JP4090093B2 - モリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体を含有する紫外線防御用皮膚外用剤 - Google Patents

モリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体を含有する紫外線防御用皮膚外用剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は波長320〜380nmの長波長紫外線(UVA)吸収性に優れる薄片状粉体、及びUVA防御能に優れる化粧料等の皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、その結晶内部にモリブデンを含有する酸化チタンを被覆した薄片状粉体を含有する紫外線防御用皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長290〜320nmの中波長紫外線(UVB)は紅斑生成等日焼けによる炎症反応を生じるが、近年UVAが皮膚の真皮にまで到達し、ヒドロキシラジカルや一重項酸素といった活性酸素種の生成を惹起する等して、真皮弾性組織の傷害を引き起こし、皮膚のしわの形成,弾性の低下といった老化症状を進行させることが明らかとなるにつれ、優れたUVA防御能を有する紫外線吸収剤の需要が高くなっている。
【0003】
これに対し、被覆性の高い酸化チタン、特に粒子径が100nm以下の微粒子酸化チタンは良好な透明性を有し、紫外線吸収性に優れるため、紫外線の防御を目的とした皮膚外用剤によく配合されているが、その紫外線吸収性はUVBにおいて高く、UVAに対する吸収性は低い。また皮膚外用剤の剤型によっては、微粒子酸化チタンを良好に分散させるのが難しく、その紫外線吸収性を有効に発揮させることができないことがある。タルク,カオリン,雲母等の薄片状粉体も皮膚外用剤には基剤成分として汎用され、その形状に由来する滑性により良好な使用感を付与し、塗布面をも効果的に被覆することができるが、紫外線防御効果はほとんど有していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、UVBに加えてUVAに対しても高い防御能を有する薄片状粉体を提供し、さらに、特にUVAに起因する皮膚の光老化や傷害を有効に防止し得る皮膚外用剤を提供することを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため種々検討を行った結果、酸化チタンの結晶内部にモリブデンを含有させ、複合化することにより、紫外部吸収スペクトルが長波長側にシフトし、UVB〜UVAの広範囲において良好な紫外部吸収を示すようになることを見いだし、さらにこの複合化酸化チタンで薄片状粉体を被覆することにより、皮膚外用剤への配合に適するUVB,UVA吸収性粉体を得て、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明においては、酸化チタンの結晶内部に、モリブデンを酸化チタンに対し0.1〜20重量%含有するモリブデン含有酸化チタンを薄片状の粉体表面に被覆し、皮膚外用剤に含有させる。
【0007】
なお、微粒子酸化チタンの結晶内部に鉄成分を含有させることにより、UVAに対する吸収性が向上することはすでに開示されている(特開平5−330825)が、モリブデンを複合化することにより良好なUVB及びUVA吸収性が得られることについては全く知られていない。
【0008】
【作用】
本発明に係るモリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体は、280〜380nmの広範囲にわたり十分な紫外部吸収スペクトルを示し、UVB及びUVAの双方に対し良好な吸収を示す。また、皮膚外用剤添加原料としても優れ、特にUVAに起因する皮膚の光老化又は傷害を有効に防止し得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、モリブデンを含有する酸化チタンを被覆した薄片状粉体を調製するには、硫酸チタニルをモリブデン塩及び薄片状粉体の存在下に加水分解し、生成した粉体を洗浄,乾燥後、焼成する沈着法や、あらかじめモリブデンを含有する酸化チタン粒子を調製した後、これらを物理化学的な混合摩砕法(乾式又は湿式)により被覆する方法などを採ることができる。被覆率の制御の容易さや被覆の均一性を考慮すると沈着法が好ましく、被覆するモリブデン含有被覆酸化チタン粒子の粒子径を制御できる点では、物理化学的な混合摩砕法が好ましい。モリブデン含有酸化チタン被覆粉体の使用目的に応じて、前記調製法より最適な方法を採用することができる。
【0010】
なお、あらかじめモリブデンを含有する酸化チタン粒子を調製する方法としては、硫酸チタニルを加水分解し、その際にモリブデン塩を添加して、不溶性の含水酸化チタンとして沈殿させる方法や、冷却したモリブデン塩水溶液に尿素を溶解し、塩化チタンを加えて低温で熟成後、加温して沈殿を生成させる方法を採ることができる。この場合には、尿素の添加やアルカリ水溶液の滴下により、pHを調整することができる。
【0011】
薄片状粉体上に被覆する酸化チタンに複合化させるモリブデンの量としては、UVB及びUVAに対する吸収性及び成形性等を考慮すると、酸化チタンに対し、0.1〜20重量%とすることが好ましい。また薄片状粉体に対するモリブデン含有酸化チタンの被覆量としては、UVB及びUVA防御効果及び使用性等を考慮すると、1.0〜60.0重量%程度が適切である。
【0012】
本発明において、モリブデンを含有する酸化チタンを被覆する薄片状粉体としては、薄片状の粒子形状を有し、化粧料をはじめ皮膚外用剤用として用いられるものであれば特に限定されることなく使用できる。好ましい例として、タルク、ディッカイト,ナクライト,カオリナイト,アノーキサイト等のカオリン類、ハロイサイト類、リザルダイト,6−層蛇紋石,アンチゴライト等の蛇紋石類、モンモリロナイト,ザウコナイト,バイデライト,ノントロナイト,サボナイト,ヘクトライト,ソーコナイト等のモンモリロナイト鉱物類、バーミキュライト類、イライト,セリサイト等の雲母類、パイロフィライト類等の粘土鉱物や、合成雲母などが挙げられる。粘土鉱物は劈開処理を行い、薄片状粒子として用いることが好ましい。
【0013】
本発明に係るモリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体は、そのままで皮膚外用剤に含有させることもできるが、さらに各種シリコーン類により疎水化処理したり、フッ素系樹脂により撥油性を持たせたりして使用することもできる。
【0014】
また、本発明に係る皮膚の光老化,傷害を防止するための皮膚外用剤は、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム、軟膏等の剤型で提供することができる。特に、紫外線による皮膚の老化や皮膚傷害を防御するための化粧料として好適で、化粧水、乳液、クリームといった皮膚用化粧料、メイクアップベースローション或いはクリーム、乳液状,クリーム状,油性軟膏状,ケーキ型,ツーウェイ型の各種ファンデーションといったメイクアップ化粧料、粉おしろい、ハンドローション又はクリーム、レッグローション又はクリーム、ボディローション又はクリームといった身体用化粧料等として提供し得る。本発明に係るモリブデンを含有する酸化チタン被覆薄片状粉体の皮膚外用剤における含有量としては、各種皮膚外用剤において通常含有させるのと同程度でよいが、0.1〜80重量%程度が適切である。
【0015】
さらに本発明に係る皮膚外用剤においては、他の紫外線防止剤或いは散乱剤の他、油剤,アルコール類,界面活性剤,保湿剤,細胞賦活剤,美白剤,抗酸化剤,防腐剤,香料,顔料等、一般的に皮膚外用剤に配合される成分を含有させることができる。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の特徴についてさらに詳細に説明する。
【0017】
まず、沈着法により調製したタングステン含有酸化チタン被覆薄片状粉体、及びモリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体として、製造例1〜製造例10について表1に示した。表1中の被覆量は、最終目的産物であるモリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体に対するモリブデン含有酸化チタンの重量を示す。これらは、硫酸チタニル、モリブデン酸ナトリウム、尿素を精製水に溶解し、次いで薄片状粉体を分散し、85〜95℃で加熱攪拌し、pH8〜9で生成する粉体を回収して精製水で洗浄し、乾燥後700℃で焼成して調製する。
【表1】
Figure 0004090093
【0018】
続いて、物理化学的な混合摩砕法による調製例を示す。硫酸チタニル400.4g及びタングステン酸ナトリウム二水和物2.9gと尿素400gを精製水1.0lに添加して加熱加水分解し、不溶性の白色含水酸化チタンとして沈殿させる。この沈殿を、粒子径が20〜70nm(平均粒子径50nm)となるように調節して回収する。これをか焼し、タングステン含有微粒子酸化チタンとする。得られた微粒子酸化チタン中には、酸化チタンに対し1.0重量%のタングステンが含まれていた。この微粒子酸化チタン50gとタルク100gとをボールミル中で混合摩砕して、タングステン含有微粒子酸化チタン被覆薄片状粉体150gを得、製造例11とした。
【0019】
また、五塩化モリブデン3.8gと尿素600gを精製水1.0lに溶解し、5℃に冷却する。これに塩化チタン(IV)475.0gを添加し、5℃で2時間熟成する。次いで85℃に加熱して沈殿を生成させ、得られた沈殿を、粒子径が20〜70nm(平均粒子径50nm)となるように調節し、回収する。これをか焼し、モリブデン含有微粒子酸化チタンとする。得られた微粒子酸化チタン中には、酸化チタンに対し1.0重量%のモリブデンが含まれていた。このモリブデン含有微粒子酸化チタン50gとノントロナイト100gとをボールミル中で混合摩砕して、モリブデン含有微粒子酸化チタン被覆ノントロナイト150gを得、製造例12とした。
【0020】
次に、製造例1〜製造例10に係るタングステン又はモリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体を、特公昭56−43264に示される方法に従ってシリコーン処理した。すなわち、前記粉体各150gを水酸化アルミニウム0.46gとともにボールミル中にて1時間混合摩砕後、SiH当量65のメチル水素ポリシロキサン3.7gを添加し、3時間常温で混合摩砕した。その際に発生する水素ガスを空気とともに流出させて除去し、次いでセバシン酸0.9gを添加し、1時間中和反応を行って、目的のシリコーン処理タングステン又はモリブデン含有酸化チタン被覆薄片状粉体を得、製造例13〜製造例22とした。
【0021】
製造例11に係るタングステン含有微粒子酸化チタン被覆タルク、及び製造例12に係るモリブデン含有微粒子酸化チタン被覆ノントロナイトを、上記と同様特公昭56−43264に示される方法に従ってシリコーン処理した。すなわち、前記微粒子被覆粉体各130gを水酸化カルシウム0.15gとともにボールミル中にて1時間混合摩砕後、SiH当量70のメチル水素ポリシロキサン11.8gを添加し、3時間常温で混合摩砕した。その際に発生する水素ガスを空気とともに流出させて除去し、次いでエチレンジアミン四酢酸0.4gを添加し、1時間中和反応を行って、目的のシリコーン処理タングステン又はモリブデン含有微粒子酸化チタン被覆粉体を得、製造例23及び製造例24とした。
【0022】
製造例1のタングステン含有酸化チタン被覆タルク、及び製造例7のモリブデン含有酸化チタン被覆セリサイトについて、各波長の紫外線に対する防御指数(Monochrom Protection Factor)を、290〜400nmの範囲で測定した。比較のため、タングステン等の複合化処理を行わない酸化チタン被覆タルク及びセリサイトについても同時に測定を行った。測定は、各試料を0.5mg/cm2 となるようにテープに塗布し、SPFアナライザーを用いて行った。結果は図1に示した。
【0023】
図1において、本発明の製造例1(1)及び製造例7(2)は、タングステンを複合化処理していない酸化チタン被覆タルク(3)及びモリブデンを複合化処理していない酸化チタン被覆セリサイト(4)に比べ、明らかに長波長側においても高いMonochrom Protection Factorが維持されており、290〜380nmと、UVB領域及びUVA領域の双方において良好な紫外線防御性を示すことが認められた。
【0024】
続いて、本発明に係る皮膚外用剤としての実施例の処方を示す。
【0025】
参考例25] 二層式化粧水
(1)エタノール 15.00(重量%)
(2)グリセリン 2.00
(3)1,3−ブチレングリコール 2.00
(4)ベンガラ 0.15
(5)酸化亜鉛 0.50
(6)タングステン含有酸化チタン被覆タルク 2.00
製造例1)
(7)カンファー 0.20
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(9)香料 0.10
(10)精製水 77.95
製法:(1)〜(3)を混合し、これに(8),(9)を添加,溶解する。(7)を(10)に溶解し、これに前記溶液を混合した後、(4)〜(6)を混合して湿潤分散する。
【0026】
[実施例26] 皮膚用乳剤
(1)ステアリン酸 0.20(重量%)
(2)セタノール 1.50
(3)ワセリン 3.00
(4)流動パラフィン 7.00
(5)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.50
モノステアリン酸エステル
(6)酢酸トコフェロール 0.50
(7)グリセリン 3.00
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.10
(9)水酸化カリウム 0.02
(10)精製水 78.18
(11)モリブデン含有酸化チタン被覆カオリン 5.00
製造例6)
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,加熱して均一に溶解し、70℃に保つ。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合,加熱して均一とし、70℃とする。この水相成分に前記油相成分を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、冷却後(11)を添加,分散する。
【0027】
参考例27] 皮膚用ゲル剤
(1)ジプロピレングリコール 10.0(重量%)
(2)カルボキシビニルポリマー 0.5
(3)水酸化カリウム 0.1
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(5)精製水 79.3
(6)タングステン含有酸化チタン被覆 10.0
モンモリロナイト(製造例3)
製法:(5)に(2)を均一に溶解した後、(1)に(4)を溶解して添加し、次いで(6)を添加分散し、攪拌しながら(3)を加えて増粘させる。
【0028】
[実施例28] 皮膚用クリーム
(1)ミツロウ 6.0(重量%)
(2)セタノール 5.0
(3)還元ラノリン 8.0
(4)スクワラン 27.5
(5)グリセリルモノステアリン酸エステル 5.0
(6)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 5.0
モノラウリン酸エステル
(7)プロピレングリコール 5.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 26.4
(10)タングステン含有酸化チタン被覆バイデライト 6.0
製造例5)
(11)モリブデン含有酸化チタン被覆サポナイト 6.0
製造例8)
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。一方、(7)〜(9)の水相成分を混合,溶解して、(10)及び(11)を添加分散した後75℃に加熱する。この水相成分に前記油相成分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却する。
【0029】
[実施例29] 水中油型乳剤性軟膏
(1)白色ワセリン 25.0(重量%)
(2)ステアリルアルコール 25.0
(3)グリセリン 12.0
(4)ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
(5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(6)精製水 30.9
(7)タングステン含有微粒子酸化チタン被覆タルク 3.0
製造例11)
(8)モリブデン含有酸化チタン被覆パイロフィライト 3.0
製造例9)
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合,加熱して均一に溶解し、75℃に保つ。一方、(5),(6)の水相成分を混合,加熱し、(7),(8)を添加分散した後75℃とする。この水相成分に前記油相成分を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、冷却する。
【0030】
[実施例30] 油中水型エモリエントクリーム
(1)流動パラフィン 30.0(重量%)
(2)マイクロクリスタリンワックス 2.0
(3)ワセリン 5.0
(4)ジグリセリルオレイン酸エステル 5.0
(5)L-グルタミン酸ナトリウム 1.6
(6)L-セリン 0.4
(7)プロピレングリコール 3.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 45.3
(10)香料 0.1
(11)シリコーン処理モリブデン含有酸化チタン 7.5
被覆カオリン(製造例18)
製法:(5),(6)を(9)の一部に溶解して50℃とし、50℃に加温した(4)に攪拌しながら徐々に添加する。これをあらかじめ混合し70℃に加熱溶解した(1)〜(3)に均一に分散し、次いで(11)を添加分散して油相とする。一方、(7),(8)を(9)の残部に溶解して70℃に加熱し、水相とする。この水相を前記油相に攪拌しながら徐々に添加し、ホモミキサーにて乳化する。冷却後40℃にて(10)を添加,混合する。
【0031】
参考例31] メイクアップベースクリーム
(1)ステアリン酸 12.0(重量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリルトリ2−エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)自己乳化型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0
(5)プロピレングリコール 10.0
(6)水酸化カリウム 0.3
(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(8)精製水 69.0
(9)タングステン含有酸化チタン被覆イライト 1.0
製造例4)
(10)酸化チタン 0.5
(11)ベンガラ 0.1
(12)黄酸化鉄 0.4
(13)香料 0.1
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃に加熱して均一とする。一方(5)〜(8)の水相成分を混合し、加熱,溶解して均一とし、これに(9)〜(12)の顔料を添加し、ホモミキサーにて均一に分散させ、75℃とする。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化した後冷却し、40℃にて(13)を添加,混合する。
【0032】
[実施例32] 乳液状ファンデーション
(1)ステアリン酸 2.0(重量%)
(2)スクワラン 5.0
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(4)セタノール 1.0
(5)デカグリセリルモノイソパルミチン酸エステル 9.0
(6)1,3-ブチレングリコール 6.0
(7)水酸化カリウム 0.1
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)精製水 54.6
(10)タングステン含有酸化チタン被覆タルク 2.5
製造例1)
(11)タングステン含有微粒子酸化チタン被覆タルク 5.0
製造例11)
(12)モリブデン含有微粒子酸化チタン被覆 2.5
ノントロナイト(製造例12)
(13)酸化チタン 3.0
(14)タルク 2.4
(15)ベンガラ 0.5
(16)黄酸化鉄 1.1
(17)黒酸化鉄 0.1
(18)香料 0.1
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合し、75℃に加熱して均一とする。一方(6)〜(9)の水相成分を混合し、加熱,溶解して均一とし、これに(10)〜(17)の顔料を添加し、ホモミキサーにて均一に分散させ、75℃とする。この水相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化した後冷却し、40℃にて(18)を添加,混合する。
【0033】
[実施例33] 油性軟膏型ファンデーション
(1)流動パラフィン 24.83(重量%)
(2)パルミチン酸イソプロピル 15.00
(3)ラノリンアルコール 2.00
(4)酢酸ラノリン 3.00
(5)マイクロクリスタリンワックス 7.00
(6)オゾケライト 8.00
(7)キャンデリラロウ 0.50
(8)酢酸トコフェロール 0.50
(9)パラオキシ安息香酸ブチル 0.02
(10)シリコーン処理モリブデン含有酸化チタン 14.00
被覆カオリン(製造例18)
(11)シリコーン処理タングステン含有微粒子 6.00
酸化チタン被覆タルク(製造例23)
(12)酸化チタン 15.00
(13)ベンガラ 2.00
(14)黄酸化鉄 1.65
(15)黒酸化鉄 0.35
(16)香料 0.15
製法:(1)〜(9)の基剤成分を混合し、加熱融解して均一とする。これにあらかじめ混合した(10)〜(15)の顔料成分を加え、ロールミルで混練する。混練物を再融解し、ゆっくり攪拌して泡を浮上させ、次いで冷却し、60℃で(16)を添加,混合し、容器に流し込んで放冷,固化する。
【0034】
[実施例34] パウダーファンデーション
(1)タングステン含有酸化チタン被覆雲母(製造例2)10.0(重量%)
(2)モリブデン含有酸化チタン被覆合成雲母 10.0
(製造例10)
(3)ベンガラ 3.0
(4)黄酸化鉄 2.5
(5)黒酸化鉄 0.5
(6)ナイロンパウダー 10.0
(7)酸化チタン 8.0
(8)タルク 46.0
(9)流動パラフィン 4.8
(10)ミリスチン酸オクチルドデシル 2.5
(11)ワセリン 2.5
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(13)香料 0.1
製法:(1)〜(8)の顔料を混合し、粉砕機を通して粉砕した後、高速ブレンダーに移し、あらかじめ混合した(9)〜(13)を添加して均一に混合する。これを粉砕機で処理し、ふるいを通して粒度をそろえた後、金皿に充填し、圧縮成型する。
【0035】
[実施例35] ツーウェイタイプファンデーション
(1)シリコーン処理タングステン含有酸化チタン 10.0(重量%)
被覆タルク(製造例13)
(2)シリコーン処理モリブデン含有酸化チタン被覆 5.0
セリサイト(製造例19)
(3)シリコーン処理モリブデン含有酸化チタン被覆 5.0
サポナイト(製造例20)
(4)シリコーン処理セリサイト 25.0
(5)シリコーン処理タルク 25.4
(6)シリコーン処理カオリン 5.0
(7)シリコーン処理ベンガラ 2.5
(8)シリコーン処理黄酸化鉄 2.0
(9)シリコーン処理黒酸化鉄 0.1
(10)ポリエチレン粉末 10.0
(11)流動パラフィン 3.8
(12)スクワラン 2.0
(13)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(15)香料 0.1
製法:(1)〜(10)の顔料を混合し、粉砕機を通して粉砕した後、高速ブレンダーに移し、あらかじめ混合した(11)〜(15)を添加して均一に混合する。これを粉砕機で処理し、ふるいを通して粒度をそろえた後、金皿に充填し、圧縮成型する。
【0036】
[実施例36] 粉おしろい
(1)タルク 74.0(重量%)
(2)カオリン 5.0
(3)タングステン含有微粒子酸化チタン被覆タルク 3.0
製造例11)
(4)モリブデン含有酸化チタン被覆セリサイト 7.0
製造例7)
(5)ミリスチン酸亜鉛 5.0
(6)炭酸マグネシウム 5.0
(7)ベンガラ 0.5
(8)黄酸化鉄 0.4
(9)香料 0.1
製法:(1)と(7),(8)とをブレンダーで混合する。これに(2)〜(6)を添加し、混合,調色した後、(9)を噴霧し均一に混合する。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通す。
【0037】
[実施例37] サンスクリーンクリーム
(1)スクワラン 40.0(重量%)
(2)グリセリルジイソステアリン酸エステル 3.0
(3)有機変性モンモリロナイト 1.5
(4)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル 3.0
(5)オキシベンゾン 1.5
(6)1,3-ブチレングリコール 5.0
(7)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(8)精製水 39.8
(9)シリコーン処理タングステン含有酸化チタン被覆 3.0
モンモリロナイト(製造例15)
(10)シリコーン処理モリブデン含有微粒子 3.0
酸化チタン被覆ノントロナイト(製造例24)
(11)香料 0.1
製法:(1)〜(5)の油相成分を混合,加熱し、(9),(10)を添加してホモジナイザーにより分散し、70℃とする。一方、(6)〜(8)の水相成分を混合,加熱溶解して70℃とする。この水相を前記油相にホモジナイザー処理を行いながら添加して乳化し、冷却後(11)を添加,混合する。
【0038】
上記参考例25、27、31、及び実施例26、28〜30、32〜37について、UVAによる皮膚の老化に対する防御効果を評価した。その際、本発明の各参考例並びに実施例に含有させたタングステン又はモリブデン含有酸化チタン、或いはタングステン又はモリブデン含有微粒子酸化チタン被覆薄片状粉体(製造例1〜製造例24)を、タングステン等の複合化処理を行わない同粒子径の酸化チタン又は微粒子酸化チタンで被覆した薄片状粉体、又はそれらのシリコーン処理物に代替してそれぞれ比較例1〜比較例13とし、同時に評価した。
【0039】
UVAによる皮膚の老化に対する防御能の評価は、ヘアレスマウス5匹を1群とし、各群について実施例及び比較例をそれぞれ1日1回背部に塗布し、1J/cm2/週のUVAを50週間照射し、ヘアレスマウスにおけるしわの発生状況を観察し、表2に示す判定基準に従って点数化して行った。この際、精製水のみを塗布した群を対照とした。結果は各群の平均値を算出し、UVA照射日数との関係により表3に示した。
【表2】
Figure 0004090093
【0040】
【表3】
Figure 0004090093
表3において、対照ではUVA照射日数が40週に達する頃には中程度のしわの発生が認められ、50週間照射後には深いしわの発生が認められていた。これに対し、本発明の実施例塗布群では全群においてしわの発生抑制が認められ、50週間照射後においても、微小なしわ又は軽微なしわを認めたに過ぎなかった。特に、タングステン又はモリブデン含有酸化チタン又は微粒子酸化チタン被覆薄片状粉体含有量の多い実施例33、さらに顔料を多く含有する実施例34,実施例35、他の紫外線吸収剤を併用する実施例37塗布群においては、非常に高いしわ発生防御効果が見られた。これに対し、本発明の各実施例に対応する比較例塗布群では、対照に比べて発生するしわの程度の軽減は見られたが、各実施例塗布群に比べてその軽減効果は有意に低かった。
【0041】
続いて、本発明の実施例32〜実施例35及び実施例37と、比較例8〜比較例11及び比較例13について、Sun Protection Factor(SPF)及びProtection Factor of UVA(PFA)の測定を、日本化粧品工業連合会による測定法基準に従って行った。その結果を表4に示した。
【0042】
【表4】
Figure 0004090093
表4より明らかなように、本発明の実施例32〜実施例35及び実施例37では、UVB及びUVA双方に対しかなり高い防御効果を有していた。これに対し、比較例8〜比較例11及び比較例13では、それぞれ対応する実施例と同程度のSPF値を示していたが、PFA値については各実施例に比べて低く、UVA防御能に劣ることが示された。
【0043】
また、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル3.0重量%及びオキシベンゾン1.5重量%と、低濃度の紫外線吸収剤を併用する実施例37において、非常に優れた光老化防止効果と高いSPF値及びPFA値が認められたことから、本発明に係るモリブデン含有酸化チタン、或いはモリブデン含有微粒子酸化チタン被覆薄片状粉体を併用することにより、化学的な紫外線吸収剤の配合量を低減して、より安全性の高い紫外線防御用皮膚外用剤を提供し得ることが示唆された。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、UVBに加えてUVAに対しても高い防御能を有する酸化チタン又は微粒子酸化チタン被覆薄片状粉体を提供し、さらに、特にUVAに起因する皮膚の光老化や傷害を有効に防止し得る皮膚外用剤を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造例1及び製造例7について、290〜400nmにおけるMonochrom Protection Factorを、タングステン又はモリブデンを含有しない酸化チタンで被覆した薄片状粉体と比較して示す図である。
【符号の説明】
製造例1
製造例7
3 タングステンを含有しない酸化チタンで被覆したタルク
4 モリブデンを含有しない酸化チタンで被覆したセリサイト

Claims (3)

  1. 結晶内部にモリブデンを0.1〜20重量%含有して成る酸化チタンを被覆した薄片状粉体を含有して成ることを特徴とする紫外線防御用皮膚外用剤
  2. 請求項1に記載したモリブデンを含有する酸化チタンを被覆した薄片状粉体と、タングステンを含有する酸化チタンを被覆した薄片状粉体を含有して成ることを特徴とする紫外線防御用皮膚外用剤
  3. 皮膚外用剤が化粧料であることを特徴とする、請求項1または2記載の紫外線防御用皮膚外用剤
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