JP4085650B2 - 配線板の製造方法及び配線板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は配線板の製造方法と、その製造方法で得られる配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント配線板の高密度化が進み、配線層を複数備えた多層プリント配線板の比率が高まっている。また、高密度化への対応として多層プリント配線板は、第一の配線層の上に絶縁層を形成し、その上に第二の配線層を形成していくビルドアップ方式の多層配線板の製造方法が普及している。
例えばレーザにより接続穴を形成するビルドアップ法では、第一の配線層上に絶縁性の樹脂を積層し、続いてレーザにより第二の配線層と接続すべき所定の位置に接続穴を形成する。さらに樹脂表面に給電層と呼ばれる薄膜導体を形成し、これをもとに回路加工が施される。
回路加工をサブトラクティブ法により行う場合には、給電層上に電気銅めっきなどにより20μm程度の厚付けめっきを行った後、めっき導体上に通常のフォトリソ工程によりレジストパターンを形成し、不要部分の銅をエッチング除去して回路を形成する。
また回路加工をセミアディティブ法により行う場合には、給電層上に通常のフォトリソ工程によりレジストパターンを形成した後、露出した給電層上にパターン電気銅めっきを行った後、レジストを除去し、給電層をエッチングすることで回路が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
給電層の形成には、触媒核の吸着と銅の還元反応によるいわゆる無電解めっきが一般に行われてきた。無電解めっきでは絶縁材料とめっき銅との接着強度を得るために樹脂表面に微細な凹凸形状を付与する粗化処理が一般的に行われる。粗化の粗さは使用する絶縁材料の種類や形式、形態などにもよるが、従来、3μm以下の凹凸で高接着強度を得ることは難しい。まためっき導体の接着性を高めるために絶縁樹脂にも特殊な樹脂設計が必要であった。これらの樹脂上に形成される導体の絶縁樹脂側には粗化の形状に追随した形状が存在し、これにより回路の細線化が進むと断線など加工性にも問題が発生することが知られている。
【0004】
一方、パーソナルコンピュータや携帯電話等の情報端末機器の普及に伴ってこれらに搭載される印刷配線板は小型化、高密度化が進んでいる。その実装形態はピン挿入型から表面実装型へ、さらにはプラスチック基板を使用したBGA(ボールグリッドアレイ)に代表されるエリアアレイ型へと進んでいる。BGAのようなベアチップを直接実装する基板では、チップと基板の接続は熱超音波圧着によるワイヤボンディングで行うのが一般的である。このため、ベアチップを実装する基板は150℃以上の高温にさらされることになり、電気絶縁性樹脂にはある程度の耐熱性が必要となる。
また、一度実装したチップを外す、いわゆるリペア性も要求される場合があるが、これにはチップ実装時と同程度の熱がかけられるため、基板にはその後、再度チップ実装が施されることになりさらに熱処理が加わることになる。これに伴いリペア性の要求される基板では高温でのサイクル的な耐熱衝撃性も要求され、従来の絶縁性樹脂系では熱的な破壊を起こす場合がある。
さらに、処理速度の高速化に伴いMPUのI/O数が増加し、ワイヤボンディングで接続する端子数の増加と端子幅の狭小化が進んでいる。回路形成を施される金属箔と絶縁性樹脂との接着には従来以上の接着力が望まれるとともに、より細い配線を作製するために金属箔表面の粗化形状の微細化も要求されている。
【0005】
一方、信号の高周波化が進むことで回路導体には表面平滑性が要求されると考えられる。導体中の電流の付近には磁力線が発生するが、導体の中心部ほど磁力線の干渉が大きいため、電流は周辺とコーナーに集中する。これを表皮効果と呼び、周波数が高いほどこの傾向は強まる。導体の表面が平滑であるほど表皮効果による抵抗の増加を抑えられると考えられるが、従来の電気絶縁性樹脂の接着は主に粗表面へのアンカー効果によるところが大きく信号の高周波化とは相反するものとなっている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、金属との接着性に優れ、耐熱性に優れた樹脂組成物を層間絶縁層に使用することで、導体回路となる平滑な金属と高い接着強度を有することで配線の微細化、平滑化に対応し、耐熱性に優れた多層配線板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のものに関する。
すなわち第一の発明は、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂と熱硬化性樹脂とを、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し熱硬化性樹脂1〜100重量部で含む樹脂組成物を含む層を回路基板上に積層する工程と、
樹脂組成物を加熱硬化する工程と、
層間接続用の穴明けをする工程と、
硬化した樹脂組成物表面にスパッタにより接着性金属層および導電性付与金属層を順次形成する工程と
を含む配線板の製造方法に関する。
【0008】
本発明の第二の発明は、上記の製造方法で製造された配線板であって、回路基板上にシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層、接着性金属層および導電性付与金属層を有する配線板に関する。
【0009】
ここで、前記ポリアミドイミド樹脂が、
芳香族環を3個以上有するジアミンと、シロキサンジアミンと、無水トリメリット酸とを反応させて得られた、一般式(1)式で示されるジイミドジカルボン酸及び一般式(2)式で示されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と、
一般式(3)式で示される芳香族ジイソシアネートと
を反応させて得られるポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
【化5】
Figure 0004085650
【化6】
Figure 0004085650
ここで、R2
【化7】
Figure 0004085650
であり、式中R3、R4はそれぞれ独立に有機基を示し、R5〜R8はそれぞれ独立にアルキル基、フェニル基または置換フェニル基を示し、nは1〜50の整数を示す。
【化8】
Figure 0004085650
【0010】
また、前記芳香族環を3個以上有するジアミン(a)及びシロキサンジアミン(b)が、モル比でa/b=99.9/0.1〜0/100であり、
(a+b)の合計モルと無水トリメリット酸とのモル比が(a+b)/無水トリメリット酸=1.0/2.0〜1.0/2.2であり、
(a+b)の合計モルと芳香族ジイソシアネートとのモル比が(a+b)/芳香族ジイソシアネート=1.0/1.0〜1.0/1.5であるのが好ましい。
【0011】
また、熱硬化性樹脂が、2個以上のグリシジル基を持つエポキシ樹脂を含有すること、接着性金属が、第四周期の遷移金属元素もしくは該遷移金属元素を含む合金であること、導電性付与金属が、Cu、Pd、Pt、Auから選ばれる一つ以上であることがそれぞれ好ましい。
さらに、接着性金属層の厚みが10〜1000nm、導電性付与金属層の厚みが100〜3000nmであり、樹脂層と接着性金属層との剥離強度が0.6kN/m以上であるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の配線板およびその製造方法における層間絶縁層に使用される樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂と、熱硬化性樹脂とを含む。まず、ポリアミドイミド樹脂について説明する。
本発明におけるポリアミドイミド樹脂は、シロキサン構造を有することが必要で、特にジイミドジカルボン酸と芳香族ジイソシアネートとを反応させて得られたポリアミドイミド樹脂であるのが好ましい。さらに、該ジイミドジカルボン酸は、シロキサンジアミンと無水トリメリット酸と、必要に応じて芳香族環を3個以上有するジアミンとを反応させて得られたジイミドジカルボン酸であるのが好ましい。
このようなポリアミドイミド樹脂の製造方法の一例を次に示す。芳香族環を3個以上有するジアミン、シロキサンジアミンおよび無水トリメリット酸(TMA)を、非プロトン性極性溶媒の存在下に、50〜90℃で反応させ、その後、水と共沸可能な芳香族炭化水素を非プロトン性極性溶媒の0.1〜0.5重量比で投入し、120〜180℃で反応を行ってジイミドジカルボン酸を含む溶液を得る。好ましくは、ここで約190℃まで温度を上げて前記芳香族炭化水素を溶液から除去する。次いで、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートを投入し、190℃程度で約2時間反応させてシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂の極性溶媒溶液を得ることができる。
【0013】
非プロトン性極性溶媒として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、4−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン等が例示できる。イミド化反応には、高温を要するため沸点の高い、N−メチル−2−メチルピロリドン(以下NMPと略す。)が、特に好ましい。非プロトン性極性溶媒は、特に制限されないが、芳香族環を3個以上有するジアミンとシロキサンジアミン及び無水トリメリット酸を合わせた重量の割合が、多いと無水トリメリット酸の溶解性が低下し充分な反応が行えなくなることや、低いと工業的製造法として不利であることから、10重量%〜70重量%の範囲になることが好ましい。
【0014】
水と共沸可能な芳香族炭化水素として、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が例示でき、特に沸点が比較的低く、作業環境上有害性の少ないトルエンが好ましく、使用量は、非プロトン性極性溶媒の0.1〜0.5重量比(10〜50重量%)の範囲が好ましい。
【0015】
ここで、前記ジイミドジカルボン酸は、前記一般式(1)式で示されるジイミドジカルボン酸及び一般式(2)式で示されるジイミドジカルボン酸を含む混合物であり、前記芳香族ジイソシアネートは、一般式(3)式で示される芳香族ジイソシアネートであるのが好ましい。
【0016】
芳香族環を3個以上有するジアミン(以下、(a)という。)とシロキサンジアミン(以下、(b)という。)の混合比率は、モル比で(a)/(b)=99.9/0.1〜0/100であると好ましく、(a)/(b)=95/5〜30/70であると更に好ましく、(a)/(b)=90/10〜40/60であるとより一層好ましい。(b)の混合比率が多くなるとTgが低下する傾向にあり、少なくなるとプリプレグを作製する場合に樹脂中に残存するワニス溶剤量が多くなる。
{(a)+(b)}/無水トリメリット酸(c)のモル比を、1.0/2.0〜1.0/2.2で反応させるのが好ましく、この範囲を外れて無水トリメリット酸が少なくなるとシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂の可撓性が低下してくるため好ましくなく、無水トリメリット酸が多くても同様となるので好ましくない。
{(a)+(b)}/芳香族ジイソシアネート(d)のモル比を、1.0/1.0〜1.0/1.5で反応させるのが好ましく、この範囲を外れると、樹脂の強度が低下したり、ワニス粘度の経時変化やゲル生成等、いわゆるライフが短くなるため好ましくない。
【0017】
本発明で用いる(a):芳香族環を3個以上有するジアミンとしては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPと略す。)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が例示でき、単独でまたはこれらを組み合わせて用いることができる。BAPPは、ポリアミドイミド樹脂の特性のバランス及びコストの点から他のジアミンより特に好ましい。芳香族環数の好ましい範囲は3〜6個程度である。
【0018】
本発明で用いる(b)シロキサンジアミンとしては、例えば、一般式(4)式で表されるものが挙げられる。
【化9】
Figure 0004085650
式中、R10、R11は独立な2価の有機基を示し、R12〜R15は独立にアルキル基、フェニル基または置換フェニル基を示し、nは1〜15の整数を示す。
これらの中で使用することができる市販品として、ジメチルシロキサン系両末端アミンであるアミノ変性シリコーンオイル X−22−161AS(アミン当量450)、X−22−161A(アミン当量840)、X−22−161B(アミン当量1500)(以上、信越化学工業株式会社製商品名)、BY16−853(アミン当量650)、BY16−853B(アミン当量2200)(以上、東レダウコーニングシリコーン株式会社製商品名)等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いる(d):芳香族ジイソシアネートとして、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す。)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等が例示できる。特にMDIは、分子構造においてイソシアネート基が離れており、ポリアミドイミドの分子中におけるアミド基やイミド基の濃度が相対的に低くなり、溶解性が向上するため好ましい。これらは単独でまたは組み合わせて用いることができる。
本発明では、ジイミドジカルボン酸と芳香族ジイソシアネート(d)とを、モル比{(a)+(b)}/(d)が1.0/1.0〜1.0/1.5で反応させることが好ましく、芳香族ジイソシアネートのモル比が1.0未満であると、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂の可撓性が低下してくるため好ましくなく、芳香族ジイソシアネートのモル比が1.5を超えても同様となるので好ましくない。
【0020】
次に、樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂について説明する。
本発明では、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂100重量部に対し熱硬化性樹脂を1〜100重量部用いる必要がある。1重量部未満では、耐溶剤性に劣り、また100重量部を超えると未反応の熱硬化性樹脂によりTgが低下し耐熱性が不十分となったり、接着性が低下したり、可撓性が低下するため好ましくない。そのためシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂100重量部に対し熱硬化性樹脂3〜90重量部が好ましく、更に5〜80重量部が特に好ましい。
本発明で用いる熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン−ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂中のアミド基と反応し得る有機基を有する熱硬化性樹脂が好ましく、グリシジル基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0021】
本発明では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いることが、180℃以下の温度で硬化が可能でシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のアミド基に対して反応して熱的、機械的、電気的特性を向上させるため好ましく、熱硬化性樹脂として、2個以上のグリシジル基を持つエポキシ樹脂を用いることが好ましい。またグリシジル基は多いほどよく、3個以上であればさらに好ましい。グリシジル基の数により、配合量が異なり、グリシジル基が多いほど配合量が少なくてもよい。エポキシ樹脂と同時に、エポキシ樹脂の硬化剤と硬化促進剤との少なくとも一方を使用するのが好ましい。
【0022】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ノボラック型フェノール樹脂、オルトクレゾールノボラック型フェノール樹脂等の多価フェノール又は1,4−ブタンジオール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル、アミン、アミド又は複素環式窒素塩基を有する化合物のN−グリシジル誘導体、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0023】
エポキシ樹脂の硬化剤、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と反応するもの、または、硬化を促進させるものであれば制限なく、例えば、アミン類、イミダゾール類、多官能フェノール類、酸無水物類等が使用できる。アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用でき、多官能フェノール類としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA及びこれらのハロゲン化合物、さらにホルムアルデヒドとの縮合物であるノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが使用でき、酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用できる。硬化促進剤としては、イミダゾール類としてアルキル基置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール等が使用できる。
これらの硬化剤または硬化促進剤の量は、アミン類の場合は、アミンの活性水素の当量と、エポキシ樹脂のエポキシ当量がほぼ等しくなる量が好ましい。硬化促進剤であるイミダゾールの場合は、単純に活性水素との当量比とならず、経験的にエポキシ樹脂100重量部に対して、0.001〜10重量部使用される。多官能フェノール類や酸無水物類の場合、エポキシ樹脂1当量に対して、フェノール性水酸基やカルボキシル基0.6〜1.2当量が好ましい。これらの硬化剤または硬化促進剤の量は、少なければ未硬化のエポキシ樹脂が残り、Tg(ガラス転移温度)が低くなり、多すぎると、未反応の硬化剤及び硬化促進剤が残り、絶縁性が低下する。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のアミド基とも反応することができるので考慮に入れることが好ましい。
【0024】
本発明における樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性樹脂、必要に応じて、硬化剤や硬化促進剤を配合して得られる他、通常の樹脂組成物に使用される各種添加剤を適宜配合できる。これらを溶剤中で混合、溶解、分散してワニスの形態とするのが作業性の点で好ましい。上記のように反応させて得られたポリアミドイミド樹脂の溶液を、樹脂組成物配合時に引き続き用いても良い。
【0025】
本発明で使用する樹脂組成物は、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂100重量部に対して熱硬化性樹脂1〜100重量部とを含む樹脂組成物であり、ワニス溶剤の揮発速度が速く、熱硬化性樹脂の硬化反応を促進しない150℃以下の低温でも残存溶剤分を5重量%以下にすることができる。これにより、配線板において、金属との密着性の良好な耐熱性絶縁層に使用できる。これは耐熱性の高いポリアミドイミド樹脂にシロキサン構造を導入しているためで、残存溶剤分を少なくできるため溶剤揮発によるフクレの発生を防止し、はんだ耐熱性に優れたものとなる。
【0026】
本発明の配線板は、回路基板上に、順次、上記の樹脂組成物を含む樹脂層、接着性金属層、導電性付与金属層を有する。この配線板は、次のような製造方法で製造することができる。
本発明の配線板の製造方法は、
シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂と、熱硬化性樹脂とを、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し熱硬化性樹脂1〜100重量部含む樹脂組成物を含む層を回路基板上に積層する工程と、
樹脂組成物を加熱硬化する工程と、
層間接続用穴明けをする工程と、
硬化した樹脂組成物(以下、樹脂硬化物という。)表面に、スパッタにより接着性金属層および導電性付与金属層を順次形成する工程とを含むものである。
【0027】
回路基板は、例えば、第一の回路層(内層配線)が表面に形成された内層基板であり、内層基板としてガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたFR−4基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含浸させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板等を用いることができる。上記樹脂組成物を含む層を回路基板上に積層する。具体的には、樹脂組成物のワニスを回路基板上に塗布し、乾燥させること、予め前記ワニスを離型性の基材上に塗布し乾燥して形成したフィルムを、回路基板上に加熱圧着すること等が挙げられる。これにより樹脂組成物を含む層を作製することができる。
樹脂組成物のワニスは、上記樹脂組成物を有機溶媒中で混合、溶解、分散して得ることができる。このようなワニスを得る有機溶媒としては、溶解性が得られるものであれば制限するものでなく、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0028】
ワニスを回路基板上に塗布する場合はバーコート、スピンコート、スクリーン印刷など一般の塗布方法が使用できる。また、ワニスを予め離型性の基材に塗布する場合はコンマコータ、バーコータ、キスコータ、ロールコータなどが利用でき、樹脂組成物のフィルムの厚みによって適宜使用される。何れの場合も乾燥条件等は特に制限するものではないが,ワニスに使用した溶剤が80重量%以上揮発していることが好ましい。このため,乾燥方法や乾燥条件等も制限はなく、例えば乾燥時の温度は80℃〜180℃、時間はワニスのゲル化時間との兼ね合いで特に制限はない。
【0029】
次に、樹脂組成物を加熱硬化して樹脂硬化物を得る。ワニスを回路基板上に塗布して積層した場合は、次に加熱してワニスの樹脂組成物を硬化させる。
一方、ワニスを離型性の基材に塗布してフィルムを得た場合、このフィルムを回路基板上に、プレス、ラミネータなどの加熱加圧により積層する。このとき一時的にフィルムを加圧積層し、後に加熱のみを別途行って積層工程と硬化工程を別にしても良いし、積層加圧と同時に加熱硬化を進めて、積層工程と硬化工程を同時に行うこともできる。プレスにより積層する場合には回路基板の回路層による凹凸が樹脂組成物に由来する樹脂硬化物に埋め込まれていることが好ましく、通常0.5〜20MPa、より好ましくは1〜8MPaの範囲の圧力で、減圧下で行うことが好ましい。
【0030】
上記塗布積層、フィルム積層のいずれにおいても硬化温度は通常150〜280℃、より好ましくは180℃〜250℃の範囲の温度で行うのが好ましい。これによりスパッタ環境に耐え、接着性金属と良好な接着性を持つ絶縁層とすることができる。
【0031】
上記の硬化工程で得られた樹脂硬化物表面に、スパッタにより接着性金属層を形成し、次いでスパッタにより導電性付与金属層を形成する。
使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。
接着性金属層及び導電性付与金属層をスパッタで形成することにより、これらの金属層の厚みを薄くできる。例えばめっき銅は1〜2μm厚であるのに対してスパッタ銅は1μm以下、場合によっては0.1μm以下の厚みとすることができる。これにより、例えば、金属層を給電層としてパターン形成を行うセミアディティブ工法では最後のクイックエッチング工程(不要な給電層を除去する工程)で銅のエッチングが短時間になり、回路部分のサイドエッチングが抑えられ、回路の細線化に有利となる。また、回路断面の形状も矩形に近くなる。
【0032】
スパッタのターゲットに用いる金属の内、密着を確保するための接着性金属としては、第四周期の遷移金属元素もしくはこれらの遷移金属元素を含む合金が好ましい。中でもTi、Cr、Niが好ましくニクロムなどの合金も好ましい。これらの金属を樹脂硬化物上に好ましくは10〜1000nm、より好ましくは50〜500nmをスパッタにより積層する。接着性を高めるために、接着性金属スパッタ時に樹脂および回路基板を100℃〜300℃、好ましくは150℃〜250℃に加熱することが好ましい。
また導電性付与金属としてはCu、Pd、Pt、Au等が挙げられ、これらから選ばれる一つ以上であるのが好ましい。価格及び回路形成プロセスでの加工性の点からCuが好ましい。これらの金属を接着性金属層上に好ましくは100〜3000nm、より好ましくは300〜1000nmをスパッタにより積層する。接着性を高めるために、樹脂硬化物及び接着性金属を積層した基板は導電性付与金属スパッタ時に100℃〜300℃、より好ましくは150℃〜250℃に加熱するのが好ましい。
【0033】
こうして得られた薄膜導体層を有する回路基板は、薄膜導体層を給電層として第二の回路層を形成することができる。
回路の形成方法としてはいわゆるサブトラクティブ法やセミアディティブ法が利用できるがこれらに限定されるものではない。
回路加工をサブトラクティブ法により形成する場合には、給電層上に電気銅めっきなどにより20μm程度の厚付けめっきを行った後、めっき導体上に通常のフォトリソ工程によりレジストパターンを形成し、不要部分の銅をエッチング除去して回路を形成する。
また回路加工をセミアディティブ法により形成する場合には、給電層上に通常のフォトリソ工程によりレジストパターンを形成した後、露出した給電層上にパターン電気銅めっきを行った後、レジストを除去し、給電層をエッチングすることで回路が形成される。
【0034】
層間接続用の穴すなわちバイアホールをあける。この穴あけ工程は、樹脂組成物の硬化工程後でスパッタ工程の前に行っても良いし、該スパッタ工程の後で行っても良い。穴をあけるには、一般的なNCドリルマシン及びレーザ穴あけ装置を使用することができ、レーザの照射によりあけるのが好ましい。レーザ穴あけ機で用いられるレーザの種類はCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができるが、CO2レーザが生産性及び穴品質の点で好ましい。レーザを用いて第一の回路層と第二の回路層を接続する孔あけを行うには、予め薄膜導体層のバイアホールとなる箇所の金属をエッチング除去しておく方法と、直接薄膜導体層の上からレーザを照射する方法がある。穴あけ条件は、薄膜導体層の厚さと樹脂硬化物層の厚さにより調整する。ショット(パルス)数は、1ショット未満では穴があけられず、20ショットを超えると、1ショットのパルスの波形デューティー比が1/1000近くであっても穴径が大きくなり実用的でないことがあるが、接続穴が垂直から、すり鉢状のテーパを有するような数を実験的に求めればよい。
通常レーザにより接続穴を加工した場合には接続穴底部の樹脂残滓を取り除く目的でデスミア処理と呼ばれる工程を施す。デスミア処理には過マンガン酸系アルカリ水溶液などを使用する湿式プロセスやアルゴンプラズマや酸素プラズマを使用する乾式プロセスが用いられる。これらの処理により樹脂残差滓を取り除く際に樹脂の最表面が荒らされ表面平滑性が低くなる。この表面平滑性の低下は粗面への積層金属のアンカー効果として働くため接着性には有利に働く。一方、樹脂残滓の発生しにくい樹脂ではデスミア処理は必ずしも必要ではないが、平滑面に対しては金属との接着性が出ないため一般には粗化工程として同様の処理が施される。しかしこの処理を行うのは平滑な回路導体を得る上で不利な場合がある。
【0035】
本発明における樹脂組成物はレーザ加工時の樹脂残滓が発生しにくく必ずしもデスミア処理を必要としない。デスミア処理を行わず薄膜導体層を形成した場合には、微細回路形成性、平滑回路形成性を生かす意味でセミアディティブ法による回路形成が好ましい。表面平滑性が高く、厚みが薄い薄膜導体を給電層として用いることでパターン電気銅めっき後の不要給電層部分のエッチング除去が高速に精度良く行われるため微細な回路形成が可能である。
【0036】
以上により、第一の回路層の上に、絶縁層を介して、表面平滑性が高く微細な第二の回路層を形成した配線板を得ることができる。必要な配線密度が得られない場合、さらに、上記工程を繰り返して、多層化することもできる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ポリアミドイミド樹脂合成例1)
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1リットルのセパラブルフラスコを用意した。これに、芳香族環を3個以上有するジアミンとしてBAPP(2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)57.5g(0.07mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイル X−22−161AS(信越化学工業株式会社製商品名、アミン当量421)50.5g(0.03mol)、TMA(無水トリメリット酸)80.7g(0.21mol)、非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという。)460gを仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン 100mlを投入してから温度を上げ約160℃で2時間環流させた。水分定量受器に水が約3.6ml以上たまっていること、水の留出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている留出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI(4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート)60.1g(0.12mol)を投入し、190℃で2時間反応させた。反応終了後、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。得られた樹脂の分子量をGPCにより測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量80000であった。
【0038】
(ポリアミドイミド樹脂合成例2)
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、芳香族環を3個以上有するジアミンとしてBAPP 41.1g(0.05mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイル X−22−161AS(信越化学工業株式会社製商品名、アミン当量421)84.2g(0.05mol)、TMA(無水トリメリット酸)80.7g(0.21mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMP 494gを仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン 100mlを投入してから温度を上げ約160℃で2時間環流させた。水分定量受器に水が約3.6ml以上たまっていること、水の留出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている留出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI 60.1g(0.12mol)を投入し、190℃で2時間反応させた。反応終了後、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。得られた樹脂の分子量をGPCにより測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量72000であった。
【0039】
(ポリアミドイミド樹脂合成例3)
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、芳香族環を3個以上有するジアミンとしてBAPP 65.7g(0.16mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイル X−22−161A(信越化学工業株式会社製商品名、アミン当量800)64.0g(0.04mol)、TMA(無水トリメリット酸)80.7g(0.42mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMP 630gを仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン 150mlを投入してから温度を上げ約160℃で2時間環流させた。水分定量受器に水が約7.2ml以上たまっていること、水の留出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている留出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI 60.1g(0.24mol)を投入し、190℃で2時間反応させた。反応終了後、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。得られた樹脂の分子量をGPCにより測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量85000であった。
【0040】
(ポリアミドイミド樹脂合成例4)
環流冷却器を連結したコック付き25mlの水分定量受器、温度計、撹拌器を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、芳香族環を3個以上有するジアミンとしてBAPP 55.4g(0.135mol)、シロキサンジアミンとして反応性シリコーンオイル X−22−161B(信越化学工業株式会社製商品名、アミン当量1560)46.8g(0.015mol)、TMA(無水トリメリット酸)60.5g(0.315mol)、非プロトン性極性溶媒としてNMP 485gを仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン 100mlを投入してから温度を上げ約160℃で2時間環流させた。水分定量受器に水が約5.4ml以上たまっていること、水の留出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている留出液を除去しながら、約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去した。その後、溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてMDI 45.1g(0.18mol)を投入し、190℃で2時間反応させた。反応終了後、シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液を得た。得られた樹脂の分子量をGPCにより測定した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量75000であった。
【0041】
(実施例1)
合成例1から合成例4のシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液(樹脂固形分30重量%)と、エポキシ樹脂としてZX−1548−2(東都化成株式会社製商品名、P変性ノボラック型エポキシ樹脂)のジメチルアセトアミド溶液(樹脂固形分50重量%)と、硬化促進剤 2−エチル−4−メチルイミダゾールとを表1に従い配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した後、脱泡のため24時間、室温で静置して樹脂組成物ワニス配合例1〜8を得た。
【0042】
(実施例2)
合成例1〜4のシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液(樹脂固形分30重量%)とエポキシ樹脂としてYDCN−500(東都化成株式会社製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)のジメチアセトアミド溶液(樹脂固形分50重量%)、2−エチル−4−メチルイミダゾールを表2に従い配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した後、脱泡のため24時間、室温で静置して樹脂組成物ワニス配合例9〜16を得た。
【0043】
(比較例1)
合成例1〜4のシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液(樹脂固形分30重量%)とエポキシ樹脂としてZX−1548−2(東都化成株式会社製商品名、P変性ノボラック型エポキシ樹脂)のジメチアセトアミド溶液(樹脂固形分50重量%)、2−エチル−4−メチルイミダゾールを表3に従い配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した後、脱泡のため24時間、室温で静置して比較ワニス配合例1〜4を得た。
【0044】
(比較例2)
合成例1〜4のシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂のNMP溶液(樹脂固形分30重量%)とエポキシ樹脂としてYDCN−500(東都化成株式会社製商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)のジメチアセトアミド溶液(樹脂固形分50重量%)、2−エチル−4−メチルイミダゾールを表4に従い配合し、樹脂が均一になるまで約1時間撹拌した後、脱泡のため24時間、室温で静置して比較ワニス配合例5〜8を得た。
【0045】
【表1】
Figure 0004085650
【0046】
【表2】
Figure 0004085650
【0047】
【表3】
Figure 0004085650
【0048】
【表4】
Figure 0004085650
【0049】
(比較例3)
高分子量エポキシ樹脂 EPPN502(日本化薬株式会社製品名)140gとフェノール樹脂 HP850N(日立化成工業株式会社製品名)60g、2−エチル−4−メチルイミダゾール 1.4g、メチルエチルケトン 200gを配合し樹脂が均一になるまで約1時間攪拌した後、脱泡のため24時間、室温で静置して比較ワニス配合例9を得た。
【0050】
(導体接着性価用基板の作製法)
MCL−I−671(日立化成工業株式会社製品名、0.4mm厚)の銅箔をエッチング除去したポリイミド樹脂板の上に上記で作製したワニス配合例1〜8、比較ワニス配合例1〜4及び9を乾燥後の厚さが約60μmになるようにそれぞれ塗布し、140℃で25分加熱、乾燥した。その後200℃で60分硬化して薄膜導体形成用樹脂積層板(A)とした。
別に離型PETフィルム(帝人株式会社製品名S−35)に乾燥後の膜厚が50μmとなるように上記で作製したワニス配合例9〜16及び比較ワニス配合例5〜8をそれぞれ塗布乾燥し、薄膜導体形成用樹脂フィルムとした。このフィルムを同様のポリイミド樹脂板に真空プレスにより230℃/5MPa/60分の条件で積層した後、離型PETフィルムを除去して薄膜導体形成用樹脂積層板(B)とした。
これらの積層板(A)及び(B)のうちそれぞれ半数の表面をアルゴンプラズマで処理した。
次に、DCマグネトロンスパッタによりCrを100nmスパッタし、続けてCuを500nmスパッタして積層板上に薄膜導体層を形成した。この薄膜導体を給電層として電気銅めっき(15アンペア/平方dm)を行い、厚さ20μmのめっき銅を作製して導体接着性評価用基板を得た。この基板を用いて以下のように接着強度、はんだ耐熱性及び熱サイクル試験の評価を行った。
【0051】
(接着強度の評価方法)
導体接着性評価用基板のめっき銅を幅10mmの帯状にエッチングしてクロム/樹脂界面で剥離させた。引張り試験器テンシロン(オリエンテック(株)製型番UTM−4−100)により引張り速度50mm/分で剥離強度を測定した。
【0052】
(はんだ耐熱性の評価)
260℃、288℃のはんだ浴に、導体接着性評価用基板をめっき銅面がはんだ面となるように浮かべてはんだ耐熱性を測定した。目視で観察し、ふくれやはがれが発生するまでの時間を測定した。3分間以上発生のないものは異常なしと評価した。
【0053】
(熱サイクル試験)
IRリフロー条件での熱サイクル試験として、IR加熱炉を用いて導体接着性評価用基板を室温から260℃まで5分かけて昇温した後、室温まで徐冷することを繰り返し、これを20回まで繰り返して異常の有無を目視により観察した。以上の測定結果をワニス配合例1〜16については表5に、比較ワニス配合例1〜9については表6に示す。
【0054】
【表5】
Figure 0004085650
【0055】
【表6】
Figure 0004085650
【0056】
表5、6に示すように、接着強度は、実施例のワニスではアルゴンプラズマによる前処理の有無によらず0.6〜0.8kN/mが得られたが、比較例のワニスではアルゴンプラズマ処理有りで0.2〜0.4kN/mであり、前処理を施していない試料は0.1〜0.2kN/mと低い接着強度であった。また通常のエポキシ樹脂硬化系である比較例9ではプラズマ処理を施しても接着強度は0.1kN/m以下と低かった。
はんだ耐熱性は、実施例のワニスで作製した基板には異常はなかったが、比較例のワニスで作製した基板はいずれも1分以内でめっき銅にフクレが発生した。熱サイクル試験では、いずれの評価用基板も20回異常は見られなかったのに対し、比較例のワニスで作製した基板は1回目または2回目にふくれがみられた。
【0057】
(信頼性評価用基板の作製および評価)
両面銅張り積層板 MCL−I−671(日立化成工業株式会社製品名、0.4mm厚)の片面に144穴のデイジーチェーンパターンの第一層回路を通常のフォトリソ工程で作製した。この回路面上にワニス配合例4を乾燥後の厚みが30μmになるように塗布し、乾燥機中で130℃20分乾燥しさらに210℃で90分硬化を行った。CO2レーザ加工機(三菱電機(株)製品名ML605GTX)で所定の場所に層間接続用の穴として50μmφ、80μmφ、100μmφの穴を開けた。加工条件は50μmφ(0.1mj×3ショット)、80μm(0.15mj×4ショット)、100μm(0.3mj×3ショット)、周波数はすべて1500Hzで行った。
【0058】
得られた絶縁層積層品の半数はArプラズマによるデスミア処理を行った。この樹脂上にDCマグネトロンスパッタを用いて、Cr100nm、その上にCu600nm製膜した。
ポジ型レジスト(東京応化工業株式会社製品名PMER、P−LA900PM)をスピンコータにより1000rpm、25秒で塗布し、110℃で6分乾燥して厚み20μmのレジストを形成した。デイジーチェーンの第二層パターンを1800mj露光してから現像し、パターニングを行った。硫酸銅電気めっきにより露出したスパッタ金属上にCuを18μmめっきし、その後レジストを剥離した。
硫酸/過酸化水素水溶液により銅をエッチングし、スパッタ金属給電層のCr面が見えた段階で水洗した。次にフェリシアン化カリウムの水溶液でCrを選択エッチングし、144穴のデイジーチェーンを形成し評価基板とした。
この144穴のデイジーチェーンの抵抗を測定した結果、デスミア処理有りの部分で0.6Ω、デスミア処理無しの部分で0.7Ωであり問題のないレベルであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物によれば、耐熱性に優れ、表面平滑性が高く、導体形成用金属との接着力が高い絶縁層を形成できる。また、この樹脂組成物を層間絶縁層に使用して得られる配線板は、導体の平滑化、配線の微細化に対応し、高周波特性、耐熱性に優れる。

Claims (8)

  1. シロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂と熱硬化性樹脂とを、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し熱硬化性樹脂1〜100重量部で含む樹脂組成物を含む層を回路基板上に積層する工程と、
    樹脂組成物を加熱硬化する工程と、
    層間接続用の穴明けをする工程と、
    前記穴明けをする工程に続いて、硬化した樹脂組成物表面にスパッタにより接着性金属層および導電性付与金属層を順次形成する工程と、
    得られた接着性金属層および導電性付与金属層とを給電層として、回路層を形成する工程と
    を含み、
    粗化処理をすることなく給電層を形成できることを特徴とする配線板の製造方法。
  2. 前記ポリアミドイミド樹脂が、
    芳香族環を3個以上有するジアミンと、シロキサンジアミンと、無水トリメリット酸とを反応させて得られた、一般式(1)式で示されるジイミドジカルボン酸及び一般式(2)式で示されるジイミドジカルボン酸を含む混合物と、
    一般式(3)式で示される芳香族ジイソシアネートと
    を反応させて得られるポリアミドイミド樹脂である請求項1記載の配線板の製造方法。
    Figure 0004085650
    Figure 0004085650
    ここで、R2
    Figure 0004085650
    であり、式中R3、R4はそれぞれ独立に有機基を示し、R5〜R8はそれぞれ独立にアルキル基、フェニル基または置換フェニル基を示し、nは1〜50の整数を示す。
    Figure 0004085650
  3. 前記芳香族環を3個以上有するジアミン(a)及びシロキサンジアミン(b)が、モル比でa/b=99.9/0.1〜0/100であり、(a+b)の合計モルと無水トリメリット酸とのモル比が(a+b)/無水トリメリット酸=1.0/2.0〜1.0/2.2であり、
    (a+b)の合計モルと芳香族ジイソシアネートとのモル比が(a+b)/芳香族ジイソシアネート=1.0/1.0〜1.0/1.5である請求項2記載の配線板の製造方法。
  4. 熱硬化性樹脂が、2個以上のグリシジル基を持つエポキシ樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか記載の配線板の製造方法。
  5. 接着性金属が第四周期の遷移金属元素もしくは該遷移金属元素を含む合金である請求項1〜4のいずれか記載の配線板の製造方法。
  6. 導電性付与金属がCu、Pd、Pt、Auから選ばれる一つ以上である請求1〜5のいずれか記載の配線板の製造方法。
  7. 接着性金属層の厚みが10〜1000nm、導電性付与金属層の厚みが100〜3000nmであり、樹脂層と接着性金属層との剥離強度が0.6kN/m以上である請求項1〜6のいずれか記載の配線板の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法で製造された配線板であって、回路基板上にシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層、接着性金属層および導電性付与金属層を有する配線板。
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