは可能である。
【0044】
ハブ15の上流端15aから外周15c上の始点sまでの部分と緩傾斜の上流側領域15c1の部分とを合わせて前段部15dと呼び、急傾斜するその下流側の部分を後段部15eと呼べば、前記斜流羽根部16bは、ハブ前段部15dに巻着固定されていて、その上流側部分であるインデューサ羽根部16aの先端16duが、図4に示すように、ハブ前段部15dよりも前側(上流側)に突出している。また前記遠心羽根部16cはハブ後段部15eに巻着固定されている。
【0045】
回転羽根16の外辺16dはポンプケーシング9の内周に近接させ、体積効率を良くする。インデューサ羽根部16aは吸込流路Aに延出し、内側に広い流入口を画成して繊維等の絡み付きを防止する。またそのインデューサ機能により、水Wの吸込量を増し、この吸込性能の向上により、斜流羽根部16bへの押込圧が高くなる。この押込圧を受けた水Wが斜流羽根部16bの遠心力と羽根面の揚力とで加圧される。遠心羽根部16cは、その遠心力により軸動力の増加を防止しつつ、水Wに圧力と速度エネルギーとを与える。こうして、ウオータージェット推進装置PR1は、吸込性能が良く、キャビテーションも少なく、インペラの軸動力特性が平坦で扱い易く、高速回転可能で、しかも大容量、高揚程で運転可能な単段のターボポンプとして構成される。
【0046】
次に図8及び図9を参照して、上記第1実施例の変更例を説明する。
【0047】
図8に第1の変更例に係る船艇のウオータージェット推進装置のインペラIMP−2を示す。この第1変更例は、インペラIMP−2が総数4枚の回転羽根16i(i=1〜4)を備えている点で前記第1実施例と異なる。
【0048】
図9に第2の変更例に係る船艇のウオータージェット推進装置のインペラIMP−3を示す。この第2変更例は、インペラIMP−3が総数6枚の回転羽根16i(i=1〜6)を備えている点で前記第1実施例と異なる。
【0049】
(第2実施例)
次に図10及び図11を参照して本発明の第2の実施例を説明する。
【0050】
図10に第2の実施例に係る船艇のウオータージェット推進装置PR2を示し、図11に同推進装置PR2の推進ユニットPRUを示す。
【0051】
ウオータージェット推進装置PR2は、高速仕様船艇の船尾に着脱可能な船外機として構成され、下方から水を吸込みウォータージェットとして後方へ噴出することにより船艇を推進する推進ユニットPRUと、船尾に着設固定され、垂下する推進ユニットPRUを一体に支持し駆動する駆動部D2とを含む。
【0052】
駆動部D2はエンジンを内蔵するチラー操舵式ハウジングHsと、このハウジングHsを船尾へ左右回動可能に枢着する取付部Fxとを備え、ハウジングHsにはエンジン排気Exを下方へ導く縦ダクトDvが設けられる。
【0053】
推進ユニットPRUは、吸込流路Aから吸込んだ水Wをウォータージェットに変え、このウォータージェットを吐出流路Bから後方へ吐出するターボポンプ部P2と、吐出されたウォータージェットの噴射方向を制御して船艇を操舵する操舵部S2(制御系及び操舵系は不図示)とで構成される。
【0054】
ポンプ部P2は、図11に示すように、吸込口5から水Wを吸込む吸水部P2aと、吸水Wからウォータージェットを生成するウォータージェット生成部P2bと、生成されたウォータージェットを吐出するウォータージェット吐出部P2cと、前記縦ダクトDvから受けたエンジン排気Exを水中へ排出する横ダクトDhと、ウォータージェット生成部P2内の加圧旋回流又は吸込口5前方の水Wをエンジン冷却水として駆動部D2へ送給する水冷管路CPとを有する。
【0055】
吸水部P2aは、吸込ケーシング8を備え、これにより、吸込口5に連通する傾斜した吸込流路Aを画成する。この吸込流路Aは、滑かで曲がりが少なく、船艇の滑走時に流水を取込み、吸水Wに押込圧を与える。なお、吸込口5には除塵用スクリーン7が張設される。
【0056】
ウォータージェット生成部P2bは、吸水Wを旋回させて加圧することにより高揚程の旋回流を生成する旋回部P2b1と、その旋回流を直線流に整流してウォータージェットを得るディフューザとしての整流部P2b2とで構成される。
【0057】
旋回部P2b1は、吸込ケーシング8の後端に水平に連結されたポンプケーシング9と、このポンプケーシング9の鉢形状拡径部9aに内蔵されたインペラIMP―4と、このインペラIMP−4を駆動する主軸11とを有する。
【0058】
インペラIMP−4は、主軸11の後部11aにキー固定された洋梨状のハブ15と、このハブ15の外周に一体に形成された総数I枚(この場合I=5)の螺旋状回転羽根16(i=1〜I)(総称的には単に16で表す。)とからなり、シュラウドとしてのポンプケーシング9と協同して総数I個の回転流路CA(i=1〜I)(総称的には単にCAで表す。)を画成する。
【0059】
主軸11は、吸込ケーシング8の外壁に設けられた軸受12で軸支水封され、そこから突出する前部11bがベベルギヤ113を介して前記駆動部D2の駆動軸114に連結される。
【0060】
整流部P2b2は、ポンプケーシング8の後端に連結された吐出ケーシング17の前部17aと、この吐出ケーシング前部17aと一体に形成された総数J枚(J=7〜9)の固定案内羽根18(j=1〜J)(総称的には単に18で表す。)と、これらの固定案内羽根18の内周部を連結すると共に前記主軸11の後端部11cを軸支する羽根ボス19とを有する。案内羽根18は、ポンプケーシング9及び羽根ボス19と協同して総数J個の固定流路CB(j=1〜J)(総称的には単にCBで表す。)を画成する。これらの固定流路CBは、合流路CCを介して前記回転流路CAと連通する。
【0061】
ウォータージェット吐出部P2cは、吐出ケーシング17の漏斗状後部17bにより構成され、前記固定流路CBに連通する吐出流路Bを画成する。
【0062】
操舵部S2は、吐出ケーシング17のウォータージェット噴射部17cへ上下回動可能に枢支されたリバーサ122を含む。
【0063】
以上に説明から明らかな如く、前記第1又は第2実施例によれば、船艇(1)を高速航走させると、船底(2)又は推進ユニット(PRU)下側の航走水流(W)が吸込ケーシング(8)の吸込口(5)から流入し、ポンプケーシング(9)のインペラ(IMP−1,IMP−2,IMP−3;IMP−4)(以下、総称的にIMPで示す。)に移送される。
【0064】
吸込ケーシング(8)に延出するインデューサ羽根部(16a)の外周先端に広い吸込口が形成され、繊維等の異物が羽根(16)に絡み付かない。
【0065】
インデューサ羽根部(16a)がインデューサ機能を発揮して、その推力により軸心方向に流入する流体(W)の吸込量を増すとともに、斜流羽根部(16b)への押込圧を高める。
【0066】
インデューサ羽根部(16a)が吸込性能を向上させるので、斜流羽根部(16b)で局所的な圧力低下が生ぜす、キャビテーションによる振動あるいは騒音が防止される。
【0067】
斜流羽根部(16b)は、羽根揚力と遠心力とにより流体(W)を加圧する。遠心羽根部(16c)は、斜流羽根部で加圧された流体を更に遠心力で加圧する一方、軸動力の増大を防ぐ。
【0068】
インペラ(IMP)はこうして加圧した旋回流を吐出ケーシング(17)に与え、旋回流は吐出ケーシングの固定案内羽根(18)で直線流に整流されウォータージェットになる。
【0069】
ハブ(15)に等ピッチで巻き着けたI枚(I=4〜6)の回転羽根(16)は、主軸(11)周りに軸対称で、回転バランスがよく、また流体へのエネルギー付与に際し体積効率がよい。
【0070】
従来の遠心羽根では、ポンプのキャビテーションに対する吸込み性能の良否を表す吸込比速度を2000以上に高めることは困難であったが、上記実施例では、インデューサ羽根部(16a)を備えた回転羽根(16)の採用により、インペラ(IMP)の吸込比速度を2300min−1・(m/min)1/2・−3/4とすることができ、この吸込性能の向上によりキャビテーションが防止され、高速回転が可能になる。また軽量な推進装置(PR1;PR2)で高揚程大容量の吐出が可能となり、中型及び大型の高速船艇にも適用できる。
【0071】
上記実施例に係る船艇のウオータージェット推進装置(PR1;PR2)は、ポンプケーシング(9)を上流側から下流側に向って鉢状に拡径して、そこに配設されるインペラ(IMP)の螺旋状回転羽根(16)を、吸込ケーシング(8)側に延出する軸流式のインデューサ羽根部(16a)と、緩傾斜の斜流羽根部(16b)と、急勾配の遠心羽根部(16c)とが無衝突に接続された構成にしたので、上流側のインデューサ羽根部(16a)から下流側の遠心羽根部(16c)まで、滑らかな曲路を描く回転流路(CA)が画成され、羽根入口でのインデューサ効果により吸込性能が向上し、また羽根出口での遠心作用により大幅な軸動力の増加が防止される。このため、変動の少ない大容量高揚程のターボ形ポンプが得られ、インペラ(IMP)の高速回転も可能となる。
【0072】
上記インペラ(IMP)は、各回転羽根(16)の遠心羽根部(16c)を勾配が急なハブ(15)の後段部(15e)に巻き着けて、斜流羽根部(16b)を傾斜が緩やかなハブ(15)の前段部(15d)に巻き着け、この斜流羽根部(16b)の上流側に軸流状のインデューサ羽根部(16a)を連続的に設けて流体の吸込量を増した構成であるため、斜流羽根部(16b)への押込圧が高くなり、キャビテーションによる振動や騒音が防止される。
【0073】
各回転羽根(16)は、そのメリジアン写像における外辺(16d)をポンプケーシング(9)の内周に近づけるとともに、外辺(16d)の上流端(16du)つまりインデューサ羽根部(16a)の先端を吸込流路Aに突出させて吸込口を広くし、吸込性能を上げている。
【0074】
総数I枚(I=4〜6)の回転羽根(16)をハブ(15)へ等ピッチで軸対称に巻き着けて、流体加圧時の体積効率を上げるとともに、回転バランスをよくしている。
【0075】
吸込ケーシング(8)により、滑らかで曲がりが少なく緩傾斜の吸込流路(A)を画成し、船艇滑走時の流水の取込みを良くし、押込圧を増している。
【0076】
前記インペラ(IMP)は単段なので、従来の2段ポンプ式推進装置と比較して軽量であり、高速船への適用に有利である。
【0077】
整流部(P1b2,P2b2)は、吐出ケーシング(17)と羽根ボス(19)との間に総数J枚(J=7〜9)の固定案内羽根(18)を配設して、遠心方向から軸心方向への戻り流路となる固定流路(CB)を画成して、渦室のようなラジアル荷重の発生を防止し、振動を軽減している。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的大きな高速艇に適用可能な船艇のウォータージェット推進装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るウオータージェット推進装置が艤装された船艇の側面図である。
【図2】図1に示すウオータージェット推進装置の縦断面図である。
【図3】図2のウオータージェット推進装置の要部拡大図である。
【図4】図3のウオータージェット推進装置要部の5枚羽式インペラ及びディフューザを含む詳細図である。
【図5】図4に示すインペラの斜視図である。
【図6】図5のインペラの正面図である。
【図7】図5のインペラのメリジアン写像である。
【図8】上記第1実施例の第1の変更例に係る4枚羽式インペラの正面図である。
【図9】上記第1実施例の第2の変更例に係る6枚羽式インペラの正面図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る船艇のウオータージェット推進装置の一部破断側面図である。
【図11】図10のウォータージェット推進装置の要部縦断面図である。
【図12】インペラの比速度Nsとメリジアン輪郭との関係を示す図である。
【図13】従来のインペラのメリジアン写像である。

Claims (10)

  1. ハブ(15)に回転羽根(16)を巻き着けたインペラ(IMP)と、前記インペラ(IMP)を収容するポンプケーシング(9)とを含む単段のターボポンプとして構成される船艇のウオータージェット推進装置において、
    前記回転羽根(16)は、インデューサ連接形の軸流羽根部(16a)と、この軸流羽根部と無衝突につながる斜流羽根部(16b)と、この斜流羽根部と無衝突につながる遠心羽根部(16c)とを有し、
    前記ハブ(15)は、曲率が連続して変化するその外周面(15c)に、緩傾斜領域(15c1)と急傾斜領域(15c2)とを備え、
    前記回転羽根の軸流羽根部(16a)及び斜流羽根部(16b)が、前記ハブの外周面(15c)の緩傾斜領域(15c1)に巻き着けられ
    前記回転羽根の遠心羽根部(16c)が、前記ハブの外周面(15c)の急傾斜領域(15c2)に巻き着けられており
    また前記回転羽根は、そのメリジアン写像において、
    前記ハブの外周(15c)に対応する内側の辺(16e)の上流端(16eu)と、
    前記ポンプケーシング(9)の内周に沿う外側の辺(16d)の上流端(16du)と
    を、前記内側の辺の上流端(16eu)よりも上流側のみで連結する上流側の辺(16f)を
    有していて、
    前記軸流羽根部(16a)に、前記上流側の辺(16f)を一辺とする略三角形状のインデューサ部が設けられている
    ことを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置。
  2. 請求項1に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記ハブ(15)の外周面(15c)の緩傾斜領域(15c1)は急傾斜領域(15c2)の上流側に位置することを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置。
  3. 請求項1に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、
    前記回転羽根(16)のメリジアン写像における外側の辺(16d)は、その下流端(16dd)から上流端(16du)へ向かうに連れて、前記内側の辺(16e)からの距離(D)が漸増することを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置。
  4. 請求項1に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、緩傾斜の吸込流路(A)を備えることを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置。
  5. 請求項1に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記回転羽根(16)の総枚数(I)が4〜6枚であることを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置。
  6. 請求項5に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記回転羽根(16)の下流に配置された固定羽根(18)を備え、この固定羽根の総枚数(J)が7〜9枚であることを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置。
  7. 請求項1に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記回転羽根のメリジアン写像における外側の辺(16d)は、前記上流端(16du)で、前記ハブの回転軸心(AR)に対し0°〜15°の傾斜角を有することを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置
  8. 請求項1又は請求項7に係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記回転羽根のメリジアン写像における外側の辺(16d)は、その下流端(16dd)で、前記ハブの回転軸心(AR)に対し15°〜30°の傾斜角を有することを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置
  9. 請求項1、7、及び8のいずれかに係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記ハブの外周(15c)は、その上流端(15cu)で、前記ハブの回転軸心(AR)に対し10°〜25°の傾斜角を有することを特徴とする船艇のウオーター ジェット推進装置
  10. 請求項1、7、8,及び9のいずれかに係る船艇のウオータージェット推進装置であって、前記ハブの外周(15c)は、その下流端(15cd)で、前記ハブの回転軸心(AR)に対し20°〜45°の傾斜角を有することを特徴とする船艇のウオータージェット推進装置
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