JP4083832B2 - イメージを表す情報を処理するシステムにおけるmpeg互換復号器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイメージ(画像、映像など)を表すディジタル信号を処理するシステムにおけるMPEG互換のイメージ信号復号器(デコーダともいう)に関する。
【0002】
なお、本明細書の記述は本件出願の優先権の基礎たる米国特許出願第08/579,192号(1995年12月27日出願)の明細書の記載に基づくものであって、当該米国特許出願の番号を参照することによって当該米国特許出願の明細書の記載内容が本明細書の一部分を構成するものとする。
【0003】
【従来の技術】
ディジタル信号処理技術の急速な進歩に伴って、例えば、直接放送衛星(direct broadcast satellite)および高精細(高品位)テレビジョン(high definition television - HDTV)を含む、種々の分野におけるディジタル・イメージ信号処理が進歩を遂げている。MPEG(Motion Picture Experts Group:動画専門家グループ)信号処理標準(ISO/IEC 13818-2、1994年5月10日) はイメージ信号処理に関して開発されたものである。このイメージ処理標準は広く認められ、高精細(高品位)テレビジョン(HDTV) を含む、衛星、ケーブルおよび地上放送システムで使用する場合に特に魅力的であることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
MPEGビデオ信号復号器では、MPEG符号化ディジタル・データストリームを復号化するためには、このデータストリームが公知のようにI、PおよびBイメージ・フレームを表しているので、2以上のイメージ・フレームのメモリが必要になるのが代表的である。MPEGデータストリームを復号化するために3フレームのメモリが必要であり、参照IまたはPフレーム・データをストアするために2フレームのメモリが必要であり、Bフレーム・データをストアするために1フレームのメモリが必要であるのが一般である。例えば、直接放送衛星受信装置側の復号器での従来のMPEG復号器は16Mビットのランダムアクセスメモリ(RAM)を搭載している場合があり、米国のGrand Allianceで提案されているようなHDTVシステムでのMPEG復号器では、約80MビットのRAMを必要としている。現時点では、これだけの容量のRAMのコストは大になっている。特に、ビデオ・システムやテレビジョン・システムなどのコンシューマ製品において、必要メモリ量を制限する必要性は、かかる製品のコストを妥当なレベルに抑える上で重要になっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の原理によれば、ディジタル・イメージ処理システムの必要メモリ容量を効率的に管理することは、特に、コンシューマ製品で普及化する可能性をもっているMPEG互換システムの場合には望ましいことが認められている。
【0006】
本発明の原理を採用するイメージ信号復号器では、以前に圧縮解除(decompress)されていたイメージ・データは圧縮されてから、復号化プロセスで使用されるメモリに書かれるようになっている。開示されているMPEG互換の復号器の実施例では、データはイメージ・フレーム・メモリに書かれる前に圧縮され、そこにストアされたデータは表示されるとき、あるいは動き補償(motion compensation) 処理などのMPEG復号化機能(function:関数ともいう)で必要になったとき圧縮解除されるようになっている。
【0007】
本発明の特徴によれば、圧縮は2つの異なる圧縮経路(compression path)の一方からの圧縮データを使用してブロック単位で行われる圧縮(block-based compression) である。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、テレビジョン受信装置または衛星受信装置に搭載されているようなビデオ信号プロセッサの一部を示す図である。ビデオ・プロセッサはブロック10,12,14,16,18,20および22で構成された、従来のMPEG復号器を装備している。MPEG符号器(encoder:エンコーダともいう)と復号器は、例えば、Ang 他著の「ビデオ圧縮は大きな利得をもたらす(Video Compression Makes Big Gains) 」(IEEE Spectrum、1991年10月) に説明されている。本発明の原理によれば、MPEG復号器はさらにブロック圧縮ユニット(block compressor unit) 30を含んでおり、データは圧縮されてからフレーム・メメリに書かれるようにしている。
【0009】
図1のシステムはMPEG符号化された圧縮データの制御されたデータストリームを、その前に置かれた入力プロセッサ、例えば、トランスポート復号器(transport decoder) から受信する。なお、この入力プロセッサは入力信号を復調したあとでデータ・パケットを分離している。受信データは8×8ピクセル(画素)を表すデータ・ブロックの形態になっている。このデータは符号化されたイントラフレーム(intraframe:フレーム内)情報と、隣接ピクチャ・フレーム間のイメージ差分を表しているインタフレーム(interframe:フレーム間)予測動き符号化残余イメージ情報(predictive motion coded residual image information)の両方を表している。インタフレーム動き符号化は、処理しようとしている現ブロックと先行の再構築イメージ中のブロック間のオフセットを表している動きベクトル(motion vector) を生成することにより行われる。現ブロックと先行ブロック間の最良一致(best match)を表している動きベクトルは符号化され、送信される。また、各動き補償8×8ブロックと先行再構築ブロックとの差分(残余)はDCT変換され、量子化され、可変長符号化(variable lenght coded) されてから送信される。この動き補償符号化プロセスは前記の Ang他著の論文に詳しく説明されている。
【0010】
入力の圧縮ピクセル・データ・ブロックはユニット10のバッファに置かれてから、ユニット12によって可変長復号化(variable length decoded) される。バッファ10は、メインレベルの、メインプロフィール(main level, main profile)MPEGデータストリームの場合には、記憶容量が1.75Mビットになっている。ユニット12で復号化された圧縮データは逆量子化ユニット(inverse quantization unit) 14と逆離散コサイン変換(inverse discrete cosine transformation - DCT)ユニット16によって圧縮解除されてから、加算器(adder) 18の一方の入力に印加される。逆量子化器14から得られたステップ・サイズ(step size)はバッファ10からの信号によって制御され、円滑なデータフローを保証している。復号化された動きベクトルは、以下で説明するように、復号器12から動き補償ユニット(motion compensation unit)22へ渡される。復号器12はインタフレーム/イントラフレーム・モード選択制御信号も出力するが、これは公知であるので、図面を簡略化するために図示されていない。ユニット 12、14および16によって行われるオペレーションは、例えば、送信装置側符号器で行われる対応するオペレーションの逆である。図1のMPEG復号器は、以下で簡単に説明されている公知のMPEG処理手法を用いて受信イメージを再構築する。
【0011】
再構築されたピクセル・ブロックは、ユニット16からの残余イメージ・データ(residual image data) を、フレーム・メモリ20の内容に基づいて動き補償ユニット22の出力から得られた予測イメージ・データ(predicted image data)と加算することによって加算器18の出力から得られる。ピクセル・ブロックのフレーム全体が処理されると、その結果の再構築イメージはフレーム・メモリ20にストアされる。インタフレーム・モードでは、復号器12から得られた動きベクトルは、ユニット22からの予測ブロックのロケーションを得るために使用される。
【0012】
加算器18、メモリ20および動き補償ユニット22を使用して行われるイメージ再構築プロセスは、本発明の原理によるブロック単位の圧縮器(compressor)30を使用すると、必要メモリ量が大幅に削減されるという利点がある。具体的には、フレーム・メモリ20用に必要なメモリ量は、ユニット30によって行われる圧縮を関数として、あらかじめ決められた量だけ、例えば、50%(またはそれ以上)削減される。圧縮器30の詳細は図3を参照して以下で説明する。
【0013】
図2は、メモリ・デバイス20の必要メモリ量がどのように削減されているかを絵で表して示したものである。図2において、左側のメモリ・マップはフルサイズ・メモリ(full size memory)内のピクセル・ブロックのマップを示し、右側のメモリ・マップは50%縮小メモリ(50% smaller memory)がどのように使用されて、ユニット30で圧縮されたブロックをストアしているかを示している。図3に示す圧縮ネットワーク(回路網)の以下の説明で明らかにするように、各ブロック(例えば、ブロックC)は、フルサイズ・メモリ用に通常必要になるスペースの50%またはそれ以下内に収まるように保証されている。つまり、ユニット30から得られる圧縮は50%またはそれ以下になっている。この例では、圧縮後に残っている未使用メモリ・スペースは、いずれかのブロックのデータの開始位置が既知ロケーション、つまり、開始アドレス(starting address)となるように未使用のままになっている。
【0014】
フルサイズ・メモリでは、ビデオ・フレーム・ピクセルとメモリ・ピクセル・アドレス間のマッピング(mapping) は固定されているので、任意の特定ピクセルを探し出してアクセスすることができる。縮小サイズ・メモリ(reduced size memory) では、マッピングはピクセル単位(pixel-by-pixel)になっていない。その代わりに、ピクセル・ブロックがメモリにマッピングされる。特定のブロック内からの特定のピクセルが必要になったときは、そのブロック全体のデータをアクセスする必要がある。
【0015】
従来のMPEG2メインレベル、メインプロフィール・システム(720×480ピクセル)では、3つのビデオ・フレームをストアするためには12,441,600ビットのフレーム・メモリ容量が必要である。上述したように本発明に従ってこれらのフレームを50%に圧縮してからストアするようにすると、MPEG復号化のために必要になるメモリはわずか7,970,800ビットである。つまり、ユニット20用のフレーム・メモリは6,220,800ビットであり、ユニット10用のバッファ・メモリは1,750,000ビットである。従って、システムが代表的な16Mビット外部メモリ・デバイスを採用していれば、MPEG復号化のために必要なメモリ・スペースは約8Mビットだけであるので、残りの外部メモリ容量は、例えば、オンスクリーン・ディスプレイ、マイクロプロセッサRAM、トランスポート・バッファ、その他の特殊バッファなどの他の目的で使用するように残しておくことができる。開発される集積回路が小型化されると、復号器メモリを他の復号器ネットワークと一緒に同一集積回路上に集積することが可能になる。HDTV復号化システムで必要メモリ量を削減することが、大幅節減をもたらすことになる。例えば、米国内のGrand Allianceで提案されているHDTVシステムでは、必要フレーム・メモリ量は次のようになっている。
【0016】
【数1】
1920×1080×12×3=75,202,560ビット
50%圧縮すると、必要メモリ量は37,601,280ビットに削減される。
【0017】
データをメモリ20にストアする前に圧縮器30で圧縮を使用するためには、動き補償処理ループ内でユニット22の以前にデータが圧縮解除されている必要がある。これは、ブロック単位のデコンプレッサ(decompressor)32が圧縮器が行うオペレーションの逆を行うことによって行われる。ブロック単位のデコンプレッサ34はユニット32と類似しており、ストアされたピクセル・ブロックを圧縮解除してからディスプレイ・プロセッサ26に渡される。プロセッサ26には、例えば、ピクセル・データを表示するように条件づける回路、ディスプレイ・ドライバ・ネットワーク(display driver network)、およびイメージ再現デバイス(image reproducing device)を含めることができる。
【0018】
上述したメモリ削減手法は、MPEG2データストリームを復号化する機能を備えていて、イメージ解像度が最大CCIR601(720×480ピクセル)であるMPEG2メインレベル、メインプロフィール復号器で使用することができる。この手法はMPEG1 データストリームにも、放送、ケーブルおよび衛星テレビジョン信号や他のタイプの情報伝達信号と関連づけられているような、高精細(高品位)フォーマットを含む他のイメージ解像度にも等しく応用可能である。
【0019】
Iフレームなどの、ストアされたアンカ・フレーム(anchor frame)からのデータは、入力の圧縮データストリームの中で受信された動きベクトルに従ってランダム方式でアクセスされるのが一般的である。ブロック単位の圧縮方式によると、フレーム・メモリからのピクセル・データのアクセス可能性は妥当なレベルに保たれている。8×8ピクセル・ブロックは開示された圧縮方式と一緒に使用すると効率的であることが分かっている。ピクセル・ブロックを大きくすると、複雑化した圧縮手法(sophisticated compression technique) が使用できるが、ピクセル・アクセス可能性が低下するという犠牲を伴う。ブロックを小さくすると、ピクセルをきめ細かくアクセスすることができるが、圧縮オプションが少なくなるという犠牲を伴う。量子化と変換を含む、種々タイプの圧縮は、特定システムの要求条件に応じて圧縮器30の機能を実現するために使用することができる。
【0020】
使用するタイプの圧縮はある種の特性を備えていることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。各ブロックはあらかじめ決められた量だけまたはそれ以上に圧縮しておくと、各圧縮ブロックのロケーションは図2に示すメモリ・マッピングを参照して説明したように、突き止めることが容易化される。各ブロックは、他のブロックから独立して圧縮/圧縮解除されるべきである。このようにすると、どのブロックも、他のどのブロックを読み取らなくてもアクセスすることが可能になる。理想的には、圧縮/圧縮解除プロセスは無損失(lossless)であるべきであるが、これはどのサイズのブロックでも保証されるとは限らない。従って、圧縮/圧縮解除プロセスは、好ましくないアーティファクト(artifacts) を再現イメージの中に発生してはならない。
【0021】
圧縮器30で使用すると特に利点がある圧縮手法を示したのが図3である。この圧縮手法では、可変圧縮ネットワーク(variable compression network)を固定圧縮ネットワーク(fixed compression network) と並列に使用している。これらの圧縮ネットワークは同一ピクセル・ブロックに対して同時に作用する。可変圧縮ネットワークは無損失またはほぼ無損失であるという利点があるので、優先的に使用される(preferred) 圧縮ネットワークである。可変圧縮ネットワークがあらかじめ決められた、望ましいデータ圧縮量を得るのに失敗すると、固定圧縮ネットワークの出力の方が使用されることになる。固定圧縮ネットワークは望ましい圧縮量を得ることができるが、他方では、このネットワークには損失が多い(lossy) という欠点がある。
【0022】
図3に示すように、ソース18からのデータは並列の独立データ圧縮経路314と320を含んでいるデータ圧縮ネットワークの入力端312に入力される。経路314はほぼ無損失の経路であり、そこには、可変圧縮プロセッサ316が置かれている。このプロセッサは圧縮データを出力して、マルチプレクサ(MUX)325の信号入力側の一方とビット・カウンタ318へ入力する。カウンタ318はユニット316によって圧縮された各データ・ブロックのビット・カウントをモニタし、スイッチング制御信号をMUX325の制御入力側に入力する。圧縮経路314の詳細は図4に示されているが、その詳しい説明は同図を参照して下述する。経路320は損失の多い経路であり、そこには、その詳細が図5に示されている固定圧縮プロセッサ322が置かれている。ユニット322からの圧縮出力データはMUX325の他方の信号入力側に入力される。MUX325は、経路314からの圧縮データまたは経路320からの圧縮データのどちらかを圧縮ネットワークの出力端328へ送る。これについては、以下で詳しく説明する。出力の圧縮データは図1のフレーム・メモリ20へ送られる。
【0023】
ブロック単位の圧縮ネットワーク314,320は各ピクセル・ブロックを相互に独立して圧縮し、基本的には、各ブロックがあらかじめ決められた圧縮係数またはそれより大の係数だけ圧縮されることを保証する。圧縮経路314または圧縮経路320のどちらかが選択されてメモリ20に入力され、十分なイメージ品質と所望の圧縮係数(この例では、50%)が得られるようになる。50%より大きい圧縮係数を使用することも可能である。なお、圧縮係数が50%未満でも、良好な結果が得られることが確認されている。圧縮係数が25%のときは、その圧縮係数は、そのような圧縮が行われない従来の復号器の処理に比べてほぼトランスペアレント(transparent) になっている。圧縮が50%のときは、結果はトランスペアレントが低下するが、その結果は十分に良好であり、メモリ削減のない従来の符号器の処理に比べて大きな差異は認められない。
【0024】
圧縮ネットワークは複数経路になっているので、高イメージ品質が達成され、少なくとも固定圧縮係数が達成されることが保証される。可変圧縮経路314は無損失または無損失に近い圧縮を示しているが、経路314から得られる出力ビットの数は可変になっている。経路314からの圧縮ブロック出力ビットの数はカウンタ318によってモニタされる。圧縮ブロック・ビット314の数があらかじめ決められた圧縮係数に関連する、あらかじめ決められたターゲット・ビットカウントと等しいか、それ以下であれば、経路314からの圧縮データ出力がMUX325によって選択され、メモリ20へ送られる。そうでなければ、固定圧縮器322からの圧縮ブロック出力が使用される。固定圧縮器322は損失の多い圧縮ルーチンを量子化と共に使用して、固定ターゲット・ビット出力を出力する。圧縮解除を容易化するために、各圧縮ブロックごとに、各圧縮ネットワークは、どのタイプの圧縮がそのブロックで行われたかを示すためのシグナリング(通知)情報をデータストリームに挿入する。このシグナリング情報は1または2以上のビットにして、各圧縮データ・ブロックの先頭に、例えば、ヘッダに挿入することができる。シグナリング・ビットは圧縮解除ネットワーク32と34(図1)によって検出され、そこでは、与えられたシグナリング・ビットに関連するブロックを圧縮するために使用された圧縮とは逆のことが行われる。ヘッダには、例えば、量子化制御情報などの、他の制御情報を入れることも可能である。
【0025】
可変圧縮はイメージの滑らかなエリアで使用することが好ましく、そうすれば煩わしい輪郭アーティファフト(contouring artifact) の発生が防止される。可変圧縮器316は量子化をほとんど、あるいはまったく使用せず、ほぼ無損失のプロセスが行われるので、上記のようなエリアでは高イメージ品質がほぼ保証される。これに対して、固定圧縮器322は重要なディテール情報を含んでいるイメージ・エリアで使用することができる。このようなエリアに量子化ノイズがあっても、目立った誤差が生じるおそれがないので、経路320で固定圧縮を受けるイメージ・エリアの目に見える品質は良好になる可能性が大である。しかし、多くのシステムでは、そうした方が好都合であるとしても、可変圧縮と固定圧縮を上記のように使い分ける必要はない。これらの2圧縮ブロックのどちらを選択して使用するかは、可変圧縮器316からの圧縮ブロックのビットカウントに基づくだけである。圧縮器316が所望の圧縮を達成したことをビットカウントが示していれば、圧縮器316が使用される。そうでなければ、圧縮器322が使用される。
【0026】
圧縮ネットワーク314,320による圧縮はブロック単位で行われ、すべてのブロックは独立して圧縮されるので、復号器は他のブロックに関する情報を必要とすることなく、すべてのブロックを復号化することができる。各ブロックはあらかじめ決められた圧縮係数で圧縮されるので、各ブロックの最初のピクセルのメモリ・アドレスは事前に分かっている。従って、各ブロックは他のブロックに関する情報がなくてもメモリからアクセスすることができる。この点に関して注目すべきことは、エリアは各ブロックごとにメモリに予約されていることである。圧縮が50%の場合には、各予約エリアはオリジナル・ブロックの半分のサイズになっている。このようにして、各圧縮ブロックはそのブロック用に予約されたメモリ・エリアに収まることになるが、これはビットがカウントされ、圧縮器322の出力は必要時に使用されることによるためである。好ましい方の圧縮器316がターゲット圧縮量以上を達成することに成功したときは、圧縮器316の出力が使用されるので、予約されたメモリ・スペースの一部は圧縮ブロック・データで使用されないことになる。つまり、各圧縮ブロックは、あらかじめ決められた開始アドレスからそのブロック・エリアを満たしていき、そのブロック用に予約された最後のアドレス以下のアドレスまで続けていく。このプロセスは図2を参照して説明されている。
【0027】
ブロック単位の圧縮機能として望ましことは、圧縮効率を高めると同時に、ピクセル・ブロックの各ピクセルへのアクセスを容易化することであるが、これらの2つは結果的には、相互に矛盾する性格をもっている。つまり、圧縮効率を高めるには、ブロック・サイズを大きくする必要があり、ピクセルへのアクセスを容易化するには、ブロック・サイズを小さくする必要がある。これらの特性の両方は、ピクセル・ブロック・サイズを8×8ピクセルと16×4ピクセルにすると、ほぼ達成できることが分かっている。これらのブロックは、前述したようにユニット10において必要なN×Nピクセル・サイズに形成される。
【0028】
この例では、各フィールド・ベースのピクセル・ブロックは図6に示すように左から右へ下方に向かってラスタ方式でスキャンされる。このスキャンは、それぞれ図4と5に示すようにディレイ・エレメント(delay element:遅延素子)452〜456とディレイ・エレメント552〜556を使用して両ユニット316と322で行われる。これについては、以下で説明する。可変圧縮ネットワークは図4に示されている。このネットワークは適応予測(adaptive prediction) 付きのDPCMループを使用して、公知手法を用いて差分信号(残余)を出力する。この差分は可変長符号化(variable length coded) され、その結果の符号化差分ビット数はモニタされ、所望の圧縮係数が現ブロックで得られたかどうかを示している。
【0029】
図4に示すように、差分ネットワーク(differencing network)442はユニット442の非反転入力端(+)に印加された入力ピクセル値とユニット442の反転入力端(−)に印加された予測ピクセル値との差分(残余)を表している出力を出力する。予測値は、差分器(differencer) 442、可変長符号器444、およびユニット444の符号化オペレーションの逆を行う可変長復号器446を含んでいるDPCM処理ループを使用して得られる。可変長符号器にオプションの高解像度量子化器とエントロピ符号器(entropy encoder) (例えば、ハフマン符号器(Huffman coder) )を含めておくと、無損失または無損失に近い圧縮を行うことができる。可変長復号器は逆量子化器とエントロピ復号器を含んでいる。ユニット446からの逆復号化出力は、予測器(predictor) 450および関連のピクセル・ディレイ・エレメント452,454および456を含んでいる予測ネットワークからの出力とユニット448で加算される。これらのエレメントからは、それぞれ1ピクセル、7ピクセルおよび1ピクセルの遅延が得られる。ユニット450から出力された予測ピクセル値は加算器448と差分器442の入力に印加される。
【0030】
図7は、DPCMネットワークの予測処理と符号化オペレーションに関連する4つのピクセルA、B、CおよびX(予測されるピクセル)のグループの構成例を示している。このピクセル・グループは図6に示すピクセル・ブロックの中でも参照されている。この例では、ピクセルBはピクセルCに対して1ピクセル・インターバルだけ遅延され、ピクセルAはピクセルBに対して7ピクセル・インターバルだけ遅延され、ピクセルXはピクセルAに対して1ピクセル・インターバルだけ遅延されている。DPCM予測プロセスは周知であるが、これについては後述する。可変長符号器444の出力からの圧縮ピクセル・データはユニット460でバッファされてから図3のMUX325へ送られる。バッファ460は、1つのブロック全体が処理されるまで可変圧縮プロセスの出力をストアしておき、その処理が完了した時点で、ターゲット圧縮係数まで達したかどうかが判断される。
【0031】
符号器444からの各圧縮ブロック出力のビットカウントはビットカウンタ418によってモニタされるが、このビットカウンタはいくつかの公知手法のいずれによっても実現することが可能である。各ピクセル・ブロックが可変圧縮されたあと、圧縮ビットカウントがあらかじめ決められたしきい値まで達したか、あるいはそれ以下にあって、所望の圧縮量が可変圧縮器によって達成されたか、あるいは越えていたことを示していれば、カウンタ418から制御出力信号(Control output signal) が出力される。この制御信号はMUX325のスイッチング制御入力端に印加され、これを受けてMUX325は、可変長圧縮器からの出力を利用ネットワーク(utilization network) へ送る。そうでなければ、固定長圧縮器からの圧縮ブロック出力(同一ピクセル・ブロックに対する)が利用ネットワークへ送られる。
【0032】
固定圧縮ネットワークは図5に示されている。このネットワークも、可変圧縮の場合と同じように、適応予測付きのDPCMループを使用している。図5において、エレメント548,550,552,554および556の働きは、図4に示す対応するエレメントのそれと同じである。差分ネットワーク542も図4のユニット442と同じ目的に使用され、残余ピクセル値を出力するが、以下で説明するように使用される状況が若干異なっている。
【0033】
固定圧縮ネットワークでは、DPCMによる処理の結果としてユニット542の出力から得られた差分(残余)ピクセル値を非線形的に量子化する。ユニット542の非反転入力端(+)には、64ピクセル・ディレイ・エレメント555によって64ピクセル・インターバルだけ遅延された入力ピクセル値が入力される。ユニット542の反転入力端(−)には、予測器550からの予測ピクセル値が入力される。ユニット542からの残余ピクセル値の出力はそれぞれ、ユニット556と558によって量子化と逆量子化を受ける。ユニット556で行われる量子化は固定であり、所望のデータ圧縮量を保証する。例えば、8ビットのデータワードを50%圧縮するためには、ユニット556は最後の下位有効4ビットを除去する。固定圧縮量は所望の圧縮量以下になることはない。ユニット556と558は、各ピクセル・ブロックの最小および最大ピクセル値を判断する、最小値/最大値(Min/Max)比較ネットワーク560の制御の下で動作する。
【0034】
量子化器556は、固定量子化ルール(fixed quantizer rule)を使用するように構成することも可能である。しかし、処理されるブロックに関連する最小および最大ピクセル値に応じて、量子化ルールを適応するようにした方が効率的である。最小値/最大値比較ユニット560はこれらの値を判断する。エレメント555は、検査される所与のブロックの全64ピクセルの最小値と最大値に必要なタイムディレイを行ってからそのブロックの最初のピクセルが処理される。
【0035】
図3に戻って説明すると、圧縮器322は固有のディレイをもっていないが、最小値/最大値比較ユニットとディレイ・エレメント555(図5)を組み合わせると、圧縮器322は1ブロック・ディレイを示すことになる。このディレイは、可変圧縮経路が示す1ブロック・ディレイに一致している。固定長圧縮ネットワークは各8×8ピクセル・ブロックの64ピクセル値の各々を2回評価して、そのブロックの最小および最大ピクセル値を判断する。このプロセスはエレメント555で64ピクセル(1ブロック)のディレイを引き起こすことにより容易化される。最小値と最大値は、処理される各ブロックごとに使用される非線形量子化ルールの中から1つを適応的に選択するために使用される。各ブロックを2回評価するために必要な2経路手法(two pass approach) によると、可変圧縮器が所望の圧縮を達成したかどうかを判断するときバッファ460で起こる可変圧縮のレイテンシ(latency) は1ブロック分であるので、余分のレイテンシがシステムに起こることはない。
【0036】
上述したように、圧縮器316と322が並列に配置され、固定圧縮器が最小値/最大値比較を採用しているときは、圧縮器322に1ブロック・ディレイが起こることになる。可変圧縮器316は固有の1ブロック・ディレイをもっていないので、ビット・バッファ460はビットを1ブロック時間だけ長く保持し、圧縮器322の出力を待つことになる。固定圧縮器322が最小値/最大値を使用していなければ、圧縮器322に1ブロック・ディレイが起こることがない。可変圧縮器316には、バッファ460に起因する固有の1ブロック・ディレイが起こることがない。バッファ460は圧縮器316のビットをストアしておき、そのあとで可変または固定圧縮出力のどちらを使用すべきかの判断が行われる。ビットカウンタ318は、可変および固定圧縮ネットワークが並列に配置されているときどちらの出力を使用すべきかを判断する。
【0037】
なお、圧縮器316と322は図8に示すように、並列に配列されている必要はない。この場合には、圧縮器316が最初にピクセル・ブロックを処理し、これと同時に、最小値/最大値比較ユニット560は前述したように、そのブロックの最小および最大ピクセル値を判断する。1ブロック・ディレイのあと、圧縮器316がターゲット圧縮を達成したかどうかが分かるので、固定圧縮器322がそのブロックを処理する必要があるかどうかが分かることになる。可変圧縮器316がターゲット圧縮係数を達成していれば、可変圧縮出力をフレーム・メモリに出力する。そうでなければ、ユニット322はそのブロックを圧縮することになる。圧縮器316と322には類似のアーキテクチャと機能エレメントを実装できるので、そのように実装すると、ユニット316で可変圧縮のために使用された類似エレメントをユニット322で固定長圧縮のために再び使用できるという利点がある。
【0038】
図5の量子化器556に対して量子化ルールを適応的に変更することは重要ではない。単純な線形量子化を使用することも可能である。量子化ルールを最小/最大ピクセル値に応じて適応すると、損失量が減少する。各ブロックは最小ピクセル値と最大ピクセル値を見つけるためにスキャンされる。これらの値が分かっていると、該当する量子化ルールが選択されてから最初の(残余)値が量子化されることになる。エレメント555は量子化ルールが設定されるまで最初のピクセルを遅延するが、これは、このルールが逆量子化器558によっても使用されるからである。そのためには、シグナリング(通知)ビットをデータストリームに追加して、量子化ルールの圧縮解除機能が使用されることを通知する必要がある。
【0039】
量子化器は、ユニット542からの出力ビットがアドレスを表しているルックアップ・テーブル(look-up table) と考えることができる。量子化器556は50%圧縮の場合には4ビット・データを出力する。量子化器556の出力はインデックスとなっており、これはユニット542の出力に近似させるためにユニット558によって使用される。ユニット558への入力が4ビットだけのデータならば、可能とされるデータの組合せは16通りだけであるのに対し、ユニット542から得られる出力は最大256個まで可能であるので、ここで損失が起こっているおそれがある。図5の固定圧縮ネットワークの場合は、出力バッファは不要である。
【0040】
この実施例では、同じDPCM予測符号化プロセスが図4と図5の圧縮ネットワークによって採用されている。符号化される現ピクセルはそれ以前に符号化されたピクセルを使用して予測されるが、これらのピクセルはデコンプレッサ32と34(図1)に知らされている。予測プロセスを理解しやすくするために、図7を参照して説明すると、図7において、ピクセルXは予測符号化されるピクセル値である。ピクセルA、B、およびCは以前に予測符号化されており、圧縮解除セクションに知らされている。X,Xpredの予測は、次の疑似コードに従ってA、BおよびCの値を使用する。この疑似コードは使用されるアルゴリズムを記述したものである。
【0041】
if (|A−C|<e1 && |B−C|>e2),Xpred =B
else if (|B−C|<e1 && |A−C|>e2),Xpred =A
else Xpred =(A+B)/2
値e1 とe2 はあらかじめ決められたしきい値を表す定数である。このアルゴリズムは、処理されるブロックの第1行または第1列に置かれていないピクセルに対してのみ使用される。いくつかの例外があるが、これらは次のように処理される。ブロック内の最初のピクセルは他のどのピクセルも参照することなく非常に良好に符号化され、第1行のピクセルはピクセル値Aを予測参照値(predictor) として使用し、第1列のピクセルはピクセル値Bを予測参照値として使用する。基本的には、このアルゴリズムはエッジを検出することを試みる。第1のケースでは、ピクセルCとB間とピクセルAとX間に垂直エッジがあるものと想定される。従って、Bが最良予測参照値である。第2のケースでは、AとC間とBとX間に水平エッジがあるものと想定される。従って、Aが最良予測参照値である。第3のケースでは、明白なエッジは見つからない。このケースでは、AとBが共に等しく良好予測参照値であるので、その平均値が使用される。
【0042】
【発明の効果】
上述してきたブロック単位のデータ圧縮ネットワークを使用すると、MPEG準拠のデータワードを処理できるという利点がある。このネットワークによると、無損失に近い圧縮を行うことができるので、8×8輝度(luminance) データまたは4×4 U,V(クロミナンス)データをストアするために必要なメモリ量を削減することができる。圧縮量は選択可能であり、例えば25%または50%にすることができる。低コントラストの、低ディテール・イメージ・ブロックは無損失で圧縮されるのが通常であるのに対し、高コントラストの、高ディテール・イメージ・ブロックは特に50%データ圧縮の場合には若干の損失を受けるが、その損失は許容し得るものである。ケースによっては、圧縮解除されたピクセル・ブロックはオリジナル・ピクセル・ブロックに比べて差異を示すことがあるが、水平ディテール低減を行うよりも、開示された圧縮システムを使用した方が必要メモリ量を削減することができる。図3に示す圧縮システムはMPEG規格のすべてのプロフィールおよびすべてのレベルで使用できるだけでなく、他のディジタル・データ処理方式にも使用することができる。
【0043】
圧縮器30は図3と図8に示すようなデュアル圧縮ネットワークを採用すると有利であるが、圧縮ネットワークの一方を取り除いてシステムを単純化することも可能である。例えば、ハードウェア設計を単純化するために、システムによっては、固定長圧縮ネットワークを単独で使用するだけでも十分な場合もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を採用しているMPEG復号器の部分を示すブロック図である。
【図2】メモリがフルの場合と削減された場合のメモリ・マッピングを示す図である。
【図3】図1のMPEG復号器で使用すると便利な圧縮ネットワークを示すブロック図である。
【図4】図3のネットワークの詳細を示す図である。
【図5】図3のネットワークの詳細を示す図である。
【図6】図4と図5に示すネットワークをオペレーションの側面から見てその理解に役立つピクセル構成を示す図である。
【図7】図4と図5に示すネットワークをオペレーションの側面から見てその理解に役立つピクセル構成を示す図である。
【図8】別実施例のデュアル経路圧縮ネットワークを示す図である。
【符号の説明】
12 デコンプレッサ
14 デコンプレッサ
20 メモリ
26 入力ネットワーク
30 圧縮器
34 入力ネットワーク

Claims (1)

  1. イメージを表す情報を処理するシステムにおける
    イメージを表す圧縮されたデータのデータストリームを受信する入力ネットワークと、
    前記入力ネットワークからの圧縮されたデータを圧縮解除するデコンプレッサと、
    前記デコンプレッサからの圧縮解除されたデータを処理する動き情報処理ネットワークと、
    前記動き情報処理ネットワークによって処理されたデータをストアするメモリ・ユニットと、
    前記メモリ・ユニットにストアされたデータを処理する出力イメージ・プロセッサと、
    前記メモリ・ユニットにストアされる前に前記動き情報処理ネットワークに処理されたデータを圧縮する圧縮器であって、
    可変圧縮特性を示す、ブロック単位の第1圧縮器と、
    固定圧縮特性を示し前記第1圧縮器と並列に動作する、ブロック単位の第2圧縮器とを有する圧縮器と、
    イメージ・データのブロックを前記第1圧縮器と前記第2圧縮器とに同時に入力する手段と、
    前記第1圧縮器に結合されていて、前記第1圧縮器によって処理されたデータ・ブロックが所望の圧縮係数を示しているかどうかを判断する手段と、
    (a)前記可変圧縮データがあらかじめ決められた所望の圧縮係数以上を示しているときは前記第1圧縮器からの可変圧縮データを、(b)前記可変圧縮データが前記圧縮係数未満を示しているときは前記第2圧縮器からの固定圧縮データを、選択的に前記メモリ・ユニットへ送る選択ネットワークと
    を備えていることを特徴とする、MPEG互換復号器
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