JP4091210B2 - ピット用排水管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中に埋設されたピットに設ける排水管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設された電気配線、水道管、ガス管等は、適宜間隔で設けられた接続ピットにおいて接続された状態になっており、その接続ピット内において、保守・点検作業が行われる。かかる接続ピットには、排水管が設けられており、内部に入り込んだ侵入水(雨水等)を、排水管から外部へ排水するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した接続ピットは、周囲の地下水の水位が高い場合には、排水管から内部へ水や土砂等が入り込んで(すなわち、逆流して)、電気配線の保守・点検作業ができなくなる、という不具合がある。
【0004】
本発明の目的は、上記接続ピットの如きピットにおける問題点を解消し、周囲の地下水の水位が高い場合でも、ピット内へ水や土砂等を入り込ませず、ピット内で作業ができなくなる事態を防止可能なピット用排水管を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の構成の内、請求項1に記載された発明の構成は、地中に埋設されたピットに設ける排水管であって、筒状の本体と、その本体の上部に外嵌された筒状のガイド部材と、そのガイド部材の上部内側に嵌め込まれ、上方内周に蓋部材を着脱可能なネジ溝を有した筒状のジョイント部材と、本体の内部に遊動自在に保持された比重が水より小さい止水球と、ジョイント部材内に保持され、排水孔を有して本体の上部において止水球を保持する上側保持部材と、排水孔を有して本体の下部において止水球を保持する下側保持部材と、止水球と接合して上側保持部材の排水孔を閉塞する止水用弾性部材とからなることにある。
請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、止水用弾性部材が、上側保持部材の排水孔に内接される筒状部と、その筒状部の片方の周縁に、筒状部と鈍角をなすように一体的に設けられたフランジ部とを有していることにある。
請求項3に記載された発明の構成は、請求項1,2に記載された発明において、本体の下端の開口部分を覆うように、フィルタが付設されていることにある。なお、ピットとは、電気配線、水道管、ガス管等を接続するための接続ピットや情報ボックス用ハンドボール、共同溝等の地中に掘設された種々の作業用の溝(坑)をいう。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の接続ピット用排水管(以下、単に排水管という)の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】
図1、図2は、排水管の断面を示したものであり、排水管1は、本体2、上側保持部材3a、下側保持部材3b、止水用弾性部材5、ジョイント部材6、ガイド部材7が組み付けられることによって形成されている(なお、上側保持部材3aと下側保持部材3bとは同一の形状である)。そして、本体2の内部に(上側保持部材3aと下側保持部材3bとの間に)、止水球8が遊動自在に保持された状態になっている。
【0008】
本体2は、硬質の合成樹脂(塩化ビニル)によって、円筒状に形成されている。また、上側保持部材3a(下側保持部材3b)は、図3の如く、円筒部9の上端および下端に、それぞれ、上フランジ体10、下フランジ体11が、円筒部9と約110゜の角度をなすように一体的に延設された形状を有している(なお、円筒部9の内部は、排水孔12になっている)。上フランジ体11の外面には、複数(9本)の載置リブ13,13・・が、中心から周縁にかけて放射状に立設されており、それぞれ隣り合った載置リブ13,13同士の間が、排水路14になっている。なお、上フランジ体10の直径は、本体2の内径と略同一であり、下フランジ体11の直径は、本体2の外径と略同一である。下側保持部材3bは、上フランジ体10を本体2の下端の内側に嵌め込むことによって、本体2に取り付けられている。
【0009】
一方、図4は、止水用弾性部材5を示したものであり、止水用弾性部材5は、硬質ゴムによって形成されている。そして、外径が上側保持部材3a(下側保持部材3b)の排水孔12の内径と略同一で扁平な筒状部15の片方の周縁に、フランジ部16が、筒状部15と約110゜の角度をなすように、一体的に付設された形状を有している。止水用弾性部材5は、上側保持部材3aの排水孔12に筒状部15を嵌入することにより、上側保持部材3aの下フランジ体11の外面にフランジ部16の上面を当接させた状態で、上側保持部材3aに取り付けられている。
【0010】
また、図1、図2に示されるように、ガイド部材7は、硬質の合成樹脂(塩化ビニル)によって、内径が本体2の外径と略同一の大きさの円筒状に形成されている。また、その円筒状部分の略中央に、フランジ状の係止リブ25が立設されており、円筒状部分の外周および内周に沿って外側および内側に突出した状態になっている。ガイド部材7は、本体2の上部の外側に外嵌されており、係止リブ25の下面が本体2の上端面と当接した状態になっている。また、ガイド部材7の内部には、止水用弾性部材5を取り付けた上側保持部材3aが嵌め込まれており、上側保持部材3aの下フランジ体11がガイド部材7の係止リブ25の上面に当接した状態になっている。
【0011】
一方、ジョイント部材6は、硬質の合成樹脂(塩化ビニル)によって、内径・外径が本体2の内径・外径と略同一な円筒状に形成されており、上方にネジ溝4が螺刻されている。ジョイント部材6は、ガイド部材7の上部の内側に嵌め込まれており、下端が、上側保持部材3aの下フランジ体11の上面に当接した状態になっている。
【0012】
さらに、止水球8は、硬質の合成樹脂(塩化ビニル)によって、直径が上側保持部材3a(下側保持部材3b)の排水孔12の内径より大きな中空の球状に形成されている。そして、上側保持部材3aおよび下側保持部材3bにせき止められた状態で、本体2の内部に遊動自在に保持されている。
【0013】
かかる排水管1は、図5の如く、地面に掘設された接続ピット17に設置されて使用される。接続ピット17は、コンクリートによって形成された内壁18の下面の略中央に、排水管1が貫設されている。また、内壁18の下側に、モルタル20が敷設されており、そのモルタル20の下側に、砕石21が敷きつめられている。一方、排水管1の下方に、硬質の合成樹脂(塩化ビニル)製の導水管23が付設されている。なお、導水管23には、複数の導水孔26,26・・が穿設されている。さらに、導水管23の周囲に、単粒度砕石22が敷設されている。加えて、接続ピット17の上方には、蓋体19が開閉自在に設けられている。
【0014】
上記の如く接続ピット17に設置された排水管1においては、周囲の地下水の水位が低い場合には、図6(a)の如く、接続ピット17内に入り込んだ侵入水が、上側保持部材3aの排水孔12、本体2の内部、下側保持部材3bの排水孔12を通って、外部へ排出される。また、かかる場合には、止水球8が、下側保持部材3bの上フランジ体10に設けられた載置リブ13,13・・の上に載置された状態で、下側保持部材3bの排水孔12の上方に位置するため、侵入水Wは、排水路14,14・・から排出される。一方、周囲の地下水の水位が高い場合には、図6(b)の如く、下側保持部材3bの排水孔12から本体2の内部へ地下水Wが入り込むが、止水球8が浮き上がり、止水用弾性部材5のフランジ部16の下面と接合することによって(円周状に接合することによって)、上側保持部材3aの排水孔12が閉塞される。したがって、地下水Wが、排水管1から接続ピット17内へ入り込む事態が生じない(すなわち、地下水Wが逆流する事態が生じない)。なお、排水管1は、接続ピット17内の排水が不要な場合には、ジョイント部材6のネジ溝4を利用して、蓋部材(図示せず)を着脱自在に取り付けることができる。
【0015】
排水管1は、上記の如く、筒状の本体2と、本体2の内部に遊動自在に保持される比重が水より小さい止水球8と、排水孔12を有しており本体2の上部において止水球8を保持する上側保持部材3aと、排水孔12を有しており本体2の下部において止水球8を保持する下側保持部材3bと、止水球8と接合して上側保持部材3aの排水孔12を閉塞する止水用弾性部材5とからなるものであるため、接続ピット17に設置された場合には、接続ピット17内に入り込んだ侵入水Wを、効率良く、外部へ排出することができる。その上、周囲の地下水の水位が高い場合でも、止水球8が浮き上がって止水用弾性部材5と接合し、上側保持部材3aの排水孔12を閉塞することによって、地下水Wが接続ピット17内に入り込む事態(地下水Wが逆流する事態)を防止することができる。
【0016】
また、排水管1は、止水用弾性部材5が、上側保持部材3aの排水孔12に内接される筒状部15と、その筒状部15の片方の周縁に、筒状部15と鈍角をなすように一体的に設けられたフランジ部16とを有しているため、浮き上がった止水球8が止水用弾性部材5の中央に位置し易く、接続ピット17内への地下水Wの逆流防止機能の精度が非常に高い。その上、止水用弾性部材5が劣化した場合や損傷した場合でも容易に交換することができる。
【0017】
さらに、排水管1は、上側保持部材3aと下側保持部材3bとが同一形状であり、異なる成形用金型を必要としないため、製造コストが安価である。加えて、排水管1は、全ての部品を、ネジ等を用いることなく単純に組み付けただけのものであるので、部品を持ち運べば、接続ピット17の施工現場においても、簡単に組み立てることができるし、一部の部品が損傷した場合には、容易に交換することができる。
【0018】
加えて、排水管1は、ガイド部材7に係止リブ25が立設されており、ガイド部材7の円筒状部分の外周に沿って外側に突出した状態になっているため、コンクリート製の内壁18から抜けにくく、その上、非常に止水性能が高い。
【0019】
なお、本発明にかかる排水管の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、本体、上側保持部材、下側保持部材、止水用弾性部材、ジョイント部材、ガイド部材、止水球の形状・構造・材質等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更できる。
【0020】
たとえば、排水管は、本体、上側保持部材、下側保持部材、止水用弾性部材、ジョイント部材、ガイド部材、止水球によって組み付けられるものに限定されず、ジョイント部材、ガイド部材が省略されており、上側保持部材が本体の上部に直接的に取り付けられたもの等でも良い。また、上側保持部材と下側保持部材とが同一形状であるものに限定されず、上側保持部材と下側保持部材とが異なる形状のものでも良い。加えて、本体と上側・下側保持部材が別個に設けられたものに限定されず、本体に、上側保持部材および/または下側保持部材が一体的に設けられたものでも良い。また、下側保持部材(上側保持部材)は、上記実施形態の如き複数のリブを設けたもの等に何ら限定されない。
【0021】
さらに、図7の如く、本体の下端等の適宜位置に、不織布によって形成されたフィルタを取り付けることも可能である。かかる構成を採用した場合には、排水管は、本体内に土砂等が入り込まず、土砂等によって止水球と止水用弾性部材との接合が阻害されないため、長期間に亘って使用された場合でも、接続ピット内への雨水の逆流防止機能が低下しないものとなる。なお、フィルタとしては、不織布の他に、金属ネット等を用いることができるが、フィルタが不織布であると、細かい土砂も確実に遮断できるので好ましい。また、フィルタの設置位置は、本体の下側に限定されず、下側保持部材の上側に設けることも可能である。
【0022】
一方、止水球は、見掛けの比重(嵩密度)が水より小さければ、中空状のものに限定されず、水より比重が小さい合成樹脂によって形成されたもの等でも良い。なお、止水球を、硬質の合成樹脂(たとえば、エボナイト等)によって内部が満たされた形状にした場合には、止水球が変形しにくいものとなり、止水球と止水用弾性部材との接合面積が小さくなる事態が生じないため、排水管は、長期間に亘って使用された場合でも、接続ピット内への地下水の逆流防止機能が低下したりしないものとなる。
【0023】
加えて、止水用弾性部材は、筒状部にフランジ部を一体的に延設したものに限定されず、他の形状を有するものでも良い。また、止水用弾性部材を、筒状部にフランジ部を延設したものとする場合でも、筒状部とフランジ部とのなす角度は、何ら110゜に限定されない。しかしながら、筒状部とフランジ部とのなす角度を100゜〜120゜の範囲内にした場合には、止水球とフランジ部との接合面積が大きくなり、接続ピット内への地下水の逆流防止機能の精度がきわめて高くなる、というメリットがある。
【0024】
一方、排水管をピットに設置する態様も、上記実施形態の如き下方に導水管を付設する態様等に限定されず、必要に応じて適宜変更することができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1に記載された排水管は、筒状の本体と、その本体の上部に外嵌された筒状のガイド部材と、そのガイド部材の上部内側に嵌め込まれ、上方内周に蓋部材を着脱可能なネジ溝を有した筒状のジョイント部材と、本体の内部に遊動自在に保持された比重が水より小さい止水球と、排水孔を有しており本体の上部において止水球を保持する上側保持部材と、排水孔を有しており本体の下部において止水球を保持する下側保持部材と、止水球と接合して上側保持部材の排水孔を閉塞する止水用弾性部材とからなるものであるため、接続ピットに設置された場合には、接続ピット内に入り込んだ侵入水を、効率良く、外部へ排出することができる。その上、周囲の地下水の水位が高い場合でも、止水球が浮き上がって止水用弾性部材と接合し上側保持部材の排水孔を閉塞することによって、接続ピット内に地下水が入り込む事態を防止することができる。
また、接続ピット内における排水が不要になった場合には、ジョイント部材に設けられたネジ溝に蓋部材を螺合することによって、排水管を完全に閉じることができる。
【0026】
請求項2に記載された排水管は、止水用弾性部材が、上側保持部材の排水孔に内接される筒状部と、その筒状部の片方の周縁に、筒状部と鈍角をなすように一体的に設けられたフランジ部とを有しているため、浮き上がった止水球が止水用弾性部材の中央に位置し易く、接続ピット内への地下水の逆流防止機能の精度が非常に高い。その上、止水用弾性部材が劣化した場合や損傷した場合でも、容易に交換することができる。
【0027】
請求項3に記載された排水管は、本体の下端の開口部分を覆うように、フィルタが付設されているため、本体内に土砂等が入り込まず、土砂等によって止水球と止水用弾性部材との接合が阻害されないため、長期間に亘って使用された場合でも、接続ピット内への地下水の逆流防止機能が低下したりしない。
【図面の簡単な説明】
【図1】排水管の断面の様子を示す説明図である。
【図2】排水管の断面の様子を示す説明図である。
【図3】下側保持部材を示す説明図である。
【図4】止水用弾性部材を示す説明図である。
【図5】排水管を接続ピットに設置した状態を示す説明図である。
【図6】排水管の使用状態を示す説明図である。
【図7】排水管の断面の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・排水管、2・・本体、3a・・上側保持部材、3b・・下側保持部材、4・・ネジ溝、5・・止水用弾性部材、6・・ジョイント部材、7・・ガイド部材、8・・止水球、9・・円筒部、10・・上フランジ体、11・・下フランジ体、12・・排水孔、13・・載置リブ、14・・排水路、15・・筒状部、16・・フランジ部、17・・接続ピット、18・・内壁、19・・蓋体、20・・モルタル、21・・砕石、22・・単粒度砕石、23・・導水管、24・・フィルタ、25・・係止リブ、26・・導水孔、W・・侵入水(地下水)。
Claims (3)
- 地中に埋設されたピットに設ける排水管であって、
筒状の本体と、その本体の上部に外嵌された筒状のガイド部材と、そのガイド部材の上部内側に嵌め込まれ、上方内周に蓋部材を着脱可能なネジ溝を有した筒状のジョイント部材と、本体の内部に遊動自在に保持された比重が水より小さい止水球と、ジョイント部材内に保持され、排水孔を有して本体の上部において止水球を保持する上側保持部材と、排水孔を有して本体の下部において止水球を保持する下側保持部材と、止水球と接合して上側保持部材の排水孔を閉塞する止水用弾性部材とからなるピット用排水管。 - 止水用弾性部材が、上側保持部材の排水孔に内接される筒状部と、その筒状部の片方の周縁に、筒状部と鈍角をなすように一体的に設けられたフランジ部とを有していることを特徴とする請求項1に記載のピット用排水管。
- 本体の下端の開口部分を覆うように、フィルタが付設されていることを特徴とする請求項1、または2に記載のピット用排水管。
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