JP4098571B2 - ガス遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガス遮断器に関し、特に、電気回路を大地電位から絶縁する機能、閉路状態では負荷電流を通電する機能並びに健全時および事故時の電流を遮断し、更に遮断後に遮断器極間に加わる電圧に耐える機能を有し、電気回路を開閉するガス遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在72kV以上の高圧送電系統において主に用いられている単一圧力式ガス遮断器は、操作装置による機械的な力によって消弧性ガスで満たされた容器内にあるガスの一部を開極動作とともに圧縮して圧力を高め、それをコンタクト間に発生するアークに吹き付けて消弧する機械パッファ方式が主流である。最近この機械パッファ方式に、極間のアークエネルギーを取り込むことによって吹き付けるガスの圧力を高める作用を実現する熱パッファ方式を組み合わせて、要求される機械的な駆動エネルギーを低減させる熱パッファ併用形のガス遮断器が実用化されてきている。このような熱パッファ・機械パッファ併用形消弧室の構造と動作について、図5および図6に示す特公平7−109744号公報に記載されているガス遮断器の例を用いて説明する。ここで図5はガス遮断器の閉極状態を示し、図6は開極状態を表している。
【0003】
図5および図6において、熱パッファ・機械パッファ併用形の消弧室は、消弧性ガスで満たされた図示しない容器中に、固定接触子20、可動接触子21、可動接触子支持部22が同一軸線上に配置されて構成されている。固定接触子20は固定アークコンタクト1とその周囲に配置された固定通電コンタクト2から構成されている。可動接触子21は、中空のピストンロッド8と、ピストンロッド8の先端部に接続された中空の可動アークコンタクト4と、可動アークコンタクト4の周囲に配置され一端がピストンロッド8に機械的に固着されもう一端が可動通電コンタクト5となっているパッファピストン6と、パッファピストン6の可動通電コンタクト5側に固着し可動アークコンタクト4の周囲に配置された絶縁性のノズル3とを備えている。可動接触子支持部22は、支持筒16と、これに固着されピストンロッド8の周囲にあって、端部に上記ピストンロッド8と摺動可能な仕切り板部11aを有し、パッファピストン6の円筒部と電気的に接触しながら摺動可能な摺動接触部を有する摺動通電シリンダ11から構成されている。
【0004】
上記パッファピストン6の内径とピストン部6aと可動アークコンタクト4の外径によって熱パッファ室7が形成され、摺動通電シリンダ11の内径と仕切り板部11aとピストンロッド8の外径とパッファピストン6のピストン部6aとで、機械パッファ室12が形成される。熱パッファ室7は容積が変化しないが、機械パッファ室12は可動接触子21の位置によってその容積が変化する。パッファピストン6のピストン部6aには熱パッファ室7から機械パッファ室12へのガス流が制限され、その反対方向のガス流は制限されない熱パッファ室逆止弁17が、また、仕切り板部11aには機械パッファ室12から支持筒16内へのガス流が制限され、その反対方向のガス流は制限されない機械パッファ室逆止弁19が配置されている。
【0005】
支持筒16の側面には支持筒連通口14を有し、支持筒16内のガス空間が外部と連通するようになっている。ピストンロッド8の側面には、可動接触子部21が投入位置から遮断位置の間のどの位置に有ってもピストンロッド8の中空部分15が支持筒16内と連通するような位置にピストンロッド連通口9が形成されている。これにより、ピストンロッド中空部15は可動接触子21の位置に係わらず常に外部ガス空間と連通している。
【0006】
この図5の構成において、可動接触子21は、図示しない操作装置の発生する駆動力によって軸方向に直線的に往復運動するように構成されている。図5に示す閉極状態においては、可動アークコンタクト4と可動通電コンタクト5とがそれぞれ固定アークコンタクト1と固定通電コンタクト2とに接触し、可動接触子支持部22と固定接触子20との間を通電させている.
【0007】
電流遮断時には可動接触子21の移動によってまず可動通電コンタクト5と固定通電コンタクト2とが開いて遮断電流をアークコンタクト接触部に転流させ、次いで可動アークコンタクト4と固定アークコンタクト1とが開いて両アークコンタクト間にアークが発生する。
【0008】
電流が大きい場合、アーク周辺のガスはアークエネルギーにより加熱され圧力が上昇し、その一部がノズル3、あるいはピストンロッド中空部15、ピストンロッド連通口9、支持筒連通口14を通って外部ガス空間に流出すると同時に、熱パッファ室7へ流入し、これによって熱パッファ室7の圧力が上昇する。熱パッファ室7内のガスは圧力差により機械パッファ室12に流れ込もうとするが、熱パッファ室逆止弁17が閉じるため熱パッファ室7と機械パッファ室12の連通がなくなる。電流が零点に近づいてくるとアーク周辺の加熱が減少するので圧力が下がり、熱パッファ室7内に高い圧力で蓄えられていたガスがノズル3を経てアークに吹き付けられ電流を遮断する。
【0009】
電流が小さい場合、アーク周辺のガスはあまり加熱されず、熱パッファ室7の圧力が十分に上昇しない。このため、遮断動作により圧縮された機械パッファ室12の圧力上昇が熱パッファ室7の圧力上昇を上回り、機械パッファ室12から熱パッファ室7へのガス流れのために熱パッファ室逆止弁17が開いて、機械パッファ室12内のガスが熱パッファ室7、ノズル3を通ってアークコンタクト間のアークに吹き付けられ電流を遮断する。
【0010】
投入時には可動接触子部21の移動に伴い機械パッファ室12の容積が拡大するため、機械パッファ室12内の圧力が低下しようとする。これに対し熱パッファ室7の圧力は低下しないので熱パッファ室逆止弁17は閉じるが、機械パッファ室逆止弁19が開いて外部空間のガスが支持筒連通口14および機械パッファ室逆止弁19を通って機械パッファ室12内に導入される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような熱パッファ・機械パッファ形消弧室を備えたガス遮断器においては、大電流を遮断する場合、アーク周辺のガスがアークエネルギーにより加熱され圧力が上昇し、その一部が熱パッファ室7に流入し、これによって熱パッファ室7の圧力が上昇し、電流零点で熱パッファ室7に高圧で蓄えられていたガスがノズル3を経てアークに吹き付けられ電流を遮断する。このときアークに吹き付けるガスの温度は低いほど冷却効果が高くアーク消弧性能に優れる。しかしながら、従来の熱パッファ室7へのガス流入経路は、熱パッファ装置7内でのアークガスの攪拌・混合について考慮されていなかった点で形状が必ずしも適切ではない。このため、熱パッファ室7に流入した熱ガスと、熱パッファ室7内に元々ある冷たいガスとの攪拌・混合による冷却が効率的に行われていないという問題点があった。
【0012】
従って、この発明の目的は、上述のような従来のガス遮断器の課題を解決することであり、また熱パッファ室内での熱ガスと冷たいガスとの攪拌・混合を効率的にかつ積極的に行なわせることにより、従来よりも小形の熱パッファ室で従来と同様の遮断性能を得ることができ、小形・低コストのガス遮断器を得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、上述の課題を解決するための手段は次の通りである。
(1)絶縁媒体が充填された密閉タンクと、上記密閉タンク内に設けられた固定接触子と、上記固定接触子に離接する可動接触子と、上記可動接触子に設けられて、開離時に上記固定接触子との間に形成されるアーク領域に望むアークガス流路を有し、上記アーク領域に発生するアークガスを上記アークガス流路を通して受け入れ、蓄え、電流零点でアークに吹き付ける熱パッファ室を形成する熱パッファ装置と、上記熱パッファ装置に対して相対移動可能であって、上記熱パッファ装置に隣接して上記可動接触子の開閉動作に応じて容積が変化する機械パッファ室を形成する機械パッファ装置とを備えたガス遮断器に於いて、上記熱パッファ装置の上記アークガス流路を通って上記熱パッファ室内に流入するアークガスを案内して上記熱パッファ室内の上記絶縁媒体と攪拌混合させるフローガイド装置を備えたことを特徴とするガス遮断器。
【0014】
(2)上記フローガイド装置が、上記熱パッファ装置の上記アークガス流路近傍で上記可動接触子に固着されて、上記可動接触子のアークコンタクトに沿って延びて、上記アークガス流路の内側表面を形成する滑らかな表面を持つ第1のフローガイドを備えたものでもよい。
【0015】
(3)上記第1のフローガイドが、上記熱パッファ装置に設けられた絶縁ノズルと協働して上記アークガス流路を形成するように、上記滑らかな表面が、上記絶縁ノズルの内周面に対向して設けられたものでもよい。
【0016】
(4)上記フローガイド装置が、上記熱パッファ装置の上記熱パッファ室内に設けられ、上記アークガス流路から流入してきたアークガスを案内して上記熱パッファ室内で上記攪拌混合を促進させるフローガイドを備えたものでもよい。
【0017】
(5)上記熱パッファ装置は、上記可動接触子と、上記可動接触子に設けられて径方向に延びたピストン壁と、上記ピストン壁から軸方向に延びた円筒壁と、上記円筒壁から上記固定接触子に向かって延びた絶縁ノズルとを備え、上記ピストン壁近傍で上記可動接触子上に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板である第2のフローガイドであってもよい。
【0018】
(6)上記熱パッファ装置は、上記可動接触子と、上記可動接触子に設けられて径方向に延びたピストン壁と、上記ピストン壁から軸方向に延びた円筒壁と、上記円筒壁から上記固定接触子に向かって延びた絶縁ノズルとを備え、上記ピストン壁近傍で上記円筒壁上に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板である第3のフローガイドであってもよい。
【0019】
(7)上記熱パッファ装置は上記ピストン壁に逆止弁を有し、上記偏向板は、上記逆止弁の最大許容行程以上の移動を制限する位置に設けられていてもよい。
【0020】
(8)上記熱パッファ装置に設けられて、上記熱パッファ装置の上記熱パッファ室内で上記アークガスの流れに擾乱を発生させて、上記熱パッファ室内で上記攪拌混合を促進させる擾乱発生装置を備えたものでもよい。
【0021】
(9)上記熱パッファ装置に設けられて、上記熱パッファ装置の上記熱パッファ室内で上記アークガスの熱によって蒸発し、パッファ室内の圧力を上昇させる蒸気発生材料を備えたものでもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1および図2は、本発明によるガス遮断器の第1の実施の形態を示し、図1はガス遮断器の閉極状態を示し、図2はガス遮断器の開極状態を示している。図1および図2において、本発明によるガス遮断器は、消弧性ガスで満たされた図示しない容器中に、固定接触子20、可動接触子21、可動接触子支持部22が同一軸線上に配置されており、固定接触子20および可動接触子支持部22の構成並びに可動接触子21の基本構造は図5および図6に示すものと同様であるので、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0023】
ガス遮断器は、可動接触子21に設けられた熱パッファ室31を形成する熱パッファ装置32を備えている。熱パッファ室31は、開離時に固定接触子20と可動接触子21との間、詳しく言えば固定アークコンタクト1と可動アークコンタクト4との間に形成されるアーク領域33に望むアークガス流路開口34を有している。熱パッファ室31は、このアークガス流路開口34を通してアーク領域33に発生するアークガスを受け入れ、蓄え、電流零点でアークに吹き付けるものである。ガス遮断器はまた、熱パッファ装置32に対して相対移動可能であって、熱パッファ装置32に隣接して可動接触子21の開閉動作に応じて容積が変化する機械パッファ室35を形成する機械パッファ装置36も備えている。
【0024】
この発明のガス遮断器に於いては、熱パッファ装置32は、中空のピストンロッド8と、ピストンロッド8の端部に機械的に接続されて環状に並べて配置された複数のフィンガーからなる可動アークコンタクト4と、可動アークコンタクト4の外周を覆うようにピストンロッド8の先端部に取り付けられた第1ノズル部材37とを備えている。この第1ノズル部材37は、ほぼ中空円筒形で可動アークコンタクト4の外周を覆う円筒部38と、先端で可動アークコンタクト4の先端部に沿って固定アークコンタクト1に向かって延びた口唇部39とを備えている。
【0025】
熱パッファ装置32にはまた、パッファピストン6の先端部に固着された第2ノズル部材40が設けられていて、ピストンロッド8、第1ノズル部材37、パッファピストン6および第2ノズル部材40により熱パッファ室31が形成されている。第2ノズル部材40は、固定アークコンタクト1に沿って移動し、固定アークコンタクト1と可動アークコンタクト4との間のアーク領域33に発生したアークに消弧ガスを吹き付けるためのノズル部41と、第1ノズル部材37の外周面に沿って延びてパッファピストン6に固着され、第1ノズル部材37との間に環状のアークガス流路開口34を形成する本体部42とを持っている。
【0026】
このように、この発明によれば、上述の第1ノズル部材37と第2ノズル部材40とが協働して間にアークガス流路開口34が形成され、熱パッファ室31内に流入するアークガスが、熱パッファ室31内で絶縁媒体と十分に攪拌混合されるように、このアークガス流路開口34によって案内される。この意味で第1ノズル部材37と第2ノズル部材40とはフローガイド装置を構成し、第2ノズル部材40と共にこのアークガス流路開口34を形成する第1ノズル部材37は第1フローガイドである。この第1フローガイドは、熱パッファ装置32の熱パッファ室31のアークガス流路開口34近傍で可動接触子21のアークコンタクト4に固着されて(ピストンロッド8に固着しても良い)、アークコンタクト4に沿って延びて、アークガス流路開口34の内側表面の一部を形成する滑らかな表面を持っている。また、この第1ノズル部材37の滑らかな表面は第2ノズル部材40と協働してアークガスを効率良く流すアークガス流路開口34を形成するように、第2ノズル部材40の内周面に対向して設けられている。アークガス流路開口34はアーク領域33に対して環状に開いており、そこから径方向外側に円板状に延び、第1ノズル部材37の外表面に沿って滑らかに曲げられて第1ノズル部材37の円筒部38に沿って軸方向に円筒状に延びて熱パッファ室31内に連通している。
【0027】
本発明のガス遮断器には更に、フローガイド装置として、熱パッファ装置32の熱パッファ室31内のアークガス流路開口34から見て軸方向奥深くに設けられ、アークガス流路開口34に案内されて熱パッファ室31内で第1ノズル部材37に沿って軸方向に流れてきたアークガスを偏向させて、径方向外向きに流れるように案内する第2のフローガイド43である偏向板を備えている。この第2のフローガイド43は、断面がほぼJ字型に湾曲された環状の板部材であって、その円筒部分44がピストンロッド8の円筒面に形成された段部8aに係合され、湾曲部分45がピストンロッド8から径方向外側に向かって立ち上がっている。熱パッファ室31内でアークガスの流れを導いて、アークガスと元々熱パッファ室31内に入っていた比較的低温の絶縁ガスとの攪拌混合を促進させ、アークに吹き付けるガスの温度を低くすることができる。このように、第2のフローガイド43は、ピストン壁6a近傍で可動接触子21のピストンロッド8上に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板43である。
【0028】
先に図5および図6に関連して説明したのと同様に、熱パッファ装置32のパッファピストン6のピストン壁6aには、熱パッファ室32から機械パッファ室12へのガス流を制限し、その反対方向のガス流は制限しない熱パッファ室逆止弁17が設けられている。この熱パッファ室逆止弁17は、ピストン壁6aに形成された複数の弁孔17aと、弁孔17aを開閉する平坦な環状板である弁体17bとを備えているが、上に説明した偏向板である第2のフローガイド43は、逆止弁17の最大許容行程以上の移動を制限する位置に設けられていて、それ以上に弁体17bが移動してしまわぬようにしてある。
【0029】
本発明のガス遮断器において、アーク領域33から熱パッファ室31に流入するアークガスの流れは、図2に矢印Aで示すように、第1および第2のノズル部材37および40の間に形成されたアークガス流路開口34を通って熱パッファ室31内に入る。このとき、アークガスの流れは、第2のノズル部材40と協働する第1ノズル部材37を備えたフローガイド装置により案内されることになる。熱パッファ室31に流入したアークガスは第1ノズル部材40に沿ってほぼ軸方向に流れ、やがて第2のフローガイドである偏向板43に衝突して矢印Bで示すように径方向外向きに方向を変えられてピストン壁6aに沿って流れ、更にパッファピストン6の円筒壁6cに沿って軸方向に逆向きに流れ、熱パッファ室31内全体に広がる渦の発生が促進されることにより、熱パッファ室31内に元々あった冷たいガスとの混合による冷却が効率的に行われる。このため、熱パッファ室31内全体のガス温が下がり、電流零点でアークに吹き付けられるガス流の温度が下がり、遮断性能が向上する。また遮断性能の向上を図ることができるため、従来より小形の熱パッファ室で従来と同等の遮断性能を有することができ、従来よりも小形で低コストの遮断器を得ることができる。
【0030】
実施の形態2.
図3に示す本発明のガス遮断器の別の実施形態では、図1および図2に示すガス遮断器と比較すると、熱パッファ室31のパッファピストン6の円筒壁6cの内面にも、第2のフローガイド43である偏向板と同様の第3のフローガイドである偏向板44が設けられている。偏向板44が偏向板43と相違する点は、J字型の向きが異なり、偏向板43によって矢印Bで示すように案内されたガスの流れが、偏向板44である第3のフローガイドによって矢印Cで示すように、パッファピストン6の円筒壁6cの内周面に沿って軸方向になるようにされていることである。この第3のフローガイド44により、ガスの渦形成がより一層促進される。
【0031】
図3に示す本発明のガス遮断器は更に、熱パッファ装置32のパッファピストン6の円筒壁6cの内面に分散して設けられて、熱パッファ室31内でそこまで案内されてきたアークガスの流れに擾乱を発生させて、ガスの攪拌混合を促進させる擾乱発生装置45を備えている。図示の例では擾乱発生装置45は、パッファピストン6の円筒壁6cの内面に設けた複数個の半球状の突起であり、この上を通過させることにより、ガス流れに撹乱を形成させ冷却を促進させるようにしたものである。このようなガス遮断器に於いては、電流零点近傍でアークに吹き付けられるガス流の温度をより低くすることができ、遮断性能の向上を図ることができるため、従来より小形の熱パッファ室で従来と同等の遮断性能を有することができる、より小形で低コストの遮断器を得ることができる。
【0032】
実施の形態3.
図4に示すガス遮断器の熱パッファ装置は、図1および図2に示す熱パッファ装置32の熱パッファ室31内に、アークガスの熱によって蒸発してパッファ室内の圧力を上昇させることのできる蒸気発生材料46を備えている。蒸気発生材料46は、図示の例では、熱パッファ室31を形成するパッファピストン6の円筒壁6cの内周面に装着されたテトラフルオロエチレン等のアークガスにより蒸発しやすい材料の層として設けられている。蒸気発生材料46の層は熱パッファ室31の内部に設ければよいが、例えば逆止弁19の作用等のその他の機能を妨げないような配慮が必要である。このような形態をとることにより、アークエネルギーにより加熱され熱パッファ室31内に流入した熱ガス流により蒸気発生材料46から蒸気を発生させることができる。この蒸気により熱パッファ室31内の圧力が高められて吹き付けを強くなり、遮断性能の向上を図ることができるため、従来より小形の熱パッファ室で従来と同等の遮断性能を有することができ、従来よりも小形で低コストの遮断器を得ることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の如く本発明のガス遮断器による効果は次の通りである。
(1)ガス遮断器は、絶縁媒体が充填された密閉タンクと、上記密閉タンク内に設けられた固定接触子と、上記固定接触子に離接する可動接触子と、上記可動接触子に設けられて、開離時に上記固定接触子との間に形成されるアーク領域に望むアークガス流路を有し、上記アーク領域に発生するアークガスを上記アークガス流路を通して受け入れ、蓄え、電流零点でアークに吹き付ける熱パッファ室を形成する熱パッファ装置と、上記熱パッファ装置に対して相対移動可能であって、上記熱パッファ装置に隣接して上記可動接触子の開閉動作に応じて容積が変化する機械パッファ室を形成する機械パッファ装置とを備え、上記熱パッファ装置の上記アークガス流路を通って上記熱パッファ室内に流入するアークガスを案内して上記熱パッファ室内の上記絶縁媒体と攪拌混合させるフローガイド装置を備えたものである。
【0034】
(2)上記フローガイド装置は、上記熱パッファ装置の上記アークガス流路近傍で上記可動接触子に固着されて、上記可動接触子のアークコンタクトに沿って延びて、上記アークガス流路の内側表面を形成する滑らかな表面を持つ第1のフローガイドを備えたものでもよい。
【0035】
(3)また、上記第1のフローガイドは、上記熱パッファ装置に設けられた絶縁ノズルと協働して上記アークガス流路を形成するように、上記滑らかな表面が、上記絶縁ノズルの内周面に対向して設けられたものでもよい。
【0036】
(4)更に、上記フローガイド装置は、上記熱パッファ装置の上記熱パッファ室内に設けられ、上記アークガス流路から流入してきたアークガスを案内して上記熱パッファ室内で上記攪拌混合を促進させるフローガイドを備えたものでもよい。
【0037】
このような構成により、ガス遮断器に於いては、アークエネルギーにより加熱され熱パッファ室に流入する熱ガス流の渦形成を促進させ、熱パッファ室内で攪拌・混合による冷却をすることにより、電流零点でアークに吹き付けられるガス流の温度が下がり、遮断性能の向上を図ることができる。
【0038】
(5)上記熱パッファ装置は、上記可動接触子と、上記可動接触子に設けられて径方向に延びたピストン壁と、上記ピストン壁から軸方向に延びた円筒壁と、上記円筒壁から上記固定接触子に向かって延びた絶縁ノズルとを備え、上記ピストン壁近傍で上記可動接触子上に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板である第2のフローガイドであってもよい。
【0039】
(6)また、上記熱パッファ装置は、上記可動接触子と、上記可動接触子に設けられて径方向に延びたピストン壁と、上記ピストン壁から軸方向に延びた円筒壁と、上記円筒壁から上記固定接触子に向かって延びた絶縁ノズルとを備え、上記ピストン壁近傍で上記円筒壁上に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板である第3のフローガイドであってもよい。
【0040】
このような構成により、熱パッファ室31内に流入するアークガスを案内して熱パッファ室内の絶縁媒体と攪拌混合させるフローガイド装置を簡単な構造により提供できる。
【0041】
(7)上記熱パッファ装置は上記ピストン壁に逆止弁を有し、上記偏向板は、上記逆止弁の最大許容行程以上の移動を制限する位置に設けられているので、逆止弁のストッパとして別の部品を設ける必要がなく、構造を簡単にできる。
【0042】
(8)上記熱パッファ装置に設けられて、上記熱パッファ装置の上記熱パッファ室内で上記アークガスの流れに擾乱を発生させて、上記熱パッファ室内で上記攪拌混合を促進させる擾乱発生装置を備えたものであるので、アークエネルギーにより加熱され熱パッファ室に流入する熱ガス流の渦形成を促進させ、熱パッファ室内で攪拌・混合による冷却を効率良くすることができ、電流零点でアークに吹き付けられるガス流の温度を下げて、遮断性能の向上を図ることができる。
【0043】
(9)上記熱パッファ装置に設けられて、上記熱パッファ装置の上記熱パッファ室内で上記アークガスの熱によって蒸発し、パッファ室内の圧力を上昇させる蒸気発生材料を備えたものであるので、アークエネルギーにより加熱され、熱パッファ室に流入する熱ガス流による蒸気により熱パッファ室内の圧力が上昇して吹き付けが強くなり、遮断性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガス遮断器の実施の形態を閉極状態で示す概略断面図である。
【図2】 本発明のガス遮断器の実施の形態を開極状態で示す概略断面図である。
【図3】 本発明のガス遮断器の別の実施の形態を開極状態で示す概略断面図である。
【図4】 本発明のガス遮断器の更に別の実施の形態を開極状態で示す概略断面図である。
【図5】 従来のガス遮断器を閉極状態で示す概略断面図である。
【図6】 従来のガス遮断器を開極状態で示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 固定アークコンタクト、2 固定通電コンタクト、4 可動アークコンタクト、6a ピストン壁、6c 円筒壁、17 逆止弁、20 固定接触子、21 可動接触子、31 熱パッファ室、32 熱パッファ装置、33 アーク領域、34 アークガス流路、35 機械パッファ室、36 機械パッファ装置、39、40、43、44 フローガイド装置、39、40 第1のフローガイド、40 ノズル部材、43 第2のフローガイド(偏向板)、44 第3のフローガイド(偏向板)、45 擾乱発生装置、46 蒸気発生材料。
Claims (4)
- 絶縁媒体が充填された密閉タンクと、前記密閉タンク内に設けられた固定接触子と、前記固定接触子に離接する可動接触子と、前記可動接触子に設けられて、開離時に前記固定接触子との間に形成されるアーク領域に望むアークガス流路を有し、前記アーク領域に発生するアークガスを前記アークガス流路を通して受け入れ、蓄え、電流零点でアークに吹き付ける熱パッファ室を形成する熱パッファ装置と、前記熱パッファ装置に対して相対移動可能であって、前記熱パッファ装置に隣接して前記可動接触子の開閉動作に応じて容積が変化する機械パッファ室を形成する機械パッファ装置とを備えたガス遮断器に於いて、
前記可動接触子のアーク形成部となる可動アークコンタクトの外周を覆う円筒部と、先端で前記可動アークコンタクト先端部に沿って固定接触子のアーク形成部となる固定アークコンタクトに向かって延びた口唇部とを有し、前記熱パッファ装置の前記アークガス流路を通って前記熱パッファ室内に流入するアークガスを案内して前記熱パッファ室内の前記絶縁媒体と攪拌混合させるフローガイド装置を備えたことを特徴とするガス遮断器。 - 前記熱パッファ装置は、前記可動接触子と、前記可動接触子に設けられて径方向に延びたピストン壁と、前記ピストン壁から軸方向に延びた円筒壁と、前記円筒壁から前記固定接触子に向かって延びた絶縁ノズルと、前記ピストン壁に設けられた逆止弁とを備え、前記ピストン壁近傍の前記可動接触子上で前記逆止弁の最大許容行程以上の移動を制限する位置に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板である第2のフローガイドを備えたことを特徴とする請求項1項記載のガス遮断器。
- 前記熱パッファ装置は、前記可動接触子と、前記可動接触子に設けられて径方向に延びたピストン壁と、前記ピストン壁から軸方向に延びた円筒壁と、前記円筒壁から前記固定接触子に向かって延びた絶縁ノズルと、前記ピストン壁に設けられた逆止弁とを備え、前記ピストン壁近傍の前記円筒壁上で前記逆止弁の最大許容行程以上の移動を制限する位置に設けられ、湾曲した断面を持つ環状の偏向板である第3のフローガイドを備えたことを特徴とする請求項1項記載のガス遮断器。
- 前記熱パッファ装置に設けられて、前記熱パッファ装置の前記熱パッファ室内で前記アークガスの流れに擾乱を発生させて、前記熱パッファ室内で前記攪拌混合を促進させる擾乱発生装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のガス遮断器。
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