JP4094753B2 - ディジタル・オーディオ信号を伝送する方法、拡張カード、及び移動局 - Google Patents

ディジタル・オーディオ信号を伝送する方法、拡張カード、及び移動局 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前置き部分に規定されている拡張カード・コネクタを介してディジタル・オーディオ信号を伝送する方法と、請求項8の前置き部分に規定されている拡張カードと、請求項15の前置き部分に規定されている移動局とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル移動通信ネットワークでは、オーディオ信号はディジタル形式で伝送され、これによって移動通信ネットワークへ転送する前にアナログ・オーディオ信号をディジタル形式に変換しなければならない。これに対応して、移動局では受信段階で、ディジタル・オーディオ信号をアナログ・オーディオ信号に変換して、例えばスピーカーに伝える。例えば、GSM移動局では、アナログ/ディジタル変換にパルス符号変調(PCM)を使用することができる。アナログからディジタルへの変換及びディジタルからアナログへの変換の他に、必要ならば信号フィルタリング、暗号化及びその他の手段も公知の方法でとられるけれども、この関係でそれらについて詳しく解説する必要はない。
【0003】
現在のディジタル移動局では、オーディオ信号の処理は大部分がディジタル信号処理装置DSPで行われる。オーディオ信号のアナログからディジタルへの変換及びディジタルからアナログへの変換は、コーデックで行われるが、特にPCMコーデックで行われるのが有利である。在来のディジタル移動局では、ディジタル信号処理装置のシリアル入出力ポート(SIO)はコーデックに直接接続される。移動局では、オーディオ信号は主としてディジタル信号処理装置の中と、ディジタル信号処理装置及びコーデックの間とでディジタル形式で伝送される。
【0004】
特に携帯用データ処理装置(PC)との関係で、移動局アプリケーションが開発されており、この場合、移動局の少なくとも送受信装置TX/RXはPCMCIA規格に従ってカードの形で設けられる。この種の拡張カードを例えば移動通信ネットワークを介してデータ処理装置同士の間でデータを伝送するために有利に使用することができる。従って、この拡張カードはデータ処理装置のためのモデムとして使われる。けれども、この種の拡張カードは、例えば移動通信ネットワーク経由の普通の音声接続を設定するためにオーディオ信号を転送するための特性も持っている。従来技術の拡張カードでは、オーディオ特性は、該拡張カードがディジタル・オーディオ信号に必要なアナログからディジタルへの変換及びディジタルからアナログへの変換を行うコーデックを備えることとなるようにして実現される。更に、該拡張カードには、例えば受話器口及びマイクロホンをそのコーデックと接続するためのオーディオ・コネクタ等が設けられる。しかし、この解決策には、コーデック及びコネクタが拡張カードの製造コストを増大させると共に拡張カード上のスペースを必要とするという欠点がある。
【0005】
国際規格TIA PN-3131:“非同期DCEについての音声制御規格”は、拡張カードにおいてはオーディオ信号を制御信号(制御データ)と同じシリアル・バスを介して拡張カード・コネクタを通して伝送するべきことを示している。一方、この規格は電話応答機能だけを支援していて、該規格はこの様な拡張カードが独立の外付けオーディオ・コネクタを有することを前提としているので、オーディオ信号を同時に一度には1方向だけに、即ち半二重モードで、転送する必要がある。しかし、電話機は普通はオーディオ信号を双方向に同時に伝送すること、即ち全二重モード、を必要とする。実際問題として、このシリアル・バスの転送容量は制御信号と全二重音声信号との両方を伝送するには不十分であることが分かっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、拡張カード・コネクタを介してディジタル・オーディオ信号を伝送する方法と、ディジタル・オーディオ信号を同時に双方向に伝送することのできる、拡張カード・コネクタを伴う電子装置とを達成することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の基礎をなすアイデアは、電子装置と拡張カードとの間でのディジタル・オーディオ信号の伝送に、制御信号及びデータ信号の伝送に使用されるバスとは異なるバスを使用することである。本発明の方法は、請求項1の特徴部分に記載されている事項を特徴とする。本発明の拡張カードは、請求項8の特徴部分に記載されている事項を特徴とする。更に、本発明の移動局は、請求項15の特徴部分に記載されている事項を特徴とする。
【0008】
本発明は、従来技術の方法及び電子装置に顕著な利点を与える。拡張カードからコーデック及びオーディオ接続を無くすことができ、拡張カードがより簡略となって、その製造がより安価となる。更に、本発明を実施するにあたって、現在の拡張カードのハードウェアやソフトウェアに大幅な変更を加える必要はない。
次に、添付図面を参照して本発明をいっそう詳しく説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1の適用例では、使用されている電子装置1は、例えば、主としてデータ処理装置1の動作を制御するマイクロプロセッサ等のコントローラ2を有する携帯用データ処理装置である。データ処理装置1は、更に、特定用途向けの集積回路3(ASIC)を有し、これでデータ処理装置1の各論理機能の大部分を実現することができると同時にデータ処理装置1の別々の論理回路の個数を減らすことができる。また、データ処理装置1はメモリー4を有し、このメモリーは、例えば、データ処理装置1の基本ソフトウェアを記憶しておくためのプログラム・メモリー及び、例えば使用中に必要な情報を記憶しておくためのデータ・メモリーなどである。更に、図1のデータ処理装置1は、通話中にオーディオ・コーディング/デコーディング・ブロックとしても使われるオーディオ・ブロック5と、スピーカー6と、マイクロホン7とを有するが、もし該データ処理装置のオペレーティングシステムがオーディオ・コマンドによる制御の可能性を提供するならば、このデータ処理装置を使ってオーディオ・メッセージを作り、またユーザーが与えた例えば制御コマンドを受け取ることができる。
【0010】
更に、電子装置1は、例えばPCMCIA規格に従って実現された1個又は数個の拡張カード接続部を有するが、本発明はこの種の接続部だけには限定されない。従って、電子装置の拡張カード接続部8aは雄コネクタから成り、拡張カードの拡張カード接続部8bは雌コネクタからそれぞれ成る。コネクタ8a、8bの各接続ライン及び各ピンは完全にではなく簡略に図示されており、それらのライン及びピンは本明細書を理解するのに欠くことのできない特徴だけをそなえている。
【0011】
この電子装置には、拡張カード13と電子装置1との間でアドレス信号、制御信号及びデータ信号を伝送するためにマイクロプロセッサ2及び特定用途向け論理回路3から拡張カード接続部8aへ導かれるアドレス・バス、制御バス及びデータ・バスから成る接続バスがある。
【0012】
データ処理装置1が必要とする動作電圧は、電圧変換カップリング11を介してバッテリー10により作られる。データ処理装置1のバッテリー10は、必要なときに例えば主電源電圧から充電装置12によって再充電され得るようになっている。
【0013】
図1の適用例では、拡張カード13は独立の動作電圧源を持っていなくて、該拡張カードは、拡張カード接続部8a、8bを介して電子装置1として使われるデータ処理装置の電圧変換カップリング11からその動作電圧を受け取る。
【0014】
データ処理装置1のスピーカー6及びマイクロホン7をデータ処理装置1のハウジングに組込むことができるけれども、配線によってデータ処理装置1に接続される外付けのスピーカー及びマイクロホンを使うこともできる。
【0015】
図1の例では、拡張カード13は、図1に簡略に示されている、移動局の必須の機能ブロックから成るPCMCIA型カードである。拡張カード13の動作は、主として、マイクロコントローラMCU(マイクロコントローラユニット)等のコントローラ14によって制御される。コントローラ14は、例えばプログラム及びデータ・メモリー(ROM,RAM)等のメモリー15を備えている。信号処理のために、拡張カード13はディジタル信号処理装置16を有する。コントローラ14とディジタル信号処理装置16とは制御及びデータ・コネクタ17によって互いに接続されていて、これによりコントローラ14は、例えば、制御データをディジタル信号処理装置16に送ったり、設定情報及びその他の情報をディジタル信号処理装置16のデータ・メモリーにロードすることができる。制御及びデータ・コネクタ17は、例えばデュアルポート・メモリー回路(デュアルポートRAM)から成る。デュアルポート・メモリー回路において、1つのポート、即ち第1の制御及びデータ・バス、はコントローラ16の制御及びデータ・バスに接続され、第2のポートはディジタル信号処理装置16の制御及びデータ・バスに接続されている。デュアルポート・メモリー回路を介してコントローラ14からディジタル信号処理装置16へデータを送ることができ、それによってコントローラ14は、送られるべきデータ(バイト)を第1のポートのメモリー領域に書く。次に、コントローラ14は、1バイトを該第1のポートの或る一定のアドレスに書いて、第2のポートの割り込みライン(図示されていない)の状態を変化させる。この割り込みラインはディジタル信号処理装置16の割り込みライン(図示されていない)に接続されており、ディジタル信号処理装置16は対応する割り込みサービス・プログラムを動作させる。この割り込みサービス・プログラムは、コマンドから成るように設計され、これでディジタル信号処理装置16はデュアルポート回路から対応するメモリー領域を読み出して、その読み出したデータを自分のデータ・メモリー17に保存する。データを読み出す動作は割り込みラインの状態を元に戻す。逆方向に、データは対応する態様で伝送される。
【0016】
ディジタル信号処理装置17は、高周波部19(RF)から来る復調済み信号も処理する。ディジタル信号処理装置16の目的は、例えば、受信され復調された信号中のノイズ及び干渉を減衰させたり、受信され復調されたオーディオ信号をその時に使用されるべきスピーカー6等に応じて修正したり、マイクロホン信号などからバックグラウンドノイズを減衰させたりすることである。ディジタル信号処理装置16では、アプリケーション・ソフトウェアにおけるこれらの動作に対応するプログラム・コマンドをプログラミングすることによって幾つかの信号処理アルゴリズムを適用することが可能である。従って、アナログ技術では実現不可能であるか或いはアナログ技術で実現するのが賢明とは言えないようなフィルターを含むいつかの種類のフィルターを達成することができる。図4のブロック図は、例えば、ディジタル・オーディオ信号圧縮/伸長(compression/decompression)ブロック40と、ディジタル信号処理装置16で有利に実現される音(sound)発生器41とを示している。
【0017】
ディジタル信号処理装置16は、非同期シリアル・バス20(ASIO)及び同期シリアル・バス21(PCMBUS)によって、好ましくは特定用途向け論理回路であるバス接続回路22(PCMCIAインタフェースASIC)に接続されている。このバス接続回路22についての機能ブロック図が図2に示されている。このバス接続回路は、例えば拡張カード・コネクタ・ブロック23(PCMCIAインタフェース)と、同期直列接続ブロック24(USRT)と、非同期直列接続ブロック25(UART)とを有する。タイミング及び制御のために、更に制御ブロック26がある。拡張カードが第1の機能モード(この例では、このモードはPCMCIA規格に準拠する機能モードである)となっているときには、同期直列接続ブロック24は、オーディオ信号のシリアル/パラレル変換と、ディジタル信号処理装置16及びバス接続回路22間でのオーディオ信号の送信及び受信を同期をとって行う。非同期直列接続ブロック25は、電子装置1と拡張カード13との間でのデータフレーム及び制御情報の伝送のために使用される。非同期直列接続ブロック25は、制御信号及びデータ信号のシリアル/パラレル変換を行うと共に、非同期シリアル・バス20でのデータの送信及び受信を行う。このようにして拡張カード接続部8a、8bでのデータ伝送はパラレル形式で行われるけれども、非同期シリアル・バス20及び同期シリアル・バス21でのデータ伝送はシリアル形式で行われるので、第1の機能モードでは上記のシリアル/パラレル変換が必要である。
【0018】
第1の機能モードは、例えば、電子装置1及び拡張カード13が音声呼及びデータ呼中に音声(通話)信号から成るディジタルサンプル(音声サンプル)及び制御情報などの情報を伝送するときに、使用される。ディジタルサンプル即ちディジタル・オーディオ信号は、同期直列接続ブロック24を介して伝送され、データフレーム及び制御情報は非同期直列接続ブロック25を介して伝送される。この実施例によるコネクタでのデータ伝送は第1の機能モードでパラレル形式で実行される。
【0019】
次に、電子装置1と拡張カード13とが該第1の機能モードにおいて拡張カード・コネクタ8を介してどの様に通信できるかを例を示して説明する。拡張カード13は例えばコネクタ・カード(I/O)として動作するようにセットされる。例えばPCMCIA規格は、例えばレジスタ構造及び接続ピンの見地から、PCMCIA規格に準拠する拡張カードを伴う種々のカード・タイプ(I/Oカード及びメモリー・カード)についての要件に関するより詳しい記述を含んでいる。この関係で、或る一定のメモリー領域と接続領域とをコントローラ2、14でアドレス指定できることを簡単に述べておく。そのメモリー領域のサイズは、典型的には接続領域全体のサイズ(数百バイト或いは数キロバイト)よりかなり大きい(数メガバイトに及ぶことさえある)。メモリー領域を処理するために別々の制御ライン(読み出しライン及び書き込みラインなど)が設けられ、また同様の要領で接続領域を処理するために別々の制御ライン(読み出しライン及び書き込みラインなど)が設けられる。一度に処理を行うことが意図されている領域は、例えば、メモリー領域をアドレス指定するための32本のアドレス・ラインなどの、アドレス・バスのアドレス・ラインによってアドレス指定され、そのうちの一部(8/16)は接続領域をアドレス指定するために使用される。どの領域が処理されるべきか、また他方ではコントローラがデータを読み取るべきか書き込むべきかが、制御ラインによってより厳密に規定される。データを読み出したり書き込んだりするためにデータ・バスが使用される。
【0020】
非同期直列接続ブロック25と同期直列接続ブロック24とは接続領域での異なる物理的アドレスに画定される。メモリー・カードでは、使用されるアドレス領域は好ましくはメモリー領域である。アドレス領域は例えば256バイトを含み、それらをアドレス指定するために8本のアドレス・ライン(A0・・・A7)が必要である。電子装置のマイクロプロセッサ2は、接続バス9のアドレス・バスで所望の装置アドレスをセットする。その後、制御バスでの読み出しラインの状態は、拡張カード13から拡張カード・コネクタ8のデータ・バスへ情報が転送される状態にセットされる。典型的には逆論理が使用される、即ち、読み出しラインが論理1状態であるときには、データ・バスにデータは書き込まれず、それに対して論理0状態では書き込みが許される。拡張カード・コネクタ8経由での拡張カード13への書き込みは次のようにして有利に行われる、即ち、マイクロプロセッサ2は、接続バス9のデータ・バスに書き込まれるべきデータをセットし、そのデータが書き込まれるように意図された直列接続ブロック25、24に対応するアドレスをアドレス・バスにセットし、その後に、接続バス9の制御バスでの書き込みラインの状態は書き込みを許す状態に対応する例えば論理0状態などの論理値にセットされる。このようにして拡張カード・コネクタのデータ・バスにあったデータは拡張カード13によってバッファー(図示されていない)に転送され、そこから該データをシリアル形式に変換して、それが非同期直列接続ブロック25に書き込まれたのか、それとも同期直列接続ブロック24に書き込まれたのかに応じてシリアル・バス20、21に伝送することができる。
【0021】
制御情報及びデータフレームは、ディジタル信号処理装置16から制御及びデータ・コネクタ17を介して拡張カードのコントローラ14に送られる。拡張カードのコントローラ14は、その制御情報を処理し、例えばその制御情報に基づいて、ディジタル信号処理装置16の動作を制御する。
【0022】
拡張カード13は第2の機能モードにもセットされることができ、このモードは、この例による拡張カードではPCMCIA規格からはずれている機能モードである。この第2の機能モードでは、同期シリアル・バス21及び非同期シリアル・バス20の両方が同期直列接続ブロック24及び非同期直列接続ブロック25を介して拡張カード接続部8bに直接接続される。従って、シリアル・バス20、21の各信号はシリアル形式で電子装置1に伝送される。この機能モードでは、もしソフトウェアやハードウェアに何らの変更も加えずに拡張カード13がGSM移動通信ネットワークとの接続に使用されるべく意図されているならば、例えばGSM型の是認試験についてのGSM規格が必要とするディジタル・オーディオ・インタフェース(DAI)を実現することが可能である。
【0023】
次に、図1のカップリングの動作の、本発明を理解するために必要な点について説明をする。
【0024】
電圧をオンにした後、電子装置1のマイクロプロセッサ2、即ちこの実施例ではデータ処理装置、は例えばハードディスク(図示されていない)から例えばオペレーティングシステムをデータ・メモリー4にロードするために初期化処理手順を実行する。初期化処理手順後に、例えば端末プログラム或いは電話プログラムなどのアプリケーション・プログラムを始動させることにより、データ処理装置1を使い始めることができる。これに対応して、拡張カードのコントローラ14は、該拡張カードのメモリー15に記憶されているプログラム・コマンドに従って自分自身の初期化処理手順を実行する。初期化処理手順は、例えば、ディジタル信号処理装置16の動作を開始させること、及び各パラメータをディジタル信号処理装置のデータ・メモリー18にロードすることを含む。
【0025】
始動段階で、拡張カード13はモード選択ライン27の論理状態も調べる。モード選択ライン27の状態が論理1状態であれば(それはこの実施例ではほぼ動作電圧Vccの電圧値に相当する)、拡張カード接続部8a、8bの各ピンは第1の機能モードに対応する使用状態にセットされる。これに対応して、モード選択ライン27の状態が論理0状態、即ち約0Vであるときには、拡張カード接続部8a、8bの各ピンは該第2の機能モードに対応する使用状態にセットされる。前記のモード選択値が単なる例に過ぎないことは明らかである。拡張カード13については、モード選択ライン27は入力ラインである。拡張カード13及び電子装置1でモード選択ライン27にプルアップ抵抗R1、R2が結合されていて、独自の制御無しではモード選択ライン27は論理1状態にセットされるようになっている。電子装置1はモード選択ライン27をグランド電位に接続することによってモード選択ライン27の状態を論理0状態にセットすることができる。例えば、モード選択ライン27を電子装置のマイクロプロセッサ2のバイナリー出力ピンに接続するなどの、それ自体としては公知の方法でこの接続を実行することができ、その場合、マイクロプロセッサ2のアプリケーション・ソフトウェアでこのピンの状態を約0V又はほぼ動作電圧Vccにセットすることができる。
【0026】
更に、電子装置のマイクロプロセッサ2がその初期化処理手順の少なくとも一部分を実行している間は拡張カードのコントローラ14を初期状態に保つ目的で、リセット・ライン28が拡張カードに接続されている。電子装置のマイクロプロセッサ2がこのリセット・ラインの状態を第1の状態即ちリセット状態から第2の状態即ち使用可能(イネーブリング)状態に変更した後、拡張カードのコントローラ14は自分自身の初期化処理手順を実行し始める。リセット状態は例えば論理0状態に対応する電圧値であり、使用可能状態は論理1状態に対応する値である。
【0027】
拡張カード13の機能モードを選択するとき、拡張カードのバス接続回路22に形成されているコンフィギュレーション(configuration)・オプション・レジスター(COR)を有利に使用することが可能である。このコンフィギュレーション・オプション・レジスターは有利には1ビットから成り、その値を変更して機能モードを変更することができる。3つ以上の機能モードを使用するときには、コンフィギュレーション・オプション・レジスターCORは、もっと多くのモード選択ビットから成る。拡張カード接続部8a、8bにおけるコンフィギュレーション・オプション・レジスターに対応するアドレスに所望のビット・パターンを書き込むことによって電子装置のマイクロプロセッサ2によりコンフィギュレーション・オプション・レジスターのモード選択ビットが好ましくセットされ、このビット・パターンはコンフィギュレーション・オプション・レジスターCORについての値となる。
【0028】
必要な初期化処理手順が全て終わった後に、例えば音声呼を設定するために拡張カード13を利用することができるようになる。次に、このことについて、第1の機能モードにセットされる本発明の有利な実施例による電子装置1及び拡張カード13と関連して、説明をする。
【0029】
電子装置1のユーザーは例えば電話用アプリケーション・プログラム29を始動させ、これにより電子装置1及び拡張カード13の動作を制御することが可能となる。電子装置1がパソコン(PC)や携帯用コンピュータ(ラップトップPC)などのデータ処理装置であれば、オペレーティングシステムのコマンドによってこの電話用アプリケーション・プログラム29をロードすることができる。マイクロソフト社により開発されたウィンドウズ95オペレーティングシステムが携帯用コンピュータで近頃一般的となっている。図3は、その様なデータ処理装置1との関連での本発明の動作を示している。図3では、制御信号及びオーディオ信号の経路が機能ブロックで示されている。これらのブロックに対応する動作は主としてデータ処理装置1のアプリケーション・ソフトウェア及び拡張カード13のアプリケーション・ソフトウェアで実行される。
【0030】
電話用アプリケーション・プログラム29をロードする段階で(ユーザーインターフェース、UI)、仮想装置(バーチャルデバイス)ドライバー30(VXD)及びモデム・アプリケーション31も電子装置1にロードされる。オペレーティングシステムは、電話用アプリケーション・プログラム29、モデム・アプリケーション31、及び仮想装置ドライバー30の間でのデータの伝送を処理する。モデム・アプリケーション31は、電話用アプリケーション・プログラム29から来る電話番号等の制御データを、それ自体としては公知のATコマンド等に有利に変換する。これらのATコマンドは例えば規格ETSI 07.07で与えられる。仮想装置ドライバー30は、例えば、制御コマンド及びオーディオ信号を拡張カード13に伝送する目的で、モデム・アプリケーション31を通ってくる制御コマンドに基づいて、拡張カード接続部8a、8bを制御するために使用される。この仮想装置ドライバー30は、拡張カード8a、8bから来る制御コマンドをも読み取り、それらを電話用アプリケーション29に適する形式に変換する。更に、仮想装置ドライバー30は、同期直列接続ブロック24から拡張カード接続部8a、8bを介して来るオーディオ信号を読み取り、必要ならば該オーディオ信号の伸長(decompression)を行い、それらをモデム・アプリケーション31に伝送する。モデム・アプリケーション31は、そのオーディオ信号を復号して、該オーディオ信号に対応する音(sound)信号を発生させるために、オーディオ・ブロック32を介して電子装置のスピーカー6に該オーディオ信号を送る。
【0031】
電子装置のマイクロホン7で、該音信号は電気的アナログ・オーディオ信号に変換される。オーディオ・ブロック32で、その信号はディジタル形の、有利にはPCM符号化されたオーディオ信号に変換され、その信号はモデム・アプリケーション31を介して仮想装置ドライバー30に伝送される。仮想装置ドライバー30は、必要ならば該ディジタルオーディオ信号を圧縮し、それを、有利には8ビット又は16ビットの幅を有するバイトとして拡張カード接続部8a、8bを介して拡張カードの非同期直列接続ブロック24に伝送する。
【0032】
同期直列接続ブロック24は、各バイトを更に同期シリアル・バス21に送る。この同期シリアル・バス21は、送信ライン33及び受信ライン34の他に、ビット同期ライン35及びバイト同期ライン36も有する。ビット同期ライン35は受信端のためのバス21に転送されるべきビットを同期化する。バイト同期ライン36は、受信装置がどの受信したビットが同じバイトに属するのかが分かるように、送信された各バイトを同期化する。
【0033】
本発明の有利な実施例による拡張カードでは、同期シリアル・バス21は、連続モード又はブロック・モードで動作することができる。連続モードでは、各バイトの送信のために同期信号(PCMSClk)がバス接続回路22で、好ましくは制御ブロック26で、作られる。有利な実施例では、同期信号の周波数は約8kHzであり、これで毎秒8000バイトを送信することができる。
【0034】
拡張カード接続部8a、8bを介して電子装置1から入ってくるバイトは送信バッファーTxFIFO(送信先入れ先出し)に送られ、そこから該バイトは同期シリアルコネクタブロック24により、バイト同期信号PCMSClkの制御下で、同期シリアル・バス21に送られる。バイト入力時に、制御ブロック26への割り込み信号を作ることもできる。このモードでは、各バイトの転送を制御するためにディジタル信号処理装置16は使われない。ブロック・モードでは、同期シリアルコネクタ・ブロック24は、電子装置1から来る各バイトを送信バッファーTxFIFOで受け取る。ブロック・サイズは例えば20、40又は60バイトであり、その時に使われるブロック・サイズに対応するいくつかのバイトが、同期シリアル・バス21にそれらを送る前に送信バッファーで受信される。バス接続回路22の制御ブロックは、送信バッファーでのスペースに関する情報を内蔵している。送信バッファー内のバイトの数がブロック・サイズと一致した段階で、制御ブロック36は電子装置のマイクロプロセッサ2への割り込み信号等を作る。その結果として、ブロック・バッファーの充填率が再びブロック・サイズより小さくなるまで、拡張カード接続部8a、8bへの各バイトの書き込みは仮想装置コントローラ30において停止される。
【0035】
送信バッファーが満杯となったとき、ディジタル信号処理装置16は同期直列接続ブロック24へのブロック同期信号を作る。すると、同期シリアルコネクタ・バス24は同期シリアル・バス21へ各バイトを送信し始める。
【0036】
バス接続回路の制御ブロック26は、同期シリアル・バス21に各ビットを送信するためにビット同期ライン35で同期信号(PCMDClk)を発生させる。この実施例では同期シリアル・バス21での送信及び受信は有利には同時に行われ、同期信号の立ち上がりエッジでビットが送信され、立ち下がりエッジでビットが受信されるので、この同期信号は、同期シリアル・バス21から各ビットを受信するためにも使用される。バス接続回路22の制御ブロックは、バイト同期ライン36にも同期信号(PCMSClk)を発生させる。
【0037】
同期シリアル・バス21に送られた各バイトは高周波部19に導かれ、ここで無線チャネルでの送信のために該各バイトに対して圧縮及びチャネル・コーディング(変調)が行われる。これに対応して、無線チャネルから受信された信号に対してチャネル・デコーディング及び場合によっては伸長も行われ、その後にディジタル・オーディオ信号を同期シリアル・バス21に送ることができる。
【0038】
非同期シリアル・バス20において、有利には、送信されるべき各バイトに対して最初の1ビットと最後の1ビットとが付加される。これらの、最初と最後のビットに基づいて、受信端において、公知のように、受信された各バイトに属するビットを識別することができる。この場合、実際の同期信号は使用されない。
【0039】
図4は、第2の機能モードにセットされた電子装置1及び拡張カード13についての1例を示している。電子装置1は、例えば、マイクロプロセッサ2と、オーディオ・コーディング/デコーディング回路37(コーデック)と、ディスプレイ38と、キーパッド39とを有する。モード選択ライン27は電子装置1によってグランド電位にセットされ、ここで拡張カード13は第2の機能モードにセットされる。従って、同期シリアル・バス21及び非同期シリアル・バス20の各ラインは拡張カードの側で拡張カード接続部8bに直接接続されている。従って信号は拡張カード13及び電子装置1の間でシリアル形式で伝送される。例えば、オーディオ・コーディング/デコーディング回路でディジタル・オーディオ信号に変換された音信号は、拡張カード接続部8a、8bを介してディジタル信号処理装置16に送られて、無線チャネルで送信されるべき形式に変換される。これに対応して、無線チャネルから受信されて復号されたディジタル・オーディオ信号は、電子装置のオーディオ・コーディング/デコーディング回路37にシリアル形式で伝送される。オーディオ・コーディング/デコーディング回路37において、ディジタル・オーディオ信号はアナログ形式に変換されて例えば電子装置のスピーカー6に導かれる。この実施例では、ビット同期信号及びバイト同期信号は電子装置のマイクロプロセッサ2から同期バス42を介して供給されるけれども、これらの同期信号を例えばオーディオ・コーディング/デコーディング回路37で、制御ブロック26で、或いはディジタル信号処理装置16で作ることもできる。
【0040】
ディジタル信号処理装置ではオーディオ信号はディジタル形式であり、その結果として、マイクロホン7で作られた信号などのアナログ信号をディジタル形式に変換するためのアナログディジタル変換器(A/D)と、ディジタル信号をアナログ形式に、例えばスピーカー6に送られるべき信号に、変換するためのディジタルアナログ変換器(D/A)とが必要である。これらのA/D変換器及びD/A変換器は、この実施例では、図4のブロック図に示されている、それ自体としては公知のパルス符号変調PCMを行うオーディオ・コーディング/デコーディング回路37(コーデック)に含まれている。
【0041】
電子装置は、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)型の補助装置ユニット、図1に示されているような携帯用データ処理装置(PC)、電話ハンドセット、移動局用のハンドフリー装置などであっても良い。
【0042】
本発明は、上記の実施例だけに限定されるものではなくて、特許請求の範囲の各請求項の範囲内で修正され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を有利に適用することのできる装置を示すブロック図である。
【図2】本発明による拡張カードのためのバス接続回路の機能ブロック図である。
【図3】制御信号及びオーディオ信号の経路を機能ブロックで示す図である。
【図4】本発明を有利に適用することのできるもう一つの装置を示す図である。
【符号の説明】
1…電子装置
2…電子装置のマイクロプロセッサ
8a,8b…拡張カード接続部
13…拡張カード
14…拡張カードのコントローラ
16…ディジタル信号処理装置
20…データ伝送バス(非同期シリアル・バス)
21…データ伝送バス(同期シリアル・バス)
22…バス接続回路
23…拡張カード・コネクタ・ブロック
24…同期直列接続ブロック
25…非同期直列接続ブロック
26…制御ブロック

Claims (15)

  1. 電子装置(1)と、該電子装置での拡張カード接続部(8a)に接続されている拡張カード(13)との間でディジタル・オーディオ信号を伝送する方法であって、該拡張カード(13)は、制御信号及びデータ信号を伝送するための少なくとも1つの第1のデータ伝送バス(20)と、ディジタル信号を処理するための手段(16)と、拡張カード接続部(8b)とを有するものにおいて、該拡張カード(13)は第2のデータ伝送バス(21)を有し、ディジタル・オーディオ信号が前記第2のデータ伝送バス(21)を介して伝送されることを特徴とする方法。
  2. 該第1のデータ伝送バス(20)は非同期シリアル・バスであり、該第2のデータ伝送バス(21)は同期シリアル・バスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 各該データ伝送バス(20,21)のタイミング及び制御は、該拡張カード(13)に設けられているバス接続回路(22)によって実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 該拡張カード(13)は、PCMCIA規格に準拠する機能モードなどの第1の機能モードを少なくとも有し、ディジタル・オーディオ信号は該ディジタル信号処理装置(16)と該バス接続回路(22)との間でシリアル形式で伝送されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 該電子装置の拡張カード接続部(8a)と第2のデータ伝送バス(21)との間でのディジタル・オーディオ信号の伝送のために該ディジタル・オーディオ信号に対してシリアル/パラレル変換が行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 該拡張カード(13)は第2の機能モードも有し、ディジタル・オーディオ信号は制御信号及びデータ信号と同じく、該電子装置の拡張カード接続部(8a)と該第2のデータ伝送バス(21)との間でシリアル形式で伝送されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 該拡張カード(13)は移動局のための送受信装置(19)をそなえることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 拡張カード(13)であって、
    ディジタル信号処理装置(16)と、
    制御信号及びデータ信号を伝送するための少なくとも1つの第1のデータ伝送バス(20)と、
    該拡張カード(13)を電子装置(1)の拡張カード接続部(8b)と接続するための拡張カード接続部(8b)とを有するものにおいて、
    該拡張カード(13)は、該拡張カード(13)と該電子装置(1)との間でディジタル・オーディオ信号を伝送するための第2のデータ伝送バス(21)を更に有することを特徴とする拡張カード。
  9. 該第1のデータ伝送バス(20)は非同期シリアル・バスであり、該第2のデータ伝送バス(21)は同期シリアル・バスであることを特徴とする請求項8に記載の拡張カード。
  10. 該拡張カード(13)は、各該データ伝送バス(20,21)のタイミング及び制御を実行するためにバス接続回路(22)を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の拡張カード。
  11. 該拡張カード(13)はPCMCIA規格に準拠する機能モードなどの第1の機能モードを少なくとも有し、該拡張カード(13)は、該ディジタル信号処理装置(16)と該バス接続回路(22)との間でディジタル・オーディオ信号をシリアル形式で同期をとって伝送するための更なる手段(24,26)を有することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の拡張カード。
  12. 該電子装置の拡張カード接続部(8a)と該第2のデータ伝送バス(21)との間でディジタル・オーディオ信号を伝送するために該ディジタル・オーディオ信号に対してシリアル/パラレル変換を実行するための手段(25)を有することを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の拡張カード。
  13. 該拡張カード(13)は第2の機能モードを更に有し、ディジタル・オーディオ信号が該電子装置の拡張カード接続部(8a)と該第2のデータ伝送バス(21)との間でシリアル形式で伝送されるように構成されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の拡張カード。
  14. 移動局のための送受信装置(19)を更に有することを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の拡張カード。
  15. 移動局(13)であって、
    ディジタル信号処理装置(16)と、
    制御信号及びデータ信号を伝送するための少なくとも1つの第1のデータ伝送バス(20)と、
    該移動局(13)を電子装置(1)の拡張カード接続部(8b)に接続するための拡張カード接続部(8b)とを有するものにおいて、
    該移動局(13)は、該移動局(13)と該電子装置(1)との間でディジタル・オーディオ信号を伝送するための第2のデータ伝送バス(21)を更に有することを特徴とする移動局。
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