JP4087218B2 - 硬化性有機樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は硬化性有機樹脂組成物に関し、詳しくは、成形性に優れ、硬化に際しては、金属等の基材に対する接着性に優れた硬化性有機樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ樹脂にエポキシ基含有オルガノシラン、アミノ基含有オルガノアルコキシシランあるいはメルカプト基含有オルガノアルコキシシランを配合すればその接着性が向上することは、知られている。例えば、特開昭63−309566号公報では、エポキシ樹脂粉体塗料にγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を配合してその接着性を向上させた塗料組成物が提案されている。また、特開平2−185584号公報ではエポキシ樹脂にγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを配合した接着剤組成物が提案されている。しかし、エポキシ基含有アルコキシシランを配合した組成物は金属等の基材に対しての接着性が必ずしも充分ではなく用途によっては使用できないものであった。また、アミノ基含有オルガノアルコキシシランあるいはメルカプト基含有オルガノアルコキシシランを配合した組成物は、エポキシ樹脂本来の硬化性を著しく損なうという問題点があった。
一方、チオシアナト基含有オルガノアルコキシシランおよび該チオシアナト基含有オルガノアルコキシシランを配合した有機ゴム組成物は知られている。例えば、特開平4−277534号公報では、チオシアナトプロピルトリメトキシシランをエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)に配合した組成物が提案されており、この組成物は有機過酸化物の存在下で加硫後、物理特性の劣化が少なく、圧縮永久歪率の小さいゴム成形品になるとされている。また、特開平5−214171号公報では、チオシアナトプロピルトリメトキシシランを天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、EPDM等の加硫可能な有機ゴムに配合した組成物が提案されており、この組成物は硫黄の存在下で加硫すれば物理特性の劣化が少ないゴム成形品となるとされている。しかし、チオシアナト基含有オルガノアルコキシシランを有機樹脂に配合することにより、該有機樹脂の成形性と該有機樹脂が硬化途上で接触する金属等の基材への接着性とを同時に改良した有機樹脂組成物は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは鋭意努力した結果、エポキシ樹脂にチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランを配合すれば上記問題点が解消することを見出した。さらに、フェノール樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性有機樹脂にチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランを配合すればその接着性が向上することを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、成形性に優れ、硬化に際しては、熱硬化性有機樹脂そのものの硬化性を損なうことなく硬化し、硬化途上で接触する金属等の基材に対する接着性に優れた硬化性有機樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)硬化性有機樹脂(100重量部)と(B)一般式(1):X−R1−Si(OR2)nR3 3-n(式中、XはNCS−またはSCN−であり、R1はアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、R2およびR3は一価炭化水素基であり、nは1,2または3である。)で表されるチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランまたはイソチオシアナト基含有オルガノアルコキシシラン(0.01〜100重量部)とからなることを特徴とする、硬化性有機樹脂組成物に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
これを説明すると、(A)硬化性有機樹脂は常温で液状あるいは固体状を呈し、加熱下、紫外線、放射線、電子線等の高エネルギー線の照射等により硬化する有機樹脂であればよく、その種類等は特に限定されないが、加熱することにより硬化する有機樹脂(熱硬化性有機樹脂)が好ましい。このような硬化性有機樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、イミド樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アニリン樹脂、スルホン−アミド樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびイミド樹脂が好ましい。
【0006】
(B)成分は本発明組成物の特徴をなす成分であり、本発明組成物の成形性を向上させ、金属等の基材に対する接着性を向上させる働きをする。このような(B)成分は、一般式:X−R1−Si(OR2)nR3 3-n(式中、XはNCS−またはSCN−であり、R1はアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、R2およびR3は一価炭化水素基であり、nは1、2または3である。)で表されるチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランまたはイソチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランである。上式中、R1のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基が例示される。また、R1のアルキレンオキシアルキレン基としては、メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシプロピレン基が例示される。中でも、アルキレン基であることが好ましい。R2およびR3の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が例示される。中でも、アルキル基であることが好ましい。nは1、2または3であり、好ましくは2および3である。
【0007】
このような(B)成分のチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランまたはイソチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランとしては、次のような化合物が例示される。
NCS(CH2)3Si(OCH3)3
NCS(CH2)3Si(OCH2CH3)3
NCS(CH2)3Si[OCH(CH3)2]3
NCS(CH2)3Si[O(CH2)2CH3]3
NCS(CH2)3Si[O(CH2)3CH3]3
NCSCH2CH(CH3)CH2Si(OCH3)3
NCSCH2CH(CH3)CH2Si(OCH2CH3)3
SCN(CH2)3Si(OCH3)3
SCN(CH2)3Si(OCH2CH3)3
SCN(CH2)3Si[OCH(CH3)2]3
SCNCH2CH(CH3)CH2Si(OCH3)3
SCNCH2CH(CH3)CH2Si(OCH2CH3)3
SCNCH2CH(CH3)CH2Si[OCH(CH3)2]3
SCNCH2CH(CH3)CH2Si[O(CH2)3CH3]3
NCS(CH2)3SiCH3(OCH3)2
NCS(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2
NCS(CH2)3Si(OC6H5)3
NCSCH2CH(CH3)CH2SiCH3(OCH3)3
(B)成分は、(A)成分に単独で配合しても、2種以上を配合してもよい。
【0008】
(B)成分の配合量は、少なすぎると金属等の基材に対する接着性が低下し、多すぎると機械的強度が低下するので、(A)成分100重量部に対して0.01〜100重量部の範囲内であり、好ましくは、0.1〜50重量部の範囲内である。
【0009】
本発明組成物は、上記のような(A)成分と(B)成分とからなるが、これらの成分に加えて、(A)成分に添加配合することが公知とされる各種添加剤、例えば、(A)成分の硬化を促進するための硬化剤あるいは硬化促進剤、充填剤、顔料、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、光増感剤、可塑剤あるいは可撓性付与剤、有機溶媒を配合することができる。
【0010】
ここで、硬化剤あるいは硬化促進剤の一例を示せば、一級または二級のアミノ化合物、三級アミン化合物、無水フタル酸や無水テトラヒドロフタル酸等の無水カルボン酸、イミダゾール化合物、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂等のノボラック樹脂化合物、アルミニウムやジルコニウム等の有機金属化合物、ホスフィン等の有機リン化合物、ホウ素錯化合物、有機アンモニウム塩、有機スルホニウム塩、有機過酸化物等が例示される。
【0011】
このような硬化剤は(A)成分100重量部に対して、0.1〜30重量部配合することが好ましい。ただし、エポキシ樹脂の硬化剤としてノボラック樹脂を使用する場合は、エポキシ樹脂100重量部に対して、10〜400重量部のノボラック樹脂を配合することが好ましい。また、硬化促進剤は、(A)成分100重量部に対して、0.01〜10重量部配合することが好ましい。
【0012】
充填剤としては、ガラス繊維、石綿、アルミナ繊維、アルミナとシリカを成分とするセラミック繊維、ボロン繊維、ジルコニア繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、フェノール繊維、天然の動植物繊維等の繊維状充填剤;溶融シリカ、沈澱シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化亜鉛、焼成クレイ、カーボンブラック、ガラスビーズ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、カオリン、雲母、ジルコニア等の粉粒体状充填剤が例示される。このような充填剤は、硬化性有機樹脂組成物が液状でない場合は、(A)成分100重量部に対して10〜500重量部、硬化性有機樹脂組成物が液状である場合は、0〜50重量部配合することが好ましい。
【0013】
可塑剤あるいは可撓性付与剤としては、高級脂肪酸金属塩、エステル系ワックス、シリコ−ンオイル、有機官能基含有シリコ−ンオイル、シリコ−ンゴム、有機ゴムが例示される。
【0014】
本発明組成物は上記のような(A)成分と(B)成分とからなり、必要に応じて、上記のような添加剤を均一に混合することにより容易に製造できる。本発明組成物を製造するための装置としては、連続混合押出機、ロスミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等が例示される。また、本発明組成物から成形品を得るには、(A)成分の成型方法として知られている従来公知の方法、例えば、圧縮成型方法、トランスファー成型方法、射出成型方法、ポッティング成型方法、キャスティング成型方法、コ−ティング方法等が適用可能である。
【0015】
以上のような本発明組成物は、成形性に優れ、硬化途上で接触する金属等の基材に対して接着性に優れている。ここで、金属基材の材質としては、銅、ニッケル、真鍮、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミ、ジュラルミン、チタン、銀が例示され、その他の基材としては、ガラス、セラミック、石材、半導体が例示される。このような特性を生かして、本発明組成物は、例えば、封止剤、パッケージ剤、コート剤や接着剤等として、電気・電子部品用途、装置・機械用途、建築用途や自動車用途等に幅広く使用できる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明組成物を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃における値である。また、硬化性有機樹脂組成物の成形性、接着性、粘度変化率は次に示す方法により評価した。
○成形性
硬化性有機樹脂組成物の加圧下における流動性をスパイラルフローを測定することによって評価した。スパイラルフローは、EMMI規格(EMMI−1−66)に準じた方法により測定した。
○接着性(A)
硬化性有機樹脂組成物を2枚のニッケル板(長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、所定温度下、所定圧力下で圧縮成型して、ニッケル板と硬化性有機樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。この試験体の2枚のニッケル板の端部をそれぞれ引張試験機の治具に固定し、引張速度50mm/分の速度で垂直方向に引張り、有機樹脂組成物の硬化物とニッケル板を剥がした。ついで、硬化性有機樹脂組成物の硬化物とニッケル板の破断面の破断状態を肉眼にて観察した。結果は次のようにして表した。
◎印:接着性極めて良好(硬化性有機樹脂の硬化物層で破壊した。凝集破壊率100%)
○印:接着性良好(一部界面剥離した。凝集破壊率95%以上)
×印:接着性不良(硬化性有機樹脂の硬化物とニッケル板の界面で剥離した。凝集破壊率50%以下)
接着性(B)
硬化性有機樹脂組成物を2枚のニッケル板(長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、所定温度、所定圧力下で圧縮成型して、ニッケル板と硬化性有機樹脂の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。また上記と同様にして銅板と硬化性有機樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。これらの試験体の2枚の金属板端部をそれぞれ引張試験機の治具に固定し、引張速度50mm/分の速度で垂直方向に引張り、硬化性有機樹脂組成物の硬化物と金属板を剥がした。この時の剥離に要する応力を測定し、接着力(Kgf/cm2)とした。
○粘度変化率:
硬化性有機樹脂組成物を製造後、23℃にて24時間放置して、粘度の増加度合を測定し粘度変化率とした。粘度変化率=(24時間放置後の硬化性有機樹脂組成物の粘度−製造直後の硬化性有機樹脂組成物の粘度)×100/製造直後の硬化性有機樹脂組成物の粘度
【0017】
【実施例1】
フェノール樹脂(三井化学株式会社製:フェノールノボラック樹脂、ミレックスXLC−3L、軟化点70℃、水酸基当量170)35重量部、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン{NCS(CH2)3Si(OCH3)3}3重量部、溶融石英粉末65重量部、ヘキサメチレンテトラミン4重量部、およびカルナウバワックス1重量部を90℃の加熱ロールで混練して硬化性フェノールノ樹脂組成物を製造した。この組成物を粉砕し、この粉砕物を2枚のニッケル板(長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、温度175℃、圧力70kg/cm2、加熱時間3分間の条件下で圧縮成型した。その後、180℃で2時間加熱して硬化を完結させて、ニッケル板とフェノール樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。この試験体について、硬化性有機樹脂組成物のニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、その結果を表1に示した。
【0018】
【比較例1】
実施例1において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランの代わりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合した以外は実施例1と同様にしてフェノールノボラック樹脂組成物を製造した。この組成物のニッケル板への接着性を実施例1と同様にして測定して、その結果を表1に併記した。
【0019】
【比較例2】
実施例1において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランを配合しなかった以外は実施例1と同様にしてフェノールノボラック樹脂組成物を製造した。この組成物のニッケル板への接着性を実施例1と同様にして測定して、その結果を表1に併記した。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例2】
CH3SiO3/2単位40モル%、C6H5(CH3)SiO2/2単位10モル%、C6H5SiO3/2単位40モル%、および(C6H5)2SiO2/2単位10モル%からなり、ケイ素原子に直結する水酸基を5重量%含有するメチルフェニルポリシロキサン樹脂13重量部とオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製:EOCN−1020、軟化点80℃、エポキシ当量220)13重量部、3−チオシアナトプロピルメチルジメトキシシラン{ NCS(CH2)3SiCH3(OCH3)2}2重量部、溶融石英粉末74重量部、アルミニウムアセチルアセトネート0.90重量部およびカルナウバワックス1重量部を90℃の加熱ロールで混練して熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この熱硬化性エポキシ樹脂組成物のスパイラルフローを測定した。ついで、この熱硬化性樹脂組成物を2枚のニッケル板(長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、温度175℃、圧力70kg/cm2、加熱時間2分間の条件下で圧縮成型した。その後、180℃で12時間加熱して硬化を完結させて、ニッケル板と硬化性有機樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。この試験体について、硬化性樹脂組成物のニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、その結果を表2に示した。
【0022】
【実施例3】
実施例2において、3−チオシアナトプロピルメチルジメトキシシランの代わりに3−イソチオシアプロピルトリメトキシシラン{SCN(CH2)3Si(OCH3)3}を配合した以外は実施例2と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物のスパイラルフローとニッケル板への接着性を実施例2と同様にして測定し、それらの結果を表2に示した。
【0023】
【比較例3】
実施例2において、3−チオシアナトプロピルメチルジメトキシシランの代わりに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン{ HS(CH2)3Si(OCH3)3}を配合した以外は実施例2と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物のスパイラルフローとニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、それらの結果を表2に併記した。
【0024】
【比較例4】
実施例2において、3−チオシアナトプロピルメチルジメトキシシランを配合しなかった以外は実施例2と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物の成形性(スパイラルフロー)とニッケル板への接着性を実施例2と同様にして測定し、それらの結果を表2に併記した。
【0025】
【表2】
【0026】
【実施例4】
ビスマレイミド−トリアジン型の熱硬化性ポリイミド樹脂(三菱ガス化学株式会社製)35重量部、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン{NCS(CH2)3Si(OCH3)3}4重量部、溶融石英粉末65重量部、カルナウバワックス1重量部、および安息香酸アルミニウム0.32重量部を90℃の加熱ロールで混練して熱硬化性イミド樹脂組成物を製造した。この組成物のスパイラルフローを測定した。続いて、この組成物を2枚のニッケル板(長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、温度220℃、圧力70kg/cm2、加熱時間4分間の条件下で圧縮成型した。その後、230℃で3時間加熱して硬化を完結させて、ニッケル板と熱硬化性イミド樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。この試験体について、熱硬化性イミド樹脂組成物のニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、その結果を表3に示した。
【0027】
【比較例5】
実施例4において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランを配合しなかった以外は実施例4と同様にして熱硬化性イミド脂組成物を製造した。この組成物のスパイラルフローとニッケル板に対する接着性を実施例4と同様にして測定して、それらの結果を表3に併記した。
【0028】
【表3】
【0029】
【実施例5】
オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製:EOCN−1020、軟化点80℃、エポキシ当量220)75重量部、溶融シリカ260重量部、カルナバウワックス1重量部、フェノールノボラック樹脂(三井化学株式会社製:ミレックスXLC−3L、軟化点70℃、水酸基当量170)35重量部、トリフェニルフォスフィン0.6重量部、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン{NCS(CH2)3Si(OCH3)3}5重量部を90℃の加熱ロール上で混練して熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物のスパイラルフローを測定した。続いて、この組成物を2枚のニッケル板(長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、温度150℃、圧力70kg/cm2、加熱時間3分間の条件下で圧縮成型した。その後、180℃で4時間加熱して硬化を完結させて、ニッケル板と熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。この試験体について、熱硬化性エポキシ樹脂組成物のニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、その結果を表4に示した。
【0030】
【比較例6】
実施例5において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランの代わりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合した以外は実施例5と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物のスパイラルフローとニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、その結果を表4に併記した。
【0031】
【比較例7】
実施例5において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン{NCS(CH2)3Si(OCH3)3}を配合しなかった以外は実施例5と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。
この組成物のスパイラルフローとニッケル板への接着性を前記接着性試験(A)に記載の方法で測定して、その結果を表4に併記した。
【0032】
【表4】
【0033】
【実施例6】
液状エポキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製:ERL−4221)20重量部、液状酸無水物(3および4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)22重量部、オクチル酸錫0.3重量部、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン{NCS(CH2)3Si(OCH3)3}2重量部を室温で十分混合した後、脱泡して、熱硬化性液状エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物の粘度変化率を測定した。続いて、この組成物を2枚のニッケル板または2枚の銅版(それぞれ長さ5cm、幅1cm、厚さ0.5mm)の間に挟み、温度120℃、圧力70kg/cm2、加熱時間3分間の条件下で圧縮成型した。その後、150℃で3時間加熱して硬化を完結させて、ニッケル板または銅板に熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物が一体化した接着試験体を作成した。これらの試験体について、接着性を前記接着性試験(B)に記載の方法で測定して、その結果を表5に示した。
【0034】
【比較例8】
実施例6において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランの代わりに3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを配合した以外は実施例6と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物の粘度変化率と接着性を前記接着性試験(B)に記載の方法で測定して、その結果を表5に併記した。
【0035】
【比較例9】
実施例6において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランの代わりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合した以外は実施例6と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。この組成物の粘度変化率と接着性を前記接着性試験(B)に記載の方法で測定して、その結果を表5に併記した。
【0036】
【比較例10】
実施例6において、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランを配合しなかった以外は実施例6と同様にして熱硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。これを実施例6と同様にして硬化させた。この組成物の粘度変化率と接着性を前記接着性試験(B)に記載の方法で測定して、その結果を表5に併記した
【0037】
【表5】
【0038】
【発明の効果】
本発明の硬化性有機樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分とからなり、特に、(B)成分の一般式:X−R1−Si(OR2)nR3 3-n(式中、XはNCS−またはSCN−であり、R1はアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、R2およびR3は一価炭化水素基であり、nは1、2または3である。)で表されるチオシアナト基オルガノアルコキシシランまたはイソチオシアナト基含有オルガノアルコキシシラン(0.01〜100重量部)を含有しているので、成形性に優れ、硬化に際しては、熱硬化性有機樹脂そのものの硬化性を損なうことなく硬化し、硬化途上で接触する金属等の基材に対する接着性に優れるという特徴がある。
Claims (5)
- (A)硬化性有機樹脂(100重量部)と(B)一般式:X−R1−Si(OR2)nR3 3-n(式中、XはNCS−またはSCN−であり、R1はアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、R2およびR3は一価炭化水素基であり、nは1、2または3である。)で表されるチオシアナト基含有オルガノアルコキシシランまたはイソチオシアナト基含有オルガノアルコキシシラン(0.01〜100重量部)とからなることを特徴とする、硬化性有機樹脂組成物。
- (A)成分が熱硬化性有機樹脂である請求項1に記載の硬化性有機樹脂組成物。
- (A)成分がフェノール樹脂、エポキシ樹脂またはイミド樹脂である請求項2に記載の硬化性有機樹脂組成物。
- (B)成分を表す一般式:X−R1−Si(OR2)nR3 3-n中、R1がアルキレン基であり、R2およびR3がアルキル基であり、nが2または3である請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性有機樹脂組成物。
- (B)成分が3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−チオシアナトプロピルメチルジメトキシシランまたは3−イソチオシアナトプロピルトリメトキシシランである請求項1に記載の硬化性有機樹脂組成物。
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