JP4097825B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば各種装置の軸封部に用いられるオイルシール等の密封装置に関し、特に大気側摺動面にねじ突起を有する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の密封装置としては、例えば図7に示すようなものがある。すなわち、この密封装置100は、互いに同心的に相対回転自在に組み付けられる2部材としてのハウジング101とそのハウジング101内に挿入される回転軸102間の環状の隙間を密封するものである。
【0003】
この密封装置100は、ハウジング101の内周に嵌合される環状のシール本体103と、回転軸102の外周面に摺動自在に密封接触する、たとえばゴム状弾性体製のシールリップ104とから構成されている。また、シールリップ104の外周には緊迫力を付与するためのスプリング106が装着されている。
【0004】
そして、シールリップ104の大気側摺動面にねじ突起105を形成し、そのねじ突起105によるポンピング作用により密封性能を高めている(ねじ効果)。
【0005】
ねじ突起105の形状としては、例えば、高さ及び幅がほぼ一定の平行ねじ突起や、長さ方向両端が閉じており、高さ及び幅が軸方向中途部ほど大きい船底ねじ突起がある。
【0006】
図8は図7の矢視Sのねじ突起105を拡大して示しており、このねじ突起105のB−B線断面で示す幅方向断面(図9)は、頂角120°に代表される二等辺の三角状を形成していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにねじ突起105の幅方向断面が二等辺の三角状であると、回転軸102の回転時、ねじ突起105の二等辺の三角状は剛性が小さいために回転軸102との接触による力を受けて変形してしまい、回転軸102との接触が弱いという問題が生じていた。
【0008】
このため、ねじ突起105のポンピング作用が有効に働かず、密封性が低下していた。
【0009】
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、密封性を向上する信頼性に優れた密封装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、互いに同心的に相対回転自在に組み付けられる2部材間の環状の隙間を密封するもので、一方の部材に取付けられる環状のシール本体と、該シール本体に設けられて他方の部材に摺動自在に密封接触するシールリップとを備え、該シールリップの大気側摺動面にねじ突起を設けた密封装置において、前記ねじ突起は、回転方向に対して、前方に平面的に傾斜する前面と後方に傾斜する後面とを備え、前記後面は、前面に連続して設けられ前面の傾斜よりもなだらかに傾斜する平面的な第1の面と、第1の面から屈折して第1の面よりも急勾配となる平面的な第2の面とを備えることを特徴とする。
【0011】
従って、ねじ突起は前面の傾斜よりもなだらかに形成された後面の傾斜が前面を支持して剛性を高め、回転時に他方の部材との接触による力を受けてもねじ突起の形状が変化することが防がれるので、ねじ突起と他方の部材との接触を強くすることができ、ポンピング作用が向上して、密封性を向上することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
(参考例)参考例に係る密封装置を示す図1において、この密封装置1は、互いに同心的に相対回転自在に組み付けられた2部材としてのハウジング2とハウジング2内に挿入される軸3間の環状の隙間を密封するものである。
【0016】
密封装置1は、概略、ハウジング2の内周に嵌合されるシール本体4と、軸3の外周面に摺動自在に密封接触するシールリップ5と、シールリップ5の軸3の外周面との大気側摺動面51に形成されるねじ突起6とを備えている。
【0017】
シール本体4は、補強環7とゴム状弾性体8とから成っている。補強環7は、半径方向内方に伸びる内向きフランジ部71を有する円筒状部材である。この補強環7のフランジ部71の大気側A端面と円筒部72の外周面及び密封流体側O端面に連続してゴム状弾性体8が一体的に焼付固定されている。
【0018】
このシール本体4は、補強環7の円筒部72がハウジング2の内周面にゴム状弾性体8を介して嵌合される。
【0019】
そして、補強環7のフランジ部71の内端にゴム状弾性体製のシールリップ5とダストリップ9が設けられている。
【0020】
シールリップ5は、フランジ部71の内端からゴム状弾性体8と連続して軸方向密封流体側Oに伸びる断面楔状を成し、そのリップ先端が軸3の外周面に摺動自在に密封接触するようになっている。
【0021】
また、シールリップ5の外周には、軸3の外周面に対して緊迫力を付与するための緊迫力付与手段としてのスプリング10が全周的に装着されている。
【0022】
また、ダストリップ9は、補強環7のフランジ部71の内端から軸方向大気側Aに伸び、軸3側に傾く、断面板状を成しており、そのリップ先端部が軸3の外周面に摺動自在に密封接触するようになっている。これにより、大気側Aからのダストの侵入を防止している。
【0023】
そして、シールリップ5の大気側摺動面51にねじ突起6を設けて、ポンピング作用による密封性能を高めている(ねじ効果)。図2に、ねじ突起6を図1の矢視Sを拡大して示す。
【0024】
ねじ突起6は、図3に示す幅方向断面(図2B−B線断面)で、回転方向に対して、前方に傾斜する前面61と後方に傾斜する後面62とを備えており、この後面62の傾斜が前面61の傾斜よりもなだらかに形成されている。
【0025】
図3に示すように頂角を垂線で前角63と後角64とに分けると、本実施の形態では例えば前角63を55°、後角64を65°に設けているが、後面62の傾斜を前面61の傾斜よりもなだらかに、前角63<後角64を満たすように形成することができれば、この角度だけでなく様々な角度で形成することができる。
【0026】
図4に示す長さ方向断面(図2CーC線断面)は直線状であるが、例えば弓形状で中途部が高くなる形状等の曲線状で構成されていてもよい。
【0027】
上記構成の密封装置にあっては、ねじ突起6が前面61の傾斜よりもなだらかに形成された後面62が前面61を支持して剛性を高め、回転時に軸3との接触による力を受けてもねじ突起6の形状が変化することが防がれるので、ねじ突起6と軸3との接触を強くすることができ、ポンピング作用が向上して、密封性を向上することができる。
【0028】
尚、本参考例ではシールリップをゴム状弾性体として説明したが樹脂性であっても良い。
【0029】
(実施の形態)本発明の実施の形態では特徴部分であるねじ突起について説明する。その他の構成および作用については参考例と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0030】
図5にねじ突起6を示す。後面62に屈折部を有し、図6に示す幅方向断面(図5B−B線断面)は、略四角状の形状として、屈折部で後面62の傾斜をなだらかにする。本実施の形態では、後面62の屈折部より低い部分の斜面は前面61と同じ傾斜角であるが、後面62の屈折部より高い部分の傾斜がなだらかに形成されている。このようにしても、第1の実施の形態と同様な作用及び効果を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、後面の傾斜が前面の傾斜よりもなだらかに形成されたことで、ねじ突起は前面の傾斜よりもなだらかに形成された後面の傾斜が前面を支持して剛性を高め、回転時に他方の部材との接触による力を受けてもねじ突起の形状が変化することが防がれるので、密封性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例に係る密封装置を示す断面図である。
【図2】図2は参考例に係る密封装置のねじ突起を示す要部拡大図である。
【図3】図3はねじ突起の断面形状を示す図2B−B線断面図である。
【図4】図4はねじ突起の断面形状を示す図2C−C線断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態に係る密封装置のねじ突起を示す要部拡大図である。
【図6】図6はねじ突起の断面形状を示す図5B−B線断面図である。
【図7】図7は従来技術の密封装置を示す断面図である。
【図8】図8は従来技術の密封装置のねじ突起を示す要部拡大図である。
【図9】図9はねじ突起の断面形状を示す図8B−B線断面図である。
【符号の説明】
1 密封装置
2 ハウジング
3 軸
4 シール本体
5 シールリップ
6 ねじ突起
61 前面
62 後面
63 前角
64 後角
7 補強環
71 フランジ部
72 円筒部
8 ゴム状弾性体
9 ダストリップ
10 スプリング
Claims (1)
- 互いに同心的に相対回転自在に組み付けられる2部材間の環状の隙間を密封するもので、
一方の部材に取付けられる環状のシール本体と、該シール本体に設けられて他方の部材に摺動自在に密封接触するシールリップとを備え、該シールリップの大気側摺動面にねじ突起を設けた密封装置において、
前記ねじ突起は、回転方向に対して、前方に平面的に傾斜する前面と後方に傾斜する後面とを備え、
前記後面は、前面に連続して設けられ前面の傾斜よりもなだらかに傾斜する平面的な第1の面と、第1の面から屈折して第1の面よりも急勾配となる平面的な第2の面とを備えることを特徴とする密封装置。
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JP37575598A JP4097825B2 (ja) | 1998-12-17 | 1998-12-17 | 密封装置 |
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JP37575598A JP4097825B2 (ja) | 1998-12-17 | 1998-12-17 | 密封装置 |
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Family Applications (1)
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1998
- 1998-12-17 JP JP37575598A patent/JP4097825B2/ja not_active Expired - Fee Related
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