JP5576406B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子線装置に係り、特に、典型的には1 kVから200 kVの加速電圧で加速した電子線をプローブとし、試料より発生する二次粒子を検出することで試料表面の情報を得る荷電粒子線装置において、検出する電子のエネルギーに関して効果的かつ簡便にバンドパス弁別して検出する技術に関する。
荷電粒子をプローブとして試料上に照射し、それに伴って試料より発生する二次粒子、もしくは透過した荷電粒子を検出し、検出された強度からプローブ照射位置に関する情報を得る荷電粒子線装置において、前記荷電粒子のエネルギーを選択して検出することで特定の情報を得る手法が多く提示されている。
特に電子線プローブを試料上で二次元的に走査して走査領域の二次元画像を得る走査電子顕微鏡においては、試料から発生する信号電子のエネルギーを弁別して検出する手法が多く提示されている。
信号電子がエネルギーによって異なる軌道を描くことを利用した手法としては、特定エネルギーの電子のみが検出される位置に検出器の感受面を設ける特開2004-221089(出願人:レオ・エレクトロネンミクロスコピー・ゲーエムベーハー)、特開2002-110079(出願人:株式会社日立製作所)のような手法が提示されている。
信号電子の軌道がエネルギーによって変化しない場合に、試料と検出器の感受面の間隙に特定エネルギー以下の電子を遮蔽する電界を供給する負の電圧を印加した多孔の板状電極(メッシュ電極)を用いる手法としては、特開平11-242941(出願人:株式会社日立製作所)、WO99/46798(出願人株式会社日立製作所)のような手法が提示されている。
ただし、これら全ての手法はハイパス検出、もしくはローパス検出を行うための手法であり、例えば、一次電子線の照射エネルギーが30 keVのとき、1 keVから30 keVのエネルギー幅を持つ信号電子のうち、10 keVから20 keVのエネルギーの電子のみを強調して検出するようなバンドパス検出を行うことは不可能だった。
バンドパス検出を行う手法としては、複数のメッシュ電極に段階的に異なる電圧を印加して電極間に多段の電界障壁を作り、各電位障壁内にエネルギーバンドパス選択された信号電子を閉じ込めて検出する手法が各種提示されている。
特開平10-188883(出願人:株式会社島津製作所)では、バンドパス選択された信号電子を電流信号として各メッシュ電極からフローティングアンプを介して検出する手法が提示されている。また、特開2006-114426(出願人:株式会社日立製作所)では、バンドパス選択された信号電子を、メッシュ電極の間隙に設けられた電子検出器によって検出する手法が提示されている。
ただし、これらの手法ではメッシュ電極を用いることによる電界の不均一性や電極による立体障害が問題となり、効率的な検出は期待できない。また、両者ともに遮蔽電界を供給するための高電圧電源が複数必要になり、さらに適切な静電耐圧を持たせるための工夫が必要となるため、簡便な検出器構成とはなっていない。
特開平11-160438(出願人:エルマール・テクノロジーズ・リミテッド)では、電子検出器であるMCP(マイクロ・チャンネル・プレート)検出器の感受面と試料との間に薄膜を設ける手法が提示されている。この目的は、300 eV程度の低エネルギーで感度が最大となるMCPにおいても、高エネルギー電子を効率的に検出することである。薄膜により高エネルギー電子はエネルギー減衰されてMCP感受面側から透過する。または高エネルギー電子は薄膜のMCP感受面側で極低エネルギー(< 100 eV)の副次電子に変換される。これにより、変換後の極低エネルギー電子を高感度で検出することで高エネルギー電子がMCPで効果的に検出できるとされる。
この手法によれば、薄膜の膜厚を適切に選び、所望のエネルギーの電子がちょうど300 eV程度に変換されるようにすればバンドパス検出が可能になると予想されるが、エネルギーがほとんど減衰しないほど高エネルギー電子がMCP表面でつくる極低エネルギー電子も検出してしまうため、結局のところハイパスフィルタとしての効果しか期待されず、高エネルギー電子を検出しないことで達成されるバンドパス検出は不可能であると予想される。
特開2004-221089号公報 特開2002-110079号公報 特開平11-242941号公報 WO99/46798号公報 特開平10-188883号公報 特開2006-114426号公報 特開平11-160438号公報
先に示した先行特許文献1−7に開示された技術では、上記のように、いずれにおいても簡便で高効率な電子のバンドパス検出は困難であった。
本発明では、典型的には1 kVから200 kVで加速された一次電子線をプローブとして用いる走査電子顕微鏡において試料から発生する1 keV以上で、かつ一次電子線の照射エネルギー以下の電子に関して、簡便で効率的な電子のエネルギーバンドパス走査電子顕微鏡画像を提供することを目的とする。
本発明においては、荷電粒子線装置において、試料に照射するプローブを制限するアパーチャと試料ステージの間隙に設けた導電膜と、当該導電膜に対して30 °から150 °の角度を持った感受面を持つ電子検出器との組み合わせにより上記の課題を達成する。
かかる構成によれば、高電圧を必要とせず、メッシュのような立体障害をもたない最小の構成で簡便で高効率なバンドパス検出が可能になる。
本発明のバンドパス検出器の基本構成を示す図。 本発明のバンドパス検出器の基本構成を示す図。 本発明のバンドパス検出器の基本構成を示す図。 本発明のバンドパス検出器の基本構成を示す図。 第一の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第二の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第三の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第四の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第五の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第六の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第七の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第八の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第九の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第十の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第十一の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第十二の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 第十三の実施例の走査電子顕微鏡を示す図。 本発明のバンドパス検出器におけるバンドパス検出エネルギーの可変機構を示す図。 本発明のバンドパス検出器における第2のバンドパス検出エネルギーの可変機構を示す図。 第十四の実施例の低真空走査電子顕微鏡を示す図。 第十五の実施例の低真空走査電子顕微鏡を示す図。 第十六の実施例の低真空走査電子顕微鏡を示す図。
図1−1は、本発明のエネルギーバンドパス電子検出器の基本となる構成である。
以降では便宜上、1 keV以上かつ、一次電子線の照射エネルギー以下の電子のうち、バンドパス検出したい所望のエネルギーより高いエネルギーの電子を高エネルギー電子、所望のエネルギーより低いエネルギーの電子を低エネルギー電子と呼ぶ。また、100 eV以下のエネルギーの電子を極低エネルギー電子と呼ぶ。
10-50000 nmの厚みのアルミニウムや金などの導電膜1を信号電子5、4、7の軌道上に配置する。このとき、導電膜1は、一次電子線と±10°の尤度をもって垂直に配置する。導電膜1と試料間の距離より遠い位置には、感受面が導電膜1と30°から150°の角度(図1−1では90°)を持った電子検出器2を配置する。このとき、導電膜1は、一次電子線3を通過させるため一次電子線3の光軸は避けて配置する。
試料から発生した信号電子のうち、低エネルギー電子4は、導電膜中を進行する過程で全エネルギーを失い、導電膜1中の試料側の面に近い位置で停止する。このため電子検出器2では低エネルギー電子に起因する信号は検出されない。
所望のエネルギー電子5は、導電膜中でエネルギーを失いながらも進行し、導電膜の検出器側の面から1 keV以下の低エネルギーを持って透過する。このとき、導電膜の検出器側の面から極低エネルギー(数 eV)の電子6が発生する。一般的に知られているように、電子が打ち込まれた際に発生する極低エネルギー電子の発生率は打ち込む電子のエネルギーと打ち込まれる物質の材質に依存しており、多くの物質では打ち込む電子のエネルギーが1 keV以下のときに最大値を持つ。アルミニウムでは約500 eVの電子で極低エネルギー電子6の発生率は最大になり、約2程度であることが知られている。
一方、高エネルギー電子7は、導電膜中でほとんどエネルギーを失わず、導電膜をほぼ直線に近い軌道で通過する。通過の際のエネルギーが高いため、検出器側の面から発生する極低エネルギー電子は少なくなる。アルミニウムでは約10 keVの電子で極低エネルギー電子6の発生率は0.2程度であることが知られている。
以上より、極低エネルギー電子6を検出することで、所望のエネルギーの電子に起因する信号のみを選択的に強調して検出することができ、電子のバンドパス検出が実現される。ここで得られた信号を一次電子線3の走査に同期して画像処理端末に表示すれば、所望のエネルギーでバンドパスした電子による走査電子顕微鏡画像を得ることができる。
極低エネルギー電子6を検出する電子検出器2は、シンチレータ9と光電子増倍器11およびシンチレータから発生する光子を光電子増倍管へ導くライトガイド10を備える。ここで示した実施例では、検出器の感受面であるシンチレータ面は導電膜に対して90°の角度を持って配置される。検出器の感受面と導電膜の角度は、90°に限定されるものではなく、30°以上150°以下の範囲の角度で配置されてもよい。電子検出器のシンチレータ9の表面には二次電子を加速するため10 kV程度の正の電圧を印加する薄膜状の加速電極12が設けられている。加速された極低エネルギー電子6はシンチレータ9にあたり、光子を発生させる。光電子増倍管11はこの光子を電子に変換した上で高いゲインで増幅する。なお、電子検出器2は前記のような構成に限らず、例えばMCP(マイクロ・チャンネル・プレート)であってもよい。
加速電極12に印加された高電圧が一次電子線3に影響を与えないようにするため、加速電極12と一次電子線3の光軸との間には接地電位に保たれたメッシュ状の電極8を設けてもよい。メッシュ電極8の孔径は、加速電極12が作る電界が一次電子線3に影響を及ぼさない程度に小さくする必要があるが、極低エネルギー電子6をシンチレータ9に引き込む程度には極低エネルギー電子6の発生部位である導電幕1上に電界が浸透する程度には大きくする必要がある。
バンドパス検出するエネルギー帯を選択するには、導電膜1の厚さを変化させればよい。例えば、導電膜がアルミニウムである場合、エネルギーが10 keVを中心とするバンドパス検出を行う場合、約1 μm程度にすればよく、20 keVを中心とするバンドパス検出を行う場合、約2.5 μm程度にすればよい。より低いエネルギーを中心としたバンドパス検出を行う場合には、導電膜の厚みをさらに薄くすればよい。
また、本検出器をハイパスフィルタとして用いたい場合は、最大エネルギー(一次電子線の照射エネルギーとほぼ同値)の信号電子が1 keV以下の低エネルギーにエネルギー減衰されるように導電膜1の厚みを選択すればよい。
なお、導電膜の検出器側の面には、極低エネルギー電子の発生効率を高めるため、100 nm以下の厚みのMgO、CsI、酸化アルミニウムなどの物質をコーティングしてもよい。
極低エネルギー電子6を検出する電子検出器2は、シンチレータ9と光電子増倍器11およびシンチレータから発生する光子を光電子増倍管へ導くライトガイド10を備える。
本検出器構成をバンドパスフィルタとして用いる必須の条件として、高エネルギーの電子7を直接検出しないようにしなければならない。これは導電膜1と検出器の感受面であるシンチレータ9の面の配置を工夫することで達成される。
図1−1で示した実施例では、導電膜は一次電子線3の光軸に対して垂直に配置され、検出器の感受面であるシンチレータ9の面は導電膜に対して90 °の角度を持って配置される。このときの注意点として、通過の際の軌道の角度変化101が±10°以下の変化に収まる高エネルギーの電子7が、感受面に直接はいらないようにする。このような導電膜1と感受面の配置は以降の全ての実施例についてなりたたねばならない。
導電膜と一次電子線3の光軸との角度や検出器の感受面と導電膜の角度は、90 °に限定されるものではない。以下では、図1−1の基本構成で、導電膜と検出器感受面の角度のバリエーションについて説明する。
導電膜と一次電子線の光軸との角度は、90°±10°に限定されるものではなく、例えば、100°から150°の角度であってもよい。このとき、導電膜と前記検出器の感受面との角度は30°から150°の間とする。図1−2で示した実施例では、導電膜1と一次電子線3の光軸とが120°の角度を持って配置されている。また、導電膜1と検出器の感受面であるシンチレータ9の面は60°の角度を持って配置されている。かかる構成によれば、多くの極低エネルギー電子6の初速度方向が感受面の方向を向く事になり検出効率が向上する。
図1−3で示した実施例では、導電膜1と一次電子線3の光軸とが120°の角度を持って配置されている。また、導電膜1と検出器の感受面であるシンチレータ9の面は90°の角度を持って配置されている。かかる構成によれば、多くの極低エネルギー電子6の初速度方向が感受面の方向を向く事になり検出効率が向上する。それに加え、透過する高エネルギーの電子7が感受面であるシンチレータ9の面に直接入りにくくなる。
図1−4で示した実施例では、導電膜1と一次電子線3の光軸とが90°の角度を持って配置されている。また、導電膜1と検出器の感受面であるシンチレータ9の面は120°の角度を持って配置されている。かかる構成によれば、透過する高エネルギーの電子7が感受面であるシンチレータ9の面に直接入りにくくなる。
以下では、本発明の代表的な実施例について図を用いて説明する。
図2は、本発明の第一の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。
図2に示した走査電子顕微鏡は、大まかには、試料に対して電子線を照射するための機構を備えた電子光学鏡筒13と、試料50を保持する試料台49と試料台49を格納する試料室14と、図示しない制御処理や各種画像処理、あるいはユーザインタフェースに関わる情報処理を行う図示しない情報処理部、および走査電子顕微鏡画像を表示する図示しない画像表示端末、画像メモリにより構成される。
電子光学鏡筒13は、基本的には電子源15、第一コンデンサレンズ(C1レンズ)16、第二コンデンサレンズ(C2レンズ)17、二段の走査偏向器18、対物レンズ21等により構成される。電子源15は典型的には電界放出型の電子源を用いる。
対物レンズ21は、レンズの下面より下に配置された試料50に意図的に出力磁場中を浸透させるセミインレンズ型の対物レンズであり、位置的には試料室14の内部に配置される場合もあるが、便宜上、電子光学系鏡筒13に属する構成要素であるとして説明する。
電子源15から放出された200 keV以下のエネルギーを持つ一次電子線3は、C1レンズ16によって第一の収束点23に収束され、後にアパーチャ24を通過する。このとき、一次電子線3の不要な領域が除去される。C1レンズ16を制御して一次電子線3の第一の収束点23の位置を制御する。
アパーチャ24を通過した一次電子線3は、C2レンズ17によって第二の収束点25に収束される。C2レンズ17を制御して一次電子線3の第二の収束点25の位置を制御する。第二の収束点25を通過した一次電子線3は、対物レンズ21によって試料50上に収束される。C2レンズ17と対物レンズ21の間には、二段の走査偏向器18が配置されており、一次電子線3の試料50上の収束点を所望の視野の範囲/倍率に応じて二次元的に走査する。
一次電子線3の照射によって、試料からは様々なエネルギーの信号電子が発生する。ここでは、便宜上、試料が接地電位であった場合に、試料から放出された信号電子のうち、エネルギーが、約50 eV以下の信号電子を特に二次電子26と呼ぶ。二次電子は、セミインレンズの作る磁界の影響を受け、一次電子線の光軸に巻きついて対物レンズ21の中心穴を通過し、電子源報告に進行する。検出部A用ExB20では二次電子26を検出器A19方向に偏向させる。二次電子26は検出器A19で検出する。検出器A19は、図1−1で示した電子検出器2と同じものである。ExBとは一次電子線を直進させ、極低エネルギー(< 50 eV)の電子のみを軸外に偏向させる直交電磁界発生器)である。
バンドパス検出器では、1 keVから一次電子線の照射電圧までのエネルギー範囲をもつ信号電子のうち、導電膜の厚みに対応したエネルギーの信号電子を強調して検出する。二次電子と同様に1 keVから一次電子線の照射電圧までのエネルギー範囲をもつ信号電子も、セミインレンズの作る磁界の影響を受け、その多くが一次電子線の光軸に巻きついて対物レンズ21の中心穴を通過し、電子源報告に進行する。
バンドパス検出用の導電膜A43は、中心に一次電子線3の通過穴を設けた軸対称の円盤状をしており、検出部A用ExB20とC2レンズ17の間隙に一次電子線3の光軸と垂直に配置される。このとき、バンドパス検出したいエネルギーによって導電膜A43の厚みをあらかじめ決定しておく。所望のエネルギーの電子5によって発生した極低エネルギー電子6は検出部B27で検出される。検出部B27は図1−1で示した電子検出器2と同様の構成をしている。導電膜A43とC2レンズ17の間隙には、検出部A用ExB20と同様の働きをする検出部B用ExB30を設けても良い。
検出部A19では、二次電子26の他、低エネルギー電子4が導電膜A43の試料側の面で発生させた極低エネルギー電子29も検出できる。特に低エネルギー電子情報のみを強調し、二次電子26情報をカットしたい場合、遮蔽電極28に負の電圧を印加する。このときの電圧は典型的には約-100 Vである。この場合、二次電子26が遮蔽電界により試料方向に押し戻されるため、検出部A19では低エネルギー電子を検出できる。
図3は、本発明の第二の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。本実施例では、中心に一次電子線3の通過穴を設けた軸対称の円盤状をした導電膜A43が一次電子線3の光軸に対して150 °以下の角度で配置されている。この方法では極低エネルギー電子6は検出部B27方向に初速度を持つため、第一の実施例で説明した検出部B用ExB30を用いなくても検出が容易になる。同様に、図3のように検出器A19を配置すれば、極低エネルギー電子29は検出部A方向の初速度を持つため、検出部A用ExB20を用いなくても検出が容易になる。
図4は、本発明の第三の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。本実施例では、特に試料から大きい角度(高角度)で放出される電子(高角度電子)を検出するため、第一の実施例に加えて、さらにもう一系統バンドパス検出系を備えている。高角度電子のバンドパス検出用の導電膜B31は中心に一次電子線3の通過穴を設けた軸対称の円盤状をしており、アパーチャ24とC2レンズ17の間隙に一次電子線3の光軸と垂直に配置される。このとき、バンドパス検出したいエネルギーによって導電膜B31の厚みを決定する。所望のエネルギーの高角度電子32によって発生した極低エネルギー電子33は検出部C34で検出される。検出部C34は図1−1で示した電子検出器2と同様の構成をしている。導電膜B31とアパーチャ24の間隙には、検出部A用ExB20と同様の働きをする検出部C用ExB35を設けても良い。
なお、第三の実施例では、検出部B27、検出部B用ExB30は必ずしも必要ではなく、その場合、C2レンズ17より試料側ではバンドパス検出を行わないことになり、導電膜A43は50000 nm以下である必要はない。
また、C2レンズ17より試料側の構成は図3の第二の実施例と同様であっても良い。
図5は、本発明の第四の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。本実施例では、導電膜B31が第二の実施例の導電膜A43と同様に傾けられている。また、第二の実施例と同様に低エネルギーの高角度電子36が導電膜B31の試料側の面で発生させる極低エネルギー電子37を検出するため、検出部D38を備えている。
なお、第四の実施例では、検出部B27、検出部B用ExB30は必ずしも必要ではなく、その場合、C2レンズ17下ではバンドパス検出を行わないことになり、導電膜A43は50000 nm以下である必要はない。
また、C2レンズ17より試料側の構成は図3の第二の実施例と同様であっても良い。
図6は、本発明の第五の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。本実施例では、高エネルギーの電子7をさらにバンドパス検出するため、第一の実施例に加えて、さらにもう一系統バンドパス検出系を備えている。バンドパス検出用の導電膜C39は中心に一次電子線3の通過穴を設けた軸対称の円盤状をしており、導電膜A43とC2レンズ17の間隙に一次電子線3の光軸と垂直に配置される。このとき、バンドパス検出したい電子のエネルギーによって導電膜C39の厚みを決定する。所望のエネルギーの高エネルギー電子7によって発生した極低エネルギー電子40は検出部E41で検出される。検出部E41は図1−1で示した電子検出器2と同様の構成をしている。導電膜C39とアパーチャ24の間隙には、検出部A用ExB20と同様の働きをする検出部E用ExB42を設けても良い。
図7は、本発明の第六の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。本実施例では、高エネルギーの電子7を検出するため、第二の実施例に加えて、さらにもう一系統バンドパス検出系を備えている。バンドパス検出用の導電膜C39は中心に一次電子線3の通過穴を設けた軸対称の円盤状をしており、導電膜A43とC2レンズ17の間隙に一次電子線3の光軸に対して150 °以下の角度で傾けられた状態で配置される。このとき、バンドパス検出したい電子のエネルギーによって導電膜C39の厚みを決定する。所望のエネルギーの高エネルギー電子7によって発生した極低エネルギー電子40は検出部E41で検出される。検出部E41は図1−1で示した電子検出器2と同様の構成をしている。
第五の実施例で説明した高エネルギー電子を検出する検出系である39、40、41、42の構成は、図4に示した第三の実施例の導電膜B31(検出部C用ExB35を設ける場合は検出部C用ExB35)とアパーチャ24の間隙に配置してもよい。その場合、導電膜B31を通過した高角度の高エネルギー電子を検出することが可能になる。
また、第六の実施例で説明した高エネルギー電子を検出する検出系である39、40、41の構成は、図5に示した第四の実施例の導電膜B31とアパーチャ24の間隙に配置してもよい。その場合、導電膜B31を通過した高角度の高エネルギー電子を検出することが可能になる。
図8は、本発明の第七の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。
図8に示した走査電子顕微鏡は、図2に示した第一の実施例と比較してアパーチャ24とC2レンズ17の位置が入れ替わっている。これは、放射角電流密度が大きい一方で、光源径が大きいタングステン熱電子銃のような電子源を用いる場合に有効な電子光学鏡筒であり、C1レンズ16、C2レンズ17は一次電子線3の縮小に用いられる。その他の構成は第一の実施例と同じであり、エネルギーバンドパス検出は第一の実施例と同様に行われる。この場合、導電膜A43は検出部A用ExB20とアパーチャ24の間隙に一次電子線3の光軸と垂直に配置される。なお、第二の実施例から第六の実施例までの走査電子顕微鏡も同様に、鏡筒が第八の実施例と同様の構成となっていてもよい。
図9は、本発明の第八の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の全体構成を示す図である。
図9に示した走査電子顕微鏡は図8に示した第七の実施例からC2レンズが無くなった形状をしている。コンデンサレンズが一段になったため、制御がしやすいのが特徴である。
ただし、第七の実施例と比較して一次電子線3の縮小率を大きくできないため、典型的には、より光源径の小さい電界放出型の電子源を用いる。その他の構成は第一の実施例と同じであり、エネルギーバンドパス検出は第一の実施例と同様に行われる。この場合、導電膜A43は検出部A用ExB20とアパーチャ24の間隙に一次電子線3の光軸と垂直に配置される。なお、第二の実施例から第六の実施例までの走査電子顕微鏡も同様に、鏡筒が第八の実施例と同様の構成となっていてもよい。
図10は、本発明の第九の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の一部の構成を示す図である。
図10に示した走査電子顕微鏡は、第一の実施例と対物レンズが異なっている。第九の実施例の対物レンズ44は、インレンズ型をしている。この形式では、レンズ場中に試料を置く事ができるため、セミインレンズ型の対物レンズよりも高分解能観察が可能である。
エネルギーバンドパス検出は第一の実施例と同様に行われる。なお、第二の実施例から第八の実施例までの走査電子顕微鏡も同様に、対物レンズがインレンズ型であってもよい。
図11は、本発明の第十の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の一部の構成を示す図である。
図11に示した走査電子顕微鏡は、第一の実施例と対物レンズが異なっている。第十の実施例の対物レンズ45は、アウトレンズ型をしている。この形式では、試料が対物レンズ45の磁場に晒されないため、磁性体サンプルなどの観察が可能である。
第十の実施例では、これまでの実施例と異なり、試料が磁場中に置かれないため、バンドパス検出の対象となる1 keVから一次電子線の照射エネルギーまでのエネルギー幅をもつ信号電子の多くは直進する。そこで、第十の実施例では、対物レンズより試料側にバンドパス検出系を備える。第十のバンドパス検出系の構成は、図1−1の構成と同じである。
ただし、導電膜A43は、中心に一次電子線3の通過穴を設けた軸対称の円盤状をしており、対物レンズと試料50の間隙に一次電子線3の光軸と垂直に配置される。エネルギーバンドパス検出は、第一の実施例と同様に行われる。ただし、第十の実施例では、導電膜A43と試料の間隙の信号電子の経路には構造物は存在しない。
図12は、本発明の第十二の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の一部の構成を示す図である。
図12に示した走査電子顕微鏡は、第十の実施例とエネルギーバンドパス電子検出器の構成が異なっている。第十の実施例のエネルギーバンドパス電子検出器の構成は、第一の実施例の検出部B用ExB30から加速電極28までの構成が対物レンズ45と試料50の間隙に配置された構成をしている。エネルギーバンドパス検出は、第一の実施例と同様に行われる。
図13は、本発明の第十二の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の一部の構成を示す図である。
図13に示した走査電子顕微鏡は、第十の実施例とエネルギーバンドパス電子検出器の構成が異なっている。第十の実施例のエネルギーバンドパス電子検出器の構成は、第五の実施例の検出部E用ExB42から加速電極28までの構成が対物レンズ45と試料50の間隙に配置された構成をしている。エネルギーバンドパス検出は、第五の実施例と同様に行われる。
図14は、本発明の第十三の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の一部の構成を示す図である。
図14に示した走査電子顕微鏡は、第十の実施例とエネルギーバンドパス電子検出器の配置が異なっている。第十三の実施例では、導電膜A43、検出部C27が軸外に配置されている。試料と導電膜A43の間の角度は0 °から90 °の範囲であるが、検出器C27と試料との距離は導電膜A43の信号電子があたる面と試料との距離より遠い位置に配置される。この方法では、導電膜A43は中心穴を持たなくても良い。エネルギーバンドパス検出は、第十の実施例と同様に行われる。
第十一の実施例、第十二の実施例の対物レンズ45から試料50までの間隙に設けられたエネルギーバンドパス電子検出器の各構成要素も、第十三の実施例と同様に、軸外に配置されていても良い。その場合、導電膜A43、導電膜C39は中心穴を持たなくても良い。また、導電膜A43、導電膜C39は互いに平行でなくてもよい。ただし、それぞれ、試料50と導電膜A43の距離より試料50と検出部C27との距離は大きくなければならず、試料50と導電膜C39の距離より試料50と検出部E41との距離は大きくなければならない。
図15には、本発明による走査電子顕微鏡において、バンドパス検出するエネルギーの可変機構について示す。
直線導入器つきのホルダ47に、厚みの異なる複数の導電膜46を配置する。ホルダ47は一次電子線3に対して垂直に配置され、図示しない直線導入器により、それぞれの導電膜46の中心穴を一次電子線3が通過する状態に送り出すことができる。各導電膜の厚みが異なっているため、ユーザーはバンドパス検出したいエネルギーによって膜厚を選ぶことができる。所望のエネルギーの電子4が変換された極低エネルギー電子6を検出する検出器は図1−1と同様である。実施例1から13で示された導電膜A43、導電膜B31、導電膜C39のいずれもここで示したエネルギー可変機構を備えていても良い。
図16には、本発明による走査電子顕微鏡において、バンドパス検出するエネルギーの可変機構の実施例14とは別の形態について示す。
円盤もしくは扇形のホルダ48に、厚みの異なる複数の導電膜46を配置する。ホルダ48は一次電子線3に対して垂直に配置され、図示しない回転機構により、それぞれの導電膜46の中心穴を一次電子線3が通過する状態に配置するよう回転させることができる。
各導電膜の厚みが異なっているため、ユーザーはバンドパス検出したいエネルギーによって膜厚を選ぶことができる。所望のエネルギーの電子4が変換された極低エネルギー電子6を検出する検出器は図1−1と同様である。実施例1から13で示された導電膜A43、導電膜B31、導電膜C39のいずれもここで示したエネルギー可変機構を備えていても良い。
前述の全ての実施例において、導電膜A43、導電膜B31、導電膜C39には、電子線が当たることによるコンタミネーションが堆積する可能性がある。コンタミネーションの堆積を抑制するには、各導電膜を200℃以下に保てばよい。前述の全ての実施例では、導電膜の過熱のための手段を備えても良い。
前述の実施例で、複数の検出部を備えた走査電子顕微鏡においては、別々の検出部から得られる複数の信号から一つの信号を得る演算手段を備えても良い。例えば、図6に示した第五の実施例では、検出部B27で得られる信号が所望のエネルギーの強度に依存した信号であるが、その信号から、検出部E41で得られる高エネルギー電子の信号を減ずれば、検出部B27に若干でも混入する可能性がある高エネルギー電子の情報を減ずることができる。
前述の全ての実施例は走査電子顕微鏡に関するものであったが、本発明は走査電子顕微鏡に限定されるものではない。例えば、透過電子顕微鏡において、試料より電子銃側に本発明の検出器を配置すれば、透過電子像観察と同時に試料から電子銃側に発生する電子に関するエネルギーバンドパス検出を行うことができる。また、走査透過電子顕微鏡において、試料より電子銃側に本発明の検出器を配置すれば、走査透過電子像観察と同時に試料から電子銃側に発生する電子に関するエネルギーバンドパス画像を得ることができる。
図17は、本発明の第十四の実施例であり、エネルギーバンドパス電子検出器を備えた走査電子顕微鏡の一部の構成を示す図である。
図17に示した走査電子顕微鏡は、試料室内が典型的には10〜1000 Paの低真空にたもたれた低真空走査電子顕微鏡である。低真空走査電子顕微鏡では、試料室内部は図示しない真空排気系により、10〜1000 Paに保たれる。電子光学鏡筒13より上流では低真空雰囲気による一次電子線の散乱の影響を低減するため、0.1 Paより高真空に保つ必要があり、そのために電子光学鏡筒13と試料室の間隙に差動排気オリフィス200を設ける。
図17に示した走査電子顕微鏡では、図1−1〜14までの実施例と電子検出器部分が異なっている。本実施例の検出器は、100〜500 Vの正の電圧を印加する電界供給電極202、電界供給電極用電源201および、導電膜1に電気的に接続された電流増幅器203を備える。検出器の感受面に相当する電界供給電極202は、板状もしくはメッシュ状の電極であり、導電膜1に対して90 °の角度をもって配置される。導電膜1は電界供給電極202より低い電位に保たれるが、一般的には電界供給電極の電位は設置電位である。
かかる構成により、低真空走査電子顕微鏡でもエネルギーバンドパス電子検出器が実現される。
本実施例では、低真空雰囲気下で、所望のエネルギーの電子5を以下のように検出する。
所望のエネルギーの電子5は先述した実施例で述べたものと同様に、導電膜1の試料50と反対の面から極低エネルギー(数 eV)の電子6を発生させる。極低エネルギー電子6は、電界供給電極202の供給する電界によって、電界供給電極202の報告に加速される。この際に、極低エネルギー電子6は低真空雰囲気のガス分子と散乱し、一定の確率でガス分子をイオン化する。これにより発生したイオン204は、電界供給電極202に比べて低電位である導電膜1に向って移動する。その結果、極低エネルギー電子6の移動とイオン204の移動が原因となり、導電膜1に接続された電流増幅器203には変位電流(displacement current)が流れる。この変位電流は、極低エネルギー電子6の発生量、ひいては所望のエネルギー電子5の発生量に比例しており、変位電流を電流増幅器203によって増幅することで、所望のエネルギー電子5を信号元とする走査電子顕微鏡画像が得られる。
導電膜1と電界供給電極202の角度は90 °に限定されるものではない。図1−2、図1−3、図1−4に示した実施例と同様に、配置のバリエーションがあっても良い。各バリエーションの効果は、先述した実施例で述べたものと同様である。
図18は、本発明の第十五の実施例であり、図17の実施例の別形態である。図18の実施例は、図17の実施例と同様の低真空走査電子顕微鏡であり、図11に示した第十の実施例から、ExB30、検出部B27を除き、図示しない試料室を低真空化する真空排気系、差動排気オリフィス200、電界供給電極用電源201、電界供給電極202、および、導電膜1に電気的に接続された電流増幅器203を追加した形態をしている。
検出原理は図17の実施例と同様であり、かかる構成により、検出立体角を大きくすることができる。
図19は、本発明の第十六の実施例であり、図17の実施例の別形態である。図19の実施例は、図17の実施例と同様の低真空走査電子顕微鏡であり、図14に示した第十三の実施例から、ExB30、検出部B27を除き、図示しない試料室を低真空化する真空排気系、差動排気オリフィス200、電界供給電極用電源201、電界供給電極202、および、導電膜1に電気的に接続された電流増幅器203を追加した携帯をしている。
検出原理は図17の実施例と同様であり、かかる構成により、試料直上の空間を別検出器に与えることが可能となる。
図17〜図19の第十四から第十六の実施例では、電流増幅器203は電界供給電極202に接続されていてもかまわない。この場合、得られる信号電流は、電流増幅器203が導電膜1に接続されていた場合と極性が逆になるが、値はほぼ同じである。また、この場合、電流増幅器203にはフローティング機構が必要になる。この場合には、導電膜の厚みを変更する際に、電流増幅器203の接続をやり直す必要がないという利点がある。
1…導電膜、2…電子検出器、3…一次電子線、4…低エネルギー電子、5…所望のエネルギー電子、6…極低エネルギー(数 eV)の電子、7…高エネルギー電子、8…メッシュ電極、9…シンチレータ、10…ライトガイド、11…光電子増倍器、12…加速電極、13…電子光学鏡筒、14…試料室、15…電子源、16…C1レンズ、17…C2レンズ、18…二段走査偏向器、19…検出器A、20…検出部A用ExB、21…セミインレンズ型対物レンズ、23…一次電子線の第一の収束点、24…アパーチャ、25…一次電子線の第二の収束点、26…二次電子、27…検出部B、28…遮蔽電極、29…低エネルギー電子起源の極低エネルギー電子、30…検出部B用ExB、31…導電膜B、32…所望のエネルギーの高角度電子、33…所望のエネルギーの高角度電子起源の極低エネルギー電子、34…検出部C、35…検出部C用ExB、36…低エネルギーの高角度電子、37…低エネルギーの高角度電子起源の極低エネルギー電子、38…検出部D、39…導電膜C、40…高エネルギー電子起源の極低エネルギー電子、41…検出部E、42…検出部E用ExB、43…導電膜A、44…インレンズ型対物レンズ、45…アウトレンズ型対物レンズ、46…厚みの異なる複数の導電膜、47…厚みの異なる複数の導電膜のホルダ、48…厚みの異なる複数の導電膜の円盤もしくは扇形のホルダ、49…試料台、50…試料、101…導電膜1通過後の高エネルギー電子の軌道、200…差動排気オリフィス、201…電界供給電極用電源、202…電界供給電極、203…電流増幅器、204…イオン。

Claims (13)

  1. プローブとなる荷電粒子を発生させる荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から発生する前記荷電粒子を試料に照射する荷電粒子光学系と、
    試料ステージと、
    真空排気系と、
    前記プローブを制限するアパーチャと、
    前記試料ステージと前記アパーチャとの間の光学系の光軸を除いた位置に備えられた導電膜と、
    前記導電膜の表面と検出器の感受面とが傾斜するように配置され、任意のエネルギーまたは角度にて試料から発生した電子を選択的に検出する荷電粒子検出器とを有し、
    前記荷電粒子検出器の感受面と試料ステージとの距離は、前記試料ステージと前記導電膜との間の距離よりも長いことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記導電膜が一次電子線の光軸と90°±10°にて配置されており、前記導電膜と前記検出器の感受面との角度が30°から150°の間であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記導電膜が一次電子線の光軸と100°から150°の角度で配置されており、前記導電膜と前記検出器の感受面との角度が30°から150°の間であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、試料から発生する二次粒子のうち、前記導電膜を通過するもので、通過の際の軌道の角度変化が±10°以下の変化に収まる二次粒子が、前記検出器の感受面に当たらないように前記導電膜、前記検出器が配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、前記導電膜の厚みが10−50000 nmであることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、プローブとなる荷電粒子が試料に当たることで前記試料から発生する荷電粒子が移動する軌道上に前記導電膜を配置したことを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、プローブとなる荷電粒子が試料に当たることで前記試料から発生する荷電粒子が原因となり、前記導電膜の試料とは反対の面から発生する荷電粒子を前記荷電粒子検出器により検出することを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、プローブとなる荷電粒子が電子であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項1に記載の荷電粒子線装置が走査電子顕微鏡であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項1に記載の荷電粒子線装置が走査電子顕微鏡であり、前記導電膜と荷電粒子検出器の組み合わせが一組ないし複数組、光軸上に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項1に記載の荷電粒子線装置が走査電子顕微鏡であり、前記導電膜と荷電粒子検出器の組み合わせが一組ないし複数組、光軸外に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項1に記載の荷電粒子線装置が走査電子顕微鏡であり、前記導電膜と荷電粒子検出器の間の空間に前記導電膜の試料とは反対の面から発生する荷電粒子を前記荷電粒子検出器の方向に導く電界ないし磁界を供給する手段を備えた荷電粒子線装置。
  13. 請求項1に記載の荷電粒子線装置において、プローブとなる荷電粒子が試料に当たることで前記試料から発生する荷電粒子の軌道上に異なる厚みの前記導電膜を導入する手段を備えた荷電粒子線装置。
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