JP4087868B2 - トナー用荷電制御剤およびその製造方法並びにトナー - Google Patents
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Description
また、現像剤を長期間にわたって使用した場合には、画像形成装置の使用環境によって現像剤としてのトナーの有する帯電性が変化し、これに起因して得られる画像が特にベタ画像やハーフトーン画像である場合には濃度変化が生じてしまう、という問題がある。
本発明の他の目的は、優れた帯電立ち上がり特性を有し、高い印字速度により画像を形成する場合においても飛散やカブリが発生することなく、高い画質の画像を得ることのできるトナーを提供することにある。
下記一般式(1)で表されるモノアゾ化合物および錯化剤を反応させることによって得られるアゾ系金属錯塩と、尿素および無機アンモニウム塩よりなるアンモニウム対イオン形成剤とをイオン交換反応させることによって下記一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体を合成する工程を有することを特徴とする。
本発明のトナー用荷電制御剤は、上記一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体(以下、「特定アゾ系金属錯体」ともいう。)からなるトナー用荷電制御剤(以下、単に「荷電制御剤」ともいう。)であり、上記一般式(1)で表されるモノアゾ化合物(以下、「原料アゾ化合物」ともいう。)および錯化剤を反応させることによって得られるアゾ系金属錯塩(以下、「特定中間体」ともいう。)と、尿素および無機アンモニウム塩を含有してなるアンモニウム対イオン形成剤(以下、「特定対イオン形成剤」ともいう。)とを反応させることによって得られる特定アゾ系金属錯体を合成する工程を有する製造方法によって製造されるものである。
この錯化剤の使用量は、原料アゾ化合物1molに対して1.0〜1.6molであることが好ましく、更に1.05〜1.30molであることが好ましい。
尿素の使用量が過大である場合には、特定対イオン形成剤として用いるべき無機アンモニウム塩の使用量を小さくすることができることから得られる荷電制御剤における不純物としてのイオン性成分の含有を抑制することができるものの、イオン交換反応の反応速度が低下してしまうと共に、尿素が加水分解することによって発生する炭酸に由来のガスによる発泡が過度となることから、製造面において好ましくない。また、反応速度の低下に起因すると推定されるが、尿素単独の反応とした場合にはかえってアンモニウム対イオンの純度が低下してしまう問題がある。一方、尿素の使用量が過小である場合には、特定対イオン形成剤として用いるべき無機アンモニウム塩の使用量が大きくなり、カウンターイオンであるアニオン性イオンが不純物として多量に取り込まれてしまい、その存在によって電荷のリークが生じやすくなるため、得られる荷電制御剤が所望の帯電制御性能を有するものとならないおそれがある。
一方、特定対イオン形成剤を構成する無機アンモニウム塩の使用量は、錯形成反応過程によって生成される特定中間体に対して0.5〜2当量であることが好ましく、更に好ましくは0.7〜1.5当量である。
無機アンモニウム塩の使用量が過大である場合には、得られる荷電制御剤が所望の帯電制御性能を有するものとならないおそれがある。一方、無機アンモニウム塩の使用量が過小である場合には、イオン交換反応の反応速度が低下し、収率が低下するおそれがある。
ここに、親水性有機溶剤としては、アルコール類またはグリコール類が好ましく、具体的には、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールおよびジアセトンアルコール等のアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールのモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアセテートおよびプロピレングリコールモノアセテート等のグリコールのモノアセテートなどの1価のアルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオール等のグリコールなどの2価のアルコールなどが挙げられる。
これらの親水性有機溶剤としては、特に炭素数1〜8のアルコール類または炭素数2〜18のグリコール類が好ましい。
また、錯体形成工程に係る反応条件は、例えば、反応温度が60〜100℃であって反応時間が1〜5時間である。好ましくは反応温度が65〜80℃、反応時間は2〜4時間である。
ここに、本発明の荷電制御剤の製造方法に係る錯体形成工程にて得られる反応生成物においては、特定アゾ系金属錯体の含有割合が85質量%以上であることが好ましく、特に好ましくは90質量%以上である。
ここに、本発明のトナーを構成する荷電制御剤以外の構成成分は、特に限定されるものではなく、従来公知のものを適宜に用いることができる。
また、着色剤としては、カーボンブラック、マグネタイト、顔料および染料を用いることができる。
また、離型剤としては、臨界表面張力が低くて融点の低い結晶性物質を用いることができ、具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の炭化水素系ワックス、ベヘン酸ステアリルアルコールエステル等の長鎖カルボン酸エステル類、ペンタエリストールテトラベヘン酸エステル等の長鎖カルボン酸エステル類、カルナウバワックス等の天然ワックスなどが挙げられる。離型剤の添加量は、トナー全体に対して1〜5質量%であることが好ましく、特に好ましくは2〜10質量%である。
このトナーを磁性一成分現像剤として使用する場合には、着色剤としてマグネタイトを好適に用いることができ、特に数平均一次粒子径が80〜200nmのものを用いることが好ましい。マグネタイトには、立方晶状、球状、八面体状などの形状を有するものがあるが、トナーに赤味を付したい場合には球状のものを用いることが好ましく、またトナーに青味を付したい場合には立方晶状のものを用いることが好ましい。磁性一成分現像剤を構成するトナーにおける着色剤の添加量は、現像方式によって異なるが、非接触現像方式の場合には、トナー全体に対して35〜45質量%であることが好ましく、この添加量が過小である場合には、トナーの飛散が発生するおそれがあり、一方添加量が過大である場合には、良好な現像性が得られなくなるおそれがある。
また、二成分現像剤として使用する場合には、着色剤としてカーボンブラックを用いることが好ましく、その添加量は、トナー全体に対して5〜10質量%であることが好ましく、また、トナーの色味を制御するためにはカラー顔料を併用することができる。
このようにして二成分現像剤として使用する場合には、当該二成分現像剤を構成するキャリアとして、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の金属材料を用いることができるが、特にフェライトを用いることが好ましく、更に好ましくは銅や亜鉛を含有することなく、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが用いられる。また、キャリアとしては、これらの金属材料をコアとし、その表面をシリコーン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、含フッ素樹脂などの樹脂で被覆した構成のものを用いることが好ましく、その粒子径が、体積基準のメディアン径で30〜100μmであることが好ましい。
(荷電制御剤の製造例)
先ず、純水190mlと、濃度37%の塩酸25gと、2−アミノ−4−クロロフェノール14.4g(0.1mol)とを仕込んで撹拌することによって固形分を溶解させた後、得られた溶液を3℃にまで冷却し、溶液の温度が5℃を超えないように調整しながら濃度36%の亜硝酸ナトリウム溶液60ml(0.3mol)を滴下し、滴下が終了した後、溶液の温度が3℃となるよう調整しながら2時間かけて反応させることによってジアゾ塩溶液を得た。
次いで、純水165mlと、濃度20%の水酸化ナトリウム溶液30g(0.15mol)と、ナフトールAS(3−ヒドロキシ−2−ナフトアニリド)26.3g(0.1mol)とを仕込んで撹拌することによって固形分を溶解させた後、得られた溶液を3℃にまで冷却し、調製したジアゾ塩溶液の全量を加え、反応温度10℃の条件で反応系にジアゾ塩が存在しなくなるまで5時間かけて反応させることによってカップリング溶液を得た。得られたカップリング溶液に、メチルアルコール100mlと、濃度20%の水酸化ナトリウム溶液30g(0.15mol)と、塩化アンモニウム(NH4 Cl)2.8g(0.05mol)と、尿素15g(0.32mol)とを加えた後、更に濃度20%の塩化鉄(FeCl3 )溶液40.6g(0.05mol)を滴下し、滴下が終了した後、溶液を70℃にまで昇温させ、2.5時間かけて反応させた。得られた反応溶液を60℃にまで冷却した後、濾過処理、洗浄処理および乾燥処理することにより、反応生成物43gを得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して1.05当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から1.4g(0.025mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から3.5g(0.065mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して1.31当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、尿素の使用量を、15g(0.32mol)から9.5g(0.20mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して8.3当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から3.5g(0.065mol)とし、かつ尿素の使用量を、15g(0.32mol)から9.5g(0.20mol)としたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して8.28当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して1.31当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、2−アミノ−4−クロロフェノール0.1molに代えて、2−アミノフェノール0.1molを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、2−アミノ−4−クロロフェノール0.1molに代えて、2−アミノ−4,6−ジニトロフェノール0.1molを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、2−アミノ−4−クロロフェノール0.1molに代えて、2−アミノ−4−ニトロフェノール0.1molを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としての尿素の使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して13当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して0.52当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)の使用量を、2.8g(0.05mol)から14g(0.26mol)とし、かつ尿素に代えてアンモニア2.5g(0.147mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としてのアンモニアの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して2.95当量であり、一方塩化アンモニウムの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して5.25当量である。
(荷電制御剤の製造例)
実施例1において、塩化アンモニウム(NH4 Cl)および尿素に代えてアンモニア5g(0.254mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして反応生成物を得た。
なお、この錯体形成工程における特定対イオン形成剤としてのアンモニアの使用量は、アゾ系鉄錯塩に対して5.9当量である。
次いで、得られた着色粒子100質量部に、数平均一次粒子径が12nmであって疎水化度が67である疎水性シリカ0.8質量部を添加してヘンシエルミキサーを用いて混合することにより、トナーを得た。
以下、荷電制御剤として荷電制御剤(1)〜荷電制御剤(8)を用いたトナーを、各々、トナー(1)〜トナー(8)とし、また比較用荷電制御剤(1)〜比較用荷電制御剤(2)を用いたトナーを、各々、比較用トナー(1)〜比較用トナー(2)とする。
以下、トナーとしてトナー(1)〜トナー(8)を用いた二成分現像剤を、各々、現像剤(1)〜現像剤(8)とし、また比較用トナー(1)〜比較用トナー(2)を用いた二成分現像剤を、各々、比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)とする。
容積20mlのガラス管に、現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)の各々を構成するトナーとキャリアとを、トナー1g、キャリア10gを秤量して仕込み、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下において、ヤヨイ式振とう機を用いて1分間、2分間、5分間、10分間、20分間および60分間と撹拌した後の帯電量を、常温常湿環境下において、帯電量測定装置「TB−200」(東芝社製)を用いて測定した。
容積20mlのガラス管に、現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)の各々を構成するトナーとキャリアとを、トナー1g、キャリア10gを秤量して仕込み、その帯電量(表1において「初期帯電量」として示す。)を、常温常湿環境下において帯電量測定装置「TB−200」(東芝社製)を用いて測定し、その後、高温高湿(温度35℃、湿度85%RH)環境下に一昼夜放置し、再度、帯電量(表1において「放置後帯電量」として示す。)の測定を行った。
現像剤(1)〜現像剤(8)および比較用現像剤(1)〜比較用現像剤(2)の各々を用い、接触現像方式によって毎分105枚の速度で画像形成を行うことのできる複写機により、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下と、高温高湿(温度35℃、湿度85%RH)環境下の各々において、A4サイズであって画素率5%の画像を、A4サイズの転写紙50枚に対して画像形成を連続して形成した後に画像形成動作を1分間休止する画像形成モードによって合計10万枚の転写紙に画像形成を行い、初回の画像形成動作の開始直後に形成された初期画像(表2および表3において単に「初期」と示す。)と、10万枚目に形成された画像(表2および表3において単に「10万枚」と示す。)におけるベタ黒画像の濃度(表2および表3において「画像濃度」として示す。)および白地部分におけるカブリ濃度を、マクベス社製の「RD−918」を用いて転写紙の反射濃度を0%としたときの相対反射濃度として測定した。
また、初期画像と10万枚目に形成された画像における文字の解像度を目視にて確認すると共に、初期画像の形成後と10万枚目に形成された画像の形成後の各々におけるトナーの帯電量を測定した。
Claims (7)
- アゾ系金属錯塩に対して3〜20当量の尿素を用いることを特徴とする請求項1に記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
- アゾ系金属錯塩に対して0.5〜2当量の無機アンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
- アゾ系金属錯体を示す一般式(2)において、Mが鉄原子であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
- アゾ系金属錯塩とアンモニウム対イオン形成剤とをイオン交換反応させることによって得られる反応生成物における一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体の含有割合が85質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法によって得られることを特徴とするトナー用荷電制御剤。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトナー用荷電制御剤の製造方法によって得られるトナー用荷電制御剤を含有することを特徴とするトナー。
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