JP4087779B2 - 散乱イオン検出装置,ラザフォード後方散乱分析装置 - Google Patents
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Description
平行磁場型ラザフォード後方散乱分析装置Bは,図4に示すように,ヘリウムイオンビーム等のイオンビーム2を出力するイオン源1と,イオンの入射位置に対応する4つのパルス電流信号を出力するイオン検出器8と,イオンビーム2と平行な磁場を少なくとも試料4からイオン検出器8にかけて発生させる電磁石6(前記磁場発生手段の一例)と,試料4とイオン検出器8との間においてイオン検出器8に対する予め定められた位置に配置され,イオン検出器8側から試料4に入射するイオンビーム2を通過させるとともに,前記電磁石6の磁場によりイオンビーム2のビーム軸に収束した特定のエネルギー及び散乱角を有する散乱イオン5をイオン検出器8側に通過させるための開口を備えた板状の弁別用スリット7とを具備している。
400kV程度の高電圧が給電されたイオン源1から発せられたイオンビーム2は,加速管3を通過中に該加速管3に印加された電圧によって加速され,試料4に向かう。試料4表面において,弾性散乱された散乱イオン5は,ソレノイドコイル61及びマグネットヨーク62からなる電磁石6によって発生されたイオンビーム2のビーム軸に平行な磁場によって,軌道が曲げられ,螺旋運動を行いながら繰り返しビーム軸に接する(収束する)軌道を描く。
特定のエネルギーと散乱角とをもった散乱イオン5がビーム軸に収束する位置にイオンビーム2を中心に通すように,アイリス型のスリット7(アパーチャ)が配置されており,そのスリット7により特定のエネルギー及び散乱角を有する散乱イオン5のみを弁別し,再度発散していく散乱イオン5を2次元のイオン検出器8(散乱イオン検出器)により検出しエネルギースペクトルを得ていた。このようにして得られたエネルギースペクトルに基づいて試料4の成分元素の同定や深さ方向の組成分析を行うことができる。
前記イオン検出器8には,例えば2次元状に微細管が多数配列されたマイクロチャンネルプレートを用いることができる。図5にマイクロチャンネルプレート8bを用いた前記イオン検出器8を模式的に表した図を示す。
図5に示す如く,前記イオン検出器8は,その中心に,イオンビーム2を通過させるための小さな開口81を備えたドーナツ型の形状を有する。前記イオン検出器8の入射面(表面)に2次元状に多数配列された微細管によって,前記スリット7を通過してきた散乱イオン5の位置を測定することが可能である。即ち,微細管に入射したイオンは微細管壁面に衝突して2次電子を放出し,その2次電子が微細管壁面との衝突を繰り返して個数を増やし(増幅され),それが微細管終端部に配置された半導体等の位置検出器8cの検出面8aに到達することにより入射位置が検出される。
試料4表面から散乱された同じ散乱角,同じエネルギーの散乱イオン5は,一旦スリット7の位置で収束した後,再度発散して,検出器中心から(イオンビーム2の軸から)距離Rの位置に入射する。
特定のエネルギーの散乱イオン5が,スリット7の位置で収束するのは,特定の散乱角度の場合であるため,前記距離Rによりエネルギーを決定することができる。
イオン検出器8は,2次元の検出面8aにイオンやマイクロチャンネルプレート8bで増幅された電子が入射した際に検出面8a上の4方向(X軸の負方向及び正方向,Y軸の負方向及び正方向)それぞれにおけるイオンの入射位置に対応する4つの微小なパルス状の電流信号X11,X12,Y11,Y12を出力する。
一方,散乱イオン検出装置Aは,イオン検出器8の各パルス電流信号の電圧信号への変換と増幅とを行うプリアンプ11と,該プリアンプ11が出力する4つの電圧信号を増幅する4つのリニアアンプ12と,該4つのリニアアンプ12の出力信号に基づいて散乱イオン5の検出面8aへの入射位置を検出する位置検出回路13(位置検出手段)と,該位置検出回路13による検出位置を入力して散乱イオンの入射位置ごとのイオン数(個数)をカウントするマルチチャンネルアナライザ14(以下,MCA14という)と,該MCA14の出力結果(入射位置ごとの散乱イオンの検出数)を記憶するとともに,その出力結果に基づいて散乱イオン5のエネルギースペクトルを測定,各種分析演算,画面表示を行うコンピュータ15とを具備している。
前記プリアンプ11は,ノイズの回り込みを極力抑えるためにイオン検出器8の出力端の近傍に設けられる。
前記リニアアンプ12は,入力信号の増幅及び波形整形を行うものであり,この波形整形により,信号のパルス幅を後の信号処理にマッチした幅に変換する(通常0.5〜10μ秒程度の幅へ変換)。
図7は,複数のイオン検出器8の配置例を表し,図7(a)は,イオンビーム2のビーム軸P(ビーム中心)を中心とした円の円周上に複数のイオン検出器8を配設した例,図7(b)は,イオンビーム2のビーム軸P(ビーム中心)に直行する直線上に複数のイオン検出器8を配設した例,図7(c)は,前記ビーム軸Pに対する距離及び角度(前記ビーム軸Pを中心とする放射角度θ)がそれぞれ異なる位置(例えば,渦巻き線上)に複数のイオン検出器を配設した例を表す。
もちろんこれらは一例であり,イオン検出器8の配置方法は,これらを組み合わせたもの等,各種考えられる。また,図7(a),(b)に示すように,イオン検出器8を必ずしも等間隔(等しい角度ピッチ或いは等距離)で配設しなければならないわけではない。
図8に示すように,散乱イオン検出装置A1は,イオン検出器8が1つの場合の前記散乱イオン検出装置Aが備える各構成要素(4つのプリアンプ11,4つのリニアアンプ12,位置検出回路13及びMCA14)を,前記コンピュータ15を除いて全てイオン検出器8ごとに設けたものである。
図8に示すものと同様の構成が,例えば,特許文献2に示されている。即ち,特許文献2には,複数の超伝導放射線検出器を用いる場合に,その各々に対して信号処理回路及びマルチチャンネルアナライザ(MCA)を設け,さらに各MCAの出力を加算器で加算し,該加算器の出力に基づいてX線スペクトルを表示するX線分析装置が示されている。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,イオンビームの照射を受けた試料から後方散乱した散乱イオンが到達し得る位置に複数配設されたイオン検出器が出力するパルス電流信号に基づいて散乱イオンのイオン検出器への入射位置を検出する散乱イオン検出装置において,装置を簡易化,小型化及び低コスト化できる散乱イオン検出装置及びそれを具備するラザフォード後方散乱分析装置を提供することにある。
これにより,前記イオン検出器の数に関わらず,前記アンプは前記イオン検出器の出力信号の方向の数(即ち,4つ)だけ,前記位置検出手段等は1つ設けるだけで済み,装置を簡易化,小型化及び低コスト化できる。しかも,前記散乱イオンが低頻度で検出される場合には,複数の前記散乱イオンが同時検出される確率は低いので,前記加算器を通じて前記位置検出手段に入力される4つの信号は,多くの場合,前記イオン検出器のいずれかに入射した1つの前記散乱イオンに対応する信号となり,前記位置検出回路を1つにすることの問題はほとんど生じない。
さらに,前記散乱イオンの検出頻度が高い場合でも,複数の前記散乱イオンが同時検出され,それらの信号が加算された信号によって誤った位置検出が行われることを防止できる。
即ち,複数のイオン検出器と,前記イオンビームと平行な磁場を少なくとも前記試料から前記イオン検出器にかけて発生させる磁場発生手段と,前記試料と前記イオン検出器との間の位置に配置され,前記イオン検出器側から前記試料に入射する前記イオンビームを通過させると共に,前記磁場発生手段の磁場により前記イオンビームのビーム軸に収束した特定のエネルギーを有する前記散乱イオンを前記イオン検出器側に通過させるための開口を備えた板状の弁別用スリットと,前記散乱イオン検出装置と,を具備してなることを特徴とするラザフォード後方散乱分析装置として構成されるものである。
さらに,前記イオン検出器ごとに,前記プリアンプで変換及び増幅した4つの電圧信号の1又は複数が設定レベル以上であるか否かを検出する信号有無検出手段と,前記信号有無検出手段の出力を一定時間保持する保持回路とを備えてなり,前記保持回路により保持された前記信号有無検出手段の出力に基づき,前記信号有無検出手段により同時に複数の前記イオン検出器について前記設定レベル以上が検出された場合には位置検出を行わず,唯一の前記イオン検出器について前記設定レベル以上が検出された場合にのみ,該唯一の前記イオン検出器を特定し,該イオン検出器の配置位置に関する情報と前記4つのアンプの出力信号とに基づいて前記散乱イオンの前記検出面への入射位置を検出するため,前記散乱イオンの検出頻度が高い場合でも,複数の前記散乱イオンが同時検出されることによる誤った位置検出を防止できる。
ここに,図1は本発明の第1の実施の形態に係る散乱イオン検出装置X1の概略構成を表すブロック図,図2は本発明の第2の実施の形態に係る散乱イオン検出装置X2の概略構成を表すブロック図,図3は本発明の第3の実施の形態に係る散乱イオン検出装置X3の概略構成を表すブロック図,図4は本発明の実施の形態に係る散乱イオン検出装置の適用対象の一例であるラザフォード後方散乱分析装置Bの概略構成例を表す図,図5はイオン検出器を模式的に表した図,図6は1つのイオン検出器の出力信号に基づく従来の散乱イオン検出装置Aの概略構成を表すブロック図,図7は複数のイオン検出器の配置例を表す図,図8は複数のイオン検出器の出力信号に基づく従来の散乱イオン検出装置A1の概略構成を表すブロック図である。
以下に説明する本発明の実施の形態に係る散乱イオン検出装置X1〜X3は,前述した平行磁場型ラザフォード後方散乱分析装置Bにおいて,複数の前記イオン検出器8が,前記イオンビーム2の照射を受けた試料4から後方散乱した散乱イオン5が到達し得る位置(前記スリット7のイオンビーム2照射上流側)に複数配設された場合に,その信号処理装置として付加されるものである。
まず,図1のブロック図を用いて,本発明の第1の実施の形態に係る散乱イオン検出装置X1の構成について説明する。以下,図6に示した1つのイオン検出器8の出力信号に基づく従来の散乱イオン検出装置Aの構成要素と同じ構成要素については,同じ番号で示す。
前述したように,前記イオン検出器8各々は,2次元の検出面8aにイオンやマイクロチャンネルプレート8bで増幅された電子が入射した際に該検出面8a上の4方向(X軸の負方向及び正方向,Y軸の負方向及び正方向)それぞれにおけるイオンの入射位置に対応する4つの微小なパルス状の電流信号Xn1,Xn2,Yn1,Yn2(nはイオン検出器8の番号を表す(n=1,2,3,…))を出力する。このようなイオン検出器8は一般的なものであるので詳細な説明は省略する。また,図1は,前記イオン検出器8が3つ設けられた場合の例を示すが,2個若しくは4個,或いは5個以上であっても同様である。
本散乱イオン検出装置X1は,複数の前記イオン検出器8の出力信号を前記プリアンプ11で変換及び増幅した電圧信号に基づいて前記散乱イオンの前記検出面8aへの入射位置を検出し,その検出位置に基づいて散乱イオンのエネルギースペクトルを測定するものである。
図1に示すように,散乱イオン検出装置X1は,前記イオン検出器8各々の出力信号ごとに設けられ,前記イオン検出器8が出力する4つのパルス電流信号各々の電圧信号への変換及び増幅を行うプリアンプ11と,複数の前記イオン検出器8から出力され前記プリアンプ11で変換及び増幅した4つの電圧信号を,対応する方向ごとに加算して出力する4つの加算器21と,該4つの加算器21各々の出力信号を増幅する4つの前記リニアアンプ12と,該4つのリニアアンプ12の出力信号(アナログ信号)に基づいて加算,減算,乗算等の処理を行うアナログ回路又はアナログ信号をA/D変換したデジタル信号について加算,減算,乗算等の演算処理を行うデジタル処理回路により前記散乱イオンの前記検出面4aへの入射位置を検出する前記位置検出回路13(前記位置検出手段の一例)と,該位置検出回路13による検出位置を入力して散乱イオンの入射位置ごとのイオン数(個数)をカウントする前記マルチチャンネルアナライザ14(MCA14)と,該MCA14の出力結果(入射位置ごとの散乱イオンの検出数)を記憶するとともに,その出力結果に基づいて前記散乱イオンのエネルギースペクトルを測定,各種分析演算,画面表示を行う前記コンピュータ15とを具備している。
前記リニアアンプ12は,入力信号の増幅及び波形整形を行うものである。以下,他の実施の形態についても同様である。
これに対し,前記散乱イオン検出装置X1では,前記加算器21により,複数の前記イオン検出器8からの信号を対応する方向ごとに加算するので,前記イオン検出器8の数に関わらず,前記リニアアンプ12は前記パルス電流信号の方向の数(即ち,4つ),前記位置検出回路13及び前記MCA14各々は1つ設けるだけで済む。しかも,前記加算器21を通じて前記位置検出回路13に入力される4つの信号は,多くの場合,前記イオン検出器8のいずれかに入射した1つの前記散乱イオンに対応する信号となるので,前記位置検出回路13を1つにすることの問題はほとんど生じない。
また,前記加算器21は,前記位置検出回路13や前記MCA14に比べれば,はるかに簡易で小型,かつ安価な部品であるので,装置の複雑化,大型化及び高コスト化は抑えられる。
この場合,Y軸負方向(前記ビーム軸Pに向かう方向)の信号Yn1各々を加算,Y軸正方向(前記ビーム軸Pを中心とした放射方向)の信号Yn2各々を加算,X軸負方向の信号Xn1各々を加算,さらにX軸正方向の信号Xn2各々を加算する(即ち,対応する方向ごとに加算)。
これにより,複数の前記イオン検出器8のいずれに前記散乱イオン5が入射した場合でも,前記位置検出回路13は,前記検出面8aにおけるイオン入射位置を検出すれば,その検出位置の前記ビーム軸Pからの距離Rを一定の演算によって求めることができる。また,前記コンピュータ15では,この距離Rから前記散乱イオン5のエネルギーを特定することができ,さらにエネルギースペクトルを測定することができる。
前記散乱イオン検出装置X1は,前記イオン検出器8による前記散乱イオン5の検出頻度が高い場合(前記散乱イオン5の発生頻度が高い場合)には,複数の散乱イオンが同時検出される頻度が高くなり実用的でない。
そこで,図2に示す本発明の第2の実施形態に係る散乱イオン検出装置X2は,前記散乱イオン検出装置X1に対し,前記イオン検出器8ごとの散乱イオンの検出有無を検出する手段を加えたものである。
即ち,散乱イオン検出装置X2は,前記プリアンプ11で変換及び増幅した4つの電圧信号の1又は複数が設定レベル以上であるか否かを検出する比較器22(前記信号有無検出手段の一例)と,該比較器22の出力(ON又はOFF)を一定時間保持する保持回路23とを具備し,該保持回路23の出力は,前記位置検出回路13に入力される。図2では,前記比較器22は前記イオン検出器8各々の1つの出力信号(前記パルス電流信号Xn2)ごとに設けている。これにより,前記イオン検出器8各々において,前記検出面8aのX−Y軸平面における第1象限及び第4象限のエリアに前記散乱イオン5が入射されたことを検出できる。より確実に前記散乱イオン5の入射を検出するためには,全ての信号ごとに前記比較器22を設けるか,或いは前記イオン検出器8ごとに4つの信号を加算する加算器を設け,該加算器の出力ごとに前記比較器22を設けることが望ましい。
前記比較器22は,前記位置検出回路13や前記MCA14に比べれば,はるかに簡易で小型,かつ安価な部品であるので,装置の複雑化,大型化及び高コスト化は抑えられる。
このような構成により,複数の前記散乱イオン5が同時検出された場合に,それらの信号が加算された信号によって誤った位置検出が行われることを防止できるので,前記散乱イオンの検出頻度が高い場合にも適用できる。
また,複数の前記イオン検出器8のいずれで散乱イオンが検出されたかを識別できるので,図7(b),(c)に示したように,前記ビーム軸Pからの距離がそれぞれ異なる位置に複数の前記イオン検出器8を配置した場合にも適用できる。
図7(b),(c)のように,複数の前記イオン検出器8を,前記ビーム軸Pからそれぞれ異なる距離に配置した場合,図7(a)の場合とは異なり,前記検出面8a上における前記散乱イオンの入射位置が同じ(4つの前記加算器21の出力信号の組合せが同じ)であっても,前記イオン検出器8のいずれで検出されたかによって前記ビーム軸Pから前記散乱イオンの検出位置までの距離が異なる。
しかし,前記保持回路23の出力に基づいて,前記散乱イオンが検出された前記イオン検出器8を特定すれば,そのイオン検出器8の配置位置に関する情報(前記ビーム軸Pからの距離等)と4つの前記リニアアンプ12の出力信号とに基づいて前記散乱イオン検出位置の前記ビーム軸Pからの距離を検出する(求める)ことができる。
図3は,前記散乱イオン検出装置X2と同等の機能を異なる構成で実現した本発明の第5の実施の形態に係る散乱イオン検出装置X3の概略構成を表すブロック図である。
散乱イオン検出装置X3は,前記散乱イオン検出装置X2における前記MCA14の代わりに,その機能をA/Dコンバータ24及び前記コンピュータ15により実現するものである。即ち,前記位置検出回路13の出力信号(位置検出信号)をA/D変換して前記コンピュータ15に出力するA/Dコンバータ24を設け,前記保持回路23の出力は,前記コンピュータ15に入力されるよう構成されている。そして,前記コンピュータ15が,前記位置検出回路13による検出位置(A/D変換された信号)を入力して前記散乱イオンの入射位置ごとのイオン数(個数)をカウントするものである。
さらに,位置検出回路としては前記保持回路23からの信号の入力機能を有さない前記位置検出回路13(図1の前記位置検出回路13)が設けられ,前記保持回路23の出力は,前記コンピュータ15に入力される。そして,前記コンピュータ15は,予め設定された位置検出プログラムを実行することにより,前記位置検出回路13による前記散乱イオンの入射位置検出結果と,前記保持回路23の出力(前記信号有無検出手段の検出結果の一例)とに基づいて,前記散乱イオン5の前記検出面8aへの入射位置の最終的な検出値を決定する(検出する)。即ち,前記コンピュータ15は,前記保持回路23の出力に基づき,前記比較器22(前記信号有無検出手段)によって同時に複数の前記イオン検出器8について前記設定レベル以上が検出された場合には,そのときの前記位置検出回路13の出力結果を破棄して採用せず,唯一の前記イオン検出器8について前記設定レベル以上が検出された場合にのみ,前記位置検出回路13の出力結果を前記散乱イオンの入射位置として採用するよう構成されている。この場合,前記位置検出回路13及び前記コンピュータ15が,前記位置検出手段の一例を構成する。
一般に,処理速度等の問題で,高速処理が可能なMCAが用いられるが,特に速度上の問題がなければ,この散乱イオン検出装置X3のような構成とすることも考えられる。
また,複数の前記イオン検出器8のいずれで散乱イオンが検出されたかを識別できるので,図7(b),(c)に示したように,前記ビーム軸Pからの距離がそれぞれ異なる位置に複数の前記イオン検出器8を配置した場合にも適用できる。
さらに,前記コンピュータ15のプログラム処理によってよりきめ細かな位置検出処理を行うことが可能となる。
例えば,いずれの前記イオン検出器8で前記散乱イオンが検出されたかを識別できるので,複数の前記イオン検出器8各々の個体差に関するパラメータを予め実験的に求めて前記コンピュータ15に記憶させておき,その個体差を補正した位置検出値を算出すれば,より高精度の分析が可能となる。
このような構成も,本発明の実施形態の一例である。もちろん前記コンピュータ15の替わりに,ハードウェアを基調として同等の処理を行う信号処理回路を設けてもかまわない。
4…試料
6…電磁石
7…アイリス型スリット(アパーチャ)
8…イオン検出器
8a…検出面
8b…マイクロチャンネルプレート
8c…位置検出器
11…プリアンプ
12…リニアアンプ
13,13’…位置検出回路(位置検出手段)
14…マルチチャンネルアナライザ
15…コンピュータ
21…加算器
22…比較器(信号有無検出手段)
23…保持回路
24…A/Dコンバータ
Claims (3)
- 2次元の検出面にイオンが入射した際に前記検出面上の4方向それぞれにおける前記イオンの入射位置に対応する4つのパルス電流信号を出力するイオン検出器が,イオンビームの照射を受けた試料から後方散乱した散乱イオンが到達し得る位置に複数配設され,複数の前記イオン検出器が出力する各々4つのパルス電流信号をプリアンプで変換及び増幅した電圧信号に基づいて前記散乱イオンの前記検出面への入射位置を検出する散乱イオン検出装置において,
複数の前記イオン検出器から出力され前記プリアンプで変換及び増幅した4つの電圧信号を,対応する方向ごとに加算して出力する4つの加算器と,
前記4つの加算器各々の出力信号を増幅する4つのアンプと,
前記イオン検出器ごとに,前記プリアンプで変換及び増幅した4つの電圧信号の1又は複数が設定レベル以上であるか否かを検出する信号有無検出手段と,
前記信号有無検出手段の出力を一定時間保持する保持回路と,
前記保持回路により保持された前記信号有無検出手段の出力に基づき,前記信号有無検出手段により同時に複数の前記イオン検出器について前記設定レベル以上が検出された場合には位置検出を行わず,唯一の前記イオン検出器について前記設定レベル以上が検出された場合にのみ,該唯一の前記イオン検出器を特定し,該イオン検出器の配置位置に関する情報と前記4つのアンプの出力信号とに基づいて前記散乱イオンの前記検出面への入射位置を検出する位置検出手段と,
を具備してなることを特徴とする散乱イオン検出装置。 - 前記位置検出手段が,予め記憶された前記イオン検出器各々の個体差に関するパラメータで,前記唯一のイオン検出器の個体差を補正した位置検出値を算出してなる請求項1に記載の散乱イオン検出装置。
- 複数のイオン検出器と,前記イオンビームと平行な磁場を少なくとも前記試料から前記イオン検出器にかけて発生させる磁場発生手段と,前記試料と前記イオン検出器との間の位置に配置され,前記イオン検出器側から前記試料に入射する前記イオンビームを通過させると共に,前記磁場発生手段の磁場により前記イオンビームのビーム軸に収束した特定のエネルギー及び散乱角を有する前記散乱イオンを前記イオン検出器側に通過させるための開口を備えた板状の弁別用スリットと,請求項1又は2のいずれかに記載の散乱イオン検出装置と,を具備してなることを特徴とするラザフォード後方散乱分析装置。
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