JP4090898B2 - ラジカル重合性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温でも硬化可能なラジカル重合性樹脂組成物に関する。更に詳しくは低温での硬化性、塗膜乾燥性、接着性に優れ、可使時間が長く、かつコバルト金属石鹸を添加した状態でも、貯蔵安定性に優れたラジカル重合性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレート樹脂等に代表されるラジカル重合性樹脂は、機械強度や耐水性等に優れた材料である。また硬化剤や促進剤の調整を行なうことで気温に左右されることなく硬化時間が設定できるため、エポキシ樹脂のように硬化に長時間を要したり、特に低温で施工した場合に硬化不良になるということもない。そのため従来から、塗料、接着剤分野、繊維強化プラスチック(FRP)材料用途等で広く用いられている。
【0003】
これらのラジカル重合性樹脂は非常に反応性に富んでいるため低温でも硬化させることが可能となる反面、一般的に促進剤を添加した場合の樹脂貯蔵安定性が悪いという問題点がある。特に常温硬化タイプのラジカル重合性樹脂では、レドックス作用の促進剤や乾燥性付与のためコバルト等の金属系硬化促進剤を樹脂製品中に予め混合している場合がほとんどであるが、特に5℃を下回るような低温でも十分な硬化性を得るために、助促進剤としてジメチルアニリン等の芳香族系3級アミンを同時に混合した場合、著しい樹脂貯蔵安定性の悪化が起こる。そのため、現状低温環境下で樹脂組成物を硬化させる場合、助促進剤も過酸化物添加時と同時に使用時に添加しなければならない3液タイプとなる。そのため作業が煩雑になり、それに伴う硬化性調整のトラブルが絶えなかった。
【0004】
樹脂貯蔵安定性の問題は、特許文献1(特許第1565271号明細書)に記載されているようにキノン系禁止剤を添加することで解消できるが、その弊害として重合禁止剤の添加量に伴って樹脂組成物の硬化性が著しく低下し、特に低温時の硬化性調整が困難となり、その結果作業効率が低下した。
【0005】
特許文献2(特開昭57−164112号公報)には、錫化合物と重合禁止剤を併用する技術が開示されているが、この場合塗膜乾燥性が十分ではなく、また塗膜乾燥性を得るためにコバルト等の金属系硬化促進剤を添加した場合、十分な貯蔵安定性を得ることができなかった。
【0006】
【特許文献1】
特許第1565271号明細書
【特許文献2】
特開昭57−164112号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした現状に鑑み、低温での硬化性、塗膜乾燥性、接着性に優れ、可使時間が長く、かつコバルト金属石鹸を添加した状態でも、貯蔵安定性に優れたラジカル重合性樹脂組成物ラジカル重合性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種のラジカル重合性樹脂、
(B)コバルト金属石鹸、
(C)下記一般式(I)で示される芳香族3級アミン、および
【0009】
【化3】
Figure 0004090898
【0010】
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立してアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R3はHまたはCHである)
(D)一般式(II)で示される脂肪族アミン
【0011】
【化4】
Figure 0004090898
【0012】
(式中、R4はヒドロキシアルキル基であり、R5はアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R6はHまたはCHである)
を含有してなるラジカル重合性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、前記(C)成分において、R1、R2の少なくとも一方がヒドロキシアルキル基であることを特徴とする前記のラジカル重合性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、前記(A)成分100重量部に対し、前記(C)成分および(D)成分の合計の添加量が0.02重量部〜10重量部であり、かつ前記(B)成分の添加量が0.02〜10重量部であることを特徴とする前記のラジカル重合性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、前記(C)成分に対する前記(D)成分の添加割合が、前者:後者として1/50〜50/1(重量比)であることを特徴とする前記のラジカル重合性樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)成分は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および(メタ)アクリレート樹脂から選択された少なくとも1種である。
【0014】
不飽和ポリエステル樹脂は、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物を、ラジカル重合性不飽和単量体に溶解した周知のものであることができ、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)または「塗料用語辞典」(色材協会編、1993年発行)などに記載されている。
さらに具体的にはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物とフマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等の多価アルコ−ルをアルコ−ル成分として反応させて製造されるものである。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和基当量(不飽和基1個当たりの分子量)は100〜800程度のものがよい。不飽和基当量が100未満のものは合成ができない。しかし不飽和基当量が800を超えると高硬度の硬化物が得られない。
【0015】
ビニルエステル樹脂は、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物とを反応させ、エポキシ基を開環反応させた後、これをラジカル重合性不飽和単量体に溶解した周知のものであることができ、例えば「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)または「塗料用語辞典」(色材協会編、1993年発行)などに記載されている。
ビニルエステル樹脂の原料として用いられるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、公知の方法により製造されるものであり、ビスフェノール型やノボラック型のエポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるものである。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルおよびその高分子量同族体、ノボラック型ポリグリシジルエ−テル類、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族系グリシジルエーテル類が挙げられる。
原料としての不飽和一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。不飽和一塩基酸以外の酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の飽和二塩基酸が挙げられる。
【0016】
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂とは、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる化合物、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる化合物、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる化合物を、ラジカル重合性不飽和単量体に溶解したものである。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物とフマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和多塩基酸またはその無水物などが挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレ−トの製造に用いるエポキシ基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレ−トが代表例として挙げられる。
【0017】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は特に限定されるものではなく、例えばポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得たラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーを、ラジカル重合性不飽和単量体に溶解したものである。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられるポリイソシアネートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジシソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソイサネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらポリイソシアネートは一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料に用いられるポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられ、具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらポリヒドロキシ化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら多価アルコール類は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として用いられる水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌルサンノジ(メタ)アクリレート、ペンタエスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら水酸基含有(メタ)アクリル化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の原料として必要に応じて用いられる水酸基含有アリル化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら水酸基含有アリルエーテル化合物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。
【0018】
(メタ)アクリレート樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステル、アクリル系重合体、重合性結合を有する化合物、可塑剤等をラジカル重合性不飽和単量体に溶解したものである。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の1官能性(メタ)アクリレートモノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物等の2官能性以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも硬化性が良好であり、かつ、低粘度であるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレートがさらに好ましい。
これらは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
また(メタ)アクリル酸エステル以外のビニル単量体を含んでもよい。(メタ)アクリル酸エステル以外のビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、アジピン酸ジビニル等が挙げられる。
また、前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリレートモノマーを単独重合または共重合したものである。
この(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
これらは、一種を単独重合してもよいし、二種以上を併用して共重合してもよい。特に、メチルメタクリレートの単独重合体、および、メチルメタクリレートを主成分とする共重合体が好ましい。
また、前記重合性結合を有する化合物とは、例えばポリオールとポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応で得られるウレタン(メタ)アクリレート;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸またはマレイン酸やフタル酸等の二塩基酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応で得られる(メタ)アクリレート末端モノカルボン酸との反応で得られるエポキシ(メタ)アクリレート;フタル酸、アジピン酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、ブタンジオール等の多価アルコールとの反応で得られるオリゴマーの末端にアクリル酸、メタクリル酸等との反応でアクリルロイル基、メタクリロイル基を導入したポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ただし、これらに限定されるものではない。
【0019】
(A)成分において使用されるラジカル重合性不飽和単量体は、例えば、スチレンモノマー、スチレンのα−,o−,m−p−アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸アニリドなどのビニル化合物、シトラコン酸ジエチル、などの不飽和ジカルボン酸ジエステル、N−フェニルマレイミドなどのモノマレイミド化合物、N−(メタ)アクリロイルフタルイミドなどが挙げられる。
また、分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用してもよく、公知のものが使用できる。その具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0020】
本発明の(A)成分に用いられるラジカル重合性不飽和単量体は樹脂の粘度を下げ、硬度、強度、耐候性、耐水性、耐摩耗性等を向上させるために重要であり、ラジカル重合性不飽和単量体を配合する前の不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリレート100重量部に対して10〜250重量部、好ましくは20〜100重量部使用される。使用量が10重量部未満では、高粘度のため作業性、含浸性が悪化し、250重量部を超える量では、充分な塗膜硬度が得られず、諸物性が不足しラジカル重合性樹脂組成物として好ましくない。
【0021】
本発明における(B)成分であるコバルト金属石鹸は、硬化促進剤および乾燥性付与剤の機能を有するものであり、その種類は特に限定されるものではないが、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられる。なかでもナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトが好ましい。(B)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対して、0.02〜10重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部、さらに好ましくは0.1〜3.0重量部である。コバルト石鹸の添加量が0.02重量部未満の場合、硬化時間の長期化や硬化不良、低温での乾燥性不良になる可能性があり好ましくない。また添加量が10重量部超の場合、可使時間の短縮や貯蔵安定性不良となり好ましくない。
【0022】
本発明に使用される(C)成分は、前記一般式(I)で示される芳香族3級アミンである。前記一般式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立してアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R3はHまたはCHである。さらに具体的にはアルキル基またはヒドロキシアルキル基は炭素数1〜10のものが好ましい。またヒドロキシアルキル基におけるヒドロキシル基は、1分子中、1〜5個が好ましい。
さらに具体的に述べれば、該アミンとしては、公知のものがいずれも使用できるが、例えばN−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、N−ブチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチル−p−トルイジン、N−ブチル−N−β−ヒドロキシエチル−p−トルイジン、N−メチル−N−β−ヒドロキシプロピルアニリン、N−メチル−N−β−ヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N,N−ジイソプロピロール−p−トルイジン等が挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。
なお、前記一般式(I)において、R1、R2の少なくとも一方がヒドロキシアルキル基であるのがよい。その理由は、芳香族3級アミンがヒドロキシアルキル基を有することで、重合過程、とくに低温において優れた促進効果を得ることができるためである。
【0023】
本発明に使用される(D)成分は、前記一般式(II)で示される脂肪族アミンである。前記一般式(II)において、R4はヒドロキシアルキル基であり、R5はアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R6はHまたはCHであるである。
さらに具体的にはアルキル基またはヒドロキシアルキル基は炭素数1〜20のものが好ましい。またヒドロキシアルキル基におけるヒドロキシル基は、1分子中、1〜5個が好ましい。
さらに具体的に述べれば、(D)成分は、例えばN−エチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,n−ブチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン等が挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。特にN−ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンが好ましい。
【0024】
本発明において、前記(A)成分100重量部に対し、前記(C)成分および(D)成分の合計の添加量が0.02重量部〜10重量部であるのが好ましい。さらに好ましくは0.1〜5重量部である。添加量が0.02重量部未満であると低温での硬化性が低下し好ましくない。また10重量部超であると貯蔵安定性の低下およびコストアップとなるため好ましくない。なお、(C)成分は、(A)成分100重量部に対し0.01〜8重量部、(D)成分は、(A)成分100重量部に対し0.01〜8重量部であるのが好ましい。
【0025】
また本発明によれば、前記(C)成分に対する前記(D)成分の添加割合が、前者:後者として1/50〜50/1(重量比)、好ましくは1/10〜10/1であるのがよい。添加量の重量比がこの範囲外であると、コストアップに加えて十分な硬化性や塗膜乾燥性、貯蔵安定性が得られないため好ましくない。
【0026】
本発明で使用される有機過酸化物触媒としては、金属石鹸やアミン類と組み合わせた時に常温ラジカル重合開始剤として働くものを使用する。具体例としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。またその他、公知のラジカル重合開始剤を使用してもよい。その例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものであり、またアゾ化合物も有効である。具体例としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミドなどが使用できる。
有機過酸化物触媒の添加量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。0.5重量部未満では、十分に硬化ができず、5重量部を超えると、経済的に不利な上、硬化物の物性低下などが起こる。
【0027】
本発明の組成物には、硬化性を阻害しない範囲内で重合禁止剤を併用することが出来る。使用する重合禁止剤はハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ターシャリーブチルカテコールといった公知慣用のものが使用できる。
なお前述のように、重合禁止剤を使用すると組成物の硬化性が著しく低下し、特に低温時の硬化性調整が困難となり、その結果作業効率が低下するという問題点があったが(特許文献1参照)、本発明ではこれらの不具合は生じない。
【0028】
本発明においては、乾燥性を向上する目的でパラフィンワックス等の添加剤を添加してもよい。パラフィンワックスとしては、天然ワックス、合成ワックス等が挙げられるが、特に限定されるものではない。具体例としては融点が40〜80℃程度のパラフィンワックスやBYK−S−750、BYK−S−740、BYK−LP−S6665(ビックケミー(株)製)などが挙げられ、異なる融点のものを組み合わせて使用してもよい。また乾燥性を向上する目的で添加したパラフィンワックス等の効果を有効に引き出すため、特開2002−97233号公報に記載されているような乾燥性付与剤を併用してもよい。添加量は、通常樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部である。
【0029】
本発明においては、パラフィンの溶解性や分散性を向上させるため、溶剤を使用することができる。使用する溶剤は公知のものが使用でき、例えばその具体例としては、酢酸エチル等のアルキルエーテルアセテート類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン、ドデカン等の炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0030】
また、本発明においては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、アルミニウム、チタン等のフィラーやガラス、カーボン、セラミックステンレススチール等の短繊維などの補強材を混合してもよい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。なお、各例中の「部」、「%」は重量基準を示す。
【0032】
合成例1
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置にエピコート828(油化シェルKK製エポキシ樹脂:エポキシ当量189)(1当量(189g))を189部、ビスフェノールAを34.2部(0.1当量)、トリエチルアミン0.5部を仕込み、窒素雰囲気下で150℃で2時間反応させた。反応終了後90℃まで冷却し、メタクリル酸を60.2部、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド0.8部、ハイドロキノン0.07部、スチレン58部を仕込み、空気を吹き込みながら90℃で20時間反応させ酸価が10mgKOH/gになった時点で反応を終了し、スチレン175部を加えて25℃での粘度が0.30Pa.s、固形分55Wt%のビスフェノールA系ビニルエステル樹脂(VE−1)を得た。
【0033】
合成例2
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置にDEN438(ダウケミカル日本株式会社製 ノボラックエポキシ樹脂:エポキシ当量180):180部、メタクリル酸86部、メチルハイドロキノン0.16部およびトリメチルベンジルアンモニウムクロライド1.6部、スチレン77部を仕込み、空気を吹き込みながら90℃で6時間反応させ酸価10mgKOH/gになった時点で反応を終了し、スチレン100部を加えて、25℃での粘度が0.5Pa.s、固形分60Wt%のフェノールノボラック型ビニルエステル樹脂(VE−2)を得た。
【0034】
合成例3
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置にプロピレングリコール100モル、無水フタル酸50モル、無水マレイン酸50モルを仕込み、定法に従い210℃で酸価が40mgKOH/gとなるまで反応させた。
反応後ハイドロキノンを、得られた不飽和ポリエステル100部に対して0.015部を添加して100℃に冷却後、スチレンを不飽和ポリエステル100部に対して54部混合して不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)を得た。
【0035】
合成例4
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置にプロピレングリコール100モル、無水フタル酸50モル、無水マレイン酸50モルを仕込み、定法に従い210℃で酸価が40mgKOH/gとなるまで反応させた。
反応後ハイドロキノンを、得られた不飽和ポリエステル100部に対して0.015部を添加して100℃に冷却後、不飽和ポリエステル100部に対してメチルメタクリレート50部、酢酸エチル9部を混合して25℃での粘度が0.35Pa.sの不飽和ポリエステル樹脂を得た。
次に、不飽和ポリエステル樹脂1000gに対し、グリシジルメタクリレート0.463モル(65.7g)、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ハイドロキノンを不飽和ポリエステル樹脂とグリシジルメタクリレートの合計量100部に対してそれぞれ0.2部、0.015部仕込み、空気を吹き込みながら75℃で9時間反応させ酸価が54mgKOH/gになった時点で反応を終了し、25℃での粘度が0.42Pa.sのポリエステルメタクリレート樹脂(UPM−1)を得た。
【0036】
合成例5
攪拌器、還流冷却管、気体導入管および温度計を備えた3Lの4つ口フラスコに、ジフェニルメタンジイソシアネートを2モル:500.5部、プロピレングリコール1モル:76部、ジブチル錫ジラウレート7.0部を仕込み、60℃で4時間攪拌した。その後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モル:130部を2時間かけて滴下しながら攪拌し、滴下終了後5時間攪拌を続けた。その後メチルメタクリレート384部を投入して冷却して25℃での粘度が0.29Pa.s、メ固形分35Wt%のウレタンメタクリレート樹脂(UA−1)を得た。
【0037】
合成例6
攪拌器、還流冷却管、気体導入管および温度計を備えた3Lの4つ口フラスコに、ライトエステルM(共栄社化学製:メチルメタクリレート)50部、ライトエステルEG(共栄社化学製:エチレングリコールジメタクリレート)20部、ライトエステル2EG(共栄社化学製:ジエチレングリコールジメタクリレート)20部、ダイアナールBR−77(三菱レイヨン製:アクリル樹脂)10部を仕込み、70℃で5時間攪拌し、溶解後冷却し25℃での粘度が0.80Pa.sの(メタ)アクリレート樹脂組成物(AS−1)を得た。
【0038】
実施例1
合成例1〜6で得られたVE−1,VE−2,UP−1,UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン0.5部、N−エチルエタノールアミン1.0部、ナフテン酸コバルト0.5部を添加した樹脂を100ccスクリュー瓶に80gを入れ、40℃雰囲気中に保管して貯蔵安定性、硬化性の経時変化を確認した。その結果、4週間後も十分な流動性を有していた。また硬化性についても著しい変化を示さなかった。結果は表1に示した。なお、硬化性測定時、硬化剤としてカドックスB−CH50を1.0重量部使用した。
【0039】
実施例2
合成例1〜6で得られたVE−1,VE−2,UP−1,UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリン0.5部、N−メチルエタノールアミン1.5部、ナフテン酸コバルト0.8部を添加した樹脂を100ccスクリュー瓶に80gを入れ、40℃雰囲気中に保管して貯蔵安定性、硬化性の経時変化を確認した。その結果、4週間後も十分な流動性を有していた。また硬化性についても著しい低下を示さなかった。結果は表2に示した。
【0040】
比較例1
合成例1〜6で得られたVE−1、VE−2、UP−1、UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N,N−ジメチルアニリン2.0部、ナフテン酸コバルト0.5部を添加し、同様に100ccスクリュー瓶に80gを入れ、40℃雰囲気中に保管して貯蔵安定性、硬化性の経時変化を確認した。その結果、流動性は3日間で失われ、使用不可となった。結果を表3に示した。
【0041】
実施例3
合成例1〜6で得られたVE−1,VE−2,UP−1,UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン1.0部、N,N−ジメチルエタノールアミン3.0部、ナフテン酸コバルト0.5部、融点60℃のパラフィンワックスを1部添加したものに、カドックスB−40E(化薬アクゾ(株)製)3.0部添加し硬化性樹脂組成物を得た。この組成物をレイタンス等の脆弱層を除去したコンクリート板上に、雰囲気温度5℃、コンクリート表面温度が5℃の環境下で、表面に1kg/mとなるようにローラーで塗布して塗膜乾燥性を確認した。その結果、全て3時間以内で乾燥した。結果を表4に示す。
【0042】
比較例2
合成例1〜6で得られたVE−1,VE−2,UP−1,UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン2.0部、融点60℃のパラフィンワックスを1部添加したものに、カドックスB−40E(化薬アクゾ(株)製)3.0部添加し硬化性樹脂組成物を得た。この組成物をレイタンス等の脆弱層を除去したコンクリート板上に、雰囲気温度5℃、コンクリート表面温度が5℃の環境下で、表面に1kg/mとなるようにローラーで塗布して塗膜乾燥性を確認した。その結果、全て3時間経過後も塗膜は乾燥しなかった。結果を表4に示す。
【0043】
実施例4
合成例1〜6で得られたVE−1,VE−2,UP−1,UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン2.0部、N,N−ジメチルエタノールアミン1.0部、ナフテン酸コバルト0.5部、融点60℃のパラフィンワックスを1部添加したものに、カドックスB−40E(化薬アクゾ(株)製)3.0部添加し硬化性樹脂組成物を得た。この樹脂を雰囲気温度5℃の環境下に24時間放置し、5℃雰囲気下での可使時間の測定を行なった。
次に、前記樹脂組成物を、レイタンス等の脆弱層を除去したコンクリート板上に、雰囲気温度5℃、コンクリート表面温度が5℃の環境下で、表面に1kg/mとなるようにローラーで塗布して硬化させ、同環境下で7日間養生させた。このようにして得られた硬化物について、切り込みを入れて建研式接着試験機による接着強度を測定したところ、全てコンクリートの母材破壊となり、良好な付着強度を示した。結果を表5に示した。
また、合成例1〜6で得られたVE−1,VE−2,UP−1,UPM−1、UA−1、AS−1の100重量部に対し、N−メチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン2.0部、N−メチルエタノールアミン1.0部、ナフテン酸コバルト0.5部、融点60℃のパラフィンワックスを1部添加したものを40℃雰囲気中に4週間保管した後、カドックスB−40E(化薬アクゾ(株)製)3.0部添加し、40℃雰囲気下での可使時間の測定および接着強度の測定を行った。40℃雰囲気中に4週間保管したものについてもすべてコンクリートの母材破壊となり、良好な付着強度を示した。結果は表5に示した。
【0044】
【表1】
Figure 0004090898
【0045】
【表2】
Figure 0004090898
【0046】
【表3】
Figure 0004090898
【0047】
【表4】
Figure 0004090898
【0048】
【表5】
Figure 0004090898
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、低温での硬化性、塗膜乾燥性、接着性に優れ、可使時間が長く、かつコバルト金属石鹸を添加した状態でも、貯蔵安定性に優れたラジカル重合性樹脂組成物が提供される。

Claims (4)

  1. (A)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択された少なくとも1種のラジカル重合性樹脂、
    (B)コバルト金属石鹸、
    (C)下記一般式(I)で示される芳香族3級アミン、および
    Figure 0004090898
    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立してアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R3はHまたはCHである)
    (D)一般式(II)で示される脂肪族アミン
    Figure 0004090898
    (式中、R4はヒドロキシアルキル基であり、R5はアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、R6はHまたはCHである)
    を含有してなるラジカル重合性樹脂組成物。
  2. 前記(C)成分において、R1、R2の少なくとも一方がヒドロキシアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分100重量部に対し、前記(C)成分および(D)成分の合計の添加量が0.02重量部〜10重量部であり、かつ前記(B)成分の添加量が0.02〜10重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分に対する前記(D)成分の添加割合が、前者:後者として1/50〜50/1(重量比)であることを特徴とする請求項3に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
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