JP2012240548A - モータ搭載構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータが取り付けられる部位への縦方向成分の荷重入力に対する耐久強度を向上させることができるモータ搭載構造を得る。
【解決手段】フロントクロスメンバ30及びモータコンパートメントクロスメンバ40は、一対のフロントサイドメンバ14の間に車両幅方向に掛け渡されると共に、ブレース46によって車両正面視で車両上下方向に連結されている。また、ブレース46の被取付部48には、車体10へ搭載されるモータユニット50の前側取付部50Aが取り付けられている。このため、モータ52の作動時にモータユニット50の前側取付部50Aから被取付部48に荷重が入力されてもその荷重は上下に分散される。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータ搭載構造に関する。
電気自動車において、主駆動モータの前側部と後側部とが、センタメンバの前後に設けられたブラケットの上部を介して支持されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−81429号公報
しかしながら、モータはエンジンよりもサイズが小さく回転中心の高さが低くなるため、ブラケットの被取付部への入力成分はほぼ縦方向成分となっており、この方向の荷重入力に対する耐久強度の点で改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮して、モータが取り付けられる部位への縦方向成分の荷重入力に対する耐久強度を向上させることができるモータ搭載構造を得ることが目的である。
請求項1に記載する本発明のモータ搭載構造は、車体の車両幅方向の両サイドに車両前後方向を長手方向として配置された左右一対のサイド部材と、前記一対のサイド部材の間に車両幅方向に掛け渡された第一クロス部材と、前記一対のサイド部材の間に車両幅方向に掛け渡され、前記第一クロス部材に対して車両正面視で車両上下方向にオフセットして配置された第二クロス部材と、前記第一クロス部材と前記第二クロス部材とを連結すると共に、車体へ搭載されるモータの取付部が取り付けられる連結部材と、を有する。
請求項1に記載する本発明のモータ搭載構造によれば、第一クロス部材及び第二クロス部材が一対のサイド部材の間に車両幅方向に掛け渡されると共に、第二クロス部材は第一クロス部材に対して車両正面視で車両上下方向にオフセットして配置されている。また、第一クロス部材及び第二クロス部材は連結部材によって連結されており、連結部材には、車体へ搭載されるモータの取付部が取り付けられる。このため、例えば、モータの作動時に連結部材にモータの取付部から荷重が入力されてもその荷重は上下に(第一クロス部材側及び第二クロス部材側に)分散される。よって、モータの取付部から入力される荷重が上下に分散されない場合に比べてモータが取り付けられる部位の耐久強度が向上する。
請求項2に記載する本発明のモータ搭載構造は、請求項1記載の構成において、前記第一クロス部材は、前記モータに対して車両前方側の車両前後方向位置に配置され、前記連結部材は、前記モータに対して車両前方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されている。
請求項2に記載する本発明のモータ搭載構造によれば、第一クロス部材は、モータに対して車両前方側の車両前後方向位置に配置され、連結部材は、モータに対して車両前方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されている。このような構造を備えた車両が前面衝突すると、その際の衝突荷重は、モータより車両前方側に位置する連結部材にまず入力される。このため、衝突荷重がモータに直接入力されるのを防止又は抑制できる。
請求項3に記載する本発明のモータ搭載構造は、請求項2記載の構成において、前記第一クロス部材は、前記第二クロス部材に対して車両下方側の車両上下方向位置に配置され、前記連結部材は、前記第一クロス部材における上面に結合されている。
請求項3に記載する本発明のモータ搭載構造によれば、第一クロス部材は、第二クロス部材に対して車両下方側の車両上下方向位置に配置され、連結部材は、第一クロス部材における上面に結合されている。このような構造を備えた車両が前面衝突すると、車両側面視で連結部材とモータ取付部との取付点回りに第一クロス部材を回転させようとする荷重が作用するが、連結部材が第二クロス部材に反力をとることで第一クロス部材の変位は抑制される。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のモータ搭載構造によれば、モータが取り付けられる部位への縦方向成分の荷重入力に対する耐久強度を向上させることができるモータ搭載構造を得ることができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載のモータ搭載構造によれば、車両の前面衝突時に衝突荷重がモータに直接入力されるのを防止又は抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載のモータ搭載構造によれば、車両の前面衝突時に第一クロス部材の変位を抑えることができるという優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係るモータ搭載構造が適用された車両前部を示す側断面図である。図2の1−1線に沿って切断した断面に相当する。 本発明の第1の実施形態に係るモータ搭載構造を示す斜視図であり、フロントクロスメンバ及びモータコンパートメントクロスメンバは一部を破断して示す。 本発明の第1の実施形態に係るモータ搭載構造が適用された車両前部を示す概略平面図である。 本発明の第1の実施形態に係るモータ搭載構造を備えた車両の前面衝突時の作用を説明するための模式的な側断面図である。図4(A)は衝突前の状態を示す。図4(B)は衝突後の状態を示す。 本発明の第2の実施形態に係るモータ搭載構造を構成するブレース等を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るモータ搭載構造を構成するブレース等を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るモータ搭載構造を構成するブレース等を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係るモータ搭載構造を模式的に示す正面図である。
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るモータ搭載構造について図1〜図4を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。
図1には、本実施形態に係るモータ搭載構造が適用された車両前部の側断面図が示されている。なお、図1は、車両前部を車両幅方向のほぼ中央で切断した状態を車両側方から見て示している。また、図2には、モータ搭載構造の斜視図が示され、図3には、モータ搭載構造の概略平面図が示されている。
これらの図に示されるように、車体10の前部には、後述するモータユニット50等が収容される収容空間12が形成されると共に、車両幅方向の両サイドに左右一対のサイド部材としてのフロントサイドメンバ14が車両前後方向を長手方向として配置されている。フロントサイドメンバ14は、車両骨格部材であり、図2に示されるように、車両幅方向内側を構成するフロントサイドメンバインナ16と、車両幅方向外側を構成するフロントサイドメンバアウタ18と、を備えている。フロントサイドメンバインナ16は、車両幅方向外側が開放された断面ハット形状に形成されているのに対して、フロントサイドメンバアウタ18は、フロントサイドメンバインナ16の開口部分を閉止する長尺平板状に形成されている。これらのフロントサイドメンバインナ16及びフロントサイドメンバアウタ18が溶接により結合されることによってフロントサイドメンバ14は閉断面構造に構成されている。
また、図3に示されるように、各フロントサイドメンバ14の前端部には、矩形の筒形状に形成されたクラッシュボックス22が同軸上に接合されている。クラッシュボックス22は、軸方向荷重を受けると圧縮塑性変形してエネルギー吸収するようになっている。また、左右のクラッシュボックス22の前端部は、フロントバンパリインフォースメント26に接合されている。フロントバンパリインフォースメント26は、車両前端部に略車両幅方向を長手方向として配置され、平面視では中央部が両端部よりも車両前方側に膨らんだ湾曲形状を成している。このフロントバンパリインフォースメント26は、フロントバンパ24の車両骨格部材を構成する部材であり、閉断面構造とされている。フロントバンパ24は、フロントバンパリインフォースメント26と、意匠面を構成するフロントバンパカバー28と、を含んで構成されている。
一対のフロントサイドメンバ14の前端部の間には、ブラケット20(図2参照)を介して第一クロス部材としてのフロントクロスメンバ30が車両幅方向に掛け渡されている。図2に示されるように、ブラケット20は、車両上方側が開放された屈曲板状とされてフロントサイドメンバ14の側壁部に溶接等により結合されており、フロントサイドメンバ14の前端部に対して車両下方側に張り出している。このブラケット20の底壁部の下面にフロントクロスメンバ30の長手方向の端部がボルト締結により結合されている。
フロントクロスメンバ30は、モータユニット50に対して車両前方側の車両前後方向位置に配置され、上部側を構成するフロントクロスメンバアッパ32と、下部側を構成するフロントクロスメンバロア34と、を備えている。フロントクロスメンバアッパ32は、車両下方側が開放されると共に前側下端が車両前方側へ屈曲されてフランジ部が形成されている。これに対して、フロントクロスメンバロア34は、車両上方側が開放されると共に前側上端が車両前方側へ屈曲されてフランジ部が形成されている。これらのフロントクロスメンバアッパ32及びフロントクロスメンバロア34の前側のフランジ部同士及び後壁部における開放端側の端部同士が溶接により結合されることにより、フロントクロスメンバ30は閉断面構造に構成されている。
また、図3に示されるように、一対のフロントサイドメンバ14の長手方向の中間部の間には、第二クロス部材としてのモータコンパートメントクロスメンバ40が車両幅方向に掛け渡されている。モータコンパートメントクロスメンバ40は、フロントクロスメンバ30に対して車両後方側でかつ車両正面視で車両上方側にオフセットして(換言すれば、フロントクロスメンバ30に対して車両後方側の車両前後方向位置で、フロントクロスメンバ30に対して車両上方側の車両上下方向位置に)配置されている(図2参照)。
図2に示されるように、モータコンパートメントクロスメンバ40は、上部側を構成するモータコンパートメントクロスメンバアッパ42と、下部側を構成するモータコンパートメントクロスメンバロア44と、を備えている。モータコンパートメントクロスメンバアッパ42は、断面が矩形波状を成すように形成されており、前端部が車両下方側へ向けて屈曲されている。これに対して、モータコンパートメントクロスメンバロア44は、車両上方側が開放されると共に後側上端が車両後方側へ屈曲されてフランジ部が形成され、前端上部及び後端フランジ部がモータコンパートメントクロスメンバアッパ42の前部に溶接により結合されている。これによって、モータコンパートメントクロスメンバ40の前部は閉断面構造に構成されている。
フロントクロスメンバ30の長手方向の中間部と、モータコンパートメントクロスメンバ40の長手方向の中間部とは、連結部材としてのブレース46(「ブラケット」ともいう。)によって車両正面視で車両上下方向に連結されている。ブレース46は、全体として車両上方側へ向けて車両後方側にやや傾斜するように配置された金属製(本実施形態では鉄鋼製)で長尺状の部材であり、モータユニット50に対して車両前方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されている。
ブレース46は、長尺部46Aと、長尺部46Aの幅方向(長手方向に直交する方向)の両端部から略直角に曲げられて互いに対向する一対の側壁部46Bと、長尺部46A及び側壁部46Bの各々の下端部から屈曲されて平面視で略U字状に形成されたフランジ部46Cと、を備えている。ブレース46は、長尺部46Aと側壁部46Bとによって車両後下方側が開放された形状に形成されている。また、ブレース46における下端側のフランジ部46Cは、フロントクロスメンバアッパ32の頂壁部32Aの上面にボルト締結によって結合されている。すなわち、ボルト33Aがブレース46のフランジ部46C及びフロントクロスメンバアッパ32の頂壁部32Aを貫通しており、フロントクロスメンバアッパ32の頂壁部32Aの下方側に突出したボルト33Aの雄ねじ部にナット33B(図1参照)が螺合されている。
また、フロントクロスメンバ30は、ブレース46が取り付けられる部位に対応して長手方向の中間部が補強部材36によって補強されている。図1に示されるように、補強部材36は、車両前方側が開放された屈曲板状に形成され、上壁部がフロントクロスメンバアッパ32の頂壁部32Aの上面に溶接により結合され、下壁部がフロントクロスメンバロア34の底壁部34Aの下面に溶接により結合されている。すなわち、補強部材36とフロントクロスメンバ30とで閉断面構造が形成されている。
補強部材36の上壁部にはブレース46のフランジ部46Cの一部が載置されてボルト締結によって結合されている。具体的には、ボルト35Aが、ブレース46のフランジ部46C、補強部材36の上壁部、円筒状のカラー35B、補強部材36の下壁部を貫通しており、補強部材36から突出したボルト35Aの雄ねじ部にナット35Cが螺合されている。なお、フロントクロスメンバ30と補強部材36とで構成された閉断面内に配置されたカラー35Bは、車両上下方向を軸方向として配置されており、カラー35Bの軸心部は、雌ねじが形成されていない貫通孔とされている。フロントクロスメンバ30と補強部材36とで構成された閉断面部は、このカラー35Bによって、ブレース46から荷重が入力されても変形(所謂、断面崩れ)が抑えられるようになっている。
一方、ブレース46の長尺部46Aにおける上端部46A1は、車両後方側へ屈曲されて略水平に配置されると共に、モータコンパートメントクロスメンバロア44の下面にボルト締結により結合されている。具体的には、ボルト38Aが、ブレース46、モータコンパートメントクロスメンバロア44、円筒状のカラー38B、及びモータコンパートメントクロスメンバアッパ42を貫通しており、モータコンパートメントクロスメンバアッパ42から突出したボルト38Aの雄ねじ部にナット38Cが螺合されている。なお、モータコンパートメントクロスメンバアッパ42とモータコンパートメントクロスメンバロア44とで構成された閉断面内に配置されたカラー38Bは、車両上下方向を軸方向として配置されており、カラー38Bの軸心部は、雌ねじが形成されていない貫通孔とされている。モータコンパートメントクロスメンバ40の前部は、このカラー38Bによって、ブレース46から荷重が入力されても変形(所謂、断面崩れ)が抑えられるようになっている。
なお、本実施形態では、ブレース46からの荷重に対する剛性は、ブレース46の上端部が取り付けられるモータコンパートメントクロスメンバ40の前部よりも、ブレース46の下端部が取り付けられるフロントクロスメンバ30及び補強部材36で構成される構成部のほうが高くなっている。
また、ブレース46における下部寄り(フロントクロスメンバ30及び補強部材36の側)の部位には、被取付部48(モータマウント入力部)が形成されている。被取付部48には、車体10へ搭載されるモータユニット50の取付部としての前側取付部50Aが取り付けられるようになっている。被取付部48は、ブレース46の側壁部46Bの一部で構成されてボルト挿通孔が形成されている。
図2に示されるように、モータユニット50は、モータ52及びインバータ54を含んで構成され、モータ52の回転軸方向が車両幅方向に設定されると共に、図1に示されるように、前端側に前側取付部50Aが形成され、後端側に後側取付部50Bが形成されている。図2に示されるように、モータユニット50の前側取付部50Aは、ブレース46の被取付部48において一対の側壁部46Bの間に配置され、ボルト49及びナット(図示省略)により一対の側壁部46Bと共締めされている。また、図1に示されるように、モータユニット50の後側取付部50Bは、車両幅方向を長手方向として配置された車両骨格部材56にブラケット58を介してボルト締結されている。なお、車両骨格部材56は、複数の板状部材で構成されて車両幅方向を長手方向として配置された部材である。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係るモータ搭載構造では、図2に示されるフロントクロスメンバ30及びモータコンパートメントクロスメンバ40は、一対のフロントサイドメンバ14の間に車両幅方向に掛け渡されると共に、ブレース46によって車両正面視で車両上下方向に連結されており、ブレース46の被取付部48には、車体10へ搭載されるモータユニット50の前側取付部50Aが取り付けられる。このため、例えば、モータ52の作動時に被取付部48に荷重が入力されてもその荷重は上下に(すなわち、フロントクロスメンバ30側及びモータコンパートメントクロスメンバ40側に)分散される。図中では、荷重が伝達される方向を矢印A方向及び矢印B方向で示す。このように荷重が分散されることによって、被取付部48に入力される荷重が上下に分散されない場合に比べて被取付部48を含むブレース46の耐久強度が向上する。
ここで、被取付部48に作用する入力荷重の方向について補足説明する。一般にモータユニット50のモータ52は、エンジン(図示省略)に比べてサイズが小さく、図1に示される前側取付部50A及び後側取付部50Bに対するユニット回転中心CLの高さ位置がエンジンの場合に比べて低い。このため、回転モーメントMのマウント入力成分は、エンジンの場合に比べて縦方向の成分が大きく、ほぼ縦方向の成分となっている。すなわち、ユニット回転中心CLと前側取付部50A及び後側取付部50Bの各取付中心とをそれぞれ結ぶ直線a、bに直交する方向(矢印X1、X2方向参照)は、ほぼ上下方向になる。よって、前側取付部50A及び後側取付部50Bから入力される上下方向の荷重分散が重要になる。ここで、本実施形態では、前述の通り、被取付部48に入力される荷重を上下に(矢印A方向及び矢印B方向参照)伝達させることができるので、荷重分散に有利な構造となっている。
なお、一般的に電気自動車では、モータユニットが高トルクを発生し、エンジン車よりもマウント入力が大きくなっている。そして、従来のボデー構造でこのマウント入力の耐力強度を満足させようとすると、局部的な補強だけでなく、広範囲にわたり大幅な変更が必要であるものと考えられていた。しかしながら、本実施形態に係るモータ搭載構造では、入力点の近傍で二箇所(二方向)に荷重を分散させることができるため、従来のボデー構造を大きく変更することなく、耐久強度を満足させることができる。換言すれば、補強のための質量増加が抑えられつつ、耐久強度が大きく向上する。
また、本実施形態では、図2に示されるフロントクロスメンバ30、ブラケット20、フロントサイドメンバ14、及びモータコンパートメントクロスメンバ40で構成される構造部の強度が、ブレース46を取り付けることによって、効果的に高められるので、被取付部48に荷重が入力されても、この構造部の変形が抑えられる。このため、例えば、フロントクロスメンバ30を車両側面視で被取付部48の取付点回りに回転させようとする荷重が作用しても、フロントクロスメンバ30の変位が抑えられ、フロントクロスメンバ30がモータ52及びインバータ54へ当接するのを防止又は抑制することができる。
また、本実施形態に係るモータ搭載構造を備えた車両が図4(A)に示されるバリア(衝突体)60に前面衝突すると、図4(B)に示されるように、その際の衝突荷重はフロントバンパリインフォースメント26からクラッシュボックス22に入力される。このため、クラッシュボックス22は、軸方向に圧縮されて塑性変形してエネルギー吸収するが、この過程で、バリア60は、フロントクロスメンバ30を車両後方側へ押圧する。しかしながら、本実施形態では、フロントクロスメンバ30は、モータユニット50に対して車両前方側の車両前後方向位置に配置され、ブレース46は、モータユニット50に対して車両前方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されているので、衝突荷重は、モータユニット50より車両前方側に位置するブレース46にまず入力される。このため、衝突荷重がモータユニット50に直接入力されるのを防止又は抑制できる。
また、このときに、ブレース46がモータユニット50を車両後方側へ押圧するので、バリア60とモータユニット50との接触が抑えられる。これにより、図2に示されるモータ52及びインバータ54の損傷が防止される。
また、図4(A)に示されるように、フロントクロスメンバ30は、モータコンパートメントクロスメンバ40に対して車両下方側の車両上下方向位置に配置され、ブレース46は、フロントクロスメンバ30における上面に結合されている。このため、本実施形態に係るモータ搭載構造を備えた車両が前面衝突すると、図4(B)に示されるように、フロントクロスメンバ30を車両側面視で被取付部48の取付点回りに回転させようとする荷重が作用するが、ブレース46がモータコンパートメントクロスメンバ40に反力をとることでフロントクロスメンバ30の変位は抑制される。
以上説明したように、本実施形態に係るモータ搭載構造によれば、被取付部48への縦方向成分の荷重入力に対する耐久強度を向上させることができる。
[第2実施形態]
なお、本発明の第2の実施形態として、図2に示されるブレース46に代えて、図5に示された連結部材としてのブレース70が配置されてもよい。ブレース70は、ブレース本体72を備えると共に、ブレース本体72の下方側に配置されてブレース本体72と結合されたマウントブラケット74を備えている。ブレース本体72の上部は、第1の実施形態におけるブレース46(図2参照)の上部と同様の形状となっており、第1の実施形態と同様の構造でモータコンパートメントクロスメンバ40に結合されている。
ブレース本体72の下端部には、一対の側壁部72Bの下端から互いに離反する方向(車両幅方向外側)へ延設されたフランジ部72Cが形成されている。ブレース本体72のフランジ部72Cはマウントブラケット74の上端フランジ部74Cに重ね合わせられてボルト締結により結合されている。すなわち、ボルト75Aがブレース本体72のフランジ部72C及びマウントブラケット74の上端フランジ部74Cを貫通しており、マウントブラケット74の上端フランジ部74Cの下方側に突出したボルト75Aの雄ねじ部にナット75Bが螺合されている。
マウントブラケット74は、上端フランジ部74Cの基端側から車両下方側へ曲げられた側壁部74Bがブレース本体72の側壁部72Bの延長部に配置されている。左右一対の側壁部74Bは、前側上部が傾斜壁部74Aによって連結されており、傾斜壁部74Aは車両下方へ向けて車両前方側に傾斜している。
また、左右一対の側壁部74Bの下端は底壁部74Dによって連結されており、底壁部74Dには、複数のボルト挿通孔が形成されている。すなわち、マウントブラケット74の底壁部74Dは、フロントクロスメンバアッパ32及び補強部材36の上に配置されてボルト締結されるようになっている。
ブレース70は、フロントクロスメンバ30とモータコンパートメントクロスメンバ40とを車両正面視で車両上下方向に連結すると共に、マウントブラケット74の後端上部に被取付部76が形成されている。被取付部76には、車体10へ搭載されるモータユニット50の前側取付部50Aが取り付けられている。被取付部76は、マウントブラケット74の側壁部74Bの一部とされてボルト挿通孔が形成されると共に、モータユニット50の前側取付部50Aを車両幅方向両外側から挟み込んだ状態でボルト締結がなされる。
このような第2の実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[第3実施形態]
また、本発明の第3の実施形態として、図2に示されるブレース46に代えて、図6に示された連結部材としてのブレース80が配置されてもよい。ブレース80は、ブレース本体82を備えると共に、ブレース本体82の下方側に配置されてブレース本体82と結合されたマウントブラケット84を備えている。ブレース本体82の上部は、第1の実施形態におけるブレース46(図2参照)の上部と同様の形状となっており、第1の実施形態と同様の構造でモータコンパートメントクロスメンバ40に結合されている。
また、ブレース本体82の下部とマウントブラケット84の上部は、共に車両後方側が開放された開断面形状に形成されており、ブレース本体82の下部の開断面内にマウントブラケット84の上部が重ね合わせ状態で配置されている。そして、ブレース本体82における一対の側壁部82Bの下部は、マウントブラケット84における一対の側壁部84Bの上部を車両幅方向外側から挟み込むようにしてボルト締結により結合されている。なお、ブレース本体82の一対の側壁部82B及びマウントブラケット84の一対の側壁部84Bを貫通してナット88Bに螺合されるボルト88Aは、マウントブラケット84の一対の側壁部84B間で円筒状のカラー88Cを貫通している。
また、左右一対の側壁部84Bの下端は底壁部84Dによって連結されており、底壁部84Dには、複数のボルト挿通孔が形成されている。すなわち、マウントブラケット84の底壁部84Dは、フロントクロスメンバアッパ32及び補強部材36の上に配置されてボルト締結されるようになっている。
ブレース80は、フロントクロスメンバ30とモータコンパートメントクロスメンバ40とを車両正面視で車両上下方向に連結すると共に、マウントブラケット84に車両後方側に張り出す被取付部86が形成されている。被取付部86には、車体10へ搭載されるモータユニット50の前側取付部50Aが取り付けられる。被取付部86は、マウントブラケット84の側壁部84Bの一部とされてボルト挿通孔が形成されると共に、モータユニット50の前側取付部50Aを車両幅方向両外側から挟み込んだ状態でボルト締結がなされる。
このような第3の実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[第4実施形態]
また、本発明の第4の実施形態として、図2に示されるブレース46に代えて、図7に示された連結部材としてのブレース90が配置されてもよい。ブレース90は、ブレース本体92を備えると共に、ブレース本体92の下方側に配置されてブレース本体92と結合されたマウントブラケット94を備えている。ブレース本体92の上部は、第1の実施形態におけるブレース46(図2参照)の上部と同様の形状となっており、第1の実施形態と同様の構造でモータコンパートメントクロスメンバ40に結合されている。
なお、ブレース本体92は、以下に説明する点を除き、図6に示される第3の実施形態のブレース本体82と実質的に同様の構成とされ、図7に示されるマウントブラケット94は、以下に説明する点を除き、図6に示される第3の実施形態におけるマウントブラケット84と実質的に同様の構成とされている。よって、同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図7に示されるように、ブレース本体92の下端部とマウントブラケット94の上端部は、各々の開断面形状に沿って一定の重ね合わせ代で重ね合わせられている。そして、ブレース本体92とマウントブラケット94との重ね合わせ部はアーク溶接により結合されている。なお、図中では、アーク溶接部分に斜線を入れると共に符号96で示している。
このような第4の実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[第5実施形態]
また、本発明の第5の実施形態として、図2に示されるブレース46に代えて、図8の模式的な正面図にて示される連結部材としてのブレース100が配置されてもよい。図8に示されるブレース100は、車両正面視でY字形状に形成されており、上下方向中間部から二股に分かれてモータコンパートメントクロスメンバ40にそれぞれ結合される第一連結部102及び第二連結部104を含んで構成されている。ブレース100は、他の点は第1の実施形態におけるブレース46(図2参照)と同様の構成となっており、フロントクロスメンバ30とモータコンパートメントクロスメンバ40とを車両正面視で車両上下方向に連結し、車体10へ搭載されるモータの取付部が取り付けられる被取付部(図示省略)を備えている。なお、図8では、第1の実施形態と同様の構成部には同一符号を付している。このような第5の実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、図2等に示されるように、モータコンパートメントクロスメンバ40は、フロントクロスメンバ30に対して車両後方側でかつ車両正面視で車両上方側にオフセットして配置されているが、第二クロス部材は、第一クロス部材に対して車両後方側でかつ車両正面視で車両下方側にオフセットして配置されていてもよい。
また、請求項1に記載の「連結部材」は、第1、第5の実施形態におけるブレース46、100のように一部材で構成された連結部材であってもよいし、第2〜第4の実施形態におけるブレース70、80、90のように複数部材で構成された連結部材であってもよい。
また、上記実施形態では、連結部材としてのブレース46、70、80、90、100がモータユニット50(モータ52)に対して車両前方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されており、車両の前面衝突時の衝突荷重がモータに直接入力されるのを防止又は抑制する観点からはこのような構成がより好ましいが、連結部材は、モータに対して車両後方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されている連結部材であってもよい。
また、上記実施形態では、ブレース46、70、80、90、100は、フロントクロスメンバ30における上面に結合されており、車両の前面衝突時におけるフロントクロスメンバ30の変位を抑える観点からはこのような構成がより好ましいが、ブレース(連結部材)は、フロントクロスメンバ30(第一クロス部材)における後面(車両後方側の面)等のような上面以外の面に結合されてもよい。
また、上記実施形態では、ブレース46、70、80、90、100は、ボルト締結により、フロントクロスメンバ30及びモータコンパートメントクロスメンバ40に結合されているが、連結部材は、第一クロス部材及び第二クロス部材の少なくとも一方に溶接等の他の結合手段によって結合されてもよい。
また、上記実施形態では、ブレース46、70、80、90、100は鉄鋼製とされているが、連結部材は、アルミニウム合金製やカーボン製等のような他の材料で形成された連結部材であってもよい。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
10 車体
14 フロントサイドメンバ(サイド部材)
30 フロントクロスメンバ(第一クロス部材)
40 モータコンパートメントクロスメンバ(第二クロス部材)
46 ブレース(連結部材)
50A 前側取付部(取付部)
52 モータ
70 ブレース(連結部材)
80 ブレース(連結部材)
90 ブレース(連結部材)
100 ブレース(連結部材)

Claims (3)

  1. 車体の車両幅方向の両サイドに車両前後方向を長手方向として配置された左右一対のサイド部材と、
    前記一対のサイド部材の間に車両幅方向に掛け渡された第一クロス部材と、
    前記一対のサイド部材の間に車両幅方向に掛け渡され、前記第一クロス部材に対して車両正面視で車両上下方向にオフセットして配置された第二クロス部材と、
    前記第一クロス部材と前記第二クロス部材とを連結すると共に、車体へ搭載されるモータの取付部が取り付けられる連結部材と、
    を有するモータ搭載構造。
  2. 前記第一クロス部材は、前記モータに対して車両前方側の車両前後方向位置に配置され、
    前記連結部材は、前記モータに対して車両前方側の車両前後方向位置を含む位置に配置されている、請求項1記載のモータ搭載構造。
  3. 前記第一クロス部材は、前記第二クロス部材に対して車両下方側の車両上下方向位置に配置され、
    前記連結部材は、前記第一クロス部材における上面に結合されている、請求項2記載のモータ搭載構造。
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