JP4090609B2 - 吸気ダクト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の吸気ダクトに関するものであり、より詳細には、過給機の下流側に取り付けられる吸気ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の過給機の下流側に取り付けられる吸気ダクトは、過給機で加圧された空気を、インタークーラ等の下流側部材に送る役割を有している。したがって、この種の吸気ダクトは、その上流端が過給機に連結され、その下流端がインタークーラ等の下流側の部材に連結されることになる。ここで、過給機がエンジンに取付けられ、インタークーラ等の下流側部材が車体側部材に取付けられる構成を備えている自動車では、これらの間を連結する吸気ダクトが、エンジンの振動に起因する吸気ダクトの両端間の相対変位を吸収しなければならない。
【0003】
この種の吸気ダクトが、アラミド繊維などを混入したゴム等の可撓性に富む材料から構成されている場合には、吸気ダクトは、その全体が撓むことにより、両端間の相対変位を吸収できる。しかしながら、比較的硬質で剛性の高い樹脂製の吸気ダクトは、撓みにくく、全体が撓んで振動を吸収することができない。このため、この種の吸気ダクトでは、一部分を、例えば蛇腹状に加工して相対変位吸収部として、この部分でエンジンの振動による相対変位を吸収させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンルーム内でのレイアウト上の要請から、過給機と、その下流側の部材とを連結する上述したタイプの吸気ダクトに湾曲部が形成されることがある。このような湾曲部を有する吸気ダクトでは、湾曲部に過給機からの過給圧が作用したとき、過給された吸気によって、湾曲部に半径方向(湾曲方向)外向きの力がかかる。この結果、吸気ダクトの端部に、これを軸線方向に対して傾いた方向に連結部から引き抜こうとする力が加わる。この時、吸気ダクトが図8に示されている吸気ダクト100のように、蛇腹状の相対変位吸収部102を備えていると、蛇腹状の相対変位吸収部102は軸線X方向に伸縮しやすいため、過給機104からの吸気圧によって、湾曲部106にかかった半径方向外方向き(矢印A方向)の力により相対変位吸収部102が軸線方向に引き伸ばされて、図8に点線で示されているように、湾曲部106が半径方向外方に変位してしまう。このため、吸気ダクト100の端部108に加わる軸線方向に対して傾いた方向(矢印B方向)に引き抜こうとする力が、より大きくなる。
【0005】
吸気ダクト100は、一般に、その端部108、110を、過給機104やインタークーラ112に連結された相手側ダクト114、116の端部と重ね、この重なった部分をホースクランプ118、120などで外側から締め付けることにより、相手側ダクト114、116に連結固定される。このため、吸気ダクトの端部は、軸線X方向の引き抜きに対しては、抜けにくいが、軸線X方向に対して傾いた方向(例えば矢印B方向)への引き抜きに対しては、抜け易くなる。したがって、このような湾曲部を備えた吸気ダクトでは、その湾曲部に過給圧が作用すると、この吸気ダクトの端部が抜け易くなるという問題が生じる。
【0006】
特に、例えば過給機がシーケンシャルツインターボであり、その2つ目のターボチャージャが作動しているというような高負荷運転状態では、過給機による過給圧が高くなり、吸気ダクト内の高温の吸気によって、吸気ダクトの温度が最高で約130℃まで上昇するため、高温の吸気によって吸気ダクトを構成する樹脂が軟化し、蛇腹状の相対変位吸収部の伸びおよび湾曲部の半径方向(湾曲方向)外方への変位が大きくなり、上記吸気ダクトの抜けがより発生し易くなる。
更に、過給機がいわゆるターボチャージャーであり吸気ダクトの下流側にスロットル弁が配置されているレイアウトの場合には、大きな過給圧が作用しているときにスロットル弁が急閉される過渡領域では、吸気ダクトの下流側で吸気の流れが遮られているにもかかわらず過給機側からは過給圧が作用している状態となる。この結果、吸気ダクトの湾曲部に、一時的に、大変大きな過給圧が作用する。この時、吸気ダクトは、大きな過給圧による高温の吸気で軟化しているため、この一時的な過給圧によって、吸気ダクトの抜けが、一層、生じやすくなる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、両端間での相対変位を吸収しつつ、過給圧による抜けを防止することができる吸気ダクトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、過給機の下流側に連結され、上流端と、下流端と、前記上流端と下流端との間に設けられた湾曲部と、前記上流端と下流端との間に設けられ前記上流端と下流端との間の相対変位を吸収する相対変位吸収部とを有する吸気ダクトであって、前記相対変位吸収部の一部分に、前記吸気ダクト軸線方向の伸縮率が該相対変位吸収部の他の部分の前記伸縮率より小さく前記湾曲部の湾曲方向外方への変位を規制する変位規制部が設けられている吸気ダクトが提供される。ここで、「湾曲方向外方」とは、湾曲している吸気ダクトの湾曲の中心から湾曲している吸気ダクトに向かって半径方向外方に向かう方向を意味する。
【0008】
このような構成を有する本発明によれば、相対変位吸収部の一部分に、軸線方向の伸縮率を他の部分より小さくした変位規制部が設けられている。したがって、大きな過給圧によって湾曲部を湾曲方向外方への変位させようとする力が、吸気ダクトに加わっても、伸縮率が小さい変位規制部により、相対変位吸収部の軸線方向の伸びが制限され、湾曲部の湾曲方向外方への変位が規制される。この結果、吸気ダクトの端部を吸気ダクトの軸線方向に対して傾いた方向に引き抜こうとする力が減少する。したがって、エンジンの振動などに起因する吸気ダクトの両端間の相対変位を吸収する機能を損なわず、過給圧による吸気ダクトの抜けが防止される。
【0009】
本発明の好ましい態様では、前記変位規制部が、前記相対変位吸収部の前記湾曲部の湾曲方向外側に位置している部分に設けられている。
ここで、「湾曲方向外側」とは、湾曲している吸気ダクトの湾曲の中心からみて吸気ダクトの外側すなわち湾曲方向の外方側を意味する。
【0010】
このような構成によれば、軸線方向の伸縮率が小さい変位規制部が吸気ダクトの湾曲部の湾曲方向外側に配置されているので、吸気ダクトの湾曲部の湾曲方向外側での、軸線方向の伸びが規制される。
本発明の好ましい態様では、前記湾曲部が、前記上流端と前記相対変位吸収部との間に設けられた第1の湾曲部と、前記相対変位吸収部と前記下流端との間に設けられ該第1の湾曲部と反対方向に湾曲している第2の湾曲部とを備え、前記変位規制部が、前記第1の湾曲部の湾曲方向外側に位置している第1の変位規制部と、前記第2の湾曲部の湾曲方向外側に位置している第2の変位規制部とを備えている。
【0011】
このような構成によれば、第1の変位規制部が第1の湾曲部に作用する過給圧による湾曲部の変位および吸気ダクトの伸びを規制し、第2の変位規制部が第2の湾曲部に作用する過給圧による湾曲部の変位および吸気ダクトの伸びを規制する。したがって、吸気ダクトが2つの湾曲部を備えている場合であっても、過給圧による吸気ダクトの抜けが防止される。
【0012】
本発明の好ましい態様では、前記第1の変位規制部が前記第1の湾曲部側に配置され、前記第2の変位規制部が前記第2の湾曲部側に配置されている。
本発明のもう一つの好ましい態様では、前記相対変位吸収部が、前記吸気ダクトの壁が蛇腹状に加工された蛇腹部であり、前記変位規制部は、前記蛇腹部の一部分の山の高さを、他の部分の山の高さより低くすることにより形成されている。本発明の別の好ましい態様では、前記相対変位吸収部が前記吸気ダクトの一部に配置された可撓性の筒部材からなり、前記変位規制部は前記筒部材の一部分の肉厚を他の部分の肉厚より厚くすることにより形成されている。
更に、本発明の好ましい態様では、前記吸気ダクトは、その下流側にスロットル弁が配置される吸気ダクトである。
【0013】
このような構成によれば、高負荷でエンジンを運転した直後にスロットルを急激に戻すと、吸気ダクトの下流側がほぼ全閉されているにもかかわらず過給機からの過給圧が吸気ダクトおよびその湾曲部に作用し、吸気ダクトに瞬間的に大きな力が作用することになるが、上述したような変位規制部の作用により、このような状態でも、吸気ダクトの抜けが効果的に防止される。
【0014】
本発明のもう一つの好ましい態様では、前記吸気ダクトの上流端がエンジンに取付けられた過給機に連結され、前記吸気ダクトの下流端が車体に取付けられたインタークーラに連結されている。
【0015】
このような構成によれば、吸気ダクトの下流側に抵抗が大きいインタークーラが連結されているため、エンジンの回転数が急激に上昇し過給圧が急上昇すると、急上昇した過給圧が吸気ダクトおよびその湾曲部に作用し、吸気ダクトに瞬間的に大きな力が作用することになるが、上述したような変位規制部の作用により、このような状態でも、吸気ダクトの抜けが効果的に防止される。したがって、過給機による過給圧を大きく設定することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態の吸気ダクト10について詳細に説明する。図1は、吸気ダクト10の一部分を断面とした側面図であり、図2は、吸気ダクトとインタークーラとの連結状態を示す概略的な側面図である。
【0017】
吸気ダクト10は、自動車のエンジン吸気系に配置されるダクトであり、ポリエステル樹脂など合成樹脂を素材として、例えばブロー成形により、加工・成形されたものである。図1に示されているように、吸気ダクト10は、上流端12と、下流端14と、上流端12と下流端14との間に設けられた相対変位吸収部16とを備えている。また、上流端12と相対変位吸収部16との間には第1の湾曲部18が、下流端14と相対変位吸収部16との間には第2の湾曲部20が、それぞれ、設けられている。吸気ダクト10は、第1の湾曲部18および第2の湾曲部20で、略90度折れ曲がっている。第1の湾曲部18および第2の湾曲部20は、互いに反対方向に湾曲している。したがって、図1に示されているように、吸気ダクト10は、側方から見たとき、全体として、略S字型の形状を備えている。
【0018】
図2に示されているように、上流端12は、エンジン側ダクト22を介してエンジンに取けられたターボチャージャ(図示せず)に連結されている。また、下流端14は、インタークーラ24の上流側容積室24aに連結されている。インタークーラ24は、上流側容積室24aにボルト等で取付けられた第1のブラケット26を介して車体側部材28に固定され、更に、下流側容積室24bにボルト等で取付けられた第2のブラケット30を介して車体側部材32に固定されている。したがって、吸気ダクト10は、その上流端12が、自動車のエンジンに取付けられたターボチャージャに連結され、その下流端14が、自動車の車体側部材28、32に取付けられたインタークーラ24に連結されることになる。このため、エンジンの振動により、上流端12と下流端14との間に相対変位が生じる。
【0019】
インタークーラ24の下流側容積室24bには、インタークーラ24によって冷却された吸気をインテークマニホールドに送るダクト34の上流端が連結されている。ダクト34の下流には、スロットル弁(図示せず)が配置され、さらに、その下流にインテークマニホールドが連結されている。したがって、この吸気系は、エンジンに取付けられたターボチャージャによって過給された吸気が、吸気ダクト10の上流端12から下流端14に流れ、インタークーラ24の上流側容積室24a、熱交換部24C、下流側容積室24bを通過し、更に、ダクト34に送られてスロットル弁を通過した後、インテークマニホールドからエンジンに送り込まれるように構成されている。
【0020】
吸気ダクト10の上流端12とエンジンダクト22、及び、吸気ダクト10の下流端14とインタークーラ24の上流側容積室24aは、従来のダクトの連結と同様に、連結する部分同士を重ねて、この重なった部分をベルト状のホースクリップ36、38で締め付けることによって連結されている。
吸気ダクト10の相対変位吸収部16は、吸気ダクト10の壁を全周にわたって蛇腹状に加工することにより、形成されている。本実施形態では、相対変位吸収部16は、6つの山を有する蛇腹部とされている。上述したように、吸気ダクト10は、比較的剛性が高い部材である。しかしながら、この蛇腹状の相対変位吸収部16が可撓性を有しているので、吸気ダクト10の上流端12と下流端14との間にエンジンの振動などによる相対変位が生じても、この相対変位は、相対変位吸収部によって吸収される。
【0021】
図1および図2に示されているように、相対変位吸収部16は、上流端12側の蛇腹の山3つからなる第1部分16aと、下流端14側の蛇腹の山3つからなる第2部分16bとを備えている。そして、相対変位吸収部16の蛇腹を構成する山の高さが場所によって異なっている。詳細には、第1部分16aでは、第1の湾曲部18の湾曲方向(矢印C方向)外側に位置している部分40の山の高さが、第1部分16aの他の部分の山の高さより低くされている。更に、第1部分16aの肉厚は、山の高さに反比例している。すなわち、第1の湾曲部18の湾曲方向(矢印C方向)外側に位置している部分40の肉厚が、第1部分16aの他の部分の肉厚より厚くなっている。この結果、第1部分16aの第1の湾曲部18の湾曲方向外側に位置している部分40は、第1部分16aの他の部分に比べて吸気ダクト10の軸線方向の伸縮率が小さくなっている。このため、この部分40は、第1の湾曲部18に過給圧が作用して、第1の湾曲部18が湾曲部方向外方に変位しようとしたとき、この種の外方への変位を規制する第1の変位規制部40となる。山の高さ及び肉厚は、円周方向に沿って連続的に変化しており、第1部分16aでは、第1の湾曲部18の湾曲方向外方部分で最も山が低く且つ肉厚に、この部分と直径方向の反対側位置すなわち円周方向に180度回った位置で最も山が高く且つ肉薄になっている。
【0022】
また、第2部分16bでは、第2の湾曲部20の湾曲方向(矢印D方向)外側に位置している部分42の山の高さが、第2部分16bの他の部分の山の高さより低くされている。更に、第2部分16bの肉厚も、山の高さに反比例している。すなわち、第2の湾曲部20の湾曲方向(矢印D方向)外側に位置している部分42の肉厚が、第2部分16bの他の部分の肉厚より厚くなっている。この結果、第2部分16bの第2の湾曲部20の湾曲方向外側に位置している部分42は、第2部分16bの他の部分に比べて吸気ダクト10の軸線方向の伸縮率が小さくなっている。このため、この部分42は、第2の湾曲部20に過給圧が作用して、第2の湾曲部20が湾曲部方向外方に変位しようとしたとき、この種の外方への変位を規制する第2の変位規制部42となる。第2部分においても、山の高さ及び肉厚は、円周方向に沿って連続的に変化しており、第2の湾曲部20の湾曲方向外方部分で最も山が低く且つ肉厚に、この部分と直径方向の反対側位置すなわち円周方向に180度回った位置で最も山が高く且つ肉薄になっている。なお、ブロー成形によれば、肉厚を山の高さに反比例させることが極めて容易に達成できる。
【0023】
このような構成を有する吸気ダクト10では、第1の変位規制部40が、第1の湾曲部18に加わる過給圧による第1の湾曲部18の湾曲方向外方への変位を規制し、第2の変位規制部42が、第2の湾曲部20に加わる過給圧による第2の湾曲部20の湾曲方向外方への変位を規制する。したがって、過給機が大きな過給圧を発生させているとき、下流のスロットル弁が急に閉じられたなどの理由で、吸気ダクト10、詳細には、第1および第2の湾曲部18、20に大きな過給圧が作用しても、第1および第2の変位規制部40、42が、それぞれ、第1および第2の湾曲部18、20の外方への変位を規制するので、上流端12及び下流端14が、エンジン側ダクト22及びインタークーラ24の上流側容積室24aから抜けることが防止される。また、相対変位吸収部16は、蛇腹状に形成されているので、吸気ダクト10の上流端12と下流端14との間の相対変位を吸収できる。以上のように、吸気ダクト10は、上流端12と下流端14との相対変位を吸収する機能を維持しつつ、上流端12及び下流端14の抜けを防止できる。
【0024】
なお、相対変位吸収部の山の高さは、変位を規制しようとする湾曲部の湾曲方向外側に位置する部分が、他の部分より低ければよく、上記実施形態のように円周方向に連続的に変化していなくてもよい。
図3及び図4は、上記第1の実施形態の吸気ダクト10の変形例を示す概略的な側面図である。第1の実施形態では、相対変位吸収部16は、第1部分16aと第2部分16bとがそれぞれ3つづつの山を備えた蛇腹部であった。しかしながら、図3に示されている相対変位吸収部50のように第1部分50aと第2部分50bとの山の数が異なってもよい。図3の相対変位吸収部では、上流側の第1部分50aは、相対変位吸収部16と同様に、3つの山を有しているが、下流側の第2部分50bは2つの山しか有していない。このような構成は、第2の湾曲部に作用する過給圧が、第1の湾曲部に作用する過給圧より小さいときなどに採用される。
【0025】
また、図4に示されているように、相対変位吸収部56の山の高さが、第1の湾曲部の湾曲方向外側では、上流側で最も低くそして上流から下流に向かって連続的に高くなるように、また、第1の湾曲部の湾曲方向内側すなわち第2の湾曲部の湾曲方向外側では、上流側で最も高くそして上流から下流に向かって連続的に低くなるように構成してもよい。なお、図3及び図4の吸気ダクトは、山の数または、山の高さの変化以外の点では、上記第1の実施形態の吸気ダクト10と同一の構成を備えている。
【0026】
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態の吸気ダクト60を詳細に説明する。
図5は、吸気ダクト60が吸気系に取付けられている状態の概略的な側面図である。図5から明らかなように、吸気ダクト60は、吸気ダクト10と同様に、エンジン側ダクト22と、インタークーラ24の上流側容積室24aとの間に取付けられている。吸気ダクト60と吸気ダクト10の相違点は、吸気ダクト60は1つの湾曲部62および1つの変位規制部64を備えている点である。以下、この相違点について説明する。吸気ダクト60は、吸気ダクト10と同様に、円筒形状の合成樹脂の筒体であり、上流端66と、下流端68と、上流端66側に設けられた相対変位吸収部64と、下流端66側に設けられた湾曲部62とを備えている。相対変位吸収部64は、相対変位吸収部16と同様に、吸気ダクト60の壁を蛇腹状に加工することによって形成されている。相対変位吸収部64の山の高さは、湾曲部62の湾曲方向外側が低くされ、この部分が吸気ダクト60の軸線方向の収縮率が小さい変位規制部70とされている。すなわち、湾曲部62と変位規制部70とは、上記第1の実施形態の第2の湾曲部20と第2の変位規制部42との関係と同様に位置関係を有している。したがって、湾曲部62に過給圧が作用して、湾曲部62が湾曲方向外方に変位しようとしても、変位規制部42の作用で、湾曲部62の変位が規制され、第1の実施形態同様に、吸気ダクト60の端の抜けが防止される。
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第3の実施形態の吸気ダクト80を詳細に説明する。
【0027】
図6は、吸気ダクト80が吸気系に取付けられている状態の概略的な側面図であり、図7は図6のVII−VII線に沿った横断面図である。図6から明らかなように、吸気ダクト80は、基本的には、吸気ダクト10と同様の構成を備えている。吸気ダクト80と吸気ダクト10の相違点は、吸気ダクト80は、第1の湾曲部18と第2の湾曲部20との間に設けられている相対変位吸収部が、ゴム製のパイプであり、変位規制部が、ゴムパイプの厚さを変えることにより形成されている点である。それ以外の点は、吸気ダクト10と同一であるので、同一部分には、図1または図2と同じ参照番号を付し、説明を省略する。以下、吸気ダクト10との相違点について説明する。
【0028】
図6に示されているように、吸気ダクト80では、相対変位吸収部82が、第1の湾曲部18と第2の湾曲部20との間に、配置されたゴム製パイプによって構成されている。詳細には、相対変位吸収部82は、比較的剛性の高い合成樹脂製の筒体である吸気ダクト80の一部分を、可撓性筒部材であるゴム製パイプ82に置き換えることによって形成されている。ゴム製パイプ82は、ホースクランプ84、86で、吸気ダクト80の第1の湾曲部18と第2の湾曲部20との間に連結されている。図7に示されてるように、ゴム製パイプ82は、第1の湾曲部18の湾曲方向外側に位置している部分の厚さが、他の部分の厚さより厚く形成されている。詳細には、円周方向に連続的に厚さが変化しており、第1の湾曲部18の湾曲方向外側に位置している部分で最も厚く、その反対側で最も薄くなるように形成されている。このような厚さの変化によって、第1の湾曲部18の湾曲方向外側に位置している部分88の吸気ダクト80軸線方向の伸縮率が、他の部分より小さくなり、この収縮率の小さな部分が、変位規制部88となる。この変位規制部88は、吸気ダクト10の第1の変位規制部40と同様の作用をする。
【0029】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなくて、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、両端間での相対変位を吸収しつつ、過給圧による抜けを防止することができる吸気ダクトが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の吸気ダクトの一部分を断面とした側面図である。
【図2】図1の吸気ダクトとインタークーラとの連結状態を示す概略的な側面である。
【図3】図1の実施形態の吸気ダクトの変形例を示す概略的な側面図である。
【図4】図1の実施形態の吸気ダクトの他の変形例を示す概略的な側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の吸気ダクトが吸気系に取付けられている状態の概略的な側面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の吸気ダクトが吸気系に取付けられている状態の概略的な側面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】従来技術の吸気ダクトの概略的な側面図である。
【符号の説明】
10:吸気ダクト
12:上流端
14:下流端
16:相対変位吸収部
16a:第1部分
16b:第2部分
18:第1の湾曲部
20:第2の湾曲部
22:エンジン側ダクト
24:インタークーラ
40:第1の変位規制部
42:第2の変位規制部

Claims (8)

  1. 過給機の下流側に連結され、上流端と、下流端と、前記上流端と下流端との間に設けられた湾曲部と、前記上流端と下流端との間に設けられ前記上流端と下流端との間の相対変位を吸収する相対変位吸収部とを有する吸気ダクトであって、
    前記相対変位吸収部の一部分に、前記吸気ダクト軸線方向の伸縮率が該相対変位吸収部の他の部分の前記伸縮率より小さく前記湾曲部の湾曲方向外方への変位を規制する変位規制部が設けられていることを特徴とする吸気ダクト。
  2. 前記変位規制部が、前記相対変位吸収部の前記湾曲部の湾曲方向外側に位置している部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト。
  3. 前記湾曲部が、前記上流端と前記相対変位吸収部との間に設けられた第1の湾曲部と、前記相対変位吸収部と前記下流端との間に設けられ該第1の湾曲部と反対方向に湾曲している第2の湾曲部とを備え、
    前記変位規制部が、前記第1の湾曲部の湾曲方向外側に位置している第1の変位規制部と、前記第2の湾曲部の湾曲方向外側に位置している第2の変位規制部とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の吸気ダクト。
  4. 前記第1の変位規制部が前記第1の湾曲部側に配置され、前記第2の変位規制部が前記第2の湾曲部側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の吸気ダクト。
  5. 前記相対変位吸収部が、前記吸気ダクトの壁が蛇腹状に加工された蛇腹部であり、前記変位規制部は、前記蛇腹部の一部分の山の高さを、他の部分の山の高さより低くすることにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の吸気ダクト。
  6. 前記相対変位吸収部が、前記吸気ダクトの一部に配置された可撓性の筒部材からなり、前記変位規制部は、前記筒部材の一部分の肉厚を他の部分の肉厚より厚くすることにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の吸気ダクト。
  7. 前記吸気ダクトは、その下流側にスロットル弁が配置される吸気ダクトであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の吸気ダクト。
  8. 前記吸気ダクトの上流端がエンジンに取付けられた過給機に連結され、前記吸気ダクトの下流端が車体に取付けられたインタークーラに連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載の吸気ダクト。
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