JP4096681B2 - スタータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シフトレバーを駆動してピニオンを前方へ押し出す方式のスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、特許文献1に記載された電磁スイッチがある。
この電磁スイッチは、プランジャに設けられた円筒孔にジョイントの軸部が挿入され、円筒孔より突出するジョイントの先端部にシフトレバーの端部が係合している。
プランジャの円筒孔には、軸部の外周にドライブスプリングが挿入され、そのドライブスプリングの一端が円筒孔の開口部にかしめ固定されるワッシャに支持され、他端が軸部の後端部に設けられた座部に支持されて、ジョイントをプランジャの底部側に付勢している。
【0003】
【特許文献1】
実公平5−14442号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、自動車の燃費向上を実現する上で、エンジンの補機部品であるスタータの小型軽量化が求められている。そこで、スタータの付属部品である電磁スイッチに関しても軽量化が求められている。但し、電磁スイッチの大幅な軽量化には自ずと限度があり、現状でも、かなり軽量化が進められている。従って、更なる軽量化を図るためには、一つ一つの部品に対する設計の見直しが必要である。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、ジョイントの設計を見直すことで、軽量化を実現できる電磁スイッチを有するスタータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
本発明のスタータは、電磁スイッチが、励磁コイルの内側に往復動可能に挿入されるプランジャと、このプランジャにドライブスプリングを介して組み付けられ、且つプランジャから突出する先端部にシフトレバーの端部が係合するジョイントとを有するもので、プランジャの摺動に応じてシフトレバーが駆動され、シフトレバーを介してピニオンギヤが移動する。また、プランジャは、ドライブスプリングと共にジョイントの軸部が挿入される円筒孔を有し、且つ円筒孔の開口部にドライブスプリングの一端を支持するワッシャが固定され、ジョイントは、軸部の後端部にドライブスプリングの他端を支持する座部が設けられると共に、軸部の外径がワッシャの内周面に摺接する大きさを有し、且つ軸部の長手方向に沿って複数本の溝または窪みが設けられていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、ジョイントの軸部に複数本の溝または窪みを設けることでジョイントの軽量化を図ることができる。また、複数本の溝または窪みは、軸部の長手方向に沿って設けられるので、軽量化の実現と共にジョイントの必要強度を維持できる。
また、本発明のジョイントは、軸部の外径がワッシャの内周面に摺接する大きさを有しているので、電磁スイッチの吸引力によってシフトレバーを駆動する際に、ジョイントのガタツキ(傾き)を防止できる。
【0007】
また、軸部には、複数本の溝または窪みが軸部の周方向に等ピッチ間隔で設けられ、軸部の上下方向及び左右方向の4カ所に、ワッシャの内周面に摺接する摺接面が設けられた断面形状が十文字形状である。
この構成によれば、ジョイントの周方向における重量バランスを保つことができるので、軸部の一部がワッシャの内周面に強く当たることがなく、プランジャの移動に伴ってジョイントの移動がスムーズに行われる。
【0008】
また、摺接面が、軸部の周方向で少なくともシフトレバーの端部が係合する方向に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、電磁スイッチの吸引力を利用してシフトレバーを駆動する際に、ジョイントが最も傾き易い方向(シフトレバーの端部が係合する方向)に軸部の摺接面を有しているので、軽量化の実現と共に、効果的にジョイントの傾きを防止することができる。
さらに、シフトレバーは、略U字状に分岐した係合部を有し、係合部が、ジョイントの先端部に形成された係合溝に挿入されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の電磁スイッチ1は、エンジンを始動するスタータ2に用いられるもので、図5に示す様に、スタータ2のフロントハウジング3にボルト4で固定されている。
スタータ2は、電磁スイッチ1の他に、エンジンを始動するために必要な回転力を発生するモータ5、このモータ5に駆動されて回転する出力軸6、この出力軸6上に配置される一方向クラッチ7とピニオンギヤ8等を備え、電磁スイッチ1に生じる吸引力によりシフトレバー9を駆動して一方向クラッチ7とピニオンギヤ8を一体に出力軸6の前方(図5の左方向)へ押し出す方式である。
【0010】
電磁スイッチ1は、モータ5の通電電流をON/OFFすると共に、シフトレバー9を駆動して一方向クラッチ7とピニオンギヤ8を出力軸6の前方へ押し出す働きを有する。
この電磁スイッチ1は、IGキーのON操作により通電される励磁コイル(図示しない)と、この励磁コイルの内側を往復動可能に挿入されるプランジャ10、及びプランジャ10にドライブスプリング11を介して組み付けられるジョイント12等を備え、励磁コイルが通電されると、磁力によってプランジャ10が吸引され、リターンスプリング13の付勢力に抗して図5の右方向へ移動する。
【0011】
プランジャ10は、図1に示す様に、ドライブスプリング11と共にジョイント12の軸部12Aが挿入される円筒孔10aを有し、この円筒孔10aの開口部に、ドライブスプリング11の一端を支持するワッシャ14がかしめ固定される。
ジョイント12は、円筒孔10aに挿入される軸部12Aの後端部にドライブスプリング11の他端を支持する座部12aが設けられ、軸部12Aの先端側にシフトレバー9の係合部9a(図5参照)が挿入される係合溝12bが形成されている。この係合溝12bは、ジョイント12の左右両側に1カ所ずつ形成され、それぞれ所定の間隔を有して対向する2つのガイド壁12cによって形成される。ガイド壁12cには、係合溝12bの入口を拡大するテーパ面12dが設けられている。
【0012】
このジョイント12は、座部12aの外径が円筒孔10aの内周面に摺接する大きさを有し、軸部12Aの外径がワッシャ14の内周面に摺接する大きさを有している(図3参照)。また、軸部12Aには、図2に示す様に、複数本の溝12e(または窪み)が長手方向に沿って凹設されている。この複数本の溝12eは、軸部12Aの周方向に等ピッチ間隔に設けられ、且つワッシャ14の内周面に摺接する軸部12Aの摺接面12f(外周面)が、軸部12Aの周方向で少なくともシフトレバー9が組み付けられる方向(図1のY方向)に設けられている。具体的には、図3に示す様に、軸部12Aの上下方向及び左右方向の4カ所に摺接面12fが設けられて、断面十文字形状を有している。
【0013】
シフトレバー9は、図5に示す様に、レバーピン15を介してレバーホルダ16に揺動自在に支持され、その揺動中心(レバーピン15)より下側が二股に分かれて一方向クラッチ7のバレル部7aを跨いで組み付けられる。シフトレバー9の上端部は、略U字状に分岐して設けられ、それぞれ係合部9aが略円形状に形成されている。
このシフトレバー9は、図4に示す様に、略U字状に分岐して設けられた2つの係合部9aがジョイント12の板厚部12gを跨いで組み付けられ、それぞれ係合溝12bに挿入されている。
【0014】
次に、スタータ2の作動を説明する。
IGキーのON操作により、電磁スイッチ1の励磁コイルに通電されてプランジャ10が吸引されると、ジョイント12に連結されたシフトレバー9がレバーピン15を中心として図5に示す時計回転方向に揺動するため、そのシフトレバー9に連結された一方向クラッチ7がピニオンギヤ8と一体に出力軸6の前方へ押し出される。
【0015】
ピニオンギヤ8がエンジンのリングギヤ(図示しない)に当接して移動が停止した後、モータ5のメイン接点が閉じると、バッテリからモータ5に給電されてアーマチャ(図示しない)に回転力が発生し、そのアーマチャの回転を受けて出力軸6が回転する。これにより、出力軸6の回転が一方向クラッチ7を介してピニオンギヤ8に伝達され、そのピニオンギヤ8がリングギヤと噛み合い可能な位置まで回転してリングギヤに噛み合うと、ピニオンギヤ8からリングギヤに回転力が伝達されて、エンジンをクランキングさせる。
【0016】
エンジン始動後、IGキーのOFF 操作により、励磁コイルへの通電が停止して磁力が消滅すると、リターンスプリング13の反力でプランジャ10が初期位置へ押し戻される。これにより、シフトレバー9が始動時と反対方向に揺動するため、一方向クラッチ7とピニオンギヤ8が出力軸6の後方へ引き戻され、始動前の位置(図5に示す位置)に復帰する。また、プランジャ10が押し戻されることでメイン接点が開くため、モータ5への通電が停止してアーマチャの回転が停止する。
【0017】
(第1実施例の効果)
本実施例の電磁スイッチ1は、プランジャ10に組み付けられるジョイント12の軸部12Aに複数本の溝12e(または窪み)を設けることでジョイント12の軽量化を図ることができる。これにより、励磁コイルの磁力で吸引されるプランジャ10(ジョイント12を含む)の重量が軽減されるため、励磁コイルの吸引力を小さくして励磁コイルを小型化することが可能である。
また、軸部12Aに設けられる複数本の溝12eは、軸部12Aの長手方向に沿って凹設されるので、溝12eを設けることで軸部12Aの強度が大きく低下することはなく、軽量化の実現と共にジョイント12の必要強度を維持することが可能である。
【0018】
更に、ジョイント12は、座部12aの外径が円筒孔10aの内周面に摺接する大きさを有し、且つ軸部12Aの外径がワッシャ14の内周面に摺接する大きさを有している(図3に示す様に、軸部12Aの摺接面12fとワッシャ14の内周面との隙間αが小さい)ので、励磁コイルの吸引力によってシフトレバー9を駆動する際に、ジョイント12のガタツキ(傾き)を防止することができる。特に、ワッシャ14の内周面に摺接する摺接面12fが、軸部12Aの周方向で少なくともシフトレバー9が組み付けられる方向(図1のY方向)に設けられているので、効果的にジョイント12の傾きを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プランジャの断面図である。
【図2】ジョイントの軸部を示す斜視図である(第1実施例)。
【図3】ジョイントの軸部とワッシャとの関係を示す断面図である。
【図4】ジョイントとシフトレバーとの係合状態を示す断面図である。
【図5】スタータの全体図である。
【符号の説明】
1 電磁スイッチ
2 スタータ
9 シフトレバー
10 プランジャ
10a 円筒孔
11 ドライブスプリング
12 ジョイント
12A ジョイントの軸部
12a 座部
12e 溝(または窪み)
14 ワッシャ
Claims (1)
- 励磁コイルの内側に往復動可能に挿入されるプランジャと、このプランジャにドライブスプリングを介して組み付けられ、且つ前記プランジャから突出する先端部にシフトレバーの端部が係合するジョイントとを有する電磁スイッチを備え、
前記プランジャの摺動に応じて前記シフトレバーが駆動され、前記シフトレバーを介してピニオンギヤが移動するスタータにおいて、
前記プランジャは、前記ドライブスプリングと共に前記ジョイントの軸部が挿入される円筒孔を有し、且つ前記円筒孔の開口部に前記ドライブスプリングの一端を支持するワッシャが固定され、
前記ジョイントは、前記軸部の後端部に前記ドライブスプリングの他端を支持する座部が設けられると共に、前記軸部の外径が前記ワッシャの内周面に摺接する大きさを有し、
前記軸部には、長手方向に沿って複数本の溝または窪みが軸部の周方向に等ピッチ間隔で設けられ、前記軸部の上下方向及び左右方向の4カ所に、前記ワッシャの内周面に摺接する摺接面が設けられた断面形状が十文字形状であり、
前記摺接面が、前記軸部の周方向で少なくとも前記シフトレバーの端部が係合する方向に設けられ、
前記シフトレバーは、略U字状に分岐した係合部を有し、
前記係合部が、前記ジョイントの先端部に形成された係合溝に挿入されていることを特徴とするスタータ。
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