JP4093092B2 - 電磁弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧制御装置などに装着され、流路の切り換えに使用される電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に装着される自動変速機では、油圧制御装置に電磁弁を装着して流路の切り換えを行っている。この電磁弁の中には、流入弁口および排出弁口が対向して設けられ、側方に流出口が設けられた円筒状の弁室と、該弁室内に収容され流入弁口または排出弁口を選択的に開閉するボール弁と、弁室に嵌め込まれるとともにボール弁を流入弁口と排出弁口との中心に保持する円筒状ボールガイドと、ボール弁を変位させるシャフトと、該シャフトを駆動する電磁ソレノイドとを備えているものがある。
【0003】
従来の電磁弁では、図6の(イ)に示す如く、シャフト4によって図示左右に移動されるボール弁16を、弁室25の中心線上に保持させるめの円筒状ボールガイド7を備えている。このボールガイド7は、弁室25に嵌着される外径を有し、図6の(ロ)に示す如く、弁室25の側方に開口した流出口12に対応して、連通口70が設けられている(特許文献1参照)。このボールガイド7は、弁室25で回動すると、図6の(ハ)に示す如く、連通口70と流出口12との位置がずれてボールガイド7で流出口12が塞がれる。このため、連通口70と流出口12との位置を合わせて固定され、組み付けを正確に行うとともに、ベースハウジング2との間にかしめなど周り止めを行う必要があり、金属を切削加工して製造されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−292879号公報 (図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電磁弁では、ボールガイド7は、組み付けを正確に行うとともに固着に必要な構造強度を必要としていたため、金属製であり、組み付け作業および製造に手間がかかりコストの増大を招いていた。
この発明の目的は、ボールガイドの外周を流体の流路として有効利用することにより、ボールガイドの組み付け性が向上でき、かつ製造が容易でコストの低減が可能な電磁弁の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の電磁弁は、流入弁口および排出弁口が対向して同心的に設けられ、側方に流出口が設けられた円筒状の弁室内に、流入弁口または排出弁口を選択的に開閉するボール弁を収容している。ボール弁は、流入弁口および排出弁口に連通する連通口が設けられた円筒状のボールガイドで中心線上に保持される。ボール弁は電磁ソレノイドで駆動されるシャフトで変位する。ボールガイドの外周と弁室の内壁との間に、ボールガイドの設置角度に関わらず流出口および連通口に連通した環状流路を設けている。
【0007】
この発明では、ボール弁が排出弁口を閉じている状態では、流入弁口から流入した流体は、連通口および環状流路を通じて流出口に流出する。また、ボール弁が流入弁口を閉じている状態では、流出口から環状流路および連通口を通じて流出口からドレイン口に流出する。ボールガイドの設置角度に関わらず環状流路は常に流出口に連通しているため、この動作はボールガイドの設置角度を正確にする必要も固定する必要もなく確保される。この結果、ボールガイドの組み付け性が向上するとともに、ボールガイドを生産性に優れた樹脂で形成することも可能になる。
【0008】
また、請求項に記載の電磁弁では、ボールガイドは、樹脂で成型され、弁室の内径より小さい外径を有し、環状流路と排出弁口との連通口となるスリットが形成された筒部と、該筒部の流入弁口側端に設けられ、流入弁口と環状流路との連通口となる欠落部が形成されるとともに弁室の内径と同等の外径を有する鍔部とからなる。この構成により、コンパクトで流通抵抗の少ない弁室が形成できる。
【0009】
請求項に記載の電磁弁では、ボールガイドは、弁室の一端側に嵌め込まれて側壁を形成するとともに中心に流入弁口を有するリング板により弁室内に保持されている。この構成では、ボールガイドの組み付けがリング板の固着により行われるため、ボールガイドに加わる軸方向の負荷をなくすことができ、ボールガイドを樹脂製など構造強度が低い材料で形成することが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図に示す実施例に基づき説明する。図1は自動車の自動変速機に装着される電磁弁1を示す。電磁弁1は、一端(図示左端)部にボール弁機構10が設けられた円筒状のベースハウジング2と、該ベースハウジング2の一端(図示右端)部に外嵌めされた電磁ソレノイド3とを有する。ベースハウジング2の内部にはシャフト4が収容され、電磁ソレノイド3により往復駆動されてボール弁機構10を開閉するようになっている。
【0011】
ベースハウジング2の内部には、一端側には径大のフィルター室21が設けられオイルフィルター5が嵌め込まれている。フィルター室21の右側には、段22を介してやや径小のリング板装着部23が設けられ、中心に流入弁口11が開けられたリング板6が嵌着されている。リング板6は、段22の一部6Aをかしめて固定されている。
【0012】
リング板装着部23の右側には、段24を介して円筒状の弁室25が設けられ、弁室25の側方には作動流体の流出口12が開けられ、弁室25の右端には排出弁口13が形成されている。弁室25には円筒状のボールガイド7が嵌め込まれ、ボールガイド7内にはボール弁16が収容されてボール弁機構10を形成している。排出弁口13の右側には排出流路14およびシャフト保持部26が形成され、排出流路14には排出ポート15が交差して貫設されている。
【0013】
電磁ソレノイド3は、ヨーク31内にコイル32を配し、コイル32の一端部に可動子33を配した構造を有する。シャフト4は、排出弁口13に同心的に位置する径小の先端部41、排出流路14に位置するテーパー部42、段43を介してシャフト保持部26に摺動自在に嵌め込まれた径大部44とからなる。段43と排出弁口13との間にはスプリング45が介装されている。
【0014】
図2、図3に示す如く、ボールガイド7は、PPS樹脂などの樹脂で成型され、筒部72とその一端に設けた鍔部74とからなる。筒部72には、中間部から他端部にかけて他端側連通口となる軸方向のスリット71が3個等間隔に形成されている。鍔部74には、スリット71と交互に一端側連通口となる3個の欠落部73が形成されている。この実施例では、欠落部73は、筒部72の一端部にまで延長されて連通口の流路面積の拡大が図られている。この構成では、連通口をスリット71(他端側連通口)と欠落部73(一端側連通口)とに分けて形成しているため、コンパクトで流通抵抗の少ない流路切り換え弁が形成されている。
【0015】
ボールガイド7は、鍔部74(一端)がリング板6に当接し、他端が弁室25の他端側壁に当接して弁室25に収容されている。筒部73の外周と弁室25の内周壁との間は、ボールガイド7の設置角度の如何に関わらず、常に連通口であるスリット71および欠落部73と、流出口12とに連通している環状流路8が形成されている。
【0016】
電磁ソレノイド3が非通電状態にあるときは、ボール弁16は油圧の作用で図示右側に位置し、流入弁口11を開放するとともに排出弁口13を閉じている。このため、流入弁口11は、欠落部73および環状流路8を通じて流出口12に連通している。電磁ソレノイド3が通電されると可動子33が図示左方に変位し、可動子33に押圧されてシャフト4が図示左に移動する。ボール弁16は、シャフト4に押圧されて図示左方に変位し、流入弁口11を閉じ排出弁口13を開く。このため、流出口12は、環状流路8およびスリット71を通じて排出弁口13と連通する。
【0017】
この発明では、ボールガイド7と弁室25との間に環状流路8を形成しているので、ボールガイド7の弁室25への設置角度に関わらず、スリット71と流出口12とは連通している。このためボールガイド7を弁室25に組み付ける際に、ボールガイド7の設置角度を特定する必要がなく、組み付け性が向上する。また、ボールガイド7は回転してもかまわないためボールガイド7を固定する必要がなく、ボールガイド7の構造強度は低くてもよい。このため、樹脂で成型でき、金属製の場合に比較して製造コストの低減が可能である。
【0018】
図4の(イ)は、スリット71および欠落部73をそれぞれ4個設けたボールガイド7を示す。スリット71または欠落部73は3個以外の個数であってもよいが、ボールガイド7が弁室25内で回動しても短い流路を確保するためには3個以上であることが望ましく、ボールガイド7の強度の観点からは4個以下であることが望ましい。この構成では、弁室25内に取り付けた際の安定性が向上できる。図4の(ロ)、(ハ)は、筒部72の両側に鍔部74、74を設けたボールガイド7を示す。この構成では、弁室25内に取り付けた際の安定性が向上できる。
【0019】
図5は、電磁弁1の他の実施例を示す。この実施例では、弁室25の一端側に排出弁口13を有するリング板61を嵌め込んでいる。この構成では、シャフト4、スプリング45を弁室25側から組み付けることが可能であり、組み付け性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁弁の正面断面図である。
【図2】図1のA−A断面図(イ)および図1のB−B断面図(ロ)である。
【図3】ボールガイドの斜視図である。
【図4】他の実施例のボールガイドの斜視図である。
【図5】他の実施例の電磁弁の正面断面図である。
【図6】他の実施例の電磁弁の断面図である。
【符号の説明】
1 電磁弁
10 ボール弁機構
11 流入弁口
12 流出口
13 排出弁口
16 ボール弁
2 ベースハウジング
25 弁室
3 電磁ソレノイド
4 シャフト
5 オイルフィルター
6 リング板
7 ボールガイド
71 スリット(他端側の連通口)
72 筒部
73 欠落部(一端側の連通口)
74 鍔部
8 環状流路

Claims (2)

  1. 流入弁口および排出弁口が対向して同心的に設けられ、側方に流出口が設けられた円筒状の弁室と、該弁室内に収容され前記流入弁口または排出弁口を選択的に開閉するボール弁と、前記弁室に嵌め込まれ前記ボール弁を前記流入弁口と前記排出弁口との中心線上に保持するとともに、前記流入弁口および排出弁口に連通する連通口が設けられた円筒状のボールガイドと、前記ボール弁を変位させるシャフトと、該シャフトを駆動する電磁ソレノイドとを備えた電磁弁において、
    前記ボールガイドの外周と前記弁室の内壁との間に、前記ボールガイドの設置角度に関わらず前記流出口および前記連通口に連通した環状流路を設け
    前記ボールガイドは、樹脂で成型され、前記弁室の内径より小さい外径を有し、前記環状流路と前記排出弁口との連通口となるスリットが形成された筒部と、該筒部の前記流入弁口側端に設けられ、前記流入弁口と前記環状流路との連通口となる欠落部が形成されるとともに前記弁室の内径と同等の外径を有する鍔部とからなることを特徴とする電磁弁。
  2. 請求項1に記載の電磁弁において、
    前記ボールガイドは、前記弁室の一端側に嵌め込まれて側壁を形成するとともに中心に前記流入弁口を有するリング板により前記弁室内に保持されていることを特徴とする電磁弁
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