JP4087893B2 - 遊技機の基板ケース装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、遊技を制御する制御基板を基板ケース内に収容した遊技機の基板ケース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシン、パチンコ機等の遊技機においては、遊技を制御するCPU、RAM,ROM等の電子部品を実装した制御基板を透明な基板ケース内に収容し、制御基板の電子部品を不正に交換する等の不正改造ができないように、基板ケースの封止部を、合成樹脂製の封止手段により固定することによって、基板ケースを封止している。また、制御基板を検査するとき等、基板ケースを開封する必要がある場合には、封止手段により固定された封止部の切断部をニッパー等の工具で切断するようになっている(例えば、特開平11−239650号公報参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の特許文献1に記載された遊技機の基板ケース装置は、基板ケースの封止部を固定している封止手段の先端を不正具で弾性変形させる等して、封止手段を封止部から取り外す不正行為を阻止するため、基板ケースに高周波接着等により裏板を接着し、この裏板で封止手段の先端が係合している部分を閉鎖することにより、封止手段の取り外しを阻止している。しかし、この構造では、接着された裏板を不正に加工することにより、封止手段の不正な取り外しが可能であるとともに、裏板を基板ケースに接着する等の複雑な作業を必要としてコストの上昇を招く等の問題を有する。
【0004】
本発明は、従来の問題に鑑み、不正行為による封止手段の取り外しを阻止して、基板ケースの不正な開封を防止するようにした遊技機の基板ケース装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0005]
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)第1ケース体及び該第1ケース体の表面に開閉自在に装着される第2ケース体を有し、前記両ケース間に遊技動作を制御する制御基板を収容せしめる合成樹脂製の基板ケースを備え、前記第2ケース体に設けられた第2封止部を、前記第1ケース体に設けられ、かつ該第2封止部の裏面側に相対する第1封止部に、封止手段により固定することにより、前記基板ケースの開封を実質的に不能にした遊技機の基板ケース装置において、前記第1封止部は、表裏方向を向く筒部と、該筒部の裏側を閉鎖する裏面壁と、前記筒部の表側に設けられる表面壁とを一体的に形成してなり、前記表面壁に、前記筒部内の内部孔より小径の縮径孔を穿設するとともに、前記筒部に、その長手方向と直交する方向から前記内部孔を成型するための樹脂成型の型を抜くときに形成される前記内部孔に通じる開口部を形成し、前記第2封止部は、前記第1封止部の外側に嵌合して、前記開口部を閉鎖し得るように筒状をなし、前記封止手段は、合成樹脂材料で形成されるとともに、一端部に設けられた鍔部から突出し、前記第2封止部に表面側から挿入される軸部と、該軸部の他端部外周に径方向へ弾性変形可能に設けられ、前記第1封止部の内部孔に進入して前記第1封止部に抜止め係合可能な弾性爪とを有する。
[0006]
(2)上記(1)項において、封止手段の弾性爪は、第1封止部の表面壁の縮径孔を弾性変形しつつ通過して内部孔に進入して、前記表面壁の裏面側に係合する。
[0007]
(3)上記(1)または(2)項において、封止手段は、軸部が第2封止部に浅く挿入されることにより、弾性爪が前記第2封止部に抜止め係合する仮止め状態となり、また、該仮止め状態からさらに深く挿入されることにより、前記弾性爪が第1封止部に抜止め係合する本止め状態となる。
[0008]
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、封止手段は、軸部における鍔部と弾性爪との間に設けられ、本止め状態のとき、第2封止部に抜止め係合可能な他の弾性爪を有する。
[0009]
(5)上記(4)項において、封止手段の他の弾性爪は、弾性爪が第1封止部の縮径孔を通過するとき、それと同時に第2封止部に設けた縮径孔を通過して、第2封止部内で抜止め係合する。
発明の効果
[0010]
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
(a)請求項1記載の発明によると、第1封止部の裏面を閉鎖した状態で、第1封止部に内部孔の成形が可能となるとともに、開口部を含む内部孔が、第1封止部の外周に嵌合した第2封止部により閉鎖されるため、内部孔内で抜止め係合している封止手段の弾性爪を不正に変形させる等の行為を阻止して、基板ケースの不正な開封を確実に防止することができる。
[0011]
(b)請求項2記載の発明によると、封止手段の弾性爪が、内部孔に進入した状態で表面壁の裏側に係合することにより、封止手段は第1封止部に確実に抜け止め係合する。
[0012]
(c)請求項3記載の発明によると、封止手段を第2封止部に仮止めすることができ、封止手段の管理及び取付け作業の効率化を図ることができる。
[0013]
(d)請求項4記載の発明によると、封止手段が本止め状態にあるとき、弾性爪及び他の弾性爪の2ヶ所が抜止め係合するため、封止手段の抜止めを強固にすることができる。また、封止手段を本止め状態にするときの押し込み力は、仮止め状態にするときの押し込み力より強い力を必要とするため、封止手段を仮止め状態にする際、誤って本止め状態にしてしまうことを未然に防止することができる。
[0014]
(e)請求項5記載の発明によると、封止手段の他の弾性爪が第2封止部から露出しないため、封止手段の他の弾性爪が不正に変形させられる等の行為を阻止することができ、封止手段の不正な取り外しを確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
[0015]
[図1]本発明を適用した遊技機の正面図である。
[図2]前扉を開けた状態の遊技機の正面図である。
[図3]制御基板ユニットの斜視図である。
[図4]制御基板ユニットの分解斜視図である。
[図5]封止ピンが仮止め状態にあるときの、制御基板ユニットの要部の拡大縦断面図である。
[図6]封止ピンが本止め状態にあるときの、制御基板ユニットの要部の拡大縦断面図である。
[図7]制御基板ユニットの要部の拡大横断面図である。
[図8]制御基板ユニットの他の要部の拡大横断面図である。
符号の説明
[0016]
(12)第1ケース体
(13)第2ケース体
(16)封止ピン
(124)第1封止部
(124b)内部孔
(124d)開口部
(133)第2封止部
(162)軸部
(163)第1弾性爪
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8に基づいて説明する。図1は、本発明を適用した遊技機(スロットマシン)の正面図、図2は、前扉を開けた状態の遊技機の正面図、図3は、制御基板ユニットの斜視図、図4は、制御基板ユニットの分解斜視図、図5、6は、要部の拡大縦断面図、図7、8は、要部の拡大横断面図である。なお、以下の説明では、図1、2において紙面手前側を遊技機の「前方または表面側」とし、図1、2において紙面奥側を「後方または裏面側」とし、図1、2において左側を「左方」とし、図1、2において右側を「右方」とする。
【0018】
遊技機(1)としてのスロットマシンは、前面(正面)が開口する正面視矩形の筐体(2)と、筐体(2)の左側部に上下方向を向く上下1対のヒンジ軸(4)により開閉自在に枢支された前扉(3)とを備える。
【0019】
筐体(2)内には、複数種類の図柄、数字等で構成される識別情報を変動及び停止表示可能な3個の回転リール(6)と、遊技媒体であるメダル(コインを含む)を貯留及び払出可能なホッパーユニット(7)と、後述の透明な基板ケース(14)内に、遊技全体を統括的に制御する主制御基板(8)が収容されてなる制御基板ユニット(100)と、主制御基板(8)から出力される制御信号に基づいて、前扉(3)の裏面側に設けられた各種遊技情報及び演出を表示可能な液晶表示ユニット(31)に制御信号を出力可能な副制御基板(9)と、主制御基板(8)及びその他の機器へ電力を供給する電源装置(11)とが収容されている。
【0020】
前扉(3)の前面には、液晶表示ユニット(31)に表示される遊技情報及び演出を透視可能な遊技情報表示窓(34)、各回転リール(6)の識別情報を3こまずつ透視可能な識別情報表示窓(35)、前扉(3)の裏面に設けられる中部基板(図示略)に表示される各種情報を透視可能な複数の情報表示窓(36)、遊技を行うときにメダルが投入されるメダル投入口(37)、メダルの賭数を最大限(3枚)に設定するMAXベットボタン(38)、メダルの賭数を1枚に設定する1枚ベットボタン(39)、全ての回転リール(6)を回転させるときに操作されるスタートレバー(40)、各回転リール(6)の回転を停止させるときに操作される3個のストップボタン(41)等が設けられている。
【0021】
遊技機(1)の遊技は、遊技者がメダルをメダル投入口(37)に投入した後、MAXベットボタン(38)または1枚ベットボタン(39)によりメダルの賭数を設定した後、スタートレバー(40)を操作して、全ての回転リール(6)を回転させることによって開始される。
【0022】
回転リール(6)が回転して所定時間が経過した後、3個のストップボタン(41)を順次操作して、各回転リール(6)の回転を停止させ、停止した3個の回転リール(6)の識別情報の組み合わせにより、入賞の有無、及び賞の大小に応じたメダルの配当枚数が確定され、入賞した場合には、予め定めた入賞枚数分だけホッパーユニット(7)からメダル受皿(3a)にメダルが払い出される。
【0023】
なお、本実施形態において、遊技機(1)を遊技媒体がメダル(コインを含む)とするスロットマシンとして説明するが、本発明は、これに特定されるものでなく、遊技機(1)を遊技媒体がパチンコ玉であるパチンコ機またはスロットマシンとしても良い。
【0024】
制御基板ユニット(100)は、前述の主制御基板(8)と、主制御基板(8)を収容する透明な合成樹脂製の基板ケース(14)と、基板ケース(14)が固定される金属製のベースブラケット(15)と、基板ケース(15)を封止する封止手段をなす複数(本実施形態においては6個)の封止ピン(16)とを備える。
【0025】
基板ケース(14)は、透明な合成樹脂材料により成形されるとともに、ベースブラケット(15)の前面に固定される第1ケース体(12)と、透明な合成樹脂材料により成型されるとともに、第1ケース体(12)の前面に開閉自在に装着される第2ケース体(13)とを有し、ベースブラケット(15)を介して筐体(2)内の後板(21)に固定される。なお、第2ケース体(13)は、左端部が第1ケース体(12)の左端部に設けられた上下の半円筒部(12a)に嵌合されることによって、第1ケース体(12)の前面に開閉自在に枢支される。
【0026】
主制御基板(8)は、第1ケース(12)と第2ケース体(13)との間に挾持された状態で、基板ケース(14)内に縦置きに収容されるとともに、その前面には、遊技動作を統括的に制御する電子部品(81)、及び外部コネクタ(図示略)が接続される複数の基板側コネクタ(82)が実装され、各種電子部品(81)と各基板側コネクタ(82)とはプリント配線(図示略)により電気的に接続されている。
【0027】
第1ケース体(12)は、主制御基板(8)の後面側を覆う箱状の第1収容部(121)を有し、第1収容部(121)の右部には、前方へ突出し、かつ上下方向へ弾性変形可能な上下の係合爪(122)が設けられ、同じく右端部には、第2ケース体(13)の右前面に刻設された記号(137)[A」〜「F」(図3のみに付与)のうちの「A」、「F」に対応する上下2個の第1封止部(124)が設けられ、同じく上面左部には、上方に突出した円柱状の突部(125)が設けられ、さらには、上側の第1封止部(124)(記号(137)「A」に対応)の上方には、右方が開口した切欠部(126)が設けられている。
【0028】
第2ケース体(13)は、主制御基板(8)の表面を覆う箱状の第2収容部(131)を有し、第2収容部(131)の下方には、基板側コネクタ(82)を露出させるための複数の開口部(135)が設けられ、第2収容部(131)の右方には、第1ケース体(12)の係合爪(122)が弾性係合し、第2ケース体(13)を第1ケース体(12)に対して閉鎖位置に保持する係合孔(132)が設けられている。
【0029】
第2収容部(131)の右端部には、封止ピン(16)をもって、第1ケース体(12)の第1封止部(124)に固定される記号(137)「A」、「F」に対応する上下2個の第2封止部(133)と、封止ピン(16)をもって、ベースブラケット(15)に設けた後述の被取付部(152)に固定される記号(137)「B」〜「E」に対応する4個の第3封止部(134)が設けられている。なお、各封止部(133)(134)は、横方向を向く薄肉状の切断部(136)を介して、第2収容部(131)にそれぞれ分離可能に連設されている。
【0030】
各封止ピン(16)は、上下方向の連結板(18)と共に合成樹脂材料で一体成形されるとともに、記号(137)「A」〜「F」に対応するように、連結板(18)に薄肉状の切断部(18a)を介して連設され、切断部(18a)を切断することによって、連結板(18)から個別に分離することができる。
【0031】
封止ピン(16)は、切断部(18a)に接続される拡径の鍔部(161)と、鍔部(161)の裏面から後方へ突出する軸部(162)と、軸部(162)の後端部に設けられ、内側へ弾性変形可能な第1弾性爪(163)と、軸部(162)における鍔部(161)と第1弾性爪(163)との間に設けられ、第1弾性爪(163)と同一形状の他の弾性爪をなす第2弾性爪(164)とを有する。
[0032]
なお、各封止ピン(16)は、全て同一形状であるので、図面簡略化のため、図5、6において、鍔部(161)、軸部(162)、第1弾性爪(163)、第2弾性爪(164)及び切断部(18a)の符号は、記号(137)「A」、「B」、「F」に対応する封止ピン(16)のみに付し、その他の係止ピン(16)については省略する。
[0033]
図5、6及び図7に示すように、第1ケース体(12)の第1封止部(124)は、表裏方向、すなわち前後方向(図5、6において左右方向、図7において上下方向)を向く筒部(124e)と、筒部(124e)の裏側を閉鎖する裏面壁(124f)と、筒部(124e)の表側に設けられ、第2封止部(133)に対向する前面壁(表面壁)(124a)とを一体的に形成してなり、表面壁(124a)には、筒部(124e)内の内部孔(124b)より小径で、かつ封止ピン(16)の第1弾性爪(163)が弾性変形しつつ通過可能な縮径孔(124c)が穿設され、また、筒部(124e)には、その長手方向(前後方向)と直交する方向から内部孔(124b)を成型するための樹脂成型の型を抜くときに形成される内部孔(124b)に通じる開口部(124d)が形成されている。縮径孔(124c)を通過した封止ピン(16)の第1弾性爪(163)は、内部孔(124)に進入して前面壁(124a)の裏面側に抜止め係合する。
[0034]
樹脂成型において、有底筒状の第1封止部(124)の入口側にある縮径孔(124c)の内径が、奥の内部孔(124b)の内径より小さい場合、内部孔(124b)を成型するための型が成型完了後の離型時に縮径孔(124c)から抜けないため、通常の金型では樹脂成型が不能である。そこで、このような形状を成型するには、第1ケース体(12)を樹脂成形するとき、内部孔(124b)に横方向から進入し、成型完了後、内部孔(124b)から退出するスライドコアを樹脂用金型のキャビティに設ける。これにより、第1封止部(124)の後面に型抜きのための開口を形成することなく、第1封止部(124)に内部孔(124b)を成型することができる。この結果、第1封止部(124)の筒部(124e)には、第1封止部(124)に内部孔(124b)を横方向から成型するときに形成される横向きの開口部(124d)が設けられる。なお、スライドコアは、開口部(124b)の形状に対応して形成される。
[0035]
図5、6及び図7に示すように、第2封止部(133)は、封止ピン(16)の軸部(162)を前方から挿入し得るように、前後方向の筒孔(133a)を有する円筒状をなすとともに、第1封止部(124)の開口部(124d)を閉鎖するように、第1封止部(124)の外周に嵌合可能となっている。なお、筒孔(133a)の内径は、封止ピン(16)の鍔部(161)より僅かに拡径となっている。
[0036]
第2封止部(133)内には、筒孔(133a)を前後に仕切る仕切壁(133b)が設けられ、また、仕切壁(133b)には、筒孔(133a)の内径より縮径で、かつ封止ピン(16)の各弾性爪(163)(164)が内側に弾性変形しつつ通過可能な縮径孔(133c)が設けられている。なお、第2封止部(133)が第1封止部(124)の外周に嵌合した状態においては、仕切壁(133b)の後面と第1封止部(124)の前面壁(124)とは、前後方向へ所定量離間している。
【0037】
図5、6及び図8に示すように、第3封止部(134)は、封止ピン(16)の軸部(162)を前方(図8において下方)から挿入し得るように、前後方向の筒孔(134a)を有する円筒状をなすとともに、基板ケース(14)をベースブラケット(15)に固定した状態において、その後端がベースブラケット(15)の被取付部(152)の前面に当接するようになっている。
【0038】
第3封止部(134)内には、筒孔(134a)を前後に仕切る仕切壁(134b)が設けられ、この仕切壁(134b)には、筒孔(134a)の内径より縮径で、かつ封止ピン(16)の各弾性爪(163)(164)が内側に弾性変形しつつ通過可能な縮径孔(134c)が設けられている。なお、第3封止部(134)は、第2封止部(133)より前後長さが短く設定されていること以外は第2封止部(133)と同一寸法である。
【0039】
なお、4個の第3封止部(134)は、全て同一形状であるので、図面簡略化のため、図4、5において、筒孔(134a)、仕切壁(134b)及び縮径孔(134c)の符号は、記号(137)「B」に対応する第3封止部(134)のみに付し、その他の第3封止部(134)については省略する。
【0040】
ベースブラケット(15)は、複数の止めネジ(17)をもって、筐体(2)内の後板(21)に固定されるとともに、正面視矩形の基部(151)の右端部には、封止ピン(16)をもって、第3封止部(134)が固定される被取付部(152)が設けられ、同じく上面左部には、第1ケース体(12)の突部(125)が係合可能な左方が開口した切欠部(157)が設けられ、また、同じく上面右部には、第2ケース体(13)の突部(138)が係合可能な左方が開口した切欠部(158)が設けられている。
【0041】
被取付部(152)は、前面、上下面及び左右側面を形成する前板部(153)と、後面を形成する後板部(154)とを有し、図5、6及び図8に示すように、前板部(153)と後板部(154)とにより、あらゆる方向が閉鎖された空間部(155)を形成している。前板部(153)の前面には、各第3封止部(134)に対応し、かつ封止ピン(16)の第1弾性爪(163)が内側に弾性変形しつつ通過可能な4個の係止孔(156)が穿設されている。係止孔(156)を通過した封止ピン(16)の第1弾性爪(163)は、空間部(155)に突入して前板部(156)の裏面側に抜止め係合する。
【0042】
なお、本実施形態においては、前板部(153)と後板部(154)とによって、前板部(153)の裏面側に抜止め係合している封止ピン(16)の第1弾性爪(163)を遮蔽する遮蔽部を形成する。
【0043】
上述のように、前板部(153)の裏面側に抜止め係合している封止ピン(16)の第1弾性爪(163)は、前板部(153)及び後板部(154)により形成される遮蔽部により遮蔽されるため、不正具により第1弾性爪(163)を内側に不正に変形させ、封止ピン(16)を被取付部(152)から取り外すような不正行為を確実に阻止することができる。
【0044】
封止ピン(16)は、図5に示すように、各封止部(133)(134)に浅く差し込むことにより仮止め状態となり、また、仮止め状態からさらに深く差し込むことにより、図6、7及び図8に示すように本止め状態となる。
【0045】
仮止め状態にあるとき、封止ピン(16)は、軸部(162)が各封止部(133)(134)の筒孔(133a)(134a)に挿入されて、第1弾性爪(163)が各封止部(133)(134)内で各仕切壁(133b)(134b)の裏面に抜止め係合し、各封止部(133)(134)から脱落しないように保持される。
【0046】
本止め状態にあるとき、第2封止部(133)に挿入された封止ピン(16)は、主に図7に示すように、第1弾性爪(163)が第1封止部(124)の内部孔(124b)内で前面壁(124a)の裏面側に抜止め係合し、また、第2弾性爪(164)が第2封止部(133)内で仕切壁(133b)の裏面側に抜止め係合した状態で、第2封止部(133)を第1封止部(124)に固定して、基板ケース(14)を封止する。また、第3封止部(134)に挿入された封止ピン(16)は、主に図8に示すように、第1弾性爪(163)が被取付部(152)の前板部(156)の裏面側に抜止め係合し、また、第2弾性爪(164)が第3封止部(134)内で仕切壁(134b)の裏面側に抜止め係合した状態で、第3封止部(134)をベースブラケット(15)の被取付部(152)に固定して、基板ケース(14)を封止する。
【0047】
次に、制御基板ユニット(100)の組立て要領及び作用について説明する。先ず、主制御基板(8)を第1収容部(121)と第2ケース体(13)の第2収容部(131)との間に挾持されるように収容し、係合爪(122)を係合孔(132)に係合させて基板ケース(14)を閉鎖する。
【0048】
次いで、各封止ピン(16)が連設されている連結板(18)を第2ケース体(12)に嵌合するとともに、各封止ピン(16)を、各封止部(133)(134)に浅く差し込んで、第1弾性爪(163)が各封止部(133)(134)の縮径孔(133c)(134c)を弾性変形しつつ通過して、各筒孔(133a)(134a)内で各仕切壁(133b)(134b)の裏面側に抜止め係合する仮止め状態とする。この場合、各封止ピン(16)が連結板(18)に連設されているため、封止ピン(16)の管理及び各封止部(133)(134)への差し込み作業を効率的に行うことができる。
【0049】
また、封止ピン(16)を仮止め状態にするときの押し込み力(封止ピン(16)の第1弾性爪(163)のみを抜止め係合させる力)は、本止め状態にするときの押し込み力(封止ピン(16)の第1、2弾性爪(163)(164)を一緒に抜止め係合させる力)に比して極めて軽い力で足りるため、封止ピン(16)を仮止め状態にする際、誤って本止め状態まで押し込んでしまうような事態を極力防止することができる。
【0050】
封止ピン(16)を仮止め状態にした後、記号(137)「A」に対応する第2封止部(133)に仮保持された封止ピン(16)のみを本止め状態までさらに深く押し込む。これにより、封止ピン(16)の鍔部(161)が、第2封止部(133)の仕切壁(133b)の前面に当接するとともに、第1弾性爪(163)が、第1封止部(124)の縮径孔(124c)を弾性変形しつつ通過して内部孔(124b)に進入し、前面壁(124a)の裏面側に抜止め係合するとともに、第2弾性爪(164)が、第2封止部(133)の縮径孔(133c)を弾性変形しつつ通過して、仕切壁(133b)の裏面側に抜止め係合する。この結果、記号(137)「A」に対応する第2封止部(133)が第1封止部(124)に固定されて、基板ケース(14)は封止される。
【0051】
第2封止部(133)が第1封止部(124)に固定された状態においては、第1封止部(124)の開口部(124d)を含む内部孔(124b)が、第1封止部(124)の外周に嵌合した第2封止部(133)により閉鎖されるため、内部孔(124)内で抜止め係合している封止ピン(16)の第1弾性爪(163)を、不正具により内側へ変形させ、封止ピン(16)を取り外すような不正行為を阻止することができる。
【0052】
封止ピン(16)により封止された基板ケース(14)を、筐体(2)に取り付けるには、次のように行われる。先ず、基板ケース(14)の下面をベースブラケット(15)の下部に設けた載置片(159)に載せた状態で、右方へスライドさせ、第1ケース体(12)の突部(125)及び切欠部(126)をベースブラケット(15)の切欠部(157)及びベースブラケット(15)に予め緩く螺合されたネジ(19)、また、第2ケース体(13)の突部(138)をベースブラケット(15)の切欠部(158)にそれぞれ係合させた後、ネジ(19)を締め付けることにより、基板ケース(14)はベースブラケット(15)の前面に固定される。
【0053】
次いで、記号(137)「B」に対応する第3封止部(134)に仮止めされている封止ピン(16)を、鍔部(161)が仕切壁(134b)の前面に当接するまで深く押し込む。これにより、封止ピン(16)の第1弾性爪(163)が、記号(137)「B」に対応するベースブラケット(15)の係止孔(156)を内側に弾性変形しつつ通過して被取付部(152)の空間部(155)に突入して、被取付部(152)の前面部(153)の裏面側に抜止め係合するとともに、第2弾性爪(164)が、第3封止部(134)の縮径孔(134c)を内側に弾性変形しつつ通過して仕切壁(134b)の裏面側に抜止め係合する。この結果、記号(137)「B」に対応する第3封止部(134)がベースブラケット(15)の被取付部(152)に固定されて、基板ケース(14)は封止される。
【0054】
第3封止部(134)がベースブラケット(15)の被取付部(152)に固定された状態においては、封止ピン(16)の第1弾性爪(163)が、遮蔽部を形成する前面部(153)及び後面部(154)により遮蔽されている。これにより、不正具をもって、被取付部(152)の空間部(155)で抜止め係合している第1弾性爪(163)を内側へ変形させて封止ピン(16)を取り外し、基板ケース(14)をベースブラケット(15)から取り外すような不正行為を阻止することができる。
【0055】
基板ケース(14)をベースブラケット(15)に固定した後、主制御基板(8)の電子部品(81)等の検査を行なう場合には、先ず、記号(137)「B」に対応する第3封止部(134)の切断部(136)及び封止ピン(16)に連設された切断部(18a)のそれぞれをニッパー等の工具で切断して、第3封止部(134)を第2ケース体(13)から、また封止ピン(16)を連結板(18)から個別に分離する。この後、ネジ(19)を緩めることにより、基板ケース(14)をベースブラケット(15)から取り外すことができる。
【0056】
基板ケース(14)をベースブラケット(15)から取り外した後は、記号(137)「A」に対応する第2封止部(133)の切断部(136)及び封止ピン(16)の切断部(18a)をそれぞれ切断する。これにより、記号(137)「A」に対応する第2封止部(133)及び封止ピン(16)は、第1ケース体(12)から分離するため、基板ケース(14)を開封して主制御基板(8)を取り出して検査することができる。
【0057】
また、主制御基板(8)を外部の検査機関で検査する場合には、封止ピン(16)により、記号(137)「F」に対応する第2封止部(133)を、封止ピン(16)により第1封止部(124)に固定した状態で外部の検査機関に搬送する。これにより、基板ケース(14)の搬送中に、基板ケース(14)が不正に開封されることはない。
【0058】
検査後は、基板ケース(14)は廃棄される。そして、未使用の基板ケース(14)を準備し、この基板ケース(14)に主制御基板(8)を収容して記号(137)「A」に対応する第2封止部(133)を、別途用意した封止ピン(16)により第1封止部(124)に固定した状態で、送り返される。
Claims (5)
- 第1ケース体及び該第1ケース体の表面に開閉自在に装着される第2ケース体を有し、前記両ケース間に遊技動作を制御する制御基板を収容せしめる合成樹脂製の基板ケースを備え、前記第2ケース体に設けられた第2封止部を、前記第1ケース体に設けられ、かつ該第2封止部の裏面側に相対する第1封止部に、封止手段により固定することにより、前記基板ケースの開封を実質的に不能にした遊技機の基板ケース装置において、
前記第1封止部は、表裏方向を向く筒部と、該筒部の裏側を閉鎖する裏面壁と、前記筒部の表側に設けられる表面壁とを一体的に形成してなり、前記表面壁に、前記筒部内の内部孔より小径の縮径孔を穿設するとともに、前記筒部に、その長手方向と直交する方向から前記内部孔を成型するための樹脂成型の型を抜くときに形成される前記内部孔に通じる開口部を形成し、
前記第2封止部は、前記第1封止部の外側に嵌合して、前記開口部を閉鎖し得るように筒状をなし、
前記封止手段は、合成樹脂材料で形成されるとともに、一端部に設けられた鍔部から突出し、前記第2封止部に表面側から挿入される軸部と、該軸部の他端部外周に径方向へ弾性変形可能に設けられ、前記第1封止部の内部孔に進入して前記第1封止部に抜止め係合可能な弾性爪とを有することを特徴とする遊技機の基板ケース装置。 - 封止手段の弾性爪は、第1封止部の表面壁の縮径孔を弾性変形しつつ通過して内部孔に進入して、前記表面壁の裏面側に係合することを特徴とする請求項1記載の遊技機の基板ケース装置。
- 封止手段は、軸部が第2封止部に浅く挿入されることにより、弾性爪が前記第2封止部に抜止め係合する仮止め状態となり、また、該仮止め状態からさらに深く挿入されることにより、前記弾性爪が第1封止部に抜止め係合する本止め状態となることを特徴とする請求項1または2記載の遊技機の基板ケース装置。
- 封止手段は、軸部における鍔部と弾性爪との間に設けられ、本止め状態のとき、第2封止部に抜止め係合可能な他の弾性爪を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遊技機の基板ケース装置。
- 封止手段の他の弾性爪は、弾性爪が第1封止部の縮径孔を通過するとき、それと同時に第2封止部に設けた縮径孔を通過して、第2封止部内で抜止め係合することを特徴とする請求項4記載の遊技機の基板ケース装置。
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