JP4091975B2 - 非磁性熱定着高耐久性トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターに適用される電子写真法に利用される高耐久性トナーに関する。
【従来の技術】
【0002】
一般に、電子写真法では、導電性基板の表面に絶縁性光導電体の薄膜を形成した感光体を使用し、この感光体の表面に静電荷を与えて帯電させ、ついで露光により感光体表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成し、このトナー像を用紙に転写させる。転写後、用紙への定着が行われるが、トナーは一般に熱可塑性樹脂を主材とするため、定着は加熱によりトナーを溶融軟化させて用紙に粘着させ、冷却によって固着させる方法が多く採用される。
【0003】
現像プロセスでは、一成分現像法か二成分現像法のいずれかが使用される。一成分現像法では、現像機内でトナーを薄層化ブレードと現像ローラとの間で摩擦帯電させながら、現像ローラ上のトナーを均一な薄い層に形成して現像域へ担持搬送し、現像域にて感光体に担持された静電潜像を顕像化する。
【0004】
また、二成分現像法では、トナーと、このトナーに電荷を付与し現像域へ搬送するキャリヤーとからなる現像剤を用いる。例えば磁性キャリヤーを用いる磁気ブラシ現像機では、トナーとキャリヤーはパドルにて攪拌混合されて相互に摩擦帯電し、磁気ロールに吸着され、ブレードにより均一な薄い層に形成されて、現像域へ担持搬送され、前記と同様にして現像域にて感光体に担持された静電潜像を顕像化する。
【0005】
しかしながら、これらの現像法では、現像機内の機械的なストレスでトナーが破砕され、微粉化したトナーがカブリの原因になったり、フィルミングの原因になり、トナーを含む現像剤の寿命を短くしていた。すなわち、一成分現像法では、現像機内の薄層化ブレードや現像ローラの表面に微粉化したトナーが融着してフィルミングが生じやすい。このようなフィルミングが生じると、現像機内でのトナーの摩擦帯電が円滑に行われなくなり、高解像度の画像が得られなくなる。その結果、現像機の寿命が短くなるという問題がある。
【0006】
また、二成分現像法では、微粉化したトナーがキャリヤーの表面に融着してフィルミングが生じやすい。このようなキャリヤーのフィルミングが生じると、現像剤の寿命が短くなるという問題がある。
【0007】
従って、トナーには容易に破砕しないような耐久性が求められる。トナーの耐久性を向上させるためには、トナー中に結着樹脂として含有されている熱可塑性樹脂の分子量を大きくし、強度を高くする方法が一般に採用されている。
【0008】
しかしながら、分子量の大きい熱可塑性樹脂を使用すると、定着温度が高くなり、多量の熱エネルギーが必要となり高速複写が困難になる。また、分子量が大きい熱可塑性樹脂は柔軟性に劣るため、画像を複写した用紙を折り曲げると、トナーが用紙から剥離するという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、耐久性に優れ、多数枚複写が可能であると共に、低温定着が可能であり、かつ画像の折り曲げ強度にも優れた高耐久性トナーを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、トナーの脆弱さが現像機内でフィルミングが生じたり、画像の折り曲げ強度が劣る原因であることに鑑み、このような脆弱さを改善すべく鋭意検討を重ねた結果、結着樹脂を含むトナー組成物に引っ張り破壊伸びの大きい熱可塑性樹脂を加えることにより、トナーの脆弱さが改善され、トナーの耐久性が向上するという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。ここで、引っ張り破壊伸びの大きい樹脂とは、主として、フィルム性のよい、伸びの大きい樹脂を意味する。
【0011】
すなわち、本発明の非磁性熱定着高耐久性トナーは、結着樹脂、帯電制御剤および着色剤を主成分とし、さらに引っ張り破壊伸びが200〜1000%で軟化温度(ビカート法)が55〜120℃である熱可塑性樹脂を含有したことを特徴とする。
【0012】
引っ張り破壊伸びおよび軟化温度が前記範囲であることにより、トナーの脆弱さを改善しフィルミングの防止を図ると共に、画像の折り曲げ強度が向上し、さらに低温定着も可能になる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系共重合体、特にエチレン系共重合体が例示される。
【0013】
前記熱可塑性樹脂は、他のトナー成分との相溶性がよい場合には、トナー総量に対して3〜50重量部の割合で前記結着樹脂、帯電制御剤および着色剤と混合されているのがよい。一方、他のトナー成分との相溶性が悪い場合には、前記熱可塑性樹脂を結着樹脂にグラフト重合した形態で用いるのがよい。
【0014】
前記熱可塑性樹脂は、脆化温度が−10℃以下であるのがよく、これにより環境安定性が向上し、低温下での折り曲げ強度低下などを防止することができる。
【0015】
本発明によれば、上記トナーを含有する耐久性に優れた一成分現像剤、および上記トナーとキャリヤーとを含有する耐久性に優れた二成分現像剤を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、前記したように、結着樹脂、帯電制御剤および着色剤を主成分とし、さらに必要に応じて流動性付与剤を含有する。
前記結着樹脂としては、従来からトナーの結着樹脂として使用されている熱可塑性樹脂であればいずれも使用可能である。このような結着樹脂としては、例えばスチレン系単量体および/または(メタ)アクリル酸エステル単量体を構成単位として含むビニル系重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂、環状構造を有するポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0017】
前記ビニル系重合体としては、例えばポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。
【0018】
前記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えばジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)と、2価アルコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールなど)とを縮重合して得られる熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0019】
ビニル系重合体および熱可塑性ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)にて測定した数平均分子量が800〜8,000、好ましくは1,000〜5,000、重量平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜300,000の範囲にあるものが挙げられる。また、ビニル系重合体および熱可塑性ポリエステル樹脂はピーク(極大値)が1つの単分散分子量をもつものであってもよく、あるいはピークが2つ以上の多分散分子量をもつものであってもよい。
【0020】
前記環状構造を有するポリオレフィン樹脂としては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン(非環式オレフィン)と、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、シクロペンタジエン等の二重結合を有する脂環式化合物との共重合体が挙げられる。この共重合体は無色透明で高い光透過性を有するので、特にカラートナーとして使用するのに適している。この環状構造を有するポリオレフィン樹脂は、例えばメタロセン触媒、チグラー系触媒などを用いた重合法により得られる。
【0021】
本発明で使用される環状構造を有するポリオレフィン樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCという)にて測定した数平均分子量が1,000〜7500、好ましくは3,000〜7,500、重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは3,000〜200,000の範囲にあるものが挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂はピーク(極大値)が1つの単分散分子量をもつものであってもよく、あるいはピークが2つ以上の多分散分子量をもつものであってもよい。
【0022】
前記環状構造を有するポリオレフィン樹脂の具体例としては、例えばティコナ(ticona)社製の登録商標トーパス(TOPAS)-TM(重量平均分子量が4000〜6000の単分散型で環状構造を有する低分子量ポリオレフィン);同社製の登録商標トーパス(TOPAS)-TB(重量平均分子量が4000〜50000の多分散型(通常、2ピーク)で環状構造を有する多分散分子量ポリオレフィン);その他同社製の登録商標トーパスTMGや同TBGなどが挙げられる。これらは、適宜混合して用いてもよい。
【0023】
また、環状構造を有するポリオレフィン樹脂として、環状構造を有する酸変性ポリオレフィン樹脂を単独で、または他の結着樹脂と混合して使用してもよい。この環状構造を有する酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子中(例えば環状部分等)にカルボキシル基等の酸基を導入した環状構造を有するポリオレフィン樹脂である。この環状構造を有する酸変性ポリオレフィン樹脂の分子量は前記環状構造を有するポリオレフィン樹脂と略同じでよい。このような酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばティコナ社製の登録商標トーパス(TOPAS)-TMG、トーパス(TOPAS)-TBGなどが挙げられる。
【0024】
本発明では、上記のような結着樹脂に加えて、トナーに柔軟性および折り曲げ強度を付与するために、引っ張り破壊伸びが200〜1000%で軟化温度(ビカート法)が55〜120℃である熱可塑性樹脂がトナー組成物に加えられる。このような熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン系共重合体、プロピレン系共重合体などのポリオレフィン系共重合体が挙げられ、特にエチレン系共重合体が好適である。このようなエチレン系共重合体としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体もしくはそのアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体もしくはそのアイオノマーなどが挙げられる。共重合体には、ブロック共重合体、グラフト共重合体(例えばポリエチレンに無水マレイン酸をグラフト重合したもの等)も包含される。また、ポリプロピレンに無水マレイン酸をグラフト重合した熱可塑性樹脂なども使用可能である。
【0025】
これらの熱可塑性樹脂は、JIS K6760に準拠して測定される引っ張り破壊伸びが200〜1000%であり、かつJIS K6730に準拠してビカート法により測定される軟化温度が55〜120℃であることが必要である。引っ張り破壊伸びが200%未満である場合には、トナーの脆弱さを改善することは可能であっても、折り曲げ強度を向上させることはできない。一方、引っ張り破壊伸びが1000%を超える場合には、トナー像の折り曲げ強度は優れている反面、軟化温度が低いため、トナーがブロッキングしやすい、現像機内でフイルミングし易いといった欠点がある。
【0026】
熱可塑性樹脂の軟化温度が55℃未満である場合には、トナーの保存性に欠ける。一方、軟化温度が120℃を超える場合には、定着するための熱エネルギーが大きくなるために定着し難いという欠点がある。
【0027】
また、前記熱可塑性樹脂は脆化温度が−10℃以下であるのが好ましい。脆化温度が−10℃を超えると、定着後の折り曲げ強度が弱くなるなどのなどの問題が生じるおそれがある。脆化温度はJIS k6760によって測定される。
【0028】
熱可塑性樹脂はトナー総量に対して3〜50重量%、好ましくは3 〜15重量%の割合で前記結着樹脂、帯電制御剤および着色剤と混合されているのがよい。一方、熱可塑性樹脂が結着樹脂、帯電制御剤および着色剤と相溶性が悪い場合には、熱可塑性樹脂を結着樹脂にグラフト重合させてもよい。グラフト重合は重合触媒を用いる通常の重合法にて行うことができる。
【0029】
帯電制御剤は、トナーに帯電性を制御するために添加される。負帯電用としては、例えば酸性カーボンブラック、アゾ系含金属錯体、サリチル酸系金属錯体などが挙げられる。正帯電用としては、例えばニグロシン染料、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジンなどが挙げられる。本発明では特に正帯電用として、第4級アンモニウム塩基含有スチレンーアクリル共重合体またはシクロデキストリンのトシル化物を使用するのが、カブリの発生を防止するうえで好ましい。前記第4級アンモニウム塩基含有スチレンーアクリル共重合体は、例えばスチレン、α−メチルスチレンまたはこれらの組み合わせからなるモノマーと、ジ低級アルキルアミノ(メタ)アクリレートと、さらに必要に応じて(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとを重合開始剤の存在下で共重合させ、ついで得られた共重合体を4級化して製造されるものである。4級化は、例えばp−トルエンスルホン酸低級アルキルエステル等を使用して行うことができる。4級化された共重合体は、重量平均分子量が2000〜10000の範囲内であるのがよい。なお、前記低級アルキル基とは炭素数1〜6のアルキル基をいう。
【0030】
第4級アンモニウム塩基含有スチレンーアクリル共重合体の具体例としては、アクリル酸ブチル−N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート・スチレン共重合体などが挙げられる。この共重合体は、例えば藤倉化成(株)製の「アクリベースFCA−201−PS」等が使用可能である。
【0031】
また、シクロデキストリンのトシル化物は、α−、β−またはγ―シクロデキストリンにp−トルエンスルホン酸を反応させて得られるものであって、シクロデキストリンの有する水酸基をトシル基(p−トルエンスルホニル基)で置換した構造を有する。この場合、トシル化率は40%〜55%であるのが良好である。
本発明における帯電制御剤の配合量は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは1.0〜3.0重量部であるのがよい。
【0032】
本発明のトナーを構成する他の成分には着色剤、ワックス、流動性付与剤などがある。着色剤としては、黒色トナーやカラートナーに通常使用される顔料や染料がいずれも使用可能である。このような着色剤を例示すると、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート、ランプブラック、ローズベンガルなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用される。これらの着色剤は、充分な可視像が形成されるのに充分な割合で配合され、通常、結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部であるのがよい。
【0033】
前記ワックスとしては、正帯電用トナーには正帯電性ワックスを、負帯電用トナーには負帯電性ワックスをそれぞれ使用するのが緻密な画質を得るうえで好ましい。正帯電性ワックスとしては、例えばベヘン酸アミド、エチレンビスステアリルアミドなどのアミド系ワックスが挙げられる。負帯電性ワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられる。これらのワックスはトナーの溶融開始温度を低下させると共に、低温定着性を良好にする働きがある。
【0034】
流動性付与剤(外添剤)としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどが挙げられ、それらの1種または2種以上を混合して使用可能である。特に疎水性シリカ(BET比表面積:110±20m2/g)、アルミナ(BET比表面積:100±15m2/g)および酸化チタン(BET比表面積:50±10m2/g)の少なくとも2種以上使用するのがよい。これらの流動性付与剤は、トナーの流動性を制御し、カブリ、フィルミングを防止する働きがある。流動性付与剤は1.5〜4重量部の割合で添加される。流動性付与剤によるトナーの表面処理には、例えばタービン型攪拌機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの攪拌機が使用される。
【0035】
なお、磁性一成分現像剤に使用するトナーの場合は、磁性を付与するために、磁性体の微粉末がトナー粒子に30〜50重量%程度添加される。磁性体の微粉末としては、例えばマグネタイト(黒色酸化鉄)などが挙げられる。
【0036】
本発明のトナーは、流動性付与剤を除く上記各材料をヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合機で混合し、加熱ローラ、加熱ニーダ等により熱溶融・混練した後、ジェットミル、ハンマーミル等の粉砕機で粉砕し、乾式気流分級機で分級してトナー粒子を得る。このトナー粒子を前記した流動性付与剤で表面処理して、本発明にかかるトナーが得られる。
【0037】
トナーの平均粒子径は5〜8μmであるのがよい。カラートナーであるイエロー、マゼンタおよびシアンの各トナーの場合、平均粒子径は5〜7.5μmであるのがよく、またトナーの粒径分布において粒径が4μm以下の占める割合は30%以下、好ましくは20%以下であるのがよく、30%を超えると現像ローラにフィルミングが生じやすい。また、上記カラートナーの粒径分布において粒径が12μm以上の占める割合は3%以下、好ましくは11μm以上が0%であるのが緻密な画質を得るうえで望ましい。
【0038】
一方、黒色トナーの場合、平均粒子径は7.3〜8μmであるのがよい。また黒色トナーの粒径分布において粒径が4μm以下の占める割合は30%以下、好ましくは20%以下であるのがよく、30%を超えると現像ローラにフィルミングが生じやすく、また粒径が12μm以上の占める割合は3%以下、好ましくは11μm以上が0%であるのが緻密な画質を得るうえで望ましい。
【0039】
本発明のトナーは、一成分現像剤および二成分現像剤のいずれでも使用可能である。一成分現像剤の場合、正帯電型または負帯電型の磁性一成分現像剤および非磁性一成分現像剤のいずれでも使用可能である。
【0040】
一成分現像剤を用いる現像法では、現像器内で回転する現像ローラ上にトナーが供給されて薄層化ブレードに圧接し、薄層化ブレードと現像ローラとの間で摩擦帯電させながら、所定の層厚を有する薄層を形成する。摩擦帯電により電荷が付与されたトナーは現像ローラにて現像域(現像ニップ)へ担持搬送され、現像域にて感光ドラムの表面に担持された静電潜像を顕像化する現像が行われる。
このとき、本発明のトナーは、上記のように柔軟で耐久性に優れているため、現像ローラと薄層化ブレードとの間に圧接されても容易に粉砕されないため、カブリの発生や現像ローラおよび薄層化ブレードの表面へのフィルミングの発生を防止することができる。
【0041】
一方、二成分現像剤は上記トナーとキャリヤーとを含有する。キャリヤーとしては、例えばガラスビーズのような非磁性粒子または鉄粉、フェライト粒子、樹脂中に微細磁性体を分散させた磁性粒子などの磁性粒子が用いられる。キャリヤーの粒子径は10〜200μm、好ましくは30〜50μm程度である。二成分現像法では、トナーとキャリヤーとは現像機内で攪拌混合され、現像域は搬送される過程で相互に摩擦し、帯電する。この二成分現像剤においても、使用する本発明のトナーは柔軟で耐久性に優れているため、キャリヤーの表面にフィルミングするのを防止され、キャリヤー汚染が抑制される。
【0042】
【実施例】
以下、実施例及び比較例をあげて、本発明のトナーを詳細に説明する。また、表9及び表10には、本発明の参考例として試料No.14及びNo.16が記載されており、これらの参考例は、結着樹脂としてスチレン−アクリル酸エステル樹脂を含有するトナーである。
【0043】
実施例1
正帯電型非磁性一成分トナー製造のための原料として下記のものを使用した。
<結着樹脂>
下記表1に示す環状構造を有するポリオレフィン樹脂(以下、環状オレフィン樹脂という)を使用した。表1において、MWは重量平均分子量を示し、MW/MNは重量平均分子量MWと数平均分子量MNとの比を示す。Tiは樹脂が溶融して流出し始める温度を示し、Tmは樹脂の流出開始位置と流出終了位置との中間位置における温度を示す(以下同じ)。TiおよびTmは(株)島津製作所製の島津フローテスターにて測定した。測定条件は、荷重20kgf、昇温速度6℃/分、樹脂量1.015gである。
【表1】
環状オレフィン樹脂Aはティコナ社製の商品名「トーパス−TM」、環状オレフィン樹脂Bは同社製の商品名「トーパス−TB」である。
<熱可塑性樹脂>
下記表2に示す特性値を有するEEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を使用した。
【表2】
<帯電制御剤>
第4級アンモニウム塩基含有スチレンーアクリル共重合体(藤倉化成(株)製の「アクリベースFCA−201−PS」)を使用した。
<着色剤>
カーボンブラック
【0044】
上記各成分を表3に示す割合で混合し2軸混練機で混練り後、ジェットミルで粉砕し、乾式気流分級機で分級して、平均粒子径(体積)7.5μmのトナー粒子を得た。次に、このトナー粒子100重量部に対して流動性付与剤を外添し正帯電性のトナー(試料No.01〜07)を得た。使用した流動性付与剤は、疎水性シリカ、アルミナおよび酸化チタンを重量比で1.5:0.5:1.0の割合で混合したものである。
【表3】
【0045】
得られたトナーを用いて、ティー・アンド・エム(株)製のプリンターにより正帯電非磁性一成分現像を行った。現像条件は以下の通りである。
(a)現像ローラ:アクリロニトリル−ブタジエンゴム製、回転速度450mm/秒、バイアス電源300V
(b)供給ローラ:アクリロニトリル−ブタジエンゴム製、現像ローラ1にエッジ当たり、バイアス電源450V
(c)感光体:光導電層が正帯電単層型からなる有機感光体、回転速度300mm/秒
(d)薄層化ブレード6:アクリロニトリル−ブタジエンゴム製、現像ローラ1にエッジ当たり、バイアス電源300V
(e)除電シート:印加電圧200V
上記プリンターにて5万枚の連続印刷を行い、現像機内の薄層化ブレードへのフィルミング発生の有無、定着後の折り曲げ強度の評価を行った。フィルミング発生の有無は、ブレードを目視にて観察し、フィルミング発生時の印刷枚数にて評価した。また、折り曲げ強度の測定は、べた画像を印刷した用紙を、画像面を内側にし180度折り曲げ、ついで折り曲げ箇所を裏側から指でこすって明確な折り曲げ跡を作り、その後、用紙を開き、折り曲げ箇所を指で軽くこすって折り曲げ箇所のトナーの剥離状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
1:トナーの剥離無し(最も良好)
2:わずかに剥離あり
3:少し剥離あり
4:かなり剥離あり
5:剥離が大きい(最も悪い)
これらの評価結果を表4に示す。なお、表4に示す定着温度は定着用加熱ロールの表面温度を示している。
【表4】
表4から、EEAまたはEVAを配合することによりフィルミングおよび折り曲げ強度が著しく改善されていることがわかる。
【0046】
実施例2
熱可塑性樹脂として、下記表5に示す特性値を有するEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を使用した。
【表5】
上記熱可塑性樹脂を含む表6に示す各成分を同表に示す割合で混合したほかは、他は実施例1と同様にして、正帯電型非磁性一成分トナー(試料No.08〜10)を得た。
【表6】
得られたトナーを用いて、実施例1と同様にして正帯電非磁性一成分現像法による5万枚の連続印刷を行い、薄層ブレードへのフィルミング発生の有無、定着後の折り曲げ強度および保存性の評価を行った。その結果を表7に示す。なお、トナーの保存性は、40℃で8時間保存したトナーを150メッシュのフルイでふるい、フルイ内の残渣量を目視にて評価し、残渣のないものを○、明らかに残渣のあるものを×と評価した。
【表7】
表7から、破断点伸びおよび軟化温度が低いEVANo.1を配合した試料No.08では、フィルミング防止効果や折り曲げ強度の向上が少なく、また、軟化温度が低く破断点伸びの大きなEVANo.3を配合した場合も同様にフィルミング防止効果や折り曲げ強度の向上が少ないことがわかる。
【0047】
実施例3
結着樹脂として、下記表8に示す特性値を有するポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル酸エステル樹脂(以下、ST/AC樹脂という)を使用した。
【表8】
上記結着樹脂を含む表9に示す各成分を同表に示す割合で混合した他は、実施例1と同様にして、正帯電型非磁性一成分トナー(試料No.11〜16)を得た。
【表9】
得られたトナーを用いて、実施例1と同様にして正帯電非磁性一成分現像法による5万枚の連続印刷を行い、薄層ブレードへのフィルミング発生の有無、および定着後の折り曲げ強度の評価を行った。その結果を表10に示す。
【表10】
【0048】
【発明の効果】
本発明の、非磁性熱定着高耐久性トナーは、耐久性に優れ、多数枚複写が可能であると共に、低温定着が可能であり、かつ画像の折り曲げ強度にも優れているという効果がある。
Claims (4)
- 結着樹脂、帯電制御剤および着色剤を主成分とし、さらに引っ張り破壊伸びが200〜1000%で軟化温度(ビカート法)が55〜120℃である熱可塑性樹脂を含有し、前記結着樹脂がポリエステル樹脂であり、前記帯電制御剤の配合量が前記結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部であり、前記熱可塑性樹脂をトナー総量に対して3〜50重量%の割合で含有することを特徴とする非磁性熱定着高耐久性トナー。
- 結着樹脂、帯電制御剤および着色剤を主成分とし、さらに引っ張り破壊伸びが200〜1000%で軟化温度(ビカート法)が55〜120℃である熱可塑性樹脂を含有し、前記結着樹脂が環状オレフィン樹脂であることを特徴とする非磁性熱定着高耐久性トナー。
- 前記熱可塑性樹脂がエチレン系共重合体である請求項1又は2記載の非磁性熱定着高耐久性トナー。
- 前記熱可塑性樹脂がトナー総量に対して3〜50重量%の割合で含有されている請求項2又は3記載の非磁性熱定着高耐久性トナー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002259401A JP4091975B2 (ja) | 2002-09-04 | 2002-09-04 | 非磁性熱定着高耐久性トナー |
Applications Claiming Priority (1)
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