JP4092028B2 - 真空ゲート弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空容器に連通する弁箱の連通口を弁板により開閉して真空容器との連通状態又は連通遮断状態に切り換えるための真空ゲート弁に関し、特に、弁板の開閉速度の制御に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の真空ゲート弁として種々のものが知られている。例えば実開平2―91277号公報に示されるものでは、真空容器に連通する連通口を有する弁箱内に弁板支持体を、その背面に軸支したガイドローラで案内しながら昇降可能に配置し、この弁板支持体の真空容器側の側面に、弁箱の連通口を開閉する弁板を平行リンク機構を介して接離可能に支持し、弁箱内に、弁板支持体の閉じ移動時に弁板に当接して弁板を弁板支持体から離れる閉じ方向に相対移動させるストッパを設け、弁箱外に、弁箱の壁部を気密状に貫通するピストンロッドを有するシリンダ(アクチュエータ)を取り付けて、そのピストンロッドの先端部を弁箱内の弁板支持体に連結し、シリンダの伸縮作動により弁板支持体を弁箱内で移動させて弁板を開閉させ、シリンダにより弁板支持体を開弁位置に移動させたときには、その弁板支持体と共に弁板を移動させて弁箱の真空容器への連通口を開く一方、弁板支持体を閉弁位置に移動させたときには、その途中で、弁板をストッパに当接させて平行リンク機構により弁板支持体から離隔させ、この離隔により弁板を弁箱の連通口の周りに押し付けて連通口をシール状態で閉じるようになされている。
【0003】
また、上記のように、弁板を弁板支持体に接離可能に連結支持し、弁板支持体の移動により弁板を接離させて開閉する真空ゲート弁の他の例としては、例えば特開平4―347084号及び特開平5―106761号の各公報に示されるように、上記リンク機構に代えてカム機構を用いたものも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように、弁板を支持する弁板支持体を移動させ、その開弁位置又は閉弁位置への移動により弁板を弁板支持体に対し接離させて弁箱の連通口を開閉する真空ゲート弁においては、弁板は圧力を受ける強度部材であって比較的重いので、その分、弁板を弁箱に対し支持する剛性が低くなる傾向があり、この弁板の支持剛性の低下は、設置スペースの縮小化等の目的で弁箱の厚さ寸法が薄くされて支持部分の大きさが小さくなると助長される。そして、このような弁板の支持剛性の低下のため、ゲート弁の開弁時に弁板をアクチュエータの駆動速度により決まる一定の開き速度で開いたとき、弁箱の連通口を閉じている弁板が弁板支持体に引き寄せられて連通口の周縁から離隔した後に振動することがあり、その振動により弁板が連通口周縁の弁箱の壁部に衝突してシール部材が損傷したり劣化したりするという問題がある。特に、真空ゲート弁の開閉時間を短縮するために弁板の開閉速度が速い場合には上記問題が顕著となる。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、真空ゲート弁における弁板の開閉動作をコントロールすることで、開弁直後に弁板が振動するのを抑制し、その弁箱との衝突によるシール部材の損傷や劣化等を防止して真空ゲート弁の作動信頼性、耐久性を向上することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、弁板の開閉速度を複数段階に異ならせ、開弁時に弁箱の連通口近辺における弁板の開き速度のみを他の状態の開き速度及び閉じ速度よりも遅くするようにした。
【0007】
具体的には、請求項1の発明では、真空容器に連通する連通口を有する弁箱内に、駆動手段に駆動されて開弁位置及び閉弁位置の間を移動する弁板支持体と、この弁板支持体に接離可能に支持され、弁板支持体の移動に伴い弁板支持体に対し接離して上記弁箱の連通口を開閉する弁板とが設けられてなる真空ゲート弁が前提である。そして、上記弁板の開閉速度を、開弁時に弁板が弁箱の開口部から離れた後に弁板支持体が開弁位置へ移動開始するまでの間の開き速度のみが他の位置にあるときの開き速度、及び弁板の全ての位置での閉じ速度よりも低くなるように複数段階に切り換える速度切換手段を設ける。
【0008】
上記の構成により、真空ゲート弁の閉弁時に駆動手段の駆動により弁板支持体が開弁位置から弁板と共に閉弁位置に移動すると、弁板支持体に支持されている弁板が弁板支持体から離隔する方向に移動して弁箱の連通口を閉じ、真空ゲート弁が閉弁状態となる。一方、この閉弁状態からの開弁時には、上記閉弁動作とは逆に、弁板支持体の開弁位置への移動により弁板が弁箱の連通口から離れてそれを開き、真空ゲート弁が開弁する。
【0009】
そのとき、上記弁板の開閉速度が速度切換手段により複数段階に切り換えられ、上記真空ゲート弁の開弁時に弁板が弁箱の開口部から離れた後に弁板支持体が開弁位置へ移動開始するまでの間にある状態では、その状態でのみ弁板の開き速度が遅くなり、その後に弁板が連通口近辺の位置から他の位置に移動したときの開き速度、或いはゲート弁の閉弁時の弁板の閉じ速度は速くなる。こうして弁箱の連通口近辺の位置にある弁板の開き速度のみが遅いので、弁板が弁箱の連通口からゆっくりと離れて連通口を開くこととなり、この弁板の低速移動によって振動は生じ難く、弁板が弁箱と衝突してシール部材が損傷したり劣化したりすることがなくなり、真空ゲート弁の作動信頼性や耐久性を高めることができる。
【0010】
また、上記弁板が弁箱の連通口近辺の位置にあるときの開き速度のみが遅く、弁板の他の位置での開き速度及び閉弁時の弁板の閉じ速度は速いので、全体として弁板の開閉速度が低くなることはなく、ゲート弁の開閉時間を短時間に維持することができる。
【0011】
請求項2の発明では、上記弁板支持体は駆動手段に対し、弁板支持体の移動方向に延びる第1及び第2ロッドにより連結されているものとする。また、駆動手段は、上記第1及び第2ロッドを長さ方向に移動させる1つの直動型のものとする。そして、上記駆動手段の駆動により第1及び第2ロッドが一体的に移動したときには、弁板支持体が弁板と共に移動する一方、第1ロッドが停止して第2ロッドのみが移動したときに、弁板が弁板支持体に対し接離して弁箱の連通口を開閉するように構成されているものとする。
【0012】
この構成によると、1つの直動型駆動手段の駆動により第1及び第2ロッドが長さ方向に移動し、この両ロッドが一体的に移動することで、弁板支持体が開弁位置及び閉弁位置の間で弁板と共に移動し、第1ロッドが停止して第2ロッドのみが移動することで、弁板が弁板支持体に対し接離して弁箱の連通口を開閉する。従って、1つの駆動手段により、弁板を伴った弁板支持体の開弁位置及び閉弁位置間の移動と、その弁板の弁板支持体に対する接離動作とを行わせることができる。
【0013】
請求項3の発明では、上記駆動手段は流体シリンダとする。そして、上記速度切換手段は、上記流体シリンダに並列に接続されかつ互いに流量が異なる2系統の流路と、この流路を切り換える切換バルブと、弁板の位置が弁箱の連通口近辺の位置と他の位置との間で変化したときに上記切換バルブを切換作動させるバルブ切換手段とを有するものとする。
【0014】
このことで、弁板が弁箱の連通口近辺の位置と他の位置との間で移動したときにバルブ切換手段により切換バルブが切換作動し、流体シリンダに接続されている2系統の流路が切り換えられるので、弁板が弁箱の連通口近辺の位置にあるときには流量の小さい流路に、また他の位置にあるときには流量の大きい流路にそれぞれ切り換えればよい。こうして、流量の小さい流路の切換えにより流体シリンダに対し給排される流体の量が少なくなってシリンダの伸縮による駆動速度が遅くなり、弁板が弁箱の連通口近辺の位置にあるときの開き速度を低くすることができ、速度切換手段を容易に具体化することができる。
【0015】
請求項4の発明では、上記バルブ切換手段は、流体シリンダにより駆動される可動部に取り付けられたカムとする。また、上記切換バルブは、上記カムにより直接駆動されて切り換わるメカニカルバルブとする。こうすると、流体シリンダが伸縮すると、そのシリンダにより駆動される可動部に取り付けられたカムも移動し、このカムにより駆動されて切換バルブとしてのメカニカルバルブが切り換わり、流体シリンダに接続されている2系統の流路が切り換えられる。この場合も速度切換手段をさらに容易に具体化することができる。
【0016】
請求項5の発明では、バルブ切換手段は、流体シリンダにより駆動される可動部の位置を検出するセンサとする。また、切換バルブは、上記センサからの出力信号により切り換わる電磁バルブとする。このことで、流体シリンダが伸縮すると、そのシリンダにより駆動される可動部が移動し、この可動部の位置がセンサにより検出されて、このセンサの出力信号に基づいて切換バルブとしての電磁バルブが切り換わり、流体シリンダに接続されている2系統の流路が切り換えられる。この場合も速度切換手段を具体化することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図2及び図3は本発明の実施形態1を示し、1は前側に位置する第1真空容器、2は第1真空容器1の後側に隣接する第2真空容器であって、各真空容器1,2はそれぞれ互いに対向配置された左右方向(図3の紙面と直交する方向。図2では左右方向)に長い矩形状の開口3,4を有する。この両真空容器1,2間には両真空容器1,2の内部空間(真空空間)同士を連通又は連通遮断するための真空ゲート弁5が配設されている。この真空ゲート弁5は、両真空容器1,2間に気密状に挟まれた矩形状の弁箱6を備え、この弁箱6の前壁(図3で左側壁)の上部には上記第1真空容器1の開口3に対応する左右方向に長い矩形状の前側連通口7が、また後壁(図3で右側壁)の上部には第2真空容器2の開口4に対応する左右方向に長い矩形状の後側連通口8がそれぞれ開口されており、この連通口7,8を介して弁箱6内の真空空間が各真空容器1,2と連通している。
【0018】
図4に拡大して示すように、上記弁箱6内には、上記前側連通口7を開閉する前側弁板16と、後側連通口8を開閉する後側弁板17とが前後に対向して配置されている。これら両弁板16,17は、それぞれ前後の連通口7,8に対応しかつそれよりも若干大きい左右方向に長い矩形状の板材からなり、各々の長さ方向である左右方向に離れた左右両側の2箇所(3箇所以上でもよい)で背面側、つまり他の弁板17,16との対向面側から同期して押圧されて各連通口7,8を閉じるようになっている。
【0019】
すなわち、弁箱6内において上記前後の弁板16,17間には上記弁板16,17の左右の押圧位置に対応する部分にそれぞれ弁板支持体19,19が配置されている。この各弁板支持体19は、所定厚さを有する円環板状のもので、後述の第1ロッド46の昇降移動により、上記弁板16,17と共に、弁箱6内の下側に位置する開弁位置と、弁箱6内の上側でかつ各連通口7,8に対応する閉弁位置との間を上記両真空容器1,2の配列方向(前後方向)と直交する上下方向に沿って移動可能とされている。弁板支持体19の上端部には前後方向に延びる係止ロッド20が貫通されて固定支持されている。この係止ロッド20の前端部は、前側弁板16の後面(背面)上部に形成した有底の凹部21に、また係止ロッド20の後端部は、後側弁板17の前面(背面)上部に形成した同様の凹部22にそれぞれ移動可能に係合されている。この係止ロッド20と各凹部21,22とで係止機構23が構成され、この係止機構23により、前後両側の弁板16,17が弁板支持体19にそれぞれ真空容器1,2の配列方向たる前後方向に接離可能にかつ弁板支持体19の移動方向たる上下方向に沿って相対移動不能に係止支持されており、この弁板支持体19に対し接離することで弁板16,17が弁箱の連通口7,8を開閉するようになっている。
【0020】
上記円環状の弁板支持体19の内部には、下端部から上側に向かって左右方向に2股状に分かれた略U字状の弁板駆動体25が配置されている。この弁板駆動体25は、機能的には弁板支持体19の一部をなすもので、後述の第2ロッド49のみが第1ロッド46に対し昇降移動することにより、弁板支持体19内で下側の開弁状態と上側の閉弁状態との間を所定距離だけ上下方向(弁板支持体19全体の移動方向)に相対的に昇降移動可能とされている。
【0021】
上記弁板駆動体25の2股状に分かれた上部間及び下部間にはそれぞれ水平左右方向に延びる支持軸26,27が架設されている。上側の支持軸26の左右中央部には例えば上側前リンク28の後端部が、また左右両側部には略U字状の上側後リンク29の分離された両方の前端部がそれぞれ揺動可能に支持されている。上記上側前リンク28の前端部は、前側弁板16の後面(背面)の有底凹部に取り付けた左右方向に延びる上側支持軸30に、また上側後リンク29の集合された後端部は、後側弁板17の前面(背面)の有底凹部に取り付けた左右方向に延びる上側支持軸31にそれぞれ揺動可能に支持されている。
【0022】
また、弁板駆動体25の下側支持軸27の左右中央部には例えば上記上側前リンク28と同様の下側前リンク32の後端部が、また左右両側部には上側後リンク29と同様の略U字状の下側後リンク33の分離された両前端部がそれぞれ揺動可能に支持され、下側前リンク32の前端部は、前側弁板16の後面において上記上側支持軸30よりも下側の有底凹部に取り付けた左右方向に延びる下側支持軸34に、また下側後リンク33の後端部は、後側弁板17の前面において上記上側支持軸31よりも下側の有底凹部に取り付けた左右方向の下側支持軸35にそれぞれ揺動可能に支持されている。よって、上記上下両側の前リンク28,32により前側平行リンク機構36が、また上下両側の後リンク29,33により後側平行リンク機構37がそれぞれ構成されている。
【0023】
そして、上記弁板支持体19が閉弁位置にあるときに、その内部で弁板駆動体25を昇降させることで、両弁板16,17を前後の平行リンク機構36,37を介して互いに接離するように前後方向(両真空容器1,2の配列方向)に移動させて開閉させる弁板駆動機構39が設けられている。すなわち、この弁板駆動機構39は、弁板支持体19が弁箱6内上側の閉弁位置にあるときに、第2ロッド49のみの昇降移動による弁板駆動体25の開弁状態及び閉弁状態の昇降移動(切換わり)に伴って両弁板16,17を前後方向に接離、つまり弁板支持体19に対し接離させて弁箱6の連通口7,8を開閉し、弁板駆動体25を下降させて開弁状態に切り換えたときには、前後の平行リンク機構36,37の各リンク28,29,32,33を弁板駆動体25側に向かって下側に向かうように傾斜させ、各弁板16,17を弁板支持体19(弁板駆動体25)に接近させて連通口7,8周りの弁箱6の前後壁から離隔させることで、その連通口7,8を開く一方、弁板駆動体25を上昇させて閉弁状態に切り換えたときには、前後の平行リンク機構36,37の各リンク28,29,32,33を前後方向に水平に配置し、各弁板16,17を弁板支持体19から離して連通口7,8周りの弁箱6の前後壁に押し付けることで、その連通口7,8を閉じるようになっている。
【0024】
上記両弁板16,17の背面(対向面)間に亘り円筒状の機構収容ベローズ41が両者の接離方向に伸縮可能に設けられている。具体的には、機構収容ベローズ41は、弁板支持体19の前面と前側弁板16の後面との間に架設された金属製の前ベローズ41aと、弁板支持体19の後面と後側弁板17の前面との間に前ベローズ41aと同心に架設された同様の後ベローズ41bとに分割され、各ベローズ41a,41bの各々の前後端部は弁板支持体19及び各弁板16,17に気密状に溶接されており、この機構収容ベローズ41内の空間、つまり前後ベローズ41a,41b、弁板16,17及び弁板支持体19で囲まれる空間が弁箱6内の他の空間と気密状に区画された収容室42に形成され、この収容室42に、上記係止機構23、弁板駆動体25、前後の平行リンク機構36,37及び弁板駆動機構39が収容されている。すなわち、機構収容ベローズ41は、これら係止機構23、平行リンク機構36,37等から発生する塵を収容室42内に封じ込めて、弁箱6内への放出を防止するものである。
【0025】
上記弁板支持体19が弁箱6内で開弁位置及び閉弁位置間を昇降する動きと、この弁板支持体19内で弁板駆動体25が相対的に昇降移動する動き、すなわち弁板駆動機構39の作動とは、いずれも弁箱6の底壁外側からの駆動により行われるようになっている。つまり、図5に拡大して示すように、弁箱6の底壁において各弁板支持体19の真下の部分(上記弁板16,17の左右の押圧位置に対応する部分)には開口部6a,6aが形成され、この各開口部6aには、上下方向に延びかつ上端が開口する有底状の外筒44の上端部が同心状にかつ気密状に接合されている。この外筒44の底部の中心には中心孔44aが貫通形成され、また外筒44の内底部上面には中心孔44aの周りから外筒44内を同心状に上側に延びる内筒部44bが一体に形成されている。
【0026】
また、上記弁板支持体19の下端部には弁箱6内を上下方向に延びる筒状の第1ロッド46の上端部(内端部)が移動一体にかつ気密状に溶接固定されている。この第1ロッド46は、弁板支持体19を開弁位置及び閉弁位置間で昇降移動させるもので、上記弁箱6底壁の開口部6aないし該開口部6aに同心に接合された外筒44をその底部の中心孔44a及び内筒部44bに気密状に挿通された状態で貫通している。第1ロッド46の下端部(外端部)は弁箱6外に延び、この下端部には上側フランジ47が移動一体に取付固定されており、第1ロッド46の昇降移動(長さ方向の移動)により弁板支持体19を開弁位置及び閉弁位置間で移動させ、後述のベローズ取付フランジ66が弁箱6の底壁の位置に移動したときを弁板支持体19の開弁位置に、また上側フランジ47が外筒44の底部下面に当接したときを閉弁位置にそれぞれ設定している。
【0027】
一方、上記筒状の第1ロッド46内には、その内径よりも若干小さい外径を有する第2ロッド49が上下方向に摺動可能に挿通されている。この第2ロッド49は、上記弁板駆動機構39により弁板駆動体25を開弁状態及び閉弁状態の間で切り換えて弁板16,17を開閉させるもので、その上端部(内端部)は、上記弁板支持体19の下端部に第1ロッド46と同心状に貫通形成した上下方向の挿通孔19aを経て弁板支持体19内に延び、かつ弁板駆動体25の下端部にピン50により移動一体に連結されている。一方、第2ロッド49の下端部(外端部)は第1ロッド46の下端部から突出して弁箱6外に延び、この下端部には上側フランジ47と略同径の下側フランジ51が移動一体に取付固定されており、第2ロッド49が第1ロッド46に対し相対的に摺動して昇降移動(長さ方向の移動)することにより、弁板駆動体25の開弁状態及び閉弁状態を切り換え、下側フランジ51が上側フランジ47から最も離れて後述のリンク機構56,56が伸長したときを弁板駆動体25が開弁状態に、また下側フランジ51が上側フランジ47に最も接近して同リンク機構56,56が収縮したときを閉弁状態にそれぞれなるようにしている。
【0028】
上記各下側フランジ51には、駆動手段としての上下方向の軸心を持つエアシリンダ100のピストンロッド100a上端部が移動一体に連結されている。すなわち、図2に示すように、上記各弁板16,17の左右の押圧位置間の中央下方位置に上下方向の軸線を有する1つのエアシリンダ100が配置され、このシリンダ100のボディ上端部は弁箱6に相対移動不能に固定されている。シリンダ100のピストンロッド100aの上端(先端)には、シリンダ100により駆動される可動部としてのブラケット82の左右中央部が連結されている。このブラケット82は左右中央部よりも左右端部が低くなるように略コ字状に折れ曲がった部材からなるもので、その左右端部にそれぞれ上記左右の第2ロッド49,49の下端の下側フランジ51,51が連結されており、1つのシリンダ100の駆動により左右の第2ロッド49,49や第1ロッド46,46等を同期して昇降移動させる。すなわち、後述の如く、シリンダ100の伸縮作動により、そのピストンロッド100aの上端部にブラケット82を介して連結された各第2ロッド49を長さ方向に昇降移動させて弁板支持体19の開弁位置及び閉弁位置間の昇降移動と、弁板駆動体25の開弁状態及び閉弁状態間の移動切換えとを行うようにしている。
【0029】
上記弁箱6の外側にある第1ロッド46及び第2ロッド49、つまり上側及び下側フランジ47,51間は、第2ロッド49の下端部周りに配置した付勢手段としての圧縮ばね55により連結されており、この圧縮ばね55により、第2ロッド49を第1ロッド46に対し弁板駆動機構39が弁板16,17を開く下方向に相対移動させるように付勢している。
【0030】
さらに、弁箱6の外側にある第1ロッド46及び第2ロッド49としての上側及び下側フランジ47,51間は、直径方向に対向して配置した1対のリンク機構56,56を介して連結されている。この各リンク機構56は、上端部が上側フランジ47に水平方向の上側リンク軸57を介して揺動可能に連結された上側リンク58と、上端部が該上側リンク58の下端部に水平方向の中間リンク軸59を介して揺動可能に連結され、下端部が下側フランジ51に水平方向の下側リンク軸61を介して揺動可能に連結された下側リンク60とからなり、上記中間リンク軸59にはガイドローラ62が回転可能に支持されている。そして、この各リンク機構56の上下のリンク58,60を上下方向に略一直線上に並べてリンク機構56を伸長させたときには、下側フランジ51を上側フランジ47から離して弁板駆動体25を開弁状態にすることで、前後の弁板16,17を弁板支持体19に接近させる一方、上下のリンク58,60を互いの連結部で中間リンク軸59が第2ロッド49から離れるように外側に折り曲げてリンク機構56を収縮させたときには、下側フランジ51を上側フランジ47に接近させて弁板駆動体25を閉弁状態にすることで、弁板16,17を弁板支持体19から離隔させるようにしている。
【0031】
また、上記各外筒44の下側には、シリンダ100のストロークに対応した所定長さのガイド部64,64が外筒44の真下位置に対応して配置固定されている。この両ガイド部64,64は、その間を上記上側及び下側フランジ47,51が所定の隙間をあけて昇降移動可能となるように対向配置されたもので、両ガイド部64,64の間に側方から上記ブラケット82の端部が移動可能に挿通されており、シリンダ100の伸縮作動によるピストンロッド100a及びそれと一体の各下側フランジ51の昇降動作に応じて各リンク機構56を伸長状態又は収縮状態に切り換え、シリンダ100の伸縮作動に伴って弁板支持体19を開弁位置及び閉弁位置間で昇降移動させたとき、その弁板支持体19が上昇端の閉弁位置以外にある状態では、上記各リンク機構56における上下両側リンク58,60の連結部にある中間リンク軸59上のガイドローラ62を各ガイド部64の内面で転動案内しながら、各リンク機構56をガイド部64,64間に潜らせて伸長状態に保持する一方、弁板支持体19が上昇端の閉弁位置にある状態では、各リンク機構56をガイド部64,64上端から突出させて収縮状態に切り換えるようにしている。尚、ガイド部64の上端面は、上記ガイドローラ62の昇降時のガイド部64,64間に対する出没をスムーズに行わせるように上拡がりのテーパ面に形成されている。
【0032】
そして、上記弁箱6内の下部にある第1ロッド46の上端寄り部分にはベローズ取付フランジ66が気密状に一体に取付固定されている。このベローズ取付フランジ66の下面には、ベローズ取付フランジ66よりも下側の第1ロッド46及び外筒44底部上面の内筒部44bの周りに配置した金属製の伸縮可能な第1ロッド収容ベローズ67の上端部が気密状に溶接固定されている。この第1ロッド収容ベローズ67の下端部は、弁箱6の底壁において第1ロッド46が貫通される貫通部、つまり外筒44の底部上面に気密状に溶接固定されており、第1ロッド収容ベローズ67により第1ロッド46の貫通部を気密状に覆っている。
【0033】
尚、前側弁板16の前面外周部及び後側弁板17の後面外周部には、それぞれ弁箱6の内面における連通口7,8周りに当接してシールする金属製等のシール部材16a,17aが取付固定されている。
【0034】
さらに、図1に示すように、上記エアシリンダ100においてピストンロッド100aを収縮移動させて弁板支持体19を開弁位置に移動させるための収縮ポート100bには収縮用エア流路101(エア配管)が、またピストンロッド100aを伸長移動させて弁板支持体19を閉弁位置に移動させるための伸長ポート100cには伸長用エア流路102(エア配管)がそれぞれ接続され、これら両エア流路101,102は開閉切換バルブ103及びエアタンク105を介して加圧エア供給源104に接続されている。上記開閉切換バルブ103は閉じ位置PS及び開き位置POの2位置を有する電磁バルブからなるもので、この開閉切換バルブ103を開き位置POに切り換えることで、加圧エア供給源104からの加圧エアを収縮用エア流路101によりシリンダ100の収縮ポート100bに供給し、かつ伸長ポート100cからエアを伸長用エア流路102を介して排出してシリンダ100を収縮させ、弁板支持体19を閉弁位置から開弁位置に下降移動させる一方、開閉切換バルブ103を閉じ位置PSに切り換えることで、加圧エア供給源104からの加圧エアを伸長用エア流路102によりシリンダ100の伸長ポート100cに供給し、かつ収縮ポート100bからエアを収縮用エア流路101を介して排出してシリンダ100を伸長させ、弁板支持体19を開弁位置から閉弁位置に上昇移動させるようにしている。
【0035】
そして、本発明の特徴として、上記各弁板16,17の開閉速度(移動速度)を、弁板16,17が弁箱6の連通口7,8近辺の位置にあるときの開き速度が他の位置にあるときの開閉速度よりも低くなるように2段階に切り換える速度切換機構106が設けられている。すなわち、この速度切換機構106は、上記伸長用エア流路102にシリンダ100に対し並列になるように接続された第1及び第2の2つの開き用分岐流路107,108と1つの閉じ用分岐流路109とを有し、上記閉じ用分岐流路109には開閉切換バルブ103からシリンダ100のみにエアが流れるのを許容するチェックバルブ110(逆止弁)が配設されている。また、第1開き用分岐流路107にはエア流量を可変とした可変オリフィス111が、また第2開き用分岐流路108にはメカニカルバルブからなる流路切換バルブ112がそれぞれ配設されている。この流路切換バルブ112は、連通位置P1及び連通遮断位置P2の2位置を有していて常時は連通遮断位置P2にあるが、切換入力部112aの駆動入力により連通位置P1に切り換えられるもので、その連通位置P1ではシリンダ100から開閉切換バルブ103のみにエアが流れるのを許容する。よって、第1及び第2開き用分岐流路107,108は、流路切換バルブ112が連通位置P1にあるときに、シリンダ100から開閉切換バルブ103に流れるエアの流量が互いに異なる2系統の流路とされ、流路切換バルブ112は両流路107,108を切り換える切換バルブとされる。
【0036】
また、図2に示す如く、上記流路切換バルブ112はシリンダ100のボディ上端に取付固定され、上記シリンダ100により駆動される可動部であるブラケット82には、バルブ切換手段としてのカム113が一体に取り付けられ、このカム113は、弁板16,17の位置が弁箱6の連通口7,8近辺の位置と他の位置との間で変化したときに上記流路切換バルブ112の切換入力部112aを直接駆動して該流路切換バルブ112を切換作動させるようになっており、弁板16,17の開閉速度を2段階に切り換え、開弁時に弁板16,17が弁箱6の連通口7,8近辺の位置にあるとき、具体的には例えば弁板16,17が前後方向に移動して弁箱6の壁部から離れた後に弁板支持体19と共にその移動方向と同じ下向きの移動開始するまでの間、流路切換バルブ112の連通遮断位置P2によりエアを第1開き用分岐流路107に通してその可変オリフィス111によりエアの流量を少なくすることにより、エアシリンダ100の収縮速度を下げて弁板16,17の開き速度を遅くする一方、その他の位置に弁板16,17があるときには、カム113による流路切換バルブ112の切換入力部112aの駆動により、その流路切換バルブ112を連通位置P1に切り換えてエアを第2開き用分岐流路108に通し、エアの流量を多くする(通常の流量にする)ことにより、エアシリンダ100の収縮速度を上げて弁板16,17の開き速度を速くする。また、閉弁時には、カム113による流路切換バルブ112の切換位置に関係なく、加圧エアを閉じ用分岐流路109に通してシリンダ100の伸長ポート100cに供給することにより、そのシリンダ100へのエアの流量を多くして(通常の流量にする)シリンダ100の伸長速度を上げ、弁板16,17の閉じ速度を速くするようにしている。
【0037】
次に、上記実施形態の作動について説明する。真空ゲート弁5が開弁しているときには、シリンダ100は収縮してストロークエンドにある。このため、上側及び下側フランジ47,51は両者を連結する各リンク機構56と共にガイド部64,64間にあり、その各リンク機構56が伸長しかつ両フランジ47,51が離隔している。このことで弁板支持体19は開弁位置に位置しており、また、弁板駆動体25は弁板支持体19内の下側に位置する開弁状態にあって、前後の平行リンク機構36,37の各リンク28,29,32,33が弁板駆動体25側に向かって下側に向かうように斜めに傾斜し、前後の弁板16,17が互いに接近した位置にあって弁箱6の前後壁の内面から離隔している。また、機構収容ベローズ41の前後ベローズ41a,41b及び第1ロッド収容ベローズ67はいずれも収縮している。
【0038】
この状態からゲート弁5を閉弁させるときには、開閉切換バルブ103が閉じ位置PSに切り換えられ、加圧エア供給源104からの加圧エアが伸長用エア流路102及びその一部の閉じ用分岐流路109を介してシリンダ100の伸長ポート100cに供給されるとともに、シリンダ100の収縮ポート100bからエアが収縮用エア流路101を介して排出され、このことでシリンダ100が伸長してピストンロッド100aが上昇する。このピストンロッド100aの上昇移動に伴い、その上端にブラケット82を介して連結されている各下側フランジ51と、該各下側フランジ51に下端が連結されている第2ロッド49とが上昇し、この第2ロッド49の上端に連結されている弁板駆動体25が弁板支持体19内で上昇して閉弁状態に切り換わろうとする。しかし、上記下側フランジ51と上側フランジ47とを連結しているリンク機構56,56はそれぞれガイド部64,64によりその間に伸長状態に拘束されており、しかも両フランジ47,51間には圧縮ばね55が介在されているので、上記下側フランジ51の上昇移動に伴って上側フランジ47も下側フランジ51と離隔したままで追従して上昇し、両者の相対移動は生じない。このことで、第1ロッド収容ベローズ67が伸長しながら、上側フランジ47に下端部が連結されている第1ロッド46も一体的に上昇して、その上端部に連結されている弁板支持体19が開弁位置から閉弁位置に向かって前後の弁板16,17と共に上昇する。また、第1ロッド46及び第2ロッド49間の相対移動が生じないので、弁板駆動体25が閉弁状態に切り換わることはなく、前後の弁板16,17は互いに接近したままに保たれ、その上昇時に弁板16,17が弁箱6の前後壁の内面に接触することはない。
【0039】
そして、シリンダ100がさらに伸長して伸長ストロークエンド近くに達すると、上側フランジ47が、弁箱6の底壁下面に接合されている外筒44の底部下面に当接してそれ以上の上昇移動が規制され、弁板支持体19が閉弁位置に停止して、前後の弁板16,17がそれぞれ弁箱6における前後の連通口7,8に対応した位置に位置付けられる。この状態では、上記各リンク機構56がガイド部64,64の上端から抜け出し始めており、シリンダ100のさらなる伸長作動により、上記各リンク機構56が収縮状態に変化しかつ圧縮ばね55が圧縮されながら、上記停止規制されている上側フランジ47に対し下側フランジ51のみが上昇する。このことで、第1ロッド46と共に停止保持されている弁板支持体19に対し、弁板駆動体25が相対的に上昇して開弁状態から閉弁状態に切り換わり、この弁板駆動体25の上昇移動により、機構収容ベローズ41の前後ベローズ41a,41bを伸長させながら、前後の平行リンク機構36,37の各リンク28,29,32,33が前後方向に水平に回動し、前後の弁板16,17が互いに離れる方向に移動して弁箱6前後壁の連通口7,8周囲の内面を押圧し、その連通口7,8が気密状に閉塞されて、ゲート弁5が閉弁状態になる。
【0040】
一方、上記のような閉弁状態にあるゲート弁5を開弁させるときには、上記開閉切換バルブ103が閉じ位置PSから開き位置POに切り換えられる。流路切換バルブ112は、切換入力部112aに対するカム113の駆動がなくて連通遮断位置P2にあるので、加圧エア供給源104からの加圧エアが収縮用エア流路101を介してシリンダ100の収縮ポート100bに供給されるとともに、シリンダ100の伸長ポート100cからエアが伸長用エア流路102及びその一部の第1開き用分岐流路107を介して排出され、このことでシリンダ100が収縮してピストンロッド100aが下降する。このピストンロッド100aの下降移動に伴い、その上端にブラケット82を介して連結されている各下側フランジ51と、該各下側フランジ51に下端が連結されている第2ロッド49とが下降し、この第2ロッド49の上端に連結されている弁板駆動体25が弁板支持体19内で下降して開弁状態に切り換わり、この弁板駆動体25の下降移動により、機構収容ベローズ41の前後ベローズ41a,41bを収縮させながら、前後の平行リンク機構36,37の各リンク28,29,32,33が傾斜方向に回動し、前後の弁板16,17が互いに近付く方向に移動して弁箱6前後壁の連通口7,8周囲の内面から離れ、その連通口7,8が開かれる。
【0041】
そのとき、上記シリンダ100の伸長ポート100cからの排出エアが流れる伸長用エア流路102の第1開き用分岐流路107には可変オリフィス111が配設されているので、その第1開き用分岐流路107(伸長用エア流路102)を流れるエアの流量は上記閉弁時よりも少なくなる。このため、シリンダ100の収縮速度が遅くなり、このシリンダ100により駆動される弁板16,17の開き速度も遅くなる。このように弁板16,17が弁箱6の連通口7,8近辺の位置にあるときの開き速度が遅くなることで、その弁板16,17は弁箱6の連通口7,8からゆっくりと離れることとなり、その弁板16,17が急速に離隔した場合に生じる振動は抑制される。このため、振動する弁板16,17が弁箱6と衝突してシール部材16a,17aが損傷し又は劣化することはなく、よって真空ゲート弁5の作動信頼性や耐久性を高めることができる。
【0042】
そして、下側フランジ51と上側フランジ47とを連結しているリンク機構56,56がガイド部64,64間に入ってその内部で伸長状態に拘束されると、その後は各上側フランジ47が上記伸長したリンク機構56,56により引っ張られて外筒44の底部下面から離れ、その各上側フランジ47と該各上側フランジ47に下端が連結されている第2ロッド46とがそれぞれ下側フランジ51及び第1ロッド49と相対移動することなく一体的に下降する。
【0043】
このように第2ロッド46が下降移動を開始すると、上記ブラケット82に取り付けられて一体に下降移動するカム113が流路切換バルブ112の切換入力部112aを駆動して、その流路切換バルブ112が連通位置P1に切り換えられ、シリンダ100の伸長ポート100cから排出されるエアは伸長用エア流路102の一部の第2開き用分岐流路108を介して排出される。この第2開き用分岐流路108にはオリフィス111がなく、流れるエアの流量は上記開弁初期よりも少なくて閉弁時と同じとなる。このため、シリンダ100の伸長用ポートから排出されるエア流量が多くなってシリンダ100の収縮速度が閉弁時と同様に速くなり、弁板16,17の開き速度が元のように速くなる。
【0044】
そして、シリンダ100がさらに収縮して収縮ストロークエンド近くに達すると、元の状態に戻り、ゲート弁5が開弁する。
【0045】
(実施形態2)
図6〜図8は本発明の実施形態2を示し(尚、図2〜図5と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、一方の弁板を弁板支持体19と一体化したものである。
【0046】
すなわち、この実施形態では、上記実施形態1とは異なり、弁板支持体19は後側弁板17(第2の弁板)に気密シールされて一体的に固定され、前側弁板16(第1の弁板)のみが弁板支持体19つまり後側弁板17と接離可能とされている。そして、この弁板支持体19と後側弁板17との間には機構収容ベローズ41が設けられておらず、弁板支持体19と前側弁板16との間のみに機構収容ベローズ41が架設されている(尚、後側弁板17に代えて前側弁板16を弁板支持体19に固定し、後側弁板17のみを弁板支持体19に接離可能とするとともに、この後側弁板17と弁板支持体19との間に機構収容ベローズ41を架設するように変更してもよい)。
【0047】
さらに、弁板駆動体25は第2ロッド49の上端部に延設されたロッド状のもので、その上下部にはそれぞれ後側面を段差状に切り欠いた切欠部25a,25aが上下方向に間隔をあけて形成され、この各切欠部25aにそれぞれ上下の支持軸26,27が左右中央部の切欠部26a,27aにて係合されて図示しないボルトにより締結固定されている。この各支持軸26,27の左右両側にはそれぞれリンク28,32の後端部が揺動可能に支持され、このリンク28,32の前端部は前側弁板16の後面に取り付けた支持軸30,34に揺動可能に支持されている。尚、上記弁板支持体19側の各支持軸26,27の左右両端部にはそれぞれローラ71,71が回転可能に支持されており、このローラ71,71を弁板駆動体25の閉弁状態で後側弁板17の前面に押し付けることで反力を得るようにしている。また、前側弁板16の後面の支持軸30,34には、弁板支持体19の前面に凹設した上下のローラガイド部19b,19b内を転動して案内されるローラ72,72が回転可能に支持されており、このローラガイド部19bとローラ72とにより係止機構23が構成されている。
【0048】
また、弁箱6の底壁に連設される外筒44の底部には、上記第1ロッド46をその内部の第2ロッド49と共に案内する第1ロッド案内部としての案内筒74が取り付けられている(尚、シリンダ100の伸長作動により弁板支持体19が閉弁位置に位置付けられたときに、上側フランジ47は案内筒74の下端に当接する)。この案内筒74は第1ロッド46を摺動可能に挿通する筒状のもので、その上下端の開口部にはそれぞれ第1ロッド46の外面に摺接する案内リング75,76が嵌合固定されている。この上側の案内リング75は下側の案内リング76に対し僅かに前側に偏心されており、この両案内リング75,76間の偏心により、弁板支持体19が閉弁位置以外にあるとき、具体的には下端の開弁位置と上端の閉弁位置近くとの間で昇降するときには、後側弁板17と弁箱6の後壁内面との間に間隙が形成されるように第1ロッド46を弁板支持体19や前後の弁板16,17等と共に僅かに前傾した状態で案内する。また、第1ロッド46の前側外面には、弁板支持体19が閉弁位置にあるときの下側案内リング76に対応する部分に凹部46aが切り欠いて形成されており、この凹部46aが下側案内リング76の位置に移動して弁板支持体19が閉弁位置にあるときに、その凹部46aの隙間分だけ第1ロッド46の上端部を前後移動可能として、弁板支持体19の前後方向(両真空容器1,2の配列方向)への移動を許容するようにしている。
【0049】
尚、上記案内筒74の下端部には下側案内リング76に亘り孔部77が半径方向に貫通して形成され、この孔部77内には、下側案内リング76の内面から突出可能なボール78と、このボール78を下側案内リング76の内面から突出させて第1ロッド46の外面に押し付けるばね79と、このばね79の外端部を押すように孔部77を閉じる蓋部80とが収容されており、第1ロッド46の凹部46aが下側案内リング76の位置に移動して弁板支持体19が閉弁位置にあるときに、ボール78により第1ロッド46の凹部46aを押圧付勢することで、弁板支持体19の前後方向へのふらつきを規制している。その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0050】
したがって、この実施形態においては、開弁状態にある真空ゲート弁5が閉弁するとき、シリンダ100の伸長作動により左右の第2ロッド49,49が同期して押し上げられ、この各第2ロッド49にリンク機構56,56及びばね55により連結されている第1ロッド46が相手側の第1ロッド46と同期して上昇する。この各第1ロッド46の上昇移動により、弁板支持体19が、該弁板支持体19に係止機構23を介して支持されている前側弁板16及び弁板支持体19に一体的に固定支持されている後側弁板16と共に開弁位置から閉弁位置に移動する。
【0051】
そのとき、上記各第1ロッド46は案内筒74における上下の案内リング75,76により案内され、この案内により後側弁板17と弁箱6の後壁内面との間に間隙が形成された前傾状態で上昇移動する。このため、その後側弁板17と弁箱6の後壁内面とが接触しないので、その接触による発塵を招くことはない。
【0052】
そして、弁板支持体19が閉弁位置に移動すると、上側フランジ47が案内筒74の下端に当接して移動規制されるとともに、上記第1ロッド46外周の凹部46aが下側案内リング76の位置に移動し、この凹部46aの隙間分だけ、弁板支持体19の前後方向への移動が許容される。この弁板支持体19の前後方向への移動を許容された状態で、第2ロッド49のさらなる上昇移動により弁板駆動体25が閉弁状態に切り換えられ、この弁板駆動体25に平行リンク機構36を介して連結されている前側弁板16が後側弁板17から離隔する方向に移動して弁箱6の前側連通口7を閉じる。そして、この前側弁板16が弁箱6の前壁から受ける反力により後側弁板17が後側に押されて弁箱6の後側の連通口8を閉じ、これらにより真空ゲート弁5が閉弁する。この真空ゲート弁5が開弁するときには、上記と逆の動作が行われる。
【0053】
尚、上記実施形態では、シリンダ100の可動部としてのブラケット82にカム113を取り付け、このカム113により直接に駆動されるメカニカルバルブからなる流路切換バルブ112を連通遮断位置P2から連通位置P1に切り換えるようにしているが、この他、流路切換バルブをメカニカルバルブに代えて電磁バルブとし、シリンダ100により駆動される可動部の位置をセンサにより検出して、このセンサからの出力信号により流路切換バルブ(電磁バルブ)の切換えを行うようにしてもよく、同様の作用効果が得られる
【0054】
また、上記実施形態では、駆動手段としてエアシリンダ100を用いているが、液圧シリンダでもよく、その他、回転型のアクチュエータを用いることもでき、電磁型の各種アクチュエータを用いてもよい。また、弁板支持体19とそれに対し接離する弁板16,17との連結構造、弁板支持体19の駆動構造やその移動方向等は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想を損なわない範囲で変更することができる。
【0055】
また、上記各実施形態では、機構収容ベローズ41を弁板支持体19と弁板16,17との間に架設しているが、前後の弁板16,17の背面間に直接架設して、その内部に弁板駆動機構39に加え弁板支持体19をも収容できるようにしてもよい。
【0056】
さらに、上記各実施形態では、弁板支持体19及び弁板16,17を上昇移動させて開弁し、下降移動させて閉弁するようにしているが、逆に弁板支持体19及び弁板16,17の下降移動により開弁し、上昇移動により閉弁するようにしてもよい。また、弁板支持体19及び弁板16,17の開閉動作の向きを必ずしも上下方向に限定する必要はないのは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明のように、請求項1の発明によると、真空容器に連通口を介して連通する弁箱内に、駆動手段の駆動により移動する弁板支持体と、この弁板支持体に支持され、弁板支持体に対し接離して弁箱の連通口を開閉する弁板とが設けられた真空ゲート弁に対し、弁板の開閉速度を複数段階に切り換える速度切換手段を設けて、開弁時に弁板が弁箱の開口部から離れた後に弁板支持体が開弁位置へ移動開始するまでの間の開き速度のみを、他の位置にあるときの開き速度、及び弁板の全ての位置での閉じ速度よりも低くしたことにより、真空ゲート弁の開弁時の弁板の振動を抑制して、その弁箱との衝突によるシール部材の損傷や劣化を防止でき、よって真空ゲート弁の開閉時間の短縮化を維持しつつその作動信頼性や耐久性の向上を図ることができる。
【0058】
請求項2の発明によると、駆動手段を1つの直動型のものとして、この駆動手段に対し弁板支持体を弁板支持体の移動方向に延びかつ駆動手段により長さ方向に移動する第1及び第2ロッドにより連結し、両ロッドの一体的な移動により弁板支持体を弁板と共に移動させる一方、第1ロッドの停止状態で第2ロッドのみが移動したときに弁板を弁板支持体に対し接離させて弁箱の連通口を開閉するようにしたことにより、1つの駆動手段により、弁板を伴った弁板支持体の開弁位置及び閉弁位置間の移動と、その弁板の弁板支持体に対する接離動作とを行わせることができる。
【0059】
請求項3の発明では、駆動手段は流体シリンダとし、この流体シリンダに並列に接続されかつ互いに流量が異なる2系統の流路と、この流路を切り換える切換バルブと、弁板の位置が弁箱の連通口近辺の位置と他の位置との間で変化したときに切換バルブを切換作動させるバルブ切換手段とを設けた。また、請求項4の発明では、上記バルブ切換手段は、流体シリンダにより駆動される可動部に取り付けられたカムとし、切換バルブは、そのカムにより直接駆動されて切り換わるメカニカルバルブとした。さらに、請求項5の発明では、バルブ切換手段は、流体シリンダにより駆動される可動部の位置を検出するセンサとし、切換バルブは、そのセンサからの出力信号により切り換わる電磁バルブとした。これらの発明によると、弁板が弁箱の連通口近辺の位置にあるときに、流量の小さい流路への切換えにより流体シリンダに対し給排される流体の量を少なくしてシリンダの駆動速度を遅くでき、弁板が弁箱の連通口近辺の位置にあるときの開き速度を低くするための速度切換手段を容易に具体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る真空ゲート弁における駆動エア回路を示す回路図である。
【図2】 真空ゲート弁の全体構成を示す側面図である。
【図3】 真空ゲート弁の全体構成を示す断面図である。
【図4】 真空ゲート弁の上半部を示す拡大断面図である。
【図5】 真空ゲート弁の下半部を示す拡大断面図である。
【図6】 実施形態2の真空ゲート弁を示す図2相当図である。
【図7】 実施形態2の真空ゲート弁の上半部を示す図4相当図である。
【図8】 実施形態2の真空ゲート弁の下半部を示す図5相当図である。
【符号の説明】
1,2 真空容器
5 真空ゲート弁
6 弁箱
7,8 連通口
16,17 弁板
19 弁板支持体
23 係止機構
25 弁板駆動体
36,37 平行リンク機構
39 弁板駆動機構
41 機構収容ベローズ
42 収容室
44 外筒
46 第1ロッド
49 第2ロッド
55 圧縮ばね
56 リンク機構
64 ガイド部
82 ブラケット(可動部)
100 エアシリンダ(駆動手段)
106 速度切換機構(速度切換手段)
107,108 開き用分岐流路
111 可変オリフィス
112 流路切換バルブ
113 カム

Claims (5)

  1. 真空容器に連通する連通口を有する弁箱内に、駆動手段に駆動されて開弁位置及び閉弁位置の間を移動する弁板支持体と、該弁板支持体に接離可能に支持され、弁板支持体の移動に伴い弁板支持体に対し接離して上記弁箱の連通口を開閉する弁板とが設けられてなる真空ゲート弁において、
    上記弁板の開閉速度を、開弁時に弁板が弁箱の開口部から離れた後に弁板支持体が開弁位置へ移動開始するまでの間の開き速度のみが他の位置にあるときの開き速度、及び弁板の全ての位置での閉じ速度よりも低くなるように複数段階に切り換える速度切換手段を設けたことを特徴とする真空ゲート弁。
  2. 請求項1の真空ゲート弁において、
    弁板支持体は駆動手段に対し、弁板支持体の移動方向に延びる第1及び第2ロッドにより連結され、
    上記駆動手段は、上記第1及び第2ロッドを長さ方向に移動させる1つの直動型のものとされており、
    上記駆動手段の駆動により第1及び第2ロッドが一体的に移動したときには、弁板支持体が弁板と共に移動する一方、第1ロッドが停止して第2ロッドのみが移動したときに、弁板が弁板支持体に対し接離して弁箱の連通口を開閉するように構成されていることを特徴とする真空ゲート弁。
  3. 請求項1又は2の真空ゲート弁において、
    駆動手段は流体シリンダであり、
    速度切換手段は、上記流体シリンダに並列に接続されかつ互いに流量が異なる2系統の流路と、
    上記流路を切り換える切換バルブと、
    弁板の位置が弁箱の連通口近辺の位置と他の位置との間で変化したときに上記切換バルブを切換作動させるバルブ切換手段とを有することを特徴とする真空ゲート弁。
  4. 請求項3の真空ゲート弁において、
    バルブ切換手段は、流体シリンダにより駆動される可動部に取り付けられたカムであり、
    切換バルブは、上記カムにより直接駆動されて切り換わるメカニカルバルブであることを特徴とする真空ゲート弁。
  5. 請求項3の真空ゲート弁において、
    バルブ切換手段は、流体シリンダにより駆動される可動部の位置を検出するセンサであり、
    切換バルブは、上記センサからの出力信号により切り換わる電磁バルブであることを特徴とする真空ゲート弁。
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