JP4099636B2 - 自動車のフード取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フロントフード等のフードパネルを車体に開閉可能に支持する自動車のフード取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な自動車のフロントフード取付構造の一例について、図7および図8を参照して説明する。図7に示すように、自動車1のフロントフード2(フードパネル)は、後端部が車体3の左右両側に取付けられたフードヒンジ4(車体左側のみ図示する)によって回動可能に支持され、前端部がフードラッチ5によって車体3に係脱可能に係止されて、開閉可能に取付けられている。なお、図7中、符号6はフロントフェンダパネル、7はフロントバンパ、8はヘッドランプ、9はフロントウインドシールドガラスである。
【0003】
図8に示すように、フードヒンジ4は、ヒンジ部材10,11およびこれらを互いに回動可能に連結するヒンジピン12によって構成されており、一方のヒンジ部材10は、フロントフード2のインナパネル13にボルト14およびナット15によって結合されている。また、他方のヒンジ部材11は、車体3のフロントウインドシールドガラス9の前端部付近(ダッシュパネル(図示せず)の上部)に取付けられた車幅方向(水平方向)に延びるカウルトップパネル16(クロスパネル部材)にボルト17およびナット18によって結合されている。
【0004】
フロントフード2のインナパネル13およびカウルトップパネル16におけるフードヒンジ4の取付部は、それぞれリーンフォース19,20が裏当てされて補強されている。また、カウルトップパネル16におけるヒンジ部材11の取付部下面には、ダッシュサイドパネル21等の車体3の側部に配置されて略垂直方向に延びるサイドパネル部材が結合されており、リーンフォース20およびダッシュサイドパネル21によって、フードヒンジ4の支持剛性を高めている。なお、図8中、符号22はフロントフード2のアウタパネルを示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のフード取付構造では、次のような問題がある。カウルトップパネル16におけるフードヒンジ4の取付部は、垂直方向に延びるダッシュサイドパネル21によって支持されており、垂直方向の剛性が高いため、フロントフード2におけるフードヒンジ4の取付部付近に上方から物体が衝突した場合、フロントフード2の変形量が小さく、衝突による衝撃を充分に吸収することができない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、上方からの物体の衝突による衝撃を充分に吸収することができる自動車のフード取付構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係る自動車のフード取付構造は、車体に固定された水平方向に延びるクロスパネル部材にフードヒンジを介してフードパネルを取付け、前記クロスパネル部材の前記フードヒンジ取付部にリーンフォースを裏当てし、前記リーンフォースの一端部を下方へ折曲し、前記車体に固定された垂直方向に延びるサイドパネル部材を、前記クロスパネル部材との間に隙間を形成させて前記リーンフォースの下方へ折曲された一端部前記フードヒンジ取付部の下方にて結合し、前記リーンフォースおよび前記サイドパネル部材の少なくとも一方に、前記フードパネルの上方から作用する荷重に対して曲げ変形する折曲部を設けたことを特徴とする。
このように構成したことにより、上方からフードパネルに物体が衝突したとき、折曲部が曲げ変形することによって、衝撃が吸収される。
請求項2の発明に係る自動車のフード取付構造は、上記請求項1の構成において、前記折曲部の曲げ角度を鋭角としたことを特徴とする。
このように構成したことにより、折曲部が曲げ変形し易くなる。
請求項3の発明に係る自動車のフード取付構造は、上記請求項1または2の構成において、前記折曲部を複数設けたことを特徴とする。
このように構成したことにより、前記リーンフォースおよびサイドパネル部材の折曲部の曲げ変形による変形量を大きくすることができる。
また、請求項4の発明に係る自動車のフード取付構造は、上記請求項1ないし3のいずれかの構成において、前記サイドパネル部材の前記リーンフォースとの結合部の先端部を前記リーンフォースの表面から離れる方向に向けたことを特徴とする。
このように構成したことにより、リーンフォースおよびサイドパネル部材の変形時に、サイドパネル部材の先端部がリーンフォースと干渉しにくくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、図7および図8に示す従来例に対して、同様の部分には同一の符号を付して、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0009】
図1、図4および図5に示すように、本実施形態に係るフード取付構造では、カウルトップパネル16におけるヒンジ部材11の取付部に裏当てされたリーンフォース23は、略L字形に折曲され、曲げ角度θが鋭角の折曲部24が形成されている。リーンフォース23の下方へ折曲された一端部には、ダッシュサイドパネル21が重ねられてスポット溶接によって結合されている。
【0010】
リーンフォース23は、カウルトップパネル16に取付けられる平坦部にナット18が溶接されている。リーンフォース23は、ヒンジ部材11とともに、カウルトップパネル16の両端部にボルト17によって取付けられる(図1参照)。ダッシュサイドパネル21には、リーンフォース23の折曲部24の曲げ角度θに合わせて折曲された折曲部25が形成されており、リーンフォース23と重ね合わされてスポット溶接によって結合されている。
【0011】
ダッシュサイドパネル21のリーンフォース23との結合部の先端部26は、カウルトップパネル16まで達しておらず、カウルトップパネル16との間に隙間が形成されている。また、ダッシュサイドパネル21の先端部26は、溶接されるリーンフォース23の表面から離れる方向に曲げられている。
【0012】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
カウルトップパネル16に取付けられたフードヒンジ4は、通常は、上記従来例と同様、リーンフォース23およびダッシュサイドパネル21によって、必要な剛性をもって支持されている。一方、リーンフォース23が曲げ角θで鋭角に折曲され、これに合わせてダッシュサイドパネル21が折曲されているので、フロントフード2の上方から作用する荷重に対して、リーンフォース23およびダッシュサイドパネル21の折曲部24,25が曲げ変形するため、上記従来例よりも適度に剛性が低くなっている。
【0013】
これにより、フロントフード2のフードヒンジ4の取付部付近に上方から物体が衝突した場合、リーンフォース23およびダッシュサイドパネル21の曲げ変形によってフロントフード2が適度に変形することができ、衝突による衝撃を充分に吸収することができる。また、ダッシュサイドパネル21の先端部26は、リーンフォース23の表面から離れる方向に曲げられているので、先端部26がリーンフォース23と干渉することなく、円滑に曲げ変形が行われる。
【0014】
さらに、衝撃力が大きい場合には、ダッシュサイドパネル21とリーンフォース23との溶接部が破断して、フロントフード2の変形を促進することにより、効果的に衝撃を吸収することができる。
【0015】
本実施形態の変形例として、図2に示すように、リーンフォース23の曲げ角度θを更に小さくするとともに、ダッシュサイドパネル21の折曲部を省略し、代わりに、リーンフォース23側に第2の折曲部27を設けるようにすることもできる。
【0016】
このようにした場合、曲げ角度θを小さくした分、リーンフォース23が曲げ変形し易くなるので、フロントフード2の上方から作用する荷重に対する剛性を低下させることができ、衝撃を吸収しやすくすることができる。
【0017】
また、本実施形態の他の変形例として、図3に示すように、リーンフォース23の曲げ角度θを略直角とし、ダッシュサイドパネル21に折曲部25を設けて、ダッシュサイドパネル21を傾斜させるように構成することもできる。このようにした場合、フロントフード2の上方から作用する衝撃に対して、主にダッシュサイドパネル21の折曲部25の曲げ変形によって衝撃を吸収することになる。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明に係る自動車のフード取付構造によれば、リーンフォースおよびサイドパネル部材に折曲部を設けたことにより、上方からフードパネルに物体が衝突したとき、折曲部が曲げ変形することによって、衝撃を吸収することができる。
請求項2の発明に係る自動車のフード取付構造によれば、さらに、折曲部の曲げ角度を鋭角としたので、折曲部が曲げ変形し易くなり、衝撃を効果的に吸収することができる。
請求項3の発明に係る自動車のフード取付構造によれば、さらに、折曲部を複数設けたことにより、リーンフォースおよびサイドパネル部材の折曲部の曲げ変形による変形量を大きくすることができ、衝撃を効果的に吸収することができる。
また、請求項4の発明に係る自動車のフード取付構造によれば、さらに、サイドパネル部材のリーンフォースとの結合部の先端部をリーンフォースの表面から離れる方向に向けたことにより、リーンフォースおよびサイドパネルの変形時に、サイドパネル部材の先端部がリーンフォースと干渉しにくくなるので、円滑に曲げ変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動車のフード取付構造の要部を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す実施形態の変形例に係る自動車のフード取付構造の要部を示す縦断面図である。
【図3】図1に示す実施形態のほかの変形例に係る自動車のフード取付構造の要部を示す縦断面図である。
【図4】図1に示す自動車のフード取付構造のリーンフォースを示す斜視図である。
【図5】図4のリーンフォースの側面図である。
【図6】図1に示す自動車のフード取付構造のカウルトップパネルを示す平面図である。
【図7】フロントフードの取付構造を示す自動車の前部の斜視図である。
【図8】従来の自動車のフード取付構造の要部を示す図7のA-A線による縦断面図である。
【符号の説明】
2 フロントフード(フードパネル)
3 車体
4 フードヒンジ
16 カウルトップパネル(クロスパネル部材)
21 ダッシュサイドパネル(サイドパネル部材)
23 リーンフォース
24,25 折曲部
26 先端部

Claims (4)

  1. 車体に固定された水平方向に延びるクロスパネル部材にフードヒンジを介してフードパネルを取付け、前記クロスパネル部材の前記フードヒンジ取付部にリーンフォースを裏当てし、前記リーンフォースの一端部を下方へ折曲し、前記車体に固定された垂直方向に延びるサイドパネル部材を、前記クロスパネル部材との間に隙間を形成させて前記リーンフォースの下方へ折曲された一端部前記フードヒンジ取付部の下方にて結合し、前記リーンフォースおよび前記サイドパネル部材の少なくとも一方に、前記フードパネルの上方から作用する荷重に対して曲げ変形する折曲部を設けたことを特徴とする自動車のフード取付構造。
  2. 前記折曲部の曲げ角度を鋭角としたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフード取付構造。
  3. 前記折曲部を複数設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車のフード取付構造。
  4. 前記サイドパネル部材の前記リーンフォースとの結合部の先端部を前記リーンフォースの表面から離れる方向に向けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自動車のフード取付構造。
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