JP4086469B2 - 人造石 - Google Patents

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Description

技術分野
この出願の発明は、人造石に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、夜間装飾性、暗視野環境における光による方向指示や位置のガイド等として建築材、景観材等に有用な、輝度とその持続性に優れた、蓄光性を有する夜光性の人造石に関するものである。
背景技術
従来より、天然石を粉砕し、これを樹脂等に混合して固化させた人造石が知られている。そして、この人造石について、大理石、御影石等の天然石調を持ち、しかも硬度、強度にも優れたものとするための工夫が様々に行われてきてもいる。
このような人造石の機能、性能向上の一つの試みとして、蓄光材等の夜光性物質や発光性物質を用いて光機能を付与することも提案されている。この試みは、人造石のバインダーとしての樹脂成分にりん光物質を混合して固化させること、あるいは不飽和ポリエステル、メタクリル樹脂、ガラス等にアルミン酸ストロンチウム等の蓄光性螢光物質や紫外線螢光性物質を混合して固化させ、これを粉砕したものを骨材として用いて人造石を構成することとしてなされている。
しかしながら、従来の夜光性もしくは螢光性人造石の場合には、上記のいずれの方法によるものでも蓄光材等によるりん光作用は、その初期輝度とその時間的持続性においてさらに改善すべき余地が残されており、防災上の観点からは、より輝度が大きく、しかも持続性がさらに優れたものが求められていたのが実情である。
そして、しかも従来の場合には、りん光作用は、人造石の表面部に露出しているバインダー樹脂成分や骨材の配置部位を除いては、人造石の成形体の内部に含まれた蓄光材等は全く作用せず、蓄光材等の螢光物質は非常に高価なものであり、少量の添加でも人造石製品の全体コストを3〜10倍程度にまで上昇させるため、このような作用しない、螢光物質を内部に含有している従来の人造石ではコスト的に実用的ではなかった。
そこで、従来では、人造石成形体の表面部のみに発光層を設けることや、ガイド図形や模様のみを発光層とすることも検討されているが、蓄光材等の局在的配置は、その輝度と持続性の向上をさらに困難なものとし、かつ、従来の発光層の場合、基材との密着性が乏しく、しかも発光層そのものが耐磨耗性に乏しいため、特に床用途においては発光層の剥離、脱落、磨耗等によって所要の機能を果たさないという問題があった。
このため、図形や模様のみに蓄光性物質を使用した場合であってもりん光輝度とその持続性に優れ、発光層の基材との密着一体性や、耐磨耗性等の物理的性能にも優れた、暗視野環境における光ガイドや夜間装飾材等として有用な、新しい人造石の実現が望まれていた。
発明の開示
そこで、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、主組成が製品全体量の82〜93重量%の無機質骨材と製品全体量の7〜18重量%の樹脂で両者の和が99.5重量%未満である人造石であって、
無機質骨材の一部として蓄光性を有する夜光性物質と透明性無機質骨材、もしくは前記の夜光性物質が表面に焼付けられた透明性無機質骨材が含有されており、さらに、製品全体量の0.5〜3.5重量%の有機含窒素化合物が配合されていることを特徴とする人造石を提供する。
そして、この発明は、上記のとおりの人造石において、有機含窒素化合物がアミン類であること、このアミン類は環状アミン類であること、さらには、カルボニルオキシ基(−CO−O−)を持つ環状アミン類であることをも提供する。
まず、この発明の人造石の組成について説明すると、主要には、無機質骨材と樹脂とを含有している。この場合の無機質骨材については、天然石、天然鉱物、人工合成された無機物、ガラス、金属等の広範囲のものが含まれる。
そして、この無機質骨材の割合は、製品全体量に対して82〜93重量%としている。一方、樹脂の割合は、製品全体量の7〜18重量%である。また、両者の和(合計)は、全体量の99.5重量%未満であるとしている。
この発明においてまず重要なことは、発光部では、前記の無機質骨材の少くとも一部として蓄先夜光性物質と透明無機質骨材、もしくは、蓄先夜光性物質による表面被覆層を有する透明性無機質骨材を含有することである。
蓄光夜光性物質とともに透明無機質骨材を含有させる場合には、両者の重量比は、1:2〜1:200とし、両者の和は、発光部の組成全体の82〜93重量%の割合になるようにすることである。
また、発光部に蓄光夜光性物質による表面焼付けした被覆を有する透明無機質骨材を含有させてもよい。
耐剥離性、耐脱落性、耐磨耗性等の物理的物性と、発光性能としてのりん光の点において、上記の要件がまず規定されることになる。
無機質骨材としては、次の2種のものの組合わせが好ましいものとして例示される。すなわち、一つは5〜70メッシュ(Tyler基準)の大きさの無機質の細粒成分であって、これは、珪石、かんらん石、長石、雲母等の鉱物や、花崗岩、変成石等の天然石、陶磁器、ガラス、金属等から選択される適宜な無機質の細粒成分である。
そして、この細粒成分とともに100メッシュ(Tyler基準)アンダーの微粒成分が好ましく用いられる。この微粒成分としては、天然又は人造の各種の微粒成分が挙げられる。たとえば炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪石粉末等は得やすい微粒成分である。
また、この微粒成分の1部として、色調の調整のための二酸化マンガン、二酸化チタン、珪酸ジルコニウム、酸化鉄等の成分や、難燃性/不燃性付与のための三酸化(五酸化)アンチモン、ホウ素化合物、臭素化合物等の成分を添加配合してもよい。
前記の細粒成分は、得られる人造石成形体の外観ならびに物理的性質に主要な要因として機能する。微粒成分は細粒成分に比べて100メッシュレベルよりも相当細かいものであり、細粒成分の一つ一つの粒の間に侵入し粒の間の空間を埋めるように位置し、得られる人造石の固さやしなやかさといった性質を得ることに寄与する。細粒成分とこの微粒成分とは、その重量比において0.5:1〜5:1さらには1:1〜4:1とするのが好ましい。
細粒成分と微粒成分との組合わせとしてこの発明の人造石成形体を構成する場合には、発光部の構成については以下のように考えることができる。
<A>無機質骨材の一部として蓄光夜光性物質と透明無機質骨材を用いる場合には、細粒成分の少くとも一部として透明無機質成分を用い、そして微粒成分の少くとも一部として蓄光夜光性物質を用いることが好ましい。
透明性無機質骨材としての細粒成分については、実質的に光透過性の大きな無機質成分であることを意味しており、その透明度には様々な程度があるが、天然、あるいは人工合成される無機物質において比較的光透過性の大きなものがこの発明において用いられることになる。このため、透明性の無機質細粒成分は、着色された状態、あるいは固有の色を有した状態のものであってもよい。
代表的には、石英石、珪石、ガラス等がこの発明における透明性無機質細粒成分として、例示されるが、これらに限定されることはない。
そして、この発明では、微粒成分の一部として、100メッシュアンダーの蓄光性のある、夜光性成分が含有される。このような成分の代表的なものとしてはアルミン酸ストロンチウム系蓄光材や硫化亜鉛等がある。これらの各種の素材がこの発明において用いられることになる。
人造石の骨材としての役割を果たす無機質細粒成分は、その大きさは前記のとおり5〜70メッシュの範囲にあるものとするが、このことは、無機質微粒成分との組合わせにおいて望ましい要件である。
以上の各無機質成分については、その大きさとともに配合割合が重要な要件となる。
すなわち、この発明の人造石組成物においては、前記の無機質細粒成分の重量(W)と、無機質微粒成分の重量(W)と、蓄光夜光性成分の重量(W)との関係が、
:(W+W)=0.5:1〜5:1
/W≧1/50
であることが好ましい。
:(W+W)については、より好ましくは1:1〜4:1程度である。
そして、前記のように、無機質細粒成分については、そのうちの透明性無機質細粒成分の重量は、
(0.5〜1.0)W
の関係にあるようにするのが望ましい。
以上のことは、人造石としての強度、硬度、密度等の物理的性質や、蓄光夜光性という光機能の実現にとって望ましいものとされているのである。
なお、各成分の大きさは、具体的には、組合わせる成分の各々の大きさと配合割合によって適宜に選択されることになるが、微粒成分および蓄光夜光性成分は、一般的には150〜325メッシュ程度のものとすることがより好ましい。
人造石のりん光機能についてさらに説明すると、この発明の人造石においては、りん光機能は、
1)無機質細粒成分の50〜100重量%を透明性無機質細粒成分とすること
2)100メッシュアンダーの蓄光夜光性の成分を、前記のとおりの特定の割合で配合すること
によって、蓄光夜光性のある人造石として効果的に実現されることになる。そして、その場合の特徴は、発光が厚みのものとして可能とされることである。従来のように表層部のみでの発光ではなく、人造石の厚み全体において発光されることになり、りん光性能が優れ、しかも高価な蓄光夜光性成分の使用にともなう経済性にも優れたものとなる。
このことは、透明性骨材としての透明性無機質細粒成分の使用によって、外部より照射される光が人造石の内部にまで透過浸透し、効率よくその先エネルギーが夜光性もしくは螢光性の成分に吸収され、かつ、蓄光材からなる夜光性成分が分散された発光層が人造石の内部まで含めた大きな厚みとして確保されることから、長時間、高光度を保つことが可能とされるからである。発光時には、透明性無機質細粒成分は、光透過性が良好であることによって、高輝度となるのである。
細粒成分全体に占める透明性成分の割合は前記のとおり30〜100重量%とするのが望ましいが、人造石の強度等の物理性能や、外観意匠性によっては、100%の割合とすることが、りん光機能の観点では好ましいことは当然である。もちろんこのことに限定されることはないが、30%未満の場合には所要の光機能が得られにくいことになる。
<B>無機質骨材の一部として蓄光夜光性物質によって表面焼付けした透明性無機質骨材を用いる場合細粒成分については、少くともその一部が透明性のあるものでその表面に蓄光夜光性物質を焼付けたものとして用いることができる。つまり、細粒成分の一部または全量は、蓄光夜光性物質がその表面に被覆された透明性無機質骨材とする。このような透明光のある無機質骨材としての細粒成分としては、ガラスや珪石等が好適なものとして例示される。
組成物に配合する細粒成分については、その10〜100%の割合(重量)を前記の蓄光夜光性物質の表面被覆層を有する透明無機質骨材とするのが好ましい。
透明性の無機質骨材、特に細粒成分の焼付け被覆では、透明細粒成分の粒子表面には数μm〜数十μm、たとえば5〜50μm、より好ましくは20〜40μm程度の被覆が施されているようにする。より具体的には、120〜1200℃程度の高温において焼付けて被覆を施すことができる。
焼付けられる螢光物質としては、アルミン酸ストロンチウム等々の蓄光性物質であってよい。
焼付けは従来より知られている各種の方法でなく、たとえば、アルミン酸ストロンチウム等の蓄光材の粉粒を分散させた分散液、あるいはペースト中に透明性無機質骨材、たとえば前記の細粒成分を混合し、乾燥して焼付けすることができる。
なお、この発明では、前記のとおり、無機質細粒成分の大きさも特定のものとすることが望ましい。すなわち、無機質細粒成分は、前記の通り5〜70メッシュの大きさとする。色のあるものとないものとを使用して、色を上あるいは下に濃く付けたい場合等において、色の有無により細粒の大きさを変えて使用することが考えられるが、極端に差のあるものの大量使用は、製品の強度を劣化させるので使用すべきではない。
一方、微粒成分の粒子の大きさは、前記の通り100メッシュアンダーとする。細粒成分の粒子の間に十分に入り込めるものでなければならない。より具体的には150〜250メッシュ程度のものが好ましい。
そして、この発明の高密度人造石において重要なことは、特例を除いて、これらの無機質骨材成分が製品のどの部分においても均一に分散していることが望ましいことである。
また、樹脂成分は、熱硬化性のものの中から広い範囲で選ぶことができる。
たとえば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂等が例示される。なかでも透明性、硬度、強度等の点からはメタクリル樹脂が好適なものとして示される。樹脂成分の配合割合は、前記のとおり、製品の全体組成の7〜18重量%とするのが好ましい。この樹脂成分は、前述の骨格を形成する成分である細粒成分や、微粒成分に対して、これらを包み込み、全体を結合することに寄与し、人造石が完成したとき製品に弾性あるいは引張強度を与える機能がある。細粒成分や微粒成分からなる無機質骨材の使用量割合は限定される。すなわち、重量比で82%以上なければならず、好ましくは88%以上である。なお、93%を超すと製品が脆くなり、使用しにくいものしか得られない。また、82%未満では製品が柔らかすぎて石的な性質が得られず、使用範囲が樹脂板と同様な範囲となってしまう。
このことは、天然石等の細粒成分ならびに微粒成分以外のもの、すなわち、樹脂成分は製品において多くても重量比18%を超えて存在してはならないことになる。
樹脂成分が18%程度を超えると製品がプラスチック的になり、もはや人造石とは名のみの見かけだけのものとなる。また、樹脂成分を過度に少くすることは製品の天然色に近い外観性を増大させる面もあるが製品が脆いものとなり、使用に適さなくなる。このような観点からは、より好ましくは、樹脂成分は9〜12重量%となるようにする。
この発明の実施においてはこれら成分の構成比率が重要である。特に重要なことは樹脂成分と他の成分との構成比率である。この発明では、緻密な組織を有する高密度品を可能とすることが特徴の一つであるが、ここで高密度とは、人造石製品の中に含まれている細粒成分と微粒成分とが高密度に存在するという意味であり、その程度はたとえば密度2.2g/cm以上という、従来の人造石に含有されている範囲を超えている。
そして、この発明においてさらに重要なことは、製品全体量の0.5〜3.5重量%の有機含窒素化合物を配合することである。
この有機含窒素化合物の前記所定量の配合によって、この発明の人造石成形体においては、初期りん光輝度は大きく向上し、その持続性は顕著なものとなる。
このような有機含窒素化合物としては、たとえば次式
Figure 0004086469
(式中のR、R、Rは、各々、水素原子、または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R、RおよびRの全てが水素原子を示すことはなく、また、R、RおよびRのうちのいずれか二つのものが結合して環を形成し、この環は置換基を有していてもよい。)
で表わされるアミン類がある。
より具体的には、このアミン類としては、環状アミン類、たとえばピペリジン環を形成していてもよい。
たとえば以上のようなアミン類としては、従来より樹脂の光や熱による劣化防止剤として知られているものも用いることができる。実際のところ、これらの劣化防止剤として知られている物質が、りん光性人造石組成への添加配合により、りん光輝度やその持続性を顕著に向上させることは、従来の技術知識からは全く予見できないことである。
それと言うのも、従来の樹脂劣化防止剤としての使用では、樹脂量に対して、その0.01重量%程度が添加されているが、この程度の割合では、この発明の人造石組成では、りん光輝度やその時間的持続性の向上を全くもたらさないにもかかわらず、製品全体量に対して0.5〜3.5重量%、これを樹脂量に換算すると、およそ5〜35重量%の添加によって極めて顕著な効果が得られるからである。
なお、前記のアミン類については、カルボニルオキシ基(−CO−O−)を分子中に持つものがさらに効果的な作用を示すものとして挙げられる。添加量は、製品全体に対して、0.5〜3.5重量%とするが、なかでも1%前後の添加が効果的でもある。
この発明においては、人造石製品の外部表面は研磨または粗面化するのが望ましい。実施上は破れた細粒成分が露出しているようにするのが好ましいからである。
研磨はこの発明の深み感のある高密度人造石の持っている緻密な組織状態を表面露出させるのに実用的に便利な方法である。もちろん、製品の面の一部を研磨して細粒成分を露出し、同じ面の他の部分との間の相違を模様として使用することもできる。
また、人造石を得る場合において、目標とする色調や意匠性をいかなるものとするかは重要な問題である。御影石や大理石は天然のものからの製品が得にくいことと、色艶が美麗なために目標の一つとなる。この発明においては、細粒成分として透明性のものを使用することで、御影石調や大理石調等の艶のあるものを得ることができる。細粒成分として石英系天然石を粉砕して得た細粒を使用することができるからである。
石英系天然石を粉砕して得た細粒は、多くの場合無色で透明である。透明でない場合もいくぶんの透明性を残しているものが多い。
無機顔料や、アゾ顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料、あるいは各種の染料を加えることによって、均一な色を持ち、深みと艶のある独特の色調を持たせることもできる。
なお、この発明の人造石組成物では、色成分として細粒成分とほぼ同じ大きさの粒状の有色のものとを混合して使用し、製品に色を与えることもできる。
いずれにしても、従来の人造石に比べて色の再現性が遙かに容易に確保でき、変色がなく、深みと艶に優れたものが得られる。
蓄光夜光性等とともに、通常でも優れた色調特性をも有するこの発明の高密度人造石は、その形状において板状、棒状、筒状等の任意とすることができる。
以上のようなこの発明の人造石については、たとえば以下の方法によって製造することができる。
すなわち、成形型に無機質骨材の少くとも一部として蓄光夜光性物質と透明性無機質骨材、もしくは前記の蓄光夜光性物質が表面に焼付けられた透明性無機質骨材と、前記の有機含窒素化合物を含有する樹脂成形用混合物を注入し、次いで、プレス硬化させて脱型すること、さらには必要に応じて研磨することやあるいはウォータージェット等によって粗面化処理して人造石成形体を製造する。
硬化では、たとえば5〜100kgf/cm程度の面圧で押圧して圧縮する。この成形においては、圧縮時に、概略90〜140℃の温度に5〜20分間程度加熱する。
突起部としての発光部を形成する樹脂成形用混合物と、基板部を形成する樹脂成形用混合物とを用いて上記の圧縮を行えば、硬化工程で一体成形されることになる。このため、発光部突起部の剥離、脱落はない。しかも突起部も、その組成によって耐磨耗性に優れたものとして形成される。
このような圧縮成形による方法は、平板成形品のように比較的単純な形状な成形法として量産効果を発揮し、また、材料のロスがほとんどないため経済性にも優れたものである。
表面研磨のための手段には特に限定はなく、砥石、研磨布、研磨ベルトなどの工具を用いて、あるいは、バフ研磨剤、ラビングコンパウンド等の研磨剤を用いて実施する事ができる。
研磨材としては、研磨作用を主とするダイヤモンド、炭化ホウ素、コランダム、アルミナ、ジルコニアや、琢磨作用を主とするトリポリ、ドロマイト、アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム等が適宜に使用される。
そして、この発明においては、成形後の成形体表面に粗面化加工を施し、微粒成分が表面部に露出するようにしてもよい。
このための方法としては、まず、樹脂成分の選択的除去法が採用される。すなわち、たとえば、成形型から脱型した後に、成形品の表面に高圧水を噴出させて地肌面加工を施すことが有効である。
この加工は、厚みや、ノズルとの距離、加工形態等の種々の条件によって異なるので限定的ではないが、通常は、1〜20cmの厚みの場合、2〜50mm程度のノズルの高さからは、50〜1500kg/cm程度の水圧とすることができる。
高圧水の噴出のためのノズルやそのシステムについては特に制限はない。各種のものが採用される。
この地肌面加工によって、ウォータージェットによる平坦化、あるいは粗面化が実現され、深みのある質感を持った人造石が製造される。
樹脂成分の存在によって、表面が白濁することもなく、また、薬品を用いるエッチング方法に比べて、廃液の処理も容易となる。
もちろん、必要に応じて、表面部を有機溶剤によって処理し、樹脂成分を軟化もしくは溶融させて部分除去することもできる。
この場合の有機溶剤としては、使用する樹脂成分に対応して選択すればよく、たとえば、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸やそのエステル化合物、あるいはアセトン、テトラヒドロフラン、DMF、DMSO等が例示される。
成形体はこれらの有機溶剤に浸漬するか、あるいはこれら有機溶媒をスプレーもしくは流下させ、軟化もしくは溶融した樹脂成分を表面部から取除くことで表面凹凸を形成することができる。
あるいはまた、ワイヤーブラシ、切削手段等によって硬度の低い樹脂成分を表面部よりかき取るようにして凹凸を形成してもよい。
以上の各種手段によって粗面化し、地肌面加工を施した後に、前記した通り、表面を研磨することにより、独特の深みと艶、光沢のある表面質感が実現される。
また、成形体表面に形成された溝部に対して、無機質骨材の少くとも一部として蓄光夜光性物質と透明性無機質骨材、もしくは前記の蓄光夜光性物質が表面に焼付けられた透明性無機質骨材を含有する樹脂成形用混合物を注入して硬化させて、前記埋込溝部のみに発光部を有する人造石成形体を製造することもできる。
この方法の場合にも、圧縮成形による硬化は、前記方法と同様の態様として実施でき、成形体は、最終的に、適宜に、同様にして研磨、あるいは粗面化処理される。
たとえば、以上のいずれの方法においても、樹脂成形用混合物として夜光性物質によって表面被覆した透明性無機質骨材を用いる場合には、研磨等の処理によって、粒子とその被覆層の断面が露出しているようにすることができる。
こうすることによっても、優れたりん光特性とともに、優れた肌合い、質感を有する人造石が製造される。
つまり、たとえば、細粒成分の表面に蓄光性物質が焼付被覆されているとすると、人造石の表面の研磨によって、細粒成分粒子とその被覆は断面として露出する。こうすることで、外部から照射された光は、露出した透明性細粒粒子面から入射され、内部の焼付けられた被覆物質にまで達することになる。
透明性の高いメタクリル樹脂等の場合には、光の透過を全体的にも良好とすることになる。
このため、発光部の内部にまで入射光が浸透し、また内部からも発光することになる。
このため短時間での蓄光が可能となり、またりん光効率も大きくなる。しかも、この発明においては、前記のとおり有機含窒素化合物を添加することで、りん光輝度とその時間的持続性は著しく向上することになる。
なお、この発明の人造石では、実際の使用時にはこのものを用いる周囲の色調、景観との関係において、デザイン上着色剤により色合わせを行うことができる。
この色合わせが行われた場合にも、この発明において、畜光夜光性が所定のりん光特性として明瞭な識別性、認識性を実現することができる。
以下、実施例を説明する。もちろん、この発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例
Figure 0004086469
・平均粒径250メッシュの珪石粉末 21〜24重量%
Figure 0004086469
(テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) 1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート)

12kgf/cmの圧力で、120℃の温度において20分間プレスして硬化させた。
その後脱型し、厚み20mmの人造石成形体を得た。
この成形体について、表面をダイヤモンド系砥石を用いて研磨した。
得られた成形体は、いずれも夜光性のりん光特性を有し、暗視野環境での位置ガイド標示として優れた機能を有していた。
JIS−Z−9100に基づくりん光輝度試験を行ったところ、前記の有機含窒素化合物の添加量に相違して次の表1の結果が得られた。
Figure 0004086469
この表1の結果より明らかなように、0.5〜3.5%の添加により、さらには1〜3%の添加により、初期輝度とりん光輝度の持続性が顕著に増大することがわかる。
添加率1%の人造石の場合の比重は2.33(JISK 7112)、吸水率0.14%であった。その曲げ強度は、63.58kgf/cm(JIS A 5209)、硬度1023kgf/mm(JIS Z 2244、ビッカース硬度)であった。
産業上の利用可能性
以上の通り、この発明により、りん光特性に優れた、また深みと艶のある優れた色調と、良好な物理的特性を持つ高密度人造石が提供される。

Claims (4)

  1. 主組成が製品全体量の82〜93重量%の無機質骨材と製品全体量の7〜18重量%の樹脂とを含有する人造石であって、無機質骨材の少くとも一部として蓄光性を有する夜光性物質と透明性無機質骨材、もしくは前記の夜光性物質が表面に焼付けられた透明性無機質骨材が含有され、さらに有機含窒素化合物が製品全体量の0.5〜3.5重量%配合されていることを特徴とする人造石。
  2. 有機含窒素化合物がアミン類であるる請求項1の人造石。
  3. 有機含窒素化合物が環状アミン類である請求項2の人造石。
  4. アミン類が、カルボニルオキシ基を持つ請求項2または3の人造石。
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