JP4092518B2 - 複合紡績糸及びそれを用いた織編物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長短複合繊維束とフィラメント糸よりなる繊維束とを実撚りしてなる複合紡績糸に関し、より詳細には、ふくらみ感があり、風合いと品位が高く、かつ布帛表面の暖かみ及び、着じわの回復性に優れた複合紡績糸及びこれを用いた織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より衣料用素材として、ハリ、コシ、弾撥感、ふくらみといった風合いに対する要求が強く、それらを満足させるために長繊維と短繊維を複合させた長短複合紡績糸により、高度な風合いや品位の高い表面感を付与する試みが種々行われてきた。
【0003】
例えば、長繊維が芯に、短繊維が鞘に配置された芯鞘構造の複合紡績糸が提案されており、短繊維特有の表面感にもかかわらずフィラメントの特性により、ハリ、コシ、弾撥感等の布帛特性に優れる事が知られている。しかし、ふくらみ感に関しては、従来の短繊維布帛と大差なく、不十分なものであった。
【0004】
又、得られる糸条においても短繊維紡績糸と同様な欠点が存在し、品位の高いものとは言えないものであり、耐摩耗性においても従来のものと大差があるものではなかった。
【0005】
又、これらの問題を解決させるために長繊維の繊維束を開繊させた繊維束と短繊維繊維束とを混繊させた長短複合紡績糸も提案されているが、糸条の品位、耐摩耗性に優れるものの、ふくらみ感、ドライ感といった特性では従来品と大差ないものであった。
【0006】
一方、特に布帛のふくらみ感を改善すべく、長繊維であるマルチフィラメント糸の一部を、表面から部分的にループ状に突出させた複合糸も提案されている(特開平9−78382号公報参照)。しかし、ふくらみ感の改善は十分なものとは言えず、また、風合いや品位、布帛表面の暖かみ等の点で、更なる改善の余地があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、かかる欠点を解決しようとするものであり、従来にない高いふくらみ感及び、布帛表面の暖かみを有し、かつ糸条が綺麗で欠点の少なく着じわ特性に優れた複合紡績糸、およびこれを用いた織編物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、繊度及び収縮特性が異なりループ状部の形成が可能な2種のフィラメント糸を混繊させた長繊維束を使用し、短繊維束を混繊する際に、長短複合繊維束とフィラメントのみからなる繊維束としてから実撚することにより、上記目的が達成できるできることを見出し、更に検討を加えて本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の複合紡績糸は、主に芯側に配置されるフィラメント糸a1と、主に表面側に配置される短繊維と、表面から部分的に突出したループ状部を有するフィラメント糸a2とで主に構成される長短複合繊維束Aと、ループ状部を有しないフィラメント糸b1と、表面から部分的に突出したループ状部を有するフィラメント糸b2とからなる繊維束Bとが、互いに巻き付きあう様に実撚りがかけられてなることを特徴とする。
【0010】
上記において、各フィラメント糸aの単糸繊度は、後述の如きであるが、前記フィラメント糸a1と前記フィラメント糸b1とが、単糸繊度で2.0デニール以下であり、かつ前記フィラメント糸a2と前記フィラメント糸b2とが、単糸繊度で3.5デニール以上であることが好ましい。
【0011】
また、フィラメント糸や短繊維の材質は、種々のものが使用可能であるが、前記フィラメント糸a1、前記フィラメント糸a2、前記フィラメント糸b1、及び前記フィラメント糸b2が、何れもポリエステル系繊維からなり、前記短繊維がセルロース系繊維からなることが好ましい。
【0012】
一方、本発明の織編物は、上記いずれかに記載の複合紡績糸を用いること特徴とする。
【0013】
[作用効果]
本発明の複合紡績糸によると、実施例の結果が示すように、従来にない高いふくらみ感及び、布帛表面の暖かみを有し、かつ糸条が綺麗で欠点の少なく着じわ特性に優れたものとなる。その理由は次のように推測される。つまり、長短複合繊維束Aとフィラメントのみからなる繊維束Bとに部分的に存在するループ状の突出部により、繊維間に好適に空隙が発現し、高いふくらみ感を得ることが可能となる。そして、長短複合繊維束Aとフィラメントのみからなる繊維束Bとを別個に用いて複合紡績糸を形成しているため、短繊維の風合いを有しつつ、フィラメント糸により弾撥感、ハリ、コシを得るとともに、高いふくらみ感を得ることができる。その際、長短複合繊維束Aと繊維束Bとが、互いに巻き付き合うように実撚りを付与する事により、糸均斉度に優れ、毛羽を少なくし、耐摩耗性をより一層向上させる事が可能となる。
【0014】
また、フィラメント糸a1とb1とが、単糸繊度で2.0デニール以下であり、フィラメント糸a2とb2とが、単糸繊度で3.5デニール以上である場合、ループ状の突出部を好適に形成させ、望ましい繊維間空隙を得ることができる。フィラメント糸a2とb2とが、単糸繊度で3.5デニール未満であると、ループ状の突出部の形態保持が困難となり、ふくらみ感が低下する傾向がある。このため、更に好ましくは4.5デニール以上である事が望ましい。更に、フィラメント糸a1とb1とが、単糸繊度で2.0デニールを越えると、ふくらみ感は得られるものの、布帛にした際に硬く、弾撥の強すぎるものなってしまう傾向がある。このため、更に好ましくは1.0デニール以下である事が望ましい。
【0015】
フィラメント糸a1〜b2が、何れもポリエステル系繊維からなり、短繊維がセルロース系繊維からなる場合、ポリエステル系繊維からなるフィラメント糸が収縮差による膨らみ感、弾撥感等の特性を有し、また、セルロース系繊維からなる短繊維が表面のソフト感、繊細なタッチ等の特性を有するため、特に両者の組合せにより、本発明の上記作用効果が顕著に発現される。
【0016】
一方、本発明の織編物は、上記いずれかに記載の複合紡績糸を用いるため、従来にない高いふくらみ感及び、布帛表面の暖かみを有し、かつ糸条が綺麗で欠点の少なく着じわ特性に優れた織編物となる。従って、特に、中、厚地衣料用の織編物として好適なものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の複合紡績糸の構造について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の複合紡績糸の糸断面の一例を示すものである。本発明の複合紡績糸は、図1に示すように、長短複合繊維束Aと繊維束Bとが、互いに巻き付きあう様に実撚りがかけられているものである。長短複合繊維束Aは、主に芯側に配置されるフィラメント糸a1と、主に表面側に配置される短繊維a3と、表面から部分的に突出したループ状部を有するフィラメント糸a2とで主に構成される。また、繊維束Bは、ループ状部を有しないフィラメント糸b1と、表面から部分的に突出したループ状部を有するフィラメント糸b2とからなる。なお、この図では長短複合繊維束Aと繊維束Bとが一束づつ撚られたものが例示されているが、本発明では、長短複合繊維束Aと繊維束Bとが互いに巻き付きあう様に実撚りがかけられていればよく、一束と複数束、又は複数束と複数束が撚られたものでもよい。
【0019】
前記長短複合繊維束Aと繊維束Bとの構成比A/Bは、重量比で1.5〜4.0の範囲内であることが好ましい。1.5未満になると長短複合紡績糸における短繊維の比率が少なくなりすぎ、フィラメントタッチの強い布帛となり、他方、4.0を超えるとフィラメントのみからなる繊維束Bが細くなるため、操作性が低下する傾向がある。かかる観点より、更に好ましくはA/Bは1.8〜3.5である。
【0020】
また、長短複合繊維束Aにおける、フィラメント糸a1とa2の構成比a1/a2は、重量比で0.5〜3.0の範囲内であることが好ましい。0.5未満になるとループ状の突出部を形成する成分が少なすぎ、本発明の狙いとする膨らみ感を満足できないものとなり、他方、3.0を超えると布帛の風合いの硬いものとなり、又、収縮特性差による繊維間空隙の形成が困難となり膨らみが低下する傾向がある。かかる観点より、更に好ましくはa1/a2は0.8〜2.5である。なお、繊維束Bにおける、フィラメント糸b1とb2の構成比b1/b2も、これと同様である。
【0021】
また、長短複合繊維束Aにおけるフィラメント糸(a1とa2の総量)の割合は、5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では目的とする弾撥感、ふくらみ感のある風合いを得ることができない。また、50重量%を超えると短繊維との結合が悪く、シース抜けが起こりやすく、また毛羽の増加と耐摩耗性の低下を生ずるので好ましくない。なお、繊維束Bにおける、フィラメント糸の割合も、これと同様である。
【0022】
長短複合繊維束Aに使用される短繊維としては、綿繊維、麻繊維などの天然繊維、ポリノジック繊維などの再生繊維、半合成繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維などの合成繊維等、通常紡績工程に供されるものであればよく、混紡素材でも差し支えない。但し、前述の理由より、綿繊維、麻繊維、レーヨン、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生繊維等のセルロース系繊維が好ましい。
【0023】
また、長短複合繊維束Aと繊維束Bに使用されるフィラメント糸a1〜b2の素材としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリルなどの合成繊維の他、プロミクスなどの半合成繊維など一般に衣料用に供される全てのフィラメント素材が対象となりうる。但し、前述の理由よりポリエステル系繊維が好ましい。なお、フィラメント糸a1〜b2のフィラメント素材は、同一でも異なっていてもよい。また、フィラメントの断面形状等は持に限定されず、何れのものも使用可能である。
【0024】
フィラメント糸a1〜b2の単糸繊度としては、通常0.5〜7.0デニールのものが使用されるが、前述のように、フィラメント糸a1とフィラメント糸b1とが、単糸繊度で2.0デニール以下であり、かつフィラメント糸a2とフィラメント糸b2とが、単糸繊度で3.5デニール以上であることが好ましい。なお、長短複合繊維束Aに使用される短繊維の単糸繊度は、0.5〜2.5デニール程度が好ましく、短繊維の長さは、30〜54mm程度が好ましい。
【0025】
本発明において、長短複合繊維束Aと繊維束Bに対して、表面から部分的に突出したループ状部を形成する方法としては、2種のフィラメント糸の収縮特性の相違を利用する方法や、予め捲縮加工等を行ったフィラメント糸を用いる方法等が挙げられる。但し、前者の方が、工程数が少なく、低コストでの生産が可能であり、操作性も良好なため、本発明に好適に用いられるので、以下、前者の場合について説明する。
【0026】
その場合、ループ状の突出部による繊維間空隙を有効に発現させるためには、2種のフィラメント糸の収縮率が、a2<a1又はb2<b1の関係で異なっている事が好ましい。特に、両者のフィラメント糸の乾熱収縮率の差が、15%〜45%の範囲である事がより好ましく、更に好ましくは、ループ状の突出部を有するフィラメント糸a2とb2とが、乾熱収縮率が負である自発伸長糸である事が望ましい。これはループ状の突出部の形成及び、形態保持が、短繊維との混紡や、撚りによる拘束により低下するのを抑え、その特徴を有効に発現させるためであるが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0027】
更に長短複合繊維束Aと繊維束Bとが互いに巻き付き合う様にかけられる実撚りについては、特に限定しないが、下記式にて得られる撚り係数kにおいて、3.0≦k≦6.0の範囲にある事が望ましい。kが3.0未満であると、ふくらみ感は得られるものの、ふかつき感が感じられるものとなり、耐摩耗性も低いものとなり、又、着じわ特性においても長短複合紡績糸による特性の発揮されにくいものとなる傾向がある。又、撚り係数kが6.0を越えると、複合紡績糸の糸構造がややしまった状態となり、複合紡績糸自体の糸表面が凹凸を持ったものとなるため、布帛にした際にループ状の突出部によるふくらみ効果が発揮できにくいものとなってしまう。
【0028】
撚り係数 k=1インチ当たりの撚り数/Ne1/2
ここで、Neは綿番手である。
【0029】
次に上記の如き複合紡績糸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、このような複合紡績糸の製造方法を説明するための装置の概略斜視図である。
【0030】
まず、短繊維集合体、例えば粗糸ボビン(篠巻)P1から解舒された粗糸1を、精紡機のガイドローラ5を介してバックローラー4から供給する。ついでバックローラー4、セカンドローラ8、フロントローラー9間でドラフトする。その後、フロントローラー9後の加撚ゾーンCにおいて、パーンP2から解舒されたフィラメント糸2(b1及びb2の混繊糸)と、ドラフトされた短繊維集合体を互いに加撚する。その際パーンP3から解舒されたフィラメント糸3(a1及びa2の混繊糸)をドラフトされている短繊維集合体に重ね合わせる。なお、フィラメント糸2とフィラメント糸3は、テンションガイド10,11とガイドローラ6,7を経て、フロントローラー9に供給され、加撚された複合紡績糸は、スネルワイヤー12を経由してボビン等に巻き取られる。
【0031】
上記の製造方法により、短繊維とフィラメント糸a1及びa2とで構成される繊維束Aと、フィラメント糸b1及びb2で構成される繊維束Bとが互いに巻き付いてなる複合紡績糸を得ることができる。2種のフィラメント糸の収縮特性の相違を利用して、ループ状の突出部を形成する場合、当該複合紡績糸を製織等した後、染色セット処理等を行うことにより、本発明の複合紡績糸を得ることができる。なお、その際の条件等の詳細は、特開平9−78382号公報等に詳しく記載されている。
【0032】
本発明の織編物は、以上の如き複合紡績糸を用いて製織等した織物類、又は編物類であればよく、製織等のタイプは如何なるものでもよい。また、本発明の複合紡績糸以外の糸を部分的に使用したものでもよい。但し、本発明の複合紡績糸の効果をより有効なものにするには、本発明の複合紡績糸だけを用いて製織等した織物類、又は編物類とするのが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における各物性値及び官能値については、以下に示す方法で測定した。
【0034】
1)ふくらみ感(比容積)
ふくらみ感の尺度として採用した。各試料の測定は KES風合い測定機を用いて測定した。
【0035】
2)接触温冷感(Qmax 値)
布帛表面の暖かみを表す尺度として採用した(測定値が高いほど冷感を低いほど温感を感じる)。各試料の測定は、サーモラボII型(精密迅速熱物性測定装置)を用いて測定した。
【0036】
3)風合い(触感)
布帛のふくらみ感やドライ感、シャリ感、弾撥感等の風合いを表す尺度として採用した。評価は、非常に良好◎、良好○、やや良好△、普通×の4段階評価とし、各試料の評価は8名でハンドリングによる官能評価により実施し、最も多く評価された段階値で表示した。
【0037】
4)品位
複合紡績糸の糸条及び、布帛表面の綺麗さ(品位)を表す尺度として採用した。評価は、非常に良好◎、良好○、やや良好△、普通×の4段階評価とし、各試料の評価は8名で目視により行い、最も多く評価された段階値で表示した。
【0038】
5)着じわ特性
着じわの回復性の尺度として採用した。等級が高いほど着じわがつきにくいか、回復が良いかである。着じわ付着直後と30分経過後の等級を測定した。各試料の測定はリンクル着じわ試験(JIS−1059−1985 6.3.C法)に基づいて行った。
【0039】
[実施例1]
長短複合繊維束A及び繊維束Bのループ状の突出部を形成するフィラメント群(a2,b2)として、30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸を、一方、ループ状の突出部を形成しないフィラメント群(a1,b1)として、30デニール18フィラメント、乾熱収縮率が15%以上である高収縮糸とが混繊された60デニール23フィラメントの混繊糸を用い、短繊維として1.7デニール38mmカットのポリノジックステープルを用いて、綿番手26’S、撚り係数k=5.0の長短複合紡績糸を紡出した。この糸を用いて経密度110本、緯密度60本の二重組織の織物を製織した。その後通常の染色加工を施した。
【0040】
その結果、ループ状の突出部により繊維間空隙が発現された、ふくらみ感に富み、ドライタッチで布帛表面の暖かみの高い高品位なものとなった。又、得られた複合紡績糸についても毛羽の少ない高品位なものであつた。結果を表1に示す。
【0041】
[実施例2]
長短複合繊維束A及び繊維束Bのループ状の突出部を形成するフィラメント群(a2,b2)として、30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸を、一方、ループ状の突出部を形成しないフィラメント群(a1,b1)として15デニール9フィラメント、乾熱収縮率が15%以上である高収縮糸とが混繊された45デニール14フィラメントの混繊糸を用い、短繊維として1.7デニール38mmカットのポリノジックステープルを用いて綿番手30’S、撚り係数k=5.0の長短複合紡績糸を紡出した。その後、実施例1と同様のカバーファクターとなる様に二重組織の織物を製織し、通常の染色加工を施した。
【0042】
その結果、実施例1と同様にループ状の突出部により繊維間空隙が発現された、ふくらみ感に富み、ドライタッチで布帛表面の暖かみの高い高品位なものとなった。又、得られた複合紡績糸についても毛羽の少ない高品位なものであった。結果を表1に示す。
【0043】
[従来例1]
長繊維が芯に、短繊維が鞘に配置される芯鞘構造の複合紡績糸の製造方法により、芯に用いるフィラメントとして30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸と、30デニール18フィラメント、乾熱収縮率が15%以上である高収縮糸が混繊された60デニール23フィラメントの混繊糸を用い、鞘に用いる短繊維として1.7デニール38mmカットのポリノジック短繊維を用いて綿番手26’S、撚り係数k=5.0の長短複合紡績糸を紡出した。その後、実施例1と同様の製織及び染色加工を施した。
【0044】
その結果、ハリ、コシ、弾撥感のある風合いとなり、維維間に空隙の発現したふくらみ感の有る布帛となったが、実施例と比較すると格段に低いものであり、本発明の狙いとするふくらみ感を満足させるものとはいえないものであった。又、布帛表面の品位においても短繊維特有の毛羽やネップといった欠点の存在する従来レベルのものであり、複合紡績糸の耐摩耗性も低いものであった。結果を表1に示す。
【0045】
[従来例2]
長繊維の繊維束を開繊させた繊維束と短繊維束とを混繊させた長短複合紡績糸の製造方法により、長繊維の繊維束として30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸と、30デニール18フィラメント、乾熱収縮率が15%以上の高収縮糸とが混繊された60デニール23フィラメントの混繊糸を用い、短繊維として1.7デニール38mmカットのポリノジック短繊維を用いて綿番手26’S、撚り係数k=5.0の長短複合紡績糸を紡出した。その後、実施例1と同様の製織及び染色加工を施した。
【0046】
その結果、ハリ、コシ、弾撥感及び布帛表面の毛羽の少ない品位の良好なものとなった。又、繊維間に空隙の発現したふくらみ感の有る布帛となったが、従来例1と同様、実施例と比較すると格段に低いものであり、本発明の狙いとするふくらみ感を満足させるものとはいえないものであった。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例1]
長短複合繊維束A及び繊維束Bのループ状の突出部を形成するフィラメント群(a2,b2)として30デニ―ル18フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸を、一方、ループ状の突出部を形成しないフィラメント群(a1,b1)として30デニール18フィラメント、乾熱収縮率が15%以上の高収縮糸が混繊された60デニール36フィラメントの混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様の条件で複合紡績糸を紡出し、同様の製織及び染色加工を施した。
【0048】
その結果、高品位な布帛となったが、ループ状の突出部による繊維間空隙はわずかしかなくふくらみ感に乏しいものであった。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例2]
長短複合繊維束A及び繊維束Bのループ状の突出部を形成するフィラメント群(a2,b2)として30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸を、一方、ループ状の突出部を形成しないフィラメント群(a1,b1)として30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が15%以上の高収縮糸が混繊された60デニール10フィラメントの混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様の条件で複合紡績糸を紡出し同様の製織及び染色加工を施した。
【0050】
その結果、高品位な布帛となり、ループ状の突出部による繊維間空隙の発現によりふくらみ感に富み布帛表面の温かみのある布帛となったが、風合いが硬く、弾撥感の強すぎる風合いとなった。結果を表1に示す。
【0051】
[比較例3]
長繊維の繊維束と短維維の繊維束とが互いに捲き付き合う様に実撚りを施す複合紡績糸の製造方法により、長繊維繊維束として30デニール5フィラメント、乾熱収縮率が負である自発伸長糸と、30デニール18フィラメントの乾熱収縮率が15%以上である高収縮糸とが混繊された60デニール23フィラメントの混繊糸を用い、短繊維として1.7デニール38mmのポリノジックステープルをを用いて綿番手26’S、撚り係数k=5.0の長短複合紡績糸を紡出し、実施例1と同様の製織及び染色加工を施した。
【0052】
その結果、ループ状の突出部により繊維間空隙の発現されたふくらみ感が富み、ドライタッチで布帛表面の温かみの高い高品位なものとなったが、実施例1及び2と比較すると物足りないものであり、本発明の狙いとするふくらみ感を満足させるものとは言えないものであった。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例4]
実施例1と同様の組み合わせで綿番手26’S、撚り係数k=2.8の複合紡績糸を紡出し、同様の製織及び、染色加工を行った。その結果、ふくらみ感のある布帛となったが、ハリ、コシ、弾撥感に欠けるものであった。又、耐摩耗性の低い品位の悪い糸条となった。結果を表1に示す。
【0054】
[比較例5]
実施例1と同様の組み合わせで綿番手26’S、撚り係数k=7.0の複合紡績糸を紡出し、同様の製織及び、染色加工を行った。その結果、ハリ、コシ、弾撥性のある品位の高い布帛であり、着じわ特性にも優れるものであったが、実施例に比べふくらみ感に乏しいものであり、本発明の狙いとするものとしては不十分なものであった。又、製織時に紡績糸の撚りトルクによるスナールが発生し、製織性が著しく悪化した。結果を表1に示す。
【0055】
[比較例6]
長短複合繊維束A及び繊維束Bのフィラメントとして75デニール36フィラメントの通常のポリエステルマルチフィラメント糸を用いた以外は、実施例1と同様の条件で複合紡績糸を紡出し、同様の製織及び、染色加工を行った。その結果、ハリ、コシ、弾撥性、着じわ特性に優れる品位の高い布帛となったがふくらみ感においては従来レベルのものであった。
【0056】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合紡績糸の横断面図
【図2】本発明の複合紡績糸の製造装置の概略斜視図
【符号の説明】
1 粗糸(短繊維集合体)
2 フィラメント糸
3 フィラメント糸
A 長短複合繊維束A
B 繊維束B
C 加撚ゾーン
a1 フィラメント糸a1
a2 フィラメント糸a2
a3 短繊維
b1 フィラメント糸b1
b2 フィラメント糸b2
Claims (3)
- 主に芯側に配置されるフィラメント糸a1と、主に表面側に配置される短繊維と、表面から部分的に突出したループ状部を有するフィラメント糸a2とで主に構成される長短複合繊維束Aと、ループ状部を有しないフィラメント糸b1と、表面から部分的に突出したループ状部を有するフィラメント糸b2とからなる繊維束Bとが、互いに巻き付きあう様に実撚りがかけられてなる複合紡績糸であって、
前記フィラメント糸a1と前記フィラメント糸b1とが、単糸繊度で2.0デニール以下であり、かつ前記フィラメント糸a2と前記フィラメント糸b2とが、単糸繊度で3.5デニール以上であり、
前記実撚りが、下記式で定義する撚り係数kが3.0以上6.0以下となるようにかけられてなる複合紡績糸:
k= 1 インチあたりの撚り数/Ne 1/2 (Ne は、綿番手を表す )。 - 前記フィラメント糸a1、前記フィラメント糸a2、前記フィラメント糸b1、及び前記フィラメント糸b2が、何れもポリエステル系繊維からなり、前記短繊維がセルロース系繊維からなる請求項1に記載の複合紡績糸。
- 請求項1又は2に記載の複合紡績糸を用いた織編物。
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JP08516699A Expired - Lifetime JP4092518B2 (ja) | 1999-03-29 | 1999-03-29 | 複合紡績糸及びそれを用いた織編物 |
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JP (1) | JP4092518B2 (ja) |
-
1999
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