JP4091876B2 - 発光素子収納用パッケージおよび発光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード等の発光素子を用いた表示装置等に用いられる、発光素子を収納するための発光素子収納用パッケージおよび発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光ダイオード等の発光素子を収納するための発光素子収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)として、セラミック製のパッケージが用いられている。従来のセラミック製のパッケージは、図3の断面図に示すように、上面の中央部に発光素子13を搭載するための導体層から成る搭載部21aを有し、搭載部21aおよびその周辺から下面に導出された一対のメタライズ配線導体14a,14bを有する基体11と、中央部に発光素子13を収容するための貫通穴12aを有する枠体12とから主に構成されている。
【0003】
そして、基体11の上面に形成されるとともに一方のメタライズ配線導体14aが接続された搭載部11a上に、発光素子13を半田等の導電性接合材を介して固着するとともに、発光素子13の電極と他方のメタライズ配線導体14bとをボンディングワイヤ15を介して電気的に接続し、しかる後、枠体12の貫通穴12a内に透明樹脂(図示せず)を充填して発光素子13を封止することによって、発光装置が作製される。この発光装置を外部電気回路基板の配線導体に半田を介して接続することによって、発光装置が外部電気回路基板に実装されて発光素子13へ電力が供給されることとなる。
【0004】
また、枠体12の貫通穴12aの内周面で発光素子13の光を反射させてパッケージの上方に光を放射させるために、貫通穴12aの内周面にニッケル(Ni)めっき層や金(Au)めっき層等の金属層16bを表面に有するメタライズ層16aを被着させていることもある。
【0005】
また、このパッケージは、セラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)積層法により製作されており、具体的には以下のように製作される。基体11用のグリーンシートと枠体12用のグリーンシートとを準備し、これらのグリーンシートにメタライズ配線導体14a,14bを導出させるための貫通穴や発光素子13を収容するための貫通穴12aを打ち抜き法で形成する。
【0006】
次に、基体11用のグリーンシートの上面から下面にかけて、メタライズ配線導体14a,14b形成用のW,Moなどの高融点金属粉末から成る導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷法等で塗布し、枠体12用のグリーンシートの貫通穴内周面にメタライズ金属層16a形成用の上記導体ペーストをスクリーン印刷法等で塗布する。基体11用のグリーンシートと枠体12用のグリーンシートとを上下に積層し、これを高温で焼成して焼結体と成す。その後、メタライズ配線導体14a,14bおよびメタライズ金属層16aの露出する表面にNiやAu等の金属から成るめっき金属層16bを無電解めっき法や電解めっき法により被着させることにより製作される。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−232017号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のパッケージにおいては、打ち抜き法でセラミックグリーンシートを打ち抜いて枠体12の貫通穴12aを形成することから、打ち抜き時に貫通穴12aの内周面に凹凸が形成されやすく、このために、貫通穴12aの内周面を、発光素子13が発光する光を効率良く反射て外部に均一に放射することができる良好な表面状態とすることが難しくなるという問題点を有していた。
【0009】
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光素子が発光する光を良好に反射して、外部に均一かつ効率良く放射することができる発光素子収納用パッケージおよび発光装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の発光素子収納用パッケージは、上面に発光素子を搭載するための搭載部を有する基体の上面に、前記発光素子を内側に収容するセラミックスから成る枠体を前記搭載部を囲繞するように接合している発光素子収納用パッケージであって、前記枠体は、その内周面にガラス層および金属層が順次被着されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の発光素子収納用パッケージは、セラミックスから成る枠体の内周面にガラス層および金属層が順次被着されていることから、ガラス層は、枠体の内周面の表面状態を平坦な良好なものとすることができるとともに、ガラス層の表面には金属層が被着されているので、発光素子が発光する光を枠体の内周面の平坦性に優れた金属層で良好に反射することができるものとなる。
【0012】
本発明の発光装置は、本発明の発光素子収納用パッケージと、前記搭載部に搭載された発光素子と、該発光素子を覆う透明樹脂とを具備していることを特徴とする発光装置。
【0013】
本発明の発光装置は、上記の構成により、発光素子が発光する光を良好に反射し、均一かつ効率良く外部に放射することができる、発光効率の高い高性能のものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の発光素子収納用パッケージを以下に詳細に説明する。図1は本発明のパッケージについて実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は図1の平面図である。これらの図において、1は基体、2は枠体であり、主としてこれらで発光素子3を収容するためのパッケージが構成されている。
【0015】
本発明の発光素子収納用パッケージは、上面に発光素子3を搭載するための搭載部1aを有する基体1の上面に、発光素子3を内側に収容するセラミックスから成る枠体2を搭載部1aを囲繞するように接合しているものであって、枠体2は、その内周面にガラス層6aおよび金属層6bが順次被着されている
本発明における基体1は、セラミックス,樹脂等の絶縁体から成る直方体状や四角平板状のものであり、セラミックスから成る場合、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス質焼結体等のセラミックスから成り、発光素子3を支持する支持体であり、その上面の中央部に発光素子3を搭載する搭載部1aを有している。基体1が例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー,溶剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シートで、以下、グリーンシートともいう)を得、しかる後、グリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して、高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0016】
また、基体1は、搭載部1aから下面にかけて導出されたメタライズ配線導体4aおよび搭載部1aの周辺から下面にかけて導出されたメタライズ配線導体4bが被着形成されている。搭載部1aおよびメタライズ配線導体4a,4bは、タングステンやモリブデン、銅、銀等の金属粉末のメタライズ層から成り、パッケージ内部に収容する発光素子3を外部に電気的に接続するための導電路として機能する。そして、搭載部1aには発光ダイオード(LED),半導体レーザ(LD)等の発光素子3が金(Au)−シリコン(Si)合金やAg−エポキシ樹脂等の導電性接合材により固着されるとともに、メタライズ配線導体4bには発光素子3の電極がボンディングワイヤ5を介して電気的に接続されている。そして、基体1下面のメタライズ配線導体4a,4bが外部電気回路基板の配線導体に接続されることで、その配線導体と発光素子3の各電極とが電気的に接続され、発光素子3へ電力や駆動信号が供給される。また、発光素子3は、搭載部1aおよびメタライズ配線導体4bにフリップチップ実装されていても構わない。
【0017】
搭載部1aおよびメタライズ配線導体4a,4bは、例えばWやMo等の金属粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得た金属ペーストを、基体1となるグリーンシートに予めスクリーン印刷法により所定パターンに印刷塗布しておくことによって、基体1の所定位置に被着形成される。
【0018】
なお、搭載部1aおよびメタライズ配線導体4a,4bの露出する表面に、ニッケル(Ni),金(Au),Ag等の耐蝕性に優れる金属を1〜20μm程度の厚みで被着させておくのがよく、搭載部1aおよびメタライズ配線導体4a,4bが酸化腐蝕するのを有効に防止できるとともに、搭載部1aと発光素子3との固着、メタライズ配線導体4bとボンディングワイヤ5との接合、およびメタライズ配線導体4a,4bと外部電気回路基板の配線導体との接合を強固にすることができる。従って、搭載部1aおよびメタライズ配線導体4a,4bの露出表面には、厚さ1〜10μm程度のNiめっき層と厚さ0.1〜3μm程度のAuめっき層またはAgめっき層とが、電解めっき法や無電解めっき法により順次被着されていることがより好ましい。
【0019】
また、本発明の枠体2は、セラミックスから成り、基体1の上面に、積層されて焼結一体化されて接合されたり、ろう材や樹脂接着剤等により接合されている。枠体2は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス質焼結体等のセラミックスから成り、その中央部に発光素子3を収容するための横断面形状が円形状や四角形状の貫通穴2aを有しており、この貫通穴2a内に搭載部1aに搭載された発光素子3が収容される。枠体2は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー,溶剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してグリーンシートを得、しかる後、グリーンシートに貫通穴2aとなる貫通穴を適当な打ち抜き加工を施して、高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0020】
また、本発明においては、枠体2は、その内周面にガラス層6aおよび金属層6bが順次被着されている。これにより、ガラス層6aは、枠体2の貫通穴2aの内周面の表面状態を平坦性の良好なものとすることができるとともに、ガラス層6aの表面には平坦性の優れた金属層6bが被着されているので、発光素子3が発光する光を良好に反射することができるものとすることができる。
【0021】
ガラス層6aは、枠体2の貫通穴2aの内周面にガラス粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して得たガラスペーストを枠体2の貫通穴2aの内周面の所定の位置に塗布した後、750〜1200℃程度の高温で溶融することで、枠体2の内周面に被着される。
【0022】
このガラス層6aは、軟化点が600〜750℃程度の硼珪酸系ガラス等の低融点ガラスを含んで成るものである。
【0023】
また、ガラス層6aの厚みは0.005〜0.02mmが好ましい。0.005mm未満では、枠体2の貫通穴2aの内周面の凹凸を抑え、平坦性を高めるのが困難になる。0.02mmを超えると、ガラス層6aの厚みが枠体2の貫通穴2aの内周面の上下でばらつきやすくなる。
【0024】
さらに、ガラス層6aは、金属層6bを成すNi,Au,Ag,アルミニウム(Al),白金(Pt),パラジウム(Pd)等の金属の粒子を含有していることがよい。この場合、ガラス層6aの表面に存在する金属の粒子が金属層6bに固着して、ガラス層6aに対する金属層6bの被着強度が向上する。また、ガラス層6aと金属層6bとの熱膨張係数差が小さくなるため、発光装置の駆動および非駆動による加熱、冷却の熱履歴が加わることによって、経時的に金属層6bがガラス層6aから剥離していくのを防ぐことができる。
【0025】
また、金属層6bが、蒸着法、スパッタリング法、めっき法等によりガラス層6aの表面に被着されている。この金属層6bは、例えば、Ni,Au,Ag,アルミニウム(Al),白金(Pt),パラジウム(Pd)等の金属、またはこれらの金属を主成分とする合金から成る金属から成るのが好ましく、枠体2の貫通穴2aの内周面で発光素子3の発光する光を効率良く反射し、均一かつ良好に外部に放射することができるものとなる。
【0026】
また、枠体2の貫通穴2aの内周面は、傾斜面となっているとともに、基体1の上面となす角度が35〜70°の角度で上方に向かうに伴って外側に広がっていることが好ましい。角度が70°を超えると、貫通穴2a内に収容された発光素子3が発光する光を外部に対して良好に反射することが困難となる傾向にある。一方、角度が35°未満であると、貫通穴2aの内周面をそのような角度で安定かつ効率良く形成することが困難となる傾向にあるとともに、パッケージが大型化してしまう。
【0027】
また、貫通穴2aの内周面の金属層6の表面の算術平均粗さRaは3μm以下が好ましい。3μmを超えると、貫通穴2a内に収容される発光素子3が発光する光が散乱し、反射光を高い反射率で外部に均一に放射することが困難になる。
【0028】
また、枠体2の貫通穴2aの横断面形状は、円形状、長円形状、楕円形状、四角形状、多角形状等の種々の形状で良いが、特に円形状が好ましい。この場合、貫通穴2aに収容された発光素子3が発光する光を、貫通穴2aの内周面に形成された金属層6の表面でパッケージの上方に満遍なく反射させて外部に極めて均一に放射することができる。
【0029】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何ら差し支えない。例えば、図2のパッケージの断面図に示すように、搭載部1aを導体層として形成せずに、発光素子3を基体1の上面に直接搭載し、その周囲に発光素子3の電極と電気的に接続されるメタライズ配線導体4a,4bを形成してもよい。この場合、メタライズ配線導体4a,4bと発光素子3の電極とをボンディングワイヤ5a,5b等で電気的に接続する。
【0030】
【発明の効果】
本発明の発光素子収納用パッケージは、セラミックスから成る枠体の内周面にガラス層および金属層が順次被着されていることから、ガラス層は、枠体の内周面の表面状態を平坦な良好なものとすることができるとともに、ガラス層の表面には金属層が被着されているので、発光素子が発光する光を枠体の内周面で良好に反射することができるものとすることができる。
【0031】
本発明の発光装置は、上記の構成により、発光素子が発光する光を良好に反射し、均一かつ効率良く外部に放射することができる、発光効率の高い高性能のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子収納用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の発光素子収納用パッケージの実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図3】従来の発光素子収納用パッケージの断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:搭載部
2:枠体
2a:貫通穴
3:発光素子
4a,4b:メタライズ配線導体
6a:ガラス層
6b:金属層
Claims (2)
- 上面に発光素子を搭載するための搭載部を有する基体の上面に、前記発光素子を内側に収容するセラミックスから成る枠体を前記搭載部を囲繞するように接合している発光素子収納用パッケージであって、前記枠体は、その内周面にガラス層および金属層が順次被着されていることを特徴とする発光素子収納用パッケージ。
- 請求項1記載の発光素子収納用パッケージと、前記搭載部に搭載された発光素子と、該発光素子を覆う透明樹脂とを具備していることを特徴とする発光装置。
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