JP4087868B2 - トナー用荷電制御剤およびその製造方法並びにトナー - Google Patents

トナー用荷電制御剤およびその製造方法並びにトナー Download PDF

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Description

本発明は、トナー用荷電制御剤およびその製造方法、並びに当該トナー用荷電制御剤の製造方法によって得られるトナー用荷電制御剤を含有するトナーに関する。
従来、アゾ系金属錯体よりなる荷電制御剤は、種々の分野において用いられており、例えば電子写真法などで使用される現像剤を構成するトナーの分野においても、トナーの構成材料の一種として用いられている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。特に、近年においては、電子写真法の利用用途が拡大し、軽印刷の分野に応用展開されていることに伴って、軽印刷の分野において利用するためのトナーの構成材料としても用いられてきている。
この軽印刷の分野においては、印字速度のより一層の高速化の要請があり、また、軽印刷の分野を含む印刷分野においては、印刷すること自体ではなく、印刷によって形成される画像、すなわち印刷物が評価されることとなるため、いわゆる複写の分野において形成される画像、すなわち複写物に必要とされている以上に長期間にわたって安定した画質の画像を形成することが必要とされている。
しかしながら、印字速度を高速化した上で形成される画像に安定性を得るためには、現像剤として新たに補給されるトナーを短時間で混合して帯電させることが必要となるが、印字速度が高速化されることに伴ってトナーの補給速度も高速化され、しかもトナーの有する帯電立ち上がり特性が不十分であることから、現像剤としてのトナーの帯電立ち上がりが不十分となって当該トナーの帯電量が不均一となることにより、十分に帯電されていないトナーに起因してトナーの飛散やカブリが生じてしまう、という問題がある。
また、現像剤を長期間にわたって使用した場合には、画像形成装置の使用環境によって現像剤としてのトナーの有する帯電性が変化し、これに起因して得られる画像が特にベタ画像やハーフトーン画像である場合には濃度変化が生じてしまう、という問題がある。
特開平7−97530号公報 特開2005−121776号公報
本発明は以上のような背景に基づいてなされたものであり、トナー用荷電制御剤の帯電制御性能について研究を重ね、アゾ系金属錯体よりなるトナー用荷電制御剤を製造する工程において、モノアゾ化合物を金属錯塩化することによって得られるアゾ系金属錯塩をアンモニア水やアンモニア化合物をアンモニウム対イオン形成剤として用いてイオン交換反応させて目的とするアンモニウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系金属錯体を合成する過程で生成される副生成物としてのアンモニウムイオン以外のイオンを対イオンとするアゾ系金属錯体の存在や、アンモニウム対イオン形成剤として用いられる各種の無機塩を構成するアンモニウムイオンのカウンターイオンよりなるアニオン性イオンが不純物として取り込まれてしまうことが、トナーの帯電制御性能に影響を与えている可能性があることを見出した結果、完成されたものであって、その目的は、優れた帯電制御性能を有するトナー用荷電制御剤、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた帯電立ち上がり特性を有し、高い印字速度により画像を形成する場合においても飛散やカブリが発生することなく、高い画質の画像を得ることのできるトナーを提供することにある。
本発明のトナー用荷電制御剤の製造方法は、アゾ系金属錯体からなるトナー用荷電制御剤を得るためのトナー用荷電制御剤の製造方法であって、
下記一般式(1)で表されるモノアゾ化合物および錯化剤を反応させることによって得られるアゾ系金属錯塩と、尿素および無機アンモニウム塩よりなるアンモニウム対イオン形成剤とをイオン交換反応させることによって下記一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体を合成する工程を有することを特徴とする。
Figure 0004087868
〔式中、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に芳香族基を示す。〕
Figure 0004087868
〔式中、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に芳香族基を示す。Mは、3価の金属原子を示す。〕
本発明のトナー用荷電制御剤の製造方法においては、アゾ系金属錯塩に対して3〜20当量の尿素を用いることが好ましい。
本発明のトナー用荷電制御剤の製造方法においては、アゾ系金属錯塩に対して0.5〜2当量の無機アンモニウム塩を用いることが好ましい。
本発明のトナー用荷電制御剤の製造方法においては、アゾ系金属錯体を示す一般式(2)において、Mが鉄原子であることが好ましい。
本発明のトナー用荷電制御剤の製造方法においては、アゾ系金属錯塩とアンモニウム対イオン形成剤とをイオン交換反応させることによって得られる反応生成物における一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体の含有割合を85質量%以上とすることができる。
本発明のトナー用荷電制御剤は、上記のトナー用荷電制御剤の製造方法によって得られることを特徴とする。
本発明のトナーは、上記のトナー用荷電制御剤の製造方法によって得られるトナー用荷電制御剤を含有することを特徴とする。
本発明によれば、イオン交換反応の過程において、帯電制御性能に悪影響を及ぼすアンモニウムイオン以外のイオンを対イオンとするアゾ系金属錯体およびイオン性成分などの不純物が含有されることを抑制することができるため、アンモニウムイオンを対イオンとする特定のアゾ系金属錯体を高い割合で含有し、これにより、優れた帯電制御性能が得られるトナー用荷電制御剤、およびその製造方法を得ることができる。
本発明のトナーによれば、上記の優れた帯電制御性能を有するトナー用荷電制御剤が含有されていることから、使用環境によらず高い画質の画像を得ることができ、また、高い印字速度により画像を形成する場合においても、優れた帯電立ち上がり特性が得られるため、トナーの帯電量が不均一になることに起因して生じるトナーの飛散やカブリが発生することなく、高い画質の画像を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のトナー用荷電制御剤は、上記一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体(以下、「特定アゾ系金属錯体」ともいう。)からなるトナー用荷電制御剤(以下、単に「荷電制御剤」ともいう。)であり、上記一般式(1)で表されるモノアゾ化合物(以下、「原料アゾ化合物」ともいう。)および錯化剤を反応させることによって得られるアゾ系金属錯塩(以下、「特定中間体」ともいう。)と、尿素および無機アンモニウム塩を含有してなるアンモニウム対イオン形成剤(以下、「特定対イオン形成剤」ともいう。)とを反応させることによって得られる特定アゾ系金属錯体を合成する工程を有する製造方法によって製造されるものである。
特定アゾ系金属錯体を示す一般式(2)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に芳香族基を示し、このAr1 およびAr2 は、同一のものであっても異なるものであってもよい。
基Ar1 およびAr2 を示す芳香族基としては、例えば無置換または置換基を有するフェニレン基、無置換または置換基を有するナフチレン基などが挙げられる。
また、一般式(2)において、Mは3価の金属原子を示すが、このMは、鉄原子であることが好ましい。
特定アゾ系金属錯体の好ましい具体例としては、下記一般式(3)で表されるアゾ系鉄錯体が挙げられ、特に一般式(3)において、R1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるものが好ましい。

Figure 0004087868
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖または分岐鎖のアルケニル基、無置換または置換基を有するスルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、無置換または置換基を有するアリール基を示し、R5 は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基を示し、R6 は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシル基を示す。〕
このような特定アゾ系金属錯体よりなる荷電制御剤は、例えば原料アゾ化合物および錯化剤を特定対イオン形成剤の存在下において反応させ、原料アゾ化合物および錯化剤が錯形成反応する過程(以下、「錯形成反応過程」ともいう。)によって合成される特定中間体と、特定対イオン形成剤とがイオン交換反応する過程(以下、「イオン交換反応過程」ともいう。)によって得られる特定アゾ系金属錯体を合成する錯体形成工程を有する製造方法によって製造することができる。
錯体形成工程に供する原料アゾ化合物としては、合成すべき特定アゾ系金属錯体に応じて適宜選択され、例えば特定アゾ系金属錯体として上記一般式(3)で表されるアゾ系鉄錯体を得るためには、下記一般式(4)で表されるアゾ化合物を用いることができる。
Figure 0004087868
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜18の直鎖または分岐鎖のアルケニル基、無置換または置換基を有するスルホンアミド基、メシル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、無置換または置換基を有するアリール基を示し、R5 は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜18のアルコキシル基を示し、R6 は、水素原子、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖のアルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシル基を示す。〕
錯化剤としては、例えばクロムサリチル酸ナトリウム、コバルトサリチル酸ナトリウム、酢酸クロム、酢酸コバルト、酢酸第二鉄、硫酸クロム、硫酸コバルト、硫酸第二鉄、塩化クロム、塩化コバルト、塩化第二鉄などを用いることができる。
この錯化剤の使用量は、原料アゾ化合物1molに対して1.0〜1.6molであることが好ましく、更に1.05〜1.30molであることが好ましい。
特定対イオン形成剤は、尿素および無機アンモニウム塩を含有するものであり、当該特定対イオン形成剤を構成する無機アンモニウム塩としては、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。
この特定対イオン形成剤を構成する当該特定対イオン形成剤における尿素の含有割合、すなわち反応に供する尿素の使用量は、無機アンモニウム塩の含有割合、すなわち反応に供する無機アンモニウム塩の使用量に比して過大であることが好ましい。
具体的には、特定対イオン形成剤を構成する尿素の使用量は、錯形成反応過程によって生成される特定中間体に対して3〜20当量であることが好ましく、更に好ましくは5〜15当量である。
尿素の使用量が過大である場合には、特定対イオン形成剤として用いるべき無機アンモニウム塩の使用量を小さくすることができることから得られる荷電制御剤における不純物としてのイオン性成分の含有を抑制することができるものの、イオン交換反応の反応速度が低下してしまうと共に、尿素が加水分解することによって発生する炭酸に由来のガスによる発泡が過度となることから、製造面において好ましくない。また、反応速度の低下に起因すると推定されるが、尿素単独の反応とした場合にはかえってアンモニウム対イオンの純度が低下してしまう問題がある。一方、尿素の使用量が過小である場合には、特定対イオン形成剤として用いるべき無機アンモニウム塩の使用量が大きくなり、カウンターイオンであるアニオン性イオンが不純物として多量に取り込まれてしまい、その存在によって電荷のリークが生じやすくなるため、得られる荷電制御剤が所望の帯電制御性能を有するものとならないおそれがある。
一方、特定対イオン形成剤を構成する無機アンモニウム塩の使用量は、錯形成反応過程によって生成される特定中間体に対して0.5〜2当量であることが好ましく、更に好ましくは0.7〜1.5当量である。
無機アンモニウム塩の使用量が過大である場合には、得られる荷電制御剤が所望の帯電制御性能を有するものとならないおそれがある。一方、無機アンモニウム塩の使用量が過小である場合には、イオン交換反応の反応速度が低下し、収率が低下するおそれがある。
この錯体形成工程の錯形成反応過程およびイオン交換反応過程の各々に係る反応系においては、水と、有機溶剤との混合溶剤を溶媒として用いることが好ましい。
この混合溶剤を構成する有機溶剤としては、親水性有機溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、スルホキシド系溶剤および無置換または置換基を有する芳香族化合物に係る芳香族系溶剤が挙げられる。
ここに、親水性有機溶剤としては、アルコール類またはグリコール類が好ましく、具体的には、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールおよびジアセトンアルコール等のアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールのモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアセテートおよびプロピレングリコールモノアセテート等のグリコールのモノアセテートなどの1価のアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオール等のグリコールなどの2価のアルコールなどが挙げられる。
これらの親水性有機溶剤としては、特に炭素数1〜8のアルコール類または炭素数2〜18のグリコール類が好ましい。
錯体形成工程においては、少なくともイオン交換反応過程の反応系がアルカリ性であること、特にpH8以上のアルカリ性であることが好ましい。
また、錯体形成工程に係る反応条件は、例えば、反応温度が60〜100℃であって反応時間が1〜5時間である。好ましくは反応温度が65〜80℃、反応時間は2〜4時間である。
ここに、錯体形成工程は、錯形成反応過程およびイオン交換反応過程を連続して同一反応容器内で行うこともできるが、各反応過程毎に個別の反応容器を用いて行うこともでき、この場合には、各反応過程において反応生成物を濾取することによってウエットケーキを得たり、このウエットケーキを乾燥処理した乾燥品を得、これを次過程あるいは次工程に用いてもよい。
このような錯体形成工程において得られた反応生成物を洗浄処理および乾燥処理するなどの後処理工程を経ることにより、当該錯体形成工程で合成された特定アゾ系金属錯体よりなる荷電制御剤が得られる。
以上の荷電制御剤の製造方法によれば、イオン交換反応過程において、特定対イオン形成剤として、無機アンモニウム塩と共に尿素が用いられており、この尿素を多量に用いることによって無機アンモニウム塩の使用量を小さくすることができるため、イオン交換反応において特定アゾ系金属錯体以外の副生成物として生成される反応生成物のうちの、その存在が帯電制御性能に悪影響を及ぼすアンモニウムイオン以外のイオン、具体的には水素イオンまたはナトリウムイオンを対イオンとするアゾ系金属錯体(以下、これらをまとめて「非アンモニウムイオン対金属錯体」ともいう。)、あるいは無機アンモニウム塩を構成するアンモニウムイオンのカウンターイオンとしてのアニオン性イオンよりなるイオン性成分が不純物として取り込まれるなどの反応系に無機アンモニウム塩が供されることに起因して生成されることとなる不純物が多量に含有されることを抑制することができ、これにより、アンモニウムイオンを対イオンとする特定アゾ系金属錯体を高い割合で含有してなる反応生成物が錯体形成工程において得ることができるため、優れた帯電制御性能が得られる荷電制御剤を得ることができる。
ここに、非アンモニウムイオン対金属錯体およびイオン性成分などの不純物が含有されることによって得られる荷電制御剤の帯電制御性能に悪影響を及ぼす理由としては、非アンモニウムイオン対金属錯体が存在する場合には、これらの非アンモニウムイオン対金属錯体の各々の有する帯電特性がその種類によって異なり、かつ特定アゾ系金属錯体の有する帯電特性とも異なるために、このような非アンモニウムイオン対金属錯体を高い割合で含有する荷電制御剤は、その帯電分布が大きくなってしまうためであると推察され、一方、イオン性成分が存在する場合には、特に高温高湿の環境下において帯電のリークが生じやすくなるため、荷電制御剤に高い帯電制御性能が得られなくなると推察される。
また、特定対イオン形成剤として尿素を多量に用いた場合であってもそれに起因して得られる荷電制御剤の帯電制御性能に弊害が生じない理由としては、尿素は加水分解によってアンモニウムイオンが生成され、これと共に炭酸も生成されるものであるが、この炭酸が無機アンモニウム塩が反応に供されることに起因して生成されるイオンなどに比して容易に除去することができ、反応生成物に取り込まれて錯体の構成要素となりにくいためであると推察される。
この荷電制御剤の製造方法においては、実際上、錯体形成工程の反応生成物として、特定アゾ系金属錯体と共に、水素イオンを対イオンとするアゾ系金属錯体およびナトリウムイオンを対イオンとするアゾ系金属錯体の合計3種類の錯体が含有されてなる混合体が得られるが、当該反応生成物における特定アゾ系金属錯体の含有割合を85質量%以上とすることができる。
ここに、本発明の荷電制御剤の製造方法に係る錯体形成工程にて得られる反応生成物においては、特定アゾ系金属錯体の含有割合が85質量%以上であることが好ましく、特に好ましくは90質量%以上である。
以上のような作用効果は、一般的に一般式(2)においてMがクロム原子であるアゾ系クロム錯体よりなる荷電制御剤に比してその帯電性が小さいとされる、一般式(2)においてMが鉄原子であるアゾ系鉄錯体よりなる荷電制御剤において顕著である。
この本発明の荷電制御剤は、電子写真法などで使用される現像剤を構成するトナーの構成材料として好適に用いることができる。
本発明のトナーは、上記のアゾ系金属錯体からなる荷電制御剤を必須成分として含有してなり、その構成成分として、必須成分である荷電制御剤以外に、例えば樹脂および着色剤、必要に応じて定着性改良剤である離型剤、外部添加剤などの添加剤が含有されてなるものである。
ここに、本発明のトナーを構成する荷電制御剤以外の構成成分は、特に限定されるものではなく、従来公知のものを適宜に用いることができる。
具体的には、樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、着色剤としては、カーボンブラック、マグネタイト、顔料および染料を用いることができる。
また、離型剤としては、臨界表面張力が低くて融点の低い結晶性物質を用いることができ、具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の炭化水素系ワックス、ベヘン酸ステアリルアルコールエステル等の長鎖カルボン酸エステル類、ペンタエリストールテトラベヘン酸エステル等の長鎖カルボン酸エステル類、カルナウバワックス等の天然ワックスなどが挙げられる。離型剤の添加量は、トナー全体に対して1〜5質量%であることが好ましく、特に好ましくは2〜10質量%である。
この本発明のトナーにおける荷電制御剤の含有割合は、当該トナーを構成する荷電制御剤以外のすべてのトナーの構成成分の合計100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜2質量部である。
荷電制御剤の含有割合が過小である場合には、トナーに十分な帯電性が得られないおそれがあり、一方、荷電制御剤の含有割合が過大である場合には、当該荷電制御剤の有する導電性に起因して荷電リークが発生してトナーに十分な帯電性が得られず、それと共に現像スリーブなどの画像形成装置の構成部材を汚染し、特にトナーが二成分現像剤の構成材料として用いられている場合においてはキャリアを汚染することに起因してトナーに十分な帯電性が得られないおそれがある。
本発明のトナーを製造する方法としては、特に限定されるものではなく、トナーを製造するための方法として一般的に用いられている、溶融混練粉砕法および重合法などの従来公知の手法を適宜に用いることができる。
以上のような本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。
このトナーを磁性一成分現像剤として使用する場合には、着色剤としてマグネタイトを好適に用いることができ、特に数平均一次粒子径が80〜200nmのものを用いることが好ましい。マグネタイトには、立方晶状、球状、八面体状などの形状を有するものがあるが、トナーに赤味を付したい場合には球状のものを用いることが好ましく、またトナーに青味を付したい場合には立方晶状のものを用いることが好ましい。磁性一成分現像剤を構成するトナーにおける着色剤の添加量は、現像方式によって異なるが、非接触現像方式の場合には、トナー全体に対して35〜45質量%であることが好ましく、この添加量が過小である場合には、トナーの飛散が発生するおそれがあり、一方添加量が過大である場合には、良好な現像性が得られなくなるおそれがある。
また、二成分現像剤として使用する場合には、着色剤としてカーボンブラックを用いることが好ましく、その添加量は、トナー全体に対して5〜10質量%であることが好ましく、また、トナーの色味を制御するためにはカラー顔料を併用することができる。
このようにして二成分現像剤として使用する場合には、当該二成分現像剤を構成するキャリアとして、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の金属材料を用いることができるが、特にフェライトを用いることが好ましく、更に好ましくは銅や亜鉛を含有することなく、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが用いられる。また、キャリアとしては、これらの金属材料をコアとし、その表面をシリコーン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、含フッ素樹脂などの樹脂で被覆した構成のものを用いることが好ましく、その粒子径が、体積基準のメディアン径で30〜100μmであることが好ましい。
以上のような本発明のトナーによれば、優れた帯電制御性能を有する荷電制御剤が含有されていることから、高温高湿あるいは低温低湿などの広範な使用環境下においても長期間にわたって安定に高い画質の画像を得ることができ、また、高い印字速度により画像を形成する場合においては、当該トナーを一成分現像剤および二成分現像剤のいずれの構成材料として用いたとしても、優れた帯電立ち上がり特性が得られるため、トナーの帯電量が不均一になることに起因して生じる飛散やカブリが発生することなく、高い画質の画像を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
〔実施例1〕
(荷電制御剤の製造例)
先ず、純水190mlと、濃度37%の塩酸25gと、2−アミノ−4−クロロフェノール14.4g(0.1mol)とを仕込んで撹拌することによって固形分を溶解させた後、得られた溶液を3℃にまで冷却し、溶液の温度が5℃を超えないように調整しながら濃度36%の亜硝酸ナトリウム溶液60ml(0.3mol)を滴下し、滴下が終了した後、溶液の温度が3℃となるよう調整しながら2時間かけて反応させることによってジアゾ塩溶液を得た。
次いで、純水165mlと、濃度20%の水酸化ナトリウム溶液30g(0.15mol)と、ナフトールAS(3−ヒドロキシ−2−ナフトアニリド)26.3g(0.1mol)とを仕込んで撹拌することによって固形分を溶解させた後、得られた溶液を3℃にまで冷却し、調製したジアゾ塩溶液の全量を加え、反応温度10℃の条件で反応系にジアゾ塩が存在しなくなるまで5時間かけて反応させることによってカップリング溶液を得た。得られたカップリング溶液に、メチルアルコール100mlと、濃度20%の水酸化ナトリウム溶液30g(0.15mol)と、塩化アンモニウム(NH4 Cl)2.8g(0.05mol)と、尿素15g(0.32mol)とを加えた後、更に濃度20%の塩化鉄(FeCl3 )溶液40.6g(0.05mol)を滴下し、滴下が終了した後、溶液を70℃にまで昇温させ、2.5時間かけて反応させた。得られた反応溶液を60℃にまで冷却した後、濾過処理、洗浄処理および乾燥処理することにより、反応生成物43gを得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して1.05当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアゾ系鉄錯体(以下、「アンモニウムイオン対鉄錯体(A)」ともいう。)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が97質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(1)」とする。
〔実施例2〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から1.4g(0.025mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が96質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(2)」とする。
〔実施例3〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から3.5g(0.065mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して1.31当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が98質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(3)」とする。
〔実施例4〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、尿素の使用量を、15g(0.32mol)から9.5g(0.20mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して8.3当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が91質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(4)」とする。
〔実施例5〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から3.5g(0.065mol)とし、かつ尿素の使用量を、15g(0.32mol)から9.5g(0.20mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して8.28当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して1.31当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が93質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(5)」とする。
〔実施例6〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、2−アミノ−4−クロロフェノール0.1molに代えて、2−アミノフェノール0.1molを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 〜R6 が水素原子であるアゾ系鉄錯体(以下、「アンモニウムイオン対鉄錯体(B)」ともいう。)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(B)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(B)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(B)の含有割合が98質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(6)」とする。
〔実施例7〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、2−アミノ−4−クロロフェノール0.1molに代えて、2−アミノ−4,6−ジニトロフェノール0.1molを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR2およびR4 〜R6 が水素原子であってR1 およびR3 がニトロ基であるアゾ系鉄錯体(以下、「アンモニウムイオン対鉄錯体(C)」ともいう。)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(C)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(C)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(C)の含有割合が98質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(7)」とする。
〔実施例8〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、2−アミノ−4−クロロフェノール0.1molに代えて、2−アミノ−4−ニトロフェノール0.1molを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 がニトロ基であるアゾ系鉄錯体(以下、「アンモニウムイオン対鉄錯体(D)」ともいう。)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(D)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(D)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(D)の含有割合が98質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「荷電制御剤(8)」とする。
〔比較例1〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から14g(0.26mol)とし、かつ尿素に代えてアンモニア2.5g(0.147mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としてのアンモニアの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して2.95当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して5.25当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が76質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「比較用荷電制御剤(1)」とする。
〔比較例2〕
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)および尿素に代えてアンモニア5g(0.254mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としてのアンモニアの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して5.9当量である。
得られた反応生成物は、NMR分析により、上記一般式(3)においてR1 、R2 およびR4 〜R6 が水素原子であってR3 が塩素原子であるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)と、当該アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えて水素イオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体と、アンモニウムイオン対鉄錯体(A)においてアンモニウムイオンに代えてナトリウムイオンを対イオンとする構成のアゾ系鉄錯体との合計3種類の錯体の混合体であることが確認され、また、NMR分析および質量分析(マススペクトル)により、反応生成物におけるアンモニウムイオン対鉄錯体(A)の含有割合が65質量%であることが確認された。以下、この反応生成物を「比較用荷電制御剤(2)」とする。
実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例2の各々において得られた荷電制御剤を用い、下記の方法によってトナーを製造し、更に得られたトナーを用いて二成分現像剤を製造した。
先ず、荷電制御剤1質量部と、スチレンアクリル樹脂(スチレン:ブチルアクリレート:メチルメタクリレート=70:20:5(質量比)、軟化点128℃)100質量部と、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)8質量部と、低分子量ポリプロピレン「660P」(三洋化成工業社製)6質量部とをヘンシエルミキサーによって混合し、得られた混合物を二軸押し出し機を用いて溶融混練し、冷却した後、ジェットミルを用いて粉砕してサイクロン式分級機を用いて分級することにより、体積基準のメディアン径が8.5μmの着色粒子を得た。
次いで、得られた着色粒子100質量部に、数平均一次粒子径が12nmであって疎水化度が67である疎水性シリカ0.8質量部を添加してヘンシエルミキサーを用いて混合することにより、トナーを得た。
以下、荷電制御剤として荷電制御剤(1)〜荷電制御剤(8)を用いたトナーを、各々、トナー(1)〜トナー(8)とし、また比較用荷電制御剤(1)〜比較用荷電制御剤(2)を用いたトナーを、各々、比較用トナー(1)〜比較用トナー(2)とする。
得られた各トナーと、体積平均粒径が65μmであるシリコーン樹脂を被覆した軽金属フェライトよりなるキャリアとを混合することにより、トナー濃度が8%の二成分現像剤を得た。
以下、トナーとしてトナー(1)〜トナー(8)を用いた二成分現像剤を、各々、現像剤(1)〜現像剤(8)とし、また比較用トナー(1)〜比較用トナー(2)を用いた二成分現像剤を、各々、比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)とする。
このようにして得られた現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)について、トナーの帯電立ち上がり特性、トナーの帯電安定性および形成される画像の画質を下記の手法によって評価した。結果を表1〜表3に示す。
(1)帯電立ち上がり特性
容積20mlのガラス管に、現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)の各々を構成するトナーとキャリアとを、トナー1g、キャリア10gを秤量して仕込み、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下において、ヤヨイ式振とう機を用いて1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および60分間と撹拌した後の帯電量を、常温常湿環境下において、帯電量測定装置「TB−200」(東芝社製)を用いて測定した。
(2)帯電安定性
容積20mlのガラス管に、現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)の各々を構成するトナーとキャリアとを、トナー1g、キャリア10gを秤量して仕込み、その帯電量(表1において「初期帯電量」として示す。)を、常温常湿環境下において帯電量測定装置「TB−200」(東芝社製)を用いて測定し、その後、高温高湿(温度35℃、湿度85%RH)環境下に一昼夜放置し、再度、帯電量(表1において「放置後帯電量」として示す。)の測定を行った。
(3)画像の画質
現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)の各々を用い、接触現像方式によって毎分105枚の速度で画像形成を行うことのできる複写機により、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下と、高温高湿(温度35℃、湿度85%RH)環境下の各々において、A4サイズであって画素率5%の画像を、A4サイズの転写紙50枚に対して画像形成を連続して形成した後に画像形成動作を1分間休止する画像形成モードによって合計10万枚の転写紙に画像形成を行い、初回の画像形成動作の開始直後に形成された初期画像(表2および表3において単に「初期」と示す。)と、10万枚目に形成された画像(表2および表3において単に「10万枚」と示す。)におけるベタ黒画像の濃度(表2および表3において「画像濃度」として示す。)および白地部分におけるカブリ濃度を、マクベス社製の「RD−918」を用いて転写紙の反射濃度を0%としたときの相対反射濃度として測定した。
また、初期画像と10万枚目に形成された画像における文字の解像度を目視にて確認すると共に、初期画像の形成後と10万枚目に形成された画像の形成後の各々におけるトナーの帯電量を測定した。

Figure 0004087868
Figure 0004087868
Figure 0004087868

Claims (7)

  1. アゾ系金属錯体からなるトナー用荷電制御剤を得るためのトナー用荷電制御剤の製造方法であって、
    下記一般式(1)で表されるモノアゾ化合物および錯化剤を反応させることによって得られるアゾ系金属錯塩と、尿素および無機アンモニウム塩よりなるアンモニウム対イオン形成剤とをイオン交換反応させることによって下記一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体を合成する工程を有することを特徴とするトナー用荷電制御剤の製造方法。
    Figure 0004087868
    〔式中、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に芳香族基を示す。〕
    Figure 0004087868
    〔式中、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に芳香族基を示す。Mは、3価の金属原子を示す。〕
  2. アゾ系金属錯塩に対して3〜20当量の尿素を用いることを特徴とする請求項1に記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
  3. アゾ系金属錯塩に対して0.5〜2当量の無機アンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
  4. アゾ系金属錯体を示す一般式(2)において、Mが鉄原子であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
  5. アゾ系金属錯塩とアンモニウム対イオン形成剤とをイオン交換反応させることによって得られる反応生成物における一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体の含有割合が85質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法によって得られることを特徴とするトナー用荷電制御剤。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法によって得られるトナー用荷電制御剤を含有することを特徴とするトナー。
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