JP4095433B2 - 軒天井用換気装置及び軒天井構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根付き建物における軒天井裏の換気を行うための軒天井用換気装置及び軒天井構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、軒天井裏の換気を行うためには、当該軒天井裏と軒下とを連通する換気用通路を形成する必要がある。しかしながら、このような換気用通路を形成すると、建物の火災時に熱風が前記換気用通路を通じて軒天井裏に入り込み、当該軒天井裏の温度を短時間で上昇させてしまう不都合がある。また、降雨が激しい時などは雨水を含んだ空気が軒天井裏に容易に侵入してしまうおそれも生じる。
【0003】
そこで従来は、換気用通路を屈曲させて軒下から軒天井裏への空気の吹き込みを避けながら、火災発生時には前記換気用通路を緊急遮断することにより軒天井裏の昇温を食い止めるための技術の開発が進められている。
【0004】
例えば特許文献1には、図4(a)に示すように、壁90に固定される天井板支持金具92にその換気用通路(軒下開口92bから天井裏へ至る通路)内に突出する凹み部92aが形成され、この凹み部92aに天井板94の端部が嵌入されるとともに、この凹み部92aの内側面に不燃性熱膨張材96が固定され、火災時には前記不燃性熱膨張材96が横向きに膨張して前記天井板支持金具92の側壁(前記凹み部と対向する側壁)の内側面に圧接することにより当該金具内の換気用通路を遮断するようにした換気構造が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−73289号公報(第2〜3頁,図3)
また、特許文献2には、図4(b)に示すような換気口用縁材が開示されている。この縁材は、天井裏口102をもつ天壁100と、この天壁100から垂直方向に沿って下向きに延びる左右一対の側壁103,104と、両側壁103,104の下端同士をつなぐ水平な底壁106とを有し、この底壁106に真上に向かって開口する換気口108が形成されている。この換気口108の形成位置は前記天井裏口102の位置から図の右側にずれており、これら換気口108と天井裏口102との間の位置で前記天壁100の下面に膨張部材110が固定されている。そして、通常時には前記換気口108と天井裏口102との間に蛇行した換気用通路が確保される一方、火災時には昇温した膨張部材110が下向きに膨張して底壁106の下面に圧接することにより、換気口108と天井裏口102との間を遮断するようになっている。
【特許文献2】
特開2002−147835号公報(第2〜3頁,図1〜図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1及び図4(a)に示される換気構造では、不燃性熱膨張材96が天井板支持金具92内の入り組んだ換気用通路の途中部分(凹み部92aの内側面)に固定されているため、火災が生じてからこれにより発生する熱が前記不燃性熱膨張材86へ十分に伝わる(すなわち熱膨張材96が所定温度まで昇温する)までに時間差があり、その分、熱膨張材86の膨張作動の応答性が低くなる欠点がある。
【0007】
一方、特許文献2及び図4(b)に示される換気構造は、換気口108が天壁100に向かって開口していて、当該天壁100の下面に膨張部材110が固定されているので、当該膨張部材110は比較的迅速に昇温して膨張することが可能であるが、この膨張部材110が天壁100の下面に固定されていて当該下面から下向きに膨張することにより天壁106の上面に圧接する構造となっているので、天井裏口102を直接塞ぐことができず、その分断熱性に劣る欠点がある。
【0008】
すなわち、この換気構造では、膨張部材110が膨張して底壁108に圧接しても、その傍らで天井裏口102から底壁106に至るまでの空間は軒天井裏に向かって開いたままとなっているので、昇温した底壁106の熱が前記空間及び天井裏口102を通じて軒天井裏へ伝わり易く、十分な断熱性能が得られにくいという欠点がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、通常時には軒下から軒天井裏への空気の直接の吹き込みを阻止しながら良好な換気用通路を確保することができ、しかも火災時にはこれによる昇温に迅速に反応して軒下と軒天井裏との間を効果的に熱遮断することができる軒天井用換気装置及び軒天井構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、軒天井裏側に開口する天井裏口と軒下側に開口する軒下開口とを有して両開口同士を連通する換気用通路を形成する通路形成部材を備えた軒天井用換気装置において、前記通路形成部材は、前記天井裏口が形成された天壁と、その天井裏口を下から覆う形状をもつ通路形成壁とを有し、この通路形成壁に前記天井裏口から水平方向に位置をずらして前記軒下開口が形成されるとともに、前記天壁の上には断熱材が配置され、この天壁から前記天井裏口と前記軒下開口とを結ぶ通路を遮るように板状の通路規制部が垂下し、この通路規制部の側面であって前記天井裏口側の側面に昇温時に側方に膨張する熱膨張材が固定され、その膨張した熱膨張材が前記通路規制部と対向する前記通路形成壁の内側面に圧接することにより前記天井裏口を塞ぐように構成されているものである。
【0011】
この構造において、通常時には熱膨張材が膨張しておらず、通路形成部材内に軒下開口から天井裏口へ至る換気用通路が確保されているが、その途中には天壁から垂下した通路規制部が介在しているため、雨水等の吹き込みが有効に防がれる。
【0012】
一方、火災が発生して軒下が昇温すると、その熱が通路規制部さらにはこれに固定された熱膨張材に伝えられ、当該熱膨張材が昇温して側方に膨張する。これにより、当該熱膨張材は前記通路規制部と対向する通路形成壁の内側面に圧接し、軒下開口をその真下で塞ぐことになる。しかも、天壁上には断熱材が配設されているので、この断熱材と前記熱膨張材とで構成される断熱部によって軒天井裏と軒下との間が効果的に熱遮断される。
【0013】
しかも、前記通路規制部は板状であってかつ当該通路規制部に向かって前記軒下開口が開口する位置にあるため、火災時に軒下で発生した熱風が直接通路規制部に当たって当該通路規制部さらにはこれに固定される熱膨張材が迅速に昇温する。従って、熱膨張材は火災発生に伴って高い応答性で膨張し、上述の断熱機能を発揮することになる。
【0014】
特に、前記通路規制部が熱容量の小さいアルミニウム板またはアルミニウム合金板で形成されているものにおいては、火災が生じてから前記通路規制部及び熱膨張材が昇温して当該熱膨張材が膨張するまでの時間をより短縮することが可能になる。
【0015】
なお、前記断熱材は必ずしも天壁上の全面にわたって設けられていなくてもよく、その設置箇所は具体的な構造に応じて適宜設定すればよい。
【0016】
また、前記軒下開口の開口方向も特に限定されないが、当該軒下開口が真上に開口するものでは、天壁から垂下する板状の通路規制部に軒下からの熱風が当たりにくく、また、軒下開口が側方に開口するものでは、軒下の空気の円滑な取り込みが難しいのに対し、前記軒下開口が前記通路規制部及び天井裏口に向かって斜め上向きに開口するものであれば、軒下の空気を円滑に取込みながら、火災時における軒下の熱風を通路規制部に有効に当てることが可能になる。
【0017】
前記通路形成部材の通路形成壁としては、前記天壁における天井裏口の一方の縁から下方に延びる第1側壁と、前記天井裏口を挟んで前記第1側壁と反対側に傾斜した姿勢で配置され、前記通路規制部及び天井裏口に対して斜め上向きに開口するように前記軒下開口が形成された第2側壁と、前記両側壁の下端同士をつなぐ底壁とを有するものが好適であり、この構造において、前記通路規制部が前記天井裏口の直下方の空間を挟んで前記第1側壁と対向する位置に形成され、この通路規制部に固定された熱膨張材が膨張することにより前記第1側壁の内側面に圧接するようにすれば、前記通路規制部によって有効な通路規制ができるとともに、火災時には前記軒下開口から斜め上向きに通路形成部材内に取り込まれた熱風が前記通路規制部に当たることにより熱膨張材が速やかに膨張し、天井裏口をその直下方で塞ぐこととなる。
【0018】
さらに、前記第1側壁の外側部分に軒天井板の端部が側方から嵌合される嵌合部が形成されるとともに、前記天井裏口を挟んで前記第1側壁と反対の側に位置する天壁の上に断熱材が配置されている構成とすれば、前記熱膨張材が膨張した状態で、この熱膨張材を挟んで前記軒天井板と断熱材とが一連の断熱壁を構成することとなり、断熱効果はより顕著なものとなる。
【0019】
また本発明は、当該軒天井用換気装置を用いた軒天井構造であって、この軒天井用換気装置の通路形成部材の嵌合部に軒天井板の軒天井板の端部が側方から嵌合された状態でこれら軒天井板と軒天井用換気装置とが軒元と軒先との間に配設されているものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態にかかる軒天井構造を示したものである。
【0021】
図において、建屋側(軒元側)には柱10が立設され、その外側面に胴縁12が設けられ、さらにその外側に外壁材14が設けられている。一方、屋根16の先端側(軒先側)には破風板18が設けられ、この破風板18と前記胴縁12との間に野縁20が設けられるとともに、この野縁20の下方に軒天井板22及び本発明にかかる軒天井用換気装置24が水平方向に並べて設けられている。
【0022】
軒天井板22は、前記破風板18と軒天井用換気装置24との間に設けられており、その軒先側端部22aが前記破風板18に形成された凹部18a内に嵌入される一方、軒元側端部22bが軒天井用換気装置24側に嵌合されている(詳細後述)。
【0023】
図2にも示すように、軒天井用換気装置24は、軒下側(図では下側)と軒天井裏側(図では上側)との通気を行うもので、その換気用通路を形成する通路形成部材として本体板26及び天板28を備え、両板26,28は図1及び図2の奥行き方向に延びている。
【0024】
本体板26は、単一の金属板の適当な部分が曲げ加工されることにより上向きに開口する箱状に形成されている。具体的には、水平方向に延びる軒先側天壁26aと、この軒先側天壁26aの軒元側(図では右側)端部から略鉛直下方に延びる軒先側側壁26bと、この垂直壁26bの下端から軒元側に向かって斜め下方に延びる底壁26cと、この底壁26cの軒元側端部から軒元側に向かって斜め上方に延びる軒元側側壁26dと、この軒元側側壁26dの上端から軒元側へ水平に延びる軒元側天壁26eとを一体に有し、この軒元側端部天壁26eの端部が上向きに折り返されて天板押え部26fを形成している。
【0025】
さらに、前記軒先側側壁26bの中間部分は軒先側(通路形成部材の外側)に折り畳まれて当該軒先側に突出する突出部26gを形成しており、この突出部26gと前記軒先側天壁26aとの間に前記天井板22の軒元側端部22bが側方から嵌入されるようになっている。すなわち、前記軒先側天壁26aと突出部26bとにより、前記軒天井板22の軒元側端部22bが側方から嵌合される嵌合部30が形成されている。このような嵌合により、軒天井板22と通路形成部材との連結作業が簡略化されるとともに、軒天井板22の寸法や据付位置に誤差があってもこれを前記嵌合部30で吸収して不都合なく軒天井板22と軒天井用換気装置24とを軒元と軒先との間に配設することが可能となっている。
【0026】
前記軒元側側壁26dには、斜め上向きに開口する軒下開口32が設けられている。具体的には、図3にも示すような多数の膨出部26hが軒元側側壁26dに設けられ、これにより軒下開口32が確保されている。
【0027】
各膨出部26hは、上下方向に延び、軒元側側壁26dの本体部分から内側に膨出しており、これらの膨出部26hが水平方向に間欠的に形成されている。従って、軒下側の空気は、各膨出部26hと軒元側側壁26dの本体部分との間に確保された隙間から通路形成部材内に侵入することが可能となっている。
【0028】
天板28も単一の金属板で形成されており、水平方向に延びる天壁28aと、この天壁28aの軒先側端部から垂下する(板状の)通路規制壁28bとを一体に有している。そして、天壁28aの軒元側端部(図2では右側端部)が前記本体板26の軒元側天壁26eと天板押え部26fとの間に差し込まれて固定される一方、天壁28aの軒先側端部(図2では左側端部)と本体板26の軒先側側壁26bとの間に、軒天井裏側(上側)に開口する天井裏口33が形成されている。
【0029】
すなわち、この軒天井用換気装置24にかかる天壁は、本体板26側の天壁26aと天板28側の天壁28aとで構成され、かつ、その間に天井裏口33が形成されたものとなっている。また、同装置24にかかる通路形成壁は、前記天壁における天井裏口33の一方の縁から下方に延びる第1側壁である軒先側側壁26bと、前記天井裏口33を挟んで前記軒先側側壁26bと反対側に傾斜した姿勢で配置され、前記通路規制壁28b及び天井裏口33に対して斜め上向きに開口するように前記軒下開口32が形成された軒元側側壁26dと、前記両側壁26b,26dの下端同士をつなぐ底壁26cとで構成されており、軒先側側壁26bの外側部分に嵌合部30が形成された状態となっている。
【0030】
前記通路規制壁28bは、前記軒下開口32と天井裏口33とを結ぶ通路を遮る位置、すなわち、前記軒下開口32から天井裏口33に向かって直接空気が吹き込まれるのを阻止する位置であって、前記天井裏口33の直下方の空間を挟んで軒先側側壁26bと対向する位置に設けられており、この通路規制壁28bの下端と底壁26cとの間には十分な隙間が確保されている。
【0031】
つまり、通路形成部材内には、軒下開口32と天井裏口33とを連通する換気用通路であって、通路規制壁28bの下方を迂回する蛇行通路が形成された状態となっている。
【0032】
さらに、この軒天井用換気装置24の特徴として、通路規制壁28bには、その天井裏口33側の側面(軒先側側壁26bと対向する面)に熱膨張材36が固定されている。
【0033】
この熱膨張材36は、通常は偏平な形状を有していて軒先側側壁26bから十分離間しており、これによって天井裏口33の直下方における換気用通路を開放する一方、火災発生時に昇温することによって体積が著しく膨張(図2の二点鎖線に示すように側方へ膨張)するものであり、その膨張状態において前記軒先側側壁26bの内側面に圧接して前記天井裏口33をその直下方で塞ぐように、当該熱膨張材36の位置が設定されている。
【0034】
この熱膨張材36の材質は、十分な体積膨張率と不燃性及び空気遮断性とを併有するものであればよい。具体的には、熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を化学処理することにより高温加熱時に芋虫状に膨張するようにしたもの)を含んで200℃程度で膨張を開始するように調整されたもの(例えば住友スリーエム株式会社製の「ウルトラGS」)や、前記特許文献1(特開平6−73829号公報)に不燃性体積膨張材として記載されたもの(特公昭63−132968号公報記載の防火組成物や特公平3−235号公報記載の防火・耐火被覆マット)等が好適である。
【0035】
なお、本発明では通路形成部材(図例では本体板26及び天板28)の具体的な材質も問わず、ある程度の強度及び耐熱性を有するものであればよく、構造用の金属材料等を使用することが可能である。ただし、少なくとも通路規制壁28bについてはなるべく熱伝導性の高いもの、例えばアルミニウム板やアルミニウム合金板で構成されていることが、より好ましい。
【0036】
一方、天壁28a、すなわち、天井裏口33を挟んで前記軒先側側壁26bと反対の側に位置する天壁の上には、適当な厚さをもつ板状の断熱材38が配置されている。そして、この断熱材38が前記図1に示した野縁20の下面に接触する状態で、通路形成部材の軒元側端部が外壁材14の上端面と野縁20との間に挟み込まれ、固定されるようになっている。
【0037】
この断熱材38についても、具体的な材質は問わず、例えばポリエステルスパンボンド不織布及びガラス繊維を含んだもの等が好適である。
【0038】
次に、この軒天井用換気装置24及び軒天井構造の通常時(火災が発生していない時)及び火災時における作用を説明する。
【0039】
まず、通常時には、熱膨張材36が偏平な形状を維持しており、当該熱膨張材36とこれに対向する軒先側側壁26bとの間に大きな間隔が確保されているため、通路形成部材内に十分な流通面積をもつ換気用通路が形成されている。従って、例えば軒下側の空気は、図2に破線矢印で示すように、軒下開口32から換気装置24内に侵入した後、通路規制壁28bの下方を通るように迂回して天井裏口33から軒天井裏に流入することが可能である。
【0040】
このように、軒下開口32と天井裏口33との間に通路規制壁28bが介在していてこれを迂回するように空気が流れるため、例えば降雨の激しい時に雨水を含んだ空気が軒下開口32から天井裏口33を通じて軒天井裏に直接吹き込むという不都合が回避される。
【0041】
一方、建物の火災が発生すると、軒下で発生した熱風が軒下開口32を通じて通路形成部材内に吹き込み、板状の通路規制壁28bに直接当たる。従って、この通路規制壁28b及び同壁28bに固定される熱膨張材36は、火災が発生してから短時間で昇温する。特に、通路規制壁28bが熱容量の小さいアルミニウム板またはアルミニウム合金板で形成されている場合には昇温時間がより短くなる。このようにして前記熱膨張材36が所定温度に達した時点で、当該熱膨張材36は側方に膨張して軒先側側壁26bの内側面に圧接し、換気用通路を天井裏口33の直下方で遮断する。
【0042】
すなわち、この換気装置24によれば、火災により発生した熱風が直接通路規制壁28bに当たることによって熱膨張材36が速やかに昇温し、膨張して天井裏口33を塞ぐため、前記熱風が換気用通路を通じて軒天井裏に流入することが迅速に阻止され、軒天井裏の高温化を有効に抑止することが防がれる。しかも、前記熱膨張材36は天井裏口33をその直下方で完全に塞いでしまうので、例えば前記図4(b)に示すように膨張部材110が膨張しても天井裏口102の下方の空間が底壁106に至るまで大きく開放されている構造に比べ、より高い断熱効果を得ることができる。
【0043】
特に図示の構造では、前記熱膨張材36を挟んで一方の側に軒天井板22が、他方の側に断熱材38がそれぞれ配置されたものであり、これら軒天井板22−熱膨張材36−断熱材38によって一連の断熱壁が形成されることになるため、火災時の軒下の熱が軒天井裏へ伝わりにくく、当該軒天井裏の昇温がより効果的に抑制されることとなる。
【0044】
ただし、本発明において断熱材38の具体的な配置態様及び位置は問わず、天壁の少なくとも一部に断熱材38が設けられていれば、前記天井裏口33の直下方を塞ぐ熱膨張材36と相俟って断熱効果の向上を図ることが可能である。
【0045】
その他、本発明は例えば次のような実施の形態をとることも可能である。
【0046】
・軒天井用換気装置24と軒天井板22の配置は適宜設定可能であり、例えば軒天井用換気装置24を軒天井板22よりも軒先側に設けてもよい。ただし、図1に示すように、軒天井用換気装置24が軒天井板22よりも軒元側の位置に設けられ、かつ、当該軒天井用換気装置24の軒下開口32が軒元側に開口(図例では斜め下向きに開口)している構成とすれば、降雨時に雨水を含んだ空気が通路形成部材内に流入することがより有効に抑止される。
【0047】
・通路形成壁は、少なくとも天井裏口33を下から覆う形状であればよく、例えば下向きに凸の半円筒状であってもよいし、断面矩形状であってもよい。ただし、いずれの場合も、軒下開口32の開口の向き(開口面に対する法線の向き)については、これを前記通路規制壁28b及び天井裏口33に向かって斜め上向きに開口させることにより、軒下の空気の円滑な取込みと、通路規制壁28bによる通路規制効果及び火災時の迅速な昇温効果との双方を両立させることができる利点が得られる。
【0048】
また、膨張した熱膨張材36が圧接する部分を図示のように略鉛直方向に延びる第1側壁(軒先側側壁26b)とすることにより、その圧接状態をより安定させることができる。さらに、当該第1側壁の内側面に内方に突出する突条(通路形成部材の長手方向に沿って延びる突条)を形成しておき、この突条が膨張した熱膨張材36の端部に食い込むようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、軒下開口と天井裏口との間の位置に、通路形成部材の内側に突出して前記軒下開口から天井裏口へ直接空気が吹き込むのを規制する通路規制部が設けられるとともに、この通路規制部に設けられた熱膨張材が火災時に前記通路規制部と共に昇温することにより膨張して対向する側壁に圧接することにより、前記天井裏口をその直下方で塞ぐものであるので、通常時には通路形成部材内の通路規制部によって軒下から軒天井裏への空気の直接の吹き込みを阻止しながら良好な換気用通路を確保することができ、しかも火災時にはこれによる昇温に迅速に反応して軒下と軒天井裏との間を効果的に熱遮断することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる軒天井構造を示す断面正面図である。
【図2】前記軒天井構造における軒天井用換気装置を示す断面正面図である。
【図3】前記軒天井用換気装置における軒下開口を示す破断斜視図である。
【図4】(a)(b)は従来の軒天井用換気装置を示す断面正面図である。
【符号の説明】
22 軒天井板
24 軒天井用換気装置
26 本体板(通路形成部材)
26a 軒先側天壁
26c 底壁
26e 軒元側底壁
28 天板(通路形成部材)
28a 天壁
28b 通路規制壁
30 嵌合部
32 軒下開口
33 天井裏口
36 熱膨張材
38 断熱材

Claims (6)

  1. 軒天井裏側に開口する天井裏口と軒下側に開口する軒下開口とを有して両開口同士を連通する換気用通路を形成する通路形成部材を備えた軒天井用換気装置において、前記通路形成部材は、前記天井裏口が形成された天壁と、その天井裏口を下から覆う形状をもつ通路形成壁とを有し、この通路形成壁に前記天井裏口から水平方向に位置をずらして前記軒下開口が形成されるとともに、前記天壁の上には断熱材が配置され、この天壁から前記天井裏口と前記軒下開口とを結ぶ通路を遮るように板状の通路規制部が垂下し、この通路規制部の側面であって前記天井裏口側の側面に昇温時に側方に膨張する熱膨張材が固定され、その膨張した熱膨張材が前記通路規制部と対向する前記通路形成壁の内側面に圧接することにより前記天井裏口を塞ぐように構成されていることを特徴とする軒天井用換気装置。
  2. 請求項1記載の軒天井用換気装置において、前記通路規制部がアルミニウム板またはアルミニウム合金板により形成されていることを特徴とする軒天井用換気装置。
  3. 請求項1または2記載の軒天井用換気装置において、前記軒下開口は前記通路規制部及び天井裏口に向かって斜め上向きに開口していることを特徴とする軒天井用換気装置。
  4. 請求項3記載の軒天井用換気装置において、前記通路形成壁は、前記天壁における天井裏口の一方の縁から下方に延びる第1側壁と、前記天井裏口を挟んで前記第1側壁と反対側に傾斜した姿勢で配置され、前記通路規制部及び天井裏口に対して斜め上向きに開口するように前記軒下開口が形成された第2側壁と、前記両側壁の下端同士をつなぐ底壁とを有し、前記通路規制部は前記天井裏口の直下方の空間を挟んで前記第1側壁と対向する位置に形成され、この通路規制部に固定された熱膨張材が膨張することにより前記第1側壁の内側面に圧接することを特徴とする軒天井用換気装置。
  5. 請求項4記載の軒天井用換気装置において、前記第1側壁の外側部分に軒天井板の端部が嵌合される嵌合部が形成されるとともに、前記天井裏口を挟んで前記第1側壁と反対の側に位置する天壁の上に断熱材が配置されていることを特徴とする軒天井用換気装置。
  6. 請求項5記載の軒天井用換気装置と、軒天井板とを含み、この軒天井板の端部が前記軒天井用換気装置の通路形成部材の嵌合部に側方から嵌合された状態でこれら軒天井板と軒天井用換気装置とが軒元と軒先との間に配設されていることを特徴とする軒天井構造。
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