JP4086104B2 - サイドフレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイドフレーム構造に関し、特にサイドフレーム本体の端部に延設フレームを連結して形成されるサイドフレーム構造に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば、第1の従来技術として特開2001−63626号公報には、車体のフロントサイドフレームを、後部フレームと、この後部フレームの前端に取り付けた前部フレームとの前後二分割フレームとした車体前部構造が示されている。該公報によれば、後部フレームの前端に、前部フレームを取り付けるための結合部材を溶接により取り付けており、この結合部材に前部フレームの後端をボルト結合することによって、後部フレームと前部フレームを連結している。
【0003】
また、第2の従来技術として特開2001−233240号公報には、車体のフロントサイドフレームの前端に衝撃吸収部材を取り付けた車両構造が示されている。該公報によれば、フロントサイドフレームの前端部は、車体前後方向に延在する円筒形状を有しており、その前端部に対して該前端部よりも大径の円筒形状を有する衝撃吸収部材の後端部が直接外嵌されて、プラグ溶接によって互いに固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
第1の従来技術の場合、後部フレームと前部フレームとの間に別個独立した結合部材を介在させて両者を結合していることから、接続作業時には、まず後部フレームの前端に結合部材を結合し、次いで結合部材の前部に前部フレームを結合するという2回の結合作業が必要となり、工数が多いという問題を有している。また、結合部材自体に所定の剛性が要求され、その剛性を確保のために結合部材が大型化し、有効スペースの確保が困難となるおそれがある。そして、結合部材自体の構成も複雑となり、製造の困難等によりコストが高騰するおそれがある。更に、結合部材の後部フレームへの取り付けは溶接により行っていることから、溶接の熱に起因したフレーム全体の歪み等が懸念される。
【0005】
第2の従来技術の場合、衝撃吸収部材の後端部をフロントサイドフレームの前端部に直接外嵌している。したがって、結合部分の断面形状を拘束する力である断面拘束力の低下が懸念され、車体前後方向からの衝撃荷重に対して結合部分が断面形状の変形を生じて衝撃エネルギを適切に吸収することが困難となるおそれがある。
【0006】
また、フロントサイドフレーム本体の前端部と衝撃吸収部材の後端部の製造精度に精密性が要求され、製造コストの高騰を招来する。そして、衝撃吸収部材のフロントサイドフレームへの取り付けを溶接により行っていることから、第1の従来技術と同様に、溶接の熱に起因したフレーム全体の歪み等が懸念される。
【0007】
また、通常の場合、車体は、スチール鋼板をプレス成形したプレス成形部材をスポット溶接等により接合することによって形成されているが、近年、車体重量の軽量化のために、車体全体を例えばアルミニウム合金等の軽量金属によって構成することが行われている。
【0008】
しかし、アルミニウム合金は変形し易く、車体としての剛性を維持することが困難であり、また、材料自体が高価であると共に高度な溶接技術を必要とすることからコスト高を招来するものである。そこで、上記第1及び第2の従来技術においてフロントサイドフレームの一部である前部フレームや衝撃吸収部材をアルミニウム合金にすることが考えられるが、スチールとアルミニウムという異種金属の接続となり、イオン化傾向の相違による電気化学的腐食、いわゆる電食の発生が懸念され、この電食の発生防止を考慮する必要がある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、サイドフレームの結合構造の簡素化、延設フレームの取り付け容易化、結合部分の強度確保であり、第2の目的は、異種金属の結合による電食の発生を防止するサイドフレーム構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車体前後方向に延在するサイドフレーム本体の先端部に、延設フレームの基端部を連結してサイドフレームを構成するサイドフレーム構造において、サイドフレーム本体の先端部に車体前後方向に延在して形成された開口端部と、延設フレームの基端部に形成され開口端部に嵌入される嵌入端部と、開口端部と嵌入端部の間に介在される環状乃至略環状に形成されたスペーサ本体を有するスペーサと、開口端部と嵌入端部とスペーサとの3部材を各々の径方向にて共締め固定する固定手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明によると、サイドフレーム本体の先端部に設けられた開口端部と、延設フレームの後端部に設けられた嵌入端部とを、間に環状乃至略環状のスペーサを介在させた状態で連結し、固定手段によって開口端部と嵌入端部とスペーサとの3部材を各々の径方向にて共締め固定する。
【0012】
これにより、従来の別個独立した結合部材を介在させたものと比較して、結合構造を簡素化できると共に、延設フレームのサイドフレーム本体への取り付け作業を容易なものとすることができる。そして、スペーサによって開口端部と嵌入端部との寸法差を吸収でき、開口端部と嵌入端部に高度の加工精度を要求せず、製造コストを低減できる。
【0013】
また、スペーサによって開口端部と嵌入端部との連結部分に断面の変形を拘束する断面拘束力を付与することができ、車体前後方向の衝撃荷重に対して断面形状の変形を防止できる。したがって、車体前後方向からの衝撃荷重を円滑に延設フレームからサイドフレーム本体に伝達して車体全体に分散し、連結部分に衝撃荷重が集中して局部的な変形が発生するのを防止できる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のサイドフレーム構造において、スペーサは、スペーサ本体の内方に折曲形成されて、開口端部に嵌入された嵌入端部の後端面に対向する内側フランジ部を有することを特徴とする。
【0015】
この発明によると、サイドフレーム本体の開口端部に延設フレームの嵌入端部を嵌入する際に、内側フランジ部を嵌入端部の端面に当接させることで、スペーサの嵌入端部に対する位置決めを容易なものとし、延設フレームのサイドフレーム本体への取付作業を簡易に行うことができる。また、内側フランジ部により、開口端部と嵌入端部との連結部分の断面拘束力を更に向上させ、車体前後方向の衝撃荷重に対する開口端部の断面変形を抑制することができる。そして、車体前後方向に衝撃荷重が加えられた場合に、内側フランジ部を嵌入端部の端面に当接させて延設フレームからサイドフレーム本体にその衝撃荷重を確実に伝達し、衝撃エネルギを適切に吸収させることができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1に記載のサイドフレーム構造において、スペーサは、スペーサ本体を閉塞し、開口端部内で嵌入端部の後端面に対向してサイドフレーム本体内を車体前後方向に仕切る仕切壁部を有することを特徴とする。
【0017】
この発明によると、開口端部内で仕切壁部を嵌入端部の後端面に対向配置させて車体フレーム本体内を車体前後方向に仕切る。これにより、請求項2に記載の作用効果に加えて、更に開口端部と嵌入端部との連結部分の断面拘束力を更に向上させ、車体前後方向の衝撃荷重に対する開口端部の断面変形を抑制する。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のサイドフレーム構造において、スペーサは、スペーサ本体の外方に折曲形成されて、開口端部の前端面に対向する外側フランジ部を有することを特徴とする。
【0019】
この発明によると、外側フランジ部を開口端部の前端面に対向配置させることにより、スペーサの開口端部に対する位置決めを容易ならしめ、延設フレームのサイドフレーム本体への取付作業を簡易に行うことができる。
【0020】
特に、請求項2又は3の発明との組合せにより、延設フレームのサイドフレーム本体に対する位置決めを容易に行うことができ、その取り付け作業を更に簡易化できる。そして、車体前後方向に衝撃荷重が加えられた場合に、外側フランジ部を開口端部の端面に当接させて延設フレームからサイドフレーム本体にその衝撃荷重を確実に伝達し、衝撃エネルギを適切に吸収させることができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のサイドフレーム構造において、サイドフレーム本体と延設フレームは、異種金属により構成されており、スペーサは、スペーサの表面に耐電気化学的腐食処理が施されていることを特徴とする。また、請求項6の発明は、請求項5に記載のサイドフレーム構造において、スペーサの表面に施される耐電気化学的腐食処理は、電気化学的腐食の発生を防止する材料を用いたメッキ処理であることを特徴とする。
【0022】
この発明によると、例えば電食の発生を防止する材料を用いたメッキ処理等の耐電食処理をスペーサの表面に施しているので、異種金属により構成されたサイドフレーム本体と延設フレームの間に介在させた場合に、サイドフレーム本体と延設フレームとの間における電食の発生を抑制することができる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のサイドフレーム構造において、サイドフレーム本体と延設フレームは、異種金属により構成されており、スペーサは、耐電気化学的腐食部材からなることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7に記載のサイドフレーム構造において、スペーサを構成する耐電気化学的腐食部材は、サイドフレーム本体を構成する同種金属からなる板状部材と、延設フレームを構成する同種金属からなる板状部材を張り合わせたクラッド材であることを特徴とする。
【0024】
この発明によると、スペーサが例えばクラッド材等の耐電食部材により構成されているので、異種金属により構成されたサイドフレーム本体と延設フレームの間に介在させた場合に、サイドフレーム本体と延設フレームとの間における電食の発生を抑制することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明が適用された自動車の車体1のフロント部分を示す斜視図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図1のB部を拡大・分解して示す説明図、図4は、スペーサ30の構成を説明する斜視図、図5は、図2のC−C線断面を矢視方向から示す断面図である。尚、図中で矢印Frは車体前方方向、矢印Rrは車体後方方向、Lは車幅方向左側方向を示す。
【0027】
車体1は、主としてスチール製の鋼板を立体的にプレス成形したプレス成型品を互いにスポット溶接等により接合することによって構成されており、車体1のフロント部分は、図1に示すように、車幅方向に延在して車室内とエンジンルームの間を仕切るトーボード2と、後部がトーボード2の下部からフロアパネル(図示せず)の下面に亘って取り付けられて車体前方に延出する一対のフロントサイドフレーム3と、トーボード2の上部から前方に延出するフロントアッパフレーム4を備えており、フロントサイドフレーム3とフロントアッパフレーム4との間にはフロントサスペンション用のストラットタワー5が組み付けられている。
【0028】
上記フロントサイドフレーム3は、スチール製のフロントサイドフレーム本体10を後部に備え、そのフロントサイドフレーム本体10の前端にアルミニウム合金からなる延設フレーム20を連結した前後二分割構造を有している。
【0029】
フロントサイドフレーム本体10は、フレームパネルアウタとフレームパネルインナによって構成されており、車幅方向の断面が略矩形状の閉断面を形成している。
【0030】
そして、フロントサイドフレーム本体10の前端には、延設フレーム20を連結するための開口端部13が設けられている。開口端部13は、図2に示すように、車幅方向に離間して対向配置される車体外側面部13−1と車体内側面部13−2、上下方向に離間して対向配置される車体上側面部13−3と車体下側面部13−4、及びこれらの側面部13−1〜13−4間をそれぞれ連結する傾斜面部13−5によって断面略八角形の筒状に形成されており、同一の断面形状を有して車体前後方向に延在している。そして、これらの各傾斜面部13−5には、後述する固定手段40の固定ボルト41を挿通するための開口穴14がそれぞれ穿設形成されている。
【0031】
延設フレーム20は、アルミニウム合金を押し出し成形したものであり、図1〜図3に示すように、縦断面が略八角形の中空閉断面を形成し、所定の厚みを有すると共にその内部には補強リブ21が設けられている。そして、延設フレーム20の後端には、フロントサイドフレーム本体10の開口端部13内に嵌入される嵌入端部22が設けられている。嵌入端部22は、開口端部13への嵌入により内周面13aに対向する開口端部13よりもひとまわり小さな外周面22aを有している。
【0032】
この外周面22aには、開口端部13の開口穴14に対向する位置に、貫通孔23が穿設されており、これらの貫通孔23に連通する嵌入端部22の内周面22bには、固定手段40のナット42がそれぞれ固定されている。ナット42は、電食防止用のアルミニウム合金による被膜処理が施されており、溶接により嵌入端部22の内周面22bに固定されている。ナット42の固定は、溶接の他に、ナット42に突設した食込歯(図示せず)を嵌入端部の内周面22bに食い込ませる等、機械的に固定してもよい。
【0033】
上記構成を有する開口端部13と嵌入端部22の間には、スペーサ30が介在される。スペーサ30は、開口端部13の内周面13aに接面する外周面31a及び嵌入端部22の外周面22aに接面する内周面31bを有する略八角形の環状に形成されたスペーサ本体31を有している。このスペーサ本体31は、帯状の板部材を折り曲げて略環状に形成したものであってもよい。スペーサ本体31には、開口端部13の開口穴14と延設フレーム20の貫通孔23との間を連通するためのボルト挿通穴32が穿設されている。
【0034】
スペーサ30は、耐電食部材によって構成されている。本実施の形態では、図5に示すように、スチールSTとアルミニウム合金ALの2種類の金属を張り合わせたクラッド材からなり、クラッド材のスチールST側が開口端部13の内周面13aに接面し、アルミニウム合金AL側が嵌入端部22の外周面22aに接面するように形成されている。耐電食部材の他の例としては、例えば絶縁性の合成樹脂などが挙げられる。
【0035】
また、スペーサ30は、上述のクラッド材などの耐電食部材の他に、表面に耐電食処理を施したものを使用してもよい。耐電食処理を施したものの例としては、例えば鋳造品や鍛造品の表面に絶縁塗装を施したものや、表面に電食の発生を防止する材料によるメッキ処理を施したものが挙げられる。
【0036】
上記延設フレーム20は、固定手段40によってフロントサイドフレーム本体10に固定される。固定手段40は、本実施の形態では、固定ボルト41とナット42により構成される。
【0037】
固定ボルト41は、フロントサイドフレーム本体10と同種材料によって構成されており、先端が開口穴14から挿入されナット42に螺合されることによって、積層状態の開口端部13、スペーサ本体31、嵌入端部22をフロントサイドフレーム3の軸方向に直交する方向に貫通して共締めし、延設フレーム20をフロントサイドフレーム本体10に固定している。
【0038】
上記構成を有するフロントサイドフレーム構造によれば、嵌入端部22と開口端部13との間にスペーサ本体31を介在させた状態で嵌入端部22を開口端部13に嵌入し、固定ボルト41で共締め固定することによって、延設フレーム20をフロントサイドフレーム本体10に連結するので、従来の別個独立した結合部材を介在させたものと比較して、簡単に取り付けることができ、結合部分の構造を簡素化できると共に、その取り付け作業を容易なものとすることができる。また、従来の溶接等に起因した車体1の歪みの発生も防止できる。
【0039】
そして、スペーサ30のスペーサ本体31によって開口端部13の内周面13aと嵌入端部22の外周面22aとの間の寸法差を吸収できる。したがって、開口端部13と嵌入端部22の加工精度に高度性を不要とし、製造コストを低減できる。
【0040】
また、スペーサ30によって開口端部13と嵌入端部22との連結部分に断面の変形を拘束する断面拘束力を付与することができ、車体前後方向の衝撃荷重に対する断面形状の変形を防止することができる。特に、スペーサ30を例えば鋳造品や鍛造品によって構成した場合には、その断面拘束力を強固なものとすることができる。
【0041】
そして、開口端部13、スペーサ本体31、嵌入端部22を固定手段40によって共締め固定することによって、車体前後方向からの衝撃荷重を延設フレーム20からフロントサイドフレーム本体10に円滑に伝達して車体1全体に分散し、連結部分に衝撃荷重が集中するのを防止し、フロントサイドフレーム3全体を車体前後方向に順次圧潰変形させて、その衝撃エネルギを滑らかに吸収できる。
【0042】
また、フロントサイドフレーム本体10と延設フレーム20が異種金属によって構成されている場合でも、スペーサ30が耐電食部材により構成され、或いはスペーサ30の表面に耐電食処理が施されているので、開口端部13と嵌入端部22との間で電食の発生を防止することができる。したがって、スチール製のフロントサイドフレーム本体10にアルミニウム合金の延設フレーム20を連結することができ、車体1全体の軽量化を図ることができる。
【0043】
また、開口端部13の傾斜面部13−5に固定ボルト41用の開口穴14を設けて固定手段40により固定したことによって、固定ボルト41のボルトヘッドが車体側方及び車体上方に突出する突出量を小さくし、周辺スペースの有効活用に貢献することができる。
【0044】
図6は、第2実施例のスペーサ30を説明する斜視図であり、図7は、第2実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【0045】
本実施例では、スペーサ30は、スペーサ本体31の車体後方側の端部で内方に折曲形成された内側フランジ部33を有している。内側フランジ部33は、スペーサ本体31の端部から所定高さで内方に起立して周方向に連続し、組み付け状態で嵌入端部22の端面22cに対向して当接するように構成されている。
【0046】
したがって、延設フレーム20をフロントサイドフレーム本体10に取り付ける際に、予め延設フレーム20の嵌入端部22にスペーサ30を被せて内側フランジ部33を延設フレーム20の端面22cに当接させるだけで、スペーサ30の延設フレーム20に対する位置決めを行うことができる。これにより、スペーサ30の取り付け作業を容易なものとし、延設フレーム20の取り付け作業性を向上することができる。
【0047】
また、第1実施例と比較してスペーサ本体30の径方向の剛性を向上することができ、開口端部13と嵌入端部22との連結部分の断面拘束力を更に向上させることができる。そして、内側フランジ部33が延設フレーム20の端面22cに当接しているので、車体前方から衝撃荷重が加えられた場合に、その衝撃荷重を延設フレーム20からフロントサイドフレーム本体10に確実に伝達して、その衝撃エネルギを適切に吸収することができる。
【0048】
図8は、第3実施例のスペーサ30を説明する斜視図であり、図9は、第3実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【0049】
本実施例では、スペーサ30は、スペーサ本体31の車体前方側の端部で外方に折曲形成された外側フランジ部34を有している。外側フランジ部34は、スペーサ本体31の端部から所定高さで外方に起立し、組み付け状態で開口端部13の端面13bに対向して当接するように構成されている。
【0050】
これにより、第1実施例と比較してスペーサ本体31の径方向の剛性を向上することができ、開口端部13と嵌入端部22との連結部分の断面拘束力を更に向上させ、車体前後方向の衝撃荷重に対する断面変形を適切に防ぐことができる。また、外側フランジ部34がフロントサイドフレーム本体10の開口端部13の端面13bに当接しているので、車体前方から衝撃荷重が加えられた場合に、その衝撃荷重を延設フレーム20からフロントサイドフレーム本体10に確実に伝達して、その衝撃エネルギを適切に吸収することができる。
【0051】
また、延設フレーム20をフロントサイドフレーム本体10に取り付ける際に、予めフロントサイドフレーム本体10の開口端部13にスペーサ30を嵌入させて外側フランジ部34を開口端部13の端面13bに当接させるだけで、スペーサ30のフロントサイドフレーム本体10に対する位置決めを行うことができる。これにより、スペーサ30の取り付け作業を容易なものとし、延設フレーム20の取り付け作業性を向上することができる。
【0052】
図10は、第4実施例のスペーサ30を説明する図であり、図11は、第4実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【0053】
本実施例は、上述の第2及び第3の実施例を組み合わせたものであり、スペーサ30は、スペーサ本体31の車体後方側の端部で内方に折曲形成された内側フランジ部33と、車体前方側の端部で外方に折曲形成された外側フランジ部34を有している。
【0054】
内側フランジ部33は、スペーサ本体31の端部から所定高さで内方に起立して周方向に連続し、組み付け状態で嵌入端部22の端面22cに対向して当接するように構成されており、外側フランジ部34は、スペーサ本体71の端部から所定高さで外方に起立し、組み付け状態で開口端部13の端面13bに対向して当接するように構成されている。
【0055】
これにより、上記第2及び第3の実施例の作用効果に加えて、延設フレーム20をフロントサイドフレーム本体10に取り付ける際に、内側フランジ部33を嵌入端部22の端面22cに当接させ、かつ外側フランジ部34を開口端部13の端面13bに当接させることによって、延設フレーム20とフロントサイドフレーム本体10との相対的な位置決めを行うことができる。これにより、延設フレーム20の取付作業を飛躍的に容易ならしめ、工期の短縮により製造コストの低減を図ることができる。
【0056】
図12は、第5実施例のスペーサ30を説明する図であり、図13は、第5実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【0057】
本実施例では、スペーサ30は、上述の第4実施例における内側フランジ部33の代わりに、スペーサ本体31の車体後方側の端部を閉塞する仕切壁部35を有している。仕切壁部35は、組み付け状態で嵌入端部22の端面22cに対向して当接すると共に開口端部13内を車体前後方向に仕切るように構成されている。
【0058】
これにより、上記第4実施例と比較してスペーサ本体31の径方向の剛性を更に向上することができ、開口端部13と嵌入端部22との連結部分の断面拘束力を更に向上させ、車体前後方向の衝撃荷重に対する断面変形を適切に防ぐことができる。
【0059】
尚、本実施の形態は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更及び組合せが可能である。例えば上述の実施の形態では、フロントサイドフレーム本体10と延設フレーム20の異種金属の例としてスチールとアルミニウム合金の場合を例に説明したが、他の異種金属であってもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るサイドフレーム構造によれば、従来の別個独立した結合部材を介在させたものと比較して、結合構造を簡素化できると共に、延設フレームのサイドフレーム本体への取り付け作業を容易なものとすることができる。そして、スペーサによって開口端部と嵌入端部との寸法差を吸収でき、開口端部と嵌入端部に高度の加工精度を要求せず、製造コストを低減できる。
【0061】
また、スペーサによって開口端部と嵌入端部との連結部分に断面の変形を拘束する断面拘束力を付与することができ、車体前後方向の衝撃荷重に対して断面形状の変形を防止できる。したがって、車体前後方向からの衝撃荷重を円滑に延設フレームからサイドフレーム本体に伝達して車体全体に分散し、連結部分に衝撃荷重が集中して局部的な変形が発生するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された自動車のフロントサイドフレームのフロント部分を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB部を拡大・分解して示す説明図である。
【図4】スペーサの構成を説明する斜視図である。
【図5】図2のC−C線断面を矢視方向から示す断面図である。
【図6】スペーサの第2実施例を説明する斜視図である。
【図7】第2実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【図8】スペーサの第3実施例を説明する斜視図である。
【図9】第3実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【図10】スペーサの第4実施例を説明する斜視図である。
【図11】第4実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【図12】スペーサの第5実施例を説明する斜視図である。
【図13】第5実施例を適用した場合における図2のC−C線を矢視方向から示す断面図である。
【符号の説明】
1 車体
3 フロントサイドフレーム
10 フロントサイドフレーム本体
13 開口端部
20 延設フレーム
22 嵌入端部
30 スペーサ
31 スペーサ本体
40 固定手段
Claims (8)
- 車体前後方向に延在するサイドフレーム本体の先端部に、延設フレームの基端部を連結してサイドフレームを構成するサイドフレーム構造において、
前記サイドフレーム本体の先端部に車体前後方向に延在して形成された開口端部と、
前記延設フレームの基端部に形成され前記開口端部に嵌入される嵌入端部と、
前記開口端部と前記嵌入端部の間に介在される環状乃至略環状に形成されたスペーサ本体を有するスペーサと、
前記開口端部と前記嵌入端部と前記スペーサとの3部材を各々の径方向にて共締め固定する固定手段と、を有すること
を特徴とするサイドフレーム構造。 - 前記スペーサは、
前記スペーサ本体の内方に折曲形成されて、前記開口端部に嵌入された前記嵌入端部の後端面に対向する内側フランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載のサイドフレーム構造。 - 前記スペーサは、
前記スペーサ本体を閉塞し、前記開口端部内で前記嵌入端部の端面に対向して前記サイドフレーム本体内を車体前後方向に仕切る仕切壁部を有することを特徴とする請求項1に記載のサイドフレーム構造。 - 前記スペーサは、
前記スペーサ本体の外方に折曲形成されて、前記開口端部の前端面に対向する外側フランジ部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサイドフレーム構造。 - 前記サイドフレーム本体と前記延設フレームは、異種金属により構成されており、
前記スペーサは、該スペーサの表面に耐電気化学的腐食処理が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のサイドフレーム構造。 - 前記スペーサの表面に施される耐電気化学的腐食処理は、電気化学的腐食の発生を防止する材料を用いたメッキ処理であることを特徴とする請求項5に記載のサイドフレーム構造。
- 前記サイドフレーム本体と前記延設フレームは、異種金属により構成されており、
前記スペーサは、耐電気化学的腐食部材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のサイドフレーム構造。 - 前記スペーサを構成する耐電気化学的腐食部材は、前記サイドフレーム本体を構成する同種金属からなる板状部材と、前記延設フレームを構成する同種金属からなる板状部材を張り合わせたクラッド材であることを特徴とする請求項7に記載のサイドフレーム構造。
Priority Applications (1)
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